JP4263542B2 - 排ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化用触媒の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用触媒の製造方法、詳しくは、排ガス浄化用触媒として用いられるペロブスカイト型複合酸化物を含む排ガス浄化用触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在まで、排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NOx)を同時に浄化できる三元触媒として、Pt(白金)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)などの貴金属が担持されているペロブスカイト型複合酸化物が知られている。このようなペロブスカイト型複合酸化物は、一般式ABOで表され、担持される貴金属の触媒活性を良好に発現させることができる。
【0003】
しかし、このようなペロブスカイト型複合酸化物は、1000℃程度の高温では、粒成長して比表面積が小さくなるため、自動車用の排ガス浄化用触媒のように、空間速度が高い使用環境下においては、接触時間が短くなり触媒性能が著しく低下する。
【0004】
そのため、ペロブスカイト型複合酸化物を、Ce(セリウム)やZr(ジルコニウム)を含む耐熱性複合酸化物に担持させることにより、耐熱性を高めることが各種提案されており、例えば、特開平5−31367号公報、特開平5−220395号公報、特開平5−253484号公報、特開平6−210175号公報、特開平7−68175号公報、特開平7−80311号公報などでは、耐熱性複合酸化物として、例えば、Ce0.8Zr0.2やCe0.65Zr0.300.05が提案されている。
【0005】
また、特開平5−31367号公報では、耐熱性複合酸化物の粉末に、ペロブスカイト型複合酸化物を構成する金属の硝酸塩を所定の化学量論比で混合した水溶液を加え、約100℃で5〜12時間乾燥し、さらに、700〜800℃で3〜10時間焼成することによって、ペロブスカイト型複合酸化物を耐熱性複合酸化物に担持させることが提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−31367号公報
【特許文献2】
特開平5−220395号公報
【特許文献3】
特開平5−253484号公報
【特許文献4】
特開平6−210175号公報
【特許文献5】
特開平7−68175号公報
【特許文献6】
特開平7−80311号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ペロブスカイト型複合酸化物を、CeやZrを含む耐熱性複合酸化物に担持させるだけでは、ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性を十分に確保することは困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、高温での酸化還元雰囲気下の耐久においても、ペロブスカイト型複合酸化物が安定であり、比表面積の減少が少なく、触媒性能の低下を有効に防止することができ、さらには、工業的に効率よく製造することができる排ガス浄化用触媒の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の排ガス用浄化触媒の製造方法は、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物を構成する元素成分を含む結晶前組成物を調製する工程、前記結晶前組成物と、θアルミナの粉末とを混合して混合物を調製する工程、前記混合物を熱処理する工程を備え、前記ペロブスカイト型複合酸化物が、下記一般式(1)で表されることを特徴としている。
【0010】
AB1−m (1)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、希土類元素および貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示し、mは、0<m<0.5の数値範囲のNの原子割合を示す。)
また、前記一般式(1)中のNが、Rh、PdおよびPtからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好適である。
【0011】
また、前記一般式(1)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が、下記一般式(2)で表されるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物、下記一般式(3)で表されるPd含有ペロブスカイト型複合酸化物および下記一般式(4)で表されるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好適である。
【0012】
1−pA’1−qRh(2)
(式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は、Ceおよび/またはPrを示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、pは、0≦p<0.5の数値範囲のA’の原子割合を示し、qは、0<q≦0.8の数値範囲のRhの原子割合を示す。)
AB1−rPd(3)
(式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、rは、0<r<0.5の数値範囲のPdの原子割合を示す。)
1−sA’1−t−uB’Pt(4)
(式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Agから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は、Rh、Ruから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、sは、0<s≦0.5の数値範囲のA’の原子割合を示し、tは、0≦t<0.5の数値範囲のB’の原子割合を示し、uは、0<u≦0.5の数値範囲のPtの原子割合を示す。)
また、前記θアルミナが、下記一般式(5)で表されるものであることが好適である。
【0013】
(Al1−g(5)
(式中、Dは、Laおよび/またはBaを示し、gは、0≦g≦0.5のDの原子割合を示す。)
また、本発明の方法では、前記結晶前組成物を、前記貴金属以外のペロブスカイト型複合酸化物を構成する元素成分のアルコキシドを含む溶液と、下記一般式(6)で示されるβ−ジケトン化合物から形成される前記貴金属の錯体を含む溶液とを、混合することにより調製することが好適である。
【0015】
COCHRCOR(6)
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基またはアリール基、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリール基または炭素数1〜4のアルキルオキシ基、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
【発明の実施の形態】
本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法は、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物を、θアルミナに担持させることによって、排ガス浄化用触媒を製造する方法である。
【0016】
本発明において、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物は、一般式ABOで表されるペロブスカイト型構造を有し、貴金属を組成として含有している複合酸化物(すなわち、ペロブスカイト型複合酸化物に、後から貴金属を担持したものを含まない。)であって、下記一般式(1)で表される。
【0017】
AB1−m (1)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、希土類元素および貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示し、mは、0<m<0.5の数値範囲のNの原子割合を示す。)
一般式(1)において、Aで示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)が挙げられる。
【0018】
また、Aで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0019】
一般式(1)において、Bで示される希土類元素および貴金属を除く遷移元素としては、例えば、周期律表(IUPAC、1990年)において、原子番号22(Ti)〜原子番号30(Zn)、原子番号40(Zr)〜原子番号48(Cd)、および、原子番号72(Hf)〜原子番号80(Hg)の各元素(ただし、貴金属(原子番号44〜47および76〜78)を除く)が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0020】
Bで示される希土類元素および貴金属を除く遷移元素およびAlとしては、好ましくは、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)およびAl(アルミニウム)が挙げられる。
【0021】
一般式(1)において、Nで示される貴金属としては、例えば、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)などが挙げられる。好ましくは、Rh、Pd、Ptが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0022】
mは、0<m<0.5の数値範囲であり、すなわち、Nは、必須成分であり、かつ、Nの原子割合が0.5未満であり、Bの原子割合が0.5以上である。
【0023】
本発明においては、上記一般式(1)中のNが、Rh、PdおよびPtからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0024】
より具体的には、このようなペロブスカイト型複合酸化物として、貴金属がRhである場合には、下記一般式(2)で表されるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物が好ましく用いられる。
【0025】
1−pA’1−qRh (2)
(式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は、Ceおよび/またはPrを示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、pは、0≦p<0.5の数値範囲のA’の原子割合を示し、qは、0<q≦0.8の数値範囲のRhの原子割合を示す。)
また、貴金属がPdである場合には、下記一般式(3)で表されるPd含有ペロブスカイト型複合酸化物が好ましく用いられる。
【0026】
AB1−rPd (3)
(式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、rは、0<r<0.5の数値範囲のPdの原子割合を示す。)
また、貴金属がPtである場合には、下記一般式(4)で表されるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物が好ましく用いられる。
【0027】
1−sA’1−t−uB’Pt (4)
(式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Agから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は、Rh、Ruから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、sは、0<s≦0.5の数値範囲のA’の原子割合を示し、tは、0≦t<0.5の数値範囲のB’の原子割合を示し、uは、0<u≦0.5の数値範囲のPtの原子割合を示す。)
また、本発明において、θアルミナは、結晶相としてθ相を有し、αアルミナに遷移するまでの中間(遷移)アルミナの一種であって、例えば、市販の活性アルミナ(γアルミナ)を、大気中にて、900〜1100℃で、1〜10時間熱処理することによって得ることができる。
【0028】
このようなθアルミナは、例えば、SPHERALITE 531P(商品名、γアルミナ、プロキャタリゼ社製)を、大気中にて、1000℃で、1〜10時間熱処理するなどの方法によって得ることができる。
【0031】
また、本発明において、θアルミナは、Laおよび/またはBaを含んでいてもよく、つまり、下記一般式(5)で表されるものが、好ましく用いられる。
【0032】
(Al1−g(5)
(式中、Dは、Laおよび/またはBaを示し、gは、0≦g≦0.5のDの原子割合を示す。)
Dは、Laおよび/またはBaを示し、gで示されるDの原子割合は0〜0.5の範囲である。すなわち、LaやBaは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.5以下の原子割合である。LaやBaの原子割合が0.5を超えると、結晶相がθ相を保てなくなる場合がある。
【0033】
θアルミナに、LaやBaを含有させるには、例えば、酸化アルミニウムおよびLaやBaの塩やアルコキシドなどを用いて、公知の方法によって、適宜の焼成温度に制御することによって得ることができる。また、例えば、θアルミナに、LaやBaの塩の溶液を含浸させ、その後、乾燥および焼成することによっても得ることができる。
【0034】
また、このようなθアルミナは、その比表面積が、5m/g以上、さらには、10m/g以上のものが好ましく用いられる。特に、その比表面積が50〜150m/g、さらには、100〜150m/gのものが好ましく用いられる。また、LaやBaの原子割合の異なるものを複数併用することもできる。
【0035】
また、ペロブスカイト型複合酸化物をθアルミナに担持させる重量割合は、特に制限されないが、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物1重量部に対して、θアルミナが、0.5〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部である。θアルミナがこれより少ないと、ペロブスカイト型複合酸化物の分散効果が不十分となり、高温雰囲気下において、粒成長を抑制できない場合がある。また、θアルミナがこれより多いと、コスト面や生産面で不利となる場合がある。
【0036】
そして、本発明の排ガス用浄化触媒の製造方法は、上記した貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物を構成する元素成分を含む結晶前組成物を調製し、その結晶前組成物と、上記したθアルミナの粉末とを混合して混合物を調製し、その後、その混合物を熱処理する。これによって、結晶前組成物が結晶して、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物が、θアルミナに担持される。
【0037】
このような製造方法は、より具体的には、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などに分類することができる。
【0038】
共沈法では、例えば、上記した各元素(元素成分)の塩を所定の化学量論比で含む混合塩水溶液(結晶前組成物)を調製し、その後、中和剤を加えて共沈させて、共沈物(結晶前組成物)を得て、乾燥後、乾燥物(結晶前組成物)を熱処理する少なくともいずれかの工程において、熱処理前の結晶前組成物に、θアルミナの粉末を混合する。
【0039】
各元素の塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、りん酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、しゅう酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、混合塩水溶液は、例えば、各元素の塩を、所定の化学量論比となるような割合で水に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。
【0040】
中和剤としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジンなどの有機塩基、例えば、カセイソーダ、カセイカリ、炭酸カリ、炭酸アンモンなどの無機塩基が挙げられる。なお、中和剤は、その中和剤を加えた後の溶液のpHが6〜10程度となるように加える。
【0041】
そして、得られた共沈物を、必要により水洗し、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させて、乾燥物を得る。
【0042】
なお、貴金属を除く各元素の混合水溶液を共沈させて共沈物を得た後、これを乾燥させた乾燥物に、貴金属の有機金属塩の溶液を混合して均一混合スラリーを調製し、この均一混合スラリーを乾燥させて、乾燥物(結晶前組成物)を得ることもできる。
【0043】
そして、この共沈法では、θアルミナの粉末を、混合塩水溶液(結晶前組成物)、共沈物(結晶前組成物)、乾燥物(結晶前組成物)の少なくともいずれかに、必要によりスラリーまたは溶液として加えて混合物を調製し、その混合物を、例えば、約500〜1000℃、好ましくは、約600〜950℃で熱処理することにより、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナからなる排ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0044】
また、クエン酸錯体法では、例えば、クエン酸と上記した各元素(元素成分)の塩とを、上記した各元素の塩が所定の化学量論比となるように含まれるクエン酸混合塩水溶液(結晶前組成物)を調製し、その後、このクエン酸混合塩水溶液を乾固させて、上記した各元素のクエン酸錯体の乾燥物(結晶前組成物)を形成させた後、得られた乾燥物を熱処理する少なくともいずれかの工程において、熱処理前の結晶前組成物に、θアルミナの粉末を混合する。
【0045】
各元素の塩としては、上記と同様の塩が挙げられ、また、クエン酸混合塩水溶液は、例えば、上記と同様に混合塩水溶液を調製して、その混合塩水溶液に、クエン酸の水溶液を加えることにより、調製することができる。
【0046】
乾固は、形成されるクエン酸錯体が分解しない温度、例えば、室温〜150℃程度で、水分を除去する。これによって、上記した各元素のクエン酸錯体の乾燥物を得ることができる。
【0047】
なお、貴金属を除く各元素のクエン酸混合塩水溶液を調製し、これを乾燥させてクエン酸錯体を形成した後、このクエン酸錯体を熱処理した熱処理物に、貴金属の有機金属塩の溶液を混合して均一混合スラリーを調製し、この均一混合スラリーを乾燥させて、乾燥物(結晶前組成物)を得ることもできる。
【0048】
そして、このクエン酸錯体法では、θアルミナの粉末を、クエン酸混合塩水溶液(結晶前組成物)、乾燥物(結晶前組成物)の少なくともいずれかに、必要によりスラリーまたは溶液として調製して加えて混合物を調製し、その混合物を、例えば、真空または不活性雰囲気下において250℃以上で加熱し、その後、例えば、約500〜1000℃、好ましくは、約600〜950℃で熱処理することにより、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナからなる排ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0049】
また、アルコキシド法では、例えば、貴金属を除く上記した各元素(元素成分)のアルコキシドを、上記した化学量論比で含む混合アルコキシド溶液(結晶前組成物)を調製し、その後、貴金属の塩を含む水溶液を加えて加水分解により沈殿させて、沈殿物(結晶前組成物)を得て、乾燥後、乾燥物(結晶前組成物)を熱処理する少なくともいずれかの工程において、熱処理前の結晶前組成物に、θアルミナの粉末を混合する。
【0050】
各元素のアルコキシドとしては、例えば、各元素と、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシなどのアルコキシとから形成されるアルコラートや、下記一般式(8)で示される各元素のアルコキシアルコラートなどが挙げられる。
【0051】
E[OCH(R)−(CH−OR]j (8)
(式中、Eは、各元素を示し、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を示し、iは、1〜3の整数、jは、2〜4の整数を示す。)
アルコキシアルコラートは、より具体的には、例えば、メトキシエチレート、メトシキプロピレート、メトキシブチレート、エトキシエチレート、エトキシプロピレート、プロポキシエチレート、ブトキシエチレートなどが挙げられる。
【0052】
そして、混合アルコキシド溶液は、例えば、各元素のアルコキシドを、上記した化学量論比となるように有機溶媒に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。有機溶媒としては、各元素のアルコキシドを溶解できれば、特に制限されないが、例えば、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが用いられる。好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0053】
その後、この混合アルコキシド溶液に、所定の化学量論比で貴金属の塩を含む水溶液を加えて沈殿させて、沈殿物を得る。貴金属の塩を含む水溶液としては、例えば、硝酸塩水溶液、塩化物水溶液、ヘキサアンミン塩化物水溶液、ジニトロジアンミン硝酸水溶液、ヘキサクロロ酸水和物、シアン化カリウム塩などが挙げられる。
【0054】
そして、得られた沈殿物(結晶前組成物)を、例えば、真空乾燥や通風乾燥などにより乾燥させて、乾燥物(結晶前組成物)を得る。
【0055】
そして、このアルコキシド法では、θアルミナの粉末を、混合アルコキシド溶液(結晶前組成物)、沈殿物(結晶前組成物)、乾燥物(結晶前組成物)の少なくともいずれかに、必要によりスラリーまたは溶液として加えて混合物を調製し、その混合物を、例えば、約500〜1000℃、好ましくは、約500〜850℃で熱処理することにより、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナからなる排ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0056】
また、このようなアルコキシド法においては、例えば、上記した混合アルコキシド溶液に、下記一般式(6)で示されるβ−ジケトン化合物から形成される貴金属の金属キレート錯体を含む溶液を混合して、均一混合溶液(結晶前組成物)を調製することもできる。
【0058】
COCHRCOR(6)
(式中、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基またはアリール基、Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリール基または炭素数1〜4のアルキルオキシ基、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。
記一般式(6)中、R および 炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−アミル、t−ヘキシルなどが挙げられる。また、R 炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなどが挙げられる。また、RおよびRの炭素数1〜6のフルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチルなどが挙げられる。また、RおよびRのアリール基としては、例えば、フェニルが挙げられる。また、Rの炭素数1〜4のアルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシなどが挙げられる。
【0059】
β−ジケトン化合物は、より具体的には、例えば、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、1−フェニル−1,3−ブタンジオン、1−トリフルオロメチル−1,3−ブタンジオン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、ジピバロイルメタンなどが挙げられる。また、β−ケトエステル化合物は、例えば、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、t−ブチルアセトアセテートなどが挙げられる。また、β−ジカルボン酸エステル化合物は、例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチルなどが挙げられる。
【0060】
また、上記一般式(6)で示されるβ−ジケトン化合物から形成される貴金属の金属キレート錯体を含む溶液は、例えば、上記一般式(6)で示されるβ−ジケトン化合物から形成される貴金属の金属キレート錯体を、上記した化学量論比となるように有機溶媒に加えて、攪拌混合することにより調製することができる。有機溶媒としては、上記した有機溶媒が挙げられる。
【0061】
その後、このようにして調製された上記一般式(6)で示されるβ−ジケトン化合物から形成される貴金属の金属キレート錯体を含む溶液を、上記した混合アルコキシド溶液に混合して、均一混合溶液(結晶前組成物)を調製し、その後、水を加えて沈殿させて、沈殿物(結晶前組成物)を得て、乾燥後、乾燥物(結晶前組成物)を熱処理する少なくともいずれかの工程において、θアルミナの粉末を、必要により溶液として加えて混合物を調製し、得られた混合物を、例えば、約400〜1000℃、好ましくは、約500〜850℃で熱処理することにより、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナからなる排ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0062】
このようなアルコキシド法において、上記一般式(6)で示されるβ−ジケトン化合物から形成される貴金属の金属キレート錯体を含む均一混合溶液を調製すれば、θアルミナに対してペロブスカイト型複合酸化物を十分に分散させた状態で担持させることができ、触媒活性の向上を図ることができる。すなわち、均一混合溶液をθアルミナの粉末と混合すれば、混合アルコキシド溶液をθアルミナの粉末と混合するよりも、θアルミナに対してペロブスカイト型複合酸化物を、より一層、十分に分散させた状態で担持させることができ、触媒活性の向上を顕著に図ることができる。
【0063】
また、このように均一混合溶液を調製すれば、ペロブスカイト型複合酸化物を構成する上記した元素成分を混合塩水溶液などとして調製する場合に比べて、熱処理における吹きこぼれを防止することができるので、工業的に効率よく製造することができる。また、この方法では、熱処理において、硝酸などの有害な副生物を生じず、安全性および衛生性に優れ、さらには、熱処理温度を抑制しつつ、ペロブスカイト型複合酸化物の確実な結晶構造を形成させることができ、比表面積の低下を有効に防止することができる。
【0064】
そして、このような排ガス浄化用触媒の製造方法によれば、ペロブスカイト型複合酸化物をθアルミナの粉末に担持させるので、高温での酸化還元雰囲気下の耐久においても、ペロブスカイト型複合酸化物が安定であり、比表面積の減少が少なく、ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性を十分に確保することができる。そのため、触媒性能の低下を有効に防止することができる。また、この排ガス浄化用触媒の製造方法によれば、工業的に効率よく、排ガス浄化用触媒を製造することができる。
【0065】
また、このようにして得られる排ガス浄化用触媒には、さらに、ジルコニア系複合酸化物、セリア系複合酸化物、θアルミナ、αアルミナ、γアルミナ、SrZrOおよびLaAlOからなる群から選ばれる少なくとも1種の耐熱性酸化物を混合することができる。このような耐熱性酸化物を混合することによって、ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性をさらに向上させることができる。そのため、このような耐熱性酸化物を混合することによって、例えば、マニバータのような非常に厳しい高温雰囲気となる環境下における、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒の使用を、容易に実現することができる。
【0066】
ジルコニア系複合酸化物は、好ましくは、下記一般式(9)で表される。
【0067】
Zr1−(a+b)Ce2−c (9)
(式中、Rはアルカリ土類金属および/またはCeを除く希土類元素を示し、aが、0.1≦a≦0.65のCeの原子割合を示し、bが、0≦b≦0.55のRの原子割合を示し、1−(a+b)が、0.35≦1−(a+b)≦0.9のZrの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
Rで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raが挙げられる。好ましくは、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられる。また、Rで示される希土類元素としては、Ceを除く希土類元素であって、例えば、Sc、Y、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。好ましくは、Sc、Y、La、Pr、Ndが挙げられる。これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0068】
また、aで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲である。0.1に満たないと、結晶相が不安定となり、高温酸化還元雰囲気で分解し、触媒性能が低下する場合があり、0.65を超えると、比表面積が小さくなり十分な触媒性能を発揮できない場合がある。また、bで示されるRの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0069】
また、1−(a+b)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲である。なお、Zrの原子割合は、好ましくは、0.5〜0.9の範囲、さらに好ましくは、0.6〜0.9の範囲である。
【0070】
また、一般式(9)で表されるジルコニア系複合酸化物は、Ceの原子割合が、0.5以下であることが好ましく、さらには、排ガス浄化用触媒中において、一般式(9)で表されるジルコニア系複合酸化物と後述する一般式(10)で表されるセリア系複合酸化物とが併用される場合には、一般式(9)で表されるジルコニア系複合酸化物のZrの原子割合が、一般式(10)で表されるセリア系複合酸化物のZrの原子割合よりも、多いことが好ましい。
【0071】
また、cは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、CeおよびRの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0072】
このようなジルコニア系複合酸化物は、特に制限されることなく、公知の方法を用いて製造することができる。
【0073】
また、セリア系複合酸化物は、好ましくは、下記一般式(10)で表される。
【0074】
Ce1−(d+e)Zr2−f (10)
(式中、Lはアルカリ土類金属および/またはCeを除く希土類元素を示し、dが、0.2≦d≦0.7のZrの原子割合を示し、eが、0≦e≦0.2のLの原子割合を示し、1−(d+e)が、0.3≦1−(d+e)≦0.8のCeの原子割合を示し、fは、酸素欠陥量を示す。)
Lで示されるアルカリ土類金属および/または希土類元素としては、上記したRで示されるアルカリ土類金属および希土類元素と同様のものが挙げられる。アルカリ土類金属として、好ましくは、Mg、Ca、Sr、Baが挙げられ、また、希土類元素として、好ましくは、Sc、Y、La、Pr、Ndが挙げられる。これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0075】
また、dで示されるZrの原子割合は、0.2〜0.7の範囲である。0.2に満たないと、比表面積が小さくなり触媒性能を発揮できない場合があり、0.7を超えると、酸素吸蔵能力が低く、触媒性能を発揮できない場合がある。また、eで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
【0076】
また、1−(d+e)示されるCeの原子割合は、0.3〜0.8の範囲である。なお、Ceの原子割合は、好ましくは、0.4〜0.6の範囲である。
【0077】
また、一般式(10)で表されるセリア系複合酸化物は、Zrの原子割合が、0.5以下であることが好ましく、さらには、排ガス浄化用触媒中において、一般式(9)で表されるジルコニア系複合酸化物と併用される場合には、一般式(10)で表されるセリア系複合酸化物のCeの原子割合が、一般式(9)で表されるジルコニア系複合酸化物のCeの原子割合よりも、多いことが好ましい。
【0078】
また、fは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、ZrおよびLの酸化物が通常形成するホタル石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
【0079】
このようなセリア系複合酸化物もまた、上記したジルコニア系複合酸化物の製造方法と同様に、公知の方法によって得ることができる。
【0080】
なお、実際に用いられるジルコニア系複合酸化物あるいはセリア系複合酸化物が、一般式(9)で表されるジルコニア系複合酸化物の各元素の原子割合の範囲と、一般式(10)で表されるセリア系複合酸化物の各元素の原子割合の範囲とのいずれにも重複する場合には、特に限定されることなく、いずれに分類してもよい。例えば、複数のジルコニア系複合酸化物および/またはセリア系複合酸化物が用いられる場合には、混合される処方により、適宜決定される。例えば、貴金属が担持されている場合において、Rhを含まずPtのみをセリア系複合酸化物に担持させることによって、セリア系複合酸化物をジルコニア系複合酸化物と区別して用いることができる。
【0081】
また、θアルミナは、上記したものが用いられる。
【0082】
また、αアルミナは、結晶相としてα相を有し、例えば、AKP−53(商品名、高純度アルミナ、住友化学社製)などが挙げられる。
このようなαアルミナは、例えば、アルコキシド法、ゾルゲル法、共沈法などの方法によって得ることができる
【0083】
また、これらθアルミナやαアルミナは、Laおよび/またはBaを含んでいてもよく、つまり、下記一般式(5)で表されるものが、好ましく用いられる。
【0084】
(Al1−g (5)
(式中、Dは、Laおよび/またはBaを示し、gは、0≦g≦0.5のDの原子割合を示す。)
Dは、Laおよび/またはBaを示し、gで示されるDの原子割合は0〜0.5の範囲である。すなわち、LaやBaは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.5以下の原子割合である。
【0085】
また、γアルミナは、特に制限されず、排ガス浄化用触媒として用いられる公知のものが用いられる。
【0086】
また、SrZrOは、例えば、ジルコニウム塩やストロンチウム塩、あるいは、ジルコニウムのアルコキシドやストロンチウムのアルコキシドなどを用いて、公知の方法によって得ることができる。
【0087】
また、LaAlOは、例えば、ランタン塩やアルミニウム塩、あるいは、ランタンのアルコキシドやアルミニウムのアルコキシドなどを用いて、上記したジルコニア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって得ることができる。
【0088】
このような耐熱性酸化物の混合割合は、特に制限されないが、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナ1重量部に対して、耐熱性酸化物(総量)が、0.5〜30重量部、好ましくは、0.5〜10重量部である。耐熱性酸化物がこれより少ないと、耐熱性の向上を十分に図ることができない場合がある。また、耐熱性酸化物がこれより多いと、必要以上の耐熱性酸化物を含み、コスト面や生産面で不利となる場合がある。
【0089】
耐熱性酸化物の混合は、特に制限されず、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナに、物理的に混合すればよく、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナの粉末と、耐熱性酸化物の粉末とを、乾式混合または湿式混合すればよい。
【0090】
また、耐熱性酸化物には、貴金属が担持されている耐熱性酸化物を含んでいることが好ましい。貴金属が担持されている耐熱性酸化物を含有させることにより、ペロブスカイト型複合酸化物に含有されている貴金属に加えて、さらなる触媒活性の増大を図ることができ、触媒性能をさらに向上させることができる。
【0091】
貴金属としては、例えば、Pd、Rh、Ptが挙げられる。好ましくは、Rh、Ptが挙げられる。これら貴金属は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0092】
耐熱性酸化物に、貴金属を担持させるには、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、貴金属を含む塩の溶液を調製し、この含塩溶液を耐熱性酸化物に含浸させた後、焼成すればよい。
【0093】
含塩溶液としては、上記した例示の塩の溶液を用いてもよく、また実用的には、硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、塩化物水溶液などが挙げられる。より具体的には、パラジウム塩溶液として、例えば、硝酸パラジウム水溶液、ジニトロジアンミンパラジウム硝酸溶液、4価パラジウムアンミン硝酸溶液など、ロジウム塩溶液として、例えば、硝酸ロジウム溶液、塩化ロジウム溶液など、白金塩溶液として、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液、塩化白金酸溶液、4価白金アンミン溶液などが挙げられる。
【0094】
耐熱性酸化物に貴金属を含浸させた後は、例えば、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成する。
【0095】
また、耐熱性酸化物に貴金属を担持させる他の方法として、例えば、耐熱性酸化物が、ジルコニア系複合酸化物やセリア系複合酸化物である場合には、ジルコニウム、セリウムおよびアルカリ土類金属および/または希土類元素を含む塩の溶液や混合アルコキシド溶液を共沈あるいは加水分解するときに、貴金属塩の溶液を加えて、ジルコニア系複合酸化物やセリア系複合酸化物の各成分とともに貴金属を共沈させて、その後、焼成する方法が例示される。
【0096】
また、耐熱性酸化物がθアルミナ、αアルミナやγアルミナである場合には、そのθアルミナ、αアルミナやγアルミナの製造工程において、アルミニウム塩水溶液からアンモニアなどを用いて沈殿させるときに、貴金属塩の溶液を加えて、θアルミナ、αアルミナやγアルミナとともに貴金属を共沈させて、その後、焼成する方法が例示される。
【0097】
また、2種類以上の貴金属を担持させる場合には、2種類以上の貴金属を、1度に担持させてもよく、また、複数回に分けて、順次担持させてもよい。
【0098】
貴金属の担持量は、その目的および用途により適宜決定されるが、例えば、耐熱性酸化物(総量)に対して、例えば、0.01〜3.0重量%、好ましくは、0.05〜1.0重量%である。
【0099】
そして、このようにして得られる貴金属が担持されている耐熱性酸化物としては、例えば、貴金属が担持されているジルコニア系複合酸化物、貴金属が担持されているセリア系複合酸化物、貴金属が担持されているθアルミナ、貴金属が担持されているγアルミナなどが挙げられる。
【0100】
貴金属が担持されているジルコニア系複合酸化物としては、好ましくは、Ptおよび/またはRhが担持されているジルコニア系複合酸化物が挙げられる。この場合において、Ptおよび/またはRhの担持量は、ジルコニア系複合酸化物に対して、0.01〜2.0重量%、好ましくは、0.05〜1.0重量%である。
【0101】
貴金属が担持されているセリア系複合酸化物としては、好ましくは、Ptが担持されているセリア系複合酸化物が挙げられる。この場合において、Ptの担持量は、セリア系複合酸化物に対して、0.01〜2.0重量%、好ましくは、0.05〜1.0重量%である。
【0102】
貴金属が担持されているθアルミナとしては、好ましくは、Ptおよび/またはRhが担持されているθアルミナが挙げられる。この場合において、Ptおよび/またはRhの担持量は、θアルミナに対して、0.01〜2.0重量%、好ましくは、0.05〜1.0重量%である。
【0103】
また、貴金属が担持されているγアルミナとしては、好ましくは、Ptおよび/またはRhが担持されているγアルミナが挙げられる。この場合において、Ptおよび/またはRhの担持量は、γアルミナに対して、0.01〜2.0重量%、好ましくは、0.05〜1.0重量%である。
【0104】
また、これら貴金属が担持されている耐熱性酸化物のうちでは、好ましくは、貴金属が担持されているセリア系複合酸化物が挙げられる。貴金属が担持されているセリア系複合酸化物を用いれば、酸素ストレージ性能の向上を図ることができる。
【0105】
また、耐熱性酸化物は、全体として、すべての耐熱性酸化物に貴金属が担持されていてもよく、また、貴金属を担持されている耐熱性酸化物と、貴金属が担持されていない耐熱性酸化物との両方を含んでいてもよい。
【0106】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、例えば、触媒担体上にコート層として形成することができる。触媒担体としては、特に制限されず、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の触媒担体が用いられる。
【0107】
触媒担体上にコート層として形成するには、例えば、まず、上記したペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナ、さらには、必要により混合される耐熱性複合酸化物に、水を加えてスラリーとした後、触媒担体上にコーティングし、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成すればよい。また、上記した各成分のそれぞれに、水を加えてスラリーとした後、これらスラリーを混合して、触媒担体上にコーティングし、50〜200℃で1〜48時間乾燥し、さらに、350〜1000℃で1〜12時間焼成してもよい。
【0108】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、触媒担体上に、表面に形成される外側層と、その外側層の内側に形成される内側層と有する多層として形成することができる。
【0109】
内側層は、上記と同様に、各成分を含むスラリーを触媒担体上にコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。また、外側層は、触媒担体上に形成された内側層上に、上記と同様に、各成分を含むスラリーをコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。
【0110】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、このように多層として形成される場合には、内側層に、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナが含まれていることが好ましい。
【0111】
このように、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナを、内側層に含ませることにより、被毒および熱劣化を防止し、触媒性能の向上を図ることができる。
【0112】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、このように多層として形成される場合には、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナを、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。すなわち、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナを内側層のみに含有させても、あるいは、外側層のみに含有させてもよく、あるいは、同一または異なる種類のペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナを、同一層に複数含有させてもよく、また、同一または異なる種類のペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナを、内側層および外側層の両方に含有させてもよい。
【0113】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、このように多層として形成される場合には、Pd含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナが、内側層に含まれていることが好ましい。内側層に、Pd含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナを含有させることにより、そのペロブスカイト型複合酸化物に含まれるPdの被毒および熱劣化を防止して、耐久性の向上を図ることができる。
【0114】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、このように多層として形成される場合には、Rh含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナが、外側層に含まれていることが好ましい。外側層に、Rh含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナを含有させることにより、Pd含有ペロブスカイト型複合酸化物が内側層に含まれている場合などにおいて、Pdとの合金化を防止することができる。
【0115】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、このように多層として形成される場合には、Pt含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されているθアルミナが、内側層および/または外側層に含まれていることが好ましい。
【0116】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、このように多層として形成される場合には、外側層に含まれる貴金属(ペロブスカイト型複合酸化物に含有されている貴金属、および、耐熱性酸化物に担持されている貴金属を含む。)が、Rhおよび/またはPtであり、内側層に含まれる貴金属(ペロブスカイト型複合酸化物に含有されている貴金属、および、耐熱性酸化物に担持されている貴金属を含む。)が、少なくともPdであることが好ましい。このような構成によって、内側層にPdを含有させて、被毒および熱劣化を防止しつつ、外側層に含まれるRhおよび/またはPtによって、触媒性能の向上をより一層図ることができる。
【0117】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、このように多層として形成される場合には、貴金属が担持されているセリア系複合酸化物および/またはθアルミナが、内側層に含まれていることが好ましく、また、貴金属が担持されているジルコミウム系複合酸化物、貴金属が担持されているセリア系複合酸化物、貴金属が担持されているθアルミナおよび貴金属が担持されているγアルミナのうち少なくとも2種類の耐熱性酸化物が、外側層に含まれていることが好ましい。
【0118】
より具体的には、内側層に、θアルミナおよびPtが担持されているセリア系複合酸化物が含まれており、外側層に、PtおよびRhが担持されているジルコニア系複合酸化物、Ptが担持されているセリア系複合酸化物、および、PtおよびRhが担持されているθアルミナからなる群から選ばれる少なくとも1種の耐熱性酸化物が含まれていることが好ましい。
【0119】
また、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、さらに、Ba、Ca、Sr、Mg、Laの硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩または酢酸塩の1種以上を含ませてもよい。このような硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩または酢酸塩は、多層として形成される場合には、Pdが含まれている層に含ませることが好ましい。硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩または酢酸塩の1種以上を含ませれば、Pdの炭化水素(HC)などの被毒を抑制することができ、触媒活性の低下を防止することができる。これら塩のなかでは、BaSOが好ましく用いられる。
【0120】
また、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩または酢酸塩の1種以上を含ませる割合は、その目的および用途によって適宜選択される。なお、このような硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩または酢酸塩の1種以上を含む内側層および/または外側層の形成は、例えば、内側層および/または外側層を形成するためのスラリーに、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩および/または酢酸塩を混合すればよい。
【0121】
なお、内側層は、その目的および用途などに応じて、さらに多層として形成することもできる。内側層を多層として形成するには、上記と同様の方法が用いられる。
【0122】
そして、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、ペロブスカイト型複合酸化物がθアルミナに担持されているので、貴金属をペロブスカイト型複合酸化物中で安定に存在させながら、そのペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性をθアルミナによって顕著に高めることができる。
【0123】
そのため、ペロブスカイト型複合酸化物においては、貴金属のペロブスカイト型構造に対する酸化雰囲気下での固溶および還元雰囲気下での析出を繰り返す自己再生機能によって、高温雰囲気下での長期使用においても、貴金属がペロブスカイト型複合酸化物中において微細かつ高分散に保持され、高い触媒活性を維持することができる。また、貴金属のペロブスカイト型構造に対する酸化還元雰囲気での固溶析出による自己再生機能によって、貴金属の使用量を大幅に低減しても、触媒活性を実現することができる。
【0124】
また、ペロブスカイト型複合酸化物は、θアルミナによって耐熱性が高められるので、例えば、900℃〜1000℃、さらには、1050℃を超える高温雰囲気下でのペロブスカイト型複合酸化物の粒成長を抑制して、比表面積の低下を防止することができる。
【0125】
その結果、本発明の製造方法により得られる排ガス浄化用触媒は、900℃〜1000℃を超える高温雰囲気下においても、貴金属の触媒活性を、長期にわたって高いレベルで維持することができ、優れた排ガス浄化性能を実現することができる。そのため、自動車用の排ガス浄化用触媒として好適に用いることができる。
【0126】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これら実施例および比較例に何ら限定されるものではない。
【0127】
(1)ジルコニア系複合酸化物の製造
製造例A1
オキシ塩化ジルコニウム 16.9g(0.050モル)
硝酸セリウム 17.4g(0.040モル)
硝酸ランタン 2.2g(0.005モル)
硝酸ネオジム 2.2g(0.005モル)
上記の成分を、脱イオン水100mLに溶解して混合塩水溶液を調製した。炭酸ナトリウム25.0gを脱イオン水200mLに溶解して調製したアルカリ性水溶液に、上記の混合塩水溶液を徐々に滴下して共沈物を得た。この共沈物を十分に水洗して濾過した後、80℃で真空乾燥し十分に乾燥させた。その後、800℃で1時間熱処理(仮焼)することにより、セリウムとランタンが固溶したZr0.50Ce0.40La0.05Nd0.05Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A1)の粉末を得た。
【0128】
このジルコニア系複合酸化物の粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、次いで、硝酸ロジウム溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pt担持量が0.27重量%、Rh担持量が1.33重量%となるPt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物(製造例A1−1)の粉末を得た。
【0129】
製造例A2
オキシ塩化ジルコニウム 25.6g(0.076モル)
硝酸セリウム 7.8g(0.018モル)
硝酸ランタン 1.7g(0.002モル)
硝酸ネオジム 1.8g(0.004モル)
上記の成分を、脱イオン水100mLに溶解して混合塩水溶液を調製した。炭酸ナトリウム25.0gを脱イオン水200mLに溶解して調製したアルカリ性水溶液に、上記の混合塩水溶液を徐々に滴下して共沈物を得た。この共沈物を十分に水洗して濾過した後、80℃で真空乾燥し十分に乾燥させた。その後、800℃で1時間熱処理(仮焼)することにより、セリウムとランタンが固溶したZr0.76Ce0.18La0.02Nd0.04Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A2)の粉末を得た。
【0130】
このジルコニア系複合酸化物の粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、次いで、硝酸ロジウム溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pt担持量が1.00重量%、Rh担持量が1.00重量%となるPt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物(製造例A2−1)、または、Pt担持量が0.27重量%、Rh担持量が1.33重量%となるPt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物(製造例A2−2)の粉末を得た。
【0131】
製造例A3
オキシ塩化ジルコニウム 16.9g(0.050モル)
硝酸セリウム 17.4g(0.040モル)
硝酸ランタン 2.2g(0.005モル)
硝酸イットリウム 1.9g(0.005モル)
上記の成分を、脱イオン水100mLに溶解して混合塩水溶液を調製した。炭酸ナトリウム25.0gを脱イオン水200mLに溶解して調製したアルカリ性水溶液に、上記の混合塩水溶液を徐々に滴下して共沈物を得た。この共沈物を十分に水洗して濾過した後、80℃で真空乾燥し十分に乾燥させた。その後、800℃で1時間熱処理(仮焼)することにより、セリウムとランタンが固溶したZr0.50Ce0.40La0.050.05Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A3)の粉末を得た。
【0132】
製造例A4
オキシ塩化ジルコニウム 23.6g(0.070モル)
硝酸セリウム 10.8g(0.025モル)
硝酸ランタン 1.7g(0.002モル)
硝酸ネオジム 1.3g(0.003モル)
上記の成分を、脱イオン水100mLに溶解して混合塩水溶液を調製した。炭酸ナトリウム25.0gを脱イオン水200mLに溶解して調製したアルカリ性水溶液に、上記の混合塩水溶液を徐々に滴下して共沈物を得た。この共沈物を十分に水洗して濾過した後、80℃で真空乾燥し十分に乾燥させた。その後、800℃で1時間熱処理(仮焼)することにより、セリウムとランタンが固溶したZr0.70Ce0.25La0.02Nd0.03Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A4)の粉末を得た。
【0133】
このジルコニア系複合酸化物の粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、次いで、硝酸ロジウム溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pt担持量が0.75重量%、Rh担持量が1.25重量%となるPt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物(製造例A4−1)の粉末を得た。
【0134】
製造例A5
オキシ塩化ジルコニウム 23.6g(0.070モル)
硝酸セリウム 10.8g(0.025モル)
硝酸ランタン 1.7g(0.002モル)
硝酸イットリウム 1.1g(0.003モル)
上記の成分を、脱イオン水100mLに溶解して混合塩水溶液を調製した。炭酸ナトリウム25.0gを脱イオン水200mLに溶解して調製したアルカリ性水溶液に、上記の混合塩水溶液を徐々に滴下して共沈物を得た。この共沈物を十分に水洗して濾過した後、80℃で真空乾燥し十分に乾燥させた。その後、800℃で1時間熱処理(仮焼)することにより、セリウムとランタンが固溶したZr0.70Ce0.25La0.020.03Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A5)の粉末を得た。
【0135】
製造例A6
ジルコニウムエトキシエチレート 31.4g(0.070モル)
セリウムエトキシエチレート 10.2g(0.025モル)
プラセオジムエトキシエチレート 0.8g(0.002モル)
ネオジムエトキシエチレート 1.2g(0.003モル)
上記の成分を、トルエン200mLに加えて攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。この混合アルコキシド溶液を、脱イオン水600mL中に約10分間かけて滴下し、アルコキシドを加水分解した。加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去乾固して、乾燥物を得た。これを、60℃、24時間通風乾燥した後、電気炉にて、800℃、1時間熱処理(焼成)を行ない、Zr0.70Ce0.25Pr0.02Nd0.03Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A6)の粉末を得た。
【0136】
(2)セリア系複合酸化物の製造
製造例B1
セリウムメトキシプロピレート 24.4g(0.060モル)
ジルコニウムメトキシプロピレート 13.4g(0.030モル)
イットリウムメトキシプロピレート 3.6g(0.010モル)
上記の成分を、トルエン200mLに加えて攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。この溶液に脱イオン水80mLを滴下して、アルコキシドを加水分解した。加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去乾固して、乾燥物を得た。これを、60℃、24時間通風乾燥した後、電気炉にて、450℃、3時間焼成を行ない、Ce0.60Zr0.300.10Oxideからなるセリア系複合酸化物(製造例B1)の粉末を得た。
【0137】
このセリア系複合酸化物の粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pt担持量が1.00重量%となるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−1)、Pt担持量が0.33重量%となるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−2)、または、Pt担持量が0.67重量%となるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−3)、Pt担持量が1.38重量%となるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−4)、Pt担持量が1.50重量%となるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−5)の粉末を得た。
【0138】
製造例B2
セリウムメトキシプロピレート 12.2g(0.030モル)
ジルコニウムメトキシプロピレート 31.5g(0.070モル)
上記の成分を、トルエン200mLに加えて攪拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。この溶液に脱イオン水80mLを滴下して、アルコキシドを加水分解した。加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去乾固して、乾燥物を得た。これを、60℃、24時間通風乾燥した後、電気炉にて、300℃、3時間焼成を行ない、Ce0.30Zr0.70からなるセリア系複合酸化物(製造例B2)の粉末を得た。
【0139】
このセリア系複合酸化物の粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、次いで、硝酸ロジウム溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pt担持量が2.00重量%、Rh担持量が1.00重量%となるPt−Rh担持セリア系複合酸化物(製造例B2−1)の粉末を得た。
【0140】
(3)θアルミナの製造
製造例C1
アルミニウムメトキシエチレート 60.6g(0.240モル)
ランタンメトキシエチレート 0.55g(0.0015モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン300mLを加えて攪拌溶解させることにより、AlLa均一混合アルコキシド溶液を調製した。次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により灰色の粘稠沈殿が生成した。
【0141】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、AlLa複合酸化物の混合物を得た。次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて1000℃で4時間熱処理することによって、ランタン含有量が、Laとして2.0重量%となるランタン含有θアルミナ(製造例C1)の粉末を得た。
【0142】
製造例C2
アルミニウムメトキシエチレート 59.4g(0.236モル)
ランタンメトキシエチレート 1.1g(0.003モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン300mLを加えて攪拌溶解させることにより、AlLa均一混合アルコキシド溶液を調製した。次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により灰色の粘稠沈殿が生成した。
【0143】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、AlLa複合酸化物の混合物を得た。次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて1000℃で4時間熱処理することによって、ランタン含有量が、Laとして4.0重量%となるランタン含有θアルミナ(製造例C2)の粉末を得た。
【0144】
製造例C3
アルミニウムメトキシエチレート 44.6g(0.177モル)
ランタンメトキシエチレート 2.2g(0.006モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン300mLを加えて攪拌溶解させることにより、AlLa均一混合アルコキシド溶液を調製した。次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により灰色の粘稠沈殿が生成した。
【0145】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、AlLa複合酸化物の混合物を得た。次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて1000℃で4時間熱処理することによって、ランタン含有量が、Laとして10.0重量%となるランタン含有θアルミナ(製造例C3)の粉末を得た。
【0146】
製造例C4
アルミニウムメトキシエチレート 59.4g(0.236モル)
バリウムメトキシエチレート 0.95g(0.0033モル)
上記の成分を、500mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン300mLを加えて攪拌溶解させることにより、AlBa均一混合アルコキシド溶液を調製した。次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により灰色の粘稠沈殿が生成した。
【0147】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、AlBa複合酸化物の混合物を得た。次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて1000℃で4時間熱処理することによって、バリウム含有量が、BaOとして4.0重量%となるバリウム含有θアルミナ(製造例C4)の粉末を得た。
【0148】
製造例C5
θアルミナ(比表面積98.4m/g、以下同じ。)の粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pt担持量が0.31重量%となるPt担持θアルミナ(製造例C5)を得た。
【0149】
製造例C6
θアルミナの粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、次いで、硝酸ロジウム溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pt担持量が0.57重量%、Rh担持量が0.14重量%となるPt−Rh担持θアルミナ(製造例C6−1)、または、Pt担持量が0.43重量%、Rh担持量が0.21重量%となるPt−Rh担持θアルミナ(製造例C6−2)、Pt担持量が1.50重量%、Rh担持量が0.67重量%となるPt−Rh担持θアルミナ(製造例C6−3)の粉末を得た。
【0150】
製造例C7
θアルミナの粉末に、硝酸パラジウム溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pd担持量が1.10重量%となるPd担持θアルミナ(製造例C7)の粉末を得た。
【0151】
(4)γアルミナの製造
製造例D1
γアルミナ(比表面積200m/g、以下同じ。)の粉末に、ジニトロジアンミン白金硝酸溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、次いで、硝酸ロジウム溶液を含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、Pt担持量が1.00重量%、Rh担持量が0.57重量%となるPt−Rh担持γアルミナ(製造例D1)の粉末を得た。
【0152】
実施例QA−1
硝酸ランタン 43.3g(0.100モル)
硝酸鉄 38.4g(0.095モル)
硝酸パラジウム水溶液(Pd分4.399質量%)12.1g(Pd換算で0.53g、0.005モル相当)
上記の成分を、脱イオン水200mLに溶解して混合塩水溶液を調製した。次いで、θアルミナの粉末73.4gを、この混合塩水溶液に加えて攪拌混合し、炭酸アンモニウム水溶液を、混合塩水溶液のpHが10になるまで滴下して共沈物を得た。この共沈物を1時間攪拌混合後、濾過して、十分に水洗した後、120℃にて12時間通風乾燥後、大気中で700℃で3時間焼成することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナからなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0153】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とθアルミナとが、重量比で1:3の割合となるように調製した。
【0154】
実施例QA−2
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて撹拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン20mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0155】
次いで、ランタン含有θアルミナ(La含有量4.0重量%)(製造例C2)の粉末98.0gを、この均一混合溶液に加えて撹拌混合した後、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0156】
その後、室温下で2時間撹拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナからなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0157】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:4の割合となるように調製した。
【0158】
実施例QA−3
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて撹拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン20mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0159】
この均一混合溶液に脱イオン水200mLを約15分かけて滴下して、加水分解した。生成した褐色のスラリーに、ランタン含有θアルミナ(La含有量4.0重量%)(製造例C2)の粉末24.5gを加えて、室温下で2時間攪拌混合した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。
【0160】
次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナからなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0161】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0162】
実施例QA−4
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 18.4g(0.057モル)
マンガンメトキシプロピレート 8.9g(0.038モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて撹拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、ロジウムアセチルアセトナート2.00g(0.005モル)をトルエン20mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFeMnRhを含む均一混合溶液を調製した。
【0163】
この均一混合溶液に脱イオン水300mLを約15分かけて滴下して、加水分解した。室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFeMnRhを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た。このLaFeMnRhを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を、1000mL容量の丸底フラスコに入れ、IPA(イソプロピルアルコール)を200mL加えて攪拌し、スラリー状とした。
【0164】
さらに、生成したスラリーに、ランタン含有θアルミナ(La含有量2.0重量%)(製造例C1)の粉末220gを加えて、室温下で1時間攪拌した後、IPAを減圧下にて留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaFeMnRhを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。
【0165】
次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.57Mn0.38Rh0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナからなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0166】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:9の割合となるように調製した。
【0167】
実施例QA−5
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて撹拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、ロジウムアセチルアセトナート2.00g(0.005モル)をトルエン20mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFeRhを含む均一混合溶液を調製した。
【0168】
次いで、ランタン含有θアルミナ(La含有量10.0重量%)(製造例C3)の粉末36.8gを、この均一混合溶液に加えて撹拌混合した後、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0169】
その後、室温下で2時間撹拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaFeRhを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Rh0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナからなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0170】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で2:3の割合となるように調製した。
【0171】
実施例QA−6
ランタンメトキシプロピレート 38.6g(0.095モル)
鉄メトキシプロピレート 18.4g(0.057モル)
マンガンメトキシプロピレート 8.9g(0.038モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて撹拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、白金アセチルアセトナート1.965g(0.005モル)、銀アセチルアセトナート1.53g(0.005モル)をトルエン40mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaAgFeMnPtを含む均一混合溶液を調製した。
【0172】
次いで、ランタン含有θアルミナ(La含有量10.0重量%)(製造例C3)の粉末24.5gを、この均一混合溶液に加えて撹拌混合した後、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0173】
その後、室温下で2時間撹拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaAgFeMnPtを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La0.95Ag0.05Fe0.57Mn0.38Pt0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナからなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0174】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0175】
実施例QA−7
ランタンメトキシプロピレート 36.6g(0.090モル)
カルシウムメトキシプロピレート 2.2g(0.010モル)
鉄メトキシプロピレート 29.1g(0.090モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて撹拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、白金アセチルアセトナート3.93g(0.010モル)をトルエン40mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaCaFePtを含む均一混合溶液を調製した。
【0176】
次いで、θアルミナの粉末98.7gを、この均一混合溶液に加えて撹拌混合した後、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0177】
その後、室温下で2時間撹拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、θアルミナ中に均一に分散したLaCaFePtを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。次いで、この混合物を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La0.90Ca0.10Fe0.90Pt0.10からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナからなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0178】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とθアルミナとが、重量比で1:4の割合となるように調製した。
【0179】
実施例QA−7−1
硝酸ランタン 43.3g(0.100モル)
硝酸鉄 36.4g(0.090モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、脱イオン水100mLに溶解して、均一に混合することにより、混合塩水溶液を調製した。次いで、クエン酸47.9g(0.23モル)を100mLの脱イオン水に溶解して、この溶液を、上記の混合塩水溶液に加えて、LaFeを含むクエン酸混合塩水溶液を調製した。
【0180】
次いで、このクエン酸混合塩水溶液を、ロータリーエバポレータで真空引きしながら60〜80℃の湯浴中にて蒸発乾固させ、3時間程度で溶液が飴状になった時点で湯浴の温度をゆっくりと昇温させ、最終的に300℃で1時間真空乾燥することにより、クエン酸錯体を得た。
【0181】
その後、このクエン酸錯体を、乳鉢で解砕した後、大気中で350℃で3時間焼成し、再び、1000mL容量のフラスコに加えた。
【0182】
そして、パラジウムアセチルアセトナート3.05g(0.010モル)をアセトン200mLに溶解して、さらに丸底フラスコに加えて攪拌し、LaFePdを含む均一混合スラリーを調製した。
【0183】
次いで、この均一混合スラリー中のアセトンを蒸発、乾固させた後、ランタン含有θアルミナ(La含有量4.0重量%)(製造例C2)の粉末24.5gを脱イオン水100mLにといて、さらに丸底フラスコに加えて攪拌混合した。
【0184】
その後、室温下で2時間攪拌混合した後、減圧下で水分を留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物(混合物)を得た。次いで、この結晶前組成物が分散しているランタン含有θアルミナを、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.90Pd0.10からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末を得た。
【0185】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0186】
実施例QA−7−2
塩化ランタン 37.1g(0.100モル)
塩化鉄 21.6g(0.080モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、脱イオン水200mLに溶解して混合塩水溶液を調製した。炭酸アンモニウム(NH含量30重量%)208gを脱イオン水200mLに溶解して調製したアルカリ性水溶液に、上記の混合塩水溶液を徐々に滴下して共沈物を得た。そして、室温下で2時間攪拌した後、得られた共沈物を十分に水洗して濾過した。
【0187】
次いで、この共沈物をシャーレに移し、80℃で12時間通風乾燥して十分に乾燥させ、乳鉢で解砕した後、再び、1000mL容量のフラスコに加えた。
【0188】
そして、パラジウムアセチルアセトナート6.09g(0.020モル)をアセトン400mLに溶解して、さらに丸底フラスコに加えて攪拌し、LaFePdを含む均一混合スラリーを調製した。
【0189】
次いで、この均一混合スラリー中のアセトンを蒸発、乾固させた後、ランタン含有θアルミナ(La含有量4.0重量%)(製造例C2)の粉末24.5gを脱イオン水100mLにといて、さらに丸底フラスコに加えて攪拌混合した。
【0190】
その後、室温下で2時間攪拌混合した後、減圧下で水分を留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物(混合物)を得た。次いで、この結晶前組成物が分散しているランタン含有θアルミナを、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.90Pd0.10からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末を得た。
【0191】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0192】
実施例RA−8
1)パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン20mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0193】
そして、ランタン含有θアルミナ(La含有量4.0重量%)(製造例C2)の粉末をトルエン200mLにといて、さらに丸底フラスコの均一混合溶液を加えて、攪拌混合した。
【0194】
次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0195】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFePd複合酸化物の結晶前組成物が分散しているランタン含有θアルミナを得た。次いで、この結晶前組成物が分散しているランタン含有θアルミナを、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末を得た。
【0196】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0197】
2)ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への混合および排ガス浄化用触媒の製造
上記で得られたペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末に、Ptが1.00重量%およびRhが1.00重量%担持されたZr0.76Ce0.18La0.02Nd0.04OxideからなるPt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物(製造例A2−1)の粉末、Ptが1.00重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−1)の粉末およびPtが0.57重量%およびRhが0.14重量%担持されたθアルミナからなるPt−Rh担持θアルミナ(製造例C6−1)の粉末を加え、脱イオン水に混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナが30g、Pt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物が30g、Pt担持セリア系複合酸化物が80g、Pt−Rh担持θアルミナが70gとなるように注入し、均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、排ガス浄化用触媒を得た。得られた排ガス浄化用触媒のハニカム担体1リットルに対するPtの含有量は、1.50g、Pdの含有量は、0.33g、Rhの含有量は、0.40gであった。
【0198】
実施例RA−9
1)パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン20mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0199】
この均一混合溶液に脱イオン水200mLを約15分かけて滴下して、加水分解した。生成した褐色のスラリーに、ランタン含有θアルミナ(La含有量4.0重量%)(製造例C2)の粉末24.5gを脱イオン水100mLにといて加えた。室温下で2時間攪拌混合した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。
【0200】
次いで、この結晶前組成物が分散しているランタン含有θアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末を得た。
【0201】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0202】
2)ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたジルコニア系複合酸化物の耐熱性酸化物への混合および排ガス浄化用触媒の製造
上記で得られたペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末に、Ptが1.00重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−1)の粉末、および、Ptが1.00重量%およびRhが0.57重量%担持されたγアルミナからなるPt−Rh担持γアルミナ(製造例D1)の粉末を加え、脱イオン水に混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナが30g、Pt担持セリア系複合酸化物が80g、Pt−Rh担持γアルミナが70gとなるように注入し、均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、排ガス浄化用触媒を得た。得られた排ガス浄化用触媒のハニカム担体1リットルに対するPtの含有量は、1.50g、Pdの含有量は、0.33g、Rhの含有量は、0.40gであった。
【0209】
実施例RC−10
1)内側層の形成
1)−1 パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0210】
そして、ランタン含有θアルミナ(La含有量4.0重量%)(製造例C2)の粉末をトルエン200mLにといて、さらに丸底フラスコの均一混合溶液を加えて、攪拌混合した。
【0211】
次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0212】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFePd複合酸化物の結晶前組成物が分散しているランタン含有θアルミナを得た(混合物)。次いで、この結晶前組成物が分散しているランタン含有θアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末を得た。
【0213】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0214】
1)−2 内側層の製造
上記で得られたパラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末に、Ptが0.33重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−2)の粉末、および、θアルミナの粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナが28g、Pt担持セリア系複合酸化物が60g、θアルミナが70gとなるように注入し、均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、内側層を形成した。
【0215】
2)外側層および排ガス浄化用触媒の製造
Ptが0.27重量%およびRhが1.33重量%担持されたZr0.76Ce0.18La0.02Nd0.04OxideからなるPt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物(製造例A2−2)の粉末、Ptが0.33重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−2)の粉末、および、Ptが0.31重量%担持されたθアルミナからなるPt担持θアルミナ(製造例C5)の粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、Pt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物が30g、Pt担持セリア系複合酸化物が60g、Pt担持θアルミナが70gとなるように注入し、内側層の表面に均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、外側層を形成し、これによって、排ガス浄化用触媒を得た。
【0216】
得られた排ガス浄化用触媒において、ハニカム担体1リットルに対する各金属の含有量は、内側層において、Ptが0.10g、Pdが0.30g、外側層において、Ptが0.50g、Rhが0.40gであった。
【0217】
実施例RC−11
1)内側層の形成
1)−1 パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0218】
この均一混合溶液に脱イオン水200mLを約15分かけて滴下して、加水分解した。生成した褐色のスラリーに、ランタン含有θアルミナ(La含有量4.0重量%)(製造例C2)の粉末24.5gを脱イオン水100mLにといて加えた。室温下で2時間攪拌混合した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、ランタン含有θアルミナ中に均一に分散したLaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。
【0219】
次いで、この結晶前組成物が分散しているランタン含有θアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末を得た。
【0220】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とランタン含有θアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0221】
1)−2 内側層の製造
上記で得られたパラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナの粉末に、Ptが0.67重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−3)の粉末、および、θアルミナの粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたランタン含有θアルミナが30g、Pt担持セリア系複合酸化物が30g、θアルミナが80gとなるように注入し、均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、内側層を形成した。
【0222】
2)外側層および排ガス浄化用触媒の製造
Ptが0.27重量%およびRhが1.33重量%担持されたZr0.50Ce0.40La0.05Nd0.05OxideからなるPt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物(製造例A1−1)の粉末、Ptが0.33重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−2)の粉末、および、Ptが0.43重量%およびRhが0.21重量%担持されたθアルミナからなるPt−Rh担持θアルミナ(製造例C6−2)の粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、Pt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物が30g、Pt担持セリア系複合酸化物が60g、Pt−Rh担持θアルミナが70gとなるように注入し、内側層の表面に均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、外側層を形成し、これによって、排ガス浄化用触媒を得た。
【0223】
得られた排ガス浄化用触媒において、ハニカム担体1リットルに対する各金属の含有量は、内側層において、Ptが0.20g、Pdが0.33g、外側層において、Ptが0.58g、Rhが0.55gであった。
【0224】
実施例RC−12
1)内側層の形成
1)−1 パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0225】
そして、バリウム含有θアルミナ(BaO含有量4.0重量%)(製造例C4)の粉末をトルエン200mLにといて、さらに丸底フラスコの均一混合溶液を加えて、攪拌混合した。
【0226】
次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0227】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFePd複合酸化物の結晶前組成物が分散しているバリウム含有θアルミナを得た(混合物)。次いで、この結晶前組成物が分散しているバリウム含有θアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたバリウム含有θアルミナの粉末を得た。
【0228】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とバリウム含有θアルミナとが、重量比で1:4の割合となるように調製した。
【0229】
1)−2 内側層の製造
上記で得られたパラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたバリウム含有θアルミナの粉末に、Ptが0.67重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−3)の粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたバリウム含有θアルミナが46g、Pt担持セリア系複合酸化物が45gとなるように注入し、均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、内側層を形成した。
【0230】
2)外側層の形成
2)−1 ロジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、ロジウムアセチルアセトナート2.00g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFeRhを含む均一混合溶液を調製した。
【0231】
そして、θアルミナの粉末をトルエン200mLにといて、さらに丸底フラスコの均一混合溶液を加えて、攪拌混合した。
【0232】
次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0233】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFePd複合酸化物の結晶前組成物が分散しているθアルミナを得た(混合物)。次いで、この結晶前組成物が分散しているθアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Rh0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナの粉末を得た。
【0234】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とθアルミナとが、重量比で1:3の割合となるように調製した。
【0235】
2)−2 外側層および排ガス浄化用触媒の製造
上記で得られたロジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナの粉末に、Ptが0.67重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−3)の粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、ロジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナが38g、Pt担持セリア系複合酸化物が60gとなるように注入し、内側層の表面に均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、外側層を形成し、これによって、排ガス浄化用触媒を得た。
【0236】
得られた排ガス浄化用触媒において、ハニカム担体1リットルに対する各金属の含有量は、内側層において、Ptが0.30g、Pdが0.20g、外側層において、Ptが0.40g、Rhが0.20gであった。
【0237】
実施例RC−13
1)内側層の形成
1)−1 パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンメトキシプロピレート 40.6g(0.100モル)
鉄メトキシプロピレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0238】
この均一混合溶液に脱イオン水200mLを約15分かけて滴下して、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た。このLaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を1000mL容量の丸底フラスコに入れ、IPA(イソプロピルアルコール)を200mL加えて攪拌し、スラリー状とした。さらに、生成したスラリーに、αアルミナの粉末24.5gを加えて、室温下で1時間攪拌混合した後、IPAを減圧下留去して、αアルミナ中に均一に分散したLaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物を得た(混合物)。
【0239】
次いで、この結晶前組成物が分散しているαアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたαアルミナの粉末を得た。
【0240】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とαアルミナとが、重量比で2:3の割合となるように調製した。
【0241】
1)−2 内側層の製造
上記で得られたパラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたαアルミナの粉末に、Ptが0.33重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−2)の粉末、および、θアルミナの粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたαアルミナが40g、Pt担持セリア系複合酸化物が30g、θアルミナが80gとなるように注入し、均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、内側層を形成した。
【0242】
2)外側層の形成
2)−1 白金含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンメトキシプロピレート 38.6g(0.090モル)
カルシウムメトキシプロピレート 2.2g(0.010モル)
鉄メトキシプロピレート 29.1g(0.090モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、白金アセチルアセトナート3.93g(0.010モル)をトルエン40mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaCaFePtを含む均一混合溶液を調製した。
【0243】
そして、θアルミナの粉末をトルエン200mLにといて、さらに丸底フラスコの均一混合溶液を加えて、攪拌混合した。
【0244】
次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0245】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaCaFePt複合酸化物の結晶前組成物が分散しているθアルミナを得た(混合物)。次いで、この結晶前組成物が分散しているθアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La0.90Ca0.10Fe0.90Pt0.10からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナの粉末を得た。
【0246】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とθアルミナとが、重量比で2:3の割合となるように調製した。
【0247】
2)−2 外側層および排ガス浄化用触媒の製造
上記により得られた白金含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナの粉末に、Ptが0.75重量%およびRhが1.25重量%担持されたZr0.70Ce0.25La0.02Nd0.03OxideからなるPt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物(製造例A4−1)の粉末、および、Ptが0.33重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−2)の粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、白金含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたθアルミナが3.2g、Pt−Rh担持ジルコニア系複合酸化物が40g、Pt担持セリア系複合酸化物が60gとなるように注入し、内側層の表面に均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、外側層を形成し、これによって、排ガス浄化用触媒を得た。
【0248】
得られた排ガス浄化用触媒において、ハニカム担体1リットルに対する各金属の含有量は、内側層において、Ptが0.10g、Pdが0.35g、外側層において、Ptが0.60g、Rhが0.50gであった。
【0249】
比較例QX−1
ランタンエトキシエチレート 40.6g(0.100モル)
鉄エトキシエチレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0250】
そして、Zr0.70Ce0.25La0.020.03Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A5)の粉末をトルエン200mLにといて、さらに丸底フラスコの均一混合溶液を加えて、攪拌混合した。
【0251】
次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0252】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFePd複合酸化物の結晶前組成物が分散しているジルコニア系複合酸化物を得た(混合物)。次いで、この結晶前組成物が分散しているジルコニア系複合酸化物(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたZr0.70Ce0.25La0.020.03Oxideからなるジルコニア系複合酸化物からなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0253】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とジルコニア系複合酸化物とが、重量比で1:4の割合となるように調製した。
【0254】
比較例QX−2
ランタンエトキシエチレート 40.6g(0.100モル)
鉄エトキシエチレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、ロジウムアセチルアセトナート2.00g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFeRhを含む均一混合溶液を調製した。
【0255】
そして、Zr0.50Ce0.40La0.050.05Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A3)の粉末をトルエン100mLにといて、さらに丸底フラスコの均一混合溶液を加えて、攪拌混合した。
【0256】
次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0257】
その後、室温下で2時間攪拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFeRh複合酸化物の結晶前組成物が分散しているジルコニア系複合酸化物を得た(混合物)。次いで、この結晶前組成物が分散しているジルコニア系複合酸化物(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Rh0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたZr0.50Ce0.40La0.050.05Oxideからなるジルコニア系複合酸化物からなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0258】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とジルコニア系複合酸化物とが、重量比で2:3の割合となるように調製した。
【0259】
比較例QX−3
ランタンメトキシプロピレート 36.6g(0.090モル)
カルシウムメトキシプロピレート 2.2g(0.010モル)
鉄メトキシプロピレート 29.1g(0.090モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて撹拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、白金アセチルアセトナート3.93g(0.010モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaCaFePtを含む均一混合溶液を調製した。
【0260】
そして、Zr0.70Ce0.25Pr0.02Nd0.03Oxideからなるジルコニア系複合酸化物(製造例A6)の粉末をトルエン100mLにといて、さらに丸底フラスコの均一混合溶液を加えて、攪拌混合した。
【0261】
次いで、この溶液に、脱イオン水200mLを約15分かけて滴下した。そうすると、加水分解により褐色の粘稠沈殿が生成した。
【0262】
その後、室温下で2時間撹拌した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaCaFePtを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物が分散しているジルコニア系複合酸化物を得た(混合物)。次いで、この結晶前組成物が分散しているジルコニア系複合酸化物(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて800℃で1時間熱処理することによって、La0.90Ca0.10Fe0.90Pt0.10からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたZr0.70Ce0.25Pr0.02Nd0.03Oxideからなるジルコニア系複合酸化物からなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0263】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とジルコニア系複合酸化物とが、重量比で1:4の割合となるように調製した。
【0264】
比較例QX−4
ランタンエトキシエチレート 40.6g(0.100モル)
鉄エトキシエチレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0265】
この均一混合溶液に脱イオン水200mLを約15分かけて滴下して、加水分解した。生成した褐色のスラリーに、γアルミナの粉末98.0gを脱イオン水200mLにといて加えた。室温下で2時間攪拌混合した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物が分散しているγアルミナを得た(混合物)。
【0266】
次いで、この結晶前組成物が分散しているγアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたγアルミナからなる排ガス浄化用触媒の粉末を得た。
【0267】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とγアルミナとが、重量比で1:4の割合となるように調製した。
【0268】
比較例RX−5
Pdが1.10重量%担持されたθアルミナからなるPd担持θアルミナ(製造例C7)の粉末に、Ptが1.50重量%担持されたCe0.60Zr0.300.10OxideからなるPt担持セリア系複合酸化物(製造例B1−5)の粉末、および、Ptが1.50重量%およびRhが0.67重量%担持されたθアルミナからなるPt−Rh担持θアルミナ(製造例C6−3)の粉末を加え、脱イオン水に混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、Pd担持θアルミナが30g、Pt担持セリア系複合酸化物が40g、Pt−Rh担持θアルミナが60gとなるように注入し、均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、排ガス浄化用触媒を得た。得られた排ガス浄化用触媒のハニカム担体1リットルに対する各金属の含有量は、Ptの含有量が1.50g、Pdの含有量が0.33g、Rhの含有量が0.40gであった。
【0269】
比較例RX−6
1)内側層の形成
1)−1 パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性酸化物への担持
ランタンエトキシエチレート 40.6g(0.100モル)
鉄エトキシエチレート 30.7g(0.095モル)
上記の成分を、1000mL容量の丸底フラスコに加え、トルエン200mLを加えて攪拌溶解させることにより、混合アルコキシド溶液を調製した。そして、パラジウムアセチルアセトナート1.52g(0.005モル)をトルエン100mLに溶解して、この溶液を、さらに丸底フラスコの混合アルコキシド溶液に加えて、LaFePdを含む均一混合溶液を調製した。
【0270】
この均一混合溶液に脱イオン水200mLを約15分かけて滴下して、加水分解した。生成した褐色のスラリーに、γアルミナの粉末を脱イオン水200mLにといて加えた。室温下で2時間攪拌混合した後、減圧下でトルエンおよび水分を留去して、LaFePdを含むペロブスカイト型複合酸化物の結晶前組成物が分散しているγアルミナを得た(混合物)。
【0271】
次いで、この結晶前組成物が分散しているγアルミナ(混合物)を、シャーレに移し、60℃にて24時間通風乾燥後、大気中、電気炉を用いて650℃で1時間熱処理することによって、La1.00Fe0.95Pd0.05からなるペロブスカイト型複合酸化物が担持されたγアルミナの粉末を得た。
【0272】
なお、この粉末は、ペロブスカイト型複合酸化物とγアルミナとが、重量比で1:1の割合となるように調製した。
【0273】
1)−2 内側層の製造
上記で得られたパラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたγアルミナの粉末に、γアルミナの粉末を加え、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、パラジウム含有ペロブスカイト型複合酸化物が担持されたγアルミナが60g、γアルミナが30gとなるように注入し、均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、内側層を形成した。
【0274】
2)外側層および排ガス浄化用触媒の製造
Ptが2.00重量%およびRhが1.00重量%担持されたCe0.30Zr0.70からなるPt−Rh担持セリア系複合酸化物(製造例B2−1)の粉末、γアルミナの粉末に、脱イオン水を混合して、さらにアルミナゾルを加えることにより、スラリーを調製した。このスラリーを、3ミル/600セル、φ86mm×104mmのコージェライト質のハニカム担体1リットルに対して、Pt−Rh担持セリア系複合酸化物が50g、γアルミナが30gとなるように注入し、内側層の表面に均一にコーティングし、100℃で乾燥後、500℃で焼成することにより、外側層を形成し、これによって、排ガス浄化用触媒を得た。
【0275】
得られた排ガス浄化用触媒において、ハニカム担体1リットルに対する各金属の含有量は、Ptが1.00g、Pdが0.66g、Rhが0.50gであった。
【0276】
評価
試験例1
1)高温耐久処理(R/L 1000℃)
上記により得られた表1に示す実施例および比較例の排ガス浄化用触媒の粉末を、次の条件で高温耐久処理した。この高温耐久処理では、雰囲気温度を1000℃に設定し、不活性雰囲気5分、酸化雰囲気10分、不活性雰囲気5分、還元雰囲気10分の計30分を1サイクルとして、このサイクルを10サイクル、合計5時間繰り返した。なお、高温水蒸気を含む下記の組成のガスを、300L/hrの流量で供給することによって各雰囲気をつくり、また、各雰囲気における温度は、高温水蒸気によって1000℃に維持した。
【0277】
不活性雰囲気ガス組成:8%CO、10%HO、BalanceN
酸化雰囲気ガス組成:1%O、8%CO、10%HO、BalanceN
還元雰囲気ガス組成:0.5%H、1.5%CO、8%CO、10%HO、BalanceN
2)高温耐久処理(Air 1150℃)
上記により得られた表1に示す実施例および比較例の排ガス浄化用触媒の粉末を、大気雰囲気で高温耐久処理した。
【0278】
3)比表面積の測定
上記により得られた表1に示す実施例および比較例の排ガス浄化用触媒の耐久処理前の比表面積と、上記の各高温耐久処理後の比表面積とを測定した。なお、比表面積の測定は、BET法に従った。その結果を表1に示す。
【0279】
【表1】
Figure 0004263542
試験例2
耐久試験
V型8気筒排気量4Lのエンジンの片バンクに、上記で得られた表2および表3に示す実施例および比較例の排ガス浄化用触媒を、それぞれ装着し、触媒床内の最高温度が表2および表3に示す1050℃または1100℃となる30秒で1サイクルの耐久パターンを、表2および表3に示す時間繰り返した後、空燃比A/F=14.3、900℃で2時間アニーリングした。
【0280】
耐久パターンは、0〜5秒(5秒間)は、フィードバック制御により、理論空燃比(A/F=14.6:ストイキ状態)で運転し、排ガス浄化用触媒の内部温度が850℃付近となるようにした。5〜30秒(25秒間)は、フィードバック制御を解除した。5〜7秒(2秒間)は、燃料を過剰に噴射し、燃料リッチ(A/F=11.2)な混合気をエンジンに供給した。7〜28秒(21秒間)は、エンジンに燃料を過剰に供給しつつ、排ガス浄化用触媒の上流側から導入管を介して2次空気を吹き込んで、排ガス浄化用触媒の内部で過剰な燃料と2次空気を反応させて温度を上昇させた。この間の排ガス浄化用触媒中の排ガスの空燃比は、ストイキ状態よりもややリーン状態(A/F=14.8)とされており、触媒床内最高温度は、表2および表3に示す1050℃または1100℃であった。28〜30秒(2秒間)は、エンジンに過剰燃料を供給せずに、排ガス浄化用触媒に2次空気を供給し、排ガスの状態をリーン状態とした。
【0281】
排ガス浄化用触媒の温度は、ハニカム担体の中心部に挿入した熱電対によって測定した。燃料(ガソリン)には、リン化合物を添加し、排ガス中に含まれるリン元素によって触媒が被毒されるようにした。リン化合物の添加量は、表4〜7に示す耐久時間中に、リン元素に換算して816mgのリン元素が、排ガス浄化用触媒に付着するように設定した。
【0282】
2)HC50%浄化温度
実質的にストイキ状態に維持された混合気をエンジンに供給し、この混合気の燃焼によって排出される排ガスの温度を30℃/分の割合で上昇させつつ、耐久後の表2および表3に示す実施例および比較例の排ガス浄化用触媒に供給した。
【0283】
排ガス浄化用触媒には、空間速度(SV)を90000/時として排ガスを供給し、排ガス浄化用触媒で処理した排ガス中のHC濃度を測定した。このとき、排ガス中のHCが50%浄化されるときの温度をHC50%浄化温度とした。その結果を表2および表3に示す。なお、エンジンに供給される混合気は、フィードバック制御によって実質的にストイキ状態とされているが、そのA/F値は14.6±1.0となるように設定した。
【0284】
【表2】
Figure 0004263542
【0285】
【表3】
Figure 0004263542
【発明の効果】
本発明の排ガス浄化用触媒の製造方法によれば、ペロブスカイト型複合酸化物をθアルミナの粉末に担持させるので、高温での酸化還元雰囲気下の耐久においても、ペロブスカイト型複合酸化物が安定であり、比表面積の減少が少なく、ペロブスカイト型複合酸化物の耐熱性を十分に確保することができる。そのため、触媒性能の低下を有効に防止することができる。また、この排ガス浄化用触媒の製造方法によれば、工業的に効率よく、排ガス浄化用触媒を製造することができる。

Claims (5)

  1. 貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物を構成する元素成分を含む結晶前組成物を調製する工程、
    前記結晶前組成物と、θアルミナの粉末とを混合して混合物を調製する工程、
    前記混合物を熱処理する工程
    を備え
    前記ペロブスカイト型複合酸化物が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする、排ガス浄化用触媒の製造方法。
    AB 1−m (1)
    (式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、希土類元素および貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示し、mは、0<m<0.5の数値範囲のNの原子割合を示す。)
  2. 前記一般式(1)中のNが、Rh、PdおよびPtからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
  3. 前記一般式(1)で表されるペロブスカイト型複合酸化物が、下記一般式(2)で表されるRh含有ペロブスカイト型複合酸化物、下記一般式(3)で表されるPd含有ペロブスカイト型複合酸化物および下記一般式(4)で表されるPt含有ペロブスカイト型複合酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1または2に記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
    1−pA’1−qRh(2)
    (式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は、Ceおよび/またはPrを示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、pは、0≦p<0.5の数値範囲のA’の原子割合を示し、qは、0<q≦0.8の数値範囲のRhの原子割合を示す。)
    AB1−rPd(3)
    (式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、rは、0<r<0.5の数値範囲のPdの原子割合を示す。)
    1−sA’1−t−uB’Pt(4)
    (式中、Aは、La、Nd、Yから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、A’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Agから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、Fe、Mn、Alから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、B’は、Rh、Ruから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、sは、0<s≦0.5の数値範囲のA’の原子割合を示し、tは、0≦t<0.5の数値範囲のB’の原子割合を示し、uは、0<u≦0.5の数値範囲のPtの原子割合を示す。)
  4. 前記θアルミナが、下記一般式(5)で表されることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
    (Al1−g(5)
    (式中、Dは、Laおよび/またはBaを示し、gは、0≦g≦0.5のDの原子割合を示す。)
  5. 前記結晶前組成物を、前記貴金属以外のペロブスカイト型複合酸化物を構成する元素成分のアルコキシドを含む溶液と、下記一般式(6)で示されるβ−ジケトン化合物から形成される前記貴金属の錯体を含む溶液とを、混合することにより調製することを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の排ガス浄化用触媒の製造方法。
    COCHR COR (6)
    (式中、R は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基またはアリール基、R は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリール基または炭素数1〜4のアルキルオキシ基、R は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
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