JP3930420B2 - チタン部材の表面処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン部材の表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
チタン系材料からなるチタン部材の表面に酸化処理を施すことによって、耐摩耗性に優れる酸化硬化層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1では、α+β型チタン合金製エンジンバルブに酸化処理を施すと疲労強度が低下するので、準安定β型チタン合金製に酸化処理を施すようにした技術が提案されている。また、一般的には、チタン部材の酸化硬化層は、例えば30μm以上というように厚い方が好ましいとされてきた。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−117056号公報(第3−5頁、表1、図1参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本件出願人は、種々の実験を行ない、酸化処理条件と疲労強度、耐摩耗性の関係を調査することにより、要求される疲労強度と耐摩耗性を確保することのできるチタン部材の表面処理方法を開発するに至った。
そこで、本発明は、要求される疲労強度と耐摩耗性を確保することのできるチタン部材の表面処理方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明の特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とするチタン部材の表面処理方法により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記載されたチタン部材の表面処理方法によると、酸化硬化層の厚さを14μm以下とすることにより、前記酸化処理による疲労強度の低下を抑える。これによって、要求される疲労強度と耐摩耗性を確保することができる。
【0006】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載されたチタン部材の表面処理方法によると、前記酸化処理による疲労強度の低下を20%以下に抑えることにより、要求される疲労強度と耐摩耗性を確保することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。チタン部材としてエンジンバルブを例示する。図1に示すように、エンジンバルブ10は、チタン系材料からなるチタン部材であって、例えば、強度と靭性のバランスが良く、耐食性も優れている「α+β型チタン合金」である「Ti−6Al−4V」を鍛造することによって形成されている。
【0009】
前記エンジンバルブ10は、軸部12と、その軸部12の一端部(図1において下端部)に連続するほぼ傘状の弁フェース部14と、前記軸部12の他端部(図1において上端部)に連続する軸端部16とを有している。軸部12と軸端部16との連接部分の外周面には、研削加工によって溝17が形成されている。溝17は、リテーナ取付用のコッタ(図示省略)を嵌合するための溝である。弁フェース部14の外周面、軸部12の外周面、軸部12の外周面及び軸端面には、研削加工が施されている。さらに、切削加工等の機械加工を終えたエンジンバルブ10の表面全体には、耐摩耗性の向上のために酸化処理を施すことによって酸化硬化層18が形成されている(図2参照)。図2におけるエンジンバルブ10の母材部分に符号、10aを付した。なお、酸化処理は、例えば、酸素を有する加熱処理炉中においてエンジンバルブ10を加熱することによって行なわれる。
【0010】
次に、酸化処理温度、酸化処理時間を種々変えて酸化条件の異なる酸化処理を施したエンジンバルブ10(図1参照)の試料を用意し、その試料の実体での疲労強度試験を実施した。エンジンバルブの疲労強度試験の実施方法は、図3に示すように、エンジンバルブ10の弁フェース部14を支持した固定治具21に対して、エンジンバルブ10が有する共振周波数に応じた振動(図3中、矢印22Y参照)を振動発生装置22により付与する。そうすると、エンジンバルブ10の軸部12は、振動方向に揺すられること(図3中、矢印12Y参照)により撓み変形を繰り返す。軸部12が撓み変形を繰り返すと、軸部12の弁フェース部14側の端部13に応力集中が発生する。その応力集中が発生する部分に歪ゲージ24を貼り付けておき、その歪ゲージ24によって歪を計測し、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ26によりクラックの発生した応力振幅を演算して表示する。本実施の形態では、Ti−6Al−4Vの酸化処理の疲労強度が300℃等の温度よりも常温の方が低いことを踏まえ、常温において試験を実施した。なお、振動発生装置22には、市販の振動試験機を用いることができる。また、上記したエンジンバルブ10の疲労強度試験によれば、従来の一般的なテストピースによる回転曲げ疲労試験と異なり、実際の鍛造組織、熱処理組織、表面処理層(酸化硬化層18)、表面性状を有する実体(エンジンバルブ10、図1参照)の疲労強度を試験しかつ評価することができる。
【0011】
上記した疲労強度試験(図3参照)による試験結果が図4に示されている。図4において、横軸はサイクル数(回数)、縦軸は応力振幅(MPa)を示している。
図4中、特性線L41は、酸化処理を施していないエンジンバルブの測定値である。
また、特性線L42は、酸化処理温度が670℃で、酸化処理時間が1時間の酸化処理を施したエンジンバルブの測定値である。
また、特性線L43は、酸化処理温度が670℃で、酸化処理時間が16時間の酸化処理を施したエンジンバルブの測定値である。
また、特性線L44は、酸化処理温度が730℃で、酸化処理時間が8時間の酸化処理を施したエンジンバルブの測定値である。
また、特性線L45は、酸化処理温度が820℃で、酸化処理時間が1時間の酸化処理を施したエンジンバルブの測定値である。
また、特性線L46は、酸化処理温度が820℃で、酸化処理時間が4時間の酸化処理を施したエンジンバルブの測定値である。
なお、本明細書でいう「酸化処理温度」には±2〜3℃の誤差が含まれるものとする。
【0012】
図4から明らかなように、酸化処理条件がエンジンバルブの疲労強度に及ぼす影響は、酸化処理温度が高く、酸化処理時間が長い方に疲労強度が低下する傾向が認められた。例えば、特性線L41に比べ、特性線L42の疲労強度の比率は、{(500−475)/500}×100で5%となった。また同様に、特性線L43は6%、特性線L44は20%、特性線L45は34%、特性線L46は54%となった。
ここで、例えば、エンジンバルブに要求される疲労強度を300MPaとすれば、特性線L46のものでは満足できないが、その他のもの(特性線L41〜L45)であれば満足できることになる。さらに高い疲労強度が要求された場合には、要求強度に応じた特性線のものを選択すればよい。
【0013】
また、図5には酸化硬化層の厚さと疲労強度の関係が示されている。図5において、横軸は酸化硬化層の厚さt(μm)、縦軸は疲労強度MS(MPa)を示している。なお、横軸の酸化硬化層の厚さt(図2参照)は、必要な硬度(ビッカース硬さで500Hv以上)のものを対象としている。
図5中、特性線L51は、酸化処理温度が670℃で、酸化処理時間が1〜16時間の酸化処理を施した場合の測定値である。
また、特性線L52は、酸化処理温度が700℃で、酸化処理時間が1〜16時間の酸化処理を施した場合の測定値である。
また、特性線L53は、酸化処理温度が730℃で、酸化処理時間が1〜16時間の酸化処理を施した場合の測定値である。
また、特性線L54は、酸化処理温度が760℃で、酸化処理時間が1〜16時間の酸化処理を施した場合の測定値である。
また、特性線L55は、酸化処理温度が790℃で、酸化処理時間が1〜16時間の酸化処理を施した場合の測定値である。
また、特性線L56は、酸化処理温度が820℃で、酸化処理時間が1〜16時間の酸化処理を施した場合の測定値である。
【0014】
図5から明らかなように、酸化処理条件がエンジンバルブ10の疲労強度MSに及ぼす影響は、酸化処理温度が高く、酸化処理時間が長いほど、酸化硬化層の厚さtが厚くなり、疲労強度MSが低下する傾向が認められた。その傾向は、前記図4の場合と同様である。なお、酸化処理温度が高く、酸化処理時間が長いほど、酸化硬化層の厚さtが厚くなるのは、酸化硬化層に侵入した酸素の固溶強化によるものである。
【0015】
ここで、例えば、エンジンバルブの疲労強度MSの低下を20%以下(400MPa以上)に抑えるものとすれば、特性線L53(約11時間以上)のものと特性線L54、L55、L56のものでは満足できないが、その他のもの(特性線L51、L52、L53(約11時間以下))であれば満足できることになる。言い換えれば、酸化硬化層の厚さtを約14μm以下とすることにより、酸化処理による疲労強度MSの低下を約20%以下に抑えることができる。
【0016】
前記酸化硬化層が厚くなるほど疲労強度MSの低下が大きく、前記酸化硬化層が薄くなるほど疲労強度MSの低下が小さくなる理由を考察する。図6は、例えば酸化処理温度が820℃で、酸化処理時間が4時間の酸化処理を施すことによって得られる厚い酸化硬化層の表面性状を示す部分断面図である。また、図7は、例えば酸化処理温度が670℃で、酸化処理時間が16時間の酸化処理を施すことによって得られる薄い酸化硬化層の表面性状を示す部分断面図である。
図6に示すように、酸化処理温度が820℃で酸化処理を施すと、その酸化硬化層18の表面性状が悪化し、面粗度が大きくなるため、応力集中を引き起こすことにより、クラックCが発生しやすくなる。また、酸化硬化層18はクラックCが進展しやすいため、酸化硬化層18の厚さtが厚いほど、初期クラックCが長くなる。その結果、クラックCの先端部Dのところに集中する応力が高くなるため、クラックCは母材10aの中に進展することになる。このようなクラックCの発生、進展によって疲労強度が低下することになる。なお、前記酸化硬化層18の表面性状の悪化については、酸化硬化層18の表面の溝状部18dへの酸素の侵入に伴う体積膨張や、酸化処理後の冷却時の熱収縮が原因と考えられる。
【0017】
一方、図7に示すように、酸化処理温度が670℃で酸化処理を施すと、その酸化硬化層18の表面性状の悪化が抑えられ、面粗度が小さくなくなるため、クラックC(図6参照)が発生しにくい。また、たとえクラックが発生しても、酸化硬化層18が薄ければ、初期クラックが短いため、応力集中が小さく、クラックが母材10aまで進展しにくいため、疲労強度MSの低下が抑えられる。
【0018】
したがって、酸化硬化層18のクラックの発生を防ぐためには、酸化硬化層18の表面性状を良くする、すなわち面粗度を小さくする必要があることがわかった。なお、試験から得られた面粗度は、例えば酸化処理前のエンジンバルブ10の母材10aの面粗度を1.5μmRzとした場合、疲労強度MSの低下を抑えることのできる面粗度は3μmRz以下であった。
【0019】
また、酸化処理条件が耐摩耗性に及ばす影響を調査するため、弁座試験機(図8参照)を用いて摩耗試験を行った。図8の弁座試験機30は、エンジンの吸気側のエンジンバルブ及び弁シートを再現して両者の摩耗状態を試験するものである。弁座試験機30の支持体32内には、バルブホルダ33が設けられている。支持体32には、バルブホルダ33の一端部(図8において上端部)及び他端部(図8において下端部)に冷却水が循環するウォータジャケット34が形成されている。バルブホルダ33の一端部には、焼結合金製の弁シート36がシート保持体35を介して組込まれている。シート保持体35には、熱電対37が設けられている。熱電対37によって弁シート36の温度を計測し、ガスバーナ49(後述する)のガス燃焼量を調整する。また、バルブホルダ33内には、バルブガイド38が設けられている。バルブガイド38内には、エンジンバルブ10の軸部12が軸方向(図8において上下方向)にスライド可能に設けられている。エンジンバルブ10のスライドによって、弁フェース部14が弁シート36に対して当接したり離れたりする。
【0020】
前記エンジンバルブ10の軸端部16には、コッタ40を介してスプリングリテーナ41が取付けられている。軸端部16には、カム摺動部材43を設けたリフタ部材42が取付けられている。リフタ部材42と前記バルブホルダ33との間には、エンジンバルブ10を常には後退方向(図8において下方)へ付勢するバルブスプリング44が介在されている。リフタ部材42のカム摺動部材43には、電動モータ45によって回転駆動される駆動軸46に設けられた偏心カム47の外周面が摺動可能に当接されている。電動モータ45の回転によって、駆動軸46と共に偏心カム47が回転することにより、エンジンバルブ10に往復運動が与えられる。一方、バルブホルダ33の先端部には、筒状部材48が接続されている。筒状部材48内には、ガスバーナ49からLPガスの燃焼炎(図8中、矢印50参照)が噴出される。
【0021】
上記弁座試験機30において、ガス燃焼量が調整されるガスバーナ49の燃焼炎(図8中、矢印50参照)によって、エンジンバルブ10の弁フェース部14の温度を約350℃、弁シート36の温度を約200℃に維持する。この状態で、電動モータ45によって駆動軸46を例えば3500rpmで駆動させることにより、エンジンの吸気側のエンジンバルブ10及び弁シート36が再現される。この状態を4時間継続し、弁座試験機30からエンジンバルブ10及び弁シート36を取り外して両者の摩耗量を測定する。この試験を一試料につき2回行ない、平均摩耗量を求めた。
【0022】
上記した弁座試験機30による試験結果が図9に示されている。図9において、隣り合う2つの棒のうち、左棒は弁フェース部14の摩耗量W(μm)、右棒は弁シート36の摩耗量W(μm)を示している(図8参照)。
図9中、試料1は、酸化処理温度が730℃で、酸化処理時間が8時間の酸化処理を施したエンジンバルブの測定値である。
また、試料2は、酸化処理温度が670℃で、酸化処理時間が16時間の酸化処理を施したエンジンバルブの測定値である。
また、試料3は、酸化処理を施していないエンジンバルブの測定値である。
【0023】
図9から明らかなように、弁フェース部の摩耗量Wに関しては、試料1,2は、試料3に比べて約5〜7%に減少している。このため、試料1,2の弁フェース部ひいてはエンジンバルブは、良好な耐摩耗性を有していることが確認された。
また、弁シートの摩耗量Wでは、試料1,2は、試料3に比べて約72〜78%に減少している。
このため、試料1,2のエンジンバルブ10の弁フェース部14は、弁シート36の摩耗量Wを改善する効果も認められた。
【0024】
上記した種々の試験から、チタン系材料からなるエンジンバルブ10(チタン部材)の表面に酸化処理を施す表面処理方法において、
(1)酸化処理によってエンジンバルブ10(図1参照)の表面に形成される酸化硬化層18の厚さt(図2参照)と疲労強度との関係から必要な硬度に応じた厚さ(この厚さを、「有効厚さ」という。)を求める。有効厚さは、前記した説明で例示した場合では、例えば14μm以下となる(図5参照)。なお、有効厚さの最小値は、酸化硬化層18を形成することのできる最小値とする。
(2)前記酸化硬化層18の面粗度と疲労強度との関係から必要な硬度に応じた面粗度(この面粗度を、「有効面粗度」という。)を求める。有効面粗度は、前記した説明で例示した場合では、例えば3μmRz以下となる。
(3)前記有効厚さと前記有効面粗度との両条件を満たす酸化処理温度及び酸化処理時間によりエンジンバルブ10に酸化処理を施す。なお、図10に酸化硬化層18の有効厚さT(μm)と有効面粗度Rz(μm)との両条件を満たす範囲を斜線部で示した。
【0025】
上記したエンジンバルブ10の表面処理方法によれば、要求される疲労強度と耐摩耗性を確保することができる。
【0026】
さらに、前記エンジンバルブ10(図1参照)の酸化硬化層18の表面に面粗度を向上するための処理、ショットブラスト、バフ研摩等の処理を施すことにより、疲労強度を一層向上することができる。
さらに、酸化硬化層の表面の面粗度を向上することにより、エンジンバルブ10の軸部12(図1参照)に対し相対的に摺動する部品、例えばオイルシールの摩耗を低減することができる。
【0027】
また、上記した表面処理方法を適用したエンジンバルブ10によると、要求される疲労強度と耐摩耗性を確保することができる。
【0028】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、エンジンバルブ10に限らず、スプリングリテーナ41やバルブスプリング44(図8参照)、あるいは、ゴルフクラブのシャフトにも適用することができる。また、本発明のチタン部材のチタン系材料としては、強度と靭性のバランスが良く、耐食性も優れているTi−6Al−4V、Ti−3Al−2.5V等の「α+β型チタン合金」が好適であるが、それ以外の「α型チタン合金」、「β型チタン合金」を適用することも考えられる。また、複数の部品を接合してエンジンバルブ10を構成する場合には、その少なくとも一つの部品に対しても本発明を適用し、その他の部品は適用しないチタン系材料、あるいはチタン系材料以外の材料(例えば、SUH3等の鋼材料)で形成することができる。また、エンジンバルブ10は、鍛造の他、機械加工、焼結等によって形成することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のチタン部材の表面処理方法によれば、要求される疲労強度と耐摩耗性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるエンジンバルブを一部破断して示す側面図である。
【図2】エンジンバルブの酸化硬化層を示す部分断面図である。
【図3】エンジンバルブの疲労強度試験方法を示す説明図である。
【図4】図3の疲労強度試験方法による試験結果を示すグラフである。
【図5】酸化硬化層の厚さと疲労強度との関係を示すグラフである。
【図6】厚い酸化硬化層の表面性状を示す部分断面図である。
【図7】薄い酸化硬化層の表面性状を示す部分断面図である。
【図8】弁座試験機を示す断面図である。
【図9】図10の弁座試験機による試験結果を示す棒グラフである。
【図10】酸化硬化層の厚さと面粗度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 エンジンバルブ(チタン部材)
18 酸化硬化層

Claims (2)

  1. チタン系材料からなるチタン部材の表面に酸化処理を施すチタン部材の表面処理方法であって、前記酸化処理によって前記チタン部材の表面に形成される酸化硬化層の厚さと硬度との関係から必要な硬度に応じた有効厚さを求めるとともに、前記酸化硬化層の面粗度と硬度との関係から必要な硬度に応じた有効面粗度を求め前記有効厚さ前記有効面粗度との両条件を満たす酸化処理温度及び酸化処理時間により前記チタン部材に酸化処理を施すようにし、前記酸化硬化層の厚さを14μm以下とすることにより、前記酸化処理による疲労強度の低下を抑えることを特徴とするチタン部材の表面処理方法。
  2. 前記酸化処理による疲労強度の低下を20%以下に抑えることを特徴とする請求項1に記載のチタン部材の表面処理方法。
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