JP4286285B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池の製造方法に係り、特に複数のセルをタブ又はタブリードと称される接続部材により電気的に接続して成る太陽電池を製造する方法に関するものである。
近年、地球温暖化などの地球環境保全問題から、クリーンエネルギーへの期待が高まっており、太陽エネルギー(太陽光)を直接電気エネルギーに変換する太陽電池は、クリーンなエネルギー源として注目されている。例えば、太陽電池は複数の光電変換セルを備え、これら隣接するセルに銅箔から成るタブを半田付けして相互に電気的に接続することによりストリングが構成されている。このタブは、複数のセルを直列に接続するリード線となり、或いは、出力端子として使用される(特許文献1参照)。
このような太陽電池のストリング100の一般的な製造方法は、図9に示すように、先ず、複数のセル12を用意する(第1工程)。そして、複数のセル12の表面のタブ14を半田付けする部分(図中点線)に所定の温度に温められた液状のフラックスを塗布した後(第2工程)、セル12の上面及びそれに隣接するセル12の下面間に渡ってタブ14を配設する(第3工程)。次に、配設したタブ14が浮かないようにタブ14を上からセル12に押圧し、タブ14の半田付けを行う(第4工程)。
係るタブ14をセル12の表面に半田付けする際、セル12にはフラックスに混じった有機物等が付着する。また、これら有機物やフラックスがセル12の表面に残っていると太陽電池の発電効率が低下してしまう。そこで、従来ではセル12にタブ14を半田付けした後に洗浄する洗浄工程を設け、セル12の表面のフラックスや有機物等の残留物を温水や薬品、或いは、スチームなどで洗浄して取り除いていた。
そして、このようにして洗浄された複数のセル12から成るストリング100を、裏面側の保護シート、或いは、透光性ガラスと、表面側の透光性ガラス間に配置し、充填剤(EVAなど)によって封止することにより、太陽電池は製造されていた。また、セル12の表面のフラックスや有機物等の残留物を洗浄せずにそのままガラス間或いはガラスとシート間に封止する場合もあった。
特開2003−168811号公報
しかしながら、タブの半田付けを行った後に、セル表面のフラックスや有機物等の残留物を温水や薬品、或いは、スチームなどで洗浄して取り除く作業は、太陽電池の製造工程の増加を引き起こすために、太陽電池のコストアップを生起する問題があった。
また、タブの半田付けを行った後にセル表面のフラックスや有機物等の残留物を洗浄せずにガラス間、或いは、ガラスとシート間に封止した場合、セル表面にフラックスや有機物等の残留物が残っていても取り除けなくなってしまう。特に、セル表面に有機物などの残留物やフラックスがモジュール化する工程等における加熱によってガス化し多数の気泡となり残っている場合、セル表面に当たる太陽光が乱反射し、或いは、太陽光を遮ってしまうため、太陽電池の発電効率の低下を招いてしまうという問題もある。
本発明は、係る従来技術の課題を解決するために成されたものであり、セル表面に残ったフラックスや有機物等の残留物の影響を効果的に除去し、発電効率を大幅に向上できる太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、第1の発明は、複数のセルを接続部材により電気的に接続して太陽電池を製造する方法であって、セルの表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、フラックスが塗布された隣接するセルに渡って接続部材を配設するタブ配設工程と、当該接続部材をセルに半田付けして接続するタブストリング工程と、接続部材が接続されたセルを加熱するセル加熱工程とを備え、セル加熱工程において、セルに半田付けされた接続部材の熱を熱伝導によって搬送ベルトに伝えて逃がしながらセルを加熱することを特徴とする。斯かるフラックスは、半田付けを良好にするためのものであり、有機物等の物質が含まれたものである。例えば斯かるフラックスには、水溶性のフラックスが用いることができる。
第2の発明の太陽電池の製造方法は、上記セル加熱工程における加熱温度が、フラックスの沸点の温度以上であることを特徴とする。
第2の発明の太陽電池の製造方法は、上記セル加熱工程における加熱温度が、フラックスの活性化温度以上であることを特徴とする。
第3の発明の太陽電池の製造方法は、上記セル加熱工程における加熱温度が+140℃以上+160℃以下であって、加熱時間は1分以上5分間以下であることを特徴とする。
第4の発明の太陽電池の製造方法は、上記セル加熱工程における加熱温度が+150℃であって、加熱時間は3分間であることを特徴とする。
第5の発明の太陽電池の製造方法は、前記セル加熱工程における加熱温度が+160℃より高く、加熱時間は1分未満であることを特徴とする。
第6の発明の太陽電池の製造方法は、上記セル加熱工程における加熱温度が+200℃以上であって、加熱時間は20秒未満であることを特徴とする。
第7の発明の太陽電池の製造方法は、上記セル加熱工程における加熱温度が+250℃以上であって、加熱時間は10秒未満であることを特徴とする。
第8の発明の太陽電池の製造方法は、上記各発明のセル加熱工程においては、セル全体を加熱することを特徴とする。
第9の発明の太陽電池の製造方法は、ル加熱工程で前記搬送ベルトは接続部材部分と接触することを特徴とする。
第10の発明の太陽電池の製造方法は、ル加熱工程におい、赤外線を照射して前記セルを加熱することを特徴とすることを特徴とする。好ましくは赤外線を照射する手段はランプヒーターである。
第1の発明の太陽電池の製造方法では、複数のセルをタブにより電気的に接続して太陽電池を製造するに当たり、セルの表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、フラックスが塗布された隣接するセルに渡って接続部材を配設するタブ配設工程と、当該接続部材をセルに半田付けして接続するタブストリング工程と、接続部材が接続されたセルを加熱するセル加熱工程とを備えているので、このセル加熱工程において、例えば、第2の発明の如くフラックスの沸点の温度以上に加熱することにより、タブをセルに半田付けする際(前)に塗布したフラックスを蒸発させることができるようになる。また、例えば、第3の発明の如くセル加熱工程において、フラックスの活性化温度以上に加熱することで、例えフラックスが残留してもフラックスによる影響を無害化できる。また、セル加熱工程において、セルに半田付けされた接続部材の熱を熱伝導によって搬送ベルトに伝えて逃がしながら前記セルを加熱するので、セル加熱工程における高温度の加熱によって、タブをセルに接続している半田が再溶融してしまう不都合も確実に防止できる。特に、搬送ベルトを用いることにより、格別な放熱、或いは、冷却装置を設けること無く、タブの半田再溶融を防止することができるようになり、設備コストも削減できる。
これにより、タブをセルに半田付けする際(前)にセルに付着したフラックスや有機物等の残留物を効果的に除去し、或いは、無害化することが可能となるので、従来のようにセル表面に塗布したフラックスや有機物等の残留物を除去するための洗浄工程を行うこと無く、残留物によってセル内部が白濁するなどの不都合も防止できるようになる。これにより、太陽電池の製造コストの低減を図りながら、太陽電池の品質向上と発電効率の改善を図ることができるようになる。
特に、第4の発明の如くセルを+140℃以上+160℃以下で1分以上5分以下加熱し、好ましくは、第5の発明の如く+150℃で3分間加熱するようにすれば、セルにタブを接続している半田が再溶融してしまう不都合も防止できる。
また、第6の発明の如くセル加熱工程における加熱温度を+160℃より高くすれば、加熱時間を1分未満としてもフラックスを効果的に蒸発させることができる。特に、第7の発明の如くセル加熱工程における加熱温度を+200℃以上とすれば、加熱時間を20秒未満としてもフラックスの影響を除去することができる。更に、第8の発明の如くセル加熱工程における加熱温度を+250℃以上とすれば、加熱時間を10秒未満としてもフラックスの影響を除去することができる。このように、高温度で加熱することにより、セル加熱工程における処理時間を大幅に短縮し、生産効率の改善を図ることができるようになる。
特に、係る高温度の加熱を短時間行うことにより、アニール効果によってセルの層境界面の特性が良くなり、太陽電池の特性改善も図ることができる効果がある。これは、200℃以上、更には、250℃以上の如き高温度の短時間加熱でより顕著なものとなると共に、第9の発明の如くセル加熱工程においてセル全体を加熱することによって、より均一な特性改善を図ることができるようになる。
特にこの場合、第の発明の如くル加熱工程で搬送ベルトはタブ部分と接触するようにすることにより、ル加熱工程ではブ部分の温度を下げることができるようになる。
また、第10の発明の如くル加熱工程においては、赤外線を照射してセルを加熱するようにすれば、ル全体を広く加熱することができるようになる。
これにより、タブストリング工程においてタブ以外の部分のセルに与える損傷を防止、若しくは、最小限に抑えながら確実なタブの半田付けを実現できると共に、セル加熱工程においてはセル全体を均一に加熱し、効果的なフラックスの影響を除去、或いは、それに加えてセルの特性改善を図ることができるようになるものである。
本発明は、太陽電池の発電効率を向上させるため、セル表面に塗布したフラックスや有機物等の残留物を洗浄せずに取り除く方法を提供するものである。フラックスや有機物等の残留物の影響を取り除いて太陽電池の発電効率を向上させるという目的を、タブの半田付けを行った後のセルを加熱するだけの簡単な方法で実現した。
次に、図面に基づき本発明の実施の形態を詳述する。図1は本発明の一実施例を示す太陽電池の製造工程図を示している。尚、この実施例は一般的な太陽電池の製造方法を示しており、この太陽電池を製造する技術については、従来より周知の技術であるため詳細な説明を省略し、主な要点を説明する。
先ず、本発明の太陽電池のセル12は約10cm角に形成されると共に、セル12はパレット(図示せず)の長手方向に一列に並べられ着脱可能に装着され後工程の作業が行われる。太陽電池の製造方法は図1に示すように複数のセル12が分割形成された多結晶シリコン等の結晶系半導体からなるn型の結晶系シリコン基板10を用意しパレットに載置する(第1工程)。この場合、複数のセル12が形成された基板10は後述する第4工程にて図示、他の工程は単一のセル12を図示している。
次に、分割された複数のセル12表面のタブ(接続部材)14を半田付する部分(図中点線)に所定の温度に温められた液状のフラックスを塗布し(第2工程)、隣接するセル12に渡って平行に2列のタブ14(集電極)を配設する(第3工程)。該タブ14は幅約2mmの導電性を有する銅箔等にて構成されると共にタブ14の両側には図示しないが幅約50μmの多数の分岐電極が延長して設けられている。
次に、配設したタブ14が浮かないようにタブ14の幅に略等しい太さで耐熱性を有し半田が付かない2列の押圧具(図示せず)でタブ14をセル12に押圧し、セル12を直列にタブ14で半田付けし電気的に接続する(第4工程)。尚、押圧具は、図示しないが半田付け時タブ14を押圧し、半田付け終了後はセル12上から離れる方向に移動するように構成されている。尚、タブ14を押圧せずにセル12に半田付けできれば、必ずしも押圧具を使用しなくても差し支えない。
該セル12の表面にフラックスを塗布した時やタブ14の半田付け時にフラックスに多数の気泡が発生する。また、タブ14の半田付けの際使用するフラックスには有機物等が混じっている。尚、セル12を直列にタブ14で半田付けして接続するために、隣接するセル12は、上面と下面(図示せず)がタブ14で接続される。
次に、セル12を直列にタブ14で半田付けした後、セル12は下方からコイル或いは棒状の電熱ヒータ16にて+140℃乃至+160℃で、加熱時間は1分乃至5分間、好ましくは、セル12を+150℃で、加熱時間は3分間にしたので、セル12に塗布したフラックスを蒸発させる(第5工程)。この場合、多結晶シリコン等の結晶系半導体からなるn型の結晶系シリコン基板10が加熱温度によって傷んだり破損して発電効率に支障が発生しない+150℃で、加熱時間を3分間という短い時間加熱している。
これによって、従来のようにセル12表面に塗布したフラックスや有機物等の残留物を温水や薬品或いはスチームなどで洗浄して取り除かなくても、電熱ヒータ16にてセル12を加熱するだけで、半田付け時にフラックスに発生した多数の気泡は取り除かれると共に、フラックスの蒸発によりフラックスに混じった有機物等の残留物を蒸発させて取り除くことができる。従って、その後の工程でモジュール内での気泡の発生も防ぐことができる。
そして、セル12にタブ14を半田付けした後、最後にセル12表面に透光性及び耐候性を有するガラスが積層されて、太陽電池が完成する。この場合、白板強化ガラス等の透明な表面側カバー、充填材となるフィルム、電気的に直列接続されてなる半田付けした複数のセル12、充填材となるフィルムおよびポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムからなる耐候性の裏面側カバーをこの順序で積層した状態で加熱し、加圧することにより、板状構成体を形成する。その後、該構成体を指示するアルミニウム等からなる金属製枠体、端子ボックス等を取り付け、太陽電池モジュールを完成するものである。尚、セル12に塗布したフラックスの蒸発は、セル12の上方からセル12表面に集中的に赤外線を照射できる反射鏡を備えた赤外線ランプにてセル12表面に赤外線を照射し、この熱によってフラックスを蒸発させるようにしても差し支えない。又、所定の温度の温風をセル12表面に吹き付けてフラックスを蒸発させるようにしても差し支えない。該温風をセル12表面に吹きつけた場合は、セル12表面の空気の対流が大きくなるのでフラックスを蒸発させる効果は絶大となり、電熱ヒータや赤外線ランプなどよりも短時間でフラックスを蒸発させることができる。
このように、基板10の表面に分割された複数のセル12を形成する工程と、分割された複数のセル12の表面にフラックスを塗布する工程と、フラックスが塗布された隣接するセル12に渡ってタブ14を配設する工程と、当該タブ14をセル12に半田付けして接続する工程と、タブ14が接続されたセル12を電熱ヒータ16で加熱する工程とを備えているので、例えば、セル12を+150℃で、加熱時間を3分間とすることにより、従来のようにセル12表面に塗布したフラックスを洗浄しなくても、フラックスを蒸発させて取り除くことができる。
これにより、タブ14をセル12に半田付けする際、セル12に付着した有機物等の残留物の影響を除去することが可能となる。従って、従来のように、セル12表面に塗布したフラックスや有機物等の残留物を除去するための洗浄工程が不要となり、太陽電池のコストの低減を図ることができる。
特に、フラックスを蒸発させることによりセル12表面が白濁してしまうなどの不都合を防止することができる。従って、従来のようにフラックスの洗浄工程が無くても大幅に太陽電池の品質向上を図ることができ、然も発電効率を向上させることができる。
また、セル12を電熱ヒータ16で加熱してセル12表面に塗布したフラックスを蒸発させているので、セル12表面のフラックスの気泡を大幅に減らすことが可能となる。これにより、セル12表面に当たる太陽光の乱反射も防止することができるようになる。また、セル12表面のフラックスを蒸発させることによりセル12表面に塗布したフラックス量を殆ど無くすことができる。これにより、セル12表面に残るフラックスを極めて薄くすることができるのでセル12の太陽光の遮りも殆ど皆無となり太陽電池の発電効率を大幅に向上させることができる。
次に、図面に基づき本発明のもう一つの実施形態を詳述する。図2はこの場合の実施例を示す太陽電池のストリング100の製造工程図を示している。尚、図2において図9と同一符号で示すものは同一若しくは同様の作用を奏するものとする。また、実施例では単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの結晶型の他、アモルファスシリコンを用いた非結晶型、或いは、単結晶(結晶系基板)を基板としてその両面にシリコンの非結晶層を形成した単結晶・アモルファスハイブリッド型などの一般的なセル12(太陽電池セル)を用いた太陽電池の製造方法を示しており、これらセル12を製造する技術については、従来より周知の技術であるため詳細な説明を省略し、主な要点を説明する。
実施例のセル12は約10cm角に形成されており、その両面には並行に二条の集電極(幅約2mm)が設けられ、集電極の両側には多数の分岐電極(幅約50μm)が延長して設けられている。係るセル12はパレット(図示せず)の長手方向に一列に並べられて着脱可能に装着され、後の工程の作業が行われる。太陽電池の製造方法は、図2に示すようにセル12を用意し、パレットに載置する(第1工程)。
次に、セル12表面の前記集電極の部分、即ち、接続部材としてのタブ14、14を半田付する部分(図中点線)に所定の温度に温められた液状のフラックス(水ベースの物質であり、沸点は約+100℃であり、沸点以上で気化し、約+200℃以上で活性化する。)を塗布する(フラックス塗布工程としての第2工程)。尚、前記タブ14は幅約2mmの導電性を有する銅箔などにて構成されており、その表面には半田が塗布されている。
次に、タブ配設工程としての第3工程に移行する。この第3工程移行については図3及び図4を用いて説明する。図3及び図4において、3は無端ベルトから構成された搬送ベルト(搬送手段)であり、所定時間停止した後、所定距離移動すると云う間欠的な動作により、セル12を図3中向かって右方向に搬送するものである。この搬送ベルト3は、図7に示すようにタブストリング工程(半田付け位置)に位置する搬送ベルト3Aと、セル加熱工程に位置する搬送ベルト3Bとから成り、搬送ベルト3Aはセル12下面のタブ14、14を回避した位置に3条設けられ、搬送ベルト3Bは逆にセル12下面のタブ14、14に対応して接触する位置に二条設けられている。
4は搬送ベルト3の所定の半田付け位置の上下に配置された押付装置であり、図示しない駆動手段によって上下動される二列の複数のピン4A・・、4B・・から構成されている。尚、このピン4A・・、4B・・は半田が付かないもので構成され、図3、図4に示すように配置される二条のタブ14、14の垂直上方及び下方にそれぞれ対応して配置されている。また、この押付装置4の下方に対応する位置の搬送ベルト3下側には、電気ヒータから構成されたホットプレート(下側加熱手段)6が設けられており、作業中常時通電されている。
更に、この押付装置4と同じタブ14、14の垂直上方にそれぞれ対応する位置には、温風ヒータ(温風式加熱手段)7、7が設けられている。各温風ヒータ7、7は、例えば通電されて発熱する電気ヒータと送風機とから構成されており、電気ヒータにて加熱された空気(熱風)を送風機にてタブ14、14部分に集中的に吹き付けるものである。
前述の第2工程においてフラックスが塗布されたセル12は次に上記搬送ベルト3Aに載置される。次に、前記集電極に対応してタブ14が搬送ベルト3Aの進行方向における左右に二条配置される(タブ配置工程としての第3工程)。実際には、ストリング100を構成する最初のセル12の下面の集電極に対応してタブ14が二条配置され、その前部(搬送ベルト3の進行方向における前部)半分は進行方向に引き出される。そして、搬送ベルト3が所定距離移動され、セル12は前述した所定の半田付け位置に移動されて所定時間停止する。そこで、セル12の上面の集電極に対応してタブ14が配置される。
このとき、タブ14、14(最初のセル12の上面に配置されたタブ)の後部(搬送ベルト3の進行方向における後部)半分は引き出されており、その上には次のセル12が載置されることになる。また、この場合セル12は上面がプラス側、下面がマイナス側となる。
このようにセル12の上下面に二条のタブ14、14を当接させ、配置した状態で、この停止時間中、押付装置4の各ピン4A・・、4B・・が降下し、タブ14、14をセル12の上面及び下面に押し付けて浮かないように押さえる。また、タブ14を押圧せずにセル12に半田付けできれば、必ずしも押付装置4は使用しなくても差し支えない。
このようにセル12にタブ14を押し付けた状態で、温風ヒータ7、7の電気ヒータと送風機に通電して高温の熱風をタブ14、14に集中して吹き付け、タブ14、14の半田を溶融温度(+186℃〜+187℃)以上で加熱する。尚、下面のタブ14、14も上面からの熱風吹き付けに伴う温度上昇による熱伝導と下面のホットプレート6からの加熱によって半田が溶融温度まで加熱される(タブストリング工程としての第4工程)。
ここで、温風ヒータ7、7からの熱風はタブ14、14に集中的に吹き付けられるので、それ以外の部分のセル12が過剰に加熱され、温度が異常に高くなってセル12に損傷が生じることは無い。また、この場合搬送ベルト3Aは下面のタブ14、14に接触していないので、このタブ部分の温度を逃がすこと無く、タブ14付近を高温として半田の溶融を促進できる。
このように押付装置4でタブ14をセル12に押し付けながら温風ヒータ7、7から熱風を所定時間吹き付けた後、温風ヒータ7の電気ヒータ及び送風機は停止される。尚、この熱風吹きつけ後も押付装置4はピン4A・・、4B・・によりタブ14をセル12に押し付けておき、半田が冷えてタブ14がセル12に確実に接続されるまで待つ。
この間に上面のタブ14、14の後部には前述したようにセル12が載置される。その後、ピン4A・・、4B・・はセル12上から離間する方向に移動する。次に、搬送ベルト3Aが所定距離移動され、この新たに載置されたセル12が半田付け位置に移動されて再びタブ14、14がその上面に載置される。このようにしてタブ14によりセル12を直列に半田付けしてストリング100を製造する。
ここで、セル12の表面にフラックスを塗布したときやタブ14の半田付け時にフラックスがガス化し多数の気泡が発生する。また、タブ14の半田付けの際使用するフラックスには有機物等が混じっている。そこで、上記タブストリング工程(第4工程)の次に、本発明ではセル加熱工程としての第5工程を実施する。図5及び図6はこの第5工程(セル加熱工程)を示している。尚、各図中図3、図4と同一符号で示すものは同一とする。また、図7は第4工程から第5工程の搬送ベルト3の様子を示し、セル14は上記タブストリング工程の後、搬送ベルト3Aからセル加熱工程の搬送ベルト3Bに受け渡される。
即ち、各図において前記半田付け位置よりも搬送ベルト3の進行方向側に位置する所定のセル加熱位置上方には、ランプヒータ17が配設されている。このランプヒータ17は赤外線ランプから構成されている。また、このセル加熱位置のセル12の下側には前述したホットプレート6が設けられているが、タブ14に対応する部分は加熱を防止するためにホットプレート6は削除されている構成が好ましい。
そして、前述の如く第4工程においてタブ14が半田付けされたセル12は、搬送ベルト3A、3Bによって次に前記セル加熱位置に移動される。このセル加熱位置でセル12には上方からランプヒータ17の赤外線が照射され、下方からはホットプレート6より加熱される。このランプヒータ17からの赤外線は拡散するため、赤外線はセル12の上面全体に照射されるので、セル12は全体的に加熱されることになる。
このときの加熱温度は+140℃以上+160℃以下で、加熱時間は1分以上5分以下の間とされ、好ましくは、セル12を+150℃で3分間加熱する。これによって、セル12に塗布したフラックスを蒸発させる。係る加熱温度(150℃)及び加熱時間(3分間)であるために、セル12には加熱による劣化や破損が生じることも無く、発電効率にも支障が発生しない。また、+140℃以上+160℃以下の温度であればタブ14の半田も再溶融しない。
これによって、従来のようにセル12の表面に塗布したフラックスや有機物等の残留物を温水や薬品或いはスチームなどで洗浄して取り除かなくても、ランプヒータ17にてセル12を所定の条件で加熱することで、フラックスの蒸発によりフラックスに混じった有機物などの残留物の影響も低減できる。
このような第5工程後、白板強化ガラス等の透明な表面側カバー、充填材となるフィルム、電気的に直列接続されてなる複数のセルからなる直線状の太陽電池群(ストリング)100、100・・・、充填材となるフィルムおよびポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルムからなる耐候性の裏面側カバーをこの順序で積層した状態で加熱し、加圧することにより、板状構成体を形成する。その後、該構成体を指示するアルミニウム等からなる金属製枠体、端子ボックス等を取り付け、太陽電池モジュールを完成する。
このように、本発明では複数のセル12をタブ14により電気的に接続して太陽電池を製造するに当たり、セル12の表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程(第2工程)と、フラックスが塗布された隣接するセル12に渡ってタブ14を配設するタブ配設工程(第3工程)と、当該タブ14をセル12に半田付けして接続するタブストリング工程(第4工程)と、タブ14が接続されたセル12を加熱するセル加熱工程(第5工程)とを備えているので、このセル加熱工程において、タブ14をセル12に半田付けする際(前)に塗布したフラックスを蒸発させることができるようになる。
これにより、タブ14をセル12に半田付けする際(前)にセル12に付着したフラックスや有機物等の残留物を効果的に除去することが可能となるので、従来のようにセル12の表面に塗布したフラックスや有機物等の残留物を除去するための洗浄工程を行うこと無く、残留物によってセル12の内部が白濁するなどの不都合も防止できるようになる。これにより、太陽電池の製造コストの低減を図りながら、太陽電池の品質向上と発電効率の改善を図ることができるようになる。
次に、本発明の更に他の実施例を説明する。上記実施例では第5工程(セル加熱工程)において、セル12を+140℃以上+160℃以下で1分以上5分以下加熱し、好ましくは、+150℃で3分間加熱するようにしたが、この場合の実施例では第5工程(セル加熱工程)における加熱温度を+160℃より高くすると共に、加熱時間は1分未満と極めて短い時間とする。
好ましくは、加熱温度を+200℃以上、加熱時間も20秒未満と短くする。このように、第5工程におけるセル12の加熱温度を+160℃より高くすれば、加熱時間も1分未満という極めて短い時間でセル12のフラックスを活性化させ、蒸発させることができる。特に、加熱温度を+200℃以上とすることで、加熱時間も20秒未満と著しい短い時間でフラックスを活性化させ、蒸発させることができる。更に、加熱温度を+250℃以上とすることで、加熱時間も10秒未満と著しい短い時間でフラックスを活性化させ、蒸発させることができる。これにより、例えフラックスが残留してもフラックスによる影響を無害化できる。
即ち、この実施例では係る高温度で加熱することにより、第5工程(セル加熱工程)における処理時間(タクト)を大幅に短縮し、生産効率の改善を図ることができるようになる。尚、セル加熱工程における加熱温度は、半田材の溶融抑制や太陽電池の特性の観点から+400℃以下が好ましい。
特に、係る高温度の加熱を短時間行うことにより、アニール効果によってセル12の層境界面の特性が良くなり、太陽電池の特性改善も図ることができる効果がある。図8は斯かるセル加熱工程における加熱温度とセル12の出力特性の変化率を示した図である。この図からも明らかな如く、+200℃以上、更には、+250℃以上と云う高温度の短時間加熱でよりセル12の出力特性の向上は顕著なものとなる。また、ランプヒータ17でセル12全体を広く加熱することによって、より均一な特性改善を図ることができるようになる。
この場合、下面のタブ14は搬送ベルト3Bに当接しているので、ランプヒータ17からの熱は、各タブ14部分では熱伝導でこの搬送ベルト3Bに伝わって逃げていき、タブ14付近では温度が下がることになる。従って、第5工程(セル加熱工程)における高温度の加熱によって、タブ14をセル12に接続している半田が再溶融してしまう不都合も確実に防止できる。特に、この場合搬送ベルト3Bがタブ14部分の熱逃がし手段を兼ねるので、格別な放熱、或いは、冷却装置を設けること無く、タブ14の半田再溶融を防止することができるようになり、設備コストも削減できる。搬送ベルトには、金属製または非金属製の耐熱性を有するものが適宜使用できる。なお、加熱部の搬送は、熱伝導性が高いものが好ましい。また、実施例2と同様、タブストリング工程での搬送は、図7の3Aのようなタブに接触しない搬送ベルトを用いる方が更に好ましい。
尚、上記各実施例、特に、実施例2では第5工程(セル加熱工程)においてランプヒータにより上からセルを加熱したが、それに限らず、温風ヒータにより上から熱風を全体に渡って吹き付けてもよく、また、電気ヒータによって下から加熱するようにしてもよい。熱風によって全体を加熱する場合には、空気の対流も生じるのでフラックスの蒸発効果を改善できる。但し、ランプヒータを使用した方が、より広い範囲を加熱できる効果がある。
また、第4工程(タブストリング工程)においては温風ヒータを使用したが、これも赤外線を照射するランプヒータによって加熱するようにしてもよい。但し、温風ヒータを用いることで、ランプヒータの場合に比してより集中的にタブを加熱できる効果がある。また、実施例3では搬送ベルトを熱逃がし手段として使用したが、それに限らず、タブの半田再溶融を防止する冷却装置や放熱板などの熱逃がし手段を別途設けてもよい。但し、実施例3のように搬送ベルトを熱逃がし手段として兼用すれば、前述した如く設備コストの削減を図ることができる。
本発明の一実施例を示す太陽電池の製造工程図である。 本発明の他の実施例の太陽電池の製造工程図である。 図2のタブストリング工程を説明する図である。 同じく図2のタブストリング工程を説明する図である。 図2のセル加熱工程を説明する図である。 同じく図2のセル加熱工程を説明する図である。 図2のタブストリング工程とセル加熱工程における搬送ベルトの平面図である。 セル加熱工程における加熱によるセルの出力特性の変化率を示す図である。 太陽電池の従来の製造工程図である。

Claims (11)

  1. 複数のセルを接続部材により電気的に接続して太陽電池を製造する方法であって、
    前記セルの表面にフラックスを塗布するフラックス塗布工程と、
    前記フラックスが塗布された隣接する前記セルに渡って前記接続部材を配設するタブ配設工程と、
    当該接続部材を前記セルに半田付けして接続するタブストリング工程と、
    前記接続部材が接続された前記セルを加熱するセル加熱工程とを備え
    前記セル加熱工程において、セルに半田付けされた接続部材の熱を熱伝導によって搬送ベルトに伝えて逃がしながら前記セルを加熱することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記セル加熱工程における加熱温度は、前記フラックスの沸点の温度以上であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記セル加熱工程における加熱温度は、前記フラックスの活性化温度以上であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記セル加熱工程における加熱温度は+140℃以上+160℃以下であって、加熱時間は1分以上5分間以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記セル加熱工程における加熱温度は+150℃であって、加熱時間は3分間であることを特徴とする請求項4に記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記セル加熱工程における加熱温度は+160℃より高く、加熱時間は1分未満であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記セル加熱工程における加熱温度は+200℃以上であって、加熱時間は20秒未満であることを特徴とする請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
  8. 前記セル加熱工程における加熱温度は+250℃以上であって、加熱時間は10秒未満であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の太陽電池の製造方法。
  9. 前記セル加熱工程においては、前記セル全体を加熱することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の太陽電池の製造方法。
  10. 記セル加熱工程で前記搬送ベルトは前記接続部材部分と接触することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の太陽電池の製造方法。
  11. 記セル加熱工程におい、赤外線を照射して前記セルを加熱することを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の太陽電池の製造方法。
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