JP3694465B2 - チタン合金製真空容器及び真空部品 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空排気から短時間で超高真空を容易に達成することのできるチタン合金製真空容器及び真空部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、真空装置は、半導体産業の種々の電子素子を製造する装置を始めとして、あらゆる産業に広く普及し、また、高エネルギー物理や固体表面科学などの先端科学技術分野においても必要不可欠となっている。例えば、半導体電子部品やLSI製造のための真空装置では、既に10-5Paから10-7Paの超高真空が、また高品質の半導体薄膜やその超構造膜を作製するための超高真空成膜装置では、10-8Pa以下の到達圧力が必要である。更に、次世代の高度情報通信社会においては、情報通信機器の高速化、大量情報記録が可能となる単電子デバイスや新しい電子・光デバイスの開発が重要であり、これら新デバイスを創製するためには、極めて清浄な超〜極高真空下において1原子層オーダーの積層制御が求められる。即ち、これら新規デバイスを製造する装置においては、容易に10-8Pa以下に到達する真空装置の開発が是非とも必要である。
【0003】
従来、一般的に、超高真空容器や超高真空部品はステンレス鋼やアルミニウム合金で製作されており、かかる一般的な真空装置では、10-5Pa以下の超高真空領域に到達させるために、真空排気装置の起動後5〜8時間の初期真空排気を行い、その後、5〜数十時間程度の真空ベーキング(真空焼き出し)という行程を経る必要がある。また、10-8Pa以下の超〜極高真空を必要とする装置、例えば数ナノメーター膜厚の半導体を多層に積層させる真空成膜装置では、スパッタイオンポンプやチタンサブリメーションポンプなどの複数の超高真空ポンプを組み合わせる必要があり、更には、装置内に液体窒素で冷却したシュラウド(冷媒溜まり)を設ける必要がある。
【0004】
また、一般的なステンレス鋼やアルミニウム合金はガス放出量が多いため、真空排気処理のみで10-8Pa以下の圧力を得ることは困難であり、鋼中の不純物を低減させた特殊清浄鋼を用い、更には、その表面を研磨により鏡面仕上げするなどにより、やっと10-8Pa以下の超〜極高真空を実現しているのが現状である。
【0005】
上記のように、従来の一般的な超高真空装置は、複数の超高真空ポンプを組み合わせた真空排気装置を必要とし、超高真空容器や超高真空部品は、不純物を低減させた特殊鋼を用い、更には、その表面を研磨により鏡面仕上げするなどが必要であり、装置が高価になるという問題がある。また、超高真空を維持するために真空装置を常時連続運転しなければならず、運転費用が大きいという問題がある。さらに又、所定の超高真空に到達するまでに長時間を要するため、超高真空装置の稼働率が悪くなるという問題がある。
【0006】
かかる真空装置に係わる状況により、従来、ステンレス鋼などと比較して高価なために真空装置に用いられることが少なかったチタン或いはチタン合金を、10-8Pa以下の超〜極高真空を容易に実現することを目的として、本格的に真空装置に適用しようとする研究・開発が活発に行われるようになった。
【0007】
即ち、チタン或いはチタン合金は、ステンレス鋼などと比較して高価ではあるが、比強度が高く、軽量、且つ耐食性に優れ、また、高真空精錬で製造するため、精錬過程における金属組織へのガスの混入量が極めて少なく、超高真空容器などに好適に使用しうる材料であり、例えば、発明者らの研究(T. Chijimatsu, et. Al, J. Vac. Soc. Jpn. Vol 42, No.3, pp200-203 (1999))によれば、チタンは、ステンレス鋼と比較し、ガス放出量が1/10程度と極めて少ないことが明らかになっている。
【0008】
チタンを真空装置に用いた技術としては、例えば、高真空精錬された金属(好ましくはチタン)をバフ研磨、電解研磨などにより表面祖度を100nm以下にした真空装置(特許第3030458号)が開示されている。
【0009】
然しながら、チタンは、表面平滑化処理が困難という欠点を有する。即ち、上記の文献に示した本発明者らの研究によれば、一般的なバフ研磨と電解研磨を施したチタンの表面粗度は、同じ研磨処理を施したステンレス鋼の約4倍の15nm程度であり、短時間で10-8Pa以下の超〜極高真空を達成できるガス放出量の少ない超高真空容器を提供するために必要な、真空材料表面が鏡面となるような表面平滑化処理が困難であるという問題がある。
【0010】
また、チタンで作製した真空封止のための金属ガスケット用フランジは、通常多用されている無酸素銅製の金属ガスケットを使用した場合、10回程度の使用により、真空漏れが発生してしまう問題がある。
【0011】
チタン合金に関しては、一般の工業用チタン合金は強度が高く、真空装置用材料に必要な機械加工性、或いは表面処理性に難点があるため、真空装置用を目的にした材料開発が行われており、例えば、白金系金属、遷移金属、希土類元素などを含むガス放出量の少ない超高真空チタン合金(特開平06-065661号)、そのチタン合金を用いた超高真空容器(特開平06-064600)が開示され、ガス放出量がステンレス鋼と比較し1/10以下になることが示されている。然しながら、この開示技術では、本発明が目指すところの、短時間で超〜極高真空を達成できる超高真空容器を提供するために必要な、材料の表面処理性等については何ら明らかにされていない。また、この開示技術では、比較的高価な合金元素を使用しているため、装置が高価になるという問題がある。
【0012】
一方、チタン合金は、真空装置用以外にも、多種多様な材料開発が行われており、例えば、装飾性・堅牢性・加工性・生体適合性・コスト面に優れ、特に装身具の素材として有用な高強度チタン合金の提供を目的に、鉄及び酸素を合金元素とした技術(特開平10-017962号)、鉄、酸素及びシリコンを合金元素とした技術(特開平10-017961号)が開示され、装身具に限らずスポーツ用途等の幅広い製品への適用が期待されることが示されている。然しなから、この開示技術では、ガス放出特性、表面処理特性など、真空装置用の材料としての適合性については明らかにされていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる真空装置に係わる状況に鑑み、真空排気から短時間で超高真空を容易に達成することのできるチタン合金製真空容器及び真空部品を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のチタン合金製真空容器は、主要部をチタン合金で作製された真空容器であって、チタン合金は、組織が概ね10μm 以下に微粒化し緻密であり、且つ、少なくても真空に曝される表面の表面粗度を50nm以下としたチタン合金製真空容器である。なお、表面粗度は、原子間力顕微鏡により10x10 μm の範囲で測定した、中心線平均粗さ (Ra) を意味する。
また、上記目的を達成するために、本発明の真空部品は、主要部をチタン合金で作製された真空部品であって、チタン合金は、組織が概ね 10 μ m 以下に微粒化し緻密であり、且つ、少なくても真空に曝される表面の表面粗度を 50nm 以下とした真空部品である。なお、表面粗度は、原子間力顕微鏡により 10x10 μ m の範囲で測定した、中心線平均粗さ (Ra) を意味する。
【0015】
また、好ましくは、上記チタン合金の表面粗度を10nm以下としたチタン合金製真空容器及び真空部品である。
【0016】
上記チタン合金は、ビッカーズ硬さが230Hv以上、且つ310Hv 以下の硬度を有するチタン合金とするのが好ましい。
【0017】
また、上記チタン合金は、少なくても真空に曝される表面に薄いチタンの酸化層或いは窒化層などによる不動態皮膜を形成したチタン合金とすることができ、かかる不動態皮膜は、10nm以下の膜厚とするのが望ましい。
【0018】
本発明のチタン合金製真空容器及び真空部品に使用するチタン合金は、鉄(Fe)0.3wt% から 0.5wt%、及び酸素(O)0.3wt% から 0.5wt%を含有し、残部がチタン(Ti)及び不可避不純物からなるチタン合金とするのが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明でいう真空容器は、所謂、容器状のものに限定されるものではなく、真空状態に排気された空間を囲む手段であって、配管状、或いはダクト状などを含むものである。
【0020】
一般に、大気に曝した真空容器の排気過程は、(1)容積に依存して指数関数的に圧力が減少する過程、(2)容器内表面に吸着したガス種が脱離し圧力が決定される過程、(3)容器の材料内部から拡散し真空中に放出されるガスが圧力を決定する過程、(4)最後に大気から透過するガスが圧力を決定する過程の4過程を経ると言われているが、この排気過程において、短時間で超高真空を容易に達成するためには、(2)と(3)の過程を短縮することが特に重要である。即ち、表面に吸着するガス量を減少させ、また、これを早く脱離させ、且つ、拡散により材料内部から放出されるガス量を減らす必要がある。
【0021】
真空材料からの放出ガス量は、一般的に、ガス放出速度(Pa m/sec)で表すが、1x10-8Pa程度の超高真空に得るためには、10-9〜10-10Pa m/secのガス放出速度が必要であり、1x10-9Pa以下の極高真空を得るためには10-10Pa m/sec台以下のガス放出速度が必要である。
【0022】
本発明者は、真空容器及び真空部品のガス放出量を低減するため、真空材料のガス放出の要因について様々な角度から検討して、材料の選定を行った。即ち、(1)吸着ガス量を少なくする鏡面となるような表面が比較的容易に得られるようにするため、緻密で且つ適度な硬度を有する材料であること、(2)材料内部からのガスの拡散放出を少なくするために、材料内部に含有するガス量が少なくガスの拡散を防げるような緻密な材料であること、を必要条件と判断し、かかる条件を満たす可能性が高い真空材料として、組織が微粒化し緻密であり且つ適度な硬度を有し鏡面化処理が容易であり、高真空精錬で製造するため材料内部に含有するガス量が少ないという特徴を持つチタン合金を真空材料に選定した。
【0023】
次のステップとして、如何なるチタン合金が、超〜極高真空用材料として最も好適か検討するに際し、新たなチタン合金を開発することも考えられたが、本発明者は、上記の如く、真空用材料として開発されたチタン合金以外に、多種多様なチタン合金が既に開発されており、これらのなかに超高真空用材料として好適なチタン合金が見出せれば、コスト的にも極めて有利になると判断し、既に開発されているチタン合金を対象に、超高真空用材料としての適合性の研究を行って本発明を完成させたものである。
【0024】
即ち、上記のようなチタン合金の有する特徴と共に、緻密性に関しては、概ね10μm以下に微粒化し緻密であることを第一の条件とし、表面平滑化処理に関しては、1x10-9Pa以下の極高真空装置にも充分に対応できるガス放出速度10-11Pa m/sec台が得られる表面粗度を第二の条件として設定し、更に、所定の表面粗度を得るための表面平滑化処理が比較的容易に行えることを望ましい条件として設定し、さらに又、好適な加工性・耐久性が有られる材料硬度を望ましい条件として設定し、既に開発されているチタン合金を対象にして、かかる条件に適合するチタン合金を鋭意研究したものである。
【0025】
結晶粒径が微粒化し緻密であるということは、鏡面化処理を可能とする一つの要因であると共に、材料内部からのガスの拡散放出を少なくし、また、上記の特開平10-017962号にも示されている如く、耐疵性を向上させる要因でもあって、大気からのリークを極度に嫌う超〜極高真空装置用の材料として好適なものであるが、一方、設定する条件は、工業的に容易且つ安価に供給できる条件が望ましく、本発明は、詳細は後述するが、極めて好適な真空用材料としての特性を有するチタン合金が概ね達成できるものとして、概ね10μm以下と設定したものである。
【0026】
ガス放出速度10-11Pa m/sec台を達成する表面粗度は、詳細は後述の実施例で説明するが、表面粗度とガス放出速度との関係を測定・検討した結果、50nm以下と設定したものである。
【0027】
以上のようにして、本発明のチタン合金製真空容器及び真空部品は、主要部をチタン合金で作製された真空容器及び真空部品であって、チタン合金は、組織が概ね10μm以下に微粒化し緻密であり、且つ、少なくても真空に曝される表面の表面粗度を50nm以下としたものであり、これにより、容器内表面からの脱離ガス量、及び容器材料内部からの拡散・放出ガス量を大幅に減少させることができるため、真空排気から短時間で極高真空を容易に達成することができる。
【0028】
また、チタン合金の表面粗度を10nm以下とすることにより、材料表面からの脱離ガス量を極限に近くまで、即ち、材料内部からの拡散ガス量、或いは大気からの透過ガス量と比較して問題にならない量まで減少させることができ、更に好適に本発明を実施できる。なお、後述のチタン合金は、比較的単純な研磨方法でも、表面粗度5nm程度が得られるものであり、本発明を好適に実施できるものである。
【0029】
超高真空装置の真空フランジ部は、一般的に、ナイフエッジを持たせ、金属ガスケットを挟むことで真空封止を行うが、多数回のフランジ開閉でも真空リークが発生し難く、且つ、加工性に問題がない適度な硬度の材料が必要である。硬度110〜160Hvのチタンは、前記のように、十回程度の開閉で真空リークが発生し、一方、硬度350Hvのチタン合金(Ti-6Al-4V)は、加工が困難でコストもかかる。
【0030】
また、チタン合金の硬度は、真空フランジ部に限らず重要であり、例えば、本発明者らは、Ti-6Al-4Vを用いて真空容器を試作してみたが、切削加工の工具が早く消耗してしまう問題や、多量の合金元素を含有することによる溶接の困難さにより、溶接部位から真空漏れが発生してしまう問題などがあった。また合金添加量の多いチタン合金は、高価であるという問題もある。
【0031】
本発明では、上述のような研究成果を踏まえ、後述のチタン合金に関し、真空封止部位の多数回使用性能を検討した結果、30回以上の開閉に対しても真空リークが発生しないことを確認して、好適なチタン合金硬度を230Hv以上、且つ310Hv
以下と設定したものである。
【0032】
また、熱酸化処理や窒化処理などにより表面に均一な薄い酸化膜や窒化膜などの不動態皮膜を形成し、これにより材料内部のガスの拡散・透過を防ぐことができることが知られており(例えば、伊藤、湊:真空・40(1997)pp248-250)、本発明においても、表面に薄いチタンの酸化層或いは窒化層などを形成したチタン合金とすることができる。この際において、不動態皮膜の膜厚は、ガス吸着表面の増大を避け極高真空に効果的に対応するため、10nm以下とすることが好ましい。なお、詳細は実施例で説明するが、後述のチタン合金で、不動態皮膜となる均一な薄い酸化膜や窒化膜を容易に形成できることを確認した。
【0033】
上記の真空容器及び真空部品に望ましいチタン合金は、前記の特開平10-017962号に開示されたチタン合金KS100であって、更に、真空装置用としての適合性を詳細に検討した結果、特開平10-017962号で望ましい実施の形態として開示されている、鉄0.3wt%〜0.5wt%、及び酸素0.3wt%〜0.5wt%を含有し、残部がTi及び不可避不純物からなるチタン合金である。
【0034】
このチタン合金の製造方法を含む詳細な実施の形態は、特開平10-017962号に示されているが、本発明における、チタン合金の化学成分組成の範囲限定理由を説明すると、酸素含有量0.3wt%未満では硬さが不足し、酸素含有量が0.5wt%を超えると加工性(成形性)が劣化し、鉄含有量0.3wt%未満では表面粗さが劣化し、鉄含有量が0.5wt%を超えると加工性(溶接性)が劣化する。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
最初に、第一の実施例として、表面粗度とガス放出速度との関係について実験的検討をした結果について説明する。
用いた試料は、上記のチタン合金KS100(酸素0.35wt%、鉄0.35wt%を含有し、残部がTi及び不可避不純物からなるチタン合金)であり、研磨を施さない試料TN、研磨を施した試料TP1〜TP3、更に、比較用として、研磨を施したステンレス試料SPを準備し、オリフィス法を用いてガス放出速度を調べた。なお、各試料は、20mmx20mmx1mmtのもの180枚を用いた。また、このオリフィス法によるガス放出速度の測定は、第二の実施例として後述する、試作したチタン合金製真空容器を用いて行ったものである。
【0036】
試料の前処理は、アルコール洗浄後、大気中で90℃×24hの加熱処理を施すだけとした。測定条件は、初期条件として装置を大気開放30分後、排気系を立ち上げて3時間排気を行い、その後、チャンバーを180 ℃、試料部を220 ℃で真空ベーキングを48時間施し、48時間冷却後の到達圧力からガス放出速度を求めた。なお、このベーキング温度は、現実の真空装置の使用を想定して、比較的低温に設定したものである。
【0037】
その結果を、表面粗度とガス放出速度の関係として表1、及び図1に示した。
表面粗度は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、10x10μmの範囲で測定した中心線平均粗さ(Ra)である。なお、試料TP1〜TP3の測定結果として示した、ガス放出速度値1.3x10-11Pam/secは、本測定装置・測定条件下での測定分解能にほぼ等しい値である。
【0038】
【表1】
Figure 0003694465
【0039】
研磨を施さないチタン合金TNの表面粗度は、研磨を施したステンレスSPと比較して50倍程度粗いにも拘わらず、そのガス放出速度は同程度の1.8x10-10Pam/secである。これは、チタン合金がその製造過程において真空溶解行程を経ていることと、チタン合金の結晶粒が微粒化し緻密となっているためである。
【0040】
図1によれば、極高真空に必要とされるガス放出速度(1x10-10Pam/sec以下)を達成するためには、表面粗度50nm以下にすれば良いことが分かる。
なお、表面粗度10〜100nmの範囲で、ガス放出速度が表面粗度と共に直線的に減少しているのは、表面からの離脱ガスが支配的なガス放出量となっていることを意味し、表面粗度10nm以下で飽和傾向を示しているのは、材料内部からの拡散・放出ガスなど、他の要因によるガスが支配的なガス放出量となったことを意味する。一般的に、ガス放出特性は、かかる傾向を示すものであり、表面粗度は、飽和傾向を示す点に設定するのが好ましい。
【0041】
本実験では、上記のように、表面粗度が7.1nm以下であるTP1〜TP3の測定値が測定分解能にほぼ等しいため、飽和傾向を示す表面粗度は、約10nmより更に小さい可能性もあるが、その場合でも、極高真空に必要とされるガス放出速度(1x10-10Pam/sec)の約十分の一以下を達成できる表面粗度10nmは、通常の場合、充分な設定条件である。
【0042】
次に、第二の実施例として、極高真空領域で問題となる、材料内部からのガス拡散・放出特性について実験した結果を説明する。
実験は、上記第一の実施例で行ったガス放出速度測定の終了後、粗度7.1nmのチタン合金試料TP1を用いて、ガス放出速度の温度依存性を測定することで行ったものであり、結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0003694465
【0044】
表2の結果を、アレニウス・プロットを行い、ガス放出の活性化エネルギーを求めると、約20kJ/molとなり、この値は、ステンレス鋼における水素拡散の活性化エネルギー45kJ/molと比較し、大幅に小さい値である。即ち、本チタン合金は、第一の実施例で示した、室温での非常に小さいガス放出速度1.3x10-11Pam/secと共に、本実施例によりガス放出の活性化エネルギーが小さいことが確認されたことより、拡散放出によるガス放出量が既存のステンレス鋼よりも小さいことを実証したものである。
【0045】
なお、本実験は、48時間真空ベーキングを施し、その後、48時間自然冷却してから測定を開始したものであり、求められたガス放出の活性化エネルギーはガスの拡散による活性化エネルギーと考えて良い。
【0046】
次に、第三の実施例として、試作したチタン合金製真空容器について説明する。
図2は、本発明のチタン合金製真空容器の実施例として試作した真空容器の外観図であり、(a)表面図、(b)上面図の2面図である。
使用したチタン合金は、表面粗度3.8nmの表面研磨を施したKS100であり、真空容器は、容積6.7x10-3m3、内表面積375 x10-3m2であり、中間を直径5.4mmの小さな穴を開けたオリフィスで仕切られ、下流真空室(容積4.2x10-3m3、内表面積210x10-3m2)と上流真空室(容積2.5x10-3m3、内表面積165x10-3m2)に分かれている。なお、図示を省略しているが、主排気ポンプに550x10-3m3/secと150x10-3m3/secのターボ分子ポンプ(TMP)を直列に連結し、粗引きポンプに150x10-3m3/minの油回転ポンプ(RP)を用いた真空排気装置が下流真空室に接続されており、下流真空室及び上流真空室にはヌード型電離真空計(EG)が取り付けられている。
【0047】
本チタン合金製真空容器の真空排気実験について説明する。
通常、真空容器の真空ベーキングのための加熱温度は200℃以上と設定することが多いが、ここでは比較的低い温度である160℃として48時間の真空ベーキングを行い、その後、48時間にわたり真空容器の圧力を測定することで行った。
【0048】
図3は、真空ベーキングの終了時刻を0とした、上流真空室(実線表示)及び下流真空室(一点差線表示)の圧力排気曲線であり、本排気実験では、比較的低い温度での真空ベーキングにも拘わらず、2時間という極めて短い排気時間で、上流真空室8.0x10-8Pa、下流真空室1.4x10-8Paの超高真空領域に到達し、48時間後、上流真空室は1.6x10-8Pa、下流真空室は6.5x10-9Paという極高真空領域に達した。なお、上流真空室の圧力が下流真空室の圧力よりも高いのは、真空容器の途中に設けたオリフィスにより、上流真空室の真空排気速度(2.6x10-3m3/sec)が、下流真空室の真空排気速度より2桁程度小さくなっているからである。
【0049】
次に、本発明によるチタン合金製真空容器の真空性能の良好さを更に実証するために行った、真空ベーキングを行わない場合の真空排気実験の結果を説明する。
図4は、その結果であって、主排気ポンプであるTMPのスタート時刻を基準とした、真空ベーキング無し時の圧力排気曲線である。
【0050】
図4に示すように、通常の真空装置の形態(オリフィスなどを介さず、直接、真空排気装置で排気する形態)を有する下流真空室(一点差線表示)の圧力は、3時間後6.2x10-7Pa 、30時間後5.7x10-8Pa 、48時間後は3.9x10-8Pa に達した。即ち、本発明のチタン合金製真空容器は、真空ベーキングを施さなくとも、短時間の真空排気で10-7Pa台の超高真空領域が得られ、また、容易に10-8Pa台の圧力が得られることを示している。
【0051】
一方、上流真空室(実線表示)は、3時間後7.0x10-6Pa、30時間後6.3x10-7Pa,48時間後4.6x10-7Paであり、下流真空室よりもほぼ1桁高い値となっているが、これは、上記のように、オリフィスの抵抗により、上流真空室の真空排気速度が大幅に小さくなっているからである。
【0052】
以上、第一の実施例及び第二の実施例では、組織が概ね10μm以下に微粒化し緻密なチタン合金KS100(酸素0.35wt%、鉄0.35wt%を含有し、残部がTi及び不可避不純物からなるチタン合金)を用い、表面粗度を小さくすることで、そのガス放出速度を小さくできることを実証し、また、極高真空に必要とされるガス放出速度(1x10-10Pam/sec以下)を達成するためには、表面粗度50nm以下にすれば良いことを実証し、さらに又、表面粗度を10nm以下とするのが更に好ましいことを示した。さらに又、材料内部からの拡散放出によるガス放出量が既存のステンレス鋼よりも小さいことを実証した。
【0053】
第三の実施例では、かかるチタン合金KS100を用いたチタン製真空容器を試作し、その真空排気実験により、比較的単純な真空排気装置を用いただけでも、短時間の真空排気により超高真空に到達でき、更に、ベーキングを施すことなく10-8Paの超高真空が容易に実現できることを実証した。
【0054】
次に、第四の実施例として、ナイフエッジ構造を有するチタン合金製真空フランジの耐久試験結果について説明する。
試料は、上記のチタン合金KS100(硬度280Hv)製真空フランジであり、φ69.3mm(ICF70)、113.5mm(ICF114)の2種類を作製し、比較フランジとして、純チタン(JIS-2種:硬度145Hv)製フランジを同様に2種類準備した。
【0055】
試験は、一般の超高真空用シールである無酸素銅ガスケットを、試料フランジ2枚で挟み、真空封止部位の真空漏れを真空リーク試験機(ヘリウムリークディテクター)により調べことにより行った。試験回数は30回とした。
【0056】
表3は、その試験結果であり、ここで、真空漏れの有無は、1x10-10Pa m3/sec以上を真空漏れ有りと判断したものであり、ナイフエッジの消耗は、目視により判断したものである。
【0057】
【表3】
Figure 0003694465
【0058】
純チタンは、前記のように、繰返し使用により真空漏れが発生することが知られているが、本試験でも、ICF114では21回目で真空漏れが発生し、漏れが発生しなかったICF70では、無酸素銅ガスケットとの接触面であるフランジナイフエッジ部の消耗が認められた。一方、本発明例のチタン合金製フランジは、真空漏れが発生せず、また、フランジナイフエッジ部の消耗も認められなかった。
【0059】
次に、第五の実施例として、チタン合金の表面に薄いチタンの酸化層を形成した例について説明する。
試料は、表面粗度0.7nmに設定した上記チタン合金KS100である。表面粗度を0.7nmに設定した理由は、酸化によるミクロな組織の剥離或いは割れなどが原子間力顕微鏡により観察できると考えたからである。この組織の剥離や割れは、ガス放出速度を増大させる要因となるものであり、ガス放出速度を低減させる不動態皮膜は、ミクロな領域において組織の剥離や割れの少ない均一な皮膜とする必要がある。
【0060】
チタン合金の酸化は、熱酸化によって行った。即ち、チタン合金を真空チャンバー中に置き、圧力を4x10-4Paまで真空引きし、その後、試料を酸化処理温度よりも20℃高い温度で2時間ベーキングを行った後、試料温度を酸化処理温度に設定し、酸素(純度99.7%)を1気圧導入し、2時間酸化処理を行った。酸化処理温度は、150、200、300、400℃の4種類である。
【0061】
目視観察の結果、処理温度150℃のチタン合金では殆ど変色は見られなかったが、処理温度の上昇と共に、200℃試料では薄い金色、300℃試料では金色、400℃試料では青紫色に変色した。これは、200℃以上の処理温度で、酸化チタンが形成されたことを意味する。
【0062】
次に、200℃以上の酸化処理を行った試料について、テープ剥離試験と原子間力顕微鏡による表面観察を行った。なお、チタン合金酸化膜の膜厚は、イオンビームスパッタ法により酸化膜の一部を物理エッチングし、触針式表面粗さ計により測定したものである。剥離試験の結果と表面粗度及び膜厚の結果を表4に示す。
【0063】
【表4】
Figure 0003694465
【0064】
テープ剥離試験の結果から、酸化処理温度400℃は、テープ剥離が生じており、不動態皮膜の形成には不適であると言える。
【0065】
原子間力顕微鏡により10x10μmの範囲における、未処理試料、200℃処理試料、300℃処理試料の各表面を観察した結果、200℃処理試料の表面は未処理試料の表面と同様に、ミクロな剥離荒れが無かった。また、表4に示すように、200℃処理試料の表面粗度は未処理試料と殆ど変わらない値が得られている。即ち、200℃での酸化処理は、極めて均一な酸化膜を形成する好ましい条件である。なお、この200℃処理試料の酸化チタン層の膜厚は、約8nmである。
【0066】
一方、300℃処理試料の表面は、1x1μm程度の大きさの剥離や荒れが観察され、これを反映し、表面粗度(1.9nm)は、未処理試料の3倍程度に荒れている。また、この試料の酸化膜厚は約10nmである。即ち、300℃の酸化処理では、200℃酸化処理と比べて、酸化がチタン合金の深さ方向には進行せず、表面層の酸化が進行し、結果として、荒れた表面を形成しているに過ぎないことが分かった。
【0067】
以上の結果、本実施例で使用したチタン合金の表面酸化処理条件は、酸化処理温度200℃、酸化処理時間2時間程度が好適であり、この酸化処理により、元々の粗度が0.7nm程度と小さいことも反映して、極めて均一な8nm程度の薄い酸化層を形成し得ることを明らかにしたものである。この酸化チタン膜は、公知の如く、ガス放出速度低減のための不動態皮膜となるものであり、極高真空装置を有効なものとする上で重要な要素技術の一つである。
【0068】
なお、金属材料の粗い表面(例えば、膜厚20〜50nm)に酸化膜を形成した場合、ガス放出速度を増大させる要因となるミクロな組織の剥離或いは割れなどの評価が困難であるのに対し、本実施例では、表面粗度0.7nmに設定し、原子間力顕微鏡による観察を可能とし、酸化膜の表面状態をミクロに評価することで、最適な酸化膜形成条件を決定しているのが一つの特徴である。
【0069】
以上、チタン合金の好適な酸化処理について説明したが、チタン合金の表面窒化処理によっても、同様にして、窒化チタン膜による不動態皮膜を形成することができる。
【0070】
次に、第六の実施例として、本発明に用いるチタン合金として望ましい、チタン合金KS100の加工性等を評価した結果について説明する。
評価は、表5に示す成分組成のチタン合金の板(2mmt)を製作し、これに表面研磨を施し、その表面粗さ及び硬さを測定した。次に、各組成の板を用いて冷間で曲げ成形し、更にTIG溶接により接合して径100mm×長さ300mmの溶接管を作成し加工性を比較した。各評価の結果を表5に併せて示す。
【0071】
【表5】
Figure 0003694465
【0072】
No.1は、酸素の含有量が少な過ぎる比較例であり硬さが不足し、No.2は鉄の含有量が多過ぎる比較例であり溶接部に微小なクラックが発生し、No.3は鉄の含有量が少な過ぎる比較例であり研磨により表面粗さ10nm以下を達成できず、No.4は酸素の含有量が多過ぎる比較例であり冷間成形が困難であった。
【0073】
これらに対し、No.5〜No.9は、本発明でチタン合金の望ましい成分組成として規定する組成を満足する実施例であり、表面粗さ、硬さは適正範囲にあり、更に加工性にも問題は認められなかった。
【0074】
以上のように、第六の実施例のチタン合金は、本発明が目指すところの、チタン合金製真空容器及び真空部品の材料として望ましい特性を有すると共に、特開平10-017962号に示されている如く、堅牢性、生体適合性、或いはコスト面にも優れ、本発明のチタン合金製真空容器及び真空部品の材料として好適である。
【0075】
以上、本発明の実施例を説明したが、請求の範囲で規定された本発明の精神と範囲から逸脱することなく、その形態や細部に種々の変更がなされても良いことは明らかである。
【0076】
例えば、第三の実施例として、試作したチタン合金製真空容器を説明したが、当然にして、その形状、或いは構成など何ら本発明を限定するものではない。
【0077】
また、第五の実施例として、チタン合金の表面に薄いチタンの酸化層を形成する方法を詳細に説明したが、酸化チタンによりガス放出速度を低減させる不動態皮膜を形成できる方法であれば良く、酸化処理温度、酸化処理時間、或いは形成する酸化チタン膜厚など、特に本発明を限定するものではない。
【0078】
【発明の効果】
本発明のチタン合金製真空容器は、内表面からの脱離ガス及び材料内部からの拡散・放出ガスを大幅に低減した真空容器であって、真空排気から短時間で超高真空を容易に達成することができる効果がある。また、真空排気ポンプの排気速度を小さく、或いは超〜極高真空では真空排気ポンプが複数必要でないなどの利点があり、省エネルギー型の真空装置を実現できる効果がある。かかる効果を有する本発明のチタン合金製真空容器は、高スループットが必要とされる半導体薄膜・電子部品作製のための真空装置や、超〜高真空の達成が必要とされる表面分析装置及び原子操作装置、或いは高エネルギー加速器施設などの真空容器としてより効果的に実施できる。
また、本発明の真空部品は、内表面からの脱離ガス及び材料内部からの拡散・放出ガスを大幅に低減した真空部品であって、真空排気から短時間で超高真空を容易に達成することができる効果がある。また、真空排気ポンプの排気速度を小さく、或いは超〜極高真空では真空排気ポンプが複数必要でないなどの利点があり、省エネルギー型の真空装置を実現できる効果がある。かかる効果を有する本発明の真空部品は、高スループットが必要とされる半導体薄膜・電子部品作製のための真空装置や、超〜高真空の達成が必要とされる表面分析装置及び原子操作装置、或いは高エネルギー加速器施設などの真空部品としてより効果的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチタン合金製真空容器及び真空部品の材料として望ましいチタン合金の、表面粗度とガス放出速度の関係の一例を示した図である。
【図2】本発明のチタン合金製真空容器の実施例として試作した真空容器の外観図であり、(a)表面図、(b)上面図の2面図である。
【図3】図2の試作真空容器の真空排気特性を示す図であり、真空ベーキング後に真空排気した場合の一例を示す圧力排気曲線である。
【図4】図2の試作真空容器の真空排気特性を示す図であり、真空ベーキング無しの場合の一例を示す圧力排気曲線である。

Claims (12)

  1. 主要部をチタン合金で作製された真空容器であって、該チタン合金は、組織が概ね10μm以下に微粒化し緻密であり、且つ、少なくも真空に曝される表面の表面粗度が50nm以下であることを特徴とするチタン合金製真空容器。
  2. 前記チタン合金の表面粗度が10nm以下である請求項1記載のチタン合金製真空容器。
  3. 主要部をチタン合金で作製された真空部品であって、該チタン合金は、組織が概ね 10 μ m 以下に微粒化し緻密であり、且つ、少なくとも真空に曝される表面の表面粗度が 50nm 以下であることを特徴とする真空部品。
  4. 前記チタン合金の表面粗度が10nm以下である請求項3記載の真空部品。
  5. 前記チタン合金の硬度が230Hv以上、310Hv以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のチタン合金製真空容器。
  6. 前記チタン合金の硬度が 230Hv 以上、 310Hv 以下であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の真空部品。
  7. 前記チタン合金の少なくも真空に曝される表面に薄いチタンの酸化層或いは窒化層などによる不動態皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項5のいずれかに記載のチタン合金製真空容器。
  8. 前記チタン合金の少なくとも真空に曝される表面に薄いチタンの酸化層或いは窒化層などによる不動態皮膜が形成されていることを特徴とする請求項3、請求項4、請求項6のいずれかに記載の真空部品。
  9. 前記チタン合金の表面に形成された不動態皮膜は、10nm以下の膜厚である請求項7記載のチタン合金製真空容器。
  10. 前記チタン合金の表面に形成された不動態皮膜は、 10nm 以下の膜厚である請求項8記載の真空部品。
  11. 前記チタン合金は、鉄 (Fe) 0.3wt%から0.5wt%、及び酸素 (O) 0.3wt%から0.5wt%を含有し、残部がチタン (Ti) 及び不可避不純物からなるチタン合金である請求項1、請求項2、請求項5、請求項7、請求項9のいずれかに記載のチタン合金製真空容器。
  12. 前記チタン合金は、鉄 (Fe) 0.3wt% から 0.5wt% 、及び酸素 (O) 0.3wt% から 0.5wt% を含有し、残部がチタン (Ti) 及び不可避不純物からなるチタン合金である請求項3、請求項4、請求項6、請求項8、請求項10のいずれかに記載の真空部品。
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