JP4300683B2 - ガス加熱調理器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガスを熱源とする加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的にグリル等の加熱室の過熱防止手段としては調理時間が予め設定されたガス遮断時間に到達するとガスバーナに供給されるガスを遮断するか、あるいは加熱室の温度を温度センサーにて検知し、予め設定されたガス遮断温度に到達するとガスを遮断する手段が単独あるいは組み合わされて用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし従来の手段ではガスバーナに供給されるガス量が一定で変化しない場合は、調理の開始時の温度、被加熱物の大きさ、数量により庫内温度の推移は大きく異なる。例えば、熱負荷が小さい被加熱物をガス量が多い状態で調理すると庫内温度は急激に上昇するた
め調理の途中でもガス遮断温度に到達し調理を中断してしまう。
【0004】
また、連続して調理を行うと庫内の初期温度が高い為やはり早くガス遮断温度に達し易く、同様に調理を中断するといった課題が発生する。
【0005】
反対に熱負荷が大きい被加熱物を少ないガス量で調理した場合は、調理に適した温度までの上昇が遅くなり調理の出来映えが悪くなる。
【0006】
また、被加熱物への着火には温度に加え加熱時間も関係しており、加熱時間が長くなるとより低い温度で着火する場合がある。
【0007】
このようにグリル等の加熱室には、実調理の途中で調理が中断しない等の使いやすい構成が求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は調理初期での温度センサの出力による温度勾配の変化で被加熱物の熱負荷を判定して調理ができ、かつ前記被加熱物が発火しないように、温度センサーの温度出力に基づいてガス調節部からのガス量を可変する構成とし、さらに調理開始時の加熱室温度が開始温度判定値より高い場合は調理開始時より前記ガス量を少なくすることとしている。
【0009】
そして、調理中の前記温度センサーの温度出力とガス遮断温度との差が一定以下になるとガス調節部にてガス量を絞る構成としている。
【0010】
また、調理中の前記温度センサーの温度出力の一定時間における温度変化量によりその後のガス量を可変する構成としている。
【0011】
以上の本発明によれば加熱室内の初期温度、あるいは調理物の大きさ、数量がばらついても安全性が確保出来、しかも調理途中でガスが遮断する様な使い勝手の悪さも防ぐことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1の発明は、調理初期での前記温度センサの出力による温度勾配の変化で前記被加熱物の熱負荷を判定して調理ができ、かつ前記被加熱物が発火しないようにするため、温度センサーの温度出力によりガス調節部からのガス量を可変する構成であるとともに、さらに調理開始時の加熱室温度が開始温度判定値より高い場合は調理開始時より前記ガス量を少なくするものであり、この構成を実施形態とすることにより加熱室の温度が低ければ強く加熱し温度が高ければ弱く加熱することが出来るため、加熱室温度のバラツキを抑えることが出来る。
【0013】
また、調理開始時の加熱室温度が開始温度判定値より高い場合は調理開始時より前記ガス量を少なくする構成であり、この構成を実施形態とすることにより調理開始時の加熱室の温度が高ければ調理開始時より弱く加熱することが出来るため、調理開始後加熱室温度が安定するまでの時間を一定にすることが出来る。
【0014】
本発明の請求項2の発明は、調理中の前記温度センサーの温度出力とガス遮断温度との差が一定以下になるとガス調節部にてガス量を絞る構成であり、この構成を実施形態とすることにより調理中の温度センサーの温度出力がガス遮断温度に近くなると加熱を抑えることができるため、加熱室温度がガス遮断温度まで到達し難くなる。
【0015】
本発明の請求項3の発明は、調理中の前記温度センサーの温度出力の一定時間における温度勾配により、その後のガス量を可変する構成であり、この構成を実施形態とすることにより調理中の温度センサーの温度出力の単位時間当たりの温度変化量より被加熱物の熱容量を推定し、加熱条件を変えることにより、被加熱物が小さく、数が少ない場合でも加熱室の温度はガス遮断温度に到達しにくくなる。
【0016】
【実施例】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本発明の加熱室の断面略図であり、器具前方に開口した加熱室1の上面にはガスバーナ2が設けられている。被加熱物3は汁受皿4上に塔載され加熱室1から出し入れされる。加熱室の後壁5には温度センサー6が設けられており、その温度センサー6より出される温度出力は制御部7に伝えられる。ガスバーナ2へのガスの供給は制御部7でガス量調節、遮断の有無が決定され、ガス量調節部8により調節される構成となっている。
【0018】
図2はガス加熱調理器が設けられた加熱室の時間毎の温度推移を示したものである。横軸は調理開始からの調理時間、縦軸は温度センサー6からの温度出力である。通常ガス加熱調理器では約230℃あたりにガス遮断温度Tclを設定し、温度がこのラインを超えるとガスを遮断する。あるいは調理開始から25分を超えた辺りにガス遮断時間Pclを設け、この時間を超えるとガスを遮断する構成を組み合わせて用いている。通常の被過熱物3(サンマ4匹等)を調理した場合の温度出力を出力カーブ9に示す。この程度の被加熱物の大きさでは調理は調理開始後約12分程度で完了するが、そのまま放置した場合、温度は上り続け、ガス遮断時間Pclに達しガスを遮断する。仮にガス遮断時間Pclを設けていないと温度出力が200℃付近になると被加熱物に着火する場合がある。また、熱容量の少ない被加熱物3(鯵の開き1匹等)の調理をした場合の温度出力を出力カーブ10に示す。熱容量が小さいため温度は急激に立ち上がりガス遮断温度Tclに8分程度で到達し、ガスが遮断されるが、そのまま放置すれば300℃付近で被加熱物3に着火する。
【0019】
図3はやや小さめの被加熱物をガス量が多い状態で調理した場合の温度推移であり、調理開始時の温度が常温(約20℃)の場合を出力カーブ11に、調理開始時の温度が高温(100℃以上)の場合を出力カーブ12に示している。
【0020】
常温開始の場合、温度出力がガス遮断温度Tclに到達するまでの時間は約12分程度で、小さめの被加熱物の場合には調理は完了できる。しかし、高温開始の場合には調理開始後約8分程度でガス遮断温度Tclに到達するため調理が途中で中断してしまう。
【0021】
そこで開始温度判定値Tjlを設け、開始温度がTjlより高い場合は調理開始時よりガスバーナ2に供給されるガス量を少なくすることにより温度上昇を抑える事ができる。その場合、温度推移を出力カーブ13に示す。
【0022】
この構成により加熱室の温度が高い状態で調理を開始しても必要な調理時間を確保することが出来る。
【0023】
このとき常温開始の場合にガス量が少ない状態で調理を開始すると加熱室が調理に適した温度に到達するのに時間がかかり過ぎるため調理が遅くなり、出来映えが悪くなる等の課題が発生する。
【0024】
図4はさらに小さめの被加熱物3をガス量が多い状態で調理を開始した場合の温度出力を示している。
【0025】
出力カーブ14に示すように被加熱物の熱容量が非常に小さいため温度出力がガス遮断温度Tclに到達するまでの時間は約8分程度と短くなり調理を途中で中断してしまう。
【0026】
そこでガス量変更温度Tj2を設け、温度出力がTj2を超えるとガスバーナ2に供給されるガス量を少なくすることにより温度上昇を抑える事ができる。その温度推移を出力カーブ15に示す。
【0027】
この構成により熱容量の非常に小さい被加熱物2の場合でも必要な調理時間を確保することができる。
【0028】
図5も同様にかなり小さめの被加熱物3をガス量が多い状態で調理開始した場合の温度出力を出力カーブ16に、通常の被加熱物の温度出力を出力カーブ17に示している。
【0029】
出力カーブ16も被加熱物の熱容量が非常に小さいため温度出力がガス遮断温度Tclに到達するまでの時間は約8分程度と短くなり、調理を途中で中断してしまう。
【0030】
そこで調理開始から一定時間△P間の温度上昇判定値△Tj3を設け、温度上昇値が△Tj3を超えた場合はガスバーナ2に供給されるガス量を少なくする。出力カーブ16の場合は△T2が△T1より大きいため途中よりガス量を少なくすることにより温度上昇を抑えることができる。
【0031】
この構成により熱容量の非常に小さい被加熱物2の場合でも必要な調理時間を確保することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1によれば、調理初期での温度センサの出力による温度勾配の変化で被加熱物の熱負荷を判定して調理ができ、かつ前記被加熱物が発火しないようにする、ガス量を可変することにより、加熱室温度のバラツキを抑えることが出来る。
【0033】
また、調理開始時の加熱室温度が開始温度判定値より高い場合は調理開始時よりガス量を少なくすることにより、高温開始時で熱容量が小さい被加熱物の場合でもガス遮断温度に到達し難くすることが出来る。
【0034】
また、本発明の請求項2によれば、加熱室の温度が一定以上になるとガス調節部にてガス量を絞ることにより同様に熱容量が小さい加熱物の場合でもガス遮断温度に到達し難くすることが出来る。
【0035】
また、本発明の請求項3によれば、加熱室の温度立ち上がり状態によりガス量を可変することにより同様に熱容量が小さい加熱物の場合でもガス遮断温度に到達し難くすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の加熱室の断面略図
【図2】 一般的な加熱室の温度推移グラフ
【図3】 本発明における加熱室の温度推移グラフ
【図4】 本発明における他の加熱室の温度推移グラフ
【図5】 本発明におけるさらに他の加熱室の温度推移グラフ
【符号の説明】
1 加熱室
2 ガスバーナ
3 被加熱物
4 汁受皿
6 温度センサー
7 制御部
8 ガス調節部
Tcl ガス遮断温度
Tjl ガス量変更温度

Claims (3)

  1. 被加熱物を収納する加熱室と前記被加熱物を加熱調理するガスバーナと、前記被加熱物を載せて、前記加熱室へ出し入れを行う汁受皿と、前記加熱室に設けた温度センサーと、前記ガスバーナへのガスを遮断するガス調節部と、前記温度センサーの出力を受けて、前記ガス調節部を制御する制御部を備え、前記温度センサーの出力がガス遮断温度に達した場合に、前記ガス調節部にてガスを遮断する構成にするとともに、調理初期での前記温度センサの出力による温度勾配の変化で前記被加熱物の熱負荷を判定して調理ができ、かつ前記被加熱物が発火しないように、前記温度センサーの温度出力に基づいてガス調節部からのガス量を可変するようにし、さらに調理開始時の加熱室温度が開始温度判定値より高い場合は調理開始時より前記ガス量を少なくする事を特徴としたガス加熱調理器。
  2. 温度センサーの温度出力とガス遮断温度との差が一定以下になるとガス調節部にてガス量を絞るようにした事を特徴とした請求項1のガス加熱調理器。
  3. 温度センサーの温度出力の一定時間での温度変化量に基づいてその後のガス量を可変するようにした事を特徴とした請求項1のガス加熱調理器。
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