JP4295090B2 - シートの背面成形方法 - Google Patents

Description

発明の詳細な説明

本発明は、装飾が施された表面を引っ掻き又は剥離から保護するための、シート、特に、印刷されたシートの背面成形の方法に関する。

成形された熱可塑性物品、例えば、手持ちサイズの電気機器の表面に銘板を取り付けることに関連して、固定フレーム内で射出成形装置の金型にシートを接触させること、ならびに熱可塑性樹脂をその上に射出することによって、それを成形物品に結合させることが知られている。当該２つの公知の方法、即ち、金型キャビティの壁のくぼみの中にシートを配置すること、または金型キャビティ内でシートを囲む金型フレームにシートを配置することは、シートのエッジが熱可塑性樹脂で取り囲まれていない成形物品をもたらす。本発明の目的は、金型キャビティ内に配置されるシートのエッジの保護を可能にする射出成形方法を開発し、それにより、機械的作用に起因する表面への考えられ得る攻撃、特にシートのエッジへの攻撃を防止することである。

当該目的は、本発明に従い、改良された射出成形装置の構成を用いて、シートが無形（またはまだ形になっていない）の成形物品の表面を半分構成する金型内に部分的に固定され、また、成形プロセスの間、熱可塑性樹脂のフロント（または最前部）が進行することによって、対向する金型の表面に徐々に移動させられ、シートの境界エッジが樹脂によって囲まれるという事実により達成される。

本発明は、射出成形機において、特にその背面に印刷が施されたシートを熱可塑性樹脂で背面成形（または絵付成形もしくは支持成形）する方法であって、射出成形金型の金型キャビティにおけるシートが当初、溶融物のフロントと接するエッジを金型キャビティの壁と接触するように当てられるのに対し、シートの他の部分が壁から離れた状態に保たれること、ならびに、壁から離れているシートの部分は金型キャビティ内を進行する流入溶融物のフロントによって壁に押し付けられて、シートの支持が同時に解除され、それによりシートの残りもまた金型キャビティの壁に当てられることを特徴とする方法に関する。

溶融物が金型キャビティに入る前に、シートがデプレッサー（または押し下げ器）によって金型キャビティの壁に押し当てられ、溶融物が入るとデプレッサーが引っ込められる方法が好ましい。

ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルから選択される樹脂が、シート材料として好ましく使用される。

特に好ましい方法において、ポリカーボネートがシート材料として使用される。

熱可塑性樹脂は、好ましくは、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、スチレンコポリマー、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリエチレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、または当該ポリマーの可能な（または考えられ得る）混合物から選択される。

ポリアミドまたはポリカーボネートが熱可塑性樹脂として特に好ましく使用される。

本発明の別の好ましい態様において、溶融物が入る前に、減圧下で焼結ブロックを特に用いて、溶融物のフロントからそれているシートはその下側部分にて保持されて、当該壁（またはシートの上側部分が当初接している壁）に対向する金型キャビティの壁に接しており、溶融物のフロントが金型キャビティを進行すると離される（または解除される）。

溶融物が入る前に、溶融物のフロントからそれているシートが、その下側端部にて、金型キャビティから引き抜かれ得る少なくとも１つの当り止め（またはストップ）によって、特に好ましくは２つの下部当り止め（またはストップ）と１つの側面（または横方向の）当り止め（またはストップ）を用いて、位置決めされる方法もまた、特に好ましい。

本発明の方法を用いれば、銘板および装飾されたシートが射出成形プロセスの間に成形物品上に成形され、後の接着剤による接着プロセスを無くすことができる。これは、追加の作業工程の必要を無くす。その背面に印刷されたシートを使用する場合、特に透明なシートの場合には、エッジが封入されることは、装飾が摩耗および機械的な剥離から保護されることを可能にする。

本発明は、図面を参照してより詳細に説明される。

図１は、射出成形金型２の開放された金型キャビティ１の断面を示す。金型キャビティ１においては、シート７（その背面に印刷が施されたＥＰＣシート）がそのエッジ、即ち図１のボトム・エッジにて、バネ付きのエジェクター１１により、射出成形金型の一方の壁９で保持され、シート７のもう一方の端部（そのエッジは熱可塑性樹脂３の導入口チャンネルに向けられている）は、別のバネ付きエジェクタ−８により持ち上げられて、金型キャビティ１が閉じられると、それは金型キャビティの対向する壁５に当たる。壁５の上に、シート７は最終的に位置することとなる。

図２は、熱可塑性樹脂３が入った後、それは、熱可塑性樹脂３の進行するフロントによってシート７を金型キャビティ１の壁５に当てる。この間、バネ付きエジェクター８は、金型キャビティ１から引っ込められ、熱可塑性樹脂（ポリアミド６）の溶融物のフロント３はそれからさらに金型キャビティ内を進んで、シート７をスムースに金型キャビティの壁５に当てる（または接触させる）。

図３において、シート７の下側端部が保持ピン１１から離れていることを見ることができる。金型キャビティはそれから完全に熱可塑性樹脂３で充填されて、シート７のエッジは熱可塑性樹脂３により封入される。製造サイクルは、金型キャビティ１を図５に従って開放し、完成した成形物品を取り出すことによって完了する。

図６および６ａは、シート７のエッジの封入がどのように見えるのかを、断面図で模式的に示す。シートのプレートは、エッジでは完全に熱可塑性樹脂３で囲まれており、プレート（シート７）を機械的に取り除く又はシート７の背面側の印刷を横方向に引き抜くことに関して、攻撃の可能性を生じさせない。

図１は、シートが入れられたときの、金型キャビティを有する開いた金型を示す。 図２は、熱可塑性樹脂が入るときの、金型キャビティの断面を示す。 図３は、シートの端部が保持ピンから離されている、さらに進んだ段階を示す。 図４は、金型キャビティから第２のグリッパー・ピンが引っ込んでいるときの断面を示す。 図５は、成形物品を取り出すための金型キャビティの開放を示す。 図６は、成形物品の断面を示す。 図６ａは、図６の拡大詳細図を示す。

Claims (8)

1. 背面に印刷が施されたシートを、一方の壁（９）および当該一方の壁（９）に対向する他方の壁（５）を備えた金型キャビティ（１）を有する射出成形機において、熱可塑性樹脂で絵付成形する方法であって、シート（７）を射出成形金型（２）の金型キャビティ（１）内に、溶融した熱可塑性樹脂が入る前に、溶融物（３）のフロントと先に接触するシートのエッジ（４）が金型キャビティ（１）の当該他方の壁（５）に最初に当たるように配置し、シートの他の部分を当該他方の壁（５）から離した状態に保ち、シート（７）の当該他方の壁（５）から離れた部分（６）を、金型キャビティ（１）を進行する流入溶融物のフロントによって、当該他方の壁（５）に押し付けてシート（７）の前面を当該他方の壁（５）と接触させ、シート（７）の支持を同時に解除して、シート（７）の当該他の部分も金型キャビティ（１）の当該他方の壁（５）に当てられるようにすることを特徴とする方法。
2. 溶融物（３）が金型キャビティ（１）に入る前に、溶融物（３）と先に接触するシートのエッジ（４）を金型キャビティ（１）の前記他方の壁（５）にデプレッサー（８）によって当て、溶融物が入るとデプレッサー（８）を前記一方の壁（９）へ引っ込めることを特徴とする、請求項１に記載の方法。
3. シート材料が、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルから選択される樹脂であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の方法。
4. 熱可塑性樹脂が、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、スチレンコポリマー、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリエチレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、または当該ポリマーの混合物から選択されることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載の方法。
5. ポリカーボネートをシート材料として使用することを特徴とする、請求項３に記載の方法。
6. ポリアミドまたはポリカーボネートを熱可塑性樹脂として使用することを特徴とする、請求項４または５に記載の方法。
7. 溶融物（３）が入る前に、シートを、溶融物がキャビティ（１）に入るための導入口から遠い側の部分（６）にて、減圧下で焼結ブロック（１０）を用いて保持して、前記他方の壁（５）と対向する金型キャビティ（１）の前記一方の壁（９）に当て、溶融物（３）のフロントが金型キャビティ（１）内を進行すると、離すことを特徴とする、請求項１〜６のいずれか１項に記載の方法。
8. 溶融物が入る前に、シートを、金型キャビティ（１）内に進退可能な少なくとも１つの当り止め（１１）を用いて、溶融物がキャビティ（１）に入るための導入口から遠い側のシート端部にて位置決めすることを特徴とする、請求項１〜７のいずれか１項に記載の方法。

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