JP3690845B2 - チタン製真空容器の熱処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は短時間で10-10 Torr以下の超高真空に到達させることができるチタン製真空容器の真空中での熱処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、チタン製(純チタン及びチタン合金を含む)真空容器は耐蝕性を向上させるためだけの目的で表面の酸化などによる不動態化処理が行われていた(例えば、特開平4−299674号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この不動態化処理は真空容器内壁に均一に施すことが困難である。また、その処理自身が水などの主要残留ガスの吸着をどの程度低減できるか、あるいは内部に吸蔵された水素などの脱離をどの程度抑制できるかが分かっておらず、装置のメインテナンスや試料の交換のために容器を大気に開放する機会の多い用途においては、真空の再現性のためにその都度長時間(約12時間)の焼き出しが必要であった。このことは、高いスループットが要求される半導体生産などのラインや超高真空領域の実験でのチタン製真空容器の使用には問題があることを示している。
【0004】
そこで本発明では上記問題点を解決するため、チタン製真空容器の内壁表面及び内部に吸蔵されたガス成分を効率的に除去することができる方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はチタン製真空容器を10-5Torr以下の真空度の他の真空容器内に入れて、400〜800℃で12時間以上の加熱処理を行うことを特徴とするチタン製真空容器の熱処理方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するチタン製真空容器とは、例えばAl:1.8〜2.5%、Zr:2〜3%含有のチタン合金をベースに製作した図1に示すような容器であるが、容器はこの形状に限られるものではなく何れの形であってもよい。また、素材としてAl:1.8〜2.5%、Zr:2〜3%、残りがTiとなる合金を例示したが、チタンとしては純チタンもしくは真空材料として用いられるチタン合金であれば何れでもよい。本発明の400〜800℃で12時間以上の加熱処理において、真空度は10-5Torr以下とすることにより水素の離脱が著しく向上する。好ましくは5×10-6Torr以下、さらに好ましくは10-6Torr以下がよい。また、400〜800℃における上限800℃はチタン内部に吸蔵された水素を効率的に、かつ十分に除去するために、下限400℃はチタン表面に吸着した水分を最低限除去するために必要であり、好ましくは残留水素ガス分圧ピークをむかえる475℃以上、さらに好ましくは500℃以上がよい。加熱時間についてはチタン内部あるいは表面に存在する水素や水分を除去するのに最低限必要な拡散時間である12時間を下限としたものであり、24時間以上あれば万全といえる。また、本発明の効果という点からいえば長時間の加熱により真空度が低下することは考えられないので上限は不要であるが、経済性という点からいえば30時間以下が好ましい。
【0007】
(作用)
本発明の方法においては、チタン製真空容器を真空中で400〜800℃、12時間以上の加熱処理を行うことにより、該容器の内部及び内壁表面に吸蔵された水素や水分などのガス成分を十分に除去できる。これは表記温度範囲において生じる熱脱離現象に起因するものである。
【0008】
【実施例】
以下に本発明の方法を実施例にしたがって詳細に説明する。
本発明で使用するチタン合金製真空容器の形状を図1に示す。図1(a)は同容器の縦断面図、図1(b)は(a)の半割平面図、図1(c)は(a)の側面図である。この容器は図1に示すように、上下に2個の上下貫通穴1、その外周囲に等間隔に4個の横貫通穴2を有したものであり、Al:1.8〜2.5%、Zr:2〜3%、残りTiからなるチタン合金で形成されたものである。この容器に真空中で500℃、24時間の熱処理を図2に示す手順で施す。
【0009】
図3は本発明で用いたチタン合金素材の高温における脱ガス特性を示している。図3の横軸は走査温度を、縦軸は試料から脱離してくる各脱離種の個数を示す。また、丸印で囲んだ領域を拡大することにより、詳細な検出状況を示す。このときの昇温速度は10℃/分である。また、丸印で囲んだ領域を拡大することにより詳細な検出状況を示した。図3の(c)は未処理のチタン合金素材を10-6Torrの真空中で800℃まで昇温したときの脱離種を検出した結果を示している。500℃付近では素材表面に吸着した水とそれに起因する水素が検出され、600℃以上では素材内部に吸蔵された水素が検出された。これらの成分は800℃までの加熱により十分に除去可能である。この加熱処理後、処理容器からチタン合金素材を取り出すことなく図3の(c)と同じ条件での室温から再度の加熱処理を行なったところ、図3の(b)に示すようにほとんど脱離してくるものがなかった。また、同じ素材を800℃までの加熱処理後大気中に室温で24時間放置して、それを真空処理容器内で図3の(c)と同一条件での加熱処理を行なっても、図3の(a)に示すようにほとんど再吸着するものはない。このことから、400〜800℃の温度範囲での10-5Torr以下の真空熱処理がチタン合金素材の真空特性によい影響を及ぼすことは明らかである。
【0010】
この素材を用いて図1に示した真空容器を作製し、排気量:300リットル/秒のターボ分子ポンプと120リットル/分の油回転式ポンプとの組み合わせで排気を行った。その実際の排気特性を測定した結果を図4に示す。図4より、加工直後の熱処理をしていない状態でも容易に24時間(1440分)程度で10-10 Torr台の真空度Aが実現でき、これに500℃、24時間の真空熱処理を施すことにより到達真空度B及び排気速度の向上が確認された。500℃の熱処理で除去されるのは表面に吸着した水に起因する水素のみであり、800℃まで加熱することにより内部に吸蔵された水素も除去できるため、より一層の真空特性の向上が容易に推測できる。
【0011】
【発明の効果】
本発明は、チタンまたはチタン合金を素材とした真空容器に、真空での熱処理をあらかじめ施しておけば、この真空容器により短時間で超高真空を実現することが可能となると共に一度大気にさらしても急速に元の到達真空度に復帰することを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例として試作したチタン合金製真空容器の概略図。
【図2】本発明の一実施例として試作したチタン合金製真空容器の真空熱処理手順を示した図表。
【図3】本発明の一実施例で使用したチタン合金素材の温度に対する脱ガス種及び脱ガス量を示した図表。
【図4】本発明の一実施例として試作したチタン合金製真空容器の真空排気特性図。
Claims (1)
- チタン製真空容器を10-5Torr以下の真空度の他の真空容器内に入れて、400〜800℃で12時間以上の加熱処理を行うことを特徴とするチタン製真空容器の熱処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20560395A JP3690845B2 (ja) | 1995-08-11 | 1995-08-11 | チタン製真空容器の熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20560395A JP3690845B2 (ja) | 1995-08-11 | 1995-08-11 | チタン製真空容器の熱処理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0953163A JPH0953163A (ja) | 1997-02-25 |
JP3690845B2 true JP3690845B2 (ja) | 2005-08-31 |
Family
ID=16509607
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP20560395A Expired - Lifetime JP3690845B2 (ja) | 1995-08-11 | 1995-08-11 | チタン製真空容器の熱処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3690845B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3694465B2 (ja) * | 2001-03-26 | 2005-09-14 | 有限会社山口ティー・エル・オー | チタン合金製真空容器及び真空部品 |
-
1995
- 1995-08-11 JP JP20560395A patent/JP3690845B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0953163A (ja) | 1997-02-25 |
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