JP4371481B2 - 接触疲労寿命強度に優れた歯車およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車および工作機械などに用いる歯車、特に、自動車のトランスミッション等の駆動伝達系に使用する鋼製の高強度歯車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の技術分野では、車両重量の軽量化のため、部品サイズの小型化や、エンジンの高出力化等が要望されているところ、駆動系に用いる歯車においては、使用時の負荷が大きくなることから、歯元での曲げ疲労に対する耐性の向上、および、歯車接触時に歯面に生じるピッチング疲労に対する寿命の向上が要望されている。
【0003】
歯車は、鋼材が歯形形状に鍛造、切削された後、歯面を硬くするため、浸炭焼入れ・焼戻しや、浸炭窒化焼入れ・焼戻し等の熱処理(以下、浸炭処理)が施されて製造されている。歯車の歯元での曲げ疲労については、ショットピーニング等によって付与する圧縮残留応力が、その疲労寿命の向上に著しい効果を発揮することが、“日本機械学会論文集C編、55巻520号3034頁(1989)”に報告されていて、しかも、実際に、この手法が実施されている。
【0004】
しかし、ピッチング疲労については、その発生メカニズムも明確でないまま、各種の対策が提案されている。例えば、特開平1−264727号公報には、浸炭処理後にショットピーニングを行い、歯車に圧縮残留応力を付与する方法が提案されているが、一方、特開平3−107418号公報には、ショットピーニングにより歯面のピッチング疲労はかえって低下するとの記載がある。また、ショットピーニングは、歯車の表面を荒らすため、使用時の騒音が問題ともなる。
【0005】
ピッチング疲労特性に優れた各種鋼材が、“特殊鋼44巻3号39〜48頁(1995年)”に報告されているが、これらの各種鋼材は、いずれも、浸炭処理時に生成する粒界酸化層や不完全焼入れ層の深さおよび/もしくは硬さを制御することを目的として、合金元素の成分調整が行われているものである。
しかし、不完全焼入れ層にある粒界酸化部は、そもそも、初期欠陥であり、成分調整を行っても、結果として、疲労特性の向上に結びつきにくい。また、合金元素は、その一部が酸化物となるため、疲労強度の向上に有効に機能しない他、さらなる合金元素の添加は、コストアップを招くことになる。
【0006】
このように、高負荷荷重下におる歯車のピッチング疲労特性に関しては、その疲労強度を向上させる工業的に有益な技術は、未だ見い出されていないのが実情である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、自動車のトランスミッション等の駆動伝達系に使用する歯車であって、歯元での疲労特性を向上させるべく浸炭処理後にショットピーニング等の表面硬化処理を施す歯車において、さらに、歯面でのピッチング疲労強度を向上せしめることを課題
(目的)とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題に対して研究を重ねた結果、以下の知見を見い出した。
すなわち、歯車は、その大きさや形状が多種多様であることから、ピッチング性の評価については、標準的なピッチング性評価試験であるローラーピッチング試験を行ったところ、試験過程において表層部の不完全焼入れ層が摩耗することにより、ピッチング寿命が大幅に向上することを見い出した。
【0009】
上記摩耗の原因は、ショットブラストやショットピーニングにより不完全焼入れ層のベイナイト組織に強加工が施され、組織が脆化するためであるが、摩耗によりピッチング寿命が向上する理由は、一つには、不完全焼入れ層およびその中の粒界酸化部で発生する初期亀裂が摩耗により除去され、その結果、ピッチング発生が抑制されるからであり、二つめには、摩耗により接触面積が増加し、その結果、実質面圧が低下するからである。
【0010】
そこで、浸炭焼入れ後にショットピーニング等の加工を付与し、不完全焼入れ層が摩耗する条件について、種々検討した。
なお、摩耗量を多くすると歯車としての形状が損なわれ、また、摩耗量を多くするため不完全焼入れ層を深くすると、粒界酸化も深くなり、歯元曲げ疲労特性が低下してしまうから、極端に摩耗させることは、歯車の製造上障害となる。
【0011】
さらに、本発明者らは、不完全焼入れ層を研削により除去した歯車においては、MnS介在物が起点となってピッチングが発生することをも見い出した。
熱間圧延時に延伸したMnSは、歯面の歯幅方向に延伸した形態で存在する。そして、歯車では、歯面上を荷重が接触しながら移動し、その移動方向は、歯幅と、すなわち、MnSの延伸方向と直角に交差しているから、接触荷重が歯面を移動する際、MnSと地鉄との界面密着性が低いことにくわえ、硬質なMnSは変形せず地鉄が変形するなどして、MnSと地鉄との間に空孔ができ、ピッチングに至るのである。
【0012】
ここで、MnSの延伸を抑制することによりMnS端での応力集中を低減することができ、その結果、MnSと地鉄との間に空孔を発生させる応力を低減できることが解り、本発明者らは、MnSの形態制御が、ピッチング寿命の向上に有効であることを見い出したのである。
以上のとおり、本発明者らは、▲1▼歯元曲げ疲労寿命等への影響が少ない程度に、摩耗層となる不完全焼入れ層を設けると、ピッチングの発生を抑制することができる、および、▲2▼使用中に摩耗層が無くなっても、MnSの形態を制御した層が現れることによりピッチング寿命が向上する、との知見を見い出したのである。
【0013】
また、本発明者らは、不完全焼入れ層が薄い場合には、そこに強いショットピーニングを行うと初期亀裂が発生してしまい、ピッチング寿命を低下させてしまうとの知見も見い出した。本発明は、こうした知見に基づきなされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)質量%で(以下同じ)、C:0.1〜0.3%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.3〜1.5%、S:0.01〜0.06%、および、Cr:0.3〜1.5%、を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなるとともに、MnSの形状が、その長径長さLと短径長さDの最大比(L/D)で7以下であるか、もしくは、その最大長さで12μm以下であり、表層部の不完全焼入れ層が15μm以下であり、表面でのX線回折半価幅をその鋼材焼鈍後の半価幅で除して無次元化した値β’が1.65以上で、かつ、該β’と表面粗さRmax(単位μm)がβ’≦2.23+0.856ln (Rmax )を満足し、さらに、残留オーステナイトが2〜10%であることを特徴とする接触疲労寿命強度に優れた歯車。
(2)前記表面における圧縮残留応力が25kgf/mm2 以上であることを特徴とする前記(1)記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。
(3)前記成分組成において、さらに、Mo:0.2〜1.0%、Ni:0.2〜1.0%、の1種または2種を含有することを特徴とする前記(1)または(2)記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。
(4)前記成分組成において、さらに、V:0.05〜0.3%、Ti:0.01〜0.2%、Nb:0.02〜0.2%、の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)、(2)または(3)記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。
(5)前記成分組成において、さらに、Te:0.001〜0.01%、Mg:0.001〜0.01%、Zr:0.005〜0.1%、の1種または2種以上を含有することを特徴とする前記(1)、(2)、(3)または(4)記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。
(6)前記成分組成において、さらに、Ca:0.001〜0.01%、を含有することを特徴とする前記(4)又は(5)記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。
(7)前記(1)〜(6)の何れか1項に記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車を製造する方法において、浸炭焼入れ・焼戻しもしくは浸炭窒化焼入れ・焼戻しの後の研削、または、真空浸炭焼入れ・焼戻しにより、不完全焼入れ層を15μm以下とし、その後、ショットピーニングまたはショットブラストの表面硬化処理を、不完全焼入れ層が2μmより小さい場合はAh(アークハイト)<0.3mmAで、不完全焼入れ層が2〜15μmの場合はAh≧0.3mmAで、行うことを特徴とする接触疲労寿命強度に優れた歯車の製造方法。
【0014】
なお、ここでいう不完全焼入れ層とは、浸炭処理後の硬さが、浸炭処理によって得られる所定の硬さに達していない表層部であるが、浸炭部は硬い上に、不完全焼入れ部は極表層であるため、硬さ測定から、その深さを精度良く測定することは難しい。
そこで、軟化は、焼入れ性を担う元素が酸化物となり、該元素が有効に作用しないために生じるとのことを前提にして、本発明においては、実施例に示すように、浸炭処理材の表層断面をEPMAによって1000倍に拡大してCr元素の分布を測定し、該処理材の中心部の濃度に対してCr濃度が2/3以下に低下している表層部の深さを実測して、不完全焼入れ層の深さとした。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の成分組成に係る限定理由について説明する。
Cは、部品として必要な強度、特に、芯部の強度を確保するために添加する元素であるが、0.1%未満では、このような強度を十分に得ることができず、一方、0.3%を越えて添加すると、靭性が低下するので、その含有量を0.1%〜0.3%とした。
【0016】
Siは、溶製時に脱酸材として用いる元素であり、0.01%以上の添加が必要である。しかし、浸炭時に粒界酸化層を生成する元素でもあり、多量添加は、曲げ疲労特性を低下せしめるなど、浸炭用鋼の特性を著しく劣化せしめるので、上限を0.5%とした。
Mnは、溶製時に脱酸材および脱硫材として用いる他、強度、靭性、焼入性等を確保するために必要な元素であり、0.3%以上の添加が必要である。しかし、1.5%を越えて添加すると、熱間圧延後の冷却過程でベイナイトやマルテンサイトが析出し、鋼組織が硬質な組織となり、歯切り等の切削加工に適さなくなるので、上限を1.5%とした。
【0017】
Sは、被削性を高めるのに必要な元素である。歯車部品の製造においては、鍛造で粗成形された後、歯形部がホブ切り、シェーパー切り等の歯切り加工により加工され、その後浸炭処理が施されるが、Sは、その歯切り加工、切削に必要な被削性の向上に有効な元素であり、0.01%以上添加する必要がある。しかし、0.06%を越えて添加すると、鍛造時の加工限界を著しく低下させるし、また、Sが多いと、ピッチングの起点となるMnS自体が多くなり、疲労寿命の低下につながるので、上限を0.06%とした。
【0018】
Crは、焼入性の他、機械的性能を確保するために必要な元素であり、0.3%以上の添加が必要である。しかし、この元素も1.5%を越えて添加すると、熱間圧延後の冷却過程でベイナイトやマルテンサイトが析出し、鋼組織が硬質な組織となり、歯切り等の切削加工に適さなくなるので、上限を1.5%とした。
次に、本発明の他の要件に係る限定理由について説明する。
【0019】
歯車使用時に不完全焼入れ層が摩耗することで、ピッチング寿命が向上するが、摩耗が深すぎると、歯車精度が低下して騒音、振動等の問題を引き起す可能性がある。また、不完全焼入れ層が深すぎると粒界酸化層も深くなり、歯元曲げ疲労を低減させることになる。これらのことから、不完全焼入れ層を15μm以下とした。
【0020】
なお、摩耗層となる不完全焼入れ層が無くても、MnSの形態制御を行うことにより、ピッチング寿命を向上せしめることができるから、下限は0μmでよい。但し、歯元の曲げ疲労向上のために行うショットピーニング等の表面硬化処理の際、軟質の不完全焼入れ層が薄くなると、ショットピーニング時に初期亀裂が発生したり、表面粗さの低下によってピッチング寿命が低下するので、後述する表面粗さとショットピーニング条件との関係が保たれていることが必要となる。
【0021】
不完全焼入れ層を摩耗させるには、不完全焼入れ層が摩耗するように、ショットピーニング等の表面硬化処理によって加工ひずみを加え、不完全焼入れ層を脆化させる必要があるが、不完全焼入れ層に圧縮残留応力がないと、歯車接触時に発生する引張応力により、摩耗する以前に亀裂が発生・進展してピッチングに至ってしまう。そのため、歯車の表面での圧縮残留応力が、25kgf/mm2 以上必要である。圧縮残留応力が高いほど、歯元曲げ疲労に有効であるから、圧縮残留応力の上限は規定しない。
【0022】
上述のように、不完全焼入れ層を脆化させるため該層に加工ひずみを付与する必要があるが、本発明では、その尺度として、歯面に損傷を与えないことを考慮してX線回折半価幅を用いることとし、さらに、測定器、標準試料による差異が生じないように、用いる鋼材の焼鈍後半価幅で除して無次元化した値β’を用いた。
【0023】
β’が1.65以上でないと、不完全焼入れ層が脆化せず摩耗が生じない。ショットピーニングが厳しくなると表面粗さRmax も、β’もともに大きくなるが、加工ひずみが入りすぎると、摩耗の進展より粒界酸化部で発生する亀裂の進展の方が早く、ピッチング寿命が向上しない。特に、不完全焼入れ層が薄い場合は、ショットピーニング時に初期亀裂が入り、それがピッチング起点となる。
【0024】
従って、β’には上限があり、Rmax とβ’の関係において、β’≦2.23+0.856ln(Rmax )であることが必要である。この式は、後述するローラーピッチング試験において多くの実験を繰り返し、高いピッチング疲労寿命を満足するための条件を重回帰分析により求めたものである。
さらに、残留オーステナイトが多いと塑性変形をして摩耗が生じないから、残留オーステナイトの量の上限を10%とした。ショットピーニングすると、表面での残留オーステナイトは低下するが、強くショットピーニングを行うと、不完全焼入れ層が脆化しすぎてピッチング寿命が低下することになるから、残留オーステナイトの量の下限を2%とした。なお、残部の組織はマルテンサイト組織である。
【0025】
摩耗が進展して不完全焼入れ層が無くなっても、ピッチング発生を抑制する必要がある。そのために、その摩耗後に、ピッチングの起点となるMnSの延伸が抑制された母層が現れるようにする。そこで、その延伸が抑制されたMnSの形状とピッチング寿命との関係を明らかにするべく調査した結果、MnSの長径長さLと短径長さDの最大比(L/D)が7以下であるか、もしくは、MnSの最大長さが12μm以下であれば、高いピッチング疲労寿命を確保できることが判明した。Ca等を添加するとMnSの変形能が低下するから、圧延時にMnSは延伸せず、楕円形状になる。MnSが、延伸した形状から、楕円、さらに球状となることによって、MnS端における応力集中が小さくなり、その結果、MnSと地鉄との剥離が生じにくくなり、ピッチング疲労寿命が向上する。
【0026】
従って、MnSの長径長さLと短径長さの比L/Dが小さい程ピッチング疲労寿命は向上するが、L/D>7であるとその効果が小さいので、L/D≦7とした。また、L/Dの値を最大比で規定した理由は、ピッチング起点となるのは、もっとも高い応力が発生する延伸したMnSであり、L/Dの平均値が小さくても意味がないからである。
【0027】
一方、L/Dが大きくても、MnS自体が小さければピッチングの起点になりにくい。それ故、MnSの延伸方向長さである長径が短ければピッチングの起点となりにくいといえるから、最大長径を12μm以下とした。これは、上記長径が12μmを越えると、MnSの最大比L/Dをいくら小さくしても、長径12μmを越えるMnSは、ピッチング起点になる可能性が高いからである。
【0028】
そして、本発明においては、実施例に示すように、素材である丸棒の半径/2部での圧延方向縦断面に対する200〜500倍の光顕写真から、約200個のMnSについて長径Lと、短径Dを測定して、L/Dの最大比、および、最大長さを定義した。なお、MnSは、Ca、Te、Zr、Mg等を含有するものも含むものである。
【0029】
ここで、本発明に、さらに添加する成分元素の添加量に係る限定理由について説明する。
焼入れ性を確保する場合、Crだけでは不十分な場合があり、MoおよびNiなどの元素を必要に応じて添加する。従来鋼と同等あるいはそれ以上の焼入れ性を与えるために、Moは0.2%以上添加する。しかし、1.0%を越えて添加しても、その効果は飽和して経済性を損なうから、上限を1.0%とした。
【0030】
Niも焼入れ性向上のため、0.2%以上添加することが好ましい。しかし、1.0%を越えて添加しても、その向上効果は飽和して経済性を損なうから、上限を1.0%とした。
歯車の軽量化においては、歯元における曲げ疲労強度も重要である。歯元曲げ疲労強度を向上させるためには、浸炭後の結晶粒の微細化が必要である。V、TiおよびNbは炭窒化物を生成し、浸炭結晶粒の微細化に効果のある元素であり、任意に添加することができる。その微細化効果を得るには、Vは0.05%以上、Tiは0.01%以上、および、Nbは0.02%以上の添加が必要である。しかし、Vを0.3%を越えて、Tiを0.2%を越えて、また、Nbを0.2%を越えて添加しても上記効果は飽和するから、Vは0.05〜0.3%、Tiは0.01〜0.2%、Nbは0.02〜0.2%とした。
【0031】
MnSの形態を制御するため、Ca、Te、Mg、Zrの1種または2種以上を含有させるが、CaおよびTeは、0.001%以上、また、Zrは、0.005%以上添加することが好ましい。一方、CaおよびTeは、0.01%を越えて、また、Zrは、0.1%を越えて添加してもその形態制御効果は飽和するので、CaおよびTeは0.001〜0.01%、また、Zrは0.005〜0.1%とした。
【0032】
Mgは、MnSなどの硫化物を鋼中に均一分散させる効果を奏するが、0.001%未満では、MnSを均一分散させる効果は小さく、また、0.01%を越えて添加してもその効果は飽和する。それ故、Mgは、0.001〜0.01%とした。
最後に、本発明の製造方法における要件に係る限定理由について説明する。
【0033】
MnSの延伸が抑制された所定の鋼材において、浸炭時の不完全焼入れ層を15μm以下とするため、浸炭処理後に研削あるいは研磨する工程が考えられる。
また、不完全焼入れ層では浸炭時に粒界酸化が生じ、Cr等の焼入れ性向上元素は酸化物となり、焼入れ性向上元素として有効に働かないため軟質な層となることがあるが、この粒界酸化を避けるため、真空浸炭処理を行い、この真空浸炭処理を行うことで、研削工程を省略することも考えられる。
【0034】
そして、その後、歯元疲労特性の向上のために圧縮残留応力を付与し、かつ、不完全焼入れ層に加工ひずみを付与するために、ショットピーニング・ショットブラストなどの表面硬化処理が行われる。しかし、不完全焼入れ層が薄い場合、激しい表面硬化処理を行うとショット時に初期クラックが発生する等してピッチング寿命が低下する。
【0035】
したがって、所定の圧縮残留応力および加工ひずみを付与するためには、所定の表面硬化処理を行う必要があるが、不完全焼入れ層が2μmより薄い場合は、アークハイト(以下;Ah)でAh<0.3mmAのショットピーニングでないと初期クラックが発生してしまう。また、不完全焼入れ層が2μm以上の場合は、軟質の不完全焼入れ層が厚くなるため、Ah≧0.3mmAのショットショットピーニングを行わないと、加工ひずみ付与により不完全焼入れ層が脆化しない。
【0036】
【実施例】
表1に示す化学成分の鋼を溶製した後造塊し、次に、分塊圧延、棒鋼圧延して直径70mm(圧延比50)の丸棒を製造し、さらに、直径32mmの丸棒へ圧延した。続いて、各圧延材を925℃で焼きならし処理した。その後、直径32mmの丸棒から、直径が26mm、幅28mmの円筒部を有する小ローラー試験片を作成した。また、直径70mmの丸棒を、直径130mm、幅25mmの形状へ鍛造した後、925℃で焼きならし処理し、直径130mm、幅18mmの大ローラーを作成した。
【0037】
【表1】
【0038】
小ローラー試験片と大ローラーを、浸炭ガス雰囲気中で、930℃×5時間加熱→130℃油焼入れ→180℃×1時間焼戻しの条件で、浸炭焼入れ・焼戻しの浸炭処理を行った。浸炭窒化処理としては、ガス浸炭窒化処理(930℃×5時間加熱→炉冷→840℃×2時間NH3 ガスにより窒化→油焼入れ)をし、その後、180℃×1時間の焼戻しを行った。浸炭時に生じる不完全焼入れ層の深さは、小ローラー試験片の断面を走査型電子顕微鏡を用いて2000倍で観察して測定した。不完全焼入れ層が所定の深さに残るように研削した。研削後の表面粗さはRmax 2〜3μmであった。その後、ショットピーニングを施した小ローラー試験片、および、大ローラーを作成した。ショットピーニングは、直径0.3〜0.8mmの鋼球を用い、Ah=0.1〜1.5mmAの条件で行った。
【0039】
各小ローラー試験片の表面残留応力,半価幅,残留オーステナイトを測定した。X線半価幅は、測定機械や標準試料により誤差がでやすいので、各試験片の焼鈍材での値で除して無次元化した。その焼鈍は、各試料とも、850℃×1時間保持後10℃/時間で600℃まで徐冷して行った。
ピッチング寿命を評価するため、小ローラー試験片と大ローラーを組み合わせて、ローラーピッチング疲労試験を行った。該試験は、試験片の回転数1000rpm、すべり率40%で、潤滑剤にはオートマチック用オイルを用い、油温約80℃で行った。ローラーピッチング試験での設定面圧は、300kgf/mm2 で、小ローラー試験片に発生するピッチングの面積率が3%以上になった時点を疲労寿命として、それまでの回転数で評価した。
【0040】
歯元曲げ疲労特性を評価するため、一歯曲げ疲労試験を行った。一歯曲げ疲労試験を行うため、前述の直径130mm、幅25mmの素材を、925℃で焼きならし処理した後、切削により、モジュール4、歯数27、ピッチ円直径108mm、歯幅9mmの試験用平歯車を作成した。各歯車を浸炭処理し、ショットピーニングした後、ホブにより研削加工し、精度JIS0〜1級の歯車を作成した。油圧サーボ式引張試験機を用い、試験歯車の歯一枚に他方の歯車から負荷がかかるように試験歯車を組み合わせて、歯元に曲げ荷重を負荷する疲労試験を行い、107 回まで破損しない強度を疲労強度とした。
【0041】
さらに、切削性を評価するため、直径70mmの丸棒の外周切削を行った。加工条件は、工具:SKH57、切削速度75〜84mm/rev、工具送り速度0.02mm/rev、切削油:不水溶性油120l/minである。その際、3000サイクル後の工具の前逃げ面溝摩耗の長さが300μm以内のものを、合格という基準で切削加工性を評価した。
【0042】
表1に、各種供試材の成分、不完全焼入れ層の深さ、および、MnSの形状としての最大長径/短径比と最大長径を示す。MnSの最大長径/短径比と最大長径は、前述した直径32mmの各圧延材において、半径/2部の圧延方向の縦断面を光顕で500倍で撮影し、その写真から、約200個のMnSについて長径Lと短径Dを実測し、その実測値から求めた。浸炭処理後、小ローラー試験片の表層部の不完全焼入れ層の深さを測定すべく、縦断面のCr分布をEMPAで測定した。EPMAの測定条件は、加速電圧20Kv、ビーム径1μmで、ビームスキャン方式で1ポイントあたり60mm/sでビームを移動して、マッピングを行った。Crのマップ図から、中心部の濃度に対して2/3以下の濃度までの深さを、不完全焼入れ層の深さとして測定した。
【0043】
表1において、発明例及び参考例の鋼種A〜鋼種Pの内、鋼種Dおよび鋼種L以外は、L/D≦7となっている。鋼種Dおよび鋼種Lは、L/D>14であるが、最大長径が12μm以下であり、本発明の条件を満足している。比較例の鋼種Q〜鋼種Uは、いずれも所定のMnS形状でない。さらに、鋼種VはS量が少なく、鋼種WはS量が多い。これらの供試材を用いて、ショトピーニング後の研削により、不完全焼入れ層の深さを種々変えた試験片を作成した。表2に、ピッチング疲労寿命と一歯曲げ疲労強度、および、他の測定結果を示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表2より、発明例では、ローラーピッチング疲労寿命は、いずれも、107 回以上であり、一歯曲げ疲労強度は、98kgf/mm2 以上であった。発明例のNo.5、No.10、No.16およびNo.18並びに参考例のNo.6は、各鋼種とも浸炭までの不完全焼入れ層が15μm以下であることから、浸炭後に研削することなくショットピーニングを行ったものである。いずれも、107以上のピッチング疲労寿命を有し、一歯曲げ疲労強度は、100kgf/mm2 以上となっている。
【0046】
No.3およびNo.9は、研削によって、不完全焼入れ層が無くなるまで研削されたものである。不完全焼入れ層は無く摩耗は発生しなかったが、MnSの形態が制御されているために、ピッチング疲労寿命は107 回以上となっている。さらに、一歯曲げ疲労強度は、130kgf/mm2 以上であり、他の発明例に比べても高くなっている。
【0047】
No.13からNo.16は、V、Ti、Nb等が添加された鋼材を供試材に用いたものであるが、これらの元素による浸炭結晶粒微細化効果によって、一歯曲げ疲労強度が、120kgf/mm2 以上と高い疲労強度となっている。
No.19は、浸炭後にショットピーニングを行い、その後研削を行ったものであるが、これも高いピッチング疲労寿命と一歯曲げ疲労強度を有している。
【0048】
一方、比較例においてNo.20〜No.24、および、No.26〜No.27は、いずれのピッチング疲労寿命とも4×106 回より低いものである。
No.25は、S量が低い鋼種Vを用いたものであり、ピッチング起点、および、一歯曲げ疲労の亀裂起点となるMnSが少ないことから、ピッチング疲労寿命は、107 回以上であり、一歯曲げ疲労強度は、102kgf/mm2 と高くなっている。しかし、切削性評価をおこなった結果は、この比較例の場合のみ不良であり、実生産には不向きである。
【0049】
No.27は、ショトピーニングが強く、β’が所定の範囲より大きいために、不完全焼入れ層が著しく脆化したものである。そのため、ピッチング試験時に、不完全焼入れ層が摩耗する以前に、亀裂の発生・進展が進みピッチングに至っている。
No.28〜No.30は、不完全焼入れ層が所定の範囲より深いものである。摩耗発生により、107 回以上のピッチング疲労寿命となっているが、粒界酸化層が深いために、一歯曲げ疲労強度が低い結果となっている。
【0050】
No.31は、所定のβ’まで加工ひずみを与えていないため摩耗が発生せずに、低いピッチング疲労寿命を示している。圧縮残留応力も低いために、一歯曲げ疲労強度も低い。
No.32は、浸炭後にショットピーニングを行ってから表面研削を行ったものであるが、同様の工程のNo.19に比べて研削代が大きく、研削によって内部の残留γ(残留オーステナイト)の高い面が現れ、残留γは10%以上となっている。ローラーピッチング試験においては、表層での摩耗が発生しにくく、ピッチング疲労寿命が低くなっている。
【0051】
No.33〜No.35は、不完全焼入れ層が2μmより薄い場合において、Ah≧0.3μmのショットピーニングを行ったものであるが、ショットピーニング時に内部クラックが生じて、ピッチング疲労寿命が低くなっている。
【0052】
【発明の効果】
本発明においては、浸炭処理を行った後にショットピーニング等により浸炭層に加工ひずみを施すことで、使用時に歯車表面が摩耗してピッチング寿命が向上し、さらに、摩耗終了後もピッチング発生起点となるMnSの形態制御を行った母層が現れることで、ピッチング寿命が飛躍的に向上する。このことは、歯車の受ける負荷荷重を増大することを可能とし、そして、歯車自体の小型軽量化を可能とするから、本発明は、歯車を多く用いる自動車、建築用機械の小型軽量化を実現することができ、燃費改善などに多大の効果をもたらすものである。
Claims (7)
- 質量%で(以下同じ)、
C :0.1〜0.3%、
Si:0.01〜0.5%、
Mn:0.3〜1.5%、
S :0.01〜0.06%、および、
Cr:0.3〜1.5%、
を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなるとともに、MnSの形状が、その長径長さLと短径長さDの最大比(L/D)で7以下であるか、もしくは、その最大長さで12μm以下であり、表層部の不完全焼入れ層が15μm以下であり、表面でのX線回折半価幅をその鋼材焼鈍後の半価幅で除して無次元化した値β’が1.65以上で、かつ、該β’と表面粗さRmax(単位μm)がβ’≦2.23+0.856ln (Rmax )を満足し、さらに、残留オーステナイトが2〜10%であることを特徴とする接触疲労寿命強度に優れた歯車。 - 前記表面における圧縮残留応力が25kgf/mm2 以上であることを特徴とする請求項1記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。
- 前記成分組成において、さらに、
Mo:0.2〜1.0%、
Ni:0.2〜1.0%、の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。 - 前記成分組成において、さらに、
V :0.05〜0.3%、
Ti:0.01〜0.2%、
Nb:0.02〜0.2%、の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1、2または3に記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。 - 前記成分組成において、さらに、
Te:0.001〜0.01%、
Mg:0.001〜0.01%、
Zr:0.005〜0.1%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。 - 前記成分組成において、さらに、
Ca:0.001〜0.01%、
を含有することを特徴とする請求項4又は5記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載の接触疲労寿命強度に優れた歯車を製造する方法において、浸炭焼入れ・焼戻しもしくは浸炭窒化焼入れ・焼戻しの後の研削、または、真空浸炭焼入れ・焼戻しにより、表層部の不完全焼入れ層を15μm以下とし、その後、ショットピーニングまたはショットブラストの表面硬化処理を、不完全焼入れ層が2μmより小さい場合はAh(アークハイト)<0.3mmAで、不完全焼入れ層が2〜15μmの場合はAh≧0.3mmAで、行うことを特徴とする接触疲労寿命強度に優れた歯車の製造方法。
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