JP4277409B2 - 射出成形装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本体部に対して折返す方向に突出する突片により端部がアンダーカット状態となる成形品を射出成形する装置に関し、例えば、自動車の車体パネル等のように三次元形状を有する成形品を製造するのに用いられる射出成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
突片により端部がアンダーカット状態となる成形品としては、例えば図14に示すようなものがある。図14(a)および(b)に示す成形品Aは、自動車のフロントフェンダ・パネルであって、図14(c)に示すエンジンフード・パネルHとの合せ部分に、本体部に対して折返す方向に屈曲した断面L形のフランジ状突片Bを有すると共に、本体部と突片Bとの角部分に、外観品質等を考慮して面取りRが施してある。つまり、この成形品Aは、上下に配置した固定型と可動型との間で本体部を横向きにして射出成形した際に、突片Bが型開き動作を妨げる状態すなわち突片Bにより端部がアンダーカット状態となるものである。
【0003】
従来において、上記の成形品Aを射出成形する装置としては、図15に示すようなものがあった。図示の射出成形装置は、下側の固定型101と昇降駆動される上側の可動型102を備えると共に、固定型101に、成形品Aの突片Bを含む端部を形成する入子103を備えている。入子103は、固定型101に対して斜め方向に移動自在に設けてあって、固定型101内で昇降するエジェクトプレート104に対して水平方向に移動可能に連結してある。
【0004】
上記の射出成形装置は、図15(a)に示す型閉じ状態で射出成形を行ったのち、図15(b)に示すように可動型102を上昇させ、続いてエジェクトプレート104を上昇させることにより、図15(c)に示すように、入子103を斜め上方に移動させてアンダーカット状態の成形品Aの端部から入子103を離間させる。また、成形品Aの端部と入子103とが離間した後には、固定型101に設けた図示しないエジェクト機構を作動させて固定型103から成形品Aを完全に離型させる。
【0005】
なお、上記の如く固定型101側に成形品Aを残す射出成形装置のほかに、可動型102側に成形品Aを残すものがあるが、この場合、可動型102側にエジェクト機構が必要になって構造が複雑化すると共に、成形品Aの車体外観面にエジェクトピンの圧痕が残ることから、固定型101側に成形品Aを残す射出成形装置の方が好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような従来の射出成形装置を用いて図14に示す成形品Aを射出成形する場合には、成形品Aの離型性を考慮して、固定型101と可動型102との合せ面を本体部と突片Bとの角部分近傍に設定する。一方、成形品Aは、本体部と突片Bとの角部分に面取りRを有するものとなっている。
【0007】
そこで、従来では、図16(a)に示すように、固定型101側で面取りRを成形するようにして、固定型101と可動型102との合せ面を面取りRのやや上側すなわち本体部側に設定し、成形品Aの成形後において、合せ面により本体部の車体外観面に発生した段部dの切削除去および仕上げ加工をしていた。また、図16(b)に示すように、固定型101と可動型102との合せ面を成形品Aの本体部と突片Bとの角に合せて設定し、成形品Aの成形後において、角の切削加工および仕上げ加工により面取りRを成形していた。つまり、従来の射出成形装置にあっては、成形後の成形品Aの端部外側に複数工程の加工を行わねばならないという不具合があり、工数やコストの節減を図るうえでの改善が望まれていた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたもので、本体部に対して折返す方向に突出する突片により端部がアンダーカット状態となる成形品を射出成形する装置であって、突片の基端部外側に、成形後の加工が不要となる状態で面取り等の所定成形部位を成形することができると共に、簡単な構造でアンダーカット状態の成形品の離型を良好に行うことができる射出成形装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる射出成形装置は、請求項1として、固定型および可動型を備えると共に、本体部に対して折返す方向に突出する突片により端部がアンダーカット状態となる成形品を射出成形する装置であって、可動型に、成形品の端部内側に対応し且つ可動型本体との間で突片を成形する押し入子と、型開きの過程で作動して成形品を離型させるエジェクト手段を備えると共に、固定型に、突片の基端部外側に対応する突部をアンダーカット状態に備え、押し入子は、可動型本体において可動型の移動方向に対して傾斜した方向に移動自在に保持してあり、可動型に、エジェクト手段の作動前である型開きの初期移動範囲において可動型の移動方向への押し入子の移動を規制することで同押し入子を成形品の端部から離間する方向に移動させる動作規制手段を備えると共に、固定型および可動型のうちの少なくとも可動型側に、型開きの初期移動範囲において成形品の端部を押し入子側に変形させて突片を固定型の突部から離間させる端部離型手段を備えた構成としており、上記構成をもって従来の課題を解決するための手段としている。なお、請求項1において、突片の基端部は、成形品の本体部との角部分を含むものであり、固定型においてアンダーカット状態を成す突部は、望ましくは、成形品の突片よりも小さい突出寸法を有するものとする。また、エジェクト手段の作動前である可動型の型開きの初期移動範囲は、上記突部の突出寸法や、可動型の移動方向に対して押し入子の移動方向が成す傾斜角度に基づいて設定する。
【0010】
本発明に係わる射出成形装置は、請求項2として、押し入子が、可動型の移動方向に対して傾斜した方向に可動型本体を摺動自在に貫通する保持ロッドを備えており、動作規制手段が、可動型の移動方向に移動可能であり且つ保持ロッドの反押し入子側の端部を可動型の移動方向に対して直交する方向に摺動自在に保持する保持プレートと、型開きの初期移動範囲において保持プレートを可動型本体側に押圧する弾性体と、保持プレートに一端部が固定され且つ型閉じ状態において他端部が固定型に当接するリターンピンを備えている構成とし、請求項3として、エジェクト手段が、保持プレートと可動型本体との間に配置され且つ動作規制手段の弾性体の押圧により移動した保持プレートが当接するエジェクトプレートと、エジェクトプレートに固定され且つ可動型本体を貫通する成形品押し出し用のエジェクトピンと、互いに当接した保持プレートおよびエジェクトプレートを可動型本体側に移動させるプレート駆動機構を備えた構成としている。なお、請求項3において、プレート駆動機構としては、保持プレートを駆動して両プレートをに移動させるものや、所定の負荷により係脱する機構で両プレートを連結してからエジェクトプレートを駆動するものを用いることができる。
【0011】
また、本発明に係わる射出成形装置は、請求項4として、端部離型手段が、可動型の押し入子に、成形品の突片の内側に凹凸を成形する凹凸成形部を備えている構成とし、請求項5として、可動型が、動作規制手段および端部離型手段の作動後からエジェクト手段の作動完了に至る間に成形品の突片を押し入子から離間させる突片離型手段を備えている構成とし、請求項6として、突片離型手段が、可動型の移動方向に直交する方向に押し入子を摺動自在に貫通し且つ一端部が成形品の突片に対応する離型ピンと、離型ピンの一端部の面と押し入子の外側面とが同一面になる状態に離型ピンを弾性保持するスプリングと、可動型本体に形成され且つ押し入子の移動に伴って離型ピンの他端部が摺動接触する内壁面を備え、可動型本体の内壁面が、可動型の初期移動範囲に対応し且つ押し入子の移動方向に沿う傾斜面と、傾斜面に連続して可動型の移動方向に沿うピン押圧用平面を有している構成としている。
【0012】
さらに、本発明に係わる射出成形装置は、請求項7として、端部離型手段が、押し入子との間で成形品の突片を成形し且つ可動型本体に対して押し入子側に進退可能な突片成形ブロックを備えると共に、突片成形ブロックおよび固定型に、可動型の初期移動範囲において協働して突片成形ブロックを押し入子側に前進させるカム機構を備えた構成とし、請求項8として、突片成形ブロックが、型閉じ位置よりも反押し入子側に後退可能に保持されており、カム機構が、突片成形ブロックおよび固定型のいずれか一方に、カムを備えると共に、他方に、カムが摺動自在に係合して突片成形ブロックを型閉じ位置の前後範囲に進退動作させるするたカム溝を備えた構成としている。なお、請求項8において、カム機構を構成するカムおよびカム溝は、少なくとも可動型の初期移動範囲において互いに係合するものであれば良く、例えばカム溝の端部を開放した構成とし、固定型と可動型が大きく離間するのに伴ってカムおよびカム溝が完全に離間するようにしても良い。
【0013】
【発明の作用】
本発明の請求項1に係わる射出成形装置では、本体部に対して折返す方向に突出する突片により端部がアンダーカット状態となる成形品に対して、可動型の押し入子が成形品の端部内側に対応し、固定型においてアンダーカット状態の突部が突片の基端部外側に対応する。つまり、固定型の突部により、突片の基端部外側(本体部と突片との角部分外側)に面取り等の所定成形部位を成形する。これにより、固定型と可動型の合せ面は、突片側に設定されることになり、成形品の本体部に両型の合せ面による段部が発生しないものとなっている。
【0014】
そして、当該射出成形装置では、型開きした際に可動型側に成形品が残るものとなっており、可動型の型開き過程において、固定型の突部から成形品の突片の基端部外側を離型するアンダーカット処理、および押し入子から成形品の端部を離型するアンダーカット処理を行い、最終的に可動型から成形品を離型する。
【0015】
具体的には、可動型が型開きを開始して初期移動範囲を移動すると、その間、押し入子は、動作規制手段によって可動型の移動方向への移動は規制されるが、可動型本体に対して傾斜した方向に移動自在であるから、固定型側に残された状態になりつつ可動型の移動方向に直交する方向すなわち成形品の端部から離間する方向に移動する。このように押し入子が移動すると、その移動分だけ押し入子と固定型との間隔が増大するので、その間に介在する成形品の端部の変形が可能になり、端部離型手段によって成形品の端部を押し入子側に変形させ、固定型の突部から成形品の突片の基端部外側を離型するアンダーカット処理を行う。
【0016】
その後、可動型が初期移動範囲を超えて移動すると、固定型と可動型とが大きく離間すると共に、可動型本体に対して押し入子が傾斜方向に大きくずれて、押し入子から成形品の端部を離型するアンダーカット処理を行い、最終的には押し入子およびエジェクト手段により可動型から成形品を離型する。
【0017】
本発明の請求項2に係わる射出成形装置では、可動型が型開きの初期移動範囲を移動する間、弾性体で保持プレートを可動型本体側に押圧することにより、可動型本体を貫通する保持ロッドを介して押し入子を固定型側に押圧し、同押し入子が可動型の移動方向に移動するのを規制する。このとき、保持ロッドは、傾斜した状態で可動型本体を摺動自在に貫通し、且つ保持プレートにおいて可動型の移動方向に直交する方向に摺動自在であるから、可動型の移動方向に直交する方向にずれる。その結果、保持ロッドとともに押し入子が可動型の移動方向に直交する方向すなわち成形品の端部から離間する方向に移動する。
【0018】
また、型閉じの際には、固定型にリターンピンが当接することにより、可動型本体に対して保持プレートが型閉じの位置に復帰すると共に、弾性体が蓄圧状態となり、保持プレートに連結した保持ロッドとともに押し入子が型閉じの位置に復帰する。
【0019】
本発明の請求項3に係わる射出成形装置では、可動型が型開きの初期移動範囲を超えて移動すると、保持プレートをエジェクトプレートに当接させて可動型本体に対する押し入子の移動を一旦阻止し、可動型本体から押し入子が突出し過ぎないようにして成形品の大きな変形を防止する。その後、可動型がさらに移動すると、プレート駆動機構により、保持プレートおよびエジェクトプレートを可動型本体側に移動させる。実際には、可動型と両プレートとは相対的に移動するので、プレート駆動機構は、移動する可動型に対して両プレートの移動を阻止する働きをする。その結果、可動型から押し入子およびエジェクトピンが突出して成形品を離型させる。
【0020】
本発明の請求項4に係わる射出成形装置では、可動型の押し入子に設けた凹凸成形部で成形品の突片の内側に凹凸を成形し、凹凸部分の互いに係合により成形品の端部を押し入子に拘束する。そして、型開きの初期移動範囲において押し入子が成形品の端部から離間する方向に移動した際に、成形品の端部を押し入子とともに移動させて変形させ、このように成形品の端部を押し入子側に変形させて成形品の突片の基端部外側を固定型の突部から離間させる。
【0021】
本発明の請求項5に係わる射出成形装置では、請求項4に記載の端部離型手段によって成形品の突片の基端部外側を固定型の突部から離間させた後、エジェクト手段の作動前に、突片離型手段により成形品の突片を押し入子から離間させて、押し入子の凹凸成形部と成形品の凹凸との係合を解除し、その後に行う成形品の離型を容易にする。
【0022】
本発明の請求項6に係わる射出成形装置では、請求項4に記載の端部離型手段によって成形品の突片の基端部外側を固定型の突部から離間させ、さらに、成形品の突片を押し入子から離間させる場合において、可動型の型開きに伴って可動型本体と押し入子とが相対的に移動する際に、押し入子に設けた離型ピンの他端部が可動型本体の内壁面に沿って摺動する。このとき、可動型が初期移動範囲を移動する間すなわち押し入子とともに成形品の突片の基端部外側を固定型の突部から離間させる間は、可動型本体の内壁面が押し入子の移動方向に沿う傾斜面になっているので、押し入子と離型ピンの位置関係は変化せず、離型ピンの一端部の面と押し入子の外側面とが同一面になる状態に維持される。その後、成形品の突片の基端部外側が固定型の突部から離間すると、可動型本体の内壁面が可動型の移動方向に沿うピン押圧用平面になっており、且つ押し入子が可動型本体に対して傾斜した方向に移動し続けるので、離型ピンがスプリングに抗して一端部方向に移動し、その結果、離型ピンの一端部が押し入子から突出して同押し入子から成形品の突片を離型させる。
【0023】
本発明の請求項7に係わる射出成形装置では、可動型の型開きの初期移動範囲において、押し入子が成形品の端部から離間する方向に移動すると、可動型の突片成形ブロックおよび固定型に設けたカム機構の働きで突片成形ブロックが押し入子側に前進し、この突片成形ブロックにより成形品の端部を押し入子側に変形させて成形品の突片の基端部外側を固定型の突部から離間させる。
【0024】
本発明の請求項8に係わる射出成形装置では、可動型の型開きの初期移動範囲において、押し入子が成形品の端部から離間する方向に移動すると、可動型の突片成形ブロックおよび固定型に設けたカム機構すなわちカムとカム溝とから成るカム機構の働きにより突片成形ブロックが押し入子側に前進し、成形品の端部を押し入子側に変形させて成形品の突片の基端部外側を固定型の突部から離間させる。その後、同カム機構の働きにより突片成形ブロックを型閉じ位置よりも反押し入子側に後退させ、これにより成形品の端部を解放して同端部の永久変形を防止する。
【0025】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わる射出成形装置によれば、本体部に対して折返す方向に突出する突片により端部がアンダーカット状態となる成形品を射出成形する場合に、突片の基端部外側に、成形後の加工が不要となる状態で面取り等の所定成形部位を成形することができるようになり、例えば成形品が自動車の車体パネルである場合には、固定型と可動型との合せ面を突片の基端部よりも先の部分すなわち車体外観面にならない部分に設定することで、突片の基端部外側を含む車体外観面をきわめて良好に成形することができ、また、固定型と可動型との合せ面で段部が発生したとしても外観品質に何ら影響がないので、段部を除去する加工が一切不要になり、工数の削減や低コスト化なども実現することができる。
【0026】
さらに、請求項1に係わる射出成形装置によれば、上記した効果に加えて、可動型の型開きの初期移動範囲において作動する動作規制手段および端部離型手段と、その後に作動するエジェクト手段を採用したことにより、固定型の突部から成形品の突片の基端部外側を離間させるアンダーカット処理、押し入子から成形品の端部を離型するアンダーカット処理、および成形品の離型を非常に円滑に行うことができる。しかも、固定型において突部がアンダーカット状態を成すものの、各手段の構成の全部あるいは大半が可動型側に設けられ、とくに動作規制手段はエジェクト手段に付随する構成にすることが可能であるため、装置の構造を簡単にすることができるとともに設備の大幅な変更も不要であり、設備費の低減や維持管理の容易化なども実現することができる。
【0027】
本発明の請求項2に係わる射出成形装置によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるうえに、保持ロッドを備えた押し入子と、保持プレート、弾性体およびリターンピンを備えた動作規制手段を採用したことにより、押し入子を駆動するためのアクチュエータ類が一切不要であって、可動型の型開き動作を利用した至って簡単な構造により押し入子を成形品の端部から離間させることができると共に、型閉じ動作を利用して押し入子を正しい型閉じ位置に復帰させることができ、装置の構造のさらなる簡略化や設備費のさらなる低減などに貢献することができる。
【0028】
本発明の請求項3に係わる射出成形装置によれば、請求項2と同様の効果を得ることができるうえに、エジェクトプレート、エジェクトピンおよびプレート駆動機構を備えたエジェクト手段を採用したことにより、動作規制手段および端部離型手段の作動後には、可動型本体からの押し入子の過大な突出を阻止して成形品の大きな変形を防止することができ、その後は、押し入子から成形品の端部を離型するアンダーカット処理を行いながら、押し入子をエジェクトピンと同様に使用して成形品の離型を良好に行うことができる。この際、押し入子の保持プレートとエジェクトプレートとを共通のプレート駆動機構で駆動することから、この点においても構造の簡略化や設備費の低減に貢献することができる。
【0029】
本発明の請求項4に係わる射出成形装置によれば、請求項1〜3と同様の効果を得ることができるうえに、端部離型手段として可動型の押し入子に凹凸形成部を設けたことから、押し入子を成形品の端部から離間する方向に移動させたときに、きわめて簡単な構造により、移動する押し入子に成形体の端部を拘束した状態にして、固定型の突部から成形品の突片の基端部外側を離型するアンダーカット処理を確実に行うことができる。
【0030】
本発明の請求項5に係わる射出成形装置によれば、請求項4と同様の効果を得ることができるうえに、請求項4に記載の端部離型手段によって成形品の突片の基端部外側を固定型の突部から離間させた後、突片離型手段で成形品の突片と押し入子との凹凸部分の係合を解除することから、押し入子から成形品の端部を離型するアンダーカット処理および可動型からの成形品の離型を容易に行うことができる。
【0031】
本発明の請求項6に係わる射出成形装置によれば、請求項5と同様の効果を得ることができるうえに、傾斜面とピン押圧用平面を有する可動型本体の内壁面、離型ピンおよびスプリングを備えた突片離型手段を採用したことから、可動型本体と押し入子との相対的な移動を利用したきわめて簡単な構造により、成形品の突片を押し入子から確実に離間させることができる。
【0032】
本発明の請求項7に係わる射出成形装置によれば、請求項1〜3と同様の効果を得ることができるうえに、突片成形ブロックおよびカム機構を備えた端部離型手段を採用したことから、押し入子を成形品の端部から離間する方向に移動させた際に、可動型の型開き動作を利用した簡単な構造によって、突片成形ブロックで成形品の端部を押圧して、固定型の突部から成形品の突片の基端部外側を離型するアンダーカット処理を確実に行うことができ、とくに、突片成形ブロックで成形品の突片の基端部外側を固定型の突部から押出す構造であるから、固定型の突部と成形品との干渉をより確実に回避することができる。
【0033】
本発明の請求項8に係わる射出成形装置によれば、請求項7と同様の効果を得ることができるうえに、端部離型手段のカム機構としてカムおよびカム溝を採用したことから、可動型の型開き動作を利用したきわめて簡単な構造により、端部離型手段の突片成形ブロックを円滑に進退駆動することができ、また、固定型の突部から成形品の突片の基端部外側を離型するアンダーカット処理の後に、突片成形ブロックを型閉じ位置よりも反押し入子側に後退させることにより、成形品の端部を解放して同端部の永久変形を防止することができ、ひいては成形品の品質向上に貢献し得る。
【0034】
【実施例】
図1〜図6は本発明に係わる射出成形装置の一実施例を説明する図である。
【0035】
図1〜図3に示す射出成形装置は、下側の固定型1と上側の可動型2との間において、突片Bにより端部がアンダーカット状態となる成形品Aを射出成形する。この実施例の成形品Aは、図14に示す自動車のフロントフェンダ・パネルであって、エンジンフード・パネルHとの合せ部分に、本体部に対して折返す方向に突出する断面概略L形の突片Bを有すると共に、本体部との角部分を含む突片Bの基端部Dの外側に、外観品質等を考慮して面取りRが施してある。つまり、この成形品Aは、固定型1と可動型2との間で本体部を横向きにして射出成形した際に、突片Bが型開き動作を妨げる状態すなわちアンダーカット状態となる。なお、特許請求の範囲に記載した『可動型の移動方向』は図1の上下方向であり、同じく『可動型の移動方向に直交する方向』は図1の左右方向である。
【0036】
固定型1は、図示しない溶融樹脂供給装置に固定される取付け板3と、成形空間を形成する固定型本体4を備えると共に、1次スプルーブッシュ5、ホットランナブロック6および2次スプルーブッシュ7によって溶融樹脂供給装置から成形空間に至るゲートを形成しており、取付け板3およびホットランナブロック6と固定型本体4との間には断熱板8が介装してある。
【0037】
可動型2は、図示しない昇降装置に固定される取付け板9と、成形空間を形成する可動型本体10を備えると共に、取付け板9と可動型本体10との間に、複数のスペーサ11を設けて後記するプレート類の収容空間12を形成し、取付け板9とスペーサ11との間には断熱板13が介装してある。
【0038】
そして、射出成形装置は、可動型2に、成形品Aの端部内側に対応し且つ可動型本体10との間で突片Bを成形する押し入子14と、型開きの過程で作動して成形品Aを離型させるエジェクト手段を備えると共に、固定型1の固定型本体4に、突片Bの基端部Dの外側に対応して面取りRを成形する突部15をアンダーカット状態に備えている。つまり、当該射出成形装置では、固定型1側で面取りRを成形することにより、固定型1と可動型2の合せ面が突片Bの水平部分に設定されることになり、成形品Aの本体部に両型1,2の合せ面による段部(図16参照)が発生しないものとなっている。
【0039】
さらに、射出成形装置は、可動型2に、エジェクト手段の作動前である型開きの初期移動範囲において可動型2の移動方向への押し入子14の移動を規制することで同押し入子14を成形品Aの端部から離間する方向(図1の右方向)に移動させる動作規制手段を備えると共に、型開きの初期移動範囲において成形品Aの端部を押し入子14側に変形させて突片Bの基端部Dの外側を固定型1の突部15から離間させる端部離型手段を備えている。なお、可動型2の可動型本体10は、その一部を分割した状態の突片成形ブロック16を備えており、固定の突片成形ブロック16と可動の押し入子14との間で突片Bを成形する。
【0040】
押し入子14は、可動型本体10を一部分割したブロック状を成すと共に、上側に保持ロッド17の下端部が連結してある。保持ロッド17は、可動型2の移動方向に対して傾斜した方向に可動型本体10を摺動自在に貫通している。これにより、押し入子14は、保持ロッド17の軸線方向すなわち成形品Aの端部から離間する傾斜方向に移動自在に保持されている。
【0041】
保持ロッド17は、反押し入子側の端部である上端部が、収容空間12において昇降可能な保持プレート18に連結してある。このとき、保持ロッド17は、保持プレート18を貫通すると共に、上端部にスライドブロック19を備えている。他方、保持プレート18の上面には、スライドブロック19が摺動自在に係合するスライドプレート20が設けてある。これにより、保持ロッド17は、保持プレート18に対して、上下方向の移動が規制され、且つ傾斜に対応した水平方向に移動可能になっている。
【0042】
保持プレート18は、型開きの初期移動範囲において当該保持プレート18を可動型本体10側に押圧する弾性体21と、可動型本体10を摺動自在に貫通し且つ型閉じ状態において下端部が固定型本体4の上面に当接するリターンピン22を備えている。弾性体21は、型閉じ状態において上側の取付け板9との間で圧縮され、保持プレート18を下側に押圧する。そして、この実施例では、保持プレート18、弾性体21およびリターンピン22により、型開きの初期移動範囲において押し入子14の上昇のみを規制する動作規制手段を構成している。
【0043】
エジェクト手段は、保持プレート18と可動型本体10との間に配置され且つ弾性体21の押圧により移動した保持プレート18が当接するエジェクトプレート23と、エジェクトプレート23に固定され且つ可動型本体10を貫通する成形品押し出し用の複数のエジェクトピン24と、互いに当接した保持プレート18およびエジェクトプレート23を可動型本体10側に移動させるプレート駆動機構を備えている。
【0044】
各エジェクトピン24には、エジェクトプレート23と可動型本体10との間に保持ばね26が介装してある。また、エジェクトプレート23には、その上側の保持プレート18を貫通して取付け板9に当接するストッパピン34が設けてある。そして、エジェクトプレート23は、保持ばね26およびストッパピン34によって可動型本体10との間隔が一定に保たれている。この状態において、各エジェクトピン24は、その下端面が可動型本体10の下面と同一面状となる位置に保持される。さらに、取付け板9と可動型本体10との間には、保持プレート18およびエジェクトプレート23を上下方向に案内するガイドロッド25が設けてある。
【0045】
プレート駆動機構は、エジェクトプレート23に固定され且つ保持プレート18および取付け板9を貫通する駆動ロッド27と、両プレート18,19間で互いに係脱可能な係合装置28で構成してある。駆動ロッド27は、図示しない上端面が昇降装置側の固定部位に相対向する状態で配置してあり、可動型2の上昇過程で固定部位に当接する。係合装置28は、例えば、一対のローラを弾性保持した一方の装置と両ローラ間への係合体を設けた他方の装置とから成ると共に、所定以上の負荷によって両ローラと係合体とを係合離脱させるものであって、両プレート18,23の外周の数箇所に設けてある。つまり、この実施例のプレート駆動機構は、可動型2の上昇過程において、係合装置28で両プレート18,19を一体化させ、その後、駆動ロッド27を固定部位に当接させて両プレート18,23の上昇を阻止することにより、可動型本体10に対して両プレート18、23を相対的に移動させるものとなっている。
【0046】
端部離型手段は、可動型2の押し入子14に、成形品Aの突片Bの内側、とくに図3において突片Bの水平部分の下面に凹凸(この実施例では凸)を成形する凹凸成形部29を備えている。この実施例では、2個の凹凸成形部29が設けてある。また、この実施例では、押し入子14に上記端部離型手段を設けたことから、可動型2に、動作規制手段(18,21,22)および端部離型手段(29)の作動後からエジェクト手段(23,24,27,28)の作動完了に至る間に成形品Aの突片Bを押し入子14から離間させる突片離型手段を備えている。
【0047】
突片離型手段は、平面状の一端部および球面状の他端部を有する離型ピン30と、離型ピン30を他端部方向(図3の右方向)に付勢するスプリング31と、離型ピン30の他端部が摺動接触する可動型本体10の内壁面32を備えている。離型ピン30は、押し入子14を水平方向に摺動自在に貫通すると共に、一端部図3において突片Bの垂直部分に対応している。そして、スプリング31で他端部方向に付勢される一方で、押し入子14に固定したストッパ33によって他端部側への移動が規制されており、この状態で、一端部の面が押し入子14の外側面と同一面になるように保持されている。可動型本体10の内壁面32は、可動型2の初期移動範囲に対応し且つ押し入子14の移動方向に沿う上側の傾斜面32Aと、傾斜面32Aに連続して可動型2の移動方向に沿う垂直なピン押圧用平面32Bを有している。
【0048】
上記の射出成形装置では、固定型本体4においてアンダーカット状態である突部15の突出寸法が、成形品Aの突片Bの突出寸法よりも明らかに小さいものとなっている。また、エジェクト手段の作動前である可動型2の型開きの初期移動範囲は、上記突部15の突出寸法や、可動型2の移動方向に対して押し入子14の移動方向が成す傾斜角度に基づいて設定する。
【0049】
図1〜図3に示す型閉じの状態では、固定型本体4と可動型本体10および押し入子14との間で成形品Aの成形空間を形成しており、可動型2では、取付け板9と保持プレート18との間で弾性体21を圧縮すると共に、保持プレート18とエジェクトプレート23とが一定の隙間S1をおいて保持されている。そして、型開きの初期移動範囲は、図2に示す上記隙間S1に相当し、また、突片離型手段を構成する傾斜面32Aにおいて、離型ピン30の中心から傾斜面32Aの下端までの高さS2に相当する。
【0050】
次に、上記構成を備えた射出成形装置の作用を説明する。
【0051】
当該射出成形装置では、型開きした際に可動型2側に成形品Aが残るものとなっており、可動型2の型開き過程において、固定型本体4の突部15から成形品Aにおける突片Bの基端部Dの外側を離型するアンダーカット処理、および押し入子14から成形品Aの端部を離型するアンダーカット処理を行い、最終的に可動型2から成形品Aを離型する。
【0052】
すなわち、射出成形装置では、図1〜図3に示す型閉じの状態にして成形空間に溶融樹脂を加圧充填し、溶融樹脂が凝固した後に可動型2を上昇させる。可動型2が型開きを開始して初期移動範囲を上昇すると、その間、押し入子14は、動作規制手段の弾性体21によって押し下げられるので、実質的に上方向の移動が規制される。このとき、押し入子14は、可動型本体10に対しては保持ロッド17を介して傾斜した方向に移動自在であり、また、保持プレート18に対しては保持ロッド17を介して水平方向に移動自在であるから、可動型本体10の上昇に伴って、図4および図5に示すように、固定型1側に残された状態になりつつ成形品Aの端部から離間する水平方向に移動することになる。
【0053】
さらに、射出成形装置では、初期移動範囲に相当する分だけ固定型本体4と可動型本体10とが離間し、押し入子14と可動型本体10とが離間すると共に、保持プレート18がエジェクトプレート23に当接して、両プレート18,23が係合装置28により連結される。これにより、可動型本体10に対する保持プレート18の接近を一旦阻止し、可動型本体10から押し入子14が突出し過ぎないようにして、成形品Aの大きな変形を防止する。
【0054】
また、突片離型手段では、初期移動範囲の間、離型ピン30の他端部が押し入子14の移動方向に沿う傾斜面32Aに接触しているので、押し入子14と離型ピン30の位置関係は変化せず、離型ピン30の一端部の面と押し入子14の外側面とが同一面状に維持される。そして、離型ピン30の他端部中心が傾斜面32Aとピン押圧用平面32Bとの境目に到達する。
【0055】
上記の如く押し入子14が水平移動すると、その移動分だけ押し入子14と固定型本体4との間隔が増大するので、その間に介在する成形品Aの端部の変形が可能になり、端部離型手段によって成形品Aの端部を押し入子側に変形させ、固定型本体4の突部15から成形品Aにおける突片Bの基端部Dの外側を離型するアンダーカット処理を行う。つまり、この実施例では、端部離型手段が押し入子14に設けた凹凸成形部29であるから、凹凸成形部29で突片Bに凹部が成形され、凹凸部分の互いに係合によって成形品Aの端部が押し入子14に拘束された状態になっている。したがって、押し入子14が水平方向に移動すると、成形品Aの端部が変形を伴って押し入子14とともに移動し、突片Bを含む端部を固定型本体4および突部15から強制的に剥すように離型させる。
【0056】
その後、可動型2が初期移動範囲を超えて上昇すると、可動型2とともに押し入子14も上昇して固定型1と可動型2とが大きく離間し、その後、エジェクト手段および突片離型手段が作動を開始する。エジェクト手段では、駆動ロッド27の上端部が昇降装置側の固定部位に当接し、係合装置28により連結された保持プレート18およびエジェクトプレート23の上昇を阻止する。これにより、上昇し続ける可動型本体10に対して、押し入子14が斜め下方に突出すると共に、保持ばね26を圧縮しつつエジェクトピン24も下方に突出する。
【0057】
また、上記の如くエジェクト手段が作動を開始すると、突片離型手段では、離型ピン30の他端部がピン押圧用平面32Bに接触する。このとき、押し入子14が傾斜方向に移動するのに対して、離型ピン30が接触するピン押圧用平面32Bが垂直面となっているので、図6に示すように、離型ピン30がスプリング31に抗して一端部方向に移動し、離型ピン30の一端部が押し入子14から突出し、凹凸成形部29と突片Bの凹部との係合を強制的に解除して押し入子14から突片Bを離型させる。
【0058】
このように、当該射出成形装置では、端部離型手段として凹凸成形部29を採用しているので、上記のタイミングで作動する突片離型手段、すなわちエジェクト手段の作動開始とともに作動を開始し且つエジェクト手段の作動完了以前に作動を完了する突片離型手段を用いることにより、成形品Aを離型する際の端部の変形を防止すると共に、全体の離型を容易にする。
【0059】
その後は、可動型本体10から押し入子14が斜め下方に大きく突出して、押し入子14から成形品Aの端部を離型するアンダーカット処理を終了し、同時に可動型本体10からエジェクトピンが下方に大きく突出し、最終的に押し入子14およびエジェクトピン24で成形品Aを可動型2から完全に離型させる。
【0060】
さらに、射出成形装置は、次の射出成形を行うために可動型2を下降させていくと、型開きの際に圧縮された保持ばね26の作用により、両プレート18,23および押し入子14がその位置に止まろうとするのに対して可動型本体10が下降し、この相対的な移動によりエジェクトピン24が型閉じの位置に復帰するのに続いて、離型ピン30の他端部が傾斜面32Aに移行し、同離型ピン30がスプリング31の作用により型閉じの位置に復帰する。また、ストッパピン34が取付け板9に当接して、エジェクトプレート23と可動型本体10との相対的な移動が停止する。
【0061】
そして、さらに可動型2が下降すると、型開きの初期移動範囲である型閉じの最終移動範囲において、リターンピン22が固定型本体4の上面に当接して保持プレート18の下降を阻止し、このとき、エジェクトプレート23はストッパピン34により上方向の移動が規制されているので、係合装置28が解除されて保持プレート18がエジェクトプレート23から離間すると共に、弾性体21を圧縮しつつ保持プレート18、保持ロッド17および押し入子14が型閉じの位置に復帰する。
【0062】
このように、上記実施例で説明した射出成形装置は、本体部に対して折返す方向に突出する突片Bにより端部がアンダーカット状態となる成形品(フロントフェンダ・パネル)Aを射出成形するに際し、固定型1と可動型2との合せ面(突部15と可動型本体10との合せ面)を車体外観面にならない突片B側に設定して、突片Bの基端部Dの外側に、成形後の加工が不要となる状態で面取りRを成形し得ることとなり、面取りRを含む車体外観面をきわめて良好に成形する。また、たとえ固定型1と可動型2との合せ面で段部が発生したとしても外観品質には何ら影響がないので、後に段部を除去する加工が一切不要である。
【0063】
さらに、上記射出成形装置は、複数箇所にアンダーカット状態を有するものであるが、プレート駆動機構(27,28)を含むエジェクト手段(23,24,27,28)、動作規制手段(18,21,22)、端部離型手段(29)および突片離型手段(30,31,32A,32B)を採用したことにより、固定型本体4の突部15から成形品Aにおける突片Bの基端部Dの外側を離間させるアンダーカット処理、押し入子14からの成形品Aの突片Bの離型、押し入子14から成形品Aの端部を離型するアンダーカット処理、および成形品A全体の離型を連続的に円滑に行うものとなっている。
【0064】
しかも、エジェクト手段、端部離型手段および突片離型手段は、いずれも可動型1の型開き動作を利用して作動する簡単な構造であって、専用のアクチュエータ類が全く不要であり、とくに、動作規制手段はエジェクト手段に付随する構成にすることが可能であると共に、端部離型手段にあっては突片Bに凹凸を成形する凹凸成形部29というきわめて簡単な構造である。さらに、上記各手段はいずれも可動型1側に設けられるので、既存の設備を一部変更するだけで当該射出成形装置とすることも可能である。
【0065】
なお、上記実施例では、エジェクト手段におけるプレート駆動機構として、両プレート18,23を連結する係合装置28と、エジェクトプレート23を可動型本体10側に移動させる(型開きの際に上昇を阻止する)駆動ロッド27を例示したが、保持プレート18と昇降装置の固定部位との間に設ける駆動ロッドを採用することで、係合装置28を省略することも可能である。
【0066】
図7〜図11は、本発明に係わる射出成形装置の他の実施例を説明する図である。この実施例の射出成形装置は、先の実施例のものと比較すると、基本的な構成は図1に示すものとほぼ同様であるが、端部離型手段すなわち型開きの初期移動範囲において成形品Aの端部を押し入子14側に変形させて突片Bの基端部Dの外側を固定型1の突部15から離間させる手段が異なると共に、押し入子14には突片離型手段が無いものとなっている。なお、先の実施例と同一の構成部位は、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
図7に示す射出成形装置の端部離型手段は、押し入子14との間で成形品Aの突片Bを成形し且つ可動型本体10に対して押し入子14側に進退可能な突片成形ブロック16を備えると共に、突片成形ブロック16および固定型1の固定型本体4に、可動型1の初期移動範囲において協働して突片成形ブロック16を押し入子14側に前進させるカム機構を備えている。
【0068】
突片成形ブロック16は、可動型本体10との間に介装したスライド機構41により押し入子14に対して水平に進退可能であって、可動型本体10との間に介装した戻しばね42で後退方向(図7の左方向)に付勢してあると共に、可動型本体10に設けたストッパブロック43で後退位置が規制される。この突片成形ブロック16の進退範囲は、図7において突片Bの垂直部分に対応する先端部16Aが可動型本体10の内部側面よりも押し入子14側に突出する前進位置と、同先端部14Aが可動型本体10の内部側面よりも反押し入子14側に没入してストッパブロック43で規制される後退位置との間である。
【0069】
また、突片成形ブロック16は、型閉じの際にカム機構で位置決めすることが可能であるが、位置決め動作をより確実にするために後端部にカム面44を有しており、このカム面44を固定型本体4のカム面45に当接させることにより、先端部16Aが可動型本体10の内部側面と同一面状となる型閉じの位置に保持される。
【0070】
カム機構は、図8にも示すように、突片成形ブロック16の側面に設けた円形のカム46と、固定型本体4に設けたカムブロック47のカム溝48とで構成してある。カム溝48は、押し入子14側に屈曲した『く』の字形の溝であると共に、上端部が開放されており、突片成形ブロック16のカム46が摺動自在に係合する。
【0071】
上記構成を備えた射出成形装置は、射出成形をした後、可動型2の型開きの初期移動範囲において、図9に示すように、押し入子14が成形品Aの端部から離間する方向に水平移動すると、互いに係合しているカム溝48とカム46との相対的な移動に伴って、突片成形ブロック16が戻しばね42を圧縮しつつ押し入子14側に移動し、図10に示すように、先端部16Aによって突片Bを押し入子14側に押圧する。このとき、カム46は、『く』の字形を成すカム溝48の屈曲部分に位置している。これにより、成形品Aにおける突片Bの基端部Dの外側を固定型本体4の突部15から離型させるアンダーカット処理が行われる。
【0072】
次に、可動型2が初期移動範囲を超えて上昇し、成形品Aの端部が固定型本体4から完全に離間すると、カム溝48とカム46との相対的な移動に伴って突片成形ブロック16が後退し、図11に示すように、先端部16Aが可動型本体10の内部側面よりも後退する。これにより、成形品Aの端部は、その突片Bが押し入子14に引っ掛かった自由状態になり、永久変形が防止されると共に、後の離型が容易になる。また、可動型2がさらに上昇すると、カム46がカム溝48から離脱し、その後は先の実施例と同様に成形品Aの離型が行われる。
【0073】
このように、上記実施例の射出成形装置にあっても、とくに端部離型手段(16,46,48)において、専用のアクチュエータ類を用いることなく、可動型2の型開き動作を利用する簡単な構造により、突部15から突片Bの基端部Dの外側を離型するアンダーカット処理が良好に行われることとなる。
【0074】
ここで、突部15から突片Bの基端部Dの外側を離型する場合、先の実施例のように、凹凸の係合で成形品Aの端部を押し入子14に拘束するものでは、成形品Aの端部が押し入子14側に変形する際に、同端部がやや上方にも変形することから、図12に示すように、面取りRの部分が円弧状の軌跡C1を描きながら離型する。これに対して、上記実施例のように、突片成形ブロック16で突片Bの基端部Dの外側を突部15から水平に押出すものでは、図13に示すように、面取りRの部分が直線状の軌跡C2を描きながら離型するので、突部15と成形品Aとの干渉をより確実に回避することができる。したがって、突片Bの基端部Dの外側に面取りRを成形する場合には、各実施例のいずれもとくに問題は無いが、例えば、突片Bの基端部Dの外側に段状の所定成形部位を設ける場合には、上記実施例のように突片Bを水平に押出す構造である方がより望ましい。
【0075】
なお、上記実施例では、カム機構として、突片成形ブロック16側のカム46と固定型本体4側のカムブロック46およびカム溝48を例示したが、カム46とカム溝48とを上下逆の関係にすることが可能であると共に、それ以外のカム機構も当然採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる射出成形装置の一実施例を説明する断面図である。
【図2】図1に示す射出成形装置の要部を説明する断面図である。
【図3】図1に示す押し入子付近を拡大して説明する断面図である。
【図4】可動型が初期移動範囲を上昇したときの射出成形装置の要部を説明する断面図である。
【図5】図4に示す押し入子付近を拡大して説明する断面図である。
【図6】図5の状態からさらに可動型が上昇して突片離型手段が作動した状態を説明する断面図である。
【図7】本発明に係わる射出成形装置の他の実施例を説明する図であって、型閉じ状態における押し入子付近を拡大して説明する断面図である。
【図8】突片成形ブロックおよびカムブロックとともにカム機構を説明する斜視図である。
【図9】図7に示す状態から可動型が初期移動範囲を上昇した状態を説明する断面図である。
【図10】図9に示す状態から可動型がさらに上昇して突片離型手段の突片成形ブロックが前進した状態を説明する断面図である。
【図11】図10に示す状態から可動型がさらに上昇して突片成形ブロックが後退した状態を説明する断面図である。
【図12】図1〜図6に示す実施例の射出成形装置において、固定型の突部から突片の基端部外側が離型する際の軌跡を説明する断面図である。
【図13】図7〜図11に示す実施例の射出成形装置において、固定型の突部から突片の基端部外側が離型する際の軌跡を説明する断面図である。
【図14】成形品の一例として自動車のフロントフェンダ・パネルを説明する車体外側の斜視図(a)、車体内側の斜視図(b)およびフード・パネルとの合せ部分を示す断面図(c)である。
【図15】従来の射出成形装置を説明する型閉じ状態の断面図(a)、型開き途中の断面図(b)および型開き完了の断面図(c)である。
【図16】従来の射出成形装置における固定型と可動型との合せ面および成形品を説明する各々断面図(a)(b)である。
【符号の説明】
A 成形品
B 突片
D 突片の基端部
1 固定型
2 可動型
10 可動型本体
14 押し入子
15 突部
16 突片成形ブロック(端部離型手段)
17 保持ロッド
18 保持プレート(動作規制手段)
21 弾性体(動作規制手段)
22 リターンピン(動作規制手段)
23 エジェクトプレート(エジェクト手段)
24 エジェクトピン(エジェクト手段)
27 駆動ロッド(エジェクト手段のプレート駆動機構)
28 係合装置(エジェクト手段のプレート駆動機構)
29 凹凸成形部(端部離型手段)
30 離型ピン(突片離型手段)
31 スプリング(突片離型手段)
32 内壁面(突片離型手段)
32A 傾斜面(突片離型手段)
32B ピン押圧用平面(突片離型手段)
46 カム(端部離型手段のカム機構)
48 カム溝(端部離型手段のカム機構)

Claims (8)

  1. 固定型および可動型を備えると共に、本体部に対して折返す方向に突出する突片により端部がアンダーカット状態となる成形品を射出成形する装置であって、可動型に、成形品の端部内側に対応し且つ可動型本体との間で突片を成形する押し入子と、型開きの過程で作動して成形品を離型させるエジェクト手段を備えると共に、固定型に、突片の基端部外側に対応する突部をアンダーカット状態に備え、押し入子は、可動型本体において可動型の移動方向に対して傾斜した方向に移動自在に保持してあり、可動型に、エジェクト手段の作動前である型開きの初期移動範囲において可動型の移動方向への押し入子の移動を規制することで同押し入子を成形品の端部から離間する方向に移動させる動作規制手段を備えると共に、固定型および可動型のうちの少なくとも可動型側に、型開きの初期移動範囲において成形品の端部を押し入子側に変形させて突片の基端部外側を固定型の突部から離間させる端部離型手段を備えたことを特徴とする射出成形装置。
  2. 押し入子が、可動型の移動方向に対して傾斜した方向に可動型本体を摺動自在に貫通する保持ロッドを備えており、動作規制手段が、可動型の移動方向に移動可能であり且つ保持ロッドの反押し入子側の端部を可動型の移動方向に対して直交する方向に摺動自在に保持する保持プレートと、型開きの初期移動範囲において保持プレートを可動型本体側に押圧する弾性体と、保持プレートに一端部が固定され且つ型閉じ状態において他端部が固定型に当接するリターンピンを備えていることを特徴とする請求項1に記載の射出成形装置。
  3. エジェクト手段が、保持プレートと可動型本体との間に配置され且つ動作規制手段の弾性体の押圧により移動した保持プレートが当接するエジェクトプレートと、エジェクトプレートに固定され且つ可動型本体を貫通する成形品押し出し用のエジェクトピンと、互いに当接した保持プレートおよびエジェクトプレートを可動型本体側に移動させるプレート駆動機構を備えたことを特徴とする請求項2に記載の射出成形装置。
  4. 端部離型手段が、可動型の押し入子に、成形品の突片の内側に凹凸を成形する凹凸成形部を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形装置。
  5. 可動型が、動作規制手段および端部離型手段の作動後からエジェクト手段の作動完了に至る間に成形品の突片を押し入子から離間させる突片離型手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の射出成形装置。
  6. 突片離型手段が、可動型の移動方向に直交する方向に押し入子を摺動自在に貫通し且つ一端部が成形品の突片に対応する離型ピンと、離型ピンの一端部の面と押し入子の外側面とが同一面になる状態に離型ピンを弾性保持するスプリングと、可動型本体に形成され且つ押し入子の移動に伴って離型ピンの他端部が摺動接触する内壁面を備え、可動型本体の内壁面が、可動型の初期移動範囲に対応し且つ押し入子の移動方向に沿う傾斜面と、傾斜面に連続して可動型の移動方向に沿うピン押圧用平面を有していることを特徴とする請求項5に記載の射出成形装置。
  7. 端部離型手段が、押し入子との間で成形品の突片を成形し且つ可動型本体に対して押し入子側に進退可能な突片成形ブロックを備えると共に、突片成形ブロックおよび固定型に、可動型の初期移動範囲において協働して突片成形ブロックを押し入子側に前進させるカム機構を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形装置。
  8. 突片成形ブロックが、型閉じ位置よりも反押し入子側に後退可能に保持されており、カム機構が、突片成形ブロックおよび固定型のいずれか一方に、カムを備えると共に、他方に、カムが摺動自在に係合して突片成形ブロックを型閉じ位置の前後範囲に進退動作させるするたカム溝を備えたことを特徴とする請求項7に記載の射出成形装置。
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