JP4294303B2 - プリント基板およびメータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント基板およびこれを搭載したメータ装置に関し、特にプリント基板で発生するノイズの低減に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日の自動車は、カーオーディオのラジオ等の他にも電波受信機が搭載されるようになってきており、代表的なものとして、キーレスエントリーシステムに用いられるものがある。キーレスエントリーシステムは車両のドア開閉等の制御用のシステムで、車両側に搭載されたキーレスエントリー受信機と、運転者が所持するキー等に内蔵されたキーレスエントリー送信機とからなる。キーレスエントリー送信機は、運転者の操作によって、送信機個々に割り振られたIDコードや操作指令コードを変調信号とする送信信号を送信する。キーレスエントリー受信機は送信信号を受信すると、これを復調してIDコードが自身と対になる送信機からのものか否かを判定し、肯定判断すると、操作指令コードに対応した制御信号を車両各部の制御ECUに出力して、ドアの開閉やエンジン始動等を行う。かかるキーレスエントリーシステムとして、300MHz 帯の微弱な電波を使用するものが主流である。キーレスエントリー受信機は、高い受信利得が得られる場所に搭載するのが望ましいが、かかる場所としてメータ装置が注目されている。例えば、メータ装置に電波受信機を一体化したものがある。
【0003】
メータ装置は、表示部における表示内容を実際の車両の走行状態に追随制御するメータ回路をプリント基板に形成して、該プリント基板をメータハウジング内に格納したものであるが、今日、他の電子機器と同様に、CPUを内蔵し、高度な表示機能を実現している。ところが、CPUは、高周波域のクロック信号に基づいて作動する高周波信号源であり、クロック信号と同じ周波数域やその高調波の周波数域のノイズ源となる。このため、キーレスエントリーシステムの誤作動や前記電波受信機の正常な作動エリアが狭められるという問題がある。
【0004】
このようなプリント基板からのノイズの低減技術として、アース(グランド)パターンの部分を除いて基板上に配線パターンである導電層を覆うように絶縁層を形成し、さらにその上に金属銅粉等のシールド電極層を形成し、これの電磁波シールド機能により、不要輻射ノイズを低減するようにしたものがある(特許文献1等参照)。
【0005】
【特許文献1】
特公平6−34472号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1の技術は、シールド電極層が、アースパターンの部分を除いて導電層を覆うように形成されるので、実質的に基板の全面に絶縁層とシールド電極層とを形成することになり、必ずしも、実用的とはいえない。
【0007】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、十分なノイズ低減効果が得られるとともに実用的なプリント基板およびメータ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、片方の板面に部品が実装されるとともに該板面に該部品間を配線する配線パターンが形成されたプリント基板であって、前記板面に、所定電圧の電源を供給する電源回路が形成されるとともに、前記電源により作動する回路として、高周波信号源を有する高周波回路が形成されたプリント基板において、
前記板面に形成される前記配線パターンは、グランドパターンを、閉じたループ状のグランドパターンと、ループ状グランドパターンの内側を通りループ状のグランドパターンを橋渡しする橋渡しグランドパターンとの2種類を形成し、
前記板面には、前記高周波回路の形成領域を被って、前記高周波回路を構成する各実装部品を囲む穴パターンを有する導電性皮膜および電気絶縁性皮膜とを、該導電性皮膜が上層となるように形成し、該導電性皮膜を、前記配線パターンのうち前記高周波回路の形成領域を通るグランドパターンと、前記電気絶縁性皮膜の非形成部で導通せしめて、前記高周波回路の形成領域に平面的に広がるグランドパターンとして機能させる。
【0009】
導電性皮膜には実装部品を囲む穴パターンを有しているので、導電性皮膜は、高周波回路の形成領域に、線ではなく平面的な広がりをもった接地部を形成する。したがって、前記線状のものに比して十分な接地面積を得ることができ、ノイズ源となる高周波回路の領域が導電性皮膜により接地を強化される。これにより、高周波回路の領域外で導電性皮膜が非形成であっても、高周波回路の領域外の配線パターンにノイズが伝導しにくくなり、配線パターンからの不要輻射ノイズのレベルが抑制される。これにより、基板の全面に導電性皮膜を形成したのと同等に十分なノイズ低減効果を得ることができる。電気絶縁性皮膜および導電性皮膜の形成範囲の限定による構成の簡略化で、実用性を向上する。
閉じたループ状のグランドパターンとすることで、先端が開放したものに比して電界ノイズが抑制される。さらに橋渡しグランドパターンが設けられることで、接地抵抗が下がり、グランドパターンのアンテナ化を抑制する。これにより、基板の全面に導電性皮膜を形成したのと同等に十分なノイズ低減効果を得ることができる。また、平面的に広がりをもったパターンではなく、ラインのパターンのみでよいので、構成が簡略化され、実用性が向上する。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記高周波信号源への電源を供給する電源パターンは、前記高周波信号源の近傍部分が該高周波信号源と前記導電性皮膜との間で前記高周波信号源を囲む形状とするとともに、
前記高周波信号源の近傍部分は、電気絶縁性皮膜と導電性皮膜とを、該導電性皮膜が上層となるように形成してなる構成とする。
【0011】
高周波信号源に近い側に、電源パターンを構成する導電性皮膜が位置し、その外周に接地を構成する導電性皮膜が位置するので、高周波信号源の複数箇所に給電する場合でも、部品のレイアウトによらずに十分な容量の給電路を容易に確保することができる。一方、導電性皮膜は高周波回路の領域をカバーする十分な広さを有しているから、前記給電路のリターン路も十分な容量が確保される。
【0012】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記高周波回路は、前記高周波信号源としてのCPUと、該CPUとの間でデータが入出力するICとを含む回路である構成とする。
【0013】
CPUとの間でデータが入出力するICにはデータの伝送路を介してCPUからのノイズが伝わるから、これらのCPUやICを含む領域に導電性皮膜を形成することで、必要かつ十分なノイズ低減効果を得ることができる。
【0014】
請求項4記載の発明では、車両の乗員と対向し車両の走行情報を表示する表示部を有しており、かつ、前記表示部における表示内容を実際の車両の走行状態に追随制御するメータ回路が形成されたメータ回路基板がメータハウジング内に配設された車両のメータ装置であって、前記メータ回路基板が、請求項2記載のプリント基板により構成する。
【0015】
メータ装置の高周波波信号源に基因した不要輻射ノイズを好適に低減することができる。
【0016】
請求項5記載の発明では、請求項4の発明の構成において、前記高周波回路は、前記高周波信号源としてのCPUと、該CPUとの間でデータが入出力するICとしての、外部の通信ネットワークとの多重通信用のICまたはパラレル信号をシリアル信号に変換するパラレル−シリアル変換用のICとを含む回路である構成とする。
【0017】
CPUはクロック信号やその高調波がノイズの原因となりやすく、また、多重通信用のICやパラレル−シリアル変換用のICはCPUと信号線で接続されるので、CPUに基因した不要輻射ノイズを好適に低減することができる。
【0024】
請求項6記載の発明では、請求項4または5の発明の構成において、前記メータ回路基板とその板厚方向に近接して電波受信機が配設されており、前記メータ回路基板で電波受信機と重なる領域には、前記橋渡しグランドパターンを他の領域よりも密に形成する。
【0025】
ノイズ源が電波受信機に近接するほどノイズの影響を受けやすくなるが、かかる領域の接地が強化されるので、CPUに基因した不要輻射ノイズの電波受信機への影響を重点的に低減することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1、図2に本発明のメータ装置を示す。メータ装置の分解した状態を示す図2において、メータ装置1は、車室のインストゥルメントパネル内に嵌め込まれるアッパーハウジング21、ロアハウジング22を有し、乗員側のアッパーハウジング21には表示部31が設けられる。表示部31の前方には図示しない透明なクリアハウジングが配置され、表示部31をその前方でカバーしている。表示部31には、メータ3A,3B,3C,3D等の計器類が配され、車両の乗員に車両の走行情報等を表示する。乗員に正対する表示部31の表示板311の背後には、メータ回路基板32が配設される。
【0027】
メータ3A〜3Dの配置は、通常、図例のごとく、略中央にスピードメータ3Bが配され、これを挟んで左側にタコメータ3Aが、右側にやや小さなメータである燃料計3Cが並ぶ。また、スピードメータ3Bの下方には液晶表示方式のトリップメータ3Dが配される。また、表示板311の左右の端部には、シートベルトの装着状態等の車両各部の状態を示す複数の表示灯3Eが並ぶ。メータ3A〜3Cは、表示板311を貫通するステップモータ41A,41B,41Cの軸端に取り付けられた指示針33A,33B,33Cがステップモータ41A〜41Cの駆動で回転変位することで、所定の角度位置を表示する。また、前記クリアハウジングを貫通して乗員側に先端が突出する図示しない液晶表示切替ボタンが設けられ、トリップメータ3Dの表示値のリセットが可能である。
【0028】
表示部31側からみたメータ回路基板32の部品配置を示す図1において、メータ回路基板32はガラスエポキシ材等の種々の絶縁材を横長の略長方形に成形した一般的なプリント基板であり、その板面に、種々の配線パターン3200が銅泊のエッチングにより形成される。メータ回路基板32の板面には、種々の部品41A〜41E,42,43,44,45,46,47,48A,48B,49等が実装され、表示部31における表示内容を実際の車両の走行状態に追随制御するメータ回路32aが形成される。
【0029】
部品41A〜49として、前記ステップモータ41A〜41C、トリップメータ3Dを構成する液晶表示パネル41D、表示灯3Eを構成する複数のLED41E、ブザー42、前記液晶表示切替ボタンの押下で作動するリセットスイッチ49が実装される。また、これらのアクチュエータ類41A〜42の駆動信号やスイッチ類49の検出信号が入出力する高周波回路である制御回路321aを構成して、CPU43、通信用のIC44、CPU43から出力されるパラレル信号をシリアル信号に変換するパラレル−シリアル変換用のIC45が実装される。通信用のIC44は、CPU43や、車両の各制御系に備えられた制御ECUで構成される通信ネットワークにより、CPU43が前記制御ECUとデータの送受信を行うためのものである。通信ネットワークの方式は多重通信システムであり、通信用のIC44は、CPU43との間でデータの授受を行うとともに、所定の通信プロトコルにしたがって、制御ECU間を接続する通信線上でデータフレームの送受信を行う。
【0030】
制御回路321aはこれら高周波信号がやりとりされるCPU43、通信用のIC44およびパラレル−シリアル変換用のIC45の他、これらと接続される抵抗器やコンデンサを用いて構成される。例えば、バイパスコンデンサ46が実装される。
【0031】
メータ回路基板32にはまた、制御回路321aの各部に給電するための電源レギュレータ47が実装されている。電源レギュレータ47は入力するバッテリの12Vを所定電圧である5Vに変換するもので、入力端子が電源ライン51を介して給電用のコネクタ48Aと接続され、出力端子が各CPU43等の電源端子に到る電源ライン52と接続される。また、配線パターン3200としてグランドライン61,62,63,64が形成されている。グランドライン61,62は、横長のメータ回路基板32の上縁部と下縁部に沿ってそれぞれ略メータ回路基板32の横辺の長さと同じ長さに形成されている。また、グランドライン63は、給電用のコネクタ48Aから前記電源レギュレータ47の接地端子位置を通り前記グランドパターン61,62と直交する方向に形成される。グランドパターン63は両端で、前記グランドパターン61,62とつながっている。
【0032】
また、メータ回路基板32の上縁部には、車両情報系コネクタ48Bが取り付けられる。車両情報系コネクタ48Bは、前記通信ネットワークの通信線の接続用、およびシリアル信号の出力用である。
【0033】
制御回路321aの中心部品であるCPU43には、車速、燃料残量、エンジン回転数、および油温等の走行情報が入力し、これらの入力情報に基づいて、各ステップモータ41A〜41C、液晶表示パネル41D等に制御信号を出力するようになっている。
【0034】
CPU43は高周波信号としてのクロック信号を生成し、クロック信号やその高調波の周波数域のノイズ源となり得るものである。また、CPU43との間でデータの送受信を行う通信用IC44、およびパラレル−シリアル変換IC45は、従来、CPU43からのノイズ電流が、CPU43とをつなぎデータの伝送路となる配線パターンを伝って流れるおそれが高い。このため、例えば、図4に示すように、CPU〜通信用IC〜配線パターン〜電源レギュレータ〜配線パターン〜CPUという電流のループ、CPU〜パラレルシリアル変換用IC〜配線パターン〜電源レギュレータ〜配線パターン〜CPUという電流のループにより、磁界ノイズを発生するおそれがある。以下に、本メータ装置における不要輻射ノイズの低減対策について以下に述べる。ここで、抑制されるべきノイズの周波数域は、ノイズにより誤作動するシステム、例えば後述するキーレスエントリーシステムであれば300MHz 帯ということになる。そして、CPU43がこの周波数域のクロック信号やその高調波を生成していれば、ノイズ源となる。
【0035】
メータ回路基板32は、制御回路321a形成領域では、その断面を示す図3に示すように、メータ回路基板32の板面に電気絶縁皮膜71が形成してある。電気絶縁皮膜71は、制御回路321aのCPU43等の部品(以下、適宜、制御回路部品43等という)を配線パターン3200と導通するとともに板面に固定するためのランド位置が穴パターン71aとなっている。電気絶縁皮膜71は、例えば半田レジストを塗布してなり、例えばシルク印刷等により所定の範囲に形成し得る。
【0036】
電気絶縁皮膜71の上層には導電性皮膜72が形成される。導電性皮膜72は、制御回路部品43等位置がそれぞれ、制御回路部品43等のそれぞれを囲んで穴パターン72aとなっている。導電性皮膜72は、導電ペーストが用いられ、シルク印刷等により所定の形状に形成される。
【0037】
また、前記電気絶縁皮膜71には、制御回路321a領域内のグランドラインが通る複数箇所に、穴パターン71bが形成されており、ここで導電性皮膜72がグランドライン上でメータ回路基板32の板面に達するようになっている。すなわち、導電性皮膜72は、穴パターン71b位置が、グランドラインと導通する接続点721となる。例えば、電源レギュレータ47と制御回路321aとを接続する前記グランドライン64の先端部に電気絶縁皮膜71の穴パターン71aが位置し、ここを接続点721として導電性皮膜72がグランドライン64と導通する。
【0038】
導電性皮膜72には実装部品を囲む穴パターン72aを有しているので、導電性皮膜72は、制御回路321aの形成領域に、線ではなく平面的な広がりをもった、前記制御回路321aの範囲をカバーする大きさのグランドパターンとして機能する。すなわち、グランドパターンが線で配線されるものに比して十分な接地面積が得られ、接地が強化される。したがって、バイパスコンデンサ46による電源デカップリング対策の効果をさらに有効なものとすることができる。これにより、例えば、CPU43〜通信用IC44〜配線パターン61,63等〜電源レギュレータ47〜配線パターン52,64等〜CPU43というループ、CPU43〜パラレルシリアル変換用IC45〜配線パターン62,63等〜電源レギュレータ47〜配線パターン52,64等〜CPU43というループが回路上、形成されていても、これらのループを磁界アンテナとして、CPU43に基因した磁界ノイズが発生するのを抑制することができる。このように、高周波信号源であるCPU43や該CPU43との間でデータが入出力する通信用IC44やパラレル−シリアル変換用IC45を中心とする制御回路321aのみの領域に導電性皮膜72を形成するだけで、効率よくノイズ低減効果を発揮することができる。
【0039】
また、制御回路321aの領域以外の、ステップモータ41A〜41C、液晶表示パネル41D、LED41E、ブザー42、電源レギュレータ47等の、制御回路321a以外の領域も導電性皮膜72は非形成であるから、メータ回路基板32の略全面に導電性皮膜や電気絶縁皮膜を形成するものに比して、構成を簡略化できる。
【0040】
図5は、本メータ装置(本発明)と導電性皮膜のない従来のメータ装置とを比較するノイズスペクトラムの一例を示すもので、メータ回路基板の左上位置におけるものである。かかる位置を測定点としたのは後述する第4実施形態のように、当該位置にキーレスエントリー受信機が配設されることを考慮したものであるが、どの位置でも本発明による効果を得ることができる。図より、本発明によれば従来のものに比して12dBmもノイズが低いレベルに抑えられていることが分かる。
【0041】
(第2実施形態)
図6に本発明の第2の実施形態になるメータ回路基板の平面を示す。メータ装置は、基本的な構成は第1実施形態のものと同じであり、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
メータ回路基板32Aは、CPU43に電源レギュレータ47から電源を供給する電源ライン52Aは先端のCPU43側の部分が、板面を覆う電気絶縁皮膜71の上層に導電性皮膜73を形成してなるものである(以下、適宜、この、電源ライン52AのCPU43の近傍部分を構成する導電性皮膜73をペースト電源ライン73といい、前記導電性皮膜72をペーストグランド72という)。ペースト電源ライン73は、前記ペーストグランド72の穴パターン72aの内側に位置し、CPU43を囲むようにC字状にレイアウトされており、所定の位置でCPU43の対応する端子と接続されている。
【0043】
このようにペーストグランド72がペースト電源ライン73を囲み、ペースト電源ライン73がCPU43を囲むことで、CPU43の複数箇所に給電する場合でも、部品のレイアウトによらずに十分な容量の給電路を容易に確保することができる。一方、ペーストグランド72は制御回路321aの領域をカバーする十分な広さを有しているから、前記給電路のリターン路も十分な容量が確保される。
【0044】
(第3実施形態)
図7に本発明の第3の実施形態になるメータ回路基板の平面を示す。メータ装置は、基本的な構成は第1実施形態のものと同じであり、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0045】
メータ回路基板32Bのグランドライン65は、図1のグランドライン61,62のように先端が開放した形状とは異なり、メータ回路基板32の周縁部に沿う四角形の閉じたループ状としてある。このループ状のグランドライン65は、グランドライン63により、電源レギュレータ47の接地端子、給電系コネクタ48Aの接地端子と接続されている。
【0046】
本実施形態ではまた、グランドラインとして、ループ状グランドライン65の内側を通り、ループ状のグランドライン65の平行に伸びる直線部分同士を橋渡しする橋渡しグランドパターンであるグランドライン(以下、適宜、補強グランドラインという)66が形成される。補強グランドライン66は、縦横に複数形成され、その交差位置で互いに導通している。
【0047】
補強グランドライン66は、例えば前記ペーストグランドと同様に、電気絶縁皮膜と導電性皮膜とを積層することで形成する。この場合、補強グランドラインを、メータ回路基板における部品レイアウトた配線に左右されずに、所望の位置に所望の数、形成することができる。
【0048】
また、補強グランドライン66は斜めにメータ回路基板の板面を横切るように形成してもよい。
【0049】
グランドライン65を閉じたループ状とすることで、前掲図4のようにグランドライン先端が開放したものに比して電界ノイズが抑制される。さらに補強グランドラインが形成されることで、接地抵抗が下がり、グランドラインのアンテナ化を抑制する。これにより、十分なノイズ低減効果を得ることができる。また、帯状のパターンでよいので、メータ回路基板の全面に導電性皮膜を形成するものに比して構成が簡略化され、実用性が向上する。
【0050】
なお、前記各実施形態は、キーレスエントリー受信機等の電波受信機をメータハウジング内に格納したメータ装置にも適用することができる。図8、図9はかかるメータ装置の一例を示すもので、キーレスエントリー受信機8は、受信回路基板81にアンテナ82が接続されて、図示しないキーレスエントリー送信機からの電波を受信する。キーレスエントリー受信機8とキーレスエントリー送信機とで電波方式のキーレスエントリシステムを構成する。この電波には例えば300MHz帯の電波が使用される。
【0051】
キーレスエントリー受信機8は、メータ回路基板32を挟み表示部3とは反対側で、受信回路基板81がメータ回路基板32の左上の角でメータ回路基板32と重なるように配置され、メータ回路基板32に固定される。ロアハウジング22Aにはキーレスエントリー受信機8との対向位置に小型のハウジング24が取り付けられており、これにキーレスエントリー受信機8が収容されるようになっている。
【0052】
キーレスエントリー受信機8で復調された操作指令コードに対応した制御信号は、メータ回路基板32Cの受信機用コネクタ48Cおよび信号ライン54を介して通信用IC44に出力され、外部の通信ネットワークの制御ECUに送信される。受信機用コネクタ48Cは、電源ライン53およびグランドライン67により電源レギュータ47と接続され、キーレスエントリー受信機8への電源の供給が可能となっている。
【0053】
かかる、キーレスエントリー受信機8を搭載したメータ装置では、メータ回路基板32CのCPU43等に基因したノイズの低減効果により、キーレスエントリー受信機8の作動安定化や作動エリアの拡大を図ることができる。
【0054】
(第4実施形態)
図10に本発明の第4の実施形態になるメータ回路基板の平面を示す。メータ装置は、基本的な構成は第2実施形態のものと同じであり、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
メータ回路基板32Dには、第3実施形態のごとくループ状グランドライン65を橋渡しする補強グランドライン66,66Aが形成されているが、キーレスエントリー受信機8位置で、前記補強グランドライン66,66Aの本数が、新たに補強グランドライン66Aを追加した分、多く、他の領域よりも補強グランドライン66,66Aが密にしてある。
【0056】
ノイズ源がキーレスエントリー受信機に近接するほどノイズの影響を受けやすくなるが、かかる場所の接地が強化されるので、不要輻射ノイズのキーレスエントリー受信機への影響を重点的に低減することができる。
【0057】
なお、本発明は、メータ装置に限らず、高周波信号源を有する高周波回路が形成されたプリント基板に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態になる車両のメータ装置のメータ回路基板の部品配置を示す図である。
【図2】前記メータ装置の分解斜視図である。
【図3】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図4】従来の車両のメータ装置のメータ回路基板の部品配置および問題点を示す図である。
【図5】本発明と従来例とを比較するグラフである。
【図6】本発明の第2実施形態になる車両のメータ装置のメータ回路基板の要部の部品配置を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態になる車両のメータ装置のメータ回路基板の部品配置を示す図である。
【図8】メータ装置の断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態になる車両のメータ装置の変形例を示すメータ回路基板の部品配置を示す図である。
【図10】本発明の第4実施形態になる車両のメータ装置のメータ回路基板の部品配置を示す図である。
【符号の説明】
21 アッパハウジング(メータハウジング)
22 ロアハウジング(メータハウジング)
31 表示部
32,32A,32B,32C,32D メータ回路基板(プリント基板)
32a メータ回路
321a 制御回路(高周波回路)
43 CPU(高周波信号源)
44 通信用IC
45 パラレル−シリアル変換用IC
65 ループ状グランドライン(ループ状グランドパターン)
66,66A 補強グランドライン(橋渡しグランドパターン)
71 電気絶縁皮膜
72,73 導電性皮膜
72a 穴パターン
8 キーレスエントリー受信機(電波受信機)
81 受信回路基板
82 アンテナ
Claims (6)
- 片方の板面に部品が実装されるとともに該板面に該部品間を配線する配線パターンが形成されたプリント基板であって、前記板面に、所定電圧の電源を供給する電源回路が形成されるとともに、前記電源により作動する回路として、高周波信号源を有する高周波回路が形成されたプリント基板において、
前記板面に形成される前記配線パターンは、グランドパターンを、閉じたループ状のグランドパターンと、ループ状グランドパターンの内側を通りループ状のグランドパターンを橋渡しする橋渡しグランドパターンとの2種類を形成し、
前記板面には、前記高周波回路の形成領域を被って、前記高周波回路を構成する各実装部品を囲む穴パターンを有する導電性皮膜および電気絶縁性皮膜とを、該導電性皮膜が上層となるように形成し、該導電性皮膜を、前記配線パターンのうち前記高周波回路の形成領域を通るグランドパターンと、前記電気絶縁性皮膜の非形成部で導通せしめて、前記高周波回路の形成領域に平面的に広がるグランドパターンとして機能させたことを特徴とするプリント基板。 - 請求項1記載のプリント基板において、前記高周波信号源への電源を供給する電源パターンは、前記高周波信号源の近傍部分が該高周波信号源と前記導電性皮膜との間で前記高周波信号源を囲む形状とするとともに、
前記高周波信号源の近傍部分は、電気絶縁性皮膜と導電性皮膜とを、該導電性皮膜が上層となるように形成してなるプリント基板。 - 請求項1または2いずれか記載のプリント基板において、前記高周波回路は、前記高周波信号源としてのCPUと、該CPUとの間でデータが入出力するICとを含む回路であるプリント基板。
- 車両の乗員と対向し車両の走行情報を表示する表示部を有しており、かつ、前記表示部における表示内容を実際の車両の走行状態に追随制御するメータ回路が形成されたメータ回路基板がメータハウジング内に配設された車両のメータ装置であって、前記メータ回路基板が、請求項2記載のプリント基板により構成されたことを特徴とするメータ装置。
- 請求項4記載のメータ装置において、前記高周波回路は、前記高周波信号源としてのCPUと、該CPUとの間でデータが入出力するICとしての、外部の通信ネットワークとの多重通信用のICまたはパラレル信号をシリアル信号に変換するパラレル−シリアル変換用のICとを含む回路であるメータ装置。
- 請求項4または5いずれか記載のメータ装置において、前記メータ回路基板とその板厚方向に近接して電波受信機が配設されており、前記メータ回路基板で電波受信機と重なる領域には、前記橋渡しグランドパターンを他の領域よりも密に形成したメータ装置。
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