JP4250845B2 - 活性エネルギー線硬化型ホットメルト接着剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性エネルギー線硬化型ホットメルト接着剤、さらに詳しくは、結晶性のポリエステル樹脂に環状イミド基を導入し、これを活性エネルギー線で硬化することにより、耐熱性を向上させた活性エネルギー線硬化型ホットメルト接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットメルト接着剤は、無溶剤型で冷却固化による短時間接着性を有することから、プラスチック、金属、セラミック等の平面接着、密封シール、嵌合部の固定等に使用されている。これらのホットメルト接着剤は、耐熱性を得ようとする場合、高軟化点の樹脂が使用される。しかしながら、要求される耐熱性のレベルが高くなれば、それに伴い樹脂の溶融温度も高くなり、接着剤塗工時の被着材料に対する熱によるダメージが増大する。特に熱ダメージを受けやすいプラスチック、プラスチックフィルム、メッキ面、蒸着面、印刷面への影響は深刻である。
【0003】
これらの問題を解決する手段として、末端にイソシアネート基を有する湿気硬化型反応性ホットメルトが考案され一部の分野に利用されているが、湿気硬化が完了するのに数日間を要するため、必要な耐熱性が直ぐに得られないという欠点がある。特に、気密性の良いプラスチック、プラスチックフィルム、ガラスが接着対象の場合、接合部に外部から水分の供給が無いため、硬化速度は益々遅くなる。また、湿気硬化型の場合、硬化時に発生する炭酸ガスの影響を受け、気密性材料に適用した場合、ふくれ、はがれが生じ、外観不良、接着不良の原因となる。
【0004】
一方、ホットメルト接着剤に活性エネルギー線硬化性のアクリル化合物を配合し、これをUV照射で硬化せしめ、耐熱性を向上させる試みが特開昭47−1086号でなされている。当該公報について、特開平1−141969号公報には、アクリレートモノマーは配合時あるいは塗布作業時の加熱によって容易に重合を起こし、アクリル系ホットメルト接着剤は増粘、ゲル化が頻繁に起こるとの記載がある。すなわち、アクリル系化合物は、熱ラジカル重合性、嫌気硬化性を有するため、密閉系で加熱状態になるアプリケータータンク内、ホース、ノズル部で重合固化を起こしやすいのである。上記特開平1−141969号公報において、ホットメルト型接着剤ベース成分に紫外線架橋性成分としてアクリロイル基を有する飽和炭化水素系樹脂オリゴマー、および光開始剤から成ることを特徴とする熱安定性を改良した紫外線架橋性ホットメルト型接着剤の提案がなされているが、アクリル化合物を配合することが必須条件であり、熱安定性の根本的な改善には至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明は従来の耐熱性ホットメルト接着剤の課題である耐熱性レベルの低さと高い溶融温度、湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤の課題である反応時間の遅さ、ガスの発生、およびアクリル系活性エネルギー線硬化型ホットメルト接着剤の課題である熱安定性の悪さを解決するため、全く別の技術をホットメルト接着剤に適用することにより、耐熱性、作業性、安定性に優れた耐熱性ホットメルト接着剤を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討を進めたところ、特定の環状イミド基を2個以上有する融点40℃以上のポリエステルからなる活性エネルギー線硬化型ホットメルト接着剤により、溶融温度低減、硬化速度アップ、ガスの発生の阻止、および熱安定性の改善が達成されることを見出し本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
○環状イミド基を有するポリエステル
本発明の接着剤で使用するポリエステルは、下記一般式(1)で表される環状イミド基(以下、単に環状イミド基という)を2個以上有する融点40℃以上のポリエステル樹脂である。
【0008】
【化2】
(1)
【0009】
但し、式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立したアルキル基、あるいは水素原子であるか、又はそれぞれが一つとなって炭素環を形成する基である。ここでアルキル基としては、炭素数4以下のものが好ましい。また炭素環を形成する基としては、基−CH2CH2CH2−、又は基−CH2CH2CH2CH2―が好ましい。
【0010】
環状イミド基としては、R1及びR2の少なくとも一方がアルキル基であるもの、及びそれぞれが一つとなって炭素環を形成する基であるものが耐水性に優れ好ましい。即ち、好ましい環状イミド基の例として、下記式(2)及び式(3)で表される環状イミド基等を挙げることができる。
【0011】
【化3】
(2)
【0012】
式(2)の環状イミド基は、式(1)において、R1及びR2が一つとなって基−CH2CH2CH2CH2−を含む環状イミド基である。
【0013】
【化4】
(3)
【0014】
式(3)の環状イミド基は、式(1)において、R1がメチル基で、R2が水素原子である環状イミド基である。
【0015】
本発明において環状イミド基を2個以上有するポリエステルとは、環状イミド基を分子中に2個以上有し、かつ分子の主鎖中にポリエステル結合を含んでいる重合体であり、分子の主鎖ないし分岐の一部にポリエステル結合以外の化学結合(例えばウレタン結合、エーテル結合など)を有しているものも含まれる。
本発明の接着剤で用いられるポリエステルが有する、環状イミド基同志は後述するように、活性エネルギー線の照射によって架橋硬化する性質をもつため、これによって接着剤の耐熱性を大幅に向上させることができる。本発明の接着剤で用いられるポリエステルが、該環状イミド基を2個以上必要とするのはこのためである。
また本発明のポリエステルが融点は40℃以上でなければならない。40℃未満の場合は、夏場など取り扱う環境温度が上昇した場合、軟化あるいは液状化してしまい、取扱いが困難になるからである。
【0016】
本発明で使用する環状イミド基を2個以上有するポリエステルは、主として次の3種の方法によって合成できる。
▲1▼分子内に2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール1種以上と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート1種以上とを反応させることにより生成する末端に2個以上のイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、環状イミド基を有し、かつ活性水素基を有する化合物を反応させることにより合成される。ここで環状イミド基を有し、かつ活性水素基を有する化合物としては、環状イミド基を持つアルキルアルコール等が挙げられる、当該アルコールは、置換基R1及びR2を有する無水 マレイン酸にアミノアルコールを付加環化させることにより得られる。
【0017】
▲2▼分子内に2個以上のカルボキシル基を有するポリエステルポリカルボン酸1種以上と、該ポリエステルポリカルボン酸の2倍モル以上の環状イミド基を持つアルキルアルコール1種以上とからエステル化反応によって合成される。
【0018】
▲3▼分子内に2個以上の水酸基を有するポリエステルポリオール1種以上と、該ポリエステルポリオールの2倍モル以上の式(1)で表わされる環状イミド基を持つカルボン酸とからエステル化反応により合成される。ここで環状イミド基を有するカルボン酸は、置換基R1及びR2を有する無水マレイン酸 に1級アミノカルボン酸を付加環化させることにより得られる。
これら環状イミド基を2個以上有するポリエステルは、単独で使用されても2個以上併用されても良い。
なお、上記▲1▼の方法は、▲2▼および▲3▼の方法よりも反応速度が早く、収率が高くて簡便に得られる点で優れており、より好ましい製造方法である。
【0019】
上記▲1▼の方法で本発明の環状イミド基を2個以上有するポリエステルを製造する場合の原料であるポリエステルポリオールとポリイソシアネートについて詳述する。
〇 ポリエステルポリオール
上記において使用されるポリエステルポリオールは、1種以上のポリカルボン酸と1種以上のポリオールとをランダム共縮重合させて得られる。ポリカルボン酸としてはコハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アイコ酸二酸、ε−カプロラクトン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、パラオキシ安息香酸などが挙げられるが、これらに限られるもので無く、分子内に2個以上のCOOH基を有するものであれば良い。
【0020】
また、ポリオールはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,6−ヘキサントリオールなどが挙げられるが、これらに限られるものでく、分子内に2個以上の基−OHを有するものであれば良い。
【0021】
〇 ポリイソシアネート
本発明のウレタンプレポリマーの原料として使用されるポリイソシアネートは、分子内に2個以上の基−NCOを有するものであり、従来より公知のものが使用可能である。具体的には、p−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニレンジイソシアネート、1,5−オクチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイネシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、およびカルボジイミド変性4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0022】
本発明において、ウレタンプレポリマーを製造する際のポリオールに対するポリイソシアネートの量は、基−NCO/基−OHの当量比が1〜4となるような範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜3である。
【0023】
本発明の接着剤は、前記した通り使用するポリエステルが置換または無置換型マレイミド基を有するため、活性エネルギー線により容易に硬化し、さらに紫外線あるいは可視光により硬化させる場合でも、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を有するものである。
【0024】
光重合開始剤を配合する場合において、光重合開始剤としては、ベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン類、アントラキノン類、チオキサントン類、ケタール類、ベンゾフェノン類及、キサントン類、アシルホスフィンオキシド類、α−ジケトン類等が挙げられる。光増感剤としては、安息香酸系及びアミン系光増感剤等が挙げられる。これらは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの配合割合としては、共重合体100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましい。
【0025】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型ホットメルト接着剤は、用途に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のラジカル重合防止剤、ロジン、テルペンフェノキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の粘着付与剤、その他充填剤、可塑剤、ワックス、酸化防止剤、帯電防止剤、増粘剤などが必要に応じて添加されて良い。
【0026】
【作用】
本発明のホットメルト接着剤は、大気中の湿気で硬化するイソシアネート基を有する湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤や加熱によりラジカル重合するアクリロイル基あるいはメタアクリロイル基を有する紫外線架橋性ホットメルト接着剤とは異なり、暗所保管であれば湿気の存在する大気中、あるいは加熱溶融状態にあるホットメルトアプリケーターのグルータンク内においても湿気硬化性が無くかつ熱ラジカル重合性が極めて低いため、保存安定性に優れ、一液型の接着剤として使用可能なものとなる。更に、ラジカル重合型の紫外線架橋性ホットメルト接着剤と硬化機構が根本的に異なるため、ラジカル重合防止剤の配合による重合阻害が無く、重合防止剤配合による安定性の調整が自由にできることも一つの特徴として挙げることができる。
【0027】
又、本発明の接着剤は、活性エネルギー線の照射により、ポリエステル中の置換または無置換のマレイミド基同士が分子間で架橋反応を起こし、その結果非常に優れた耐熱性を発現するものである。又、ポリエステルポリオールやポリエステルポリカルボン酸の共重合組成を目的に応じて変化させることにより、接着性、凝集力、柔軟性、流動性、融点、ガラス転移点等を調整することができる。尚、マレイミド基を有する重合体が紫外線を照射することにより架橋反応を起こすことは、特開昭52−988号公報及び特開昭55−160010号公報等により知られている。しかしながら、これら公報には、ホットメルト接着剤の用途が全く記載されておらず、本発明は、置換または無置換型マレイミド基を持つポリエステルが、ホットメルト接着剤という用途に使用できることを見出したことにより完成したものである。
【0028】
マレイミド基が、紫外線、あるいは可視光照射により水素引き抜き反応を起こし、ラジカルを発生させることが「Sonny Joenssonら、ラドテック’95ヨーロッパ 予講集<アカデミックデイ>p.34」等により知られているが、本発明におけるポリエステル中の置換または無置換型マレイミド基(即ち式(1)で表わされる環状イミド基)も、光重合開始剤の配合がなくとも同様の機構でラジカルを発生し、置換又は非置換型マレイミド基同士が架橋反応を起こすため、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を有するのである。従って、本発明の接着剤は、式(1)で表わされる環状イミド基即ち置換又は非置換型マレイミド基を含有しているため、活性エネルギー線により容易に硬化し、さらに紫外線、あるいは可視光により硬化させる場合でも、光重合開始剤を全く配合しないか又は少量の光重合開始剤の配合で、優れた硬化性を有するものである。
【0029】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
(合成例1)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)65.5g、ジブチルチンジラウレートを0.02gを仕込み80℃に昇温し、攪拌しながら2−ヒドロキシエチルシトラコイミド31.8gを滴下した。滴下終了後80℃で2時間攪拌した後、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオール102gを仕込み、更に80℃で2時間攪拌を行い、融点55℃の環状イミド基含有ポリエステルA1を得た。
【0030】
(合成例2)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)65.5g、ジブチルチンジラウレートを0.02gを仕込み80℃に昇温し、攪拌しながら2−ヒドロキシエチルシトラコイミド31.8gを滴下した。滴下終了後80℃で2時間攪拌した後、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオール102gを仕込み、更に80℃で2時間攪拌を行い、加えて融点62℃の環状イミド基含有ポリエステルA2を得た。
【0031】
(合成例3)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオール151gにヘキサメチレンジイソシアネート25.4g、ジブチルチンジラウレート0.02gを仕込み、80℃で1時間攪拌の後、2−ヒドロキシエチルシトラコイミド23.4gを仕込み、80℃で2時間攪拌を行い、融点50℃の環状イミド基含有ポリエステルA3を得た。
【0032】
(合成例4)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオール151gにヘキサメチレンジイソシアネート25.4g、ジブチルチンジラウレート0.02gを仕込み、80℃で1時間攪拌の後、2−ヒドロキシエチルシトラコイミド23.4gを仕込み、80℃で2時間攪拌を行い、融点64℃の環状イミド基含有ポリエステルA4を得た。
【0033】
(合成例5)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオール142gにジフェニルメタンジイソシアネート35.6g、ジブチルチンジラウレート0.02gを仕込み、80℃で1時間攪拌の後、2−ヒドロキシエチルシトラコイミド22.1gを仕込み、80℃で2時間攪拌を行い、融点47℃の環状イミド基含有ポリエステルA5を得た。
【0034】
(合成例6)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、1,6−ヘキサンジオールとセバシン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオール142gにジフェニルメタンジイソシアネート35.6g、ジブチルチンジラウレート0.02gを仕込み、80℃で1時間攪拌の後、2−ヒドロキシエチルシトラコイミド22.1gを仕込み、80℃で2時間攪拌を行い、融点52℃の環状イミド基含有ポリエステルA6を得た。
【0035】
(合成例7)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオール147gにヘキサメチレンジイソシアネート24.7g、ジブチルチンジラウレート0.02gを仕込み、80℃で1時間攪拌の後、2−ヒドロキシエチルテトラヒドロフタルイミド28.6gを仕込み、80℃で2時間攪拌を行い、融点49℃の環状イミド基含有ポリエステルA7を得た。
【0036】
(合成例8)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、1,6−ヘキサンジオールとセバチン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオール147gにヘキサメチレンジイソシアネート24.7g、ジブチルチンジラウレート0.02gを仕込み、80℃で1時間攪拌の後、2−ヒドロキシエチルテトラヒドロフタルイミド28.6gを仕込み、80℃で2時間攪拌を行い、融点49℃の環状イミド基含有ポリエステルA8を得た。
【0037】
(合成例9)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)113.7g、ジブチルチンジラウレートを0.02gを仕込み80℃に昇温し、攪拌しながら2−ヒドロキシエチルシトラコイミド49.8gを滴下した。80℃で2時間攪拌を続けた後、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオールを37.4g仕込み、80℃で2時間攪拌を行い、融点90℃の環状イミド基含有ポリエステルA9を得た。
【0038】
(合成例10)
攪拌機、温度計、冷却器を備えたフラスコに、イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL)113.7g、ジブチルチンジラウレートを0.02gを仕込み80℃に昇温し、攪拌しながら2−ヒドロキシエチルシトラコイミド49.8gを滴下した。80℃で2時間攪拌を続けた後、1,6−ヘキサンジオールとセバチン酸から縮重合して得られた分子量2000のポリエステルジオールを37.4g仕込み、80℃で2時間攪拌を行い、融点90℃の環状イミド基含有ポリエステルA10を得た。
【0039】
(接着剤の調整)
上記で得た環状イミド基含有ポリエステルを用いて、表1に示した組成に従って接着剤B1〜B10を調整した。接着剤の調整はイエロールームの中、各成分をガラス容器に仕込み80℃に加温し、攪拌機を用いて1時間攪拌して調整した。
【0040】
(実施例1〜10)
下記の評価方法に従って紫外線硬化による耐熱性の向上、熱安定性、可視光硬化性を評価し、表1および表2にまとめて示した。
【0041】
(1)耐熱クリープ性
厚さ0.12〜0.17mm、縦横18mmのガラス板を120℃で溶融した接着剤B1〜B10で貼り合わせ、得られた接着ピースの接着面に対して垂直方向に200gの荷重を掛け、80℃雰囲気下で接着剤層が剥がれるまでの時間を測定した。 次いで、同じ方法で貼りあわせたガラス板に、120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯、高さ10cm)を用いて3000mJの光量を照射した後上記と同一の方法て剥がれるまでの時間を測定した。測定は72時間迄とした。
以上の結果を表1に示した。いずれの接着剤も、光を照射することにより耐熱クリープ性が格段に向上した。
【0042】
(2)昇温クリープ
厚さ0.12〜0.17mm、縦横18mmのガラス板を120℃で溶融した接着剤B1〜B10で貼り合わせ、次いで、120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯、高さ10cm)を用いて3000mJの光量を照射して接着した。
得られた接着ピースの接着面に対して垂直方向に500gの荷重を掛けて、30℃から0.4℃/分で昇温して接着剤層が剥がれる温度を測定し、その結果を表1に示した。いずれの接着剤も100℃以上になるまで剥がれず、耐熱性に優れていることが認められた。
【0043】
(3)可視光硬化性
厚さ1mm、幅25mmの2枚のポリカーボネート板を120℃で溶融した接着剤B4を用いてラップ長が12.5mmになるように貼り合わせ、次いで、120W/cm集光型高圧水銀灯(1灯、高さ10cm)を用いて3000mJの光量を照射して接着した。得られた接着ピースの引張り剪断接着強さをJIS−K6850に準じて測定し、その結果を表2に示した。
ポリカーボネートは紫外線は透過しない材料であるが、表2の結果から、本発明の接着剤は、上記高圧水銀灯の光源中に含まれる可視光領域の光線によって硬化し、接着強さが向上したことが確認された。
【0044】
(4)熱安定性
120℃で溶融した接着剤B1〜B10を試験管に充填し、120℃で24時間加熱した後のゲル化の有無を調査し、その結果を表1に示した。どの接着剤ともゲル化せず、熱安定性は良好であった。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】
本発明に係る接着剤は、1液型の接着剤であり、熱安定性に優れ、光硬化により優れた耐熱性を発現し、かつポリカーボネートのごとき紫外線透過性の無い材料についても透過した可視光に感光し、高い接着力を発現する優れた活性エネルギー線硬化型ホットメルト接着剤である。
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