JP4247486B2 - プレキャストコンクリート床版の接合構造 - Google Patents
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Description
しかし、場所打ち鉄筋コンクリート構造物では、コンクリートが一体に構築されるため、部材単位での分解・再利用は困難であり、プレキャスト鉄筋コンクリート構造物の場合にも、組立の際には部材ごとに分割されたものを組立てるが、接合部は一体化されるため、やはり分解・再利用は困難である。
他方、特許文献1では、プレキャストコンクリート板の移動、据え付け時の高さ調整、板と板の連結およびグラウト注入を容易に行うため、プレキャストコンクリート板の端部に連結治具を埋め込み、ボルトでプレキャストコンクリート板同士を接合する発明が開示されている。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、低コスト且つ短工期で組立および解体することができるリユース可能な鉄筋コンクリート造の床を提供することを目的とする。
本発明では、突設部を有する接合端面間に充填材が充填されているので、プレキャストコンクリート床版間のせん断力および圧縮力を伝達することができる。また、充填材硬化後に引抜き可能な仕切板が接合端面間に介挿されているので、ジャッキなどの引抜き装置を用いて仕切板を引抜けば、プレキャストコンクリート床版を容易に解体してリユースすることができる。これにより、鉄筋コンクリート造の床をリユース可能な部材として組立・解体することが低コスト且つ短工期でできるようになる。
加えて、本発明では、床の解体時に斫り作業を伴わないので、騒音や粉塵が発生しない。
本発明では、接合端面に突設部を有するプレキャストコンクリート床版を梁の側面に接合することにより、階高を低く抑えることができる。加えて、プレキャストコンクリート床版の接合端面と梁の側面との間に引抜き可能な仕切板を介挿して充填材を充填することにより、仕切板を引抜けば、プレキャストコンクリート床版を容易に解体してリユースすることができる。
本発明では、仕切板の表面にシアキーを設けることにより、プレキャストコンクリート床版間でせん断力を伝達することができる。また、仕切板の引抜き方向に平行にシアキーを配設することにより、仕切板引抜き時にシアキーが障害とならず、容易に仕切板を引抜くことができる。
ここで、上端部とは、仕切板を接合端面間に介挿した際、上側になる端部を指し、下端部とは、仕切板を接合端面間に介挿した際、下側になる端部を指す。
本発明では、仕切板の上端部または下端部に引抜き用の孔を設けておくことにより、その孔にフックを引っ掛けてジャッキなどの引抜き装置を利用して引抜くことができる。
なお、引抜き用の孔に雌ねじ部を形成しておき、当該雌ねじ部にアイボルトなどを取り付け、そのアイボルトを利用して引抜いてもよい。
本発明では、仕切板が上端部から下端部に向けて厚さが漸減するテーパー状になっているので、容易に仕切板を引抜くことができる。
図1は、本発明に係るプレキャストコンクリート床版の接合構造の第一の実施形態を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態では、鉄筋コンクリート造の梁3上にプレキャストコンクリート床版2、2の接合端部2a、2aが対向配置されており、ダボ筋(突設部)4が突出する接合端面2b、2b間には充填材5が充填されるとともに、充填材5硬化後に引抜き可能な仕切板1が介挿されている。
仕切板1は、せん断力を伝達するためのシアキーとなる複数の丸鋼1b…が、矩形の平板1aの両面に溶接されたものである。複数の丸鋼1b…は、仕切板1の引抜き方向Pに平行に溶接されており、仕切板1を引抜く際に丸鋼1bが障害とならず、容易に仕切板1を引抜くことができるようになっている。
また、仕切板1の上端部には平板1aを貫通する孔1cが設けられており、その孔1cにフックを引っ掛けてジャッキなどの引抜き装置(図示省略)を利用して引抜くことができる。
仕切板1の長さは、引抜き作業が無理なく行える程度の長さとし、プレキャストコンクリート床版2の接合端部2aの全長に亘って配設する。仕切板1が長すぎると、仕切板1を引抜くのに必要となる引抜き力が大きくなりすぎるし、仕切板1が短すぎると、引抜き回数が多くなり施工の手間が増えるからである。
なお、設計条件により、プレキャストコンクリート床版2、2間でせん断力の伝達が必要で無い場合には、シアキーの無い滑らかな表面の仕切板1でもよい。
また、ダボ筋4に代えて、接合端面2bに凸状のシアコッターを形成してもよいし、あるいは、シアコッターを有する鋼板が接合端面2bに固着されていてもよい。
加えて、本実施形態によるプレキャストコンクリート床版の接合構造では、床の解体時に斫り作業を伴わないので、騒音や粉塵が発生しない。
図4に示した第二の実施形態では、鉄筋コンクリート造の梁13の側面13bを部分的に増打ちして増打ち部13aを形成し、増打ち部13a上にプレキャストコンクリート床版12の接合端部12aを載置する。そして、ダボ筋14が突出する、プレキャストコンクリート床版12の接合端面12bと梁13の側面13bとの間に充填材15が充填されるとともに、充填材15硬化後に引抜き可能な仕切板11が介挿される。これにより、階高を低く抑えることができる。
図8(a)に示した仕切板10は、上端部に引抜き用の孔10cを有する矩形の平板10aの両面に、シアキーとして型鋼10bを溶接したものである。
図8(b)に示した仕切板20は、矩形の平板20aの表面にリブ20bが一体的に成形されたものである。
また、図示していないが、鋼板自体が折板状になった仕切板でもよい。
図9(b)に示した仕切板40は、仕切板40の上端面40dから下端面40eに向けて断面が漸減するテーパー状になっており、容易に仕切板40を引抜くことができる。
2、12、22、32、42 プレキャストコンクリート床版
3、13、23、33、43 梁
4、14、24、34、44 ダボ筋(突設部)
5、15、25、35、45 充填材
Claims (7)
- 接合端面に突設部を有するプレキャストコンクリート床版同士が梁上で接合される構造であって、
対向する前記プレキャストコンクリート床版の接合端面間には充填材が充填されるとともに、当該充填材硬化後に引抜き可能な仕切板が介挿されていることを特徴とするプレキャストコンクリート床版の接合構造。 - 接合端面に突設部を有するプレキャストコンクリート床版が梁の側面に接合される構造であって、
前記プレキャストコンクリート床版の接合端面と前記梁の側面との間には充填材が充填されるとともに、当該充填材硬化後に引抜き可能な仕切板が介挿されていることを特徴とするプレキャストコンクリート床版の接合構造。 - 前記仕切板は、前記仕切板の引抜き方向に平行に配設されたシアキーをその表面に有することを特徴とする請求項1または2に記載のプレキャストコンクリート床版の接合構造。
- 前記仕切板は、その上端部または下端部に引抜き用の孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプレキャストコンクリート床版の接合構造。
- 前記仕切板は、上端部から下端部に向けて厚さが漸減するテーパー状になっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプレキャストコンクリート床版の接合構造。
- 前記突設部は、前記接合端面から突出する棒状部材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプレキャストコンクリート床版の接合構造。
- 前記突設部は、前記接合端面に凸状に形成されたシアコッターであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプレキャストコンクリート床版の接合構造。
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