JP4269443B2 - 摺動部材の表面処理方法及び該方法を用いた摺動部材の表面平滑化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンのバルブを駆動するカムと摺動するシム等の摺動部材の表面処理方法及び該方法を用いた摺動部材の表面平滑化方法に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エンジンの吸気バルブ又は排気バルブは、カムシャフトに設けられたカムによって駆動される。その際、このカムは、バルブの上端部に設けられたタペット若しくはそのタペットに固定されたシム又はロッカーアーム等のカムフォロワーと摺動する。このカムフォロワーとカムとの間の摺動摩擦抵抗は、エンジン出力損失の要因となるため、それらの摺動面を出来る限り平滑化(鏡面化)して摺動摩擦抵抗を低減させるようにすることが望ましい。
【0003】
そこで、従来、例えば特開平7−118832号公報に示されているように、カムと摺動する摺動部材の摺動面をその表面粗さが0.3μmRz以下になるように仕上げると共に、その摺動面に、硬さがHv1000以上である材料(窒化チタン)をアーク式イオンプレーティング法によってコーティングするようにすることが提案されている。この方法によれば、摺動部材の摺動面に付着したチタン上に窒化チタンがコーティングされることによりドロップレットが形成され、このドロップレットにより摺動面に微少な突起が存在することとなり、この突起により、摺動部材とカムとを初期摺動させることでカムの摺動面が鏡面化されると共に、摺動部材の摺動面も微細な突起が折り取られて鏡面化される。
【0004】
一方、例えば特開平9−302454号公報に示されているように、摺動部材にショットピーニングを施して表面粗さを6〜25μmRyに設定した後、その摺動部材に浸炭焼入れ処理を施すようにすることが提案され、この方法によれば、摺動部材が相手材と摺動する初期において、摺動部材表面の浸炭異常層が除去されると共に、馴染み効果によりその表面粗さが小さくなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記前者の提案例(特開平7−118832号公報)における摺動部材の平滑化方法では、ドロップレットの発生密度を電流密度によりある程度は制御可能であるものの、安定した制御は非常に困難であり、ドロップレットの発生密度が小さいと相手材の摺動面を十分に平滑化することができない一方、発生密度が大きいとスカッフィング(軽い焼付き)が生じ易くなるという問題がある。また、ドロップレットの大きさ、高さ、発生位置を制御することはできないため、製造上のばらつきが大きくなってしまう。しかも、アーク式イオンプレーティング法を用いるので、かなりのコストアップを招いてしまう。
【0006】
一方、上記後者の提案例(特開平9−302454号公報)の方法では、摺動部材の摺動面の表面粗さを初期摺動によりある程度は小さくできるものの、浸炭異常層の除去が目的であるために浸炭焼入れ処理前の摺動面の表面粗さがかなり大きくて、その摺動面の平滑化には限界があり、しかも、摺動部材の摺動面の硬さが考慮されていないので、相手材の摺動面を積極的に平滑化することは困難である。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記カムフォロワー等の摺動部材の摺動面に対する処理方法に工夫を凝らすことによって、この摺動部材と摺動する相手材との間の摺動摩擦抵抗を低コストで安定的に低減させようとすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この発明では、摺動部材の摺動面の表面粗さを、該摺動面と摺動する相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、ショットブラスト処理等の粒子吹付け処理により0.01〜1.0μmRaに設定し、その後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことにより、上記摺動部材の摺動面部の硬さを相手材の摺動面部よりも大きく設定するようにした。
【0009】
具体的には、請求項1の発明では、摺動部材の表面処理方法として、摺動部材の摺動面の表面粗さを、該摺動面と摺動する相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面部よりも硬い粒子を流体の圧力を利用して吹き付ける粒子吹付け処理を施すことで、摺動面の表面粗さを0.01〜1.0μmRaに設定し、その後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことにより、上記摺動部材の摺動面部の硬さを上記相手材の摺動面部よりも大きく設定するようにする。
【0010】
このことにより、先ず、摺動部材の摺動面の表面粗さが研削や研磨処理等により相手材の摺動面よりも小さくされて比較的滑らかな状態となる。この摺動面に、ショットブラスト処理のように粒子を空気や水等の圧力を利用して吹き付ける粒子吹付け処理を施すと、この処理前の表面粗さが比較的小さいので、多数の互いに独立した微細な突部が摺動面全体に亘って略均一に形成される。特に、粒子吹付け処理前における摺動部材の摺動面の表面粗さを、0.2μmRa以下に設定することで、粒子吹付け処理後に形成される突部をさらに均一なものにすることができる。このときの表面粗さは、0.01μmRaよりも小さいと、相手材との初期摺動時に相手材の摺動面を十分に平滑化することができない一方、1.0μmRaよりも大きいと、初期摺動により摺動部材の摺動面が十分に平滑化されないので、0.01〜1.0μmRaに設定している。そして、上記突部形成後に、摺動部材の摺動面部の硬さが大きくされる。このとき、窒化処理、浸炭処理、ホウ化処理等により容易に摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成することができ、この結果、摺動部材の摺動面部に硬質化合物が形成される。この結果、摺動部材の摺動面部の硬さを簡単にかつ確実に相手材の摺動面部よりも大きくすることができる。したがって、上記各突部の硬さは相手材の摺動面部よりも大きいので、摺動部材の摺動面と相手材の摺動面とを互いに初期摺動させると、その各突部が相手材の摺動面を研磨して平滑化する。一方、各突部は微細でかつ互いに独立しているため、相手材の摺動面部よりも硬いものの容易に削り取られて、摺動部材の摺動面も平滑化され、この結果、初期摺動後における両摺動面間の摺動摩擦抵抗は非常に小さくなる。しかも、上記突部は、簡単な方法で略均一に形成することが可能であるため、低コストで摺動部材及び相手材間の摺動摩擦抵抗を安定的かつ確実に低減させることができる。
【0011】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、粒子吹付け処理後における摺動部材の摺動面の表面粗さを、0.02〜0.7μmRaに設定するようにする。この発明により、摺動部材及び相手材間の摺動摩擦抵抗をさらに小さく抑えることができる。
【0012】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、摺動部材の摺動面部の硬さをHv1500以下に設定するようにする。こうすることで、相手材の摺動面を良好に平滑化しつつ、摺動部材の摺動面が確実に平滑化される。
【0013】
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれか1つの発明において、摺動部材内部に拡散浸透させる元素は、窒素、炭素及びホウ素のうちの少なくとも1つであるものとする。このことにより、摺動部材の摺動面部に窒化物、炭化物及びホウ化物のいずれかの硬質化合物を生成して、摺動面部の各突部を容易に硬くすることができる。
【0014】
請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1つの発明において、摺動部材の摺動面に、浸炭焼入れ処理を施した後に研磨処理を施すことで、該摺動面の表面粗さを相手材の摺動面よりも小さく設定するようにする。
【0015】
こうすることで、浸炭焼入れ処理により硬質化合物層を厚くして摺動部材内部をも硬くすることができ、これにより、浸炭焼入れ処理後に研磨処理を行っても摺動部材の摺動面部の硬さは維持することができる。
【0016】
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1つの発明において、摺動部材は、エンジンのバルブを駆動するカムと摺動するカムフォロワーであるものとする。このことにより、シム等のカムフォロワーとカムとの間の摺動摩擦抵抗を可及的に低減して、エンジン出力を向上させたり燃費を向上させたりすることができる。
【0017】
請求項7の発明では、摺動部材の表面処理方法として、摺動部材の摺動面の表面粗さを、該摺動面と摺動する相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面部よりも硬い粒子を流体の圧力を利用して吹き付ける粒子吹付け処理を施すことで摺動面の表面粗さを0.02〜0.7μmRaに設定し、その後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことにより、摺動部材の摺動面部の硬さを上記相手材の摺動面部よりも大きくかつHv1500以下に設定するようにする。
【0018】
この発明により、粒子吹付け処理によって多数の互いに独立した微細な突部が摺動面全体に亘って均一に形成され、この各突部は、拡散浸透処理によって硬化される。この拡散浸透処理の際、元素が摺動部材内部に拡散浸透するので、その摺動面には影響を与えない。この結果、摺動面の各突部の形状は殆ど変化せず、粒子吹付け処理により設定した表面粗さは維持することができる。一方、逆に、粒子吹付け処理前に拡散浸透処理を行うようにすると、拡散浸透処理により形成される硬質化合物層の厚さが薄い場合には、粒子吹付け処理によりその硬質化合物層の一部が削り取られる可能性がある。したがって、粒子吹付け処理後に拡散浸透処理を行うことにより、摺動部材の摺動面部における各突部の硬さを効果的に大きくすることができる。そして、このように表面処理した摺動部材の摺動面を相手材の摺動面と互いに初期摺動させると、各突部が相手材の摺動面を研磨して平滑化すると共に、その各突部は削り取られて摺動部材の摺動面も平滑化され、摺動部材及び相手材間の摩擦ロスを最小限に抑えることができる。
【0019】
請求項8の発明は、摺動部材の表面平滑化方法の発明であり、この発明では、摺動部材の摺動面の表面粗さを、該摺動部材と摺動する相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面部よりも硬い粒子を流体の圧力を利用して吹き付ける粒子吹付け処理を施すことで摺動面の表面粗さを0.01〜1.0μmRaに設定し、その後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことにより、上記摺動部材の摺動面部の硬さを上記相手材の摺動面部よりも大きく設定し、次いで、上記摺動部材の摺動面と相手材の摺動面とを互いに初期摺動させることにより、該両摺動面を互いに平滑化するようにする。このことで、請求項1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0020】
請求項9の発明では、請求項8の発明において、初期摺動後における摺動部材及び相手材の両摺動面の合成表面粗さを、0.2μmRa以下に設定するようにする。
【0021】
こうすることで、両摺動面間の摺動摩擦抵抗を極めて小さい値に抑えることができる。ここで、合成表面粗さは、以下の式により求められるものをいう。
【0022】
合成表面粗さ={(摺動部材の摺動面の表面粗さ)2+(相手材の摺動面の表面粗さ)2}1/2
請求項10の発明では、請求項8又は9の発明において、相手材は、エンジンのバルブを駆動するカムであり、摺動部材は、上記カムと摺動するカムフォロワーであるものとする。このことで、請求項6の発明と同様の作用効果が得られる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図2は、本発明の実施形態に係る摺動部材の表面処理方法及び表面平滑化方法が適用されるシム7及びカム12を有する直打式動弁系エンジンのシリンダヘッド1を示し、このシリンダヘッド1の排気ポート2の燃焼室側開口部にはバルブシート3が接合され、このバルブシート3に、上下方向に延びる排気バルブ4の下端部がコイルバネ5の付勢力により当接するように構成されている。この排気バルブ4の上端部にはタペット6が設けられ、このタペット6の上面には、該タペット6と後述のカム12とのクリアランスを調整するために設けられたシム7が固定されている。このシム7の上方には、図外のタイミングプーリ及びタイミングベルトを介してクランク軸により駆動されるカムシャフト11が設けられ、このカムシャフト11には、上記排気バルブ4を駆動するカム12が回転一体に設けられている。そして、このカム12がその回転により上記シム7及びタペット6を介して排気バルブ4を上記コイルバネ5の付勢力に抗して下方向に押すことで、排気ポート2が開放されるようになっており、このとき、カム12の側周面がシム7の上面と摺動することになる。つまり、上記シム7は、カム12(相手材)と摺動する摺動部材としてのカムフォロワーを構成し、シム7の上面及びカム12の側周面がそれぞれシム7及びカム12の摺動面となる。尚、吸気バルブも、上記排気バルブ4と同様の構成である。
【0024】
上記シム7及びカム12の両摺動面は共に平滑化されていて、その両摺動面間の摺動摩擦抵抗は極めて小さくされている。このように両摺動面を平滑化するには、最初にシム7の摺動面に対して所定の表面処理を行う必要がある。この表面処理方法を図1により説明する。尚、上記カム12は、チルド鋳鉄からなる通常のものを使用しており、特に表面処理は行わない(初期摺動前の摺動面の表面粗さ0.5〜0.7μmRa程度、摺動面部の硬さHv520〜560程度)。
【0025】
先ず、クロムモリブデン鋼を用いて製造したシム7(図1(a)参照)の摺動面の表面粗さは、上記カム12の摺動面よりも大きいため、その摺動面に研削や研磨処理を施すことにより、カム12の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定する(図1(b)参照)。
【0026】
続いて、上記シム7の摺動面に、該摺動面部よりも硬い粒子を流体の圧力を利用して吹き付ける粒子吹付け処理を施すことで、摺動面の表面粗さ(中心線平均粗さ)を0.01〜1.0μmRaに設定する。この粒子吹付け処理としては、ショットブラスト処理が適しているが、粒子を空気や水等の流体の圧力を利用して吹き付ける方法であれば他の方法であってもよい。このように粒子吹付け処理を行うと、この処理前の表面粗さを比較的小さくしているので、図1(c)に示すように、多数の互いに独立した微細な突部7a,7a,…が摺動面全体に亘って略均一に形成される(実際には、図3参照)。このときの表面粗さは、0.01μmRaよりも小さいと、後述の如くカム12と初期摺動させたときにカム12の摺動面を十分に平滑化することができない一方、1.0μmRaよりも大きいと、初期摺動によりシム7の摺動面が十分に平滑化されないので、0.01〜1.0μmRaに設定している。尚、粒子吹付け処理後におけるシム7の摺動面の表面粗さは、0.02〜0.7μmRaに設定することがより望ましい。
【0027】
次いで、図1(d)に示すように、シム7の摺動面に、元素15をシム7の内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことで、シム7の摺動面部の硬さをカム12の摺動面部よりも大きくかつHv1500以下に設定する。上記元素15は、窒素、炭素及びホウ素のうちの少なくとも1つであることが望ましい。具体的には、窒素元素による窒化処理(塩浴軟窒化処理やガス軟窒化処理等)、炭素元素による浸炭処理及びホウ素元素によるホウ化処理が適している。但し、元素15をシム7の内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する方法であれば、窒素、炭素及びホウ素以外のものを使用する方法であってもよい。このように拡散浸透処理を行うと、図1(e)に示すように、シム7の摺動面部に硬質化合物層7bが生じて上記各突部7aが硬化される一方、元素15がシム7の内部に拡散浸透するので、その摺動面の形状や表面粗さはそのまま維持される。つまり、各突部7aは、拡散浸透処理によっては破壊されず、その形状は殆ど変化しない。
【0028】
次に、上記表面処理を施したシム7をカム12と共にエンジンのシリンダヘッド1に実際に組み込んで、シム7の摺動面とカム12の摺動面とを互いに初期摺動させる(図1(f)参照)。この初期摺動時において、シム7の摺動面に形成された各突部7aの硬さがカム12の摺動面部よりも大きいので、その各突部7aがカム12の摺動面を研磨して平滑化する一方、各突部7aは微細でかつ互いに独立しており、しかも、その硬さがHv1500以下に設定されているため、カム12の摺動面部よりも硬いものの容易に削り取られて、シム7の摺動面も平滑化される。つまり、シム7の摺動面とカム12の摺動面とを互いに初期摺動させると、両摺動面は互いに平滑化される(図1(g)参照)。この初期摺動後におけるシム7及びカム12の両摺動面の合成表面粗さは、0.2μmRa以下に設定することが望ましい。このようにすれば、両摺動面間の摺動摩擦抵抗をかなり小さい値に抑えることができる。ここで、上記合成表面粗さは、以下の式により求められるものをいう。
【0029】
合成表面粗さ={(シム7の摺動面の表面粗さ)2+(カム12の摺動面の表面粗さ)2}1/2
したがって、上記実施形態では、シム7の摺動面に対して、研削や研磨処理を施した後に、ショットブラスト処理等の粒子吹付け処理により摺動面の表面粗さを0.01〜1.0μmRaに設定し、その後、軟窒化処理等の拡散浸透処理によりシム7の摺動面部をカム12の摺動面部よりも硬くするようにしたので、そのシム7の摺動面とカム12の摺動面とを互いに初期摺動させれば、両摺動面を共に平滑化することができる。しかも、シム7の摺動面に形成された各突部7aは、常に略均一に形成することができると共に、拡散浸透処理を行っても、メッキや溶射を施す場合とは異なり、殆どその形状が変化しないので、低コストでシム7及びカム12間の摺動摩擦抵抗を安定的かつ確実に低減させることができる。
【0030】
尚、上記実施形態では、カム12と摺動するカムフォロワーがシム7となるように構成したが、タペット7自体でカム12とのクリアランスを調整するものでは、タペット7がカムフォロワーとなり、タペット7の上面が摺動面となる。また、ロッカーアーム式動弁系の場合には、ロッカーアームがカムフォロワーとなる。したがって、これらカムフォロワー全てを摺動部材として本発明を適用することができる。そして、このようなエンジンのカム12と摺動するカムフォロワーに限らず、他の摺動部材に対しても本発明を適用することができる。
【0031】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0032】
先ず、上記実施形態と同様のカムを製造した。このカムはチルド鋳鉄からなり、初期摺動前の摺動面の表面粗さは0.5〜0.7μmRaであり、摺動面部の硬さはHv520〜560であった。
【0033】
次いで、シムをクロムモリブデン鋼を用いて製造して、その摺動面に対して浸炭焼入れ処理を行った。この浸炭焼入れ処理後の硬さは、Hv700〜750であった。この浸炭焼入れ処理後に、表1に示すように、12種類の表面処理を行った(実施例A〜D及び比較例1〜8)。
【0034】
【表1】
【0035】
すなわち、上記実施例A〜D及び比較例7では、シムの摺動面の表面粗さをカムの摺動面よりも小さくした後、ショットブラスト処理を行い、さらにその後に拡散浸透処理として塩浴軟窒化処理を行った。また、比較例8では、実施例A〜D及び比較例7と同様にショットブラスト処理までを行い、拡散浸透処理は行わなかった(最初の浸炭焼入れ処理でシムの摺動面部をカムの摺動面部よりも硬くしている)。
【0036】
一方、上記比較例1,3では、シムの摺動面の表面粗さをカムの摺動面よりも小さくする研削・研磨処理又はラッピング処理を行うのみで、他の処理は行っていない(比較例1は、ガソリンエンジンで一般的に行われている処理である)。また、比較例2,4では、シムの摺動面の表面粗さをカムの摺動面よりも小さくした後、ショットブラスト処理を行わないで塩浴軟窒化処理を行った(比較例2は、ディーゼルエンジンで耐摩耗性を向上させるために一般的に行われている処理である)。さらに、比較例5では、比較例8と同様に、ショットブラスト処理までを行ったが、ショットブラスト処理前の表面粗さがカムの摺動面よりも大きく、しかも、ショットブラスト処理後は1.0μmRaよりも大きくした。また、比較例6では、実施例A〜D及び比較例7と同様に、シムの摺動面の表面粗さをカムの摺動面よりも小さくした後、ショットブラスト処理を行い、さらにその後に塩浴軟窒化処理を行ったが、ショットブラスト処理後の表面粗さは1.0μmRaよりも大きくした。尚、上記実施例A〜D及び比較例5〜8におけるショットブラスト処理では、ブラスト粒子はアルミナ粉砕粉(粒度は表1に記載)を使用し、空気圧は約0.2Mpaとし、ノズル先端からシムの摺動面までの距離は0.2mとした。
【0037】
上記実施例A及び比較例7における塩浴軟窒化処理後の断面を調べると、Fe4NとFe3Nとからなる10〜12μmの硬質化合物層が形成されていた。また、実施例Aの塩浴軟窒化処理後のシムの摺動面の表面プロファイルを調べた。この結果を図3に示す。このことより、シムの摺動面には、多数の互いに独立した微細な突部が摺動面全体に亘って略均一に形成されていることが判る。
【0038】
ここで、塩浴軟窒化処理の前後においてシムの摺動面の表面粗さがどのように変化するかを、軟窒化処理前における摺動面の表面粗さを異ならせて調べたところ、図4に示すように、軟窒化処理後に処理前よりも僅かに大きくなるものの(同図の二点鎖線は、処理前後で変化しない場合を示す)、殆ど変化していないことが判る。このように軟窒化処理後に僅かに大きくなるのは、摺動面に極めて薄い酸化物層が形成されるためである。しかし、この酸化物層は軟質であるため、カムに対する研磨機能に影響を及ぼすことはない。したがって、シムの摺動面の表面プロファイルは軟窒化処理の前後において殆ど同じであると考えられる。尚、図4中、軟窒化処理前の表面粗さが最も小さいものは、ショットブラスト処理を行ったものではなく、塩浴軟窒化処理のみを行ったものであり、他のものは、ショットブラスト処理後に塩浴軟窒化処理を行ったものである。
【0039】
次に、上記実施例A及び比較例1〜5,7,8のシムとカムとを2L4気筒16弁のガソリンエンジンのシリンダヘッドに組み込み、モータリング運転により両摺動面同士を摺動させて各摺動面の表面粗さが運転時間の経過に伴ってどのように変化するかを測定した。このとき、カムシャフトの回転数は350rpmであり、潤滑油は10W30/80℃とした。また、モータによりカムシャフトトルクを測定した。尚、比較例5では、運転中にスカッフィングが発生したので、試験は中止した。
【0040】
上記測定の結果を表2並びに図5(カムの摺動面の表面粗さ変化)及び図6(シムの摺動面の表面粗さ変化)に示す。この結果、シム及びカムの両摺動面の表面粗さは、共に比較例よりも大きく低下し、10時間経過後には安定することが判る。つまり、シムの摺動面とカムの摺動面とを10時間程度初期摺動させれば、両摺動面は共に平滑化する。
【0041】
【表2】
【0042】
また、実施例A及び比較例1においてカムシャフトトルクが時間経過に伴ってどのように変化するかを調べたところ、図7のようになった。このことからも、実施例Aでは、シム及びカム間の摺動摩擦抵抗が比較例1よりもかなり大きく低下することが判る。
【0043】
次に、上記実施例A〜D及び比較例4,6,7において10時間運転後におけるシム及びカムの各摺動面の表面粗さ並びに両者の合成表面粗さを調べ、このデータを、横軸がショットブラスト後におけるシムの摺動面の表面粗さでかつ縦軸が上記シム及びカムの各摺動面の表面粗さ並びに両者の合成表面粗さであるグラフ上にプロットした。この結果を図8及び図9に示す(図9は、図8の要部を拡大したものである)。尚、図8には、比較例1の合成表面粗さのレベルを併せて示す。
【0044】
上記合成表面粗さは、後述の如くカムシャフトトルクと1対1に対応する関係にあり、合成表面粗さが小さければ、カムシャフトトルクつまり摺動摩擦抵抗が小さいことになる。よって、図8及び図9の結果より、ショットブラスト処理によりシムの摺動面の表面粗さを1.0μmRa以下に設定すれば、ガソリンエンジンで一般的に使用されているもの(比較例1)よりも合成表面粗さ(つまり摺動摩擦抵抗)を確実に低減できることが判る。また、ショットブラスト後におけるシムの摺動面の表面粗さを0.02〜0.7μmRaに設定すれば、摺動摩擦抵抗をかなり低レベルに抑え得ることが判る。
【0045】
次いで、上記実施例A〜D及び比較例1,4,7において運転開始から10時間経過時におけるカムシャフトトルクを調べ、このデータを、横軸が10時間運転後におけるシム及びカムの両摺動面の合成表面粗さ(対数値)でかつ縦軸が上記カムシャフトトルクであるグラフ上にプロットした。この結果を図10に示す。このことより、上記合成表面粗さが小さくなるにつれてカムシャフトトルクが小さくなることが判る。また、上記合成表面粗さが0.2μmRa以下であれば、上記カムシャフトトルクをかなり低レベルに抑えることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明では、摺動部材の表面処理方法として、摺動部材の摺動面の表面粗さを相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、その摺動部材の摺動面に粒子吹付け処理を施すことで該摺動面の表面粗さを0.01〜1.0μmRaに設定し、その後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことにより、上記摺動部材の摺動面部の硬さを相手材の摺動面部よりも大きく設定するようにした。また、請求項8の発明では、このように表面処理した摺動部材の摺動面を相手材の摺動面と互いに初期摺動させることにより、該両摺動面を互いに平滑化するようにした。したがって、これらの発明によると、低コストで摺動部材と相手材との摺動摩擦抵抗を安定的かつ確実に低減させることができる。
【0047】
請求項2の発明によると、粒子吹付け処理後における摺動部材の摺動面の表面粗さを、0.02〜0.7μmRaに設定したことにより、摺動部材及び相手材間の摺動摩擦抵抗のさらなる低減化を図ることができる。
【0048】
請求項3の発明によると、摺動部材の摺動面部の硬さをHv1500以下に設定したことにより、相手材の摺動面を良好に平滑化しつつ、摺動部材の摺動面を確実に平滑化することができる。
【0049】
請求項4の発明によると、摺動部材内部に拡散浸透させる元素を、窒素、炭素及びホウ素のうちの少なくとも1つとしたことにより、摺動部材の摺動面部における各突部の硬さの向上化を容易に図ることができる。
【0050】
請求項5の発明によると、摺動部材の摺動面に浸炭焼入れ処理を施した後に研磨処理を施すことで、該摺動面の表面粗さを相手材の摺動面よりも小さく設定したことにより、摺動部材の摺動面部だけでなくその内部をも硬くすることができる。
【0051】
請求項6及び10の発明によると、相手材を、エンジンのバルブを駆動するカムとし、摺動部材を、このカムと摺動するカムフォロワーとしたことにより、エンジン出力及び燃費の向上化を図ることができる。
【0052】
請求項7の発明によると、摺動部材の表面処理方法として、摺動部材の摺動面の表面粗さを相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、その摺動部材の摺動面に粒子吹付け処理を施すことで該摺動面の表面粗さを0.02〜0.7μmRaに設定し、その後、摺動部材の摺動面に拡散浸透処理を施すことにより、摺動部材の摺動面部の硬さを相手材の摺動面部よりも大きくかつHv1500以下に設定するようにしたことにより、摺動部材及び相手材間の摺動摩擦抵抗を最小限に抑えることができる。
【0053】
請求項9の発明によると、初期摺動後における摺動部材及び相手材の両摺動面の合成表面粗さを、0.2μmRa以下に設定したことにより、摺動部材及び相手材間の摺動摩擦抵抗を極めて小さい値に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る摺動部材の表面処理方法及び表面平滑化方法を示す説明図である。
【図2】 本発明の実施形態に係る摺動部材の表面処理方法及び表面平滑化方法が適用されるシム及びカムを有する直打式動弁系エンジンのシリンダヘッド要部を示す断面図である。
【図3】 実施例Aにおけるシムの摺動面の表面プロファイルを示す斜視図である。
【図4】 塩浴軟窒化処理前におけるシムの摺動面の表面粗さと処理後における表面粗さとの関係を示すグラフである。
【図5】 運転時間とカムの摺動面の表面粗さとの関係を示すグラフである。
【図6】 運転時間とシムの摺動面の表面粗さとの関係を示すグラフである。
【図7】 実施例A及び比較例1において運転時間とカムシャフトトルクとの関係を示すグラフである。
【図8】 ショットブラスト後におけるシムの摺動面の表面粗さと、10時間運転後におけるシム及びカムの各摺動面の表面粗さ並びに両者の合成表面粗さとの関係を示すグラフである。
【図9】 図8の要部を拡大して示すグラフである。
【図10】 10時間運転後におけるシム及びカムの両摺動面の合成表面粗さと、運転開始から10時間経過時におけるカムシャフトトルクとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジンのシリンダヘッド
7 シム(カムフォロワー:摺動部材)
7a 突部
7b 硬質化合物層
12 カム(相手材)
15 元素
Claims (10)
- 摺動部材の摺動面の表面粗さを、該摺動面と摺動する相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面部よりも硬い粒子を流体の圧力を利用して吹き付ける粒子吹付け処理を施すことで、摺動面の表面粗さを0.01〜1.0μmRaに設定し、
その後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことにより、上記摺動部材の摺動面部の硬さを上記相手材の摺動面部よりも大きく設定することを特徴とする摺動部材の表面処理方法。 - 請求項1記載の摺動部材の表面処理方法において、
粒子吹付け処理後における摺動部材の摺動面の表面粗さを、0.02〜0.7μmRaに設定することを特徴とする摺動部材の表面処理方法。 - 請求項1又は2に記載の摺動部材の表面処理方法において、
摺動部材の摺動面部の硬さをHv1500以下に設定することを特徴とする摺動部材の表面処理方法。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の摺動部材の表面処理方法において、
摺動部材内部に拡散浸透させる元素は、窒素、炭素及びホウ素のうちの少なくとも1つであることを特徴とする摺動部材の表面処理方法。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の摺動部材の表面処理方法において、
摺動部材の摺動面に、浸炭焼入れ処理を施した後に研磨処理を施すことで、該摺動面の表面粗さを相手材の摺動面よりも小さく設定することを特徴とする摺動部材の表面処理方法。 - 請求項1〜5のいずれか1つに記載の摺動部材の表面処理方法において、
摺動部材は、エンジンのバルブを駆動するカムと摺動するカムフォロワーであることを特徴とする摺動部材の表面処理方法。 - 摺動部材の摺動面の表面粗さを、該摺動面と摺動する相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面部よりも硬い粒子を流体の圧力を利用して吹き付ける粒子吹付け処理を施すことで摺動面の表面粗さを0.02〜0.7μmRaに設定し、
その後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことにより、摺動部材の摺動面部の硬さを上記相手材の摺動面部よりも大きくかつHv1500以下に設定することを特徴とする摺動部材の表面処理方法。 - 摺動部材の摺動面の表面粗さを、該摺動部材と摺動する相手材の摺動面よりも小さくかつ0.2μmRa以下に設定した後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面部よりも硬い粒子を流体の圧力を利用して吹き付ける粒子吹付け処理を施すことで摺動面の表面粗さを0.01〜1.0μmRaに設定し、
その後、上記摺動部材の摺動面に、該摺動面から元素を摺動部材内部に拡散浸透させて硬質化合物を生成する拡散浸透処理を施すことにより、上記摺動部材の摺動面部の硬さを上記相手材の摺動面部よりも大きく設定し、
次いで、上記摺動部材の摺動面と相手材の摺動面とを互いに初期摺動させることにより、該両摺動面を互いに平滑化することを特徴とする摺動部材の表面平滑化方法。 - 請求項8記載の摺動部材の表面平滑化方法において、
初期摺動後における摺動部材及び相手材の両摺動面の合成表面粗さを、0.2μmRa以下に設定することを特徴とする摺動部材の表面平滑化方法。 - 請求項8又は9記載の摺動部材の表面平滑化方法において、
相手材は、エンジンのバルブを駆動するカムであり、
摺動部材は、上記カムと摺動するカムフォロワーであることを特徴とする摺動部材の表面平滑化方法。
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