JP3537357B2 - 接触疲労寿命強度に優れた歯車 - Google Patents

接触疲労寿命強度に優れた歯車

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車および工作
機械などに用いられる歯車に係わり、特に自動車のトラ
ンスミッション等の駆動伝達系に使用される鋼製の高強
度歯車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の駆動系に用いられる歯車は、歯
切り加工された後に浸炭焼入れ・焼戻し(以後、浸
炭)、或いは浸炭窒化焼入れ・焼戻し(以降、浸炭窒
化)等の熱処理によって表面の硬さを上げ、歯車同士の
接触疲労寿命強度を確保している。近年、自動車におけ
る騒音が問題になり、歯車の精度向上が必要となってい
る。精度向上に対して、熱処理前に仕上げ加工であるシ
ェービング加工が行われているが、一層の精度向上には
熱処理時に生じる熱ひずみの除去が必要であり、熱処理
後にホーニング等の研削加工が行われるようになってき
た。
【0003】また、車両重量の軽量化のための部品サイ
ズの小型化、及びエンジンの高出力化等に伴い、歯車に
対する負荷が大きくなり、とりわけ歯面に発生するピッ
チングに対する疲労寿命向上が要求されるようになって
いる。歯車のピッチング疲労寿命向上に関しては、特開
平1−264727号公報に開示されるように熱処理後
にショットピーニングを行い歯車に圧縮残留応力を付与
する方法が提案されている。しかし、特開平3−107
418号公報はショットピーニングにより歯面のピッチ
ング疲労寿命はかえって低下するとの記載もある。ま
た、ショットピーニングは歯車表面を荒らすため、使用
時の騒音問題も有している。
【0004】歯車表面にTiC,TiNなどの硬質皮膜
を蒸着させる方法が、特開昭62−199765号公報
あるいは日本機械学会論文集(C編)59巻557号2
72頁(1993年)に報告されている。しかし皮膜成
膜時に950℃まで再加熱するため、騒音で問題となる
熱ひずみが生じる。しかも、硬質なセラミックス皮膜が
形成されているため、研削等による熱歪みの除去が困難
であるという問題を有している。
【0005】さらには、ピッチング疲労寿命に優れた鋼
材として各種鋼材が、特殊鋼44巻3号39〜48頁
(1995年)に報告されているが、いずれも浸炭、或
いは浸炭窒化等の表面硬化処理まま材が対象にされてい
る。表面硬化処理ままの歯面近傍には浸炭時に粒界酸化
層が生成され、ピッチングはその粒界酸化部から発生す
る。そのため粒界酸化層を抑制すべくSi,Mn,C
r,Ni等の成分調整が検討さている。
【0006】このように、高負荷荷重下における歯車の
ピッチング疲労特性に関して、その疲労寿命を向上させ
る工業的に有益な技術は、未だ見出されていないのが実
状である。特に、熱ひずみ除去のために、表面硬化処理
後に研削が施される歯車に対するピッチング疲労寿命向
上に関する有効な対策は見出されていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自動車のト
ランスミッション等の駆動伝達系に使用される歯車にお
いて、歯車におけるピッチング疲労寿命を向上させるこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱ひずみ
除去のため表面硬化処理後に研削加工が施された歯車、
或いは真空浸炭された歯車など、歯面に粒界酸化層がな
い場合にMnS介在物がピッチングの起点となることを
見出した。熱間圧延時に延伸したMnSは歯面の歯幅方
向に延伸した形態で存在する。図1は、歯車におけるM
nSの延伸方向と接触荷重の移動方向を示しているが、
歯車では歯面上を荷重が接触しながら移動し、その方向
は歯幅とは直角方向に交差している。そのため、延伸し
たMnSはそれと直角方向に引張応力を受けることにな
る。そして接触荷重が歯面を移動する際、MnSは地鉄
との界面での密着性が低いこと、また硬質なMnSは変
形せず地鉄が変形するなどしてMnSと地鉄の間に空孔
ができピッチングに至っている。そしてこのMnSの形
状によって発生する引張応力が異なり、ピッチング寿命
が左右されることから、ピッチング疲労寿命向上策とし
て以下のような達成手段を明らかにし、本発明に至っ
た。
【0009】すなわち、本発明は、下記(1)〜(3)
提供する。 (1)質量%で、C:0.1〜0.3%、Mn:0.3
〜1.5%、S:0.01〜0.06%、Cr:0.3
〜1.5%を含有し、更に、Ca:0.001〜0.0
1%、Te:0.001〜0.01%、Zr:0.00
5〜0.1%の1種又は2種以上を含有し、残部Feお
よび不可避不純物からなり、MnSの長径長さLと短径
長さDの最大比(L/D)が7以下であり、歯面に粒界
酸化層が無いことを特徴とする接触疲労寿命強度に優れ
た歯車。
【0010】(2)更に、質量%で、Mo:0.2〜
1.0%、Ni:0.2〜1.0%の1種又は2種を含
有することを特徴とする(1)記載の接触疲労寿命強度
の優れた歯車。 (3)更に、質量%で、V:0.05〜0.3%、T
i:0.01〜0.2%、Nb:0.02〜0.2%の
1種または2種を更に含有することを特徴とする(1)
又は(2)記載の接触疲労寿命強度の優れた歯車。
【0011】
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
Cは部品として必要な強度、特に芯部の強度を確保する
ために添加する元素であるが、0.1%未満ではこの様
な効果を十分に得ることができず、0.3%を超えると
靭性が低下するので、0.1%〜0.3%とする。
【0013】Mnは溶製時に脱酸材及び脱硫材として用
いられる他、強度、靭性、焼入れ性を確保するために必
要な元素であり、0.3%以上必要である。しかし、
1.5%を超えると熱間圧延後の冷却過程でベイナイト
やマルテンサイトの硬質な組織になり、歯切り等の切削
加工性に適さなくなる。Sは被削性を高めるのに必要な
元素である。歯車部品は鍛造で粗成形された後に歯形部
はホブ切り、シェーパー切り等の歯切り加工され、浸炭
等の表面硬化処理が行われる。Sはその歯切り加工、切
削における被削性に有効であり0.01%以上含有させ
る必要がある。しかし、0.06%を超えると鍛造時の
加工限界を著しく低下させる。また、Sが多いとピッチ
ングの起点となるMnSが多くなり疲労寿命が低下する
ので、上限を0.06%とする。
【0014】Crは鋼の機械的性質、焼入れ性、耐摩耗
性の向上に寄与するが、この元素も1.5%を超える
と、熱間圧延後の冷却においてベイナイトやマルテンサ
イトの硬質な組織になり、その後の切削他の二次加工に
は適さなくなるため、1.5%以下とする。しかし、C
rの添加量が0.3%未満では焼入れ性の効果が十分で
ないので、その含有量は0.3%以上とする。
【0015】焼入れ性を確保するためにCrだけでは不
十分であり、Mo及びNiなどの元素を必要に応じて含
有させる。従来鋼と同等あるいはそれ以上の焼入れ性を
与えるために、Moは0.2%以上含有させる。しかし
1.0%を超えて含有させても、その効果は飽和してし
まい経済性を損なうため1.0%以下とする。また、N
iも焼入れ性の効果を得るために0.2%以上含有させ
ることが好ましい。しかし1.0%を超えて含有させて
もその効果は飽和して経済性を損なうため、1.0%以
下とする。
【0016】MnSの形状については、本発明者らはM
nSの形状とピッチング寿命との関係を明らかにするべ
く研究した結果、MnSの長径長さLと短径長さDの最
大比(L/D)が7以下であるか、最大長さが12μm
以下であれば高いピッチング疲労寿命を確保できること
が分かった。Ca等を添加するとMnSの変形能を低下
させるため、圧延時にMnSは延伸せず楕円形状に成っ
ている。延伸した形状から、楕円さらに球状となること
によってMnS端における応力集中が小さくなるために
MnSと地鉄との剥離が生じにくく、ピッチング疲労寿
命が向上する。従って、MnSの長径長さLと短径長さ
の比L/Dが小さい(1に近い)程ピッチング疲労寿命
は向上するが、L/D>7であるとその効果が小さいた
めL/D≦7とした。また、L/Dの値を最大値で限定
したのは、ピッチング起点となるのはもっとも高い応力
が発生する延伸したMnSから発生するのであり、平均
値が小さくても意味がないからである。さらに、L/D
が大きくてもMnS自体が小さければピッチングの起点
に成りにくい。図1に示される様に、MnSの延伸方向
長さである長径が短ければピッチングの起点と成りにく
いことから最大長径を12μm以下とするのが好まし
い。12μmを超えるとMnSの最大L/Dをいくら小
さくしても、ピッチング起点になる可能性が高いからで
ある。なお、ここでは実施例に示されるように、素材で
ある丸棒の半径/2部での圧延方向縦断面に対して20
0〜500倍の光顕写真から約200個のMnSについ
て長径Lと、短径Dを測定してL/Dの最大値、及び最
大長さを定義した。なおMnSは、Ca,Te,Zrを
含有する場合も含む。
【0017】浸炭処理時に生成される粒界酸化層が残留
する歯車では、酸化した粒界部を起点としてピッチング
が発生するためMnS形状を抑制する効果がほとんど無
い。そのため表面硬化処理後に粒界酸化層が無いことが
必要であり、表面硬化処理後に熱ひずみ除去も兼ねて研
削を施する。或いは熱ひずみ除去が必要とされない場合
は真空浸炭によって表面硬化処理される工程も考えられ
る。なお、歯面断面の粒界酸化層は走査型顕微鏡で10
00倍以上で観察でき、実施例においても同様にして粒
界酸化層が無いことを確認している。
【0018】また、歯車軽量化においては、歯元におけ
る曲げ疲労強度も重要である。歯元曲げ疲労も歯面の表
面から発生するため、粒界酸化層の影響が検討されてき
た。しかし、本発明では粒界酸化層が無い歯車に限定さ
れており、より歯元曲げ疲労強度を向上させるためには
浸炭後の結晶粒の微細化が必要である。V,Ti,及び
Nbは炭窒化物を生成し、浸炭結晶粒の微細化に効果の
ある元素であり、任意に添加することができる。その効
果を得るにはVは0.05%以上で、Tiで0.01%
以上、およびNbは0.02%以上の含有が必要であ
る。しかし、Vで0.3%を超えて、Tiで0.2%を
超えて、Nbで0.2%を超えて含有しても効果は飽和
するため、Vは0.05〜0.3%、Tiは0.01〜
0.2%、Nbは0.02〜0.2%とする。
【0019】MnSの形態制御のため、Ca,Te,Z
rの1種又は2種以上を含有させるが、Ca,Teは
0.001%以上、Zrは0.005%以上含有するこ
とが好ましい。一方、Ca,Teは0.01%、Zrは
0.1%を超えて含有してもその効果は飽和してくるの
で、Ca,Teは0.001〜0.01%、Zrは0.
005〜0.1%とする。
【0020】なお、表面硬化処理として浸炭、或いは浸
炭窒化後ショットピーニングが行われこともある。その
場合も、ショットピーニング後の研削により粒界酸化層
が除去されていれば、ショットピーニングによる歯面の
荒れも無くなるためMnSを起点としたピッチングが発
生する。従って、浸炭、浸炭窒化後にショットピーニン
グを施し、研削加工する方法によっても本発明の効果は
達成できる。
【0021】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を溶製したのち造塊
し、次に分塊圧延、棒鋼圧延して直径70mm(圧延比
50)を製造し、さらに直径32mmの丸棒へ圧延し
た。Ca,Te,Zr等を添加してMnSの形態を制御
した。各圧延材を925℃で焼きならし処理し、その
後、直径32mmの丸棒から直径が26mm、幅28m
mの円筒部を有するローラー状試験片を作成した。また
直径70mmの丸棒を直径150mmへ鍛造した後、9
25℃で焼きならし処理し、直径130mm、幅18m
mの大ローラーを作成した。
【0022】ローラー状試験片と大ローラーを浸炭ガス
雰囲気中で930℃×5時間加熱→130℃油焼入れ→
180℃×1時間焼戻しの条件で浸炭処理を行った。そ
の後、直径で50μmの研削を行った。浸炭時に生じる
粒界酸化層深さは、小ローラーの断面を走査型電子顕微
鏡で2000倍で観察したところ約15μmであり、こ
の研削により粒界酸化層は除去されていた。なお、研削
後の粗さはRmax 2μm以下であった。
【0023】表1のNo.17,18に示されるよう
に、浸炭に代わり浸炭窒化処理、及び真空浸炭処理も行
った。浸炭窒化処理条件としては、ガス浸炭窒化(93
0℃×5時間加熱→炉冷→840℃×2時間NH3ガス
により窒化→油焼入れ)し、180℃×1時間の焼戻し
を行った。真空浸炭は、炉内のカーボンポテンシャルの
関係で加熱温度を1100℃で行い、その後の研削は行
っていない。
【0024】表1のNo.19に示されるように、浸炭
処理後ショットピーニングを施した試験片、及び大ロー
ラーも作成した。ショットピーニング条件は、直径0.
8mmの鋼球を用い、ショット玉の照射速度85m/
s、アークハイト0.6mmAの条件で行った。ピッチ
ング疲労寿命評価として、上記ローラー状試験片と大ロ
ーラーを組み合わせたローラーピッチング試験を行っ
た。試験条件は、試験片の回転数1000rpm、すべ
り率40%、潤滑剤にはオートマチック用オイルを用
い、油温は約80℃で行った。
【0025】評価は、健全なままで107 回まで回転が
可能な最大面圧をその鋼材のピッチング疲労強度とし
た。なお、面圧はヘルツ面圧で計算した。歯元疲労試験
として、一歯曲げ疲労試験を行った。前述の直径70m
mの丸棒を用い、熱間鍛造により直径120mmに加工
し、925℃で焼きならし処理した。切削によりモジュ
ール4、歯数27、ピッチ円直径108mm、歯幅9m
mの試験用平歯車を作成し、各歯車を浸炭処理た後、ホ
ブにより精度JIS0〜1級の歯車へ研削加工した。油
圧サーボ式引張試験機を用い、試験歯車の歯一枚に他方
の歯車から負荷されるようにこの試験歯車を組み見合わ
せて歯元に曲げ荷重を付与する疲労試験を行った。
【0026】さらに、切削性評価として直径70mmの
丸棒の外周切削を行った。加工条件は、工具:SKH5
7、切削速度75〜84mm/rev、工具送り速度
0.02mm/rev、切削油:不水溶性油120l/
minで行った。その際、3000サイクル後の工具の
前逃げ面溝摩耗の長さが300μm以内のものを合格と
いう基準で切削加工性を評価した。
【0027】表1に各種供試材の成分、及びMnS形状
として最大長径/短径比と最大長径を示す。MnSの最
大長径/短径比と最大長径は、前述した直径32mmの
各圧延材において、半径/2部の圧延方向の縦断面を光
学顕微鏡で500倍で撮影し、その写真から約200個
のMnSについて長径Lと短径Dを実測し、その測定値
から求めている。
【0028】表2にローラーピッチング試験でのピッチ
ング疲労強度、さらに一歯曲げ疲労強度、切削加工性の
評価結果を示す。表1より、本発明のNo.1〜No.
19は全てL/D≦7となっている。これらの供試材を
用いたピッチング疲労強度は、表2より、いずれも32
0kgf/mm以上であり高い寿命となている。また、N
o.11〜No.14のV,Ti,Nb等を添加した供
試材では、一歯曲げ疲労強度は110kgf/mm以上であ
り、これらの成分を添加していない供試材より高い疲労
強度となった。また表2より、本発明例ではSの量によ
らずMnSのL/Dが小さいため、いずれの場合も切削
加工性は合格であった。
【0029】一方比較例のNo.20〜No.26で
は、表1より、いずれもL/D>15、かつL>14で
あり本発明法の条件を満足していない。従って、ピッチ
ング疲労強度も260kgf/mm2 以下と本発明法に比べて
60kgf/mm2 以上も小さかった。60kgf/mm2 の差を疲
労寿命で考えてみる。例えばNo.21のピッチング疲
労強度は260kgf/mm2 であり、面圧260kgf/mm2
時に107 回以上までピッチングは発生しない。しかし
60kgf/mm2 高い面圧320kgf/mm2 の場合、疲労寿命
は2.4×106 回であった。従って疲労寿命は約4倍
も異なり、寿命として大きな差となる。
【0030】また、比較例ではMnSが延伸しているた
めに、一歯曲げ疲労強度も本発明法より低かった。
o.27は、表1より、添加されるS量が少ないためピ
ッチングの起点となるMnSが少ない。その為ピッチン
グ疲労強度は表2より340kgf/mmであり、本発明例
と同様である。しかし、MnSが少ないことから切削加
工性が悪く歯車製造時に問題を生じることになる。
【0031】No.28はNo.27と逆に添加される
S量が多い。そのため鍛造時に割れが発生することも懸
念されたが今回の試験片製造時には特に問題は生じなか
った。しかしピッチング疲労強度は280kgf/mm2 程度
であり、本発明例に比べて低い疲労強度であった。これ
はピッチングの起点となるMnSが多いことと考えられ
る。
【0032】No.29はMnS形状も本発明例の条件
をみたすものの、浸炭まま、即ち粒界酸化層が残留した
ままであり、ピッチングが粒界酸化層から発生するため
ピッチング疲労強度は240kgf/mm2 と低い。粒界酸化
層が除去されることで初めてMnS形状の抑制がピッチ
ング寿命に効果がある。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明では、浸炭、或いは浸炭窒化等の
表面硬化処理を行った後に研削加工をするなど、粒界酸
化層が無い歯車においてMnSの形態制御をすることに
より、使用時のピッチング寿命を飛躍的に向上すること
ができる。これにより、歯車の受ける負荷荷重を増大で
き、或いは歯車自体の小型軽量化が可能となり、歯車を
多く用いる自動車、建築用機械の小型軽量化を実現し、
燃費改善など多大の効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯車におけるMnSの延伸方向と接触荷重の移
動方向を示す概念図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蟹沢 秀雄 北海道室蘭市仲町12番地 新日本製鐵株 式会社 室蘭製造所内 (56)参考文献 特開 平7−188853(JP,A) 実開 平3−93031(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 8/60 F16H 55/17

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、C :0.1〜0.3%、M
    n:0.3〜1.5%、S:0.01〜0.06%、C
    r:0.3〜1.5%、を含有し、更に、Ca : 0.0
    01〜0.01%、Te : 0.001〜0.01%、Z
    : 0.005〜0.1%、の1種または二種以上を含
    有し、残部鉄及び不可避不純物からなり、MnSの長径
    長さLと短径長さDの最大比(L/D)が7以下であ
    り、歯面に粒界酸化層が無いことを特徴とする接触疲労
    寿命強度に優れた歯車。
  2. 【請求項2】 更に、質量%で、Mo:0.2〜1.0
    %、Ni:0.2〜1.0%、の1種又は2種を含有す
    ることを特徴とする請求項1記載の接触疲労寿命強度に
    優れた歯車。
  3. 【請求項3】 更に、質量%で、V :0.05〜0.
    3%、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.02〜
    0.2%、の1種又は2種を含有することを特徴とする
    請求項1または2記載の接触疲労寿命強度に優れた歯
    車。
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