JPH0754050A - 歯元曲げ疲労強度および歯面耐ピッチング性に優れた高強度歯車並びにその製造方法 - Google Patents

歯元曲げ疲労強度および歯面耐ピッチング性に優れた高強度歯車並びにその製造方法

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JPH0754050A
JPH0754050A JP19956293A JP19956293A JPH0754050A JP H0754050 A JPH0754050 A JP H0754050A JP 19956293 A JP19956293 A JP 19956293A JP 19956293 A JP19956293 A JP 19956293A JP H0754050 A JPH0754050 A JP H0754050A
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bending fatigue
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Hiroshi Kakou
浩 家口
Atsushi Inada
淳 稲田
Yoshitake Matsushima
義武 松島
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 歯元曲げ疲労強度および歯面耐ピッチング性
の両特性に優れ、近年の要求に十分応えることのできる
高強度歯車、並びにその様な高強度歯車を製造する為の
有用な方法を提供する。 【構成】 炭素原子および/または窒素原子の鋼製歯車
内への導入を伴う表面処理を製造工程の一つまたはそれ
以上として含んで製造されたものであり、歯元部の最表
面から40μm深さまでの残留オーステナイト量が15
体積%以下であると共に、該最表面から100〜400
μm深さでの残留オーステナイト量が20〜40体積%
であり、且つ相手方歯車と接触する歯面の最表面から1
00μm深さまでの残留オーステナイト量が15〜40
体積%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車,建設機械およ
び産業機械等の動力伝達部品として用いられる高強度歯
車およびその製造方法に関するものであり、殊に歯元曲
げ疲労強度と歯面耐ピッチング性の両特性に優れた高強
度歯車、およびその様な高強度歯車を製造する為の有用
な方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車,建設機械および産業機械等で
は、動力伝達部品として歯車が広く使用されており、こ
れらの歯車には、高速回転によって歯元に高い曲げ応力
が付加されるので、優れた耐疲労性が要求される。一方
自動車等の変速機等に用いられる歯車においては、エン
ジン出力の増大や小型軽量化の動きの中で、歯元の曲げ
疲労強度は勿論のこと、相手方歯車と接触する歯面の耐
ピッチング性も優れていることが必要となってきてい
る。
【0003】歯元の曲げ疲労強度を向上させる為には、
浸炭焼入れ・焼戻し処理後に表層部の圧縮残留応力を増
大させるのが有効であることが知られている。この様な
技術としては、化学成分を調整して浸炭部品表層部の不
完全焼入れ層の生成を抑えて表面硬さと圧縮残留応力を
高めるか、場合によってはショットピーニング処理をし
て表層部の圧縮残留応力を更に増大させて歯元の曲げ疲
労強度を大幅に向上させる技術がある(例えば、特開昭
51−90918号,特開平1−306521号等)。
しかしながら、上記技術を適用しても、耐ピッチング性
に関しては十分でなかった。
【0004】一方、歯面耐ピッチング性を向上させる技
術として、高炭素濃度浸炭を行ない、微細炭化物の析出
を利用した硬さ上昇による方法が提案されている(例え
ば、特開平4−337063号)。しかしながら、この
方法では、歯元曲げ疲労強度が十分なものは得られな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した如く、これま
で提案されている技術は、歯元曲げ疲労強度または歯面
耐ピッチング性のいずれかの特性だけを満足するもので
あり、その両特性を満足することのできる技術は開発さ
れていない。こうしたことから、上記両特性を満足する
ことのできる高強度歯車の開発が望まれていた。
【0006】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、歯元曲げ疲労強度および歯
面耐ピッチング性の両特性に優れ、近年の要求に十分応
えることのできる高強度歯車、並びにその様な高強度歯
車を製造する為の有用な方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明の高強度歯車とは、炭素原子および/または窒素原
子の鋼製歯車内への導入を伴う表面処理を製造工程の一
つまたはそれ以上として含んで製造されたものであり、
歯元部の最表面から40μm深さまでの残留オーステナ
イト量が15体積%以下であると共に、該最表面から1
00〜400μm深さでの残留オーステナイト量が20
〜40体積%であり、且つ相手方歯車と接触する歯面の
最表面から100μm深さまでの残留オーステナイト量
が15〜40体積%である点に要旨を有するものであ
る。
【0008】上記高強度歯車はその残留オーステナイト
(以下、残留γと略称する)分布を規定することによっ
て、希望する特性が得られたものであり、上記の様な残
留γ分布が達成できればその製造方法については特に限
定されるものではないが、最適な製造方法としては下記
の様な構成が挙げられる。即ち、本発明の製造方法と
は、浸炭用鋼によって作成した歯車に、表面炭素濃度:
0.7重量%以上、表面窒素濃度:0.2重量%以上、
且つ(表面炭素濃度+表面窒素濃度):1.3重量%以
下となる様に、浸炭浸窒処理をT時間施した後、900
℃以上で表面炭素濃度:0.4〜0.9重量%となる様
な浸炭処理を0.2〜0.6T時間施すことによって、
最表面から40μm深さまでの残留オーステナイト量を
40体積%以下とし、引き続きアークハイト0.6mmA
以上のショットピーニング処理を施し、更に相手方歯車
と接触する部分に相当する表面を最表面から40〜30
0μmの範囲で除去する点に要旨を有するものである。
【0009】
【作用】本発明者等は、亀裂の発生・伝播の両方を抑制
できる残留γ分布を達成することによって、優れた疲労
強度を示す高強度高部品、およびその様な高強度鋼部品
を得る為の最適な方法について開発しており、その技術
意識が認められたので先に出願している(特願平5−3
9706号)。
【0010】そして本発明者らは、上記技術を歯車に応
用すべく、様々な角度から検討した。そしてまず上記技
術を歯車にそのまま適用したのでは、歯元曲げ疲労強度
を向上させることができるが、歯面耐ピッチング性向上
には十分でないことがわかった。そこで本発明者等は、
歯面耐ピッチング性を向上させる手段について、更に検
討を進めた。その結果、相手方歯車と接触する歯面での
耐ピッチング性の向上を図る為には、その部分に相当す
る表面の最表面から100μm深さまでの残留γ量を1
5〜40%に調整することで達成されることを見出し、
本発明を完成した。即ち、耐ピッチング性が問題となる
歯面は、曲げ疲労強度が問題となる歯元とは場所が異な
るので、その歯面と歯元の夫々に応じた残留オーステナ
イト分布を達成することによって、歯元曲げ疲労強度と
歯面耐ピッチング性の両特性の特性向上させることがで
きたのである。
【0011】通常の浸炭方法とショットピーニング方法
を適用する限りは、歯元と歯面の残留γ分布はほぼ同一
となって、上記の様な残留の分布は得られない。上記の
様な残留γ分布を達成する為には、本発明が先に提案し
た方法を実施して歯元曲げ疲労強度向上に有効な残留γ
の分布とした後、相手方歯車と接触する部分に相当する
歯面だけを、最表面から40〜300μm深さまでの範
囲で除去すれば、処理後の歯面を最表面から100μm
深さまでの残留γ量を15〜40体積%に調整すること
ができる。そして曲げ疲労強度が重要な歯元では、上記
の様な除去は行なわずに、先の出願で提案した残留γ分
布、即ち最表面から40μm深さまでの残留γ量を15
体積%以下とすると共に、表面から100〜400μm
深さでの残留γ量を20〜40体積%とする残留γ分布
を達成し、歯元曲げ疲労強度の向上を達成する。尚相手
方歯車と接触する部分に相当する歯面を除去する手段と
しては、研削,電解研磨等が挙げられる。
【0012】尚上記製造方法において、歯面の研削等に
よる除去が最表面から40μm未満であると、耐ピッチ
ング性向上に十分な残留γ量が得られない。またこの除
去が最表面から300μmを超えると、浸炭濃度と硬さ
が低下する領域となってしまい、耐ピッチング性が却っ
て低下するだけでなく、経済性も損なわれる。
【0013】次に本発明の他の要件について更に詳細に
説明する。本発明の歯車においては、歯元部の最表面か
ら40μm深さまでの残留γ量が15体積%以下である
と共に、該最表面から100〜400μm深さでの残留
γ量が20〜40体積%である必要がある。疲労による
初期段階亀裂の発生範囲は、最表面から50μm深さま
で、特に40μm深さまでであり、この部分における残
留γ量が15体積%を超えると基地組織よりも軟質な残
留γに歪が集中し、亀裂の発生を促進するからである。
また鋼部品の疲労亀裂伝播は、最表面から100〜40
0μm深さでの残留γ量が重要であり、この部分の残留
γ量を20〜40体積%としたとき、疲労亀裂伝播抑制
作用が最も効果的に発揮されるからである。尚「最表面
から40μm深さまでの残留γ量が15体積%以下であ
る」とは、最表面から40μm深さまでのいずれの部分
においても、残留γ量が常に15体積%以下であること
を意味する。また上記鋼部品のいずれの領域において
も、残留γ組織以外は、マルテンサイト組織やベイナイ
ト組織を主体とするものである。
【0014】本発明の高強度歯車では、歯元部において
上記の様な残留γ分布が達成されれば歯元部の曲げ疲労
強度向上の効果が発揮され、その製造方法については、
特に制限されるものではないが、例えば下記(1)〜
(3)の各方法によって製造することができる。尚下記
の各製造方法の構成から明らかな様に、本発明の高強度
歯車を製造する為には、炭素原子および/または窒素原
子の鋼部品内への導入を伴う表面処理をその製造工程の
一つまたはそれ以上として含んで、歯車表層部の炭素や
窒素濃度を高めてやる必要があり、これを表面処理によ
らずに部品全体の炭素濃度や窒素濃度を高める方法で
は、靭性が損なわれて却って寿命を縮める上、加工性も
損なわれることになる。
【0015】(1)歯車に窒化処理(塩浴等の方法を用
い、Feやその他の合金元素の窒化物の形成を主目的と
する処理)を施した後、窒化物が分解する程度の高温で
浸炭処理等を行い、固溶窒素を内部に拡散させると共
に、最表面付近の窒素や炭素の濃度を調整し、その後シ
ョットピーニング等の強加工を施す方法。
【0016】(2)後に詳述する本発明に係る最適な製
造方法において、2段階の処理を段階を分けずに連続的
に行う方法、即ち温度の上昇またはポテンシャルの低減
を徐々に行う方法。
【0017】(3)残留γ量が比較的多量となる様に浸
炭焼入れを行った歯車に対し、急速にサブゼロ処理およ
び室温までの加熱を行い、最表面近傍のみの残留γのみ
を変態させる。
【0018】その他、好ましい条件としては、材料内の
介在物や浸炭等で生じる酸化層或は熱処理時の脱炭層の
材料欠陥はできるだけ少ない方が好ましい。これは、本
発明においては亀裂発生を抑制するべく組織が調整され
ているので、亀裂発生サイトがそうした材料欠陥に移行
しやすくなるからである。またショットピーニング等の
圧縮残留応力を増加させる処理は本発明の効果をより一
層大きくするという観点からして効果的である。これ
は、残留圧縮応力が亀裂発生・伝播ともに制御する効果
を有するからである。
【0019】本発明者等は、上記の様な残留γ分布を達
成するための最適な製造方法についても、様々な角度か
ら検討した。その結果、各処理条件を適切に規定するこ
とによって、希望する残留γ分布が容易に得られること
を見いだした。本発明に係る製造方法における各製造条
件について説明する。
【0020】本発明方法における処理は、大まかに4段
階に分けられる。まず第1段階は、浸炭浸窒処理によっ
て炭素および窒素原子を材料内へ効率よく大量に導入す
る段階である。こうした観点から、少なくとも表面炭素
濃度:0.7重量%以上および表面窒素濃度:0.2重
量%以上となる条件で処理を行う必要がある。しかしな
がら、炭素および窒素原子を過剰に導入すると、次段階
(浸炭処理)において、最表面付近の炭素および窒素濃
度を減少させる作用が不十分となり、結果として最表面
付近の残留γ量が目的の量より多くなってしまい、本発
明の目的が達成されなくなる。また炭素および窒素原子
の過剰導入は、しばしば粗大炭化物の析出を招き、この
粗大炭化物は次段階での侵入原子の拡散の妨げとなる
上、これらが全過程終了後にも残存した場合はそれ自体
が亀裂の発生源となって疲労強度を低下させることにな
る。こうした観点から、浸炭浸窒処理は(表面炭素濃度
+表面窒素濃度)が1.3重量%以下となる様な条件で
処理を行う必要がある。尚処理温度については、特に限
定するものではないが、炭素および窒素原子を効率よく
取り込む目的から、800℃〜900℃の温度で行うこ
とが望ましい。
【0021】次に第2段階は、前段階で取り込んだ各原
子を内部へ拡散して内部残留γを高める条件を整える一
方、最表面の炭素および窒素濃度を比較的低く調整する
ことによって、最表面の残留γの増加および粗大炭化物
の析出を抑制するための処理である。浸炭の効率および
前段階で取り込んだ原子の拡散の2点を考慮して、処理
温度は900℃以上とする必要がある。この処理温度の
上限については、あまりに高温にすると結晶粒粗大化な
どの問題が生じるので、素材や加工履歴に合わせて適当
な温度を選定すれば良い。また処理時間は前段階に要し
た時間の0.20〜0.60倍程度とするのが良い。こ
れより短時間では各原子の内部への拡散量が不十分とな
り、これより長時間では拡散が進みすぎて各位置での炭
素および窒素濃度が希薄になってしまうため目的の効果
が達成されない。尚処理時間に関しては、第1,2段階
の時間比のみを規定したが、各々の時間の絶対値は対象
とする部品の大きさに応じて適宜設定すれば良い。また
第2段階の浸炭処理は、少なくとも表面炭素濃度が0.
9重量%以下となる条件で行なう必要がある。即ち、表
面炭素濃度が0.9重量%を超えると、熱処理後の残留
γ量が40体積%よりも大きくなり、ショットピーニン
グを施しても最表面付近の残留γ量を15体積%以下と
することはできない。一方表面炭素濃度の下限について
は、表面強化効果を得るという観点から0.4重量%以
上とするのが良い。
【0022】上記第1,2段階の処理を施した直後の材
料最表面直下(即ち、最表面から40μm深さまで)の
残留γ量が40体積%以下となっていれば、この後最終
段階(焼入後)としてアークハイト0.60mmA以上の
ショットピーニングを施すことによって、最表面付近の
残留γは加工誘起変態を起こし、疲労亀裂の発生を助長
することが無い程度(15体積%以下)まで低減され、
且つ100〜400μm深さにおいては20〜40%程
度の残留γ相が残った状態が得られる。
【0023】第3段階のショットピーニング処理につい
ては、本来の表面強化と圧縮残留応力付与の効果以外
に、表面残留γの低減が本発明においては重要な目的と
なる為、特に0.60mmA以上の高いアークハイトによ
って処理を施すことを条件とした。尚必要であれば、従
来の浸炭処理においてもよく行われているように、第2
段階の浸炭焼入れ後に残留γが変態しない程度の低温
(200℃前後)で焼戻しを行ってもよい。
【0024】また本発明の歯車においては、歯元部の亀
裂発生抑制と亀裂伝播抑制の両特性が優れているのであ
るが、更に表面を強化させる手段として、上記のショッ
トピーニング処理を施した後、該処理で用いたショット
粒子よりも小さい粒子を用いてショットピーニング処理
を施すことは更に大きな効果を示すことが確認された。
【0025】その後、第4段階として、前述した様な耐
ピッチング向上の為の処理を行なう。即ち、相手方歯車
と接触する部分に相当する歯面だけを、最表面から40
〜300μm深さまでの範囲で研削等で除去し、その歯
面の最表面から100μm深さまでの残留γ量を15〜
40体積%に調整する。
【0026】以下本発明を実施例に更に詳細に説明する
が、下記実施例は本発明を限定する性質のものではな
く、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれ
も本発明の技術的範囲に含まれるものである。例えば、
下記実施例では、供試鋼としてJIS SCM420鋼
のMo量を0.4重量%に増加させた鋼を使用したが、
本発明で適用できる鋼種は上記のものに限らず、前述し
た様な残留γ分布を達成できるものであれば他の鋼種で
あってもよいのは勿論である。
【0027】
【実施例】供試材として、JIS SCM420鋼のM
o量を0.8重量%に増加させた鋼を用い、この供試材
から歯車の歯元部と歯面部を各々模擬するための回転曲
げ疲労試験片とローラピッチング試験片を作成した。こ
れらの試験片について、下記(A)〜(C)の浸炭条件
で表面処理し、その後全ての試験片に、アークハイト
0.83mmAのショットピーニング処理(但し、No. 3
のものは二段のショットピーニング処理)を行なった。
【0028】(A)840℃で2.5時間の浸炭浸窒処
理を施し、表面炭素濃度:0.80重量%、表面窒素濃
度:0.30重量%となる様に調整した後、通常のガス
浸炭処理(表面炭素濃度:0.80重量%)を930℃
で1時間行なった。 (B)通常のガス浸炭浸窒処理(表面炭素濃度:0.8
0重量%,表面窒素濃度:0.30重量%)を、850
℃で5.5時間行なった。 (C)通常のガス浸炭処理(表面炭素濃度:0.80重
量%)を、925℃で2.5時間行なった。
【0029】この処理後の残留オーステナイトの分布
を、図1に示す。最表面から深さ40μmと300μm
のところの残留γ量と、回転曲げ疲労強度を表1に示
す。これらの結果から明らかな様に、浸炭処理条件
(A)とそれに二段ショットピーニングを行った条件
(A+DS)のものは、本発明で規定する理想的な残留
γ分布条件を満足していて、十分な曲げ疲労強度が得ら
れることが確認された。これに対し、本発明で規定する
残留γ分布条件から外れる浸炭条件BとCを施したもの
(No. 7,8)は、十分な曲げ疲労強度は得られていな
い。
【0030】上記浸炭およびショットピーニング処理
後、ローラーピッチング試験片の研削条件を変化させて
耐ピッチング寿命を測定した。研削量、研削後の残留オ
ーステナイト量分布と耐ピッチング寿命測定結果も表1
に併記した。尚この表の研削後の残留オーステナイト量
は、研削した後での最表面と、そこから100μm深さ
地点での値である。この結果から明らかな様に、歯面の
残留γ量が本発明で規定する範囲から外れるもの(No.
4〜6,8)は、十分な耐ピッチング寿命が得られてい
ないことが分かる。
【0031】これらの結果から、本発明で規定する範囲
内に残留の量をコントロールすることによって、歯元の
曲げ疲労強度と歯元耐ピッチング寿命の両方を満足させ
ることができることがわかる。
【0032】
【表1】
【0033】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、歯
元曲げ疲労強度と歯面耐ピッチング性の両特性に優れた
高強度歯車が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種処理で得られた残留γ分布を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松島 義武 兵庫県神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会 社神戸製鋼所神戸製鉄所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素原子および/または窒素原子の鋼製
    歯車内への導入を伴う表面処理を製造工程の一つまたは
    それ以上として含んで製造されたものであり、歯元部の
    最表面から40μm深さまでの残留オーステナイト量が
    15体積%以下であると共に、該最表面から100〜4
    00μm深さでの残留オーステナイト量が20〜40体
    積%であり、且つ相手方歯車と接触する歯面の最表面か
    ら100μm深さまでの残留オーステナイト量が15〜
    40体積%であることを特徴とする歯元曲げ疲労強度お
    よび歯面耐ピッチング性に優れた高強度歯車。
  2. 【請求項2】 浸炭用鋼によって作成した歯車に、表面
    炭素濃度:0.7重量%以上、表面窒素濃度:0.2重
    量%以上、且つ(表面炭素濃度+表面窒素濃度):1.
    3重量%以下となる様に、浸炭浸窒処理をT時間施した
    後、900℃以上で表面炭素濃度:0.4〜0.9重量
    %となる様な浸炭処理を0.2〜0.6T時間施すこと
    によって、最表面から40μm深さまでの残留オーステ
    ナイト量を40体積%以下とし、引き続きアークハイト
    0.6mmA以上のショットピーニング処理を施し、更に
    相手方歯車と接触する部分に相当する表面を最表面から
    40〜300μmの範囲で除去することを特徴とする歯
    元曲げ疲労強度および歯面耐ピッチング性に優れた高強
    度歯車の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のショットピーニング処
    理を施した後、前記ショットピーニング処理で用いたシ
    ョット粒子よりも小さい粒子を用いて再度ショットピー
    ニング処理を施し、更に相手方歯車と接触する部分に相
    当する表面を最表面から40〜300μmまでの範囲で
    除去することを特徴とする歯元曲げ疲労強度および歯面
    耐ピッチング性に優れた高強度歯車の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2または3の方法によって得られ
    たものである請求項1に記載の歯元曲げ疲労強度および
    歯面耐ピッチング性に優れた高強度歯車。
  5. 【請求項5】 請求項2または3の方法によって請求項
    1に記載の高強度歯車を製造することを特徴とする歯元
    曲げ疲労強度および歯面耐ピッチング性に優れた高強度
    歯車の製造方法。
JP19956293A 1993-08-11 1993-08-11 歯元曲げ疲労強度および歯面耐ピッチング性に優れた高強度歯車並びにその製造方法 Withdrawn JPH0754050A (ja)

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