JP4592211B2 - 車両の電波受信機内蔵型メータ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車両の電波受信機内蔵型メータ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
キーレスエントリーシステムは車両のドア開閉等の制御用のシステムで、車両側に搭載されたキーレスエントリー受信機と、運転者が所持するキー等に内蔵されたキーレスエントリー送信機とからなる。運転者の操作によって、キーレスエントリー送信機から、送信機個々に割り振られたIDコードや操作指令コードを変調信号とする送信信号を送信し、キーレスエントリー受信機は送信信号を受信すると、これを復調してIDコードが自身と対になる送信機からのものか否かを判定し、肯定判断すると、操作指令コードに対応した制御信号を車両各部の制御ECUに出力して、ドアの開閉やエンジン始動等を行う。かかるキーレスエントリーシステムとして、300MHz 帯の微弱な電波を使用するものが主流である。
【0003】
キーレスエントリーシステムは、運転者が車両から一定の範囲内にあれば、車両の周囲のどの方向においても作動するのが望ましく、キーレスエントリー受信機のアンテナを、できるだけ高い利得の得られる電波環境の良好な場所に設置することになる。また、アンテナとキーレスエントリー受信機とを接続する給電線を長くレイアウトすることは、構成の複雑化と相まって、インピーダンスマッチング等の問題を招来するので、アンテナとキーレスエントリー受信機とを同じ場所に設置して実質的に一体化したものもある。
【0004】
特開平8−216735号公報には、運転者に車両のスピード等の走行情報を表示するメータ装置の内部に受信機およびアンテナを内蔵した電波受信機内蔵型メータ装置が開示されている。このものでは、アンテナが窓ガラスに近く、運転者がどの方向にいても金属製車体による電磁遮蔽の影響をあまり受けないという特徴がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、キーレスエントリー受信機は、他の電装機器と同様に、電源をワイヤハーネスを介して供給され、その接地側の線路であるグランドハーネスは、その線端が、接地抵抗の小さい車両のボデーにて接地されている。このため、前記特開平8−216735号公報の技術のようにキーレスエントリー受信機およびアンテナを内蔵したメータ装置とすると、キーレスエントリー受信機がボデーから離れてグランドハーネスが長くなり、ワイヤハーネスのレイアウトによって指向性が変化して送信機からの電波の受信が困難になる不感領域(ディップ点)が拡大したり、アンテナのリアクタンスの増大によりアンテナ利得が減少するおそれがある。このため、ボデーのデザイン等が異なる車種ごとに、アンテナの電界パターンが最適化するように十分に留意してワイヤハーネスのレイアウト等について設計をする必要があるが、車種によってはワイヤハーネスの影響を実用的なレベルにまで回避することが困難な場合も生じる。
【0006】
また、キーレスエントリー受信機は、前記のごとく、設置環境によって受信性能が著しく異なるものであり、キーレスエントリー受信機とは異種の装置であるメータ装置と一体化することで電波的に干渉を受け、所期の性能を発揮し得ないおそれがある。
【0007】
このように、キーレスエントリー受信機等の電波受信機を内蔵した電波受信機内蔵型メータ装置は、十分な受信性能を発揮することができないおそれがあり、必ずしも実用的とはいえなかった。
【0008】
本発明は前記実情に鑑みなされたもので、受信性能が十分で実用的な車両の電波受信機内蔵型メータ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、メータを有し運転者に車両の走行情報を表示する表示部の近くに、表示部を制御する制御部が実装されたメータ回路基板と、電波受信機と、アンテナとが配設された車両の電波受信機内蔵型メータ装置において、
前記電波受信機に、前記アンテナのエレメントとして、前記メータ回路基板に形成されて前記制御部が接地されるグランドパターンを接続し、前記グランドパターンの幹線から枝分かれする支線に、インピーダンス素子を挿入する。
【0010】
メータ回路基板は電波受信機に比して比較的形状が大きく、グランドパターンを長くとり得る。したがって、グランドパターンをアンテナのエレメントとして機能せしめることで、十分なエレメント長が確保され、アンテナ特性に対するワイヤハーネスの影響を軽減することができる。しかも、グランドパターンがアンテナの機能を果たすことで、その分、構成が簡略化され、低コスト化を実現することができる。
また、インピーダンス素子を設けることで当該箇所のインピーダンスが増大するから、電波受信機からみたとき、インピーダンス素子挿入箇所から先が高周波回路上、分離される。インピーダンス素子の挿入位置でグランドパターンをエレメントとするアンテナの先端を規定することができ、アンテナ特性の調整が容易である。また、グランドパターンを介して電波受信機に混入する伝導ノイズを低減することができる。
特に、グランドパターンの幹線から枝分かれする支線は通常、幹線に対して略直角方向等に向きを変えるから、かかる支線をアンテナの一部とする構成では、アンテナのリアクタンスが増大して、アンテナ利得を低下する方向に作用する。前記グランドパターン支線にインピーダンス素子を挿入することで、支線をアンテナの構成部分から外すことができ、アンテナ利得を向上することができる。
【0011】
請求項2記載の発明では、請求項1の発明の構成において、前記メータ回路基板に、前記グランドパターンの幹線を略水平方向に形成する。
【0012】
メータ装置は種類の異なるメータ等が水平方向に配列されるから、水平方向に長い形状をしており、メータ回路基板も水平方向に長い形状をしている。水平方向に形成されたグランドパターンの幹線によりアンテナを形成することで、メータ装置の形状の特徴を活かして効率よくエレメント長を確保することができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、前記アンテナを、ダイポール型のアンテナとし、該アンテナの信号側のエレメント若しくはグランド側のエレメントを前記グランドパターンにより構成する。
【0014】
アンテナをダイポール型のアンテナとすることができる。この場合において、グランドパターンは、アンテナの信号側のエレメントとグランド側のエレメントとのいずれともし得る。
【0015】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし3の発明の構成において、前記電波受信機と前記グランドパターンとの間には共振回路を介設せしめる。
【0016】
共振回路を設けることで受信帯域を限定し、耐ノイズ性を高めることができる。
【0017】
請求項5記載の発明では、請求項1ないし4の発明の構成において、前記グランドパターンの幹線と、ワイヤハーネスと接続されるコネクタとの接続部に、インピーダンス素子を挿入する。
【0018】
インピーダンス素子を設けることで当該箇所のインピーダンスが増大するから、電波受信機からみたとき、インピーダンス素子挿入箇所から先が高周波回路上、分離される。インピーダンス素子の挿入位置でグランドパターンをエレメントとするアンテナの先端を規定することができ、アンテナ特性の調整が容易である。また、グランドパターンを介して電波受信機に混入する伝導ノイズを低減することができる。
【0020】
アンテナのエレメントとして機能する前記グランドパターンから、ワイヤハーネスを高周波回路上、分離することができるから、ワイヤハーネスの影響をさらに低減することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面にしたがい、本発明の電波受信機内蔵型メータ装置について説明する。図1は電波受信機内蔵型メータ装置の分解した状態を示し、図2は電波受信機であるキーレスエントリー受信機を搭載した状態のメータ回路基板の正面視を示している。電波受信機内蔵型メータ装置は、車室のインストゥルパネル内に嵌め込まれるアッパーハウジング11、ロアハウジング12を有し、乗員と対向するアッパーハウジング11には、車両の走行情報等を表示する表示部2が設けられる。表示部2は、スピードメータ21A、タコメータ21B、水温計21C、燃料計21D等のメータ類が設けられる。アッパーハウジング11の背後には、メータ回路基板3およびキーレスエントリー受信機7が配設される。メータ21A〜21Dの配置は、通常、図例のごとく、略中央にタコメータ21Bが配され、これを挟んで左側にスピードメータ21Aが、右側にやや小さなメータである水温計21Cおよび燃料計21Dが並ぶ。したがって、アッパーハウジング11、ロアハウジング12およびメータ回路基板3は車両水平方向に細長の形状となっている。
【0042】
メータ回路基板3には、表示部2を制御する制御部4が実装される。制御部4は、メータ21A〜21Dと1対1に対応したメータ指示用交差コイル42A,42B,42C,42Dの他、トリップメータとしてのLCD44、これらの制御用のCPU43、これらへの電源としての電源レギュレータ41、ワイヤハーネスと接続されるコネクタ6が設けられている。メータ回路基板3の表面には配線パターン51,52,54等が形成される。
【0043】
配線パターン51はグランドパターンで、メータ回路基板3のやや上部位置に車両幅方向に幹線511が帯状に形成されており、その両端は略メータ回路基板3の左右両端部に達している。グランドパターン51は、この幹線511から複数箇所にて枝分かれした支線512,513,514,515が下方に向けて形成されており、グランドパターン幹線511から離れた位置に実装された部品のグランドをとるようになっている。例えば、グランドパターン支線512がメータ用交差コイル42Dのグランド側端子と接続される。また、別のグランドパターン支線514が電源レギュレータ41のグランド側端子と接続される。
【0044】
また、グランドパターン幹線511とグランドパターン支線512〜515との分岐部には、支線512〜515の根元位置にそれぞれインピーダンス素子であるインダクタ53B,53C,53D,53Eが挿入してある。
【0045】
コネクタ6は電源レギュレータ41と電源パターン52で接続されるとともに、グランドパターン幹線511と高周波信号に対するインピーダンス素子であるインダクタ53Aを介して接続される。
【0046】
また、配線パターン54はCPU43とLCD44とを接続し、CPU43からLCD44に画像表示用の制御信号を伝送する。
【0047】
キーレスエントリー受信機7は、図示しないキーレスエントリー送信機とともに電波方式のキーレスエントリシステムを構成し、基板71上に受信回路73が形成されてなる。受信回路73は、アンテナ入力回路、同調回路、復調回路等で構成され、運転者の操作によって、キーレスエントリー送信機から、送信機個々に割り振られたIDコードや操作指令コードを変調信号とする送信電波を受信すると、これを復調してIDコードが自身と対になるキーレスエントリー送信機からのものか否かを判定する。肯定判断すると、操作指令コードに対応した制御信号を車両各部の制御ECUに出力して、ドアの開閉やエンジン始動等を行う。
【0048】
キーレスエントリー受信機7の基板71は、メータ回路基板3のロアハウジング12側に搭載されており、受信回路73を構成する部品はロアハウジング12側から実装されている。また、メータ回路基板3と対向する基板71の裏面の略全面には、受信回路73を構成する部品のグランド側配線をするためのグランドパターン72が形成されている。受信回路73の電源は、基板71の周縁部に設けられた図示しないコネクタを介して前記グランドハーネスから供給される。
【0049】
キーレスエントリー受信機7の基板71上には、受信回路73のアンテナ入力回路と接続されるアンテナ入力端子74が設けてある。
【0050】
アンテナ入力端子74等に接続されるアンテナ8は次のように構成され、後述するようにダイポール型のアンテナとして機能する。信号側のエレメント81は途中にインダクタを挿入した小型のもので、キーレスエントリー受信機7とロアハウジング12との間に配設され、前記アンテナ入力端子74を介して受信回路73に入力する。グランド側のエレントは本発明の特徴部分であり、前記グランドパターン幹線511により構成してある。すなわち、グランドパターン72は、メータ回路基板3に設けられた接続用端子55と導通せしめてあり、接続用端子55を介してグランドパターン幹線511と接続される。
【0051】
接続用端子55とグランドパターン幹線511との間には、並列接続されて共振回路83を構成するコンデンサ831およびインダクタ832が介設してある。共振回路83の共振周波数は受信周波数帯に合わせてある。
【0052】
グランドパターン幹線511はインダクタ53Aによりワイヤハーネスから高周波回路上、良好に分離されており、グランドパターン51と共振回路83とが、後述するようにグランド側エレメントを構成する。
【0053】
前記のごとくメータ装置内に内蔵されるキーレスエントリー受信機7とボデーとは離れており、グランドハーネスを介してボデー接地されるキーレスエントリー受信機7のグランドパターン72は高周波回路上、実質的にボデーから浮いており、アンテナ8はダイポール型のアンテナとして機能することになる。
【0054】
すなわち、アンテナ利得や指向性等のアンテナ特性を規定するのは、信号側エレメント81およびグランドパターン51であり、ワイヤハーネスの影響を抑制することができる。グランドパターン51は、キーレスエントリー受信機7よりも相当程度大きなメータ回路基板3で実装部品のそれぞれを接地するために線路長が長く、十分な長さのエレメント長を確保することができる。本実施形態ではグランドパターン幹線511を水平方向に細長いメータ回路基板3の左右両端部に達する長さにしている。したがって、車室内で反射した電波を効率よく受けることができ、アンテナ利得が向上する。
【0055】
したがって、ワイヤハーネスのレイアウト等によらずに、アンテナ利得が十分で、ディップ点のない良好なアンテナ電界パターンを実現することができる。
【0056】
しかも、受信周波数帯に合わせた共振回路83が設けられているから、キーレスエントリー受信機7のS/Nを向上することができる。
【0057】
また、アンテナのグランド側エレメントを別途設けることなく、ダイポール型のアンテナを実現することができるので、構成を簡略化することができる。
【0058】
また、グランドパターン支線512〜515の根元にはそれぞれインダクタ53B〜53Eが設けられて、高周波回路上、グランドパターン幹線511をグランドパターン支線512〜515から分離している。これにより、アンテナエレメントとして機能するのは、水平方向に略真っ直ぐに伸びたグランドパターン幹線511ということになる。これにより、アンテナ8のリアクタンスを低減し、アンテナ利得をさらに、向上することができる。また、コネクタ6との接続部に設けたインダクタ53Aを含め、インダクタ53A〜53Eを設けることで、グランドパターン51を伝導する伝導ノイズが受信回路73に混入するのを低減することができ、S/Nが向上する。
【0059】
なお、共振回路83はLC回路により構成しているが、コンデンサ若しくはインダクタのいずれかのみで構成するのもよい。
【0060】
また、信号側のエレメント81を省略してグランドパターン幹線511および共振回路83のみでアンテナとしてもよい。
【0061】
また、インダクタ53A〜53Eに代えて、グランドパターン51に近接してフェライトを配置して、フェライトと近接するグランドパターン51の部位をインピーダンス素子として機能せしめてもよいし、グランドパターン51に抵抗器を挿入してインピーダンス素子としてもよい。
【0062】
また、要求されるアンテナ特性によっては共振回路83やインダクタ53B〜53Eは省略することもできる。
【0063】
(第2実施形態)
図3に本発明の第2実施形態になる電波受信機内蔵型メータ装置を示す。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0064】
メータ回路基板3の接続端子55はキーレスエントリー受信機7のアンテナ入力端子74形成位置に形成されて、アンテナ入力端子74と接続されており、グランドパターン幹線511は、共振回路83とともにアンテナ8Aを構成する。
【0065】
この場合も、グランドパターン幹線をアンテナエレメントとして利用することができる。
【0066】
(第3実施形態)
図4に本発明の第3実施形態になる電波受信機内蔵型メータ装置を示す。図中、第1実施形態と実質的に同じ作動をする部分には同じ番号を付して第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
図中、Yはメータ回路基板3の水平方向の中心を示す仮想線であり、Xはメータ回路基板3の車両高さ方向(図中、縦方向)の中心を示す仮想線である。CPU43は、かかる仮想線X,Yによって画成される4つの領域F1,F2,F3,F4のうちの右下領域F2の仮想線Xの近傍に実装され、水平方向に細長のLCD44は仮想線Yを横切り右下領域F2および左下領域F3にわたって実装される。そして、CPU43からLCD44への制御信号を伝送する複数の配線パターン(以下、LCDラインという)54が束状に形成されている。LCDライン54は、LCD44に近接して水平方向に伸びる水平部541を有し、水平部541に連なる両端部542,543は屈曲して、一端部542がCPU43と接続され、他端部543がLCD44と接続されている。LCDライン54の水平部541は仮想線Yに対してやや右側に偏しており、主たる形成領域は右下領域F2である。
【0068】
一方、キーレスエントリー受信機7は、左上領域F4の中の、メータ回路基板3の左上の隅部301に寄せて実装されている。アンテナ8Bは図5に示すように基板71から逆L型に突出する構成となっており、アンテナ入力端子74の近傍部分である垂直直線部811から基板71の主面に対して平行な方向に屈曲する水平部812は下方に向けてある。
【0069】
LCD44は、周知のごとく各画素がコンデンサ構造のセルを有し、セルへの充電と放電とを切り換えて所望の表示が可能であり、LCDライン54はそれぞれ、その線端が容量性素子としてのLCD44を介して図示しないグランドパターンに接地されることになる。
【0070】
CPU43は高周波信号源として作用し、これに基因した高周波ノイズがキーレスエントリー受信機7のS/Nに与える影響の程度が問題となる。発明者らがメータ回路基板3上の輻射ノイズの強度を調査したところ、CPU43からLCD44にかけて高いレベルのノイズが検出された。CPU43は車両各部間で通信を行う多重通信システムのノードとなっているから、駐車時等にもスリープモード等で作動しており、前記ノイズは輻射され続けることになる。従来の、単にメータ装置にキーレスエントリー受信機を内蔵しただけの構成では、このノイズにより受信性能が低下することが明らかとなった。
【0071】
漏洩する高周波ノイズは前記LCDライン54にも流れるが、LCDライン54のインダクタンス成分と容量性素子としてのLCD44とで直列共振回路を形成しており、LCDライン54をアンテナとして、高周波ノイズが強く輻射されることになる。この、アンテナとしてのLCDライン54はモノポール型の電界アンテナのごとく作用し、電界放射イメージは図6に示すようなパターンRとなるものと認められる。
【0072】
本実施形態では、キーレスエントリー受信機7が、高周波ノイズを発生するCPU43やアンテナとなるLCDライン54が配置される右下領域F2に対して水平方向および高さ方向に対称な左上領域F4のうち、メータ回路基板3の隅部301に配置されるから、キーレスエントリー受信機7は、メータ回路基板3上でCPU43やLCDライン54から最も離れた位置にある。これにより、高周波ノイズによるキーレスエントリー受信機7のS/Nの低下を防止することができる。したがって、ワイヤハーネスのアンテナ8Bの特性への影響を相対的に低減することができる。
【0073】
前記のごとく、キーレスエントリー受信機7のアンテナ8Bがキーレスエントリー受信機基板71の主面から逆L字状に突設されているから、その給電点としてのアンテナ入力端子741に近い部分、すなわち、基板71の主面に対して垂直な直線部811が、メータ回路基板3の面に対して垂直である。したがって、LCDライン54に対しても垂直方向を向いている。前記アンテナ8Bの垂直直線部811は給電点としてのアンテナ入力端子74に近接していることから電流密度が最も高いが、アンテナ垂直直線部811に対して垂直方向を向くLCDライン54との結合は疎であり、LCDライン54から輻射される前記高周波ノイズの影響を低減することができる。
【0074】
また、前記のごとく、アンテナ8Bの垂直直線部811はメータ回路基板3の主面に対して垂直であり、LCDライン54のごとき高周波ノイズを輻射するアンテナとして機能する配線パターンがLCDライン54の他に存在していても、これらに対しても良好な耐ノイス性を発揮する。
【0075】
また、アンテナ8Bは、キーレスエントリー受信機基板71の主面に平行な平行直線部812が、下方に向けて形成されており、水平方向に形成されたLCDライン54に対して直角方向を向く。したがって、強くノイズが輻射されるLCDライン54からのノイズに対して良好な耐性を発揮する。
【0076】
なお、本実施形態ではキーレスエントリー受信機7を最もCPU43、LCDライン54から離れた位置に配置しているが、必ずしも、これに限定されるものではなく、CPU43、LCDライン54と仮想線X,Yを挟む右上領域F1または左下領域F3または左上領域F4の中で、CPU43、LCDライン54との間隔が、右側領域F1,F2または下側領域F2,F3に属するメータ回路基板3の周縁とキーレスエントリー受信機7との距離以上に離す。この距離は、CPU43、LCDライン54が配置されるのと同じメータ回路基板3の右側の領域F1,F2または下側領域F2,F3のうちで、最もCPU43、LCDライン54から離れた位置であり、これよりもさらに間隔をおくことで、キーレスエントリー受信機7のS/Nが向上する。
【0077】
また、アンテナ8Bを給電部近傍でメータ回路基板3の主面に対して垂直方向に向けており、ノイズ源のアンテナとして働く配線パターンがいずれの方向に形成されていても十分な耐ノイズ性を発揮するようにしているが、高周波ノイズが強く輻射されるLCDライン54に対してのみ垂直方向を向くようにしてもよい。
【0078】
また、前記各実施形態は、キーレスエントリー受信機7がメータ回路基板3とは別体の基板により構成されているが、キーレスエントリー受信機の受信回路を構成する部品がメータ回路基板に実装された構成のものにも本発明は適用することができる。
【0079】
また、本発明は、キーレスエントリー受信機だではなく他の電波受信機を内蔵したメータ装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電波受信機内蔵型メータ装置の分解斜視図である。
【図2】前記電波受信機内蔵型メータ装置を構成するメータ回路基板の正面図である。
【図3】本発明の別の電波受信機内蔵型メータ装置を構成するメータ回路基板の正面図である。
【図4】本発明のさらに別の電波受信機内蔵型メータ装置を構成するメータ回路基板の正面図である。
【図5】前記図4におけるA矢視図である。
【図6】上記メータ回路基板上のノイズの輻射状態を説明する図である。
【符号の説明】
11 アッパーハウジング
12 ロアハウジング
2 表示部
21A,21B,21C,21D メータ
3 メータ回路基板
301 隅部
4 制御部
41 電源レギュレータ(電源)
43 CPU(高周波信号源)
44 LCD(容量性素子)
5 配線パターン
51 グランドパターン
511 グランドパターン幹線
512,513,514,515 グランドパターン支線
52 電源パターン
53A,53B,53C,53D,53E インダクタ(インピータンス素子)
54 LCDライン(配線パターン)
6 コネクタ
7 キーレスエントリー受信機(電波受信機)
71 基板
72 グランドパターン
73 受信回路
74 アンテナ入力端子(給電点)
8,8A,8B アンテナ
F1,F2,F3,F4 領域
Claims (5)
- メータを有し運転者に車両の走行情報を表示する表示部の近くに、表示部を制御する制御部が実装されたメータ回路基板と、電波受信機と、アンテナとが配設された車両の電波受信機内蔵型メータ装置において、
前記電波受信機に、前記アンテナのエレメントとして、前記メータ回路基板に形成されて前記制御部が接地されるグランドパターンを接続し、前記グランドパターンの幹線から枝分かれする支線に、インピーダンス素子を挿入したことを特徴とする車両の電波受信機内蔵型メータ装置。 - 請求項1記載の車両の電波受信機内蔵型メータ装置において、前記メータ回路基板に、前記グランドパターンの幹線を略水平方向に形成した車両の電波受信機内蔵型メータ装置。
- 請求項1または2いずれか記載の車両の電波受信機内蔵型メータ装置において、前記アンテナを、ダイポール型のアンテナとし、該アンテナの信号側のエレメント若しくはグランド側のエレメントを前記グランドパターンにより構成した車両の電波受信機内蔵型メータ装置。
- 請求項1ないし3いずれか記載の車両の電波受信機内蔵型メータ装置において、前記電波受信機と前記グランドパターンとの間には共振回路を介設せしめた車両の電波受信機内蔵型メータ装置。
- 請求項1ないし4いずれか記載の車両の電波受信機内蔵型メータ装置において、前記グランドパターンの幹線と、ワイヤハーネスと接続されるコネクタとの接続部に、インピーダンス素子を挿入した車両の電波受信機内蔵型メータ装置。
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