JP4273838B2 - 内燃機関の始動制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などに搭載される内燃機関に関し、特に内燃機関の始動を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関の始動時にクランクシャフトを回転駆動(クランキング)させる手段としては電動機が一般的である。このような電動機は気筒内のガス圧縮力や内燃機関各部のフリクションに抗してクランクシャフトを回転駆動させる必要があるため、電動機の定格及び消費電力が大きくなり易い。
【0003】
特に、車両の停止期間中に内燃機関の運転を自動的に停止させるシステム(所謂、アイドルストップシステム)では、運転者の発進要求に対して即座に内燃機関を始動させる必要があるため、電動機に係る負荷が増大し、以て電動機の定格及び消費電力が一層大きくなることが懸念される。
【0004】
これに対し、クランキング開始前にクランクシャフトを一旦逆回転させるべく電動機を作動させ、その際に発生するガス圧縮力をクランキングに利用することにより、電動機に係る負荷を低減させようとする技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
更に、クランクシャフトを正転側に駆動させた後に該クランクシャフトの回転が停止したときに、該時点で圧縮行程上死点直前にある気筒における吸気弁が開弁する直前まで、クランクシャフトを逆転させる。その結果、ピストンリングをピストンリング溝内で浮き上がらせることで、該気筒内の圧力を外部に抜いて低下させる。そして、再びクランクシャフトを正転するとき、該気筒内の圧縮圧力による抵抗が低減されていることで、クランキングを容易にする技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。また、クランクシャフトの逆回転制御により、ピストンの停止位置を圧縮上死点直後の位置とすることで、内燃機関の始動性を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0006】
更に、内燃機関の始動時において、吸気行程又は圧縮行程にある気筒における燃焼室内に燃料を直接噴射して、該燃料による燃焼トルクによって内燃機関の機関始動に必要とされる駆動トルクを低減させて、内燃機関の始動性を改善する技術が提案されている(例えば、特許文献4を参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−64451号公報
【特許文献2】
特開2002−147319号公報
【特許文献3】
特開2002−130095号公報
【特許文献4】
特開平11−159374号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来の技術では、内燃機関の気筒内に残存するガス量が少ない場合や気筒内の温度が低い場合等にガス圧縮力が高まり難くなるため、電動機の負荷を十分に低減することができなくなる虞がある。
【0009】
本発明は、上記したような問題に鑑みてなされたものであり、内燃機関の始動時における電動機の負荷を効果的に低減可能な技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、
内燃機関の機関出力軸を回転駆動する電動機と、
前記内燃機関の始動時に前記機関出力軸を所定角度逆回転させた後に正回転させるべく前記電動機を制御するクランキング制御手段と、
前記電動機が逆回転するときに膨張行程にある気筒において、前記機関出力軸を所定角度逆回転させた後に、燃料を燃焼させる第1の燃焼制御手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置である。
【0011】
本発明は、内燃機関の始動時に機関出力軸を所定角度逆回転させた後に正回転によるクランキングを開始する内燃機関の始動制御装置において、機関出力軸が逆回転するときに膨張行程にある気筒で燃料を燃焼させることにより、その際に発生する燃焼圧力をクランキングに利用することを最大の特徴としている。ここで、機関出力軸の回転方向については、内燃機関の気筒内の燃焼サイクルが通常の順序、例えば内燃機関が4サイクルエンジンの場合は、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の順で進行する際の機関出力軸の回転方向を正回転方向、その逆を逆回転方向という。そして、電動機によって機関出力軸を機関出力軸の正回転方向に回転駆動するとき、その電動機の回転方向を電動機の正回転方向と、その逆を電動機の逆回転方向とする。
【0012】
ここで、前記機関出力軸が逆回転するときに膨張行程にある気筒とは、前記機関出力軸が前記クランキング制御手段によって前記電動機を介して逆回転されるときに、前記内燃機関の有する気筒のうち膨張行程を迎えている気筒をいう。例えば、内燃機関の機関停止時における前記機関出力軸の停止位置(停止角度)に従って膨張行程を迎えていると判別される気筒である。
【0013】
かかる内燃機関の始動制御装置では、内燃機関の始動時に、クランキング制御手段が機関出力軸を所定角度逆回転させた後に正回転させるよう電動機を制御する。ここでいう、所定角度とは、機関出力軸を逆回転させることで気筒内のガスが圧縮されて、その結果、気筒内の温度が燃焼可能な程度に昇温するのに十分な機関出力軸の回転角度をいう。
【0014】
そこで、機関出力軸が逆回転させられたときに膨張行程にある気筒では、筒内のガスが圧縮されるため、機関出力軸の逆回転に抗するガス圧縮力が発生することになる。更に、前記した気筒内は、ガスの圧縮によって温度が上昇するため、燃料を燃焼可能な雰囲気となる。そこで、第1の燃焼制御手段は、前記した気筒において燃料を燃焼させる。
【0015】
この場合、ガス圧縮力に加え、燃料の燃焼によって発生した圧力(燃焼圧力)が前記機関出力軸を正回転させるよう作用することになる。
【0016】
従って、機関出力軸が逆回転から正回転へ移行した際には、上記したガス圧縮力と燃焼圧力とが機関出力軸を正回転させるよう作用することとなり、電動機が機関出力軸を正回転させる際に必要となるトルクが低減される。
【0017】
ここで、本発明に係る内燃機関が圧縮着火式の内燃機関である場合には、燃焼制御手段は、機関出力軸が逆回転するときに膨張行程にある気筒について、機関出力軸が逆回転から正回転へ移行する時期に燃料噴射弁を作動させることにより、該気筒において燃料を燃焼させるようにしてもよい。
【0018】
その際、クランキング制御手段は、前記気筒が膨張行程上死点近傍となるまで電動機を逆回転させ、前記気筒が膨張行程上死点を越える前に電動機を正回転させるようにすることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る内燃機関が火花点火式の内燃機関である場合には、燃焼制御手段は、機関出力軸が逆回転するときに膨張行程にある気筒について、機関出力軸が逆回転しているときに燃料噴射弁を作動させ、次いで機関出力軸が逆回転から正回転へ移行する時期に点火栓を作動させることにより、該気筒において燃料を燃焼させるようにしてもよい。
【0020】
本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、電動機が逆回転させられているときに吸気行程にある気筒の吸気弁及び排気弁を閉弁させるとともに、該気筒において、前記機関出力軸を所定角度逆回転させた後に、燃料を燃焼させる第2の燃焼制御手段を更に備えるようにしてもよい。
【0021】
ここで、前記電動機が逆回転しているときに吸気行程にある気筒とは、前記機関出力軸が前記クランキング制御手段によって前記電動機を介して逆回転させられているときに、前記内燃機関の有する気筒のうち吸気行程を迎えている気筒をいう。例えば、内燃機関の機関停止時における前記機関出力軸の停止位置(停止角度)に従って、吸気行程を迎えていると判別される気筒である。
【0022】
電動機が逆回転しているときに吸気行程にある気筒において吸気弁及び排気弁が閉弁すると、吸気行程中の気筒であっても筒内のガスが圧縮されるようになるため、吸気行程中の気筒において機関出力軸の逆回転に抗するガス圧縮力が発生するとともに燃料が燃焼可能な雰囲気となる。
【0023】
そこで、電動機が逆回転から正回転へ移行するときに吸気行程中の気筒で燃料が燃焼されるようにすれば、その気筒で発生するガス圧縮力と燃焼圧力とが機関出力軸を正回転させるよう作用するようになる。
【0024】
この結果、機関出力軸が逆回転から正回転へ移行する際には、膨張行程の気筒で発生したガス圧縮力と燃焼圧力とに加え、吸気行程の気筒で発生したガス圧縮力と燃焼圧力とが機関出力軸を正回転させるよう作用することとなり、電動機が機関出力軸を正回転させる際に必要となるトルクが一層低減される。
【0025】
ここで、前記クランキング制御手段によって機関出力軸を逆回転させる直前の、前記第1の燃焼制御手段によって燃料が燃焼される気筒内の空気量に着目する。これは、該気筒内の空気量は、前記第1の燃焼制御手段による燃料の燃焼条件に影響を与えるものであり、以て燃料の燃焼による燃焼圧力が該気筒内の空気量によって変動することに依る。
【0026】
そこで、先述までの内燃機関の始動制御装置において、前記内燃機関の機関停止後であって前記クランキング制御手段によって前記電動機が逆回転を開始するまでの間に、前記機関出力軸のクランク停止位置を、前記クランキング制御手段によって前記電動機が逆回転すべきときに膨張行程にある気筒内の空気量が増大する所定の停止位置に変更する停止位置変更手段を、更に備える。ここで、クランク停止位置とは、前記内燃機関が機関停止している状態における前記機関出力軸の停止位置である。また、一般に前記機関出力軸は回転体であるため、該機関出力軸の位置は、該機関出力軸のクランク角で表される。
【0027】
このようにすることで、前記第1の燃焼制御手段によって燃料の燃焼が行われる、前記電動機が逆回転すべきときに膨張行程にある気筒内において、該逆回転が開始されるときには、該気筒内の空気量が、機関停止時の該気筒内の空気量と比べて増大している。その結果、逆回転時の圧縮による該気筒内の温度がより高く上昇するとともに、該気筒内の酸素量をより多く確保できる。よって、燃料の燃焼条件が向上するため、より多量の燃料を噴射することが可能となり、以てより大きな燃焼圧力を得ることが可能となり、電動機が機関出力軸を正回転させる際に必要となるトルクが一層低減される。以て、前記電動機の定格をより小さくすることが可能となる。
【0028】
ここで、前記停止位置変更手段によるクランク停止位置の変更は、前記クランキング制御手段による機関出力軸の逆回転が行われる前に行われればよい。しかし、内燃機関の機関始動要求に対してより速やかに対応するために、内燃機関の機関停止直後に該クランク停止位置の変更が行われるのが好ましい。
【0029】
更に、前記停止位置変更手段によって前記機関出力軸のクランク停止位置を変更する内燃機関の始動制御装置において、前記内燃機関の機関停止時における前記機関出力軸のクランク停止位置が、前記クランキング制御手段によって前記電動機が逆回転すべきときに膨張行程にある気筒における排気弁が開弁し始める排気弁開弁位置までに至らないとき、前記停止位置変更手段は、該機関出力軸のクランク停止位置を該排気弁開弁位置の直前の位置に変更することもできる。
【0030】
前記電動機が逆回転すべきときに膨張行程にある気筒において、クランク停止位置を、排気弁開弁位置を越えて該排気弁が開弁する位置まで変更した場合、その位置から前記クランキング制御手段によって前記機関出力軸を逆回転すると、該気筒内の空気が慣性により排気弁から気筒外へ漏出するため、最終的に該気筒内に確保できる空気量が、クランク停止位置を該排気弁開弁位置の直前の位置に変更するときよりも、低下する。却って、電動機による圧縮仕事が無駄となる。そこで、該気筒における排気弁が開弁する直前の位置までクランク停止位置を変更することで、該気筒内の空気量を可及的により多く確保することが可能となる。
【0031】
ここで、該気筒における排気弁が開弁する直前の位置とは、物理的に該排気弁が開弁し始める時点の直前における前記機関出力軸の位置であり、該気筒内の空気量をより効率的に確保し得る該排気弁の開弁以前の前記機関出力軸の位置である。
【0032】
また、前記停止位置変更手段によって前記機関出力軸のクランク停止位置を変更する先述までの内燃機関の始動制御装置において、前記第1の燃焼制御手段による燃料の燃焼条件を、前記停止位置変更手段によって変更された前記機関出力軸のクランク停止位置、及び前記内燃機関の温度条件のうち少なくともいずれかに基づいて算出する始動時燃焼条件算出手段を、更に備えるものとする。
【0033】
前記第1の燃焼制御手段による燃料の燃焼条件とは、前記内燃機関の機関始動に際して、前記電動機が前記機関出力軸を正回転させて機関始動する際に電動機が出力するトルクを低減するために、燃料による燃焼トルクをより効率的に発生させるべき燃料の燃焼条件をいう。例えば、燃料の噴射量又は燃料の着火時期(内燃機関が点火式内燃機関であれば点火時期および燃料の噴射時期を、圧縮着火式内燃機関であれば燃料の噴射時期)等が例示できる。
【0034】
ここで、前記電動機を補助すべき燃焼トルクを効率的に発生させるためには、気筒における空気量(酸素量)や気筒内温度等を考慮して前記第1の燃焼制御手段による燃料の燃焼を行うのが好ましい。即ち、気筒内の空気量が多いとより多くの燃料を気筒内に供給することが可能となり、また気筒内温度が高いと燃料の気化が促進されるため少ない量の燃料でより多くの燃焼トルクを発生させることが可能となることを考慮する。そこで、前記機関出力軸のクランク停止位置より気筒内の空気量を算出し、または前記内燃機関の温度条件、例えば内燃機関の冷却水温度により気筒内温度を算出し、少なくともこれらのうちいずれかに基づいて燃料の燃焼を行うことで、燃料による燃焼トルクをより効率的に生ぜしめる燃料の燃焼条件を算出する。
【0035】
ここで、先述までの内燃機関の始動制御装置において、前記内燃機関の機関始動に要する機関始動トルクを算出する機関始動トルク算出手段と、前記第1の燃焼制御手段によって燃料の燃焼が行われる気筒において発生する燃焼トルクを算出する燃焼トルク算出手段と、を更に備える内燃機関の始動制御装置であって、前記クランキング制御手段によって前記電動機を正回転させるべきときに前記電動機が前記機関出力軸に出力する補助トルクが最小となるように、少なくとも前記機関始動トルク算出手段によって算出される始動トルクと前記燃焼トルク算出手段によって算出される燃焼トルクとに基づいて、前記電動機によって該補助トルクを前記機関出力軸に出力する補助タイミングを決定する。
【0036】
即ち、前記電動機を補助するための前記第1の燃焼制御手段によって発生する燃焼トルクは、燃料の燃焼開始から時間の経過とともに燃料の燃焼状態の進行に従って、推移する。そこで、例えば、前記機関始動トルクと前記燃焼トルクとの差が最小となるタイミングにおいて前記電動機による補助トルクが最小となると考えられる。
【0037】
そこで、該タイミングにおいて、前記電動機によって前記機関出力軸の正回転方向へ補助トルクを出力することで、前記電動機の出力すべき補助トルクが最小となるとともに、前記内燃機関の機関始動が可能となる。以て、前記電動機の定格をより小さくすることが可能となる。
【0038】
尚、機関始動トルクの算出に際しては、前記内燃機関の温度条件である冷却水温度等を考慮すればよい。即ち、冷却水温度が上昇するに従い、潤滑油の粘度が低下し、内燃機関における摺動部での摩擦力が低減することを加味するものである。また、燃焼トルクの算出に際しては、前記第1の燃焼制御によって燃料の燃焼が行われる気筒における燃料の噴射量や着火時期等を考慮すればよい。
【0039】
また、前記電動機による補助トルクが最小となる補助タイミングの算出に際して、前記始動トルク及び前記燃焼トルク他の要素を考慮してもよい。例えば、前記クランキング制御手段による気筒内ガスの圧縮反力によるトルクを考慮することで、より正確に補助タイミングの算出が可能となる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の始動制御装置の具体的な実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0041】
<実施の形態1>
先ず、本発明に係る内燃機関の始動制御装置の第1の実施の形態について図1〜図4に基づいて説明する。
【0042】
図1は、本発明を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
【0043】
図1に示す内燃機関1は、4つの気筒2が直列に配置された4ストローク・サイクルのガソリン機関である。
【0044】
内燃機関1の各気筒2には、吸気弁3及び排気弁4に加え、点火栓5と燃料噴射弁6とが設けられている。内燃機関1には、吸気通路7と排気通路8が接続されている。更に、内燃機関1には、機関出力軸(クランクシャフト)10が所定角度(例えば、10°)回転する度にパルス信号を出力するクランクポジションセンサ9が取り付けられている。
【0045】
内燃機関1のクランクシャフト10にはクランクプーリ11が取り付けられている。このクランクプーリ11は、モータジェネレータ100のモータシャフト101に取り付けられたモータプーリ102とベルト200を介して連結され、クランクシャフト10とモータシャフト101との間で動力を伝達することが可能となっている。
【0046】
モータジェネレータ100は、クランクシャフト10の回転方向と同方向(正転方向)へ回転可能であるとともに、クランクシャフト10の回転方向と逆方向(逆転方向)へも回転可能となるよう構成されている。
【0047】
このように構成された内燃機関1には、内燃機関1及びモータジェネレータ100を制御するための電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)12が併設されている。ECU12は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAM等から構成される算術論理演算回路である。
【0048】
ECU12には、前述したクランクポジションセンサ9に加え、スタータスイッチ13、車速センサ14、及びブレーキスイッチ15が電気的に接続され、それらの出力信号がECU12へ入力されるようになっている。
【0049】
更に、ECU12には前述した点火栓5、燃料噴射弁6、及びモータジェネレータ100が電気的に接続され、ECU12が点火栓5、燃料噴射弁6、及びモータジェネレータ100を制御することが可能となっている。
【0050】
例えば、ECU12は、内燃機関1が運転状態にあり且つ車両の電気負荷が所定値より高いとき、内燃機関1が運転状態にあり且つ図示しないバッテリの蓄電量が所定量以下となったとき、或いは、内燃機関1が減速運転状態にあるとき等に、モータジェネレータ100をジェネレータとして作動させる。
【0051】
この場合、クランクシャフト10の回転トルクがクランクプーリ11、ベルト200、及びモータプーリ102を介してモータシャフト101へ伝達され、モータシャフト101が回転運動する。モータジェネレータ100は、モータシャフト101の運動エネルギを電気エネルギに変換することにより発電を行う。
【0052】
また、ECU12は、内燃機関1の始動時に、モータジェネレータ100をモータとして作動させる。
【0053】
この場合、モータジェネレータ100がモータシャフト101を回転駆動することにより、モータシャフト101の回転トルクがモータプーリ102、ベルト200、及びクランクプーリ11を介してクランクシャフト10へ伝達され、以てクランクシャフト10が回転する、所謂クランキングが行われるようになる。
【0054】
次に、内燃機関1が運転状態にあるときにブレーキスイッチ15の出力信号がオンとなり且つ車速センサ14の出力信号が“0”になると、言い換えれば、内燃機関1が運転状態にあるときに車両が停止状態になると、ECU12は、点火栓5及び燃料噴射弁6の作動を一時的に停止させることにより、内燃機関1の運転を一時的に停止させる。
【0055】
その後、ブレーキスイッチ15の出力信号がオンからオフへ切り換わると、ECU12は、モータジェネレータ100をモータとして作動させるとともに点火栓5及び燃料噴射弁6を作動させることにより、内燃機関1を始動させ、以て内燃機関1の運転を再開させる。
【0056】
ところで、上記したように内燃機関1の始動と停止が自動的に切り換えられる場合には、ブレーキスイッチ15の出力信号がオンからオフへ切り換えられた時点で、内燃機関1を速やかに始動させる必要がある。
【0057】
しかしながら、内燃機関1を始動する場合には、モータジェネレータ100は、内燃機関1のガス圧縮力やフリクション等に抗してクランクシャフト10を回転させる必要があるため、内燃機関1を短時間に且つ確実に始動させるにはモータジェネレータ100の定格及び消費電力が大きくなってしまう虞がある。
【0058】
これに対し、本実施の形態に係る内燃機関の始動制御装置では、ECU12は、内燃機関1を始動させる際に以下に述べるような始動制御を実行するようにした。ここでは、内燃機関1の点火順序が1番気筒2→3番気筒2→4番気筒2→2番気筒2となり、且つ、1番気筒2が圧縮上死点にあるときにクランクシャフト10の回転角度(以下、クランク角度と称する)が0°(720°)となる場合を例に挙げて説明する。
【0059】
本実施の形態における始動制御では、ECU12は、モータジェネレータ100を一旦逆回転させた後に正回転させるとともに、モータジェネレータ100の逆回転時に膨張行程にある気筒2(以下、逆転時膨張行程気筒2と称する)において燃料を燃焼させるようにした。
【0060】
具体的には、ECU12は、先ず、内燃機関1の運転が停止される時、より詳細にはクランクシャフト10の回転が停止した時のクランク角度(以下、機関停止時クランク角度と称する)をバックアップRAMに記憶させる。続いて、ECU12は、内燃機関1の次回の始動時にバックアップRAMから機関停止時クランク角度を読み出し、その機関停止時クランク角度に基づいて逆転時膨張行程気筒2を判別する。
【0061】
ここで、内燃機関1では、図2に示すように、クランク角度が0°〜180°の範囲内にあるときに1番気筒2が膨張行程にあり、クランク角度が180°〜360°の範囲内にあるときに3番気筒2が膨張行程にあり、クランク角度が360°〜540°の範囲内にあるときに4番気筒2が膨張行程にあり、クランク角度が540°〜720°の範囲内にあるときに2番気筒2が膨張行程にある。
【0062】
従って、ECU12は、機関停止時クランク角度が0°〜180°の範囲内にある場合には1番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度が180°〜360°の範囲内にある場合には3番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度が360°〜540°の範囲内にある場合には4番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度が540°〜720°の範囲内にある場合には2番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であると判定することができる。
【0063】
次に、ECU12は、機関停止時クランク角度から逆転時膨張行程気筒2の膨張行程上死点(言い換えれば、圧縮行程上死点)を示すクランク角度までの範囲内でクランクシャフト10を逆回転させるべくモータジェネレータ100を制御するとともに、逆転時膨張行程気筒2の燃料噴射弁6を作動させる。
【0064】
例えば、逆転時膨張行程気筒2が1番気筒2である場合には、ECU12は、図3に示すように、機関停止時クランク角度:Pcaから1番気筒2の膨張行程上死点を示すクランク角度(=0°)までの範囲内でクランクシャフト10を逆回転させるべくモータジェネレータ100を制御するとともに、1番気筒2の燃料噴射弁6を作動させる。
【0065】
この場合、1番気筒2の図示しないピストンは、始動時の停止位置(図中のピストン停止位置:Ps)から膨張行程上死点(図中のTDC)まで上昇することになるため、1番気筒2内に残留していたガスと燃料噴射弁6から噴射された燃料とが混ざり合いつつ圧縮されることになる。
【0066】
この結果、1番気筒2内にはクランクシャフト10の逆回転に抗するガス圧縮力が発生する。更に、1番気筒2内にガスと燃料との混合気が形成されるとともに、その混合気が圧縮によって昇温するため、1番気筒2内が可燃性の高い雰囲気となる。
【0067】
更に、ECU12は、クランクシャフト10がクランクシャフト10が機関停止時クランク角度:Pcaから膨張行程上死点の直前まで逆回転したとき、例えば、クランク角度が上死点前10°〜20°(クランクシャフト10が正回転しているときの上死点後10°〜20°に相当するクランク角度)となったときに、逆転時膨張行程気筒2内の温度は燃料の燃焼が可能な程度に昇温している。そこで、クランクシャフト10を正回転させるべくモータジェネレータ100を制御するとともに、逆転時膨張行程気筒2の点火栓5を作動させる。
【0068】
この場合、クランクシャフト10が逆回転から正回転へ移行するとともに、逆転時膨張行程気筒2において混合気が燃焼することになる。
【0069】
この結果、逆転時膨張行程気筒2内では、前述したガス圧縮力に加えて混合気の燃焼圧力が発生することとなり、それらガス圧縮力と燃焼圧力とがクランクシャフト10を正回転させるべく作用することとなる。
【0070】
依って、モータジェネレータ100がクランクシャフト10を正回転させる際には、上記したガス圧縮力と燃焼圧力とが機関出力軸を正回転させるよう作用するため、モータジェネレータ100が内燃機関1のクランキングを行う上で必要となるトルクが低減される。
【0071】
以下、本実施の形態における始動制御について図4に沿って説明する。
【0072】
図4は、始動制御ルーチンを示すフローチャート図である。前記始動制御ルーチンは予めECU12のROMに記憶されているルーチンであり、内燃機関1の始動時にECU12が実行するルーチンである。
【0073】
始動制御ルーチンでは、ECU12は、先ずS401において、内燃機関1の始動要求が発生したか否かを判別する。前記した始動要求としては、例えば、スタータスイッチ13のオフからオンへの切り換え、或いは、ブレーキスイッチ15のオンからオフへの切り換え等を例示することができる。
【0074】
前記S401において内燃機関1の始動要求が発生していないと判定された場合は、ECU12は、本ルーチンの実行を終了する。
【0075】
一方、前記S401において内燃機関1の始動要求が発生していると判定された場合は、ECU12は、S402へ進む。
【0076】
S402では、ECU12は、バックアップRAMから機関停止時クランク角度:Pcaを読み出す。
【0077】
S403では、ECU12は、前記S402において読み出された機関停止時クランク角度:Pcaに基づいて逆転時膨張行程気筒2を判別する。具体的には、ECU12は、前記機関停止時クランク角度:Pcaが0°〜180°の範囲内にあれば1番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度が180°〜360°の範囲内にあれば3番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度が360°〜540°の範囲内にあれば4番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度:Pcaが540°〜720°の範囲内にあれば2番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であると判定する。
【0078】
S404では、ECU12は、モータジェネレータ100を逆回転させることによりクランクシャフト10を逆回転させる。
【0079】
S405では、ECU12は、逆転時膨張行程気筒2の燃料噴射弁6を作動させる。
【0080】
S406では、ECU12は、前記S402で読み込まれた機関停止時クランク角度:Pcaとクランクポジションセンサ9の出力信号とに基づいて現時点におけるクランク角度を演算する。例えば、クランクシャフト10が所定角度回転する度にパルス信号を出力するようにクランクポジションセンサ9が構成されている場合には、ECU12は、モータジェネレータ100の逆回転開始時から現時点までにクランクポジションセンサ9がパルス信号を出力した回数と前記所定角度とを乗算し、その乗算結果(=所定角度×回数)を機関停止時クランク角度:Pcaから減算することによって現時点におけるクランク角度を求めることができる。
【0081】
S407では、ECU12は、前記S406において算出されたクランク角度が所定角度に達しているか否かを判別する。ここで、前記した所定角度は、逆転時膨張行程気筒2の膨張行程上死点直前を示すクランク角度であり、例えば、逆転時膨張行程気筒2の膨張行程上死点前10°〜20°(クランクシャフト10が正回転しているときの膨張行程上死点後10°〜20°に相当する角度)に設定される。
【0082】
前記S407において現時点のクランク角度が所定角度に達していないと判定された場合は、ECU12は、前記したS406〜S407の処理を再度実行することになる。
【0083】
一方、前記S407において現時点のクランク角度が所定角度に達していると判定された場合は、ECU12は、S408へ進み、逆転時膨張行程気筒2の点火栓5を作動させる。
【0084】
続いて、ECU12は、S409においてモータジェネレータ100の回転方向を逆回転方向から正回転方向へ切り換えることにより、クランクシャフト10の回転を逆回転から正回転へ移行させる。
【0085】
S410では、ECU12は、通常の始動処理を開始する。すなわち、ECU13は、通常の始動時と同様に点火栓5及び燃料噴射弁6を作動させる。
【0086】
このようにECU12が始動制御ルーチンを実行することにより、内燃機関1の始動時には、クランクシャフト10が逆回転させられた後に正回転させられるとともに逆転時膨張行程気筒2において燃料が燃焼することになるため、逆転時膨張行程気筒2内のガス圧縮力と燃焼圧力とがクランクシャフト10を正回転させるよう作用することとなる。
【0087】
この結果、モータジェネレータ100がクランクシャフト10を正回転させる際に必要となるトルクが低減され、モータジェネレータ100の定格を大きくすることなく内燃機関1を短時間で確実に始動させることが可能となる。
【0088】
<実施の形態2>
次に、本発明に係る内燃機関の始動制御装置の第2の実施の形態について図5〜図8に基づいて説明する。ここでは、前述した第1の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略するものとする。
【0089】
前述した第1の実施の形態と本実施の形態との相違点は、前述した第1の実施の形態ではクランクシャフト10の逆回転時に膨張行程にある気筒2において燃料を燃焼させるのに対し、本実施の形態ではクランクシャフト10の逆回転時に膨張行程にある気筒2に加え、吸気行程にある気筒2についても燃料を燃焼させる点にある。
【0090】
本実施の形態に係る内燃機関1は、図5に示すように、吸気弁3及び排気弁4の開閉時期を変更する可変動弁機構16を備えている。この可変動弁機構16は、ECU12と電気的に接続され、ECU12からの信号に従って吸気弁3及び排気弁4の開閉時期を変更する。
【0091】
本実施の形態における始動制御では、ECU12は、内燃機関1の始動時に、機関停止時クランク角度:Pcaに基づいて、モータジェネレータ100が逆回転するときに膨張行程にある気筒2(逆転時膨張行程気筒2)と吸気行程にある気筒2(以下、逆転時吸気行程気筒2と称する)とを判別する。
【0092】
ここで、図6に示すように、クランク角度が0°〜180°の範囲内にあるときは1番気筒2が膨張行程になると同時に4番気筒2が吸気行程にあり、クランク角度が180°〜360°の範囲内にあるときは3番気筒2が膨張行程になると同時に2番気筒2が吸気行程にあり、クランク角度が360°〜540°の範囲内にあるときは4番気筒2が膨張行程になると同時に1番気筒2が吸気行程にあり、クランク角度が540°〜720°の範囲内にあるときには2番気筒2が膨張行程になると同時に3番気筒2が吸気行程にある。
【0093】
従って、ECU12は、機関停止時クランク角度が0°〜180°の範囲内にある場合には1番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であり且つ4番気筒2が逆転時吸気行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度が180°〜360°の範囲内にある場合には3番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であり且つ2番気筒2が逆転時吸気行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度が360°〜540°の範囲内にある場合には4番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であり且つ1番気筒2が逆転時吸気行程気筒2であると判定し、機関停止時クランク角度が540°〜720°の範囲内にある場合には2番気筒2が逆転時膨張行程気筒2であり且つ3番気筒2が逆転時吸気行程気筒2であると判定することができる。
【0094】
次に、ECU12は、機関停止時クランク角度から逆転時膨張行程気筒2の膨張行程上死点を示すクランク角度までの範囲内、又は、機関停止時クランク角度から逆転時吸気行程気筒2の吸気行程上死点を示すクランク角度までの範囲内で、クランクシャフト10を逆回転させるべくモータジェネレータ100を制御する。
【0095】
尚、本実施の形態における内燃機関1では、逆転時膨張行程気筒2の膨張行程上死点と逆転時吸気行程気筒2の吸気行程上死点とが同一のクランク角度となるため、以下では、逆転時膨張行程気筒2の膨張行程上死点と逆転時吸気行程気筒2の吸気行程上死点とを逆転時共通上死点と称するものとする。
【0096】
例えば、逆転時膨張行程気筒2が1番気筒2であり且つ逆転時吸気行程気筒2が4番気筒2である場合には、ECU12は、図7に示すように、機関停止時クランク角度:Pcaから逆転時共通上死点を示すクランク角度(=0°)までの範囲内でクランクシャフト10を逆回転させるべくモータジェネレータ100を制御する。
【0097】
この場合、1番気筒2の図示しないピストンが始動時の停止位置(図中のピストン停止位置:Ps1)から膨張行程上死点(図中のTDC)まで上昇するとともに、4番気筒2の図示しないピストンが始動時の停止位置(図中のピストン停止位置:Ps2)から吸気行程上死点(図中のTDC)まで上昇することになる。
【0098】
ところで、逆転時膨張行程気筒2の気筒2では吸気弁3及び排気弁4が閉弁した状態でピストンが上昇動作するため、逆転時膨張行程気筒2内のガスが圧縮されてガス圧縮力を発生することになるが、逆転時吸気行程気筒2では少なくとも吸気弁3が開弁した状態でピストンが上昇動作するため、逆転時吸気行程気筒2内のガスが圧縮されずに吸気通路7へ逆流してしまうことになる。
【0099】
これに対し、ECU12は、図8に示すように、排気弁4の閉弁時期を吸気行程上死点(図中のTDC)前に進角させ、且つ、吸気弁3の開弁時期を最遅角させるべく可変動弁機構16を制御する。
【0100】
この場合、吸気行程上死点(TDC)と吸気弁3の開弁時期との間の期間:tでは、吸気弁3及び排気弁4が閉弁した状態となる。その結果、前記した期間:tにおいて逆転時吸気行程気筒2内のガスが圧縮されてガス圧縮力を発生するようになる。
【0101】
更に、ECU12は、クランクシャフト10の逆回転時に前記逆転時膨張行程気筒2と前記逆転時吸気行程気筒2の燃料噴射弁6を作動させる。尚、逆転時吸気行程気筒2については、前記した期間:t内に燃料噴射弁6を作動させることが好ましい。
【0102】
クランクシャフト10の逆回転時に逆転時膨張行程気筒2と逆転時吸気行程気筒2の燃料噴射弁6が作動させられると、逆転時吸気行程気筒2及び逆転時吸気行程気筒2においてガスと燃料とが圧縮されて可燃性の高い混合気を形成する。
【0103】
ECU12は、クランクシャフト10が機関停止時クランク角度:Pcaから逆転時共通上死点の直前まで逆回転したとき、例えば、クランク角度が逆転時共通上死点前10°〜20°(クランクシャフト10が正回転しているときの上死点後10°〜20°に相当するクランク角度)となったときに、逆転時膨張行程気筒2内の温度及び逆転時吸気行程気筒2内の温度は燃料の燃焼が可能な程度に昇温している。そこで、クランクシャフト10を正回転させるべくモータジェネレータ100を制御するとともに、逆転時膨張行程気筒2及び逆転時吸気行程気筒2の点火栓5を作動させる。
【0104】
この場合、クランクシャフト10が逆回転から正回転へ移行するとともに、逆転時膨張行程気筒2及び逆転時吸気行程気筒2において混合気が燃焼することになる。
【0105】
この結果、逆転時膨張行程気筒2内と逆転時吸気行程気筒2内とには、ガス圧縮力に加えて混合気の燃焼圧力が発生することとなり、それらガス圧縮力と燃焼圧力とがクランクシャフト10を正回転させるべく作用することとなる。
【0106】
依って、モータジェネレータ100がクランクシャフト10を正回転させる際には、上記したガス圧縮力と燃焼圧力とが機関出力軸を正回転させるよう作用するため、モータジェネレータ100が内燃機関1のクランキングを行う上で必要となるトルクが低減される。
【0107】
以下、本実施の形態における始動制御について図9に沿って説明する。
【0108】
図9は、始動制御ルーチンを示すフローチャート図である。前記始動制御ルーチンは予めECU12のROMに記憶されているルーチンであり、内燃機関1の始動時にECU12が実行するルーチンである。
【0109】
始動制御ルーチンでは、ECU12は、先ずS901において、内燃機関1の始動要求が発生したか否かを判別する。
【0110】
前記S901において内燃機関1の始動要求が発生していないと判定された場合は、ECU12は、本ルーチンの実行を終了する。
【0111】
一方、前記S901において内燃機関1の始動要求が発生していると判定された場合は、ECU12は、S902へ進む。
【0112】
S902では、ECU12は、バックアップRAMから機関停止時クランク角度:Pcaを読み出す。
【0113】
S903では、ECU12は、前記S902において読み出された機関停止時クランク角度:Pcaに基づいて逆転時膨張行程気筒2と逆転時吸気行程気筒2を判別する。
【0114】
S904では、ECU12は、モータジェネレータ100を逆回転させることによりクランクシャフト10を逆回転させる。
【0115】
S905では、ECU12は、排気弁4の閉弁時期を吸気行程上死点前に進角させ、且つ、吸気弁3の開弁時期を最遅角させるべく可変動弁機構16を制御する。
【0116】
S906では、ECU12は、逆転時膨張行程気筒2と逆転時吸気行程気筒2の燃料噴射弁6を作動させる。
【0117】
S907では、ECU12は、前記S902で読み込まれた機関停止時クランク角度:Pcaとクランクポジションセンサ9の出力信号とに基づいて現時点におけるクランク角度を演算する。
【0118】
S908では、ECU12は、前記S907において算出されたクランク角度が所定角度に達しているか否かを判別する。ここで、前記した所定角度は、逆転時共通上死点の直前を示すクランク角度であり、例えば、逆転時共通上死点前10°〜20°(クランクシャフト10が正回転しているときの逆転時共通上死点後10°〜20°に相当する角度)に設定される。
【0119】
前記S908において現時点のクランク角度が所定角度に達していないと判定された場合は、ECU12は、前記したS907〜S908の処理を再度実行することになる。
【0120】
一方、前記S908において現時点のクランク角度が所定角度に達していると判定された場合は、ECU12は、S909へ進み、逆転時膨張行程気筒2と逆転時吸気行程気筒2の点火栓5を作動させる。
【0121】
続いて、ECU12は、S910においてモータジェネレータ100の回転方向を逆回転方向から正回転方向へ切り換えることにより、クランクシャフト10の回転を逆回転から正回転へ移行させる。
【0122】
S911では、ECU12は、吸気弁3及び排気弁4の開閉時期を通常の開閉時期に戻すべく可変動弁機構16を制御する。
【0123】
S912では、ECU12は、通常の始動処理を開始する。
【0124】
このようにECU12が始動制御ルーチンを実行することにより、内燃機関1の始動時には、クランクシャフト10が一旦逆回転させられた後に正回転させられるとともに逆転時膨張行程気筒2及び逆転時吸気行程気筒2において燃料が燃焼することになるため、逆転時膨張行程気筒2内及び逆転時吸気行程気筒2内のガス圧縮力と燃焼圧力とがクランクシャフト10を正回転させるよう作用することとなる。
【0125】
この結果、モータジェネレータ100がクランクシャフト10を正回転させる際に必要となるトルクが低減され、モータジェネレータ100の定格を大きくすることなく内燃機関1を短時間で確実に始動させることが可能となる。
【0126】
尚、本実施の形態では、吸気弁3及び排気弁4の開閉時期を変更可能とする可変動弁機構16によって吸気行程の一部の期間で吸気弁3及び排気弁4を閉弁させる例について述べたが、吸気弁3及び排気弁4の開弁動作を休止可能な動弁機構を備えた内燃機関1では吸気行程の全ての期間で吸気弁3及び排気弁4を閉弁させるようにしてもよい。
【0127】
<実施の形態3>
次に、本発明に係る内燃機関の始動制御装置の第3の実施の形態について図10〜図14に基づいて説明する。ここでは、前述した図1に示す内燃機関及び始動制御装置における別の始動制御について説明する。従って、ハード構成についての説明は省略する。
【0128】
図10は、内燃機関1の始動制御を示すフローチャートである。該始動制御はECU12によって実行される。まず、S1001では、ECU12は、クランクポジションセンサ9からの検出信号に基づいて、クランクシャフトのクランク角を検出する。S1001の処理が終了すると、S1002へ進む。
【0129】
S1002では、ECU12は、内燃機関1が機関停止しているか否かを判別する。例えば、内燃機関1を搭載する車両が停止状態となることで、ECU12によって点火栓5及び燃料噴射弁6の動作が一時的に停止させられ、以て内燃機関1の運転が停止しているか否かが判断される。S1002でECU12が、内燃機関1が機関停止していると判断すると、S1003へ進む。一方、S1002でECU12が、内燃機関1が機関停止していないと判断すると、S1001以降の処理が再び行われる。
【0130】
S1003では、ECU12は、運転状態にあった内燃機関1が機関停止状態とされた時点のクランクシャフト10のクランク停止位置である機関停止時クランク角:Pcaを、クランクポジションセンサ9からの信号に基づいて検出し、ECU12内のバックアップRAMに記憶する。S1003の処理が終了すると、S1004へ進む。
【0131】
S1004では、ECU12は、S1003において記憶された機関停止時クランク角Pcaに基づいて、膨張行程にある気筒2を判別し、実質的には、図4に示すフローチャート中の処理S403における逆転時膨張行程気筒2の判別と同様の処理である。S1004の処理が終了すると、S1005へ進む。
【0132】
S1005では、ECU12は、内燃機関1の始動要求が発生したか否かを判別する。前記した始動要求としては、例えば、スタータスイッチ13のオフからオンへの切り換え、或いは、ブレーキスイッチ15のオンからオフへの切り換え等を例示することができる。S1005で、ECU12が、内燃機関1の始動要求が発生したと判別すると、該始動要求に速やかに対応すべく、S1009へ進む。一方、S1005で、ECU12が、内燃機関1の始動要求が発生していないと判別すると、S1006へ進む。
【0133】
S1006では、ECU12は、S1003において記憶した機関停止時クランク角:Pcaが、排気弁開弁直前角であるか否かを判別する。排気弁開弁直前角とは、S1004で膨張行程にある気筒2と判別された気筒において、排気弁4が開弁し始める時点におけるクランクシャフト10のクランク角である。例えば、膨張行程にある気筒2が1番気筒2である場合、1番気筒2の排気弁4が、クランクシャフト10のクランク角が170°の時点で開弁するとき、クランク角が170°直前の角である169°であれば、ECU12は、該機関停止時クランク角Pcaは排気弁開弁直前角であると判別する。S1006で、ECU12が、機関停止時クランク角Pcaが、排気弁開弁直前角であると判別すると、S1007へ進む。一方、S1006で、ECU12が、機関停止時クランク角Pcaが、排気弁開弁直前角でないと判別すると、S1008へ進む。
【0134】
S1007では、ECU12は、内燃機関1の始動要求が発生したか否かを判別し、内燃機関1の始動要求が発生するまで、S1007の処理を繰り返す。S1007で、ECU12が内燃機関1の始動要求が発生したと判別すると、S1009へ進む。
【0135】
S1008では、ECU12は、クランク角が排気弁開弁直前角にすべくモータジェネレータ100を駆動させて、クランクシャフト10の回転駆動を行う。S1008の処理が終了すると、S1017へ進む。
【0136】
S1017では、ECU12は、S1005と同様に、内燃機関1の始動要求が発生したか否かを判別する。S1017で、ECU12が、内燃機関1の始動要求が発生したと判別すると、該始動要求に速やかに対応すべく、S1009へ進む。従って、クランク角を排気弁開弁直前角へ変更している途中であっても、内燃機関1の始動要求が発生した場合は、内燃機関1の速やかな機関始動が優先される。一方、S1017で、ECU12が、内燃機関1の始動要求が発生していないと判別すると、S1018へ進む。
【0137】
S1018では、ECU12は、クランクポジションセンサ9からの検出信号に基づいて、クランク角を排気弁開弁直前角に変更している途中のクランクシャフト10のクランク角を検出する。S1018の処理が終了すると、S1019へ進む。
【0138】
S1019では、ECU12は、S1018において算出したクランク角が、排気弁開弁直前角であるか否かを判別する。S1019で、ECU12が、クランク角が排気弁開弁直前角であると判別すると、S1007へ進み、内燃機関1の始動要求の発生を待つ。一方、S1019で、ECU12が、クランク角が排気弁開弁直前角でないと判別すると、クランク角の排気弁開弁直前角への変更を続けるべく、S1008以降の処理を再び行う。
【0139】
S1009では、S1004で膨張行程にあると判別された気筒2において、内燃機関1の機関始動時に燃焼される燃料の燃焼条件を算出する。具体的には、燃料の燃焼条件として、燃料噴射弁6からの燃料噴射量及び点火栓5による燃料への点火時期を、S1009の処理が行われている時点におけるクランクシャフト10のクランク角や、図1に図示されない内燃機関1の冷却水温度を検出する冷却水温度センサからの冷却水温度(以下、「内燃機関1の冷却水温度」と称する)等に基づいて算出する。
【0140】
ここで、燃料噴射量及び燃料の点火時期の算出について、図11及び図12に基づいて説明する。図11は、クランクシャフト10のクランク角に対する燃料噴射量の推移を示すグラフであり、該グラフの横軸はクランク角を、該グラフの縦軸は燃料噴射量を示す。そして、該グラフ中の線L1及びL2が、燃料噴射量の推移を示す。図11に示すように、クランク角が大きくなるに従い、膨張行程にあると判別された気筒2内に確保される空気量は多くなる等の理由で、燃料噴射量を増量する。これにより、より大きな燃焼トルクを発生させる。
【0141】
また、図11中の線L1及び線L2は、それぞれ、内燃機関1の冷却水温度が相対的に高い場合と低い場合における、燃料噴射量の推移を示す。このように内燃機関1の冷却水温度に応じて燃料噴射量が異なるのは、内燃機関1の冷却水温度が高くなるに従い、噴射された燃料の気化がより促進されるため、少量の燃料でより大きな燃焼トルクを発生させることが可能となることに依る。
【0142】
従って、クランク角が排気弁開弁直前角に近づくに従い、更には内燃機関1の冷却水温度が高くなるに従い、燃料噴射量が増大する。そのため、燃料による燃焼トルクが増大し、モータジェネレータ100の負荷をより低下することが可能となる。尚、クランク角が排気弁開弁直前角を越える場合は、クランクシャフト10を逆転させて気筒内のガスを圧縮する際に、開弁している排気弁4より空気が慣性によって気筒外へ漏出するために、最終的に気筒内へ確保できる空気量は、クランク角が排気弁直前角に至っている時と比べ、低下する。以て燃料噴射量は、クランク角が排気弁開弁直前角のときをピーク値として、クランク角が更に大きくなる場合には、燃料噴射量は低下する。
【0143】
また、S1005やS1017において、内燃機関1の始動要求が発生したとECU12が判別した場合は、クランク角が排気弁開弁直前角には至ってはいないため、クランク角が排気弁開弁直前角に至っている場合と比べ、燃料噴射量は低下する。
【0144】
次に、燃料の点火時期の算出について説明する。図12は、燃料噴射量に対する点火時期の推移を示すグラフであり、該グラフの横軸は上述で算出した燃料噴射量を、該グラフの縦軸は点火時期を示す。そして、該グラフ中の線L3及びL4が、点火時期の推移を示す。図12に示すように、燃料噴射量が多くなるに従い、膨張行程にあると判別された気筒2内における燃料を含む混合気密度が高くなる。その結果、燃料の燃焼時間が短くなるため、燃料の燃焼時期をより適切な時期とすべく、点火時期を遅角側へと移行する。
【0145】
また、図12中の線L3及び線L4は、それぞれ、内燃機関1の冷却水温度が相対的に低い場合と高い場合における、燃料噴射量の推移を示す。このように内燃機関1の冷却水温度に応じて燃料噴射量が異なるのは、内燃機関1の冷却水温度が高くなるに従い、噴射された燃料の気化がより促進されるため、燃料の着火性が向上し、燃料の燃焼時間がより短くなることに依る。
【0146】
ここで、上述の内燃機関1のクランクシャフト10のクランク角に対する燃料噴射量の推移や、燃料噴射量に対する燃料の点火時期の推移をマップの形式で、ECU12のROMに格納しておき、S1009において該マップにアクセスすることで、燃料噴射量や燃料の点火時期の算出を行う。S1009の処理が終了すると、S1010へ進む。
【0147】
S1010では、内燃機関1の機関始動に要する機関始動トルクを算出する。具体的には、内燃機関1の冷却水温度に基づいて、該機関始動トルクを算出する。図13に基づいて、該機関始動トルクの算出について説明する。
【0148】
図13は、内燃機関1の冷却水温度に対する機関始動トルクの推移を示すグラフであり、該グラフの横軸は内燃機関1の冷却水温度を、該グラフの縦軸は機関始動トルクを示す。そして、該グラフ中の線L5が、機関始動トルクの推移を示す。図13に示すように、冷却水温度が上昇するに従い、内燃機関1における摺動部での潤滑油の粘性が低下する等の理由で、機関始動トルクは、低下していく。そこで、内燃機関1の冷却水温度に対する機関始動トルクの推移をマップの形式で、ECU12のROMに格納しておき、S1009において該マップにアクセスすることで、機関始動トルクの算出を行う。S1009の処理が終了すると、S1011へ進む。
【0149】
S1011では、ECU12は、S1009で算出した燃焼条件である燃料噴射量及び点火時期に基づいて、燃焼トルクを算出する。ここで、燃焼トルクは、燃料の燃焼経過とともに変動し、ある時点においてピーク値を示す。S1011の処理が終了すると、S1012へ進む。
【0150】
S1012では、内燃機関1の機関始動のために、モータジェネレータ100が正回転してクランクシャフト10にトルクを出力し、内燃機関1の機関始動の補助を開始するタイミング(以下、「補助タイミング」という)の決定を行う。ここで、図14に基づいて、補助タイミングの決定について説明する。
【0151】
図14は、膨張行程にあると判別された気筒において燃料が燃焼するときの燃料の燃焼経過に対する機関始動トルク及び燃焼トルクの推移を示すグラフである。該グラフの横軸は燃料の燃焼経過時間を、該グラフの縦軸は各トルクを示す。そして、該グラフ中の線L6が機関始動トルクの推移を、該グラフ中の線L7が燃焼トルクの推移を示す。
【0152】
本実施の形態においては、機関始動トルクは経過時間にかかわらず一定の値である。このとき燃焼トルクは、その推移において時間Tsの時点においてピーク値を示す。従って、この時間Tsの時点で、機関始動トルクと燃焼トルクとの差が最も小さくなる。そこで、モータジェネレータ100による補助タイミングを時間Tsの近傍とすることで、内燃機関1の機関始動に要するモータジェネレータ100の出力が最も小さくなり得る。S1012の処理が終了すると、S1013へ進む。
【0153】
S1013ではモータジェネレータ100を逆回転させることで、クランクシャフト10を逆回転させる。それに伴い、燃料噴射弁6よりS1009で算出した量の燃料を噴射する。ここで、S1013で行われるモータジェネレータ100の逆回転は、図4のフローチャートに示すS406からS407の処理と同様に、クランクシャフト10のクランク角が所定角度に達するまで行われる。これにより気筒内のガスが圧縮されて、気筒内の温度が、燃料が燃焼可能な程度に昇温する。クランクシャフト10のクランク角が所定角度に達すると、S1014へ進む。
【0154】
S1014では、点火栓5によりS1009で算出した点火時期において点火を行う。更に、S1012で算出した補助タイミングにおいてモータジェネレータによる内燃機関1の機関始動の補助を行う。S1014の処理が終了すると、S1015へ進む。
【0155】
S1015では、ECU12は、内燃機関1の機関始動が完了していたか否かを判別する。ECU12が内燃機関1の機関始動が完了したと判別すると、本制御を終了する。一方、ECU12が内燃機関1の機関始動は完了していないと、即ち、S1014における燃料の燃焼及びモータジェネレータ100による機関始動の補助によっても内燃機関1の機関始動が良好に行われなかったと、判別すると、S1016へ進む。
【0156】
S1016では、ECU12は、モータジェネレータ100による通常のクランキングによる内燃機関1の機関始動をおこなうべく、モータジェネレータ100を回転駆動させる。このときは、燃料による燃焼トルクによる機関始動への補助が行われないため、S1016でモータジェネレータが発揮すべき出力トルクは、S1014でモータジェネレータが発揮すべき出力トルクに比べて、増大する。これにより内燃機関1の機関始動が行われる。S1016の処理が終了すると、本制御を終了する。
【0157】
本制御によると、内燃機関1の始動時に機関出力軸を所定角度逆回転させた後に正回転によるクランキングを開始する内燃機関の始動制御装置において、該逆回転が行われるべきときに膨張行程にある気筒において燃料を燃焼させ、燃料の燃焼圧力による燃焼トルクをクランキングに利用することで、モータジェネレータ100の定格が大きくなるのを抑制することが可能となる。そして、モータジェネレータ100を逆回転させる前に、クランクシャフト10のクランク角を該気筒内の空気量が増大するクランク角に変更することで、該気筒における燃焼トルクをより大きく発生させることが可能となる。以てモータジェネレータ100の定格が大きくなるのを抑制することが可能となる。
【0158】
尚、本制御においては、燃料による燃焼トルクとモータジェネレータ100の補助トルクによる内燃機関1の機関始動が良好に行われなかったとき、モータジェネレータ100単体による通常のクランキングによる機関始動が行われる。このような場合には、モータジェネレータ100には、単発的に大きな補助トルクを出力することが要求される。しかし、該通常のクランキングが行われる頻度が低いときは、結果的にモータジェネレータの定格が大きくなるのを抑制することが可能である。
【0159】
【発明の効果】
本発明は、内燃機関の始動時に機関出力軸を一旦逆回転させた後に正回転によるクランキングを開始する内燃機関の始動制御装置において、機関出力軸が逆回転するときに膨張行程にある気筒で燃料を燃焼させることにより、ガス圧縮力と燃焼圧力とを利用してクランキングを行うことができるため、電動機がクランキングを行う際に必要となるトルクが低減され、以て電動機の定格及び消費電力を増大させることなく内燃機関を始動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における内燃機関の概略構成を示す図
【図2】クランク角度と各気筒の行程との関係を示す図(1)
【図3】1番気筒が逆転時膨張行程気筒であるときのクランク角度と行程との関係を示す図
【図4】第1の実施の形態における始動制御ルーチンを示すフローチャート図
【図5】第2の実施の形態における内燃機関の概略構成を示す図
【図6】クランク角度と各気筒の行程との関係を示す図(2)
【図7】1番気筒が逆転時膨張行程気筒であり且つ4番気筒が逆転時吸気行程気筒であるときのクランク角度と行程との関係を示す図
【図8】クランクシャフトを逆回転させるときの吸気弁及び排気弁の開閉タイミングを示す図
【図9】第2の実施の形態における始動制御ルーチンを示すフローチャート図
【図10】第3の実施の形態における始動制御ルーチンを示すフローチャート図
【図11】クランクシャフトのクランク角に対する燃料噴射量の推移を示すグラフ図
【図12】燃料噴射量に対する点火時期の推移を示すグラフ図
【図13】内燃機関の冷却水温度に対する機関始動トルクの推移を示すグラフ図
【図14】燃料の燃焼経過時間に対する機関始動トルク及び燃焼トルクの推移を示すグラフ図
【符号の説明】
1・・・・内燃機関
2・・・・気筒
3・・・・吸気弁
4・・・・排気弁
5・・・・点火栓
6・・・・燃料噴射弁
12・・・ECU
100・・モータジェネレータ

Claims (6)

  1. 内燃機関の機関出力軸を回転駆動する電動機と、
    前記内燃機関の始動時に前記機関出力軸を所定角度逆回転させた後に正回転させるべく前記電動機を制御するクランキング制御手段と、
    前記電動機が逆回転するときに膨張行程にある気筒において、前記機関出力軸を所定角度逆回転させた後に、燃料を燃焼させる第1の燃焼制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の始動制御装置。
  2. 前記電動機が逆回転しているときに吸気行程にある気筒の吸気弁及び排気弁を閉弁させるとともに、該気筒において、前記機関出力軸を所定角度逆回転させた後に、燃料を燃焼させる第2の燃焼制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
  3. 前記内燃機関の機関停止後であって前記クランキング制御手段によって前記電動機が逆回転を開始するまでの間に、前記機関出力軸のクランク停止位置を、前記クランキング制御手段によって前記電動機が逆回転すべきときに膨張行程にある気筒内の空気量が増大する所定の停止位置に変更する停止位置変更手段を、更に備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
  4. 前記内燃機関の機関停止時における前記機関出力軸のクランク停止位置が、前記クランキング制御手段によって前記電動機が逆回転すべきときに膨張行程にある気筒における排気弁が開弁し始める排気弁開弁位置までに至らないとき、前記停止位置変更手段は、該機関出力軸のクランク停止位置を該排気弁開弁位置の直前の位置に変更することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の始動制御装置。
  5. 前記停止位置変更手段によって変更された前記機関出力軸のクランク停止位置、及び前記内燃機関の温度条件のうち少なくともいずれかに基づいて、前記第1の燃焼制御手段による燃料の燃焼条件を算出する始動時燃焼条件算出手段を、更に備える請求項3又は請求項4に記載の内燃機関の始動制御装置。
  6. 前記内燃機関の機関始動に要する機関始動トルクを算出する機関始動トルク算出手段と、前記第1の燃焼制御手段によって燃料の燃焼が行われる気筒において発生する燃焼トルクを算出する燃焼トルク算出手段と、を更に備える内燃機関の始動制御装置であって、
    前記クランキング制御手段によって前記電動機を正回転させるべきときに前記電動機が前記機関出力軸に出力する補助トルクが最小となるように、少なくとも前記機関始動トルク算出手段によって算出される始動トルクと前記燃焼トルク算出手段によって算出される燃焼トルクとに基づいて、前記電動機によって該補助トルクを前記機関出力軸に出力する補助タイミングを決定する請求項1又は請求項5に記載の内燃機関の始動制御装置。
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