JP4270679B2 - チューブ容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,スナップ式のヒンジキャップによって開閉されるチューブ容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
スナップ式のヒンジキャップの付いた閉鎖部材はプラスチック成型ボトル用に開発され、またプラスチック押し出しチューブ容器にも使用されている。
図5は、従来のヒンジキャップの付いた閉鎖部材を採用したチューブ容器の説明図である。
従来のヒンジキャップの付いた閉鎖部材を採用したチューブ容器50の一般的なものは、図5(a)に示すように、ハッチングによって示されるチューブ容器本体は、筒状の胴部41、肩部42、口頚部43からなり、これに対して、閉鎖部材を口頚部43に螺子止めあるいは嵌挿して取り付けてなるものである。
閉鎖部材は、注出口Cを略中央(若干偏心している場合が多い。)に有する上板44の周辺に側壁(スカートとも称する)45を有するヘッド部に対して、略中央に突出した栓Pを有する蓋板49とその周辺を取り巻く側壁(スカート)45’からなるヒンジキャップを一対の連結体47と一個の帯状体48とによって連接し、連結体47の有するヒンジを回転軸にしてヒンジキャップの回動を可能としたものである。
また、実用新案登録、第2558685号公報に提案されたチューブ容器60は、図5(b)に示すように、略中央に注出口54を有する上板53とその周辺に肩部52を有するヘッド部材に対して、栓56を内側に有するドーム状のキャップ55をヒンジのある一対の連結板58とベルト59で回動自在に連接してなる閉鎖部材を、その肩部52(図5(a)の側壁45に相当)で胴部51の一端に溶着して取り付けたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来から使用されている図5(a)に示すようなチューブ容器50は、従来のスクリューキャップを取り付けて使用する押し出しチューブ容器本体あるいは、ボトル本体の形状がそのまま使用され、一方で、閉鎖部材の方も、チューブ容器本体の口頚部に取り付ける固定部46、頭部側面を覆う側壁(スカート)45を必要とし、しかも、剛性を持たせる必要から肉厚に成型されている。
従って、チューブ容器50の頭部部分にはかなりの樹脂量が必要になり、重量バランスが悪く(頭部が重くなりすぎる)、頭部のデッドスペースのため内容積がその分少なくなるという問題がある。また、使用中に固定部46によって口頚部43に取り付けられた閉鎖部材がなんらかの拍子に外れ、あるいは取り付けが緩んで内容物が流出する問題がある。
さらに、肩部42と側壁(スカート)45との間に間隙があるため、この間隙から入り込んで溜まっている汚れた液、異物等が、流れ出てくる問題がある。また、この間隙は、チューブ容器が上方に絞られてくるほど、チューブ容器本体の肩部42の変形によって開き易くなるという外見上の問題もある。
実用新案登録、第2558685号公報に提案されたチューブ容器60は、図5(b)に示すように、チューブ容器本体の筒状の胴部51を閉鎖部材の肩部52に直接取り付けることによってて、前記の樹脂量の問題、水が入り込む問題は解決しているが、ヘッド部が、上板53とその周辺に肩部52を有するだけの構造であるので剛性が不足しており、外部からの応力、例えばチューブ容器60を上部まで絞った場合にヘッド部にかかる応力によっても上板53に変形が起きやすく、僅かな変形であっても注出口54とヒンジキャップの固定部56との嵌合が緩み、液漏れの原因になったり、上板53とヒンジキャップ55との間に隙間が開き、外観上見劣りする問題がある。また、ヘッド部の剛性不足から軽快なワンタッチでの開閉操作がやりにくくなり、ヒンジキャップの開閉に余分な力を必要とするという問題がある。
さらに、肩部52を有するために内容物を最後まで絞り出すことができず、残液量が多くなる問題がある。
チューブ容器60の頭部は、ドーム状であって、非使用時にチューブ容器60を倒立して立たせておくことはできず、また、ヒンジキャップの封止時における頭部の平面視において閉鎖部材の連結体58の一部が、胴部51の外周からはみ出していて、ダンボールへの詰め込みあるいは充填工程等の作業工程において製品の流れを阻害する問題もある。
本発明は、前述の問題点に鑑みてなされたもので、頭部に汚れた液や異物が溜まることがなく、頭部における樹脂の使用量を減らして、重量バランスをよくし、材料コストを低減するとともにデッドスペースを少なくして内容物の収納空間を大きくし、且つ残液量を少なくし、また、樹脂の減量にもかかわらず、上板の剛性を十分に持たせることにより頭部まで絞っても注出口周辺の嵌合が緩みにくく、また、上板53とヒンジキャップ55の間に隙間が現れず、ヒンジキャップの軽快なワンタッチでの開閉が可能であり、ヒンジキャップへの指の引っ掛かりを確実にしてヒンジキャップの開閉を容易にし、さらに、非使用時には倒立して立てておくことができるヒンジキャップ付き閉鎖部材を有するチューブ容器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によるチューブ容器は、閉鎖部材を筒状の胴部の一端に接合してなり、頭部を下にした状態での倒立性を有するチューブ容器において、前記閉鎖部材は、中央に基板を有し、該基板の略中央に注出口を有し、かつ、肩部および側壁のないフラットな形状であるヘッド部と、略中央に栓部と周辺に側壁を有し、かつ、フラットな形状の蓋板からなるヒンジキャップとを、ヒンジを介して回動自在に連接しており、前記基板を取り巻くように該基板に較べて薄肉化された撓(たわ)み部が形成されており、前記チューブ容器胴部は肩部および口頸部がない筒状形状であり、前記閉鎖部材と前記チューブ容器胴部は、前記撓み部周辺に形成された接合部で胴部の端部とで接合されていることを特徴とするものである。また、前記閉鎖部材が閉鎖された状態において、前記側壁端部の内外いずれかの側面と隣接する段差面が、前記基板上面の周辺に形成され、前記側壁端部の内側若しくは外側における前記ヒンジを回転軸とする回転半径の最も大きな部分に形成された突起と前記段差面に形成された凹陥部とが嵌合することを特徴とするものである。さらに、前記ヒンジキャップ側を下にした状態で自立性を持たせることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を用いて、更に詳しく説明する。
図1は、本発明によるチューブ容器の第1実施例の説明図である。
図1(a)と図1(b)は、それぞれ本発明によるチューブ容器40の第1実施例の平面図と縦中央断面図である。
本発明によるチューブ容器40は、図1に示すように、胴部1の一端を閉鎖するようにヘッド部10とヒンジキャップ20とからなる閉鎖部材30がヘッド部10の周辺で接合されてなるものであって、ヘッド部10とヒンジキャップ20とはヒンジ22を中間に有する一対の連結体21と帯状体23を介して回動自在に連接されている。
ヘッド部10の形状は、図1(b)に示すように、従来のチューブ容器50の側壁(スカート)45、固定部46に相当する部分がなくなり、また図5(b)に示す従来のチューブ容器60の肩部52に相当する部分もなくなっているためフラットなものとなっている。また、ヘッド部10における接合部6と基板2が略同一レベルにあって、閉鎖部材30の一部が胴部1の中に埋没して接合されるので、成形後の閉鎖部材30は、成形部材として単独で見るよりはさらにフラットに見える。
以上のように、肩部のないヘッド部10に直接胴部1が取り付けられ、フラットな頭部を有する形態は、本発明によるチューブ容器40の主要なポイントとなるものである。
なお、図1における閉鎖部材30は、ヒンジキャップ20がヘッド部10に対して180°開いた製造時の状態で描かれているが、この3点ヒンジを有する閉鎖部材30の場合、成形直後、一旦ヒンジ22で折り曲げて癖を付けると、以降はヒンジキャップ20がヘッド部10に対して130°程度に開いた状態で静止するようになる。
【0006】
発明によるチューブ容器40のヘッド部10は、その中心に設けられている略フラットな基板2をベースとしたもので、この基板2は、ヒンジキャップ20の開閉の際に、また、特にチューブ容器40が頭部近くまで絞られる場合、応力変形を受けにくい材質と厚みを有するものである。
ヘッド部10は、基板2の中心から若干偏心した位置に注出口4を有し、基板2の全周には、薄肉化された撓み部6とさらにその周辺には胴部1との接合部3とが同一樹脂により一体的に連接されていて、これらは、下方に若干湾曲した形状に成形されている。
一般に、絞り時、特にチューブ容器40を頭部近くまで絞り込んだ場合にヘッド部には曲げ応力がかかり易い。しかるに、この応力を薄肉化された撓み部6が吸収するので、中央部の基板2が受ける応力変形を極力少なく抑えることができる。
この撓み部6は全周にあることが好ましいが、部分的に設けてもよい。また、撓み部6全体を薄肉化する代わりに、所定の厚さを持たせておき、裏面から基板2の外側を周回する所定の幅と深さを有する溝を設けるようにしてもよい。
また、接合部6は、図1(b)に示すように、胴部1の端部の内面と熱接着手段によって接合される部分であるが、胴部1の積層構成によっては、胴部1の端部の外側と熱接着手段によって接合するようにしてもよい。
一方、ヒンジキャップ20は、図1(a)、(b)に示すように、基板2から立ち上がる連結パネル8の先端において中間にヒンジ22を有する一対の連結体21と帯状体22からなるいわゆる3点ヒンジを介して回動自在に連接されている蓋板11とその周片を回周する側壁12と、略中心に形成された栓部14とからなっている。閉鎖部材30は、その閉鎖状態において、注出口4と栓部14、すなわち、栓部14の環状体17と、注出口4の外側に設けられている環状ビート9とが嵌合することによる第1の係止機能を構成している。
【0007】
以上のようなシンプルで、フラットなヘッド部10の構造によって、閉鎖部材30の材料使用量は大幅に削減され、第1実施例のチューブ容器40の頭部を従来のチューブ容器50と比較して、約40〜50%の樹脂量の削減が可能となる。また、ヘッド部10内のデッドスペースがなくなり、充填量も多くなり、さらに、ヘッド部10の裏面も略平坦であって、内容物の流れを妨げるものがないので、頭部を下にして内容物を絞り出す場合に、内容物の残量を少なくすることができる。
また、ヒンジキャップ20の表面は、平らに成形されているので、本発明によるチューブ容器40による包装商品は、倒立性、すなわち頭部を下にした状態での自立性を有し、店頭における陳列時、非使用時には立てて置くことが可能である。また、胴部の復元性が強く、エアーバックのある場合には、この倒立性は、直ぐに絞りだすことができる状態を保持するので、使い勝手をよくするすることができる。
この倒立性を持たせるには、蓋板11全体を平らにするか、その周辺部のみを平面上に残し中央部を凹面化させてもよい。
【0008】
さらに、図1(b)で示すように、基板2の上面にはヒンジキャップ20の側壁12の端部の外側と隣接する段差面Dが、基板2の周辺に形成されていて、閉鎖部材30が閉鎖された状態(点線で示す)において、ヒンジを回転軸とする回転半径の最も大きな側壁12端部の外側部分に形成された突起13と前記段差面Dに形成された凹陥部7とが嵌合することによりヒンジキャップ20とヘッド部10の第2の係止機能が構成されている。
この第1実施例における嵌合は、側壁12側が段差面Dの内側に隣接した状態で行われるので、以下内嵌合と称する。
【0009】
本発明によるチューブ容器40は、以上のように2重の係止機能を持たせることによって、閉鎖部材30の閉鎖は、より確実なものとなって、従来の注出口4と栓部14だけの嵌合による場合に比べて不用意な開口による液漏れを起こし難くなっている。
2重の係止機能は、いずれも応力変形を受けにくい剛性が保持された基板2上で構成されているので、軽快な、ワンタッチ操作によるヒンジキャップ20の開閉を可能とする。
また、基板2の周辺には基板2に較べて薄肉化された撓み部6が設けられているので、その部分が応力変形を受け易いため、ヘッド部20全体が剛性を有している従来のチューブ容器に較べて内容物の絞り適性が向上している。
さらに、胴部1を頭部近くまで絞った場合、ヘッド部10が受ける応力変形により、基板2自体も僅かに変形し、第2係止が外れないまでも嵌合が緩んでヘッド部10の基板2とヒンジキャップ20の側壁端部15との間に僅かな間隙が発生し、外見上好ましくない状態が起きるが、内嵌合の場合には、この間隙は段差面Dによって隠れるので目視されることはなく問題はない。
また、内嵌合によって閉鎖部材30が閉鎖された状態の本発明によるチューブ容器40を倒立させて置いた場合、胴部1の表面を伝わって流れ落ちる液の雫(しずく)が、例え前述の僅かな間隙があっても、それを通してヒンジキャップ20内に流れ込む問題はない。
ただし、このような間隙に係わる問題は、次に述べる第2実施例の外嵌合の場合にはそのまま残る。
【0010】
図2は、本発明によるチューブ容器の第2実施例の説明図である。
第2実施例においては、図2に示すように、側壁12の端部が基板2周辺に形成された段差面D’の外側に隣接することによる外嵌合によって第2係止が構成されている。すなわち、ヒンジキャップ20の側壁端部15の内側のヒンジ22を回転軸とする回転半径の最も大きな部分に設けられた突起13’と段差面D’に設けられている凹陥部7’とが嵌合することによって第2の係止機能が構成されている。
この第2実施例の外嵌合の場合は、内嵌合の場合よりも口径の大きなヒンジキャップ20を取り付けることができ、ヒンジキャップ20の開封時に、ヒンジキャップ20の回転半径の最も大きな部分に形成された突出部16に指がかかりやすくなる。
第2実施例の場合は、第1実施例に較べて、基板2の形状と撓み部3の連接位置が若干異なり、上記のように第2係止の構成が外嵌合に変わり、ヒンジキャップ20の最大口径が変わる以外は殆ど同一である。
【0011】
図3は本発明によるチューブ容器の頭部の変形状態の説明図である。
本発明によるチューブ容器40の頭部に近い胴部1を矢印方向に絞る時に起きる頭部の変形は、点線で示すように、撓み部6、6’とその周辺の接合部3は下部に折れ曲がるように変形するが、ヘッド部10の中央の基板2は、応力変形の影響を受けにくく、略元の形状を維持している。
一般に、チューブ容器の取り扱い上、この絞りは、胴部1の底部の開放端部が充填後に合掌シールされて形成される線状シール部の長手方向と直交する方向に行われる。従って、本発明によるチューブ容器40の絞り適性を良好にするには、基板2部分を小さくし、その周辺の撓み部3の幅を特に矢印方向に広くすることが好ましい。その代わり、閉鎖部材30は胴部1の外径に対して小さくなり、ヒンジキャップ20の開閉がやりにくくなり、また、自立安定性も悪くなるの等のマイナス面も発生するので、チューブ容器40全体の意匠も含めて各部の寸法のバランスをとる必要がある。
【0012】
図4は、ヒンジキャップの付いた閉鎖部材の説明図である。
一般に、ヒンジキャップの付いた閉鎖部材には、構造上から大別して図4、(a)〜(d)に示す次のものがある。
(a)ヒンジ単体タイプ
(b)両側ヒンジ、中央バンド(バネ機能のある帯状体32)セパレートタイプ
(c)中央ヒンジ、両側バンドセパレートタイプ
(d)中央ヒンジ、両側バンド一体タイプ
これらは、いずれもヘッド部(図では左側)にヒンジ33を介して連接されたヒンジキャップ(図では右側)が、ヒンジ33を軸として回動し、閉鎖部材の開閉を繰り返し可能とするものであるが、スナップを効かせて開閉することを可能とするものは、図(b)〜図(c)に示されている。さらに、図示はされていないが、ピルファープルーフ(悪戯防止)機能等をさらに付与したものが開示されている。
本発明によるチューブ容器40の実施例1、実施例2には、一般に3点ヒンジ方式と呼ばれる図4(b)で示す両側ヒンジ、中央バンドセパレートタイプが使用されているが、以上の中から適宜選んでそれ以外のいかなるタイプを使用してもよい。
【0013】
胴部1は、単層若しくは多層の積層構成を有する円筒状の筒状体(スリーブ)であって、その積層構成はかなりの自由度をもって選択することができるが、胴部1のヘッド部10との接着面側には、閉鎖部材30に使用されるポリオレフィン系樹脂と良好な熱接着性を示す接着性ポリオレフィン系樹脂層か、若しくは閉鎖部材30と同系材質の樹脂層が形成されていること、また図1(b)に示すように、熱接着による接合時に曲面を形成できる熱変形性のあることが必要である。積層構成と接着面側の樹脂については詳しく後述する。
【0014】
本発明によるチューブ容器40の胴部1の製造方法について説明する。
単層または積層体からなる筒状の胴部1の製造方法は、押し出しチューブ成形方式、ラミネートシートからの胴貼り方式が一般的であるが、場合によってはブローチューブ成形方式、インフレーション方式を使用してもよい。
押し出しチューブ成形方式の場合は、円形のダイスから単層、若しくは多層押し出しされたチューブを所定の長さにカットするが、ラミネートシートからの胴貼方式の場合は、所定の幅と厚みを有する長尺のラミネートシートを胴貼りしてスリーブ状とし、所定の長さにカットするか、あるいは、最初に短冊状にカットしたラミネートシートを胴貼りしてスリーブ状とすればよい。
ブローチューブ成形方式は、ブロー成形によって一本づつ成形するものであって、胴部を変形させる場合に効果的であり、インフレーション方式の場合は薄型の場合に効果的である。
押し出し方式の場合は、継ぎ目のない美しい仕上がりになるが、使用素材の種類に限界がある。また、ラミネートシートからの胴貼り方式の場合は、素材選択の自由度が高くバリアー性のあるアルミ箔、シリカ蒸着層等も適宜設けることができ、積層構成の範囲は広くなるが、胴貼り部分が外観を損ない、また胴部1の断面の厚み精度を損ない易く、ヘッド部10との接合方法によっては適合しにくい場合がある。但し、生産性は高く、印刷の自由度は高い。
従って、内容物、使用用途、要求される美粧性等を勘案して、胴部1の積層構成、熱接着手段等の最適な組み合わせを選ぶことが好ましい。
【0015】
次に、本発明によるチューブ容器40の閉鎖部材30の成形と胴部1と閉鎖部材30の接合に使用される熱接着手段について説明する。
閉鎖部材30は射出成形法、コンプレッション成形法によって成形されるが、射出成形法が好適に使用される。この場合、閉鎖部材30は、ヘッド部10とヒンジキャップ20がヒンジ22を介して連接されて、図1に示すような略水平に展開した状態で成形される。成形樹脂は、ヒンジ特性、金型内での流動性等を配慮してポリオレフィン系樹脂の中から適宜選択して使用することができる。詳しくは後述する。
胴部1と閉鎖部材30の接合は、大別して、閉鎖部材30を射出成形する工程で同時に胴部1を熱融着させるインモールド射出成形法と、それぞれ別に成形しておいてから次の工程で熱接着手段によって接合する方法とがある。
先ず、前者のインモールド射出成形法であるが、この方法は本発明によるチューブ容器40の製造にあたって、最も効果的に用いられ、実施例1、実施例2ともこの熱接着手段によって一体的に接合されている。
インモールド射出成形とは、金型内で射出成形される成形品に予め型締め前に挿入されている成形樹脂以外のものを一体的にワンピースとなるように熱融着させる方法であって、本発明によるチューブ容器40の場合にもこの方法は効果的に使用され、閉鎖部材30の射出成形用の金型内に胴部1の一端を挿入することによって、閉鎖部材30が成形されると同時に、閉鎖部材30に胴部1が一体的に熱融着された状態で金型から取り出すことができる。
すなわち、閉鎖部材30を成形するキャビティ側が総て型締めされた状態において、予め筒状に成形された胴部1を、先端部がヘッド部10を射出成形するためのコアーとなっているマンドレルに差し込んだ状態で、キャビティ内に所定の位置まで進入させて型締めを完了させ、溶融樹脂を型内に射出し、型内で胴部1の端部と溶融樹脂を融着させ一体化することができる。
このインモールド射出成形による熱接着手段は、後述する他の熱接着手段に較べて工程が短縮でき、接合箇所の仕上がりが美しく、化粧品、トイレタリー等のチューブ容器として最適である。
以下述べる接合手段は、予め別々に成形されている部材、すなわち閉鎖部材30と胴部1同士を接合する方法である。
【0016】
ホットエアー加熱による熱接着手段は、閉鎖部材30の接合部6と胴部1の接合面の少なくとも一方を表面樹脂の溶融温度まで微小なノズルから吹き出るホットエアーによって加熱、溶融し、その直後に両者を接触、加圧することによる方法である。
【0017】
高周波加熱による熱接着手段は、胴部1の積層材の中にアルミ箔がラミネートされている場合に効果的な方法である。
閉鎖部材30の接合部6と胴部1の接合面にはポリオレフィン系樹脂が使用されるが、ポリオレフィン系樹脂のように誘電損失の低い樹脂同志をこの熱接着手段で接合させるには、アルミ箔のような導電体の介在が必要になる。
高周波加熱による温度上昇は急激であり、閉鎖部材30の接合部6と胴部1の端部の接合面同志を予め用意した治具を用いて接触させた状態で、高周波電圧を印加した電極間を通過されば容易に接合面同志を熱接着させることができる。
【0018】
超音波加熱による熱接着手段は、閉鎖部材30の接合部6と胴部1の接合面とを治具を用いてホーンの先端に加圧接触させておき、20KHz程度の超音波をコンバーター、ブースターを通してホーンの先端に集中させ、超音波振動による摩擦熱を発生させて単時間で接合面同志を熱接着させる方法である。。
【0019】
ヒートシールによる熱接着手段は、閉鎖部材30の接合部8と胴部1の接合面とを外側からリング状の加熱体で、また内側からシリンダー状の受け、あるいは加熱体で挟んで接触させた状態で伝導加熱と圧着によって接合させる方法である。
【0020】
本発明によるチューブ容器40に使用される素材について説明する。
まず、閉鎖部材30に使用される素材にはポリオレフィン系樹脂が使用されるが、閉鎖部材30が前述のヒンジ機能を伴うため、ヒンジ部に適度な弾性と耐折強度を持たせる必要から、ポリプロピレン系樹脂の使用が好ましい。また、金型内における溶融樹脂は極めて狭いヒンジ部を通過して、短時間で型内に広がる必要があり、流動特性に優れた樹脂の使用が好ましい。また軽快な嵌合機能を持たせるため、適度な硬度を持たせる必要もある。
胴部1には種々の積層構成からなる積層材が適用されるが、少なくとも閉鎖部材30との接着面側には、前述のように、閉鎖部材に使用されるポリオレフィン系樹脂に対して良好な濡れ、相溶性、熱接着性を示す接着性ポリオレフィン系樹脂層か、あるいは閉鎖部材30と同系材質の樹脂層が形成されていることが好ましい。
この接着性ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を変性したもので、溶融表面張力の極めて小さな、官能基を有する樹脂であって、この樹脂層を介在させることによって、閉鎖部材30のポリオレフィン系樹脂と胴部1間の熱接着手段による接合を極めて強力に行うことができる。
一般に、接着性ポリオレフィン系樹脂は、多層押し出し法による積層材の製造にあたって、互いに接着性の良くない樹脂間にいわゆるタイレイヤー(以下TIEで示す。)として設けられるモディック(三菱化学(株)製)、アドマー(三井化学(株)製)等によって代表されるものであって、本発明によるチューブ容器の胴部1を多層押し出し方式で製造する場合にも、当然外面ばかりでなく内側においてもタイレイヤー(TIE)としての使用が可能である。
接着性ポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン、エチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレンのごときポリα−オレフィン、およびポリブタジエン、ポリイソプレンのごときポリジオレフィンあるいはこれらの共重合体等をはじめとするエチレン成分と、例えば、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル、カルボン酸アミドないしイミド、アルデヒド、ケトン等に基づくカルボニル基を単独で、あるいはシアノ(−CN)基;ヒドロキシ基;エーテル基;オキシラン環;等との組合せで有するエチレン系不飽和単量体の1種または2種以上との共重合体である。
上記エチレン系不飽和単量体の具体例としては、
A.エチレン系不飽和カルボン酸:
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸等
B.エチレン系不飽和無水カルボン酸:
無水マレイン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等
C.エチレン系不飽和エステル: アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、マレイン酸モノまたはジエチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、γ−ヒドロキシメタクリル酸プロピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−N−エチルアミノエチルアクリレート等
D.エチレン系不飽和アミドないしイミド:
アクリルアミド、メタクリルアミド、マレインイミド等
E.エチレン系不飽和アルデヒドないしケトン:
アクロレイン、メタクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニルブチルケトン等
であるが、なかでもエチレン系不飽和カルボン酸あるいはエチレン系無水カルボン酸が特に好適である。
また、接着性ポリオレフィン系樹脂を使用しない場合には、閉鎖部材30に使用されるポリオレフィン系樹脂と同系材質の樹脂が胴部1の接合面側に使用されることが好ましい。
この閉鎖部材30側のポリオレフィン系樹脂と胴部1の接合面の樹脂の組み合わせは、LDPE,LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、PP、ポリオレフィン系のポリマーアロイ(いかなる手段でポリマーアロイ化されたものでもよい)等の中から閉鎖部材30の成形性、硬度、ヒンジ特性、接着性、すなわち接合のための熱接着手段とそれによって得られる接着強度、胴部の絞り適性(柔軟性、反復性等)等を十分勘案して、適宜定めればよい。例えば次の如き組み合わせが可能である。
胴部接着面 閉鎖部材
PP PP
PP系ポリマーアロイ PP
LDPE LDPE
LDPE LLDPE
LLDPE LDPE
LLDPE LLDPE
PP系ポリマーアロイ PP系ポリマーアロイ
PP系ポリマーアロイ同士を組み合わせる場合には、エラストマー成分濃度の異なる2種のPP系のポリマーアロイを組み合わせ、エラストマー成分濃度の大きい柔軟グレードの方を胴部接着面側に、エラストマー成分濃度の小さい硬質グレードの方を閉鎖部材に適用することが好ましい。
【0021】
本発明によるチューブ容器40の胴部1に使用される積層例を挙げると表面から順に次の如くである。
1)多層押し出し成形による場合
▲1▼ LDPE300〜320μm/TIE30/XX100〜120μm
▲2▼ XX100mμ/TIE(A)30mμ/TIE(B)30mμ/PAN70mμ
▲3▼ PP100mμ/TIE20/EVOH20/TIE20/XX100mμ
2)ラミネートシートから筒貼りする場合
▲1▼ XX100mμ/EVOH15/DL/XX100mμ
▲2▼ XX100mμ/SiOx−PET12mμ/DL/XX100mμ
▲3▼ XX100mμ/SiOx−Ny15mμ/DL/XX100mμ
▲4▼ PP100mμ/DL/PET12mμ/AL9mμ/DL/XX10Omμ
なお、ここで、
DL ;ドライラミネート接着剤
EVOH ;エチレン−ビニルアルコール共重合体
Ny ;ナイロン
LDPE ;低密度ポリエチレン
PP ;ポリプロピレン
PAN ;ポリアクリロニトリル
PET ;ポリエチレンテレフタレート
SiOx ;シリカ蒸着
TIE ;接着性樹脂
XX ;接着性ポリオレフィン系樹脂
【0022】
本発明によるチューブ容器40は、上記の記載あるいは図面に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、本発明によるチューブ容器の平面視における形状、すなわち胴部1の中心軸と直行する断面形状及びヘッド部1の平面形状は、図1のような円形に限定されることなく、楕円形、四隅にアールのある多角形、馬蹄形、星形等の中から適宜選択することができる。
また、ヘッド部10は、必ずしも胴部1の中心軸と直行する断面による端部と接合される必要はなく、胴部1の斜めの断面による端部と接合されてもよい。
さらに、胴部1は、スリーブ状である必要はなく、所定の開口部を有するプラスチック成形品、軟包装材料によるパウチ等であってもよい。
基板2の断面形状は、フラットな平面とは限らず、上下に湾曲するものであってもよい。
ヒンジキャップ20の平面形状も、対応するヘッド部10の形状に従って最適な形状をとることができる。
注出口4の平面形状も、円形に限定されることなく、楕円、多角形、星型、十字型、アスタリクス型等であってもよく、その断面形状も上方に突出する凸型だけでなく、フラット型であってもよい。
さらに、ヒンジキャップ20側の栓部14と注出口4との嵌合方式を図1とは逆の雄雌嵌合としてもよい。あるいは、注出口4の端部に当たる部分にパッキン材を備えるようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明によるチューブ容器40によれば、肩部のない比較的フラットな基板2を中心部に備えたヘッド部10を胴部1の端部に直接接合することによって、閉鎖部材に側壁45や肩部52のある従来のチューブ容器50、60に較べると、樹脂量の削減が可能となり、重量バランスを良くするとともに、材料コストを低減することができ、頭部のデッドスペースがなくなって、内容物の収納空間を大きくすることができ、残液量を少なくすることができる。
また、従来のチューブ容器50のように頭部のに汚れた液や異物が溜まる問題は解消されている。
また、ヘッド部10とヒンジキャップ20との2重の嵌合による係止機能を持たせたることによって、不用意な液漏を防止することができ、さらに頭部近くまで絞った場合の基板2とヒンジキャップ20の側壁端部15との間に発生する間隙を無くするかあるいは少なく抑えることができる。
さらに、ヘッド部10の肉厚な基板2上に形成された段差面Dとヒンジキャップ20の側壁端部15の内外いずれかの側面同士の嵌合による係止機能を持たせ、且つ基板2の周辺には曲げ応力の集中し易い基板2よりは薄肉の撓み部3を設けることによって、ヘッド部10の中央部が頭部近くまで絞られた場合の応力変形の影響を少なくすることができ、常時、ヒンジキャップ20を容易にワンタッチで開閉させることができるとともに、最後まで絞り易くすることができる。
さらにまた、側壁端部15の外側の側壁と段差面D同士の内嵌合を採用することによって、絞り時の応力が作用して、前述の間隙が生じたとしても、それを目視できないようにして、外観的に好まし状態とし、またチューブ容器40が倒立して置かれた場合に胴部1を伝わって流れ落ちる液のヒンジキャップ20内への侵入を防ぐことができる。
また、ヒンジキャップ20の上面を平らにすることによって、安定した倒立が可能であり、陳列時、非使用時に効果的である。
本発明によるチューブ容器40は、充填前の平面視において、閉鎖部材30から胴部の外周を越えて突出する部分がないため、箱詰め、移動、配列等における作業性をよくすることができる。
胴部の積層構成には、種々の選択肢があり、食品、医薬品、化粧品、トイレタリー等広範囲の内容物に対して適用が可能である。
製造方法にインモールド射出成形を採用すると、成形工程数が少なくなるので、製造コストを低減させたチューブ容器の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるチューブ容器の第1実施例の説明図
【図2】本発明によるチューブ容器の第2実施例の説明図
【図3】本発明によるチューブ容器の頭部の変形状態の説明図
【図4】ヒンジキャップの付いた閉鎖部材の説明図
【図5】従来のヒンジキャップの付いた閉鎖部材を採用したチューブ容器の説明図
【符号の説明】
1 胴部
2 基板
3 撓み部
4 注出口
5 基板のエッジ
6 接合部
7、7’ 凹陥部
8 連結パネル
9 環状ビート
10 ヘッド部
11 蓋板
12 側壁(スカート)
13 突起
13’ 突起
14 栓部
15 側壁端部
16 突出部
17 環状体
20 ヒンジキャップ
21 連結体
22 ヒンジ
23 帯状体
30 閉鎖部材
32 バンド(帯状体)
33 ヒンジ
40 本発明によるチューブ容器
41 胴部
42 肩部
43 口頚部
44 上板
45 側壁(スカート)
46 固定部
47 連結体
48 帯状体
49 蓋板
50 従来のチューブ容器
51 胴部(スリーブ)
52 肩部
53 上板
54 注出口
55 ヒンジキャップ
56 栓
58 連結板
59 ベルト
60 従来のチューブ容器
D,D’ 段差面

Claims (3)

  1. 閉鎖部材を筒状の胴部の一端に接合してなり、頭部を下にした状態での倒立性を有するチューブ容器において、前記閉鎖部材は、中央に基板を有し、該基板の略中央に注出口を有し、かつ、肩部および側壁のないフラットな形状であるヘッド部と、略中央に栓部と周辺に側壁を有し、かつ、フラットな形状の蓋板からなるヒンジキャップとをヒンジを介して回動自在に連接しており、前記基板を取り巻くように該基板に較べて薄肉化された撓(たわ)み部が形成されており、前記チューブ容器胴部は肩部および口頸部がない筒状形状であり、前記閉鎖部材と前記チューブ容器胴部は、前記撓み部周辺に形成された接合部で胴部の端部とで接合されていることを特徴とするチューブ容器。
  2. 前記閉鎖部材が閉鎖された状態において、前記側壁端部の内外いずれかの側面と隣接する段差面が、前記基板上面の周辺に形成され、前記側壁端部の内側若しくは外側における前記ヒンジを回転軸とする回転半径の最も大きな部分に形成された突起と前記段差面に形成された凹陥部とが嵌合することを特徴とする請求項1記載のチューブ容器。
  3. 前記ヒンジキャップ側を下にした状態で自立性を有することを特徴とする請求項1あるいは2記載のチューブ容器。
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