JP4252500B2 - 車両制御装置 - Google Patents
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Description
したがって、ベルトが異常であると判定された場合には、始動装置に対してベルト使用が可能な軽度の異常であっても、ベルト駆動式の始動装置が使用不能となり、フェイルセーフ用として別の始動装置を設置する必要があり、コストアップを招くという課題があった。
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両制御装置を示すブロック構成図であり、特にエンジン始動システム(以下、「本システム」という)の関連構成を示している。
ここでは、一例として、本システムを、アイドルストップシステムが搭載された車両の制御装置に適用した場合について説明するが、これに限定されることはなく、たとえばハイブリッド車両にも適用可能である。
MG2は、電源3からの給電により駆動されるとともに、エンジン1の通常運転中においては発電機として機能し、電源3に発電電力を供給するようになっている。
各プーリ10〜12を連結するベルト13としては、一般に設けられた補機6の駆動用のVリブドベルトを用いることができる。
ECU4は、たとえば、アイドルストップ制御用のプログラムなど(図示せず)に加えて、ベルト13の異常の有無を検出する異常検出手段40を備えている。
異常検出手段40は、各回転センサ8A、8Bの検出値(エンジン1の回転数NengおよびMG2の回転数Nmtr)に基づいて、異常判定用の時間t_jg(以下、「劣化評価指標値」ともいう)を算出し、劣化評価指標値t_jgに基づいて、最終的にベルト13の異常状態を検出する。
MG回転数変換部41Aは、エンジン1のクランクプーリ10の直径とMG2のプーリ11の直径とのプーリ比PRを算出するとともに、プーリ比PRを用いてMG2の回転数Nmtrをエンジン回転数相当値Nmtr_hatに変換する。
回転数偏差算出部41は、エンジン1の回転数Nengとエンジン回転数相当値Nmtr_hatとの回転数偏差ΔNを求め、これをベルト13の滑り量としてベルト滑り判定部42に入力する。
また、ベルト13に滑りが発生していない場合には、Nmtr×PR=Neng、の関係が成立するので、PR=1であれば、Nmtr=Neng、となる。
したがって、PR=1の場合には、MG回転数Nmtrをそのままエンジン回転数相当値として用いることができる。
また、各回転数Neng、Nmtrに上記関係がある場合、MG回転数変換部41Aは、MG回転数Nmtrをプーリ比で除算することにより、エンジン回転数相当値Nmtr_hatを算出することになる。
時間t_jgは、EEPROM44に記憶されるとともに、必要時に異常検出手段40によって読み出され、異常判定部45によるベルト13の異常判定に用いられる。
また、エンジン回転数Nengおよびモータ回転数(MG回転数)Nmtrを測定するための回転センサ8A、8Bは、特別な専用センサとして付加されたものではなく、既存のセンサが使用されている。
さらに、スタータ5は、ベルト13が滑った場合に、確実にエンジン1を始動させるために使用され得るが、この場合、必ず設置されるべきものではなく、省略することもできる。
図2は主にベルト滑り判定部42および時間計測部43の処理を示すフローチャートである。
続いて、MG回転変換部41Aは、エンジン1のクランクプーリ10の直径と、MG2のプーリ11の直径とからプーリ比PRを求め、MG回転数Nmtrをプーリ比PRで除算してエンジン回転数相当値Nmtr_hatに変換し(ステップS11A)、回転数偏差算出部41に入力する。
続いて、ベルト滑り判定部42は、回転数偏差ΔNの絶対値と所定の滑り判定値ΔNthとを比較し、回転数偏差ΔNの絶対値が滑り判定値ΔNthを超えたか否かを判定する(ステップS11)。
第1の基準値t_jgth1(異常判定用のしきい値)は、たとえば、ベルト13の正常状態を示す許容範囲(正常範囲)内の上限値に設定されている。
最後に、最新の劣化評価指標値t_jgをEEPROM44に記憶させて(ステップS18)、図2の処理ルーチンを終了してリターンする。
したがって、EEPROM44に記憶された劣化評価指標値t_jgは、電源3(バッテリ)が取り外された(ECU4への給電がOFFされた)場合でも、クリアされることはなく、ベルト13の異常状態に対応した履歴情報として保持される。
また、第2の基準値t_jgth2は、ベルト13の滑りが発生してエンジン1が始動できない程度のレベルに対応した値であり、たとえば、数[sec]程度に設定されている。
図3において、横軸は時間t(0.00〜0.80[sec])であり、縦軸はエンジン回転数Neng、MG回転数Nmtr、回転数偏差ΔN、劣化評価指標値t_jg(累積時間)、をそれぞれ示している。
たとえば、時間tが0.30[sec]を超えた時点で、一時的に、ΔN≦ΔNthとなっており、このときの劣化評価指標値t_jgの値は一定値となっている。
すなわち、回転数偏差算出部41は、モータ回転数Nmtrとエンジン回転数Nengとの回転数偏差ΔNを算出し、ベルト滑り判定部42は、ベルト13の滑り発生に起因した回転数偏差ΔNを所定の滑り判定値ΔNthと比較し、時間計測部43は、ΔN>ΔNthを示す期間に劣化評価指標値t_jgを増加させる。
図4は異常状態のレベルに応じた警報ランプ14の点灯ロジックを示している。
図4において、異常判定部45は、まず、ベルト13の滑りの程度に応じた軽度異常フラグF1および重度異常フラグF2(前述の図2の判定でセット/クリアした)をチェックする。
したがって、運転者は、異常状態のレベルに応じて具体的な対処の要否を判断することができる。なお、警報ランプ14に代えて、または警報ランプ14に加えて、ブザーや報音装置などを警報装置として用いてもよい。
さらに、異常しきい値を特に設定せずに、異常状態を無段階に判定可能な構成とし、劣化評価指標値t_jgを直接的に各種制御(たとえば、ベルト13の滑りを回避する制御)に用いてもよい。
なお、上記実施の形態1では、MG2の要求トルクが増大する(ベルト13の滑りが発生し易い)期間として、エンジン1の始動時を選択し、エンジン始動時に滑り判定処理を実行したが、運転者がアイドルストップを禁止した(再始動が実行されない)場合を考慮して、エンジン1の通常運転時に、一定期間ごとに負荷トルクを増大させることにより、MG2の要求トルクを増大させて滑り判定処理を実行してもよい。
また、負荷トルク変更手段は、MG2による発電停止および発電運転を繰り返し実行して、電気負荷を急増させてMG2の要求トルクを増大させて、ベルト13の異常を効率的に検出できるようにしている。
ただし、エンジン1の負荷トルクに変化を与える手段であれば、電気負荷の変更手段に限らず、他の手段を用いてもよい。
図5はこの発明の実施の形態2による発電停止/発電運転の実行時の滑り判定処理を説明するためのタイミングチャートであり、横軸は時間t_[hour]、縦軸は、電気負荷トルク、回転数偏差ΔN、劣化評価指標値t_jg、をそれぞれ示している。
なお、この発明の実施の形態2に係る車両制御装置の構成は、図1に示した通りであり、異常検出手段40による処理の実行タイミングが異なるのみである。
このとき、時刻t_2での発電再開時には、ベルト13の滑りが発生していないが、時刻t_4から時刻t_5までの期間(破線枠参照)においては、ベルト13の滑りが発生しており、劣化評価指標値t_jgが増大している。
図6において、まず、カウンタ値CNTをインクリメントし(ステップS30)、カウンタ値CNTが発電停止中の所定時間t_LDB(たとえば、10分間)以上に達したか否かを判定する(ステップS31)。
ステップS34において、CNT≧t_LDA(すなわち、YES)と判定されれば、カウンタ値CNTを0クリアし(ステップS35)、CNT<t_LDA(すなわち、NO)と判定されれば、ステップS35を実行せずに、図6の処理ルーチンを終了してリターンする。
図6の一連の処理を実行することにより、一定期間t_LDAの間隔ごとに、所定時間t_LDBだけ発電を停止させることができる。
また、エンジン1の始動時以外でもベルト13の異常検出処理が実行されるので、たとえば運転者がアイドルストップを禁止指示したような場合(始動回数が少なく、検出頻度が少ない場合)でも、確実に高精度な異常検出を実現することができる。
これにより、たとえば、ベルト13のメンテナンス後に劣化評価指標値t_jgが初期値に戻されるので、警報ランプ14などの誤点灯を回避することができる。
Claims (11)
- 車両に搭載されたエンジンを制御する車両制御装置であって、
前記エンジンの始動時に無端状部材を介して前記エンジンを駆動する始動装置と、
前記始動装置および前記車両制御装置に給電を行う電源と、
前記エンジンの回転数を検出する第1の回転センサと、
前記始動装置の回転数を検出する第2の回転センサと、
前記第1および第2の回転センサの各検出値に基づいて前記無端状部材の異常を検出する異常検出手段と、を備え、
前記異常検出手段は、
前記各検出値を用いて前記無端状部材の滑り量を算出する滑り量算出部と、
前記滑り量が所定値を超えている場合に前記無端状部材が滑り状態にあることを判定する滑り判定部と、
前記滑り状態が判定された時間に基づいて前記無端状部材の評価指標値を算出する指標値算出部と、
前記評価指標値を記憶するメモリ部と、
前記評価指標値を複数の基準値と比較することにより前記無端状部材の異常状態を段階的に判定する異常判定部と、
を含むことを特徴とする車両制御装置。 - 前記滑り量算出部は、
前記エンジンのプーリ径と前記始動装置のプーリ径とのプーリ比を算出するとともに、前記プーリ比を用いて前記始動装置の回転数をエンジン回転数相当値に変換する回転数変換部と、
前記エンジンの回転数と前記エンジン回転数相当値との回転数偏差を求める回転数偏差算出部と、
を含み、前記回転数偏差を前記滑り量として算出することを特徴とする請求項1記載の車両制御装置。 - 前記異常検出手段は、前記エンジンの始動時に前記無端状部材の異常検出処理を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両制御装置。
- 前記エンジンの周辺温度を検出する温度センサ手段を設け、
前記異常検出手段は、前記周辺温度が所定温度以下の低温状態を示す場合には、前記無端状部材の異常検出処理の実行を禁止することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車両制御装置。 - 前記メモリ部は、EEPROMにより構成され、前記電源からの給電が遮断されても、記憶内容を保持することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の車両制御装置。
- 前記異常検出手段は、前記無端状部材の異常検出処理を複数回実行しても、前記無端状部材の異常が検出されない場合には、
前記評価指標値を初期値にクリアすることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両制御装置。 - 前記異常検出手段に接続された警報手段を備え、
前記異常検出手段は、前記無端状部材の異常を検出した場合には、前記警報手段を駆動して、前記車両の運転者に異常状態を報知するとともに、
前記無端状部材の段階的な異常状態に応じて、前記警報手段の駆動状態を変更することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の車両制御装置。 - 前記エンジンの通常運転時に、一定期間ごとに前記エンジンに対する負荷トルクを変化させる負荷トルク変更手段を備え、
前記異常検出手段は、負荷トルク変更手段により前記負荷トルクが変化されたときに、前記無端状部材の異常検出処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の車両制御装置。 - 前記始動装置は、モータジェネレータにより構成され、
前記負荷トルク変更手段は、前記一定期間ごとに、所定時間にわたって前記モータジェネレータによる発電運転を停止させた後に、前記始動装置による発電運転を再開させて前記エンジンに対する電機負荷を増大させることを特徴とする請求項8に記載の車両制御装置。 - 前記指標値算出部は、
前記滑り量が前記所定値を超えている時間を計測する時間計測部により構成され、
前記滑り量が前記所定値を超えている時間を、前記評価指標値として算出することを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の車両制御装置。 - 前記異常判定部は、
前記評価指標値を、前記無端状部材の正常範囲の上限値に対応した第1の基準値と比較し、
前記評価指標値が前記第1の基準値を超えた場合には、前記評価指標値を、前記第1の基準値よりも大きい値で前記無端状部材の軽度異常範囲の上限値に対応した第2の基準値と比較し、
前記評価指標値が前記第1の基準値以下を示す場合には、前記無端状部材が正常状態と判定し、
前記評価指標値が前記第1の基準値よりも大きく且つ前記第2の基準値以下を示す場合には、前記無端状部材が軽度異常状態と判定し、
前記評価指標値が前記第2の基準値よりも大きい場合には、前記無端状部材が重度異常状態と判定することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の車両制御装置。
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