JP4290277B2 - 門型リフターの転倒防止装置 - Google Patents

門型リフターの転倒防止装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、門型リフターの転倒防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の門型リフターとして、従来から図8に示すようなものがある。この図8に示す門型リフターは、下部筒2に対して上部筒3を上下方向に伸縮させ得るようにした一対のリフト装置1,1を所定間隔をもって配置するとともに、各上部筒3,3の上端部間にビーム5を架設して構成されている。尚、図8において、便宜上、各リフト装置1,1の間隔方向(A−B方向)を左右方向といい、それに水平方向に直交する方向(C−D方向)を前後方向という。
【0003】
図8の門型リフターにおいて、各上部筒3,3は、下部筒2,2に内蔵された伸縮装置(油圧シリンダ)によって同期伸縮せしめられる。
【0004】
そして、この門型リフターは、各上部筒3,3を縮小させた状態で、ビーム5の下方に荷物Wをセットした後、各側の伸縮装置を伸長作動させることにより、荷物Wを吊上げ得るようになっている。
【0005】
ところで、この種の門型リフターでは、荷物Wを吊上げたときに、その吊上げ荷物Wが揺れることがあり、その場合には各リフト装置1,1に対して転倒作用が発生する。尚、荷物Wが大重量であるほど、又は荷物Wの吊上げ高さが高くなるほど、荷物Wが揺れたときの転倒力が大きくなる。
【0006】
この種の門型リフターでは、各リフト装置1,1の上部がビーム5で連結されているので、左右方向(A−B方向)の転倒強度はかなりの強さがあるものの、前後方向(C−D方向)の転倒強度は比較的弱いものとなっている。そして、従来の門型リフターでは、前後方向(C−D方向)の転倒防止のために、各下部筒2,2の上端部21からそれぞれ前後に控え用のワイヤー7,7を張設する場合がある。尚、控え用ワイヤー7による門型リフターの転倒防止力は、リフト装置1に対するワイヤー7の連結高さを高くするほど大きくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図8(従来)の門型リフターにおいて、前後方向(C−D方向)に控え用ワイヤー7,7を張設する場合、該控え用ワイヤー7を上部筒3やビーム5等の可動部分に連結することはできず、該ワイヤー7の連結高さは最高位置でも下部筒上端部21までである。このように、控え用ワイヤー7の連結高さが低いと、該控え用ワイヤー7による門型リフターの転倒防止力が小さくなり、特に大重量の荷物Wを最高所まで吊上げた状態で該荷物Wが大きく揺れたときには、各控え用ワイヤー7,7による転倒防止力に不安が生じる。従って、従来の門型リフターでは、吊上げ荷物Wの重量を減らしたり、あるいは吊上げ高さを低くしたりする等の制限が必要となって、作業能率が悪くなるという問題があった。
【0008】
又、従来の門型リフターでは、各上部筒3,3に対する転倒保持力は各下部筒2,2との摺接による保持力だけであるので、例えば下部筒2の強度を増強しても、吊上げ荷物Wが揺れることによって発生する上部筒3のこねる作用を軽減することができない。従って、従来の門型リフターを使用して作業を行う場合、吊上げ荷物Wを如何に揺らさないようにするかが重要な問題となり、そのためには慎重な作業が要求されていた(作業能率が悪くなる)。
【0009】
本願発明は、上記した従来の問題点に鑑み、門型リフターにおいて、控え用ワイヤーによる転倒防止力を大きくできるようにした転倒防止装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明は、門型リフターを対象にしている。この門型リフターは、下部筒に対して上部筒を上下方向に伸縮させ得るようにした一対のリフト装置を所定間隔を配置するとともに、該各リフト装置の上部筒の上端部間にビームを架設して構成されている。尚、門型リフターとしては、各リフト装置を定位置に固定した定置式のものでも、あるいは各リフト装置をレールに沿って移動させ得るようにした移動式のものでもよい。
【0011】
そして、本願請求項1の転倒防止装置では、リフト装置の側方に上下に長い支柱を沿わせている。この支柱は、一方のリフト装置側だけでもよいが両方のリフト装置に設けることが好ましい。又、この支柱は、1本でもよいが2本1組として使用することができる。尚、その場合は、2本1組の各支柱の上端部において連結材で連結しておくとよい。そして、この支柱は、その下端側を下部筒側に保持させた状態で支柱上端高さが最伸長状態の上部筒の上端部より高位置となるように設置している。尚、この請求項1の場合は、支柱を下部筒に対して固定状態で取付けたものでもよい。
【0012】
他方、上部筒の上端部寄り位置には、支柱に対してスライド自在に嵌合させたスライダーが設けられている。従って、上部筒は、その上端部寄り位置が支柱にガイドされた状態で上下動するようになっている。
【0013】
又、支柱には、下部筒の上端高さより高位置において、控え用ワイヤーを連結するためのワイヤー連結部を設けている。尚、このワイヤー連結部の設置高さは、下部筒の上端高さより高位置であればよいが、支柱の上端部に近づけるほどよい。
【0014】
この門型リフターは、定置式の場合は揚重作業位置において各下部筒を固定した状態で設置され、又移動式の場合は各リフト装置をそれぞれレール上に載せて設置する。そして、本願請求項1の転倒防止装置は、支柱に設けたワイヤー連結部に2本の控え用ワイヤーの各端部を連結し、該各控え用ワイヤーをそれぞれ所定角度をもって前後各側(ビーム長さ方向とは水平直交方向の各側)に緊張状態で張設すればセットが完了する。尚、支柱を各側のリフト装置に設置した場合には、各側の支柱のワイヤー連結部にそれぞれ2本の控え用ワイヤーを連結し、緊張状態で張設する。
【0015】
この請求項1の転倒防止装置では、支柱の下端側が下部筒側に保持され、且つ支柱の上部側(下部筒上端高さより高位置)が2本の控え用ワイヤーで支持されているので、該支柱は上下2位置で強固に保持されている。又、上部筒の上端部寄り位置に設けたスライダーが支柱に対してスライド自在に嵌合されているので、該上部筒の上端部寄り位置が支柱にガイドされた状態で上下動するようになっている。
【0016】
このように、請求項1の転倒防止装置では、リフト装置の伸縮側となる上部筒を、支柱を介して控え用ワイヤーで支持できる。又、控え用ワイヤーの連結位置が下部筒上端高さより高位置であるので、該控え用ワイヤーによるリフト装置の転倒防止力が大きくなる。従って、この門型リフターで揚重作業を行うときに、リフト装置全体及び上部筒の転倒作用に対して強度が大きくなる。
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の転倒防止装置において、支柱を下部筒に対して上下動可能にガイドし、且つ該支柱を上部筒の伸長動作に連動して上動させ得るようにするとともに、支柱が所定高さまで上動した位置で、該支柱を下動不能に支持するための支持手段を設けたことを特徴としている。
【0017】
支柱は、下部筒に対して上下動可能にガイドしているが、この場合、下部筒側に支柱を上下スライド自在に保持する保持筒を設けて、該保持筒で支柱を上下動可能にガイドするとよい。
【0018】
又、支柱は、上部筒の伸長動作に連動して上動させ得るようにしているが、この場合、支柱側に係合突起を設けて、上部筒側のスライダーが上動する際に該係合突起を押し上げるようにするとよい。尚、上部筒のスライダーは、支柱の係合突起部分より下方側において自由にスライドし得るようになっている。
【0019】
支柱を下動不能に支持するための支持手段としては、例えば支柱にピンを差込む形式のものを使用でき、その支柱に差込んだピンを下部筒側で支持し得るようにしたものが採用できる。又、この支持手段は、支柱の支持高さを可変にし得る構造にするとよい。例えば、支持手段としてピンを使用するものでは、支柱の上下複数箇所に間隔をもってそれぞれピン穴を形成しておき、そのうちの任意のピン穴にピンを差込み得るようにすることができる。尚、この支持手段は、支柱を下部筒に対して下動不能にし得るものであればよく、該支持手段で支柱を支持した状態において、該支柱が下部筒に対して上方にスライドし得る構造であっても差し支えない。
【0020】
この請求項2の転倒防止装置は、次のようにしてセットされる。まず、各リフト装置を縮小させた状態で支柱の上部寄り位置に設けたワイヤー連結部に一対の控え用ワイヤーの各一端を連結し、その後に伸縮装置で上部筒を伸長させることによって支柱を所定高さまで上動させ、その状態で支柱を支持手段(例えばピン)で下動不能に支持する。尚、支持手段で支柱を支持した状態では、上部筒を縮小させても支柱は上動位置のままで維持される。そして、各控え用ワイヤーをそれぞれ所定角度を持たせた状態で緊張させると、この転倒防止装置のセットが完了する。
【0021】
この請求項2の転倒防止装置では、支柱の支持手段を外し、各リフト装置を最縮小(上部筒を最下動)させた状態では、該支柱が自重で降下しており、支柱に設けたワイヤー連結部も比較的低位置となる。従って、控え用ワイヤーの端部をワイヤー連結部に連結する際に、比較的低位置で作業が行える。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1〜図7を参照して本願実施形態の門型リフターの転倒防止装置を説明すると、この実施形態では、門型リフターとして定置式のものを採用している。この実施形態の門型リフターは、下部筒2に対して上部筒3を上下方向に伸縮させ得るようにした一対のリフト装置1,1を所定間隔をもってそれぞれ定位置に固定するとともに、各リフト装置1,1の上部筒3,3の上端部31,31間にビーム5を架設して構成されている。尚、本願の他の実施形態では、門型リフターとして、各リフト装置1,1をレール上に載せて移動させ得るようにしたものも採用できる。又、この実施形態において、便宜上、各リフト装置1,1の間隔方向(A−B方向)を左右方向といい、それに水平方向に直交する方向(C−D方向)を前後方向という。
【0023】
この実施形態では、下部筒2として、4〜5m程度のかなり長いものが使用されている。各下部筒2,2内には、それぞれ油圧シリンダからなる伸縮装置4(図6、図7参照)が収納されていて、該伸縮装置4を伸縮作動させることによって上部筒3を上下に伸縮させ得るようになっている。又、各下部筒2,2の側面には、該下部筒上端部21付近まで梯子9が取付けられている。尚、各下部筒2,2の下端部には、それぞれ各側の伸縮装置4の作動を制御する油圧制御機器10が設けられている。
【0024】
ビーム5には、荷物Wを吊持するためのフック装置11が設けられている。このフック装置11は、油圧モータ12でビーム5に沿って左右方向(A−B方向)に移動せしめられる。
【0025】
この実施形態の門型リフターには、各リフト装置1,1部分にそれぞれ転倒防止装置6,6が設けられている。尚、各側の転倒防止装置6,6は、同構造であるので、その一方の転倒防止装置6について説明する。
【0026】
この転倒防止装置6は、リフト装置1の側方に該リフト装置1を挟むようにして2本1組の支柱61,61を沿わせている。この各支柱61,61は、この実施形態では5〜6m程度とかなりの長さを有している。尚、この支柱61は、150〜200mm程度の四角パイプ製でかなりの剛性を有している。そして、この各支柱61,61は、リフト装置1を前後(C−D方向)から挟む位置において鉛直姿勢で平行に配置している。尚、1組の支柱61,61は、その上端部において連結材62で連結されている。
【0027】
各支柱61,61の上端部には、控え用ワイヤー7の一端部を連結するためのワイヤー連結部63,63がそれぞれ設けられている。尚、このワイヤー連結部63は、ピンをブラケットに差込むことでワイヤー7の端部を連結し得るようにしたものが採用されている。
【0028】
各支柱61,61は、下部筒2側に設けた各保持筒23,23でスライド自在に保持する一方、上部筒3側に設けた各スライダー33,33でスライド自在に保持している。下部筒2側の各保持筒23,23は、短小な四角筒状であって下部筒2の上端部21寄り位置において各サポート22,22で支持されている。上部筒3側の各スライダー33,33も短小な四角筒状であって上部筒3の上端部31において各サポート32,32で支持されている。そして、各支柱61,61は、下部筒2側の保持筒23及び上部筒3側のスライダー33に対してそれぞれガタつきのない状態で上下にスライドし得るようになっている。
【0029】
又、各支柱61,61の上部寄り位置には、各スライダー33,33に対して下方への抜け落ちを防止するための係合突起(ピン)64がそれぞれ設けられている。そして、この各係合突起64,64は、それぞれスライダー33,33の上面に衝合して、各支柱61,61がそれ以上、下方に落ちないようになっている。又、上部筒3を伸長させると、各スライダー33,33によって各係合突起64,64を押し上げて、各支柱61,61を上方に連動させるとともに、上部筒3を上動位置から縮小させると、支持力を失って各支柱61,61が自重で降下するようになっている。
【0030】
支柱61の上端部は、リフト装置1の最縮小状態(図1、図2)において下部筒上端部21から例えば1m程度だけ高くなる位置に設定している。そして、リフト装置1を最縮小させた状態で、梯子9の最上部まで登ると、支柱61の上端部(ワイヤー連結部63)に手が十分に届くようになっている。
【0031】
各支柱61,61は、それらを所定高さ位置まで上動させた状態でそれぞれ支持手段8,8で下動不能に支持される。この実施形態の支持手段8,8は、下部筒2側の保持筒23,23より上側において各支柱61,61に外嵌合させた各スライド筒81,81と、該スライド筒81と支柱61を連結する連結ピン83,83とを有している。各スライド筒81,81にはそれぞれピン穴82が形成されている。尚、この各スライド筒81は、支柱61に対してスライド自在でその自重により下部筒2側の保持筒23上に着座している。他方、各支柱61,61には、その下端寄り位置から上方に所定間隔(例えば500mm程度の間隔)をもって複数のピン穴66,66・・を形成している。このピン穴66は、図示例では各支柱61,61にそれぞれ4箇所づつ形成しているが、少なくとも1箇所づつあればよい。尚、連結ピン83は、不使用時には、図1、図2、図5、図6に示すように、支柱61の下端部に抜き差し自在状態で保管しておく。
【0032】
そして、この各支持手段8,8は、次のようにして機能させる。即ち、各リフト装置1,1を図1及び図2に示す縮小状態から図3及び図4に示すように所定長さだけ伸長させて(このとき上部筒3が上動するのに伴って各支柱61,61も上動する)、支柱61側の適宜のピン穴66をスライド筒81のピン穴82に合致させ、その両ピン穴82,66に連結ピン83を挿入することで、支柱61とスライド筒81とを連結する。尚、スライド筒81は、下部筒2の上端部21付近にあって高所であるため、連結ピン83の抜き差し作業は梯子9に登って行う。このように、連結ピン83を両ピン穴82,66に挿入した状態では、各上部筒3,3を縮小させても、各スライド筒81,81が下部筒2側の各保持筒23,23上に着座しているので、支柱61を上動位置のままで保持できる。
【0033】
尚、支持手段8は、他の実施形態では、スライド筒81を使用することなく、支柱61を直接保持筒23に固定することができるが、本願実施形態のようにスライド筒81を使用して行うと、両ピン穴82,66を合致させる際にスライド筒81を手で上下にスライド調整させることができ、連結ピン83による連結作業が容易に行える。
【0034】
この実施形態の転倒防止装置6は、次のようにして使用される。まず、図1及び図2に示すように、各リフト装置1,1を最縮小させた状態で、各側の梯子9,9を登ってそれぞれ前後一対の控え用ワイヤー7,7の各端部を支柱上端部の各ワイヤー連結部63,63に連結させる。尚、この状態では、各控え用ワイヤー7,7は弛ませておく。そして、各リフト装置1,1を同期伸長させて各上部筒3,3とともに各側の支柱61,61を所望高さまで上動させる(図3及び図4の状態では最上動させている)。次に、その状態で、各支持手段8のスライド筒81を上下に調整してそのピン穴82を支柱61側の所定のピン穴66に合致させた後、両ピン穴82,66に連結ピン83を挿入する(同様にして4つの支持手段8を機能させる)。そして、一端をそれぞれ支柱61のワイヤー連結部63に連結した各控え用ワイヤー7,7をそれぞれ所定傾斜角度をもって前後(C−D方向)各側に緊張状態で張設すると、この各転倒防止装置6,6のセットが完了する。尚、転倒防止装置6のセット状態で、伸縮装置4を縮小させると、転倒防止装置6を高所に維持させたままで上部筒3及びビーム5を下動させることができ、そのとき各スライダー33,33が図7に鎖線図示(符号33′)するように支柱61に沿って下動する。従って、転倒防止装置6を取付けたものであっても、門型リフターとしての機能を損ねることがない。
【0035】
この転倒防止装置つき門型リフターでは、各転倒防止装置6,6を高所にセットしたままで各リフト装置1,1を自由に伸縮させることができ、それによってフック装置11に掛けた荷物Wを通常通り昇降させることができる。又、各側の転倒防止装置6,6において、各支柱61,61の下端側がそれぞれ支持手段8,8及び保持筒23,23を介して下部筒2側に保持され、且つ各支柱上端部が高位置において前後2本づつの控え用ワイヤー7,7で支持されているので、各支柱61,61はそれぞれ上下2位置で強固に保持されている。又、上部筒3の上端部寄り位置に設けたスライダー33,33が各支柱61,61に嵌合されているので、該上部筒3の上端部寄り位置が支柱61,61にガイドされており、伸縮側となる上部筒3が支柱61,61を介して間接的に控え用ワイヤー7,7で支持されている。又、控え用ワイヤー7,7の連結位置が高位置(この実施形態ではビーム5よりさらに上方)であるので、控え用ワイヤー7,7によるリフト装置1,1の転倒防止力が大きくなる。
【0036】
従って、この門型リフターで揚重作業を行うときに、リフト装置1,1全体及び上部筒3,3の転倒作用に対する支持強度が大きくなり、安全性が高くなる。このように、転倒防止力が大きくなると、大重量の荷物Wを吊上げたり、より高所まで吊上げたり、あるいは高速操作により荷物Wが揺れたりした場合であっても、安全性が確保でき、作業能率を向上させることができる。
【0037】
又、この実施形態の転倒防止装置6では、支柱61の支持手段8を外し(連結ピン83を抜き)、各リフト装置1,1を最縮小させた状態では、支柱61が自重で降下するので、支柱上端部にあるワイヤー連結部63,63も比較的低位置となる。従って、使用状態において控え用ワイヤー7を高位置に張設するようにした転倒防止装置であっても、控え用ワイヤー7,7の端部をワイヤー連結部63,63に連結する際の作業を比較的低位置で行える(ワイヤー端部の連結作業が容易となる)。
【0038】
又、この実施形態では、支柱61,61をリフト装置1に対して上下動し得るようにしているので、使用時に支柱61,61を支持手段8で任意の高さに設定でき、作業内容(荷物Wの重量、揚程、設置場所等)に応じて、控え用ワイヤー7の張設高さを適宜に設定することができる。
【0039】
尚、この実施形態の転倒防止装置6では、上部筒3側のスライダー33,33が支柱61,61に対してスライドするので、この転倒防止装置6の重量がリフト装置1の伸縮側(上部筒3及びビーム5)に加わることがなく、転倒防止装置6の重量によって許容吊上げ重量が少なくなることがない。
【0040】
【発明の効果】
本願発明の門型リフターの転倒防止装置は、次のような効果がある。
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の発明の転倒防止装置は、門型リフターにおいて、リフト装置1の側方に上下に長い支柱61を沿わせ、該支柱61を、その下端側を下部筒2側に保持させた状態で支柱上端高さが最伸長状態の上部筒3の上端部31より高位置となるように設置し、上部筒3の上端部寄り位置に設けたスライダー33を支柱61に対してスライド自在に嵌合させ、支柱61における下部筒2の上端高さより高位置にワイヤー連結部63を設けたことを特徴としている。
【0041】
このように、本願請求項1の転倒防止装置では、上部筒3の上端部寄り位置が支柱61にガイドされていることにより、該上部筒3を支柱61を介して控え用ワイヤー7で支持させることができ、又、控え用ワイヤー7を従来(リフト装置の下部筒上端部が限度であった)より高所に連結できる。
【0042】
従って、本願請求項1の転倒防止装置では、控え用ワイヤー7によるリフト装置1の転倒防止力が大きくなって、作業時における安全性が向上するとともに、吊上げ荷物Wの重量増、又は高揚程化等を可能とし、しかも荷物Wの揺れにも対応できて高速作業化も達成し得るという効果がある。
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明は、上記請求項1の転倒防止装置において、支柱61を下部筒2に対して上下動可能にガイドし、且つ支柱61を上部筒3の伸長動作に連動して上動させ得るようにするとともに、支柱61が所定高さまで上動した位置で、該支柱61を下動不能に支持するための支持手段8を設けたことを特徴としている。
【0043】
そして、この請求項2の転倒防止装置では、支持手段8を外した状態でリフト装置1を縮小させると支柱61も降下させて、ワイヤー連結部63を比較的低位置まで下げることができる。従って、使用状態において控え用ワイヤー7を高位置に張設するようにした転倒防止装置であっても、控え用ワイヤー7の端部をワイヤー連結部63に連結する際の作業を比較的低位置で行え、その連結作業が安全且つ容易となるという効果がある。
【0044】
又、この請求項2の転倒防止装置では、支柱61をリフト装置1に対して上下動し得るようにしているので、使用時に支柱61を任意の高さに設定でき、作業内容に応じて控え用ワイヤー7の張設高さを変更できるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願実施形態の転倒防止装置つき門型リフターの格納状態における正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の転倒防止装置つき門型リフターの使用状態の正面図である。
【図4】図3の側面図である。
【図5】図1の一部斜視図である。
【図6】図5のVI−VI断面図である。
【図7】図6の状態変化図である。
【図8】従来の門型リフターの斜視図である。
【符号の説明】
1はリフト装置、2は下部筒、3は上部筒、4は伸縮装置、5はビーム、6は転倒防止装置、7は控え用ワイヤー、8は支持手段、21は下部筒上端部、23は保持筒、31は上部筒上端部、33はスライダー、61は支柱、63はワイヤー連結部である。

Claims (2)

  1. 下部筒(2)に対して上部筒(3)を上下方向に伸縮させ得るようにした一対のリフト装置(1,1)を所定間隔をもって配置し、該各リフト装置(1,1)の上部筒(3,3)の上端部間にビーム(5)を架設してなる門型リフターにおいて、
    リフト装置(1)の側方に上下に長い支柱(61)を沿わせ、該支柱(61)は、その下端側を下部筒(2)側に保持させた状態で支柱上端高さが最伸長状態の上部筒(3)の上端部(31)より高位置となるように設置するとともに、上部筒(3)の上端部寄り位置に設けたスライダー(33)を支柱(61)に対してスライド自在に嵌合させ、支柱(61)における下部筒(2)の上端高さより高位置に控え用ワイヤー(7)を連結するためのワイヤー連結部(63)を設けた、
    ことを特徴とする門型リフターの転倒防止装置。
  2. 請求項1において、
    支柱(61)を下部筒(2)に対して上下動可能にガイドし、且つ該支柱(61)を上部筒(3)の伸長動作に連動して上動させ得るようにするとともに、支柱(61)が所定高さまで上動した位置で、該支柱(61)を下動不能に支持するための支持手段(8)を設けた、
    ことを特徴とする門型リフターの転倒防止装置。
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