JP2003240085A - トロイダル型変速機用の転動体およびその加工方法 - Google Patents

トロイダル型変速機用の転動体およびその加工方法

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JP2003240085A
JP2003240085A JP2002038578A JP2002038578A JP2003240085A JP 2003240085 A JP2003240085 A JP 2003240085A JP 2002038578 A JP2002038578 A JP 2002038578A JP 2002038578 A JP2002038578 A JP 2002038578A JP 2003240085 A JP2003240085 A JP 2003240085A
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Japan
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ball bearing
bearing groove
groove surface
cutting
power roller
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JP2002038578A
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English (en)
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Mamoru Saito
衛 斉藤
Kazuhiko Tanaka
一彦 田中
Yoji Nakamura
陽二 中村
Yoshitaka Uehara
義貴 上原
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工費用を低減でき、パワーローラのボール
ベアリング溝面の表層に内部深さが深い圧縮残留応力層
を付加し、転動疲労寿命の向上を図り、ボールベアリン
グ溝面を高精度な円弧形状に形成し得るトロイダル型変
速機用の転動体およびその加工方法を提供する。 【解決手段】 トロイダル型変速機用の転動体であるパ
ワーローラは、切削加工とバニシング加工と超仕上げ加
工とによりボールベアリング溝面の表面が加工され、面
粗さが0.04μmRa以下であり、最大圧縮残留応力
が−1000MPa以下であり、表面から内部深さ0.
2mmまで圧縮残留応力層が形成されてなるボールベア
リング溝面を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トロイダル型変速
機用の転動体およびその加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、トロイダル型変速機に
は、転動体として、入力ディスク、出力ディスク、パワ
ーローラが組み込まれている(特開2001−9079
5号公報を参照)。パワーローラには、ボールベアリン
グを配置するための溝が形成されている。ボールベアリ
ング溝面は、高精度な面粗さと表層の圧縮残留応力とが
要求される。このため、ボールベアリング溝面は、熱処
理後の仕上げ加工工程では、研削加工、超仕上げ加工、
ショットピーニング加工、そして再び超仕上げ加工が行
われている。ショットピーニング加工の後に超仕上げ加
工を再び行うのは、ショットピーニングにより面粗さが
悪化するためである。また、パワーローラにはニードル
ベアリングなどを配置する孔部が設けられ、孔部の内径
面に対しては、熱処理後に、研削加工と超仕上げ加工と
が施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ボールベアリング溝面
の仕上げ加工は、研削盤と、ショットピーニング装置
と、超仕上げ盤とが必要であるが、研削盤は設備費が高
いことから、パワーローラの加工費用が増大するという
問題点がある。また、加工工程数が多いため、この点か
らも加工費用が増大するという問題点がある。
【0004】パワーローラのボールベアリング溝面には
高面圧が作用するため、転動疲労寿命の向上を図るため
には、ボールベアリング溝面の表層に内部深さが深い圧
縮残留応力層を存在させることが望ましい。しかしなが
ら、研削加工とショットピーニング加工と超仕上げ加工
とが施されたボールベアリング溝面は、圧縮残留応力層
が浅く、転動疲労寿命の向上を十分に図ることができな
いという問題点がある。
【0005】さらに、ボールベアリング溝面には、高精
度な円弧形状が要求されている。
【0006】そこで、本発明は、加工費用を低減でき、
パワーローラのボールベアリング溝面の表層に内部深さ
が深い圧縮残留応力層を付加し、転動疲労寿命の向上を
図り、ボールベアリング溝面を高精度な円弧形状に形成
し得るトロイダル型変速機用の転動体およびその加工方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記す
る手段により達成される。
【0008】(1)トロイダル型変速機用の転動体であ
るパワーローラにおいて、切削加工とバニシング加工と
超仕上げ加工とにより前記パワーローラのボールベアリ
ング溝面の表面が加工され、面粗さが0.04μmRa
以下であり、最大圧縮残留応力が−1000MPa以下
であり、表面から内部深さ0.2mmまで圧縮残留応力
層が形成されてなるボールベアリング溝面を備えること
を特徴とするトロイダル型変速機用の転動体。
【0009】(2)トロイダル型変速機用の転動体であ
るパワーローラのボールベアリング溝面を、切削加工と
バニシング加工と超仕上げ加工とにより加工する加工方
法であって、前記ボールベアリング溝面の断面円弧形状
の中心線方向および当該中心線方向に対して直交する中
心線直交方向の2方向の移動量を制御する2軸制御によ
り前記切削工具を移動しつつ、前記ボールベアリング溝
面のうちボールベアリングが接触しない範囲を切削加工
するステップと、前記ボールベアリング溝面の断面円弧
形状の中心を回転中心として切削工具を回動しつつ、前
記ボールベアリング溝面のうちボールベアリングが接触
する範囲を切削加工するステップと、前記ボールベアリ
ング溝面のうちボールベアリングが接触する範囲をバニ
シング加工するステップと、を含むことを特徴とするト
ロイダル型変速機用の転動体の加工方法。
【0010】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、トロイ
ダル型変速機用転動体であるパワーローラにおけるボー
ルベアリング溝面を、切削加工とバニシング加工と超仕
上げ加工とにより加工しているため、研削盤より安価な
旋盤を使用して切削加工を行うことができ、これを通し
て、加工費用を低減することができる。また、切削加工
およびバニシング加工を同一旋盤で行うことも可能であ
るため、加工設備の台数の削減を通して、加工費用を一
層低減することができる。さらに、切削加工の際には、
切削工具が微小な面でボールベアリング溝面に接触して
切削しているため、切削工具の刃先には高い面圧が発生
し、ボールベアリング溝面の表層に内部深さが深い圧縮
残留応力層を付加することができ、これを通して、パワ
ーローラの転動疲労寿命の向上を図ることができる。し
かも、バニシング加工の際には、バニシング工具を高い
面圧でボールベアリング溝面に押し付けるため、ボール
ベアリング溝面の表層に内部深さが一層深い圧縮残留応
力層を付加することができ、これを通して、転動体の転
動疲労寿命のさらなる向上を図ることができる。また、
パワーローラに設けられた孔部の内径面の切削加工を、
ボールベアリング溝面の切削加工工程と同一の工程で行
うことが可能となるため、加工設備の台数の削減を通し
て、加工費用を一層低減することができる。
【0011】一般的な数値制御旋盤を使用して、主軸の
軸線方向と当該主軸の軸線方向に直交する方向の2軸制
御を行いつつボールベアリング溝面を切削加工すると、
旋盤に組み込まれているボールねじなどのバックラッシ
ュに起因して、ボールベアリング溝面に段差が生じて形
状誤差が大きくなり、高精度な円弧形状が得られない虞
がある。
【0012】かかる観点より、請求項2に記載の発明で
は、ボールベアリング溝面のうちボールベアリングが接
触する実用上必要な範囲においては、ボールベアリング
溝面の断面円弧形状の中心を回転中心として切削工具を
回動しつつ切削している。これにより、バックラッシュ
に起因する段差の発生をなくし、ボールベアリング溝面
を高精度に加工することができる。また同様に、圧縮残
留応力が要求される実用上必要な範囲のみをバニシング
加工することにより、より高い圧縮残留応力とより深い
圧縮残留応力層を必要な部位に付加することができ、こ
れを通して、パワーローラの転動疲労寿命の向上を図る
ことができる。さらに、残留応力が付加されることで生
じる加工面の変形量を小さくでき、バニシング工具の寿
命を延長することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。
【0014】図1は、トロイダル型変速機10を一部断
面で示す概略構成図である。
【0015】図示するように、トロイダル型変速機10
には、転動体として、入力ディスク12、出力ディスク
13、パワーローラ21が組み込まれている。回転自在
に支持された入力軸14の一端に、ローディングカム1
5が設けられている。ローディングカム15は、ローラ
16を介して、入力軸14の回転力を入力ディスク12
に伝達する。出力ディスク13には、回転自在に支持さ
れた出力軸17が接続されている。なお、入力ディスク
12および出力ディスク13を総称して、単に、「ディ
スク11」ともいう。
【0016】入力ディスク12および出力ディスク13
は、同軸上に向かい合って配置され、断面略半円形とな
る転動面11aを形成している。各ディスク11の転動
面11aにより形成されるトロイダルキャビティ内に、
各ディスク11に接する一対のパワーローラ軸受20が
配置されている。パワーローラ軸受20は、ディスク1
1の転動面11a上を転走するパワーローラ21と、外
輪22と、複数のボールベアリング23とを有してい
る。パワーローラ21の外周面も転動面21aとなる。
パワーローラ21の背面には、ボールベアリング23を
配置するための断面半円弧形状の溝24が形成されてい
る。パワーローラ21は、軸25、外輪22およびボー
ルベアリング23を介して、トラニオン26に回転自在
に取り付けられている。また、パワーローラ21は、デ
ィスク11の転動面11aの中心となるピボット軸を中
心に傾転自在に支持されている。各ディスク11は、回
転軸上に孔部が形成され、この孔部に配置したニードル
軸受を介して、入力軸14とは独立した状態、すなわち
入力軸14の回転力に直接影響されない状態となってい
る。パワーローラ21にもニードル軸受27などを配置
する孔部28が設けられている。
【0017】ディスク11とパワーローラ21との接触
面には、粘性摩擦抵抗の大きい潤滑油が供給されてい
る。この潤滑油の膜とパワーローラ21とを介して、入
力ディスク12に伝達された回転力が出力ディスク13
に伝達され、出力ディスク13が出力軸17と一体とな
って回転する。
【0018】図2(A)(B)は、本発明(請求項2)
に係るトロイダル型変速機10用の転動体であるパワー
ローラ21の加工方法を具現化した加工装置30の一例
を示す平面図および側面図、図3は、同加工装置30の
要部を示す平面図である。
【0019】図示するように、加工装置30の下部に
は、ベース31が配置され、このベース31上には、主
軸台32と、スライドテーブル34とが設けられてい
る。
【0020】主軸台32の内部には、主軸モータ35
と、当該主軸モータ35により回転駆動される主軸36
とが設けられている。主軸36の端部には、チャック3
7が設けられている。チャック37には、パワーローラ
21を把持するジョー38が設けられている。ジョー3
8は、油圧装置により駆動される。
【0021】スライドテーブル34上には、矢印40に
て示されるZ方向にスライド移動自在に、スライダ41
が設けられている。スライダ41上には、矢印45にて
示されるX方向にスライド移動自在に、かつ回転可能な
回転テーブル46が設けられている。
【0022】回転テーブル46上には、工具台47が設
けられている。工具台47には、切削工具ホルダ50
と、バニシング工具ホルダ60と、内径加工用工具ホル
ダ70とがボルトなどを介して保持されている。切削工
具ホルダ50は、ボールベアリング溝面24aを切削加
工する切削工具51を保持する。バニシング工具ホルダ
60は、バニシング工具61を高静水圧により保持す
る。内径加工用工具ホルダ70は、パワーローラ21の
孔部28の内径面28aを切削加工する内径加工用工具
71を保持する。切削工具51および内径加工用工具7
1は、刃先形状が小R形状を有している。バニシング工
具61は、先端形状がボール形状を有している。回転テ
ーブル46の工具割り出し機構により、切削工具51、
バニシング工具61または内径加工用工具71のいずれ
かが、所定の加工位置に割り出される。
【0023】バニシング工具61には、ポンプユニット
62から回転テーブル46および工具台47内部の配管
63を通して、高圧水が供給される。バニシング工具6
1は、供給された高圧水により、高い面圧でボールベア
リング溝面24aに押し付けられる。
【0024】加工装置30は、当該加工装置30の各部
の作動を制御する制御装置80を有している。制御装置
80は、例えば、主軸モータ35の回転制御、スライダ
41の移動制御、回転テーブル46の移動や回転や工具
割り出し制御、ポンプユニット62の制御などを行う。
制御装置80は、スライダ41および回転テーブル46
の移動を制御し、切削工具51をX−Z平面上で移動す
る。切削工具51の移動に伴って、パワーローラ21の
ボールベアリング溝面24aが切削加工される。制御装
置80は、切削加工が終了した後に、工具割り出し機構
により回転テーブル46を回動制御し、バニシング工具
61を所定の加工位置に割り出し、スライダ41および
回転テーブル46の移動を制御する。バニシング工具6
1の移動に伴って、ボールベアリング溝面24aがバニ
シング加工される。また、制御装置80は、内径加工用
工具71を所定の加工位置に割り出し、スライダ41お
よび回転テーブル46の移動を制御する。内径加工用工
具71の移動に伴って、パワーローラ21の孔部内径面
28aが切削加工される。
【0025】本実施形態の加工装置30では、工具台4
7に、切削工具51と、バニシング工具61と、内径加
工用工具71とを設けることができ、ひとつの加工設備
で3種類の加工を行うことができ、設備台数の削減を通
してパワーローラ21の加工費を低減できる。
【0026】次に、本実施形態の作用を説明する。
【0027】図4(A)は、ボールベアリング溝面24
aを切削加工している本実施形態における状態を示す模
式図、図4(B)は、対比例における状態を示す模式図
である。
【0028】トロイダル型変速機10用の転動体である
パワーローラ21は、そのボールベアリング溝面24a
に高精度な円弧形状が要求される部品である。
【0029】図4(B)に示すように、一般的な数値制
御旋盤を使用してボールベアリング溝面24aを切削加
工する場合には、切削工具55は、主軸36の軸線方向
に沿うZ軸方向および当該Z軸方向に直交するX軸方向
の2軸制御が行われつつ、矢印56にて示される方向に
移動する。しかしながら、上記のような2軸制御により
切削工具55を移動しつつ、ボールベアリング溝面24
aを切削する加工方法では、次のような問題がある。
【0030】ボールベアリング溝面24aのうち、X軸
のプラス側に位置する加工範囲dの領域では、切削工具
55は、X軸マイナス方向とZ軸マイナス方向とに同期
制御されて移動する。一方、X軸のマイナス側に位置す
る加工範囲eの領域では、切削工具55は、X軸マイナ
ス方向とZ軸プラス方向とに同期制御されて移動する。
切削工具55がボールベアリング溝面24aの中心線2
4b上つまり加工範囲d、eの境界であるZ軸上に達し
た瞬間に、Z軸方向の移動がマイナス方向からプラス方
向に変化する。2軸制御の旋盤の工具送り機構にはボー
ルねじなどが組み込まれているが、上記のように工具の
送り方向が逆方向になるときには、ボールねじなどが逆
方向に回転することになる。このため、ボールねじなど
の工具送り機構が有するバックラッシュに起因して、ボ
ールベアリング溝面24aに段差24cが発生する。ボ
ールベアリング溝面24aにこのような段差24cが発
生してしまうと、形状誤差が大きくなり、高精度な円弧
形状を得ることが困難となる。
【0031】かかる観点より、本実施形態では、ボール
ベアリング溝面24aに対する切削加工は次の手順を経
て行われる。
【0032】図4(A)に示すように、本実施形態で
は、ボールベアリング溝面24aのうちボールベアリン
グ23が接触しない加工範囲a、cにおける切削工具5
1の移動形態と、ボールベアリング23が接触する加工
範囲bにおける切削工具51の移動形態とが異なってい
る。加工範囲bの領域は、ボールベアリング23が接触
する長さとほぼ同等の長さを有している。
【0033】まず、ボールベアリング23が接触しない
加工範囲aでは、切削工具51は、ボールベアリング溝
面24aの断面円弧形状の中心線24b方向つまりZ軸
方向および中心線24b方向に対して直交する中心線直
交方向つまりX軸方向の2方向の移動量を制御する2軸
制御により、矢印57にて示される方向に移動する。こ
のように2軸制御により切削工具51を移動しつつ、ボ
ールベアリング溝面24aを切削する。
【0034】加工範囲aにおける切削加工が終了する
と、ボールベアリング23が接触する加工範囲bでは、
切削工具51は、回転テーブル46の回転により、ボー
ルベアリング溝面24aのZ軸上に位置する円弧形状中
心Oを回転中心として、矢印58にて示される方向に回
動する。このように切削工具51を回動しつつ、ボール
ベアリング溝面24aを切削する。
【0035】加工範囲bにおける切削加工が終了する
と、ボールベアリング23が接触しない加工範囲cで
は、加工範囲aと同様に、切削工具51は、2軸制御に
より、矢印59にて示される方向に移動する。このよう
に2軸制御により切削工具51を移動しつつ、ボールベ
アリング溝面24aを切削する。
【0036】ボールベアリング溝面24aに対する切削
加工が終了すると、次に、バニシング加工を行う。
【0037】バニシング加工は、図2に示した加工装置
30を用いて行われる。切削加工が終了した後に、制御
装置80は、回転テーブル46を回転制御してバニシン
グ工具61を所定の加工位置に割り出し、スライダ41
および回転テーブル46の移動を制御する。バニシング
工具61の移動に伴って、ボールベアリング溝面24a
がバニシング加工される。このときバニシング工具61
は、ポンプユニット62からの高圧水が供給され、高い
面圧ボールベアリング溝面24aに押し付けられてい
る。
【0038】ボールベアリング溝面24aに対するバニ
シング加工が終了すると、次に、パワーローラ21の孔
部28の内径面28aに対する切削加工を行う。
【0039】孔部内径面28aの切削加工も、図2に示
した加工装置30を用いて行われる。ボールベアリング
溝面24aに対するバニシング加工が終了した後に、制
御装置80は、回転テーブル46を回転制御して内径加
工用工具71を所定の加工位置に割り出し、スライダ4
1および回転テーブル46の移動を制御する。内径加工
用工具71の移動に伴って、孔部内径面28aが切削加
工される。
【0040】この後、ボールベアリング溝面24aに対
する超仕上げ加工を行う。
【0041】超仕上げ加工は、砥石やラップ剤を使用す
る一般的な超仕上げ加工装置(図示せず)を用いて行わ
れる。砥石を用いる超仕上げ加工装置の場合には、転動
体の回転数、砥石の揺動数、押し付け圧力などが適宜設
定される。
【0042】上述したように、本実施形態によれば、ボ
ールベアリング溝面24aの切削加工を行う際に、実用
上高精度が必要な加工範囲bの領域において、切削工具
51を回動しつつ加工している。2軸制御による加工の
場合には、工具送り機構が有するバックラッシュに起因
した加工形状の段差24cが生じ得るが、本実施形態に
よれば、ボールベアリング23が接触する最も重要な範
囲を、バックラッシュに起因した加工形状の段差が生じ
ることなく高精度に加工でき、形状誤差が小さく高精度
な円弧形状を得ることができる。
【0043】また、ボールベアリング溝面24aを、切
削加工と当該切削加工で使用する旋盤で加工が可能なバ
ニシング加工とを行った後に超仕上げ加工を行っている
ため、研削盤より安価な旋盤を使用することができると
ともに切削加工とバニシング加工を同一旋盤で行うこと
ができ、加工設備の台数の削減を通して、パワーローラ
21の加工費用を低減することができる。しかも、孔部
内径面28aに対する切削加工も同一旋盤で行うことが
可能であるため、加工設備の台数のさらなる削減を通し
て、加工費用を一層低減することができる。
【0044】また、切削加工の際には、切削工具51が
微小な面でボールベアリング溝面24aや孔部内径面2
8aに接触して切削しているため、切削工具51の刃先
には高い面圧が発生し、ボールベアリング溝面24aや
孔部内径面28aの表層に内部深さが深い圧縮残留応力
層を付加することができ、これを通して、パワーローラ
21の転動疲労寿命の向上を図ることができる。切削加
工に引き続いてバニシング加工を行う形態においては、
バニシング工具61を高い面圧でボールベアリング溝面
24aに押し付けるため、ボールベアリング溝面24a
の表層に内部深さが一層深い圧縮残留応力層を付加する
ことができ、これを通して、パワーローラ21の転動疲
労寿命のさらなる向上を図ることができる。
【0045】図5は、ボールベアリング溝面24aの表
面からの深さと残留応力との関係を示す残留応力分布図
である。図において、残留応力の数値がマイナスの場合
には圧縮側の残留応力を示す。また、符号「A」は、切
削加工とバニシング加工と超仕上げ加工とによりボール
ベアリング溝面24aの表面を加工した実施例における
データを示している。また、符号「B」は、従来一般的
に行われている研削加工と超仕上げ加工とショットピー
ニング加工と超仕上げ加工とによりボールベアリング溝
面24aの表面を加工した対比例におけるデータを示し
ている。
【0046】下記の表1は、実施例における切削加工の
加工条件およびバニシング加工の加工条件の一例を示し
ている。
【0047】
【表1】
【0048】下記の表2は、実施例および対比例におけ
る加工面の面粗さを中心線平均粗さRaによって示して
いる。
【0049】
【表2】
【0050】図5に示した残留応力分布図から明らかな
ように、切削加工とバニシング加工と超仕上げ加工とに
よりボールベアリング溝面24aの表面を加工した実施
例によれば、研削加工と超仕上げ加工とショットピーニ
ング加工と超仕上げ加工とを行う対比例に比べて、表面
の残留応力を圧縮側に大きくすることができた。また、
最大圧縮残留応力は、−1000MPa以下であった。
さらに、圧縮残留応力層を、表面から内部深さ0.2m
m程度まで深くすることができた。このようにボールベ
アリング溝面24aの表層に内部深さが深い圧縮残留応
力層を付加できることは、パワーローラ21の転動疲労
寿命の向上を図る上で極めて有効である。
【0051】また、表2に示したように、実施例におけ
る面粗さは、0.04μmRa以下であり、対比例と同
等の面粗さが得られた。
【0052】これらより、切削加工とバニシング加工と
超仕上げ加工とによりボールベアリング溝面24aの表
面を加工することにより、面粗さが0.04μmRa以
下であり、最大圧縮残留応力が−1000MPa以下で
あり、表面から内部深さ0.2mmまで圧縮残留応力層
が形成されてなるボールベアリング溝面24aを備える
トロイダル型変速機10用のパワーローラ21を製造で
きることがわかった。表面の面粗さは、研削加工とショ
ットピーニング加工と超仕上げ加工とによりボールベア
リング溝面24aを加工する場合と同等であった。さら
に、転動疲労寿命の向上を図ることができた。また、前
述したように、研削盤より安価な旋盤を使用することが
できるとともに切削加工とバニシング加工とを同一旋盤
で行うことができるので、加工費用をより一層低減する
ことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 トロイダル型変速機を一部断面で示す概略構
成図である。
【図2】 図2(A)(B)は、本発明に係るトロイダ
ル型変速機用の転動体の加工方法を具現化した加工装置
の一例を示す平面図および側面図である。
【図3】 同加工装置の要部を示す平面図である。
【図4】 図4(A)は、ボールベアリング溝面を切削
加工している本実施形態における状態を示す模式図、図
4(B)は、対比例における状態を示す模式図である。
【図5】 ボールベアリング溝面の表面からの深さと残
留応力との関係を示す残留応力分布図である。
【符号の説明】
10…トロイダル型変速機 11…ディスク(入力ディスクおよび出力ディスク) 21…転動体であるパワーローラ 23…ボールベアリング 24…ボールベアリングを配置するための溝 24a…ボールベアリング溝面 24b…ボールベアリング溝面の中心線 28…パワーローラの孔部 28a…孔部内径面 30…加工装置 51…切削工具 61…バニシング工具 71…内径加工用工具 a、c…ボールベアリング溝面のうちボールベアリング
が接触しない範囲 b…ボールベアリング溝面のうちボールベアリングが接
触する範囲 X…中心線直交方向 Z…中心線方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 陽二 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 上原 義貴 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3J051 AA03 BA03 BB02 BD02 BE09 CA05 CB07 EC03 3J101 AA03 AA32 AA42 AA53 AA62 BA55 DA12 DA20 FA31 FA44 GA11

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トロイダル型変速機用の転動体であるパ
    ワーローラにおいて、 切削加工とバニシング加工と超仕上げ加工とにより前記
    パワーローラのボールベアリング溝面の表面が加工さ
    れ、面粗さが0.04μmRa以下であり、最大圧縮残
    留応力が−1000MPa以下であり、表面から内部深
    さ0.2mmまで圧縮残留応力層が形成されてなるボー
    ルベアリング溝面を備えることを特徴とするトロイダル
    型変速機用の転動体。
  2. 【請求項2】 トロイダル型変速機用の転動体であるパ
    ワーローラのボールベアリング溝面を、切削加工とバニ
    シング加工と超仕上げ加工とにより加工する加工方法で
    あって、 前記ボールベアリング溝面の断面円弧形状の中心線方向
    および当該中心線方向に対して直交する中心線直交方向
    の2方向の移動量を制御する2軸制御により前記切削工
    具を移動しつつ、前記ボールベアリング溝面のうちボー
    ルベアリングが接触しない範囲を切削加工するステップ
    と、 前記ボールベアリング溝面の断面円弧形状の中心を回転
    中心として切削工具を回動しつつ、前記ボールベアリン
    グ溝面のうちボールベアリングが接触する範囲を切削加
    工するステップと、 前記ボールベアリング溝面のうちボールベアリングが接
    触する範囲をバニシング加工するステップと、を含むこ
    とを特徴とするトロイダル型変速機用の転動体の加工方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008151235A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Nsk Ltd 転動装置
JP2017127966A (ja) * 2015-12-21 2017-07-27 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ ターボ機械の表面処理

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