JP5108555B2 - プレキャスト部材の接合構造 - Google Patents
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また、接合部材2と既設部材3との間にグラウトGを充填する空間を確保する構成では、グラウトGが硬化するまで支保工を設けて接合部材2を支持する必要があり、グラウトGの硬化が完了するまで次の工程に進むことができないため、施工期間が長くなってしまうという問題がある。
また、施工現場において各主筋に他の継手金具を取り付けることなく、各主筋に設けられた継手部材を連結することで、各主筋を簡単に連結することができる。
また、プレキャスト部材の接合端面と既設部材の接合端面とは突き合わされており、プレキャスト部材及び既設部材の各主筋に設けられた継手部材を連結することで、プレキャスト部材の接合端面と既設部材の接合端面とが密着し、プレキャスト部材と既設部材との間でせん断力が伝達される。したがって、従来の接合構造のように、プレキャスト部材と既設部材との間に充填されたグラウト等の充填材が硬化するのを待つことなく、速やかに次の工程に進むことができ、施工期間を短くすることができる。
また、プレキャスト部材や既設部材の接合端面から主筋を大きく突出させる必要がないとともに、各主筋の先端部に他の補強筋を重ねて継手を構成する必要もなくなる。
この構成では、継手部材に対してボルトを締め込むことで、各主筋を簡単に連結することができる。
この構成では、各主筋に設けられた継手部材に線状体である連結部材を巻き付けることで、各主筋を簡単に連結することができる。
この構成では、継手部材の孔部に挿通させた連結部材の端部に結び目を形成することで、各主筋を簡単に連結することができる。
この構成では、凹部内に充填された充填材が硬化することで、各継手部材を強固に連結することができる。
なお、各実施形態および各参考例の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
以下の各実施形態および各参考例では、工場で予め製作されたプレキャスト部材を既設部材に接合することで、ビルなどの構造物の柱や梁を建築する場合を例として説明する。
まず、第一実施形態の接合構造について説明する。
第一実施形態の接合構造1Aは、図1(a)及び(b)に示すように、構造物の梁を構成する接合部材2と、構造物の壁部を構成する既設部材3とを接合したものである。
接合部材2の接合端面2a側の縁部には、各主筋20・・・の先端部に対応する位置に複数の凹部2b・・・が形成されている。この凹部2bは直方体状に形成されており、接合部材2の接合端面2a及び外面2cに開口している。また、凹部2bの底面には主筋20の先端部が露出している。
また、継手部材21は、接合部材2の外面2cよりも突出しないように高さが設定されるとともに、既設部材3側に向けられた接合面21bが接合部材2の接合端面2aと面一になるように配置されている。
既設部材3の接合端面3a側の縁部には、各主筋30・・・の先端部に対応する位置に複数の凹部3b・・・が形成されている。この凹部3bは直方体状に形成されており、既設部材3の接合端面3a及び外面3cに開口している。また、凹部3bの底面には主筋30の先端部が露出している。
また、継手部材31は、既設部材3の外面3cよりも突出しないように高さが設定されるとともに、接合部材2側に向けられた接合面31bが既設部材3の接合端面3aと面一になるように配置されている。
これにより、接合部材2の主筋20に取り付けられた継手部材21の接合面21bと、既設部材3の主筋30に取り付けられた継手部材31の接合面31bとが突き合わされ、各継手部材21,31に形成された連結孔21c,31cが連通する。
なお、接合部材2を既設部材3に突き合わせるときに、接合部材2が自重によって下がることを考慮して、接合部材2に対して上げ越しを行ってもよい。
例えば、前記実施形態では、図1(b)に示すように、接合部材2及び既設部材3の各接合端面2a,3aを平面に形成しているが、図3に示すように、接合部材2の接合端面2aに形成した凸部2dと、既設部材3の接合端面3aに形成した凹部3dとが嵌り合うように構成することもできる。
この構成では、接合部材2の接合端面2aに形成した凸部2dがせん断キーの役割りを果たすことになり、接合部材2の接合端面2aと既設部材3の接合端面3aとの間のせん断力の伝達性能を高めることができる。
なお、接合部材2の接合端面2aに凹部を形成し、既設部材3の接合端面3aに凸部を形成してもよい。
なお、この構成では、各継手部材21,31を連結するときに、各継手部材21,31のナットN3,N3や各主筋20,30の先端部が互いに干渉することを防ぐために、接合面21b,31b側に配置されたナットN3や主筋20,30の先端部は、接合面21b,31bに形成された凹部21f,31f内に収められている。
また、接合面21b,31bに凹部21f,31fを形成することなく、図5(d)に示すように、各継手部材21,31の接合面21b,31bにスペーサ21g,31gを突設させることで、ナットN3や主筋20,30の干渉を防ぐこともできる。
次に、第二実施形態の接合構造について説明する。
第二実施形態の接合構造1Bは、図8(a)に示すように、各継手部材21,31を連結するための連結部材として線状体40を用いること以外は、第一実施形態の接合構造1A(図1(b)参照)と略同様の構成である。
このように、第二実施形態の接合構造1Bでは、各継手部材21,31に線状体40を巻き付けることで、各主筋20,30を簡単に連結することができる。
なお、線状体40としては、例えば、炭素繊維や耐アルカリ性のガラス繊維を用いることができる。
この構成では、各継手部材21,31の連結孔21c,31cに挿通させた線状体50の両端部に結び目51,51を形成することで、各主筋20,30を簡単に連結することができる。
次に、第一参考例の接合構造について説明する。
第一参考例の接合構造1Cでは、図11(a)に示すように、接合部材2及び既設部材3の凹部2b,3b内には、各主筋20,30の先端部を折り曲げて形成された折り曲げ部25,35がそれぞれ配置されている。
そして、接合部材2の接合端面2aと、既設部材3の接合端面3aとを突き合わせた状態で、図11(b)に示すように、繊維を用いた線状体60を各折り曲げ部25,35に巻き付け、この線状体60を締め上げて固定することで、各折り曲げ部25,35が連結され、線状体60の締め付け力によって、接合部材2の接合端面2aと既設部材3の接合端面3aとが密着し、接合部材2と既設部材3との間でせん断力が伝達される状態となる。
また、各主筋20,30に形成された折り曲げ部25,35に線状体60を巻き付けることで、各主筋20,30を簡単に連結することができる。
また、接合部材2及び既設部材3の各主筋20,30に形成された折り曲げ部25,35を連結することで、接合部材2の接合端面2aと既設部材3の接合端面3aとが密着し、接合部材2と既設部材3との間でせん断力が伝達されるため、速やかに次の工程に進むことができ、施工期間を短くすることができる。
また、接合部材2や既設部材3の接合端面2a,3aから主筋20,30を突出させる必要がないとともに、各主筋20,30の先端部に他の補強筋を重ねて継手を構成する必要もなくなる。
次に、第二参考例の接合構造について説明する。
第二参考例の接合構造1Dは、図12(a)に示すように、接合部材2及び既設部材3の凹部2b,3bには、各主筋20,30の先端部がそれぞれ配置されている。第二参考例では、各主筋20,30の先端部は軸方向に沿って直線状に形成されている。
第二参考例の接合構造1Dでは、接合部材2の接合端面2aと、既設部材3の接合端面3aとを突き合わせた状態で、連結部材であるスリーブ70に形成されたU字状の溝部71(図12(b)参照)内に、各主筋20,30の先端部を挿入する。スリーブ70では、溝部71に挿入された各主筋20,30よりも上側となる位置に、スリーブ70の両側壁に形成された貫通孔を通じて、溝部71の幅方向に亘ってボルトB4が設けられている。そして、ボルトB4の先端部をスリーブ70の外面に配置されたナットN4に締め込んで、その押圧力によって溝部71の溝幅を狭めている。このようにして、各主筋20,30の先端部をスリーブ70の溝部71内に挟み込むことで、各主筋20,30が連結され、接合部材2の接合端面2aと既設部材3の接合端面3aとが密着し、接合部材2と既設部材3との間でせん断力が伝達される状態となる。
また、各主筋20,30の先端部をスリーブ70の溝部71に挿入し、スリーブ70に設けられたボルトB4を締め込むことで、各主筋20,30を簡単に連結することができる。
また、接合部材2及び既設部材3の各主筋20,30の先端部をスリーブ70に定着させて連結することで、接合部材2の接合端面2aと既設部材3の接合端面3aとが密着し、接合部材2と既設部材3との間でせん断力が伝達されるため、速やかに次の工程に進むことができ、施工期間を短くすることができる。
また、接合部材2や既設部材3の接合端面2a,3aから主筋20,30を突出させる必要がないとともに、各主筋20,30の先端部に他の補強筋を重ねて継手を構成する必要もなくなる。
1B 接合構造(第二実施形態)
1C 接合構造(第一参考例)
1D 接合構造(第二参考例)
2 接合部材
2a 接合端面
2b 凹部
3 既設部材
3a 接合端面
3b 凹部
20 主筋
21 継手部材
21c 連結孔
30 主筋
31 継手部材
31b 接合面
31c 連結孔
40 線状体
50 線状体
51 結び目
60 線状体
70 スリーブ
Claims (5)
- プレキャスト部材を既設部材に接合する接合構造であって、
前記プレキャスト部材及び前記既設部材には主筋が配筋されるとともに、前記プレキャスト部材及び前記既設部材の接合端面には凹部が形成され、前記凹部の底面に前記主筋の先端部が露出するとともに、前記凹部内には前記主筋の先端部に設けられた継手部材が配置されており、
前記プレキャスト部材の接合端面と、前記既設部材の接合端面とが突き合わされ、前記プレキャスト部材及び前記既設部材の各主筋に設けられた継手部材が連結部材によって連結されていることを特徴とするプレキャスト部材の接合構造。 - 前記連結部材は、両端部が前記各継手部材にそれぞれ定着されたボルトであることを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト部材の接合構造。
- 前記連結部材は、繊維を用いた線状体であり、前記連結部材が前記各継手部材に巻き付けられていることを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト部材の接合構造。
- 前記連結部材は、繊維を用いた線状体であり、前記連結部材の両端部は前記各継手部材に形成された孔部にそれぞれ挿通されており、
前記連結部材の両端部に形成された結び目が前記各継手部材にそれぞれ係止されていることを特徴とする請求項1に記載のプレキャスト部材の接合構造。 - 前記凹部内には、充填材が充填されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプレキャスト部材の接合構造。
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