JP4264253B2 - 柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物及び柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物及び柔軟性ポリエステル化粧シートに関する。さらに詳しくは、本発明は、風合が良好であり、施工時にシワやワレが入りにくく、浮きが発生しにくく、欠点部を加熱により容易に修正することができる、壁装材などに適した柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物及び柔軟性ポリエステル化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
家具、扉、什器などの表面材や、住宅、店舗用の壁装材などに広く使用される化粧シートの新素材として、ポリエステル樹脂に対する関心が高まり、さまざまな開発が進められている。例えば、壁紙、建材などの化粧シートを得る上で有用なエンボス加工性を有する積層フィルムとして、融点220〜300℃のポリエステル樹脂層と、融点150〜215℃であり、エンボス加工性を有するポリブチレンテレフタレート単位を主骨格とするコポリエステル樹脂層とからなる積層フィルムが提案されている(特許文献1)。また、壁紙、建築表皮材などに使用され、表面感触と印刷適性に優れたポリエステル樹脂化粧シートとして、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸から選択されるエステル単位を含む共重合ポリエステルに可塑剤を入れて軟質化した発泡性軟質ポリエステル系化粧シートが提案されている(特許文献2)。
しかし、ポリエステル樹脂は、軟質塩化ビニル樹脂に比べると剛性が高く、加工時や施工時にシワやワレが入りやすく、折り曲げ加工性、伸ばし加工性にも劣る。さらに、施工時に化粧シートに浮きが発生しやすいなどの欠点がある。このために、軟質塩化ビニル樹脂製の化粧シートと同様に製造が容易であり、良好な風合を有し、施工性、加工性にも優れたポリエステル化粧シートの開発が望まれていた。
【特許文献1】
特開平9−300564号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開2000−290415号公報(第2頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、風合が良好であり、施工時にシワやワレが入りにくく、浮きが発生しにくく、欠点部を加熱により容易に修正することができる、壁装材に適した柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物及び柔軟性ポリエステル化粧シートを提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、異なるガラス転移温度を有する2種又は3種のポリエステル樹脂を特定の比率で配合し、特定の流れ値を有する組成物とすることにより、成形加工性が良好であり、風合と施工性に優れた柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)ガラス転移温度−30℃以上20℃未満のジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールとポリテトラメチレングリコールと1 , 4−シクロヘキサンジメタノールを主体として共重合した共重合体である変性ポリエステル樹脂3〜97重量%、(B)ガラス転移温度20℃以上50℃未満のダイマー酸共重合ポリエステル樹脂0〜94重量%及び(C)ガラス転移温度50℃以上120℃未満のジカルボン酸成分が、テレフタル酸であり、グリコール成分が、エチレングリコール40〜80モル%と1 , 4−シクロヘキサンジメタノール20〜60モル%からなる共重合ポリエチレンテレフタレートである変性ポリエステル樹脂3〜97重量%からなり、JIS K 7210付属書Cにしたがって試験温度170℃、試験圧力4.9MPa、ダイ径1mm、ダイ長10mmで測定した流れ値が1.0×10-4〜2.0×10-2cm3/sであることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物、
(2)(A)ガラス転移温度−30℃以上20℃未満のジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールとポリテトラメチレングリコールと1 , 4−シクロヘキサンジメタノールを主体として共重合した共重合体である変性ポリエステル樹脂3〜96.8重量%、(B)ガラス転移温度20℃以上50℃未満のダイマー酸共重合ポリエステル樹脂0〜93.8重量%、(C)ガラス転移温度50℃以上120℃未満のジカルボン酸成分が、テレフタル酸であり、グリコール成分が、エチレングリコール40〜80モル%と1 , 4−シクロヘキサンジメタノール20〜60モル%からなる共重合ポリエチレンテレフタレートである変性ポリエステル樹脂3〜96.8重量%及び(D)ワックス0.2〜10重量%からなり、JIS K 7210付属書Cにしたがって試験温度170℃、試験圧力4.9MPa、ダイ径1mm、ダイ長10mmで測定した流れ値が1.0×10-4〜5.6×10-3cm3/sであることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物、
(3)(E)熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体又はメタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体0.8〜45重量%を含有する第1項又は第2項記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物、
(4)第1項ないし第3項のいずれか記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートの表面をエンボス加工してなることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート、
(5)トップコートが施された第4項記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート、
(6)第1項ないし第3項のいずれか記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物を製膜して得られる透明なシートと、第1項ないし第3項のいずれか記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートが積層され、両シートの間に印刷層を有し、透明なシートの表面がエンボス加工されてなることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート、
(7)透明なシートの表面にトップコートが施された第6項記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート、
(8)着色したシートの下面に粘着剤層を有する第6項又は第7項記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート、
(9)第1項ないし第3項のいずれか記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートが複数枚積層され、その上面がエンボス加工されてなることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート、
(10)上面にトップコートが施された第9項記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート、及び、
(11)下面に粘着剤層を有する第9項又は第10項記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物の第一の態様は、(A)ガラス転移温度−30℃以上20℃未満の変性ポリエステル樹脂3〜97重量%、より好ましくは15〜70重量%、(B)ガラス転移温度20℃以上50℃未満のダイマー酸共重合ポリエステル樹脂0〜94重量%、より好ましくは0〜70重量%、及び、(C)ガラス転移温度50℃以上120℃未満のポリエステル樹脂3〜97重量%、より好ましくは15〜80重量%からなり、JIS K 7210付属書Cにしたがって試験温度170℃、試験圧力4.9MPa、ダイ径1mm、ダイ長10mmで測定した流れ値が1.0×10-4〜2.0×10-2cm3/sである組成物である。
本態様の組成物は、押出機とTダイを用いて製膜する化粧シートの製造に適している。本態様の組成物において、流れ値が1.0×10-4cm3/s未満であると、押出温度を高温にする必要があり、Tダイから押し出された樹脂が高温となり、ベタツキが生じる。このベタツキがエンボスロールとゴムロール間を通過する際、部分的に、樹脂のゴムロールへの密着が強くなり、均一なエンボス意匠面が得られないおそれがある。流れ値が2.0×10-2cm3/sを超えると、溶融した樹脂の粘度が低く、偏肉調整が困難になり、安定して製膜することが困難となるおそれがある。
【0006】
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物の第二の態様は、(A)ガラス転移温度−30℃以上20℃未満の変性ポリエステル樹脂3〜96.8重量%、より好ましくは15〜70重量%、(B)ガラス転移温度20℃以上50℃未満のダイマー酸共重合ポリエステル樹脂0〜93.8重量%、より好ましくは0〜70重量%、(C)ガラス転移温度50℃以上120℃未満のポリエステル樹脂3〜96.8重量%、より好ましくは15〜80重量%、及び、(D)ワックス0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%からなり、JIS K 7210付属書Cにしたがって試験温度170℃、試験圧力4.9MPa、ダイ径1mm、ダイ長10mmで測定した流れ値が1.0×10-4〜5.6×10-3cm3/sである組成物である。
本態様の組成物は、押出機とTダイを用いて製膜する化粧シートの製造にも、カレンダーを用いて製膜する化粧シートの製造にも用いることができるが、特にカレンダー加工による化粧シートの製造に適する。本態様の組成物において、流れ値が1.0×10-4cm3/s未満であると、カレンダーロールの負荷が大きく、機械的なトラブルが発生し、樹脂の溶融が不十分でシートの外観が不良となるおそれがある。加工温度を上げるとロール負荷と溶融不良は減少するが、シートのロールからの剥離が不良となるおそれがある。流れ値が5.6×10-3cm3/sを超えると、溶融粘度が低すぎて、シートの偏肉調整が困難になるとともに、ロールからの剥離が不良となるおそれがある。加工温度を下げると、樹脂の溶融が不十分でシートの外観が不良となるおそれがある。
【0007】
本発明に用いる(A)ガラス転移温度−30℃以上20℃未満の変性ポリエステル樹脂としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などをジカルボン酸成分とし、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール化合物のエチレンオキサイド付加物などをグリコール成分として共重合した変性ポリエステル樹脂などを挙げることができる。これらの中で、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールとポリテトラメチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールを主体として共重合した変性ポリエステル樹脂を特に好適に用いることができる。
本発明に用いる(B)ガラス転移温度20℃以上50℃未満のダイマー酸共重合ポリエステル樹脂としては、例えば、ダイマー酸又は水素添加ダイマー酸と、テレフタル酸、イソフタル酸などをジカルボン酸成分とし、エチレングリコール、テトラメチレングリコールなどをグリコール成分とするポリエステル樹脂などを挙げることができる。
【0008】
本発明に用いる(C)ガラス転移温度50℃以上120℃未満のポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエチレンテレフタレートなどを挙げることができる。共重合ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸などをジカルボン酸成分とし、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどをグリコール成分とするポリエステル樹脂などを挙げることができる。これらの中で、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸であり、グリコール成分が、エチレングリコール40〜80モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜60モル%である共重合ポリエチレンテレフタレートや、ジカルボン酸成分が、テレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールとネオペンチルグリコールを主体とした共重合ポリエチレンテレフタレートなどを特に好適に用いることができる。ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール40〜80モル%と1,4−シクロヘキサンジメタノール20〜60モル%である共重合ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、イーストマンケミカル社のPETG6763などを挙げることができる。ジカルボン酸成分が、テレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールとネオペンチルグリコールを主体とした共重合ポリエチレンテレフタレートとしては、例えば、カネボウ合繊(株)のE−01、東洋紡績(株)のSR173CAなどを挙げることができる。
【0009】
本発明に用いる(D)ワックスに特に制限はなく、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系ワックス、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸系ワックス、ステアリン酸アミド、オキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシルアミド、リシノール酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪族アミド系ワックス、ステアリン酸n−ブチル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪族エステル系ワックス、脂肪族金属石けん系ワックス、尿素−ホルムアルデヒドワックスなどを挙げることができる。これらの中で、脂肪族エステル系ワックスは、非晶質ポリエステル樹脂との相溶性が良好であり、樹脂組成物の透明性を損なうことなく、成形性を向上することができるので、特に好適に用いることができる。
【0010】
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物には、(E)熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体などのエラストマーを含有させることができる。エラストマーを含有させることにより、組成物の溶融粘度が上昇し、カレンダー加工における製膜性が向上する。本発明組成物において、エラストマーの含有量は、0.8〜45重量%であることが好ましく、5〜25重量%であることがより好ましい。エラストマーの含有量が0.8重量%未満であると、製膜性を向上する効果が十分に発現しないおそれがある。エラストマーの含有量が45重量%を超えると、応力緩和性が低下し、フィルムの延伸施工する際に、浮き、剥がれが発生するおそれがある。
【0011】
熱可塑性ポリエステルエラストマーとしては、例えば、テレフタル酸成分とグリコール成分からなるハードセグメントと、ポリアルキレングリコールからなるソフトセグメントを有するエラストマーなどを挙げることができる。熱可塑性ポリウレタンエラストマーとしては、ポリオールと低分子量ジオールとイソシアネートの付加重合体からなり、ポリオールの種類としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンアジペート、ポリアルキレンカーボネート、ポリ−ε−カプロラクトンなどを挙げることができる。
メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体としては、例えば、ポリブタジエンにメタクリル酸メチルとスチレンとをグラフト共重合したエラストマーなどを挙げることができる。アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体としては、例えば、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト共重合したエラストマーなどを挙げることができる。アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体としては、例えば、ポリアクリル酸エステルにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト共重合したエラストマーなどを挙げることができる。
アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体としては、例えば、エチレンプロピレンゴムにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト共重合したエラストマーなどを挙げることができる。メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体としては、例えば、ポリアクリル酸エステルにメタクリル酸メチルとスチレンとをグラフト共重合したエラストマーなどを挙げることができる。これらのエラストマーは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体を特に好適に用いることができる。
また、必要に応じて、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリブチレンテレフタレートを用いることもできる。
【0012】
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シートの第一の態様は、本発明の柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートの表面をエンボス加工してなる化粧シートである。製膜方法に特に制限はなく、本発明組成物を押出機とTダイを用いて製膜することができ、あるいは、本発明組成物をカレンダー装置を用いて製膜することができる。
使用する押出機に特に制限はなく、例えば、単軸押出機、同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸押出機などを挙げることができる。使用するTダイに特に制限はなく、例えば、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどを挙げることができる。使用するカレンダー装置に特に制限はなく、例えば、直立型3本ロール、直立型4本ロール、L型4本ロール、逆L型4本ロール、Z型ロールなどを挙げることができる。エンボス加工の方法に特に制限はなく、例えば、オンラインで製膜と同時にエンボス加工することができ、あるいは、オフラインで、ドラム加熱型エンボッサー、マルチシリンダー形エンボッサーなどを用いてエンボス加工することもできる。
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シートは、適度な強さのコシを有するので、折り曲げたり、伸ばしたりする二次加工性に優れ、貼り付ける際の作業性が良好であり、空気の巻き込みや、裏面離型紙を剥離する際、化粧シート貼り付け時の位置合わせ及び修正時に化粧シートを剥がす際に生じる応力によるシワの発生がなく、施工後にシートの剥がれや浮きが発生することもない。さらに、本発明の化粧シートは、三次元施工性が良好であり、ハンドドライヤーなどを用いて加熱することにより、曲面にも追随して美麗に貼着することができ、貼り付けたのちに曲面部分を加熱してシワを修正することもできる。同様に、平面貼りの際に貼り付け作業ミスなどで生じたシワも、加熱して修正することができる。
【0013】
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シートの第二の態様は、本発明組成物を製膜して得られる透明なシートと、本発明組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートを積層し、両シートの間に印刷層を設け、透明なシートの表面にエンボス加工を施してなる化粧シートである。印刷層を設ける面に特に制限はなく、透明シートの裏面と着色シートの表面のいずれにも設けることができる。印刷方法に特に制限はないが、グラビヤ印刷法を好適に用いることができる。積層された透明シートと着色シートの間に印刷層を設けることにより、質感に優れた意匠性を有する化粧シートを得ることができる。
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シートの第三の態様は、本発明組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートが複数枚積層され、その上面がエンボス加工されてなる化粧シートである。同一の厚みの化粧シートを製造する場合、1工程で1枚の化粧シートを製膜するよりも、2枚以上のシートを積層して1枚の化粧シートとする方が、平滑性の良好な化粧シートを得ることができる。2枚のシートを積層する場合、表面側のシートが着色していれば、裏面側のシートは透明シートでもよいが、多くの場合、同一の着色シートを複数枚積層する方が、全体の工程が合理化され、経済的に有利となる。
【0014】
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シートは、表面にトップコートを施すことが好ましい。トップコートを施すことにより、化粧シートの耐擦傷性を向上し、表面に傷のつきにくい優れた化粧シートとすることができる。トップコートの材料に特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリアミドなどを挙げることができる。これらの中で、ポリオール成分とポリイソシアネート成分からなる二液型ポリウレタンを特に好適に用いることができる。
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シートは、紫外線吸収剤を含有する紫外線硬化型樹脂コート層を設けることができる。このような紫外線硬化型樹脂コート層は、コート層の紫外線硬化波長とは異なる波長帯の特性吸収波長を有し、材料劣化を引き起こす特定の紫外線を吸収する紫外線吸収剤と光安定剤を含む材料を、柔軟性ポリエステル化粧シートに塗布して、紫外線硬化することにより形成することができる。
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シートは、転写箔を設けることができる。転写箔は、ポリエステル系支持フィルムに加え、剥離コート層、樹脂コート層、ホットメルト層、絵柄印刷層などを含めることができる。転写箔と柔軟性ポリエステル化粧シートをラミネートしたのち、ポリエステル系支持フィルムのみを剥離することにより、柔軟性ポリエステル化粧シートの表面に正確な絵柄模様又は表面保護コートを転写することができる。
【0015】
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シートは、下面に粘着剤層を有しない化粧シートとすることができ、あるいは、下面に粘着剤層を有する化粧シートとすることもできる。下面に粘着剤層を有しない化粧シートは、使用する接着剤に制限はないが、でん粉糊、酢酸ビニルエマルジョンなどを用いて合板などに貼り付け、あるいは、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系接着剤などを用いて鋼板と積層して、建材を製造することができる。下面に粘着剤層を有する化粧シートは、壁装用粘着化粧シートとして用いることができる。化粧シートの下面に粘着剤層を設ける方法に特に制限はないが、例えば、紙基材にシリコーンコーティングを施した離型紙などに、溶剤型アクリル系粘着剤、非水系エマルジョン型アクリル系粘着剤、水系エマルジョン型アクリル系粘着剤、水溶性型アクリル系粘着剤などを塗布乾燥して粘着剤層を形成する。また、紫外線硬化型粘着剤を使用することも可能である。この離型紙上に形成された粘着剤層と化粧シートの下面が接するように積層することが好ましい。粘着剤層には、必要に応じて、粘着付与樹脂、架橋剤などを配合することができる。
【0016】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例においては、下記の材料を用いた。
(1)ポリエステル樹脂(A)
三菱レイヨン(株)、DC427、テレフタル酸/エチレングリコール/ポリテトラメチレングリコール/1,4―シクロヘキサンジメタノール共重合体、ガラス転移温度10℃。
(2)ポリエステル樹脂(B)
カネボウ合繊(株)、100L1103、テレフタル酸/ダイマー酸/イソフタル酸/エチレングリコール共重合体、ガラス転移温度40℃。
(3)ポリエステル樹脂(C1)
イーストマンケミカル社、PETG6763、テレフタル酸/エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合体、ガラス転移温度81℃。
(4)ポリエステル樹脂(C2)
カネボウ合繊(株)、E−01 、テレフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール共重合体、ガラス転移温度74℃。
(5)MBS
鐘淵化学工業(株)、カネエースB−31、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体。
(6)共重合ポリブチレンテレフタレート
ポリプラスチックス(株)、ジュラネックス500LP。
(7)グリセリンジアセテートモノラウレート
理研ビタミン(株)、PL012G。
(8)モンタン酸エステルワックス
クラリアントジャパン(株)、リコワックスOP、カルシウムけん化モンタン酸エステルワックス。
【0017】
また、実施例及び比較例において、評価は下記の方法により行った。
(1)流れ値
化粧シートを細断した試料を用い、JIS K 7210付属書Cにしたがい、内径1mm、長さ10mmのキャピラリーダイを用いて、試験温度170℃、試験圧力4.9MPaで測定する。
(2)耐ブリード性
厚さ1mmの平滑な表面の金属板を、60℃、95%RHの恒温恒湿槽内に水平に置き、その上部に2枚のシートを金属板と水平に、シワが入らないように重ねて置く。さらに、その同じ金属板を水平に重ねて置く。この状態で30日間放置したのち、シートを取り出して、表面のブリード状態を目視にて観察する。
(3)作業性
プラスチックスキージを用いて貼り付ける際の作業性を評価する。シートに適当なコシがあると施工しやすいが、コシがないと空気の巻き込みや、シワ入りなどを生じやすい。また、コシが強すぎると、貼り付け修正時のシワ発生、作業性の悪化、貼り付け後のシートの浮き、剥がれなどが発生する。さらに、貼り作業の際に、貼り付け作業ミスなどで生じたシワも加熱して修正することができない。なお、粘着剤層を有しない化粧シートは、剥離紙と粘着剤層の積層体を化粧シートの下面に積層して貼り付け、剥離紙を剥ぎ取って片面に粘着剤層を形成して試験する。
(4)三次元施工性
端面が曲面である図1に示す形状の厚さ50mmの試験板1のコーナー部に、化粧シート2をドライヤーで加熱しながら延伸して施工する。シートが裂けたり、著しい白化、印刷面の伸びが生じたシートは、三次元施工性が不良であるとする。なお、粘着剤層を有しない化粧シートは、剥離紙と粘着剤層の積層体を化粧シートの下面に積層して貼り付け、剥離紙を剥ぎ取って片面に粘着剤層を形成して試験する。
(5)耐折り曲げ性
化粧シート3を中密度ファイバーボード4に貼り付け、図2(a)に示すようにファイバーボードを90度の開き角度でV字形にカットし、図2(b)に示すように直角に折り曲げ、折り曲げ部の外観を観察する。折り曲げ部に、ヒビ、ワレ、白化が生じたものは、耐折り曲げ性が不良であるとする。
(6)施工安定性
JIS A 6921 5.4.4に準じて化粧シートを貼り付け、4週間後にシートと下地の接着状態を観察する。シートのコシが強すぎると、シートの残留歪みを粘着剤が押さえきれず、シートの剥がれ、浮きなどが発生する。なお、粘着剤層を有しない化粧シートは、剥離紙と粘着剤層の積層体を化粧シートの下面に積層して貼り付け、剥離紙を剥ぎ取って片面に粘着剤層を形成して試験する。
【0018】
実施例1
ポリエステル樹脂(A)50重量部とポリエステル樹脂(C1)50重量部を混合し、押出機を用いて混練し、Tダイより押し出して、厚さ160μmの化粧シートを製造した。流れ値は、1.0×10-3cm3/sであった。
耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
実施例2
ポリエステル樹脂(A)50重量部、ポリエステル樹脂(C1)50重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部を混合し、バンバリミキサーで混練し、逆L型カレンダーとエンボスロールを用いて、厚さ160μmのエンボス加工つき化粧シートを製造した。流れ値は、1.4×10-3cm3/sであった。
耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
実施例3
ポリエステル樹脂(A)25重量部、ポリエステル樹脂(B)50重量部、ポリエステル樹脂(C1)25重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部を混合し、バンバリミキサーで混練し、逆L型カレンダーとエンボスロールを用いて、厚さ160μmのエンボス加工つき化粧シートを製造した。流れ値は、2.2×10-3cm3/sであった。
耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
実施例4
ポリエステル樹脂(A)45重量部、ポリエステル樹脂(C1)45重量部、MBS10重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部を混合し、バンバリミキサーで混練し、逆L型カレンダーとエンボスロールを用いて、厚さ160μmのエンボス加工つき化粧シートを製造した。流れ値は、1.1×10-3cm3/sであった。
耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
【0019】
実施例5
ポリエステル樹脂(A)47.5重量部、ポリエステル樹脂(C1)47.5重量部、MBS5重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部を混合し、バンバリミキサーで混練し、逆L型カレンダーを用いて、厚さ80μmの透明シートを製膜した。流れ値は、1.3×10-3cm3/sであった。
ポリエステル樹脂(A)45重量部、ポリエステル樹脂(C1)45重量部、MBS10重量部、モンタン酸エステルワックス2重量部及び着色剤[住化カラー(株)、EPM7A1441]30重量部を混合し、バンバリミキサーで混練し、逆L型カレンダーを用いて、厚さ80μmの白色シートを製膜した。流れ値は、1.4×10-3cm3/sであった。
黄色インキ[ザ・インクテック(株)、VTP45黄C]、赤色インキ[ザ・インクテック(株)、VTP30赤]、藍色インキ[ザ・インクテック(株)、VTP61]及び黒色インキ[ザ・インクテック(株)、VTP91墨]を用いて、白色シートにグラビヤ印刷を施した。
巻き取られた透明シートを繰り出し、ダブリング装置[(株)西村製作所]の加熱ドラムに密着させ、巻き取られた印刷された白色シートを印刷面が透明シートと接するように繰り出して、加熱ドラム上の透明シートと圧着し積層した。加熱ドラムにより積層されたシートの透明シート側の表面に、マルチシリンダー形エンボッサーを用いて、梨地柄の砂目模様のエンボス加工を施した。さらに、この面に、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートを含む溶液からなるウレタン樹脂塗料を塗布して、厚さ5μmのトップコートを施し、化粧シートを得た。
厚さ153μmの上質系剥離紙[カイト化学工業、SLY110KWVP]に、アクリル系共重合体からなる粘着剤溶液[不揮発分38重量%]100重量部とトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト溶液[不揮発分55重量%]1.5重量部の混合液を塗布して、厚さ45μmの粘着剤層を形成し、上記の化粧シートの下面に積層して、壁装用粘着化粧シートを得た。
この壁装用粘着化粧シートの耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
実施例6
ポリエステル樹脂(A)25重量部、ポリエステル樹脂(B)50重量部、ポリエステル樹脂(C1)25重量部、モンタン酸エステルワックス2重量部及び着色剤[住化カラー(株)、EPM7A1441]30重量部を混合し、バンバリミキサーで混練し、逆L型カレンダーを用いて、厚さ80μmの白色シートを製膜した。流れ値は、2.0×10-3cm3/sであった。
実施例5と同様にして、ダブリング装置[(株)西村製作所]を用いて、この白色シート2枚を積層し、エンボス加工を施し、さらに、表面にウレタン樹脂塗料を塗布してトップコートを施し、化粧シートを得た。
得られた化粧シートの耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
実施例7
ポリエステル樹脂(A)50重量部、ポリエステル樹脂(C2)50重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部を混合し、バンバリミキサーで混練し、逆L型カレンダーとエンボスロールを用いて、厚さ160μmのエンボス加工つき化粧シートを製造した。流れ値は1.6×10-3cm3/sであった。
得られた化粧シートの耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
実施例8
ポリエステル樹脂(A)25重量部、ポリエステル樹脂(B)50重量部、ポリエステル樹脂(C2)25重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部を混合し、バンバリミキサーで混練し、逆L型カレンダーとエンボスロールを用いて、厚さ160μmのエンボス加工つき化粧シートを製造した。流れ値は2.4×10-3cm3/sであった。
得られた化粧シートの耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
実施例9
ポリエステル樹脂(A)30重量部、ポリエステル樹脂(C1)20重量部、共重合ポリブチレンテレフタレート50重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部を混合し、押出機を用いて混練し、Tダイより押し出して、厚さ160μmの化粧シートを製造した。流れ値は1.2×10-4cm3/sであった。
得られた化粧シートの耐ブリード性、作業性、三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は、いずれも良好であった。
【0020】
比較例1
ポリエステル樹脂(C1)100重量部、グリセリンジアセテートモノラウレート30重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部を混合し、押出機を用いて混練し、Tダイより押し出して、厚さ160μmの化粧シートを製造した。流れ値は、6.0×10-2cm3/sであった。
耐ブリード性試験において、シート表面へのワックスのブリードが認められた。三次元施工性、耐折り曲げ性、施工安定性は良好であったが、作業性においてシートにコシがなく、空気の巻き込みや、シワ入りが生じた。
比較例2
ポリエステル樹脂(A)47.5重量部、ポリエステル樹脂(C1)47.5重量部、MBS5重量部及びモンタン酸エステルワックス2重量部の混合物の代わりに、ポリエステル樹脂(C1)100重量部とモンタン酸エステルワックス2重量部の混合物を用いた以外は、実施例5と同様にして、厚さ80μmの透明シートを製膜した。流れ値は、1.0×10-3cm3/sであった。
また、ポリエステル樹脂(A)45重量部、ポリエステル樹脂(C1)45重量部、MBS10重量部、モンタン酸エステルワックス2重量部及び着色剤[住化カラー(株)、EPM7A1441]30重量部の混合物の代わりに、ポリエステル樹脂(C1)100重量部、モンタン酸エステルワックス2重量部及び着色剤[住化カラー(株)、EPM7A1441]30重量部の混合物を用いた以外は、実施例5と同様にして、厚さ80μmの白色シートを製膜した。流れ値は、1.2×10-3cm3/sであった。
得られた透明シートと白色シートを用い、実施例5と同様にして、壁装用粘着化粧シートを製造した。
耐ブリード性試験において、シート表面へのワックスのブリードは認められなかった。耐折り曲げ性試験において、折り曲げ部に多数の細かいひび割れが発生した。得られた壁装用化粧シートは、コシが強すぎ貼り付け修正時のシワ発生、作業性の悪化が生じ、さらに、貼り作業の際の貼り付け作業ミスで生じたシワも加熱して修正することができなかった。三次元施工性は、部分的にシートの裂けや、白化が発生した。施工安定性試験において、剥がれを生じた。
比較例3
ポリエステル樹脂(A)25重量部、ポリエステル樹脂(B)50重量部、ポリエステル樹脂(C1)25重量部、モンタン酸エステルワックス2重量部及び着色剤[住化カラー(株)、EPM7A1441]30重量部の混合物の代わりに、ポリエステル樹脂(C1)100重量部とモンタン酸エステルワックス2重量部及び着色剤[住化カラー(株)、EPM7A1441]30重量部の混合物を用いた以外は、実施例7と同様にして、厚さ80μmの白色シートを製膜した。流れ値は、1.2×10-3cm3/sであった。得られた白色シートを用い、実施例6と同様にして、化粧シートを製造した。
得られた化粧シートは、耐折り曲げ性試験において、ひび割れが発生した。耐ブリード性試験において、シート表面へのワックスのブリードは認められなかった。また、コシが強すぎ貼り付け修正時のシワ発生、作業性の悪化が生じ、さらに、貼り作業の際の貼り付け作業ミスで生じたシワも加熱して修正することができなかった。三次元施工性は、部分的にシートの裂けや、白化が発生した。施工安定性試験において、剥がれを生じた。
実施例1〜9及び比較例1〜3の結果を、第1表に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【発明の効果】
本発明の柔軟性ポリエステル化粧シート用組成物及び柔軟性ポリエステル化粧シートは、ガラス転移温度の異なる2種又は3種のポリエステル樹脂を含有し、適度な強さのコシを有するので、折り曲げたり、伸ばしたりする二次加工性に優れ、貼り付ける際の作業性が良好であり、空気の巻き込みや、裏面離型紙を剥離する際、化粧シート貼り付け時の位置合わせ及び修正時に化粧シートを剥がす際に生じる応力によるシワの発生がなく、施工後にシートの剥がれや浮きが発生することもない。さらに、本発明の化粧シートは、三次元施工性が良好であり、ハンドドライヤーなどを用いて加熱することにより、曲面にも追随して美麗に貼着することができ、貼り付けたのちに曲面部分を加熱してシワを修正することもできる。同様に、平面貼りの際に貼り付け作業ミスなどで生じたシワも加熱して修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、三次元施工性試験方法の説明図である。
【図2】図2は、耐折り曲げ性試験方法の説明図である。
【符号の説明】
1 試験板
2 化粧シート
3 化粧シート
4 中密度ファイバーボード
Claims (11)
- (A)ガラス転移温度−30℃以上20℃未満のジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールとポリテトラメチレングリコールと1 , 4−シクロヘキサンジメタノールを主体として共重合した共重合体である変性ポリエステル樹脂3〜97重量%、(B)ガラス転移温度20℃以上50℃未満のダイマー酸共重合ポリエステル樹脂0〜94重量%及び(C)ガラス転移温度50℃以上120℃未満のジカルボン酸成分が、テレフタル酸であり、グリコール成分が、エチレングリコール40〜80モル%と1 , 4−シクロヘキサンジメタノール20〜60モル%からなる共重合ポリエチレンテレフタレートである変性ポリエステル樹脂3〜97重量%からなり、JIS K 7210付属書Cにしたがって試験温度170℃、試験圧力4.9MPa、ダイ径1mm、ダイ長10mmで測定した流れ値が1.0×10-4〜2.0×10-2cm3/sであることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物。
- (A)ガラス転移温度−30℃以上20℃未満のジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコールとポリテトラメチレングリコールと1 , 4−シクロヘキサンジメタノールを主体として共重合した共重合体である変性ポリエステル樹脂3〜96.8重量%、(B)ガラス転移温度20℃以上50℃未満のダイマー酸共重合ポリエステル樹脂0〜93.8重量%、(C)ガラス転移温度50℃以上120℃未満のジカルボン酸成分が、テレフタル酸であり、グリコール成分が、エチレングリコール40〜80モル%と1 , 4−シクロヘキサンジメタノール20〜60モル%からなる共重合ポリエチレンテレフタレートである変性ポリエステル樹脂3〜96.8重量%及び(D)ワックス0.2〜10重量%からなり、JIS K 7210付属書Cにしたがって試験温度170℃、試験圧力4.9MPa、ダイ径1mm、ダイ長10mmで測定した流れ値が1.0×10-4〜5.6×10-3cm3/sであることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物。
- (E)熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体又はメタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−スチレン共重合体0.8〜45重量%を含有する請求項1又は請求項2記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートの表面をエンボス加工してなることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート。
- トップコートが施された請求項4記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物を製膜して得られる透明なシートと、請求項1ないし請求項3のいずれか記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートが積層され、両シートの間に印刷層を有し、透明なシートの表面がエンボス加工されてなることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート。
- 透明なシートの表面にトップコートが施された請求項6記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート。
- 着色したシートの下面に粘着剤層を有する請求項6又は請求項7記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート用組成物に着色剤を配合し、製膜して得られる着色したシートが複数枚積層され、その上面がエンボス加工されてなることを特徴とする柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート。
- 上面にトップコートが施された請求項9記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート。
- 下面に粘着剤層を有する請求項9又は請求項10記載の柔軟性ポリエステル壁装用化粧シート。
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