JP4797184B2 - 耐震壁構造及び耐震壁の築造方法 - Google Patents

耐震壁構造及び耐震壁の築造方法 Download PDF

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Description

本発明は、構造物の柱と梁または床で囲まれた空間に設置されて構造物の耐震性を向上させるための耐震壁構造及び耐震壁の築造方法に関する。
従来、既設の構造物の柱と梁または床で囲まれた空間に、コンクリート製のブロック(コンクリートブロック)を組積して新たな壁を増設し構造物の耐震性を向上させることが行なわれている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、このコンクリートブロックを組積して築造される耐震壁においては、コンクリートブロックの重量が大きいために、構造物への荷重負担が増大し、また組積する際の施工性が悪いという欠点があった。
これに対して、例えば炭素繊維などの繊維を樹脂で封止して一体形成した繊維強化複合部材(Fiber Reinforced Plastics:FRP)を耐震ブロック(FRPブロック)として用い、このFRPブロックを積層して構成される耐震壁構造がある(例えば、特許文献3参照)。この耐震壁構造において、FRPブロックは、壁面(外面)を形成する矩形平盤状の平面部と、この平面部の周縁部に、平面部に直交しつつ外側に延出するように設けられたフランジ部とを有して形成されている。そして、積層して隣接するFRPブロック同士がフランジ部同士を接着したりボルトで締結されて一体に結合され、このように複数のFRPブロックが一体に結合されて耐震壁が形成される。このようなFRPブロックで形成された耐震壁は、FRPブロックが繊維と樹脂で構成されるためその重量が小さく、耐震壁の築造に伴う構造物への荷重負担が抑えられ、また、コンクリートブロックと比較して施工時の取扱性に優れるという利点を有している。
特開平11−13291号公報 特開2005−248651号公報 特許第2914131号公報
しかしながら、上記のFRPブロックを積層してなる耐震壁構造においては、隣接するFRPブロック同士のフランジ部を全周に亘り接着樹脂やボルトで結合して構成されるため、FRPブロックの取扱性が優れるにもかかわらず、耐震壁の施工に際してFRPブロック同士の結合に相当な時間と労力を要するという問題があった。
また、接着樹脂を用いてFRPブロック同士を結合する場合には、FRPブロック同士を強固に結合するために、ある程度大きな塗り厚を必要とし、FRPブロックを多層に積層するに従い下方の接着樹脂が潰れたり、各FRPブロックへの接着樹脂の塗り厚のばらつきが生じて築造した耐震壁に寸法誤差が生じやすいという問題があった。さらに、個々のFRPブロックに接着樹脂を塗布しながら積層してゆくため、隣接するFRPブロック同士の外面が凹凸して、耐震壁の壁面(外面)に不陸が生じやすいという問題があった。
また、一般に、FRPブロックを積層して築造した耐震壁を構造物の柱や梁に接合する際には、耐震壁の周縁部と柱や梁との間に、接着樹脂を充填したり、鉄骨を設置しこれを介して接合している。接着樹脂によって接合する場合には、接着樹脂を充填する隙間が大きくなり過ぎると柱や梁との一体性に問題が生じるため、最下方に位置する1段目のFRPブロックを精度よく位置決めする必要が生じる。また、鉄骨を介して接合する場合には、鉄骨の重量が大きいため、耐震壁の築造場所への運搬や、柱や梁に接合する所定位置への設置が困難で多大な労力を要していた。
本発明は、上記事情を鑑み、施工性に優れ、構造物と好適に一体形成可能な耐震壁構造及び耐震壁の築造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の耐震壁構造は、構造物の柱と梁または床で囲まれた空間内に、繊維を樹脂で封止して略ブロック状に形成した繊維強化複合部材を、前記空間を埋めるように積層して形成される耐震壁構造であって、複数の繊維が並べられてシート状に形成された繊維シートが、隣接する前記繊維強化複合部材同士のそれぞれの露出する外面に樹脂で封止されつつ固着されて、隣接する前記繊維強化複合部材同士を一体に結合するように設けられ、且つ、前記繊維シートは、積層されて隣接する前記繊維強化複合部材同士の間に画成された積層線を挟む位置に筋状に設けられるとともに、前記外面側からの平面視で、前記積層線に対し、前記繊維シートの繊維方向が15〜45度の範囲内で交差するように設けられていることを特徴とする。
さらに、本発明の耐震壁構造において、前記繊維強化複合部材には、隣接する前記繊維強化複合部材側を向く端面側に係合凸部もしくは係合凹部が形成されており、隣接する前記繊維強化複合部材同士が、互いの前記係合凸部と前記係合凹部が係合されて保持されていることがより望ましい。
また、本発明の耐震壁構造において、前記繊維強化複合部材には、隣接する前記繊維強化複合部材側を向く端面側に、該端面から内側に凹むピン保持孔が設けられ、隣接する前記繊維強化複合部材同士が、互いの前記ピン保持孔に略棒状のピン部材の先端側と後端側のそれぞれの端部側がそれぞれ嵌合されて保持されてもよい。
さらに、本発明の耐震壁構造においては、積層した複数の前記繊維強化複合部材が一体に結合されて繊維強化積層体が構成され、該繊維強化積層体は、周縁部が、繊維を樹脂で封止して形成され前記柱または前記梁もしくは前記床に支持された連結部材に保持されて、前記構造物と一体とされていることが望ましい。
また、本発明の耐震壁の築造方法は、構造物の柱と梁または床で囲まれた空間内に、繊維を樹脂で封止して略ブロック状に形成した繊維強化複合部材を、前記空間を埋めるように積層して形成する耐震壁の築造方法であって、繊維を樹脂で封止して形成され積層した前記繊維強化複合部材を保持するための連結部材を、前記柱または前記梁もしくは前記床に支持させつつ設置する連結部材設置工程と、複数の前記繊維強化複合部材を積層する積層工程と、複数の繊維が並べられてシート状に形成された繊維シートを、隣接する前記繊維強化複合部材同士のそれぞれの露出する外面に、且つ前記繊維強化複合部材同士の間に画成された積層線を挟む位置に、前記積層線に対し、前記繊維シートの繊維方向が15〜45度の範囲内で交差するように樹脂で封止しつつ筋状に固着して隣接する前記繊維強化複合部材同士を一体に結合する結合工程と、を備えることを特徴とする。
本発明の耐震壁構造及び耐震壁の築造方法においては、繊維シートが、隣接する繊維強化複合部材同士のそれぞれの外面に樹脂で封止されつつ固着されて、隣接する繊維強化複合部材同士が一体に結合されることによって、繊維強化複合部材を順次積上げて外面に繊維シートを固着してゆくという簡易な操作で複数の繊維強化複合部材が一体に結合された耐震壁を築造することができ、従来の耐震壁構造のように、個々の繊維強化複合部材の端面に接着樹脂を塗りつけながら繊維強化複合部材を積層したり、繊維強化複合部材同士をボルトで締結する必要がなく、隣接する繊維強化複合部材同士の結合に係る労力を大幅に軽減させることができ、施工性を向上させることができる。また、隣接する繊維強化複合部材同士の間に接着樹脂が介在されないため、耐震壁の寸法誤差が生じることがない。このため、精度よく耐震壁を築造することが可能になり、構造物の柱や梁との接合を確実に行なえて、耐震壁の所定の耐震性能を確実に得ることが可能になる。
また、本発明の耐震壁構造においては、隣接する繊維強化複合部材同士の間に画成される積層線に対し、繊維シートの繊維方向が15〜45度の範囲内で交差するように繊維シートが固着されることによって、隣接する繊維強化複合部材間に作用するせん断力を確実に繊維シートの繊維で受けることができる。特に、繊維シートの繊維が、引張強度に対してせん断強度が小さい炭素繊維である場合においても、繊維強化複合部材間に作用するせん断力で繊維がせん断されることがなく確実に繊維強化複合部材間に作用するせん断力を受けることができる。これにより、確実に高耐力の耐震壁を築造でき、構造物の耐震性を確実に向上させることが可能になる。なお、繊維シートの繊維が、前記積層線に対して15度よりも小さな角度で設けられた場合には、繊維でせん断力を充分に受けることができず、45度よりも大きい場合には、繊維にせん断力が作用して破断しやすくなってしまう。
さらに、本発明の耐震壁構造においては、繊維強化複合部材に、隣接する繊維強化複合部材同士を保持するように係合する係合凸部と係合凹部が設けられていることによって、この係合凸部と係合凹部を係合させながら繊維強化複合部材を積層してゆくという簡易な操作で、耐震壁に不陸が生じないように位置決めして繊維強化複合部材を所定の位置に設置することができる。これにより、確実に耐震壁を高精度で形成することができるとともに、その施工性を向上させることが可能になる。また、これに加えて、隣接する繊維強化複合部材同士が係合されて積層されることにより、繊維強化複合部材に作用する水平力を隣接する繊維強化複合部材に伝達させて耐震壁全体で力を受けることができる。これにより、確実に構造物の耐震性を向上させることが可能になる。
また、繊維強化複合部材にピン保持孔が設けられ、隣接する繊維強化複合部材同士がこのピン保持孔に嵌合したピン部材を介して保持するように構成した場合においても、上記の係合凸部と係合凹部を具備した場合と同様に、ピン部材で隣接する繊維強化複合部材同士が位置決めされて施工性を向上させつつ耐震壁を高精度で形成できるとともに、ピン部材を介して水平力を隣接する繊維強化複合部材に伝達させて確実に構造物の耐震性を向上させることが可能になる。
さらに、本発明の耐震壁構造及び耐震壁の築造方法においては、複数の繊維強化複合部材が一体に結合されて構成された繊維強化積層体の周縁部を保持して繊維強化積層体を構造物と一体にする連結部材が設けられ、この連結部材が繊維を樹脂で封止して形成されていることによって、軽量の連結部材を用いて繊維強化積層体を構造物に一体にすることができ、従来の耐震壁構造のように重量の大きな鉄骨を用いる必要がなく、その運搬や設置を容易なものとし、施工性を向上させることができる。
また、連結部材が、底板部と側壁部を有する断面凹状に形成されてその空間に繊維強化積層体の周縁部を挿入して保持するように構成した場合には、複数の繊維強化複合部材を積層して形成した繊維強化積層体の寸法に誤差が生じた場合においても、底板部と繊維強化積層体の周縁部との間の隙間によってこの誤差を許容することができ、繊維強化積層体の寸法誤差に柔軟に対応することが可能になる。
また、本発明の耐震壁構造においては、柱と梁または床で囲まれた空間の隅角部側に、他の繊維強化複合部材よりも高耐力を有する繊維強化複合部材を設けることによって、地震時に、耐震壁に発生する応力が大きくなる隅角部側の耐震壁を高耐力にすることができ、確実に構造物の耐震性能を向上させることができる。さらに、耐震壁に発生する応力が小さい中央側の繊維強化複合部材を隅角部側よりも低耐力の繊維強化複合部材にすることができ、応力状態に応じて耐力の異なる繊維強化複合部材を適切に配置することによって、耐震壁の経済性を向上させることが可能になる。
以下、図1から図12を参照し、本発明の第1実施形態に係る耐震壁構造及び耐震壁の築造方法について説明する。本実施形態は、構造物の柱と梁で囲まれた空間内に設けられて構造物の耐震性を向上させるための耐震壁構造及び耐震壁の築造方法に関するものである。
本実施形態の耐震壁構造(耐震壁)Aは、図1及び図2に示すように、構造物1の立設する一対の柱1a、1bと、これら柱1a、1bに架構された一対の梁1c、1dとで囲まれた平面視に略矩形状を呈する空間2内に設けられ、この空間2を埋めるように積層された複数の繊維強化複合部材3と、積層した複数の繊維強化複合部材3を一体に結合する繊維シート4と、繊維シート4によって一体に結合した複数の繊維強化複合部材3からなる繊維強化積層体5の周縁部5aを保持して、繊維強化積層体5と構造物1を一体に接合するためのフレーム部材6とから構成されている。なお、本実施形態において、耐震壁構造Aは、構造物1の柱1a、1bと梁1c、1dで囲まれた空間2に設置されるものとして説明を行なうが、柱と梁と床で囲まれた空間に設置されてもよいものである。
繊維強化複合部材3は、炭素繊維などの繊維をエポキシ樹脂などの樹脂で封止して、矩形ブロック状を呈するように形成したFRP(Fiber Reinforced Plastics:FRP)ブロックとされている。本実施形態の耐震壁構造Aでは、このように形成した複数のFRPブロック3が、前記空間2を埋めるように積層され、隣接するFRPブロック3同士の互いの露出する外面3aが面一とされている。また、隣接するFRPブロック3同士が互いの外面3aに固着された繊維シート4で一体に結合され、複数のFRPブロック3と繊維シート4で繊維強化積層体(FRPブロック積層体)5を形成している。なお、本実施形態においては、FRPブロック3が上下方向に4つ、水平方向に6つ並べられて、FRPブロック積層体5が形成される。
繊維シート4は、図1、図3及び図4に示すように、複数の炭素繊維などの繊維4aが、例えばその延設方向(繊維方向)が二方向となるように並べられつつ積層されて帯状を呈するように形成されている。そして、繊維シート4は、繊維4aを封止するように例えばエポキシ樹脂などの接着樹脂(樹脂)が含浸され、隣接するFRPブロック3同士のそれぞれの露出する外面3aにこの接着樹脂を介して固着されている。
また、本実施形態においては、FRPブロック積層体5の外面(FRPブロック3の外面3a)側からの平面視で、隣接するFRPブロック3の対向する端面同士が当接してなる積層線Sが上下方向と水平方向に繋がり格子状を呈するように形成される。そして、繊維シート4は、前記平面視で、格子状をなす積層線Sを挟んで隣接するFRPブロック3のそれぞれの外面3aに固着されて、複数のFRPブロック3を一体に結合するように、上下方向と水平方向にそれぞれ複数条設けられている。
また、このように帯状に形成された繊維シート4は、図4に示すように、それぞれ二方向を向いて積層された複数の繊維4aが、前記平面視で、積層線Sに対して15〜45度(交差角θ)の範囲内で交差するように設けられている。なお、図4では、繊維4aが繊維シート4の一部に設けられているかのように図示しているが、二方向を向く繊維4aは繊維シート4の全体に設けられている。また、この繊維シート4は、FRPブロック積層体5の二面、すなわち互いに逆方向を向いて露出する2つの外面3aにそれぞれ格子状に固着されて複数のFRPブロック3を一体に結合している。
一方、繊維強化積層体5の周縁部5aを保持するフレーム部材6は、図1、図2及び図5から図8に示すように、上部連結部材6aと、一対の側部連結部材6b、6cと、下部連結部材6dの4つの連結部材6a〜6dから構成されており、それぞれ底板部6eと一対の側壁部6fとを有して断面凹状を呈するように形成されている。上部連結部材6aは、図5及び図6に示すように、構造物1の一対の梁1c、1dのうち、上方に位置する一方の梁1cの前記空間2を画成する下面1eに、底板部6eが例えばエポキシ樹脂などの接着樹脂7により開口部を下方に向けて固着されている。また、一対の側部連結部材6b、6cは、図7に示すように、一対の柱1a、1bのそれぞれ前記空間2を画成する側面1fに、接着樹脂7により開口部を空間2の内側に向けて固着されている。さらに、下部連結部材6dは、図8に示すように、下方に位置する他方の梁1dの上面1gに、底板部6eが接着樹脂7とアンカー8で固着され、開口部を上方に向けて設けられている。
また、これら連結部材6a〜6dは、それぞれが固着されて支持された柱1a、1bや梁1c、1dの延設方向に沿って形成されている。そして、図1に示すように、柱1a、1bと梁1c、1dが交差する空間2の4つの隅角部9側において、上部連結部材6aの端部と一対の側部連結部材6b、6cの上端とがそれぞれ連結され、下部連結部材6dの端部と一対の側部連結部材6b、6cの下端とがそれぞれ連結されている。これにより、フレーム部6は、FRPブロック積層体5の外面3a側からの平面視で略矩形枠状を呈するように形成されている。この一方で、上部連結部材6aには、その延設方向の途中で上部連結部材6aが不連続となるように切り欠かれた切欠部10が設けられている。この切欠部10は、FRPブロック3の水平方向の幅よりも若干大きな長さで形成されている。また、上部連結部材6a及び一対の側部連結部材6b、6cには、図1及び図5から図7に示すように、それぞれの側壁部6fに、側壁部6fと底板部6eで画成される空間と外部を連通させる複数のグラウト孔11が設けられている。これらのグラウト孔11は、各連結部材6a〜6cの延設方向に所定の間隔をもって並設されている。
上記のように形成された各連結部材6a〜6dは、底板部6eと一対の側壁部6fで画成される空間内に周縁部5aが挿入されて、FRPブロック積層体5を保持している。また、本実施形態においては、FRPブロック積層体5の周縁部5a側の外面3aと側壁部6fの内面とが接着樹脂12を介して固着されている。一方、下部連結部材6dでは、FRPブロック積層体5の周縁部5aが底板部6eの内面に接着樹脂12を介して固着され、上部連結部材6a及び一対の側部連結部材6b、6cでは、FRPブロック積層体5の周縁部5aと底板部6eの内面との間に隙間Hが設けられている。そして、この隙間Hには、接着樹脂や無収縮モルタルなどの充填材13が密実に充填されている。これにより、FRPブロック積層体5は、各連結部材6a〜6dを介して構造物1の柱1a、1bや梁1c、1dと一体に結合される。
ついで、上記の構成からなる耐震壁構造(耐震壁)Aを築造する方法について説明するとともに、本実施形態の耐震壁構造Aの作用及び効果について説明する。
はじめに、図9に示すように、構造物1の一対の柱1a、1bと一対の梁1c、1dにそれぞれ、上部連結部材6aと一対の側部連結部材6b、6cと下部連結部材6dを、接着樹脂7やアンカー8により固着して支持させる(連結部材設置工程)。また、上部連結部材6aは、その延設方向の途中にFRPブロック3の幅よりも大きな長さの切欠部10を形成するように設置される。このように各連結部材6a〜6dを設置する際には、連結部材6a〜6dが繊維を樹脂で封止して形成され軽量とされているため、従来の耐震壁構造で用いる鉄骨などと比較して、耐震壁構造Aを築造する現場への運搬が容易であるとともに、柱1a、1bや梁1c、1dへの設置も容易に行なえる。
ついで、図10に示すように、柱1a、1bと梁1c、1dで囲まれた空間2内にFRPブロック3を設置する(積層工程)。このとき、1段目のFRPブロック3は、下部連結部材6dに下端側を挿入して設置することで上下方向及び奥行き方向が容易に位置決めされる。また、一方の側部連結部材6bにFRPブロック3の一方の側端部(FRPブロック積層体5の周縁部5a)を挿入し、かつこの側端部と一方の側部連結部材6bの底板部6eとの間に隙間Hを形成するように挿入する。ついで、順次他方の側部連結部材6cに向けて隣り合うFRPブロック3の対向する端面同士が接触するようにFRPブロック3を水平方向に並べて設置してゆく。そして、1段目の最後に設置されるFRPブロック3が、他方の側部連結部材6cに底板部6eと側端部との間に隙間Hを形成しつつ挿入されて設置される。
ちなみに、1段目のFRPブロック3は、予め下部連結部材6dと一対の側部連結部材6b、6cの側壁部6f内面に塗布された接着樹脂12によって、これら下部連結部材6dと一対の側部連結部材6b、6cに挿入された部分の外面3aが固着され、水平方向の位置決めがなされる。そして、2段目、3段目のFRPブロック3を、隣接するFRPブロック3で画成される積層線Sが上下方向及び水平方向に繋がるように積層してゆく。このとき、本実施形態においては、水平方向及び上下方向に隣接するFRPブロック3の面接触する端面には接着樹脂を塗布せずにFRPブロック3を積層してゆく。
ついで、最上方のFRPブロック3(本実施形態では4段目のFRPブロック3)を積層する際には、図11に示すように、FRPブロック3の水平方向の幅よりも大きく形成した切欠部10からFRPブロック3を空間2内に挿入し、上部連結部材6aにその上端部側を係合させつつ水平方向にスライド移動させながら順次設置してゆく。そして、最後の1つのFRPブロック3を切欠部10直下に残された空間2に挿入して複数のFRPブロック3の設置を完了する。ここで、4段目のFRPブロック3を設置する前段で、上部連結部材6aの側壁部6fの内面に接着樹脂12を塗布しておくことにより上部連結部材6aにFRPブロック3の外面3aが固着される。また、上部連結部材6aに挿入されつつ固着されたFRPブロック3の上端部(FRPブロック積層体5の周縁部5a)と上部連結部材6aの底板部6eとの間には、隙間Hが形成されている。
このように複数のFRPブロック3の積層を完了した段階で、周縁部5a側のFRPブロック3は、各連結部材6a〜6dに挿入されて位置決めされており、それぞれの外面3aが略同一平面上に配されて保持されている。一方、周縁部5a側のFRPブロック3よりも内側に積層されたFRPブロック3は、隣接するFRPブロック3同士の端面が固着されていないため、例えば積層時に隣接するFRPブロック3同士の外面3aがずれて壁面に不陸が生じるおそれもある。しかしながら、本実施形態の耐震壁構造Aにおいて、内側のFRPブロック3は、この段階で結合されていないため、例えば不陸を生じさせているFRPブロック3を叩いてその位置を調整するなどして、隣接するFRPブロック3同士の外面3aが同一水平面上に位置するように調整することが可能である。
ついで、図5から図8及び図12に示すように、一対の側部連結部材6b、6c及び上部連結部材6aのグラウト孔11から接着樹脂または無収縮モルタルなどの充填材13を注入し、FRPブロック3と底板部6eの隙間Hに充填する。このとき、例えば、一対の側部連結部材6b、6cの下方に位置するグラウト孔11から充填材13を注入してゆき、上方に位置するグラウト孔11までの高さ範囲の隙間Hが充填された段階で、上方のグラウト孔11から再度充填材13を注入し、この操作を繰り返すことで、一対の側部連結部材6b、6cの隙間Hに密実に充填材13を充填する。そして、上部連結部材6aの隙間Hに充填材13を充填する際には、例えば一方の側部連結部材6b側のグラウト孔11から順次他方の側部連結部材6c側に向けて充填材13を充填してゆき、この隙間Hを密実に充填する。ちなみに、切欠部10に位置する部分においては、この部分に上端部が位置するFRPブロック3と上方の梁1cとの間に充填材13が充填されるよう予め型枠などを設置しておく。
ついで、上下方向と水平方向に繋がり格子状を呈する前記積層線Sを挟むように隣接するFRPブロック3の互いの外面3aに繊維シート4を接着する(結合工程)。このとき、本実施形態では、はじめに、例えば隣接するFRPブロック3の繊維シート4を接着する部分のそれぞれの外面3aに、樹脂をローラや刷毛などを用いて塗布し、塗布した樹脂に、繊維シート4とFRPブロック3の外面3aの間に気泡が内包されないように、かつ繊維4a方向が積層線Sに対して15〜45度の範囲内で交差するようにして繊維シート4を接着する。そして、接着した繊維シート4の上から再度樹脂を繊維4aに含浸させつつ塗布して、繊維4aを樹脂で完全に封止する。このように繊維シート4を、積層したFRPブロック3の積層線Sを覆うように外面3aに接着するという簡易な操作で、隣接するFRPブロック3同士が結合した図1に示すFRPブロック積層体5が形成され、本実施形態の耐震壁構造Aの施工が完了する。
なお、本実施形態では、繊維シート4を予めFRPブロック3の外面3aに塗布した樹脂に接着し、その上から再度樹脂を塗布して隣接するFRPブロック3同士を結合するものとしたが、例えば繊維シート4を接着する前に、予め樹脂を含浸させておき、この状態の繊維シート4をFRPブロック3に接着して結合するようにしてもよい。また、FRPブロック3の外面3aに樹脂を塗布した上で、予め樹脂を含浸させた繊維シート4を接着してもよい。さらに、予め樹脂を含浸させた繊維シート4に絶縁紙を貼り付けておき、FRPブロック3に接着する段階でこの絶縁紙を取り除いて接着するようにしてもよい。
上記のように築造された本実施形態の耐震壁構造Aにおいては、複数のFRPブロック3が繊維シート4によって一体に結合され、このように形成されたFRPブロック積層体5の周縁部5aが各連結部材6a〜6dで保持されているため、地震時に構造物1に作用する力が、柱1a、1bや梁1c、1dを通じて確実にFRPブロック積層体5に伝達される。そして、各FRPブロック3でこの伝達された力が受け止められ、隣接するFRPブロック3の間にせん断力が作用した場合においても、隣接するFRPブロック3同士を結合する繊維シート4でこのせん断力が受け止められる。また、このとき、繊維シート4が、繊維4a方向を積層線Sに対して15〜45度の範囲内で交差するように設けられているため、繊維4aに、例えば鉄筋の約10倍の引張強度を備える反面、せん断力が弱い炭素繊維を用いた場合においても、繊維4aに引張力が作用してせん断されることがなく、確実にFRPブロック3の間に作用するせん断力が受け止められる。これにより、耐震壁構造Aが築造された構造物1は、構造物1に作用した地震時の力がFRPブロック積層体5全体で受け止められ、柱1a、1bや梁1c、1dの変位が抑制されることになる。
したがって、本実施形態の耐震壁構造A及び耐震壁の築造方法によれば、FRPブロック3を順次空間2を埋めるように積上げ、互いの外面3aに繊維シート4を固着するという簡易な操作で複数のFRPブロック3が一体結合されたFRPブロック積層体(耐震壁)5を築造することができ、従来の耐震壁構造のように、個々のFRPブロックの端面に接着樹脂を塗りつけながら積層したり、FRPブロック同士をボルトで締結する必要がなく、隣接するFRPブロック3同士の結合に係る労力を大幅に軽減させて、大幅に施工性を向上させることができる。
また、隣接するFRPブロック3同士の間に接着樹脂が介在されないため、FRPブロック積層体5に寸法誤差が生じにくく、また、FRPブロック3の積層時に隣接するFRPブロック3同士が結合されていないため、たとえ隣接するFRPブロック3の間に不陸が生じた場合にもその修正が容易で、精度よく耐震壁を築造することが可能になる。よって、耐震壁Aの所定の耐震性能を確実に得ることが可能になり、確実に構造物1の耐震性を向上させることが可能になる。
また、本実施形態の耐震壁構造A及び耐震壁の築造方法においては、FRPブロック積層体5の周縁部5a側を保持してFRPブロック積層体5を構造物1と一体にする連結部材6a〜6dが繊維を樹脂で封止して形成されているため、その重量が小さく、従来の耐震壁構造に用いられる重量の大きな鉄骨と比較して、その設置を容易に行なうことができるとともに、耐震壁構造Aを築造する現場への運搬を容易に行なうことができ、施工性を向上させることができる。
また、連結部材6a〜6dが、底板部6eと側壁部6fを有する断面凹状に形成されてその空間にFRPブロック積層体5の周縁部5aを挿入しこれを保持するように構成されているため、この連結部材6a〜6dを介して確実に構造物1とFRPブロック積層体5とを一体に結合することができるとともに、複数のFRPブロック3を積層してFRPブロック積層体5を形成した際に、若干の寸法誤差が生じた場合においても、底板部6eとFRPブロック積層体5の周縁部5aとの間に形成される隙間Hによってこの誤差を許容することができる。これにより、FRPブロック積層体5の寸法誤差にも柔軟に対応することができ、容易に施工を行なうことが可能になる。
以上、本発明に係る耐震壁構造A及び耐震壁の築造方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、FRPブロック3や連結部材6a〜6d、繊維シート4に用いられる繊維が、炭素繊維であるものとして説明を行なったが、炭素繊維と同様に、大きな引張強度を有する例えばアラミド繊維(全芳香族ポリアミド繊維)など他の繊維が用いられて構成されていてもよいものである。また、FRPブロック3や連結部材6a〜6dを形成する樹脂や、繊維シート4や連結部材6a〜6dの接着に用いられる樹脂がエポキシ樹脂であるものとして説明を行なったが、例えばアクリル樹脂など他の樹脂であってもよい。さらに、隣接するFRPブロック3を結合する繊維シート4は、その繊維4aが二方向を向くように形成され、このように形成した繊維シート4を一枚、樹脂でFRPブロック3の外面3aに接着するように説明を行なったが、一枚の繊維シート4を固着した後に、この上からさらに他の繊維シート4を積層させて大きな結合強度を得るようにしてもよいものである。また、繊維シート4が、格子状の積層線Sを挟むように、上下方向と水平方向に複数条設けられているものとしたが、水平方向に延びる積層線Sを挟んで水平方向だけに設けられて、上下に隣接するFRPブロック3のみを一体に結合するように構成してもよい。
また、本実施形態では、FRPブロック3が矩形ブロック状を呈するように形成されているものとしたが、例えば図13に示すように、その端部側にフランジ部3bが形成され、フランジ部3bの外面3aに繊維シート4を固着して隣接するFRPブロック3同士を一体に結合するように構成されてもよく、繊維シート4を外面3aに固着して隣接するFRPブロック3同士が結合可能とされていれば、FRPブロック3は、必ずしも矩形ブロック状に形成されていなくてもよい。
さらに、上部連結部材6aと下部連結部材6dと一対の側部連結部材6b、6cが設けられ、これらの連結部材6a〜6dがそれぞれ一対の柱1a、1bと一対の梁1c、1dのそれぞれに直接固着されて支持されているものとしたが、図14に示すように、上部連結部材6aと下部連結部材6dのみが設けられ、FRPブロック積層体5の側方の周縁部5aと柱1a、1bとが、接着樹脂やモルタルなどの接着介装材15を介して接合されるように構成したり、図15に示すように、各連結部材6a〜6dをFRPブロック積層体5の周縁部5aに固着し、各連結部材6a〜6dと柱1a、1bや梁1c、1dの間の隙間に接着樹脂やモルタルなどの接着介装材15を充填して耐震壁構造Aが構成されてもよく、この場合には、上部連結部材6aに切欠部10が形成されていなくてもよいうえ、図16に示すように、連結部材6a〜6dが断面凹状ではなく平板状に形成され、この平板状の連結部材6a〜6dがアンカーボルト16を介して構造物1と一体に結合されて支持されていてもよい。さらに、図16及び図17に示すように、連結部材6a〜6dの外面と連結部材6a〜6dに保持されるFRPブロック3の周縁部側の外面3aに繊維シート4が固着されて、連結部材6a〜6dとFRPブロック積層体5がより強固に結合されるように構成されてもよい。
ついで、図18及び図19を参照し、本発明の第2実施形態に係る耐震壁構造Bについて説明する。本実施形態においては、第1実施形態と同様、構造物1の柱1a、1bと梁1c、1dで囲まれた空間2内に設けられて構造物1の耐震性を向上させるための耐震壁構造Bに関するものであり、FRPブロック(繊維強化複合部材)3の構成のみが異なり、その他の構成は第1実施形態と同様である。よって、第1実施形態に共通する構成に対して同一符号を付し、その詳細についての説明を省略する。なお、本実施形態の耐震壁構造Bの平面図は、図1に示した第1実施形態の耐震壁構造Aと同様とされる。
本実施形態の耐震壁構造Bでは、図18及び図19に示すように、FRPブロック3が、略矩形ブロック状を呈しつつ、隣接するFRPブロック3側を向く端面3c〜3f側に係合凸部20もしくは係合凹部21を具備して形成されている。本実施形態では、FRPブロック3の水平方向に延設する上端面3c側及び上下方向に延設する一対の側端面3d、3eのうち一方の側端面3d側にそれぞれ外側に突出する係合凸部20が形成され、下端面3e側及び他方の側端面3f側にそれぞれ内側に凹む係合凹部21が形成されている。また、これらの係合凸部20と係合凹部21は、各端面3c〜3fの長手方向に沿う断面視で三角形状を呈するように形成されている。これにより、複数のFRPブロック3を積層した状態で、隣接するFRPブロック3同士は、互いの対向する端面3c〜3f側に形成された係合凸部20と係合凹部21が係合されて、外面3aに直交する方向にずれることがないように保持される。
上記のように形成されたFRPブロック3を備える耐震壁構造Bにおいては、FRPブロック3を積層する際に、互いの係合凸部20と係合凹部21を係合させながら積層するという簡易な操作で、隣接するFRPブロック3の外面3a同士を面一にすることができ、複数のFRPブロック3が積層されてなるFRPブロック積層体5の外面3aに不陸を生じさせることなく、精度よく耐震壁構造Bを形成することが可能になる。これにより、耐震壁構造Bを築造する施工性を向上させることができる。
また、このように係合凸部20と係合凹部21が係合されていることにより、地震時に、FRPブロック3の間に作用するせん断力(水平力)でFRPブロック3が外側に抜き出るように変位することがなく、確実に水平力を隣接するFRPブロック3に伝達させて、FRPブロック積層体5全体で構造物1から伝達される力を受けることができる。これにより、FRPブロック3同士を一体に結合する繊維シート4とともに、この係合凸部20と係合凹部21でも作用する力を受けることができ、構造物1の耐震性能を確実に向上させることができる。
なお、上記の第2実施形態の変形例として、次のような耐震壁構造を採用してもよい。本実施形態では、係合凸部20と係合凹部21がそれぞれ端面3c〜3fの長手方向に沿って形成されているものとしたが、例えば図20(a)から(c)に示すように、端面の短手方向に延び、断面三角形状や断面台形形状の係合凸部22及び係合凹部23が形成されてもよく、この場合には、本実施形態と同様にFRPブロック3の積層とともにその位置決めを行なうことができるとともに、外面3aに沿う水平方向に作用する水平力を受けて確実に隣接するFRPブロック3にこの力を伝達することができ、確実に構造物1の耐震性を向上させることが可能になる。
また、図20(d)に示すように、FRPブロック3の隣接するFRPブロック3側を向く端面側に、この端面から内側に凹むピン保持孔24が設けられ、隣接するFRPブロック3同士が互いのピン保持孔24に略棒状のピン部材25の先端側と後端側のそれぞれの端部側がそれぞれ嵌合されて保持されるように構成してもよく、この場合においても、上記の係合凸部22(20)と係合凹部23(21)を具備した場合と同様に、ピン部材25で隣接するFRPブロック3同士が位置決めされて施工性を向上させつつ耐震壁5を高精度で形成できるとともに、ピン部材25を介して水平力を隣接するFRPブロック3に伝達させて確実に構造物1の耐震性を向上させることが可能になる。
ついで、図21及び図22を参照し、本発明の第3実施形態に係る耐震壁構造Cについて説明する。本実施形態は、第1及び第2実施形態と同様、構造物1の柱1a、1bと梁1c、1dで囲まれた空間2内に設けられて構造物1の耐震性を向上させるための耐震壁構造Cに関するものである。よって、第1及び第2実施形態に共通する構成に対して同一符号を付し、その詳細についての説明を省略する。
本実施形態の耐震壁構造Cでは、図21に示すように、一対の柱1a、1bと一対の梁1c、1dで囲まれた空間2の隅角部9側に配されたFRPブロック(高耐力型FRPブロック)30が、内側に配された他のFRPブロック3に対して、高耐力を有するように形成されている。すなわち、隅角部9に沿って例えば略L字に配列される複数個の高耐力型FRPブロック30は、図22(a)に示すように、例えば樹脂で封止される繊維30aが他のFRPブロック3よりも増量されていたり、図22(b)に示されるように、内部にコンクリート31が充填されていたり、図22(c)に示されるように、座屈耐力を向上させる鋼製のリブ部材32が設置されたりして、他のFRPブロック3よりも高耐力を有するように形成されている。なお、図22(b)に示した高耐力型FRPブロック30においては、その製作時にコンクリート31が内部に充填されると、その重量が増加し、取扱性が低下し施工性を悪化させるおそれがあるため、コンクリート充填孔33を形成し、空間2に設置した後にこのコンクリート充填孔33から内部にコンクリート31を充填するものとされる。
上記のように、高耐力型FRPブロック30を空間2の隅角部9側に設けた場合には、地震時に、耐震壁構造Cに作用する力が大きいこの隅角部9側を高耐力とすることができ、より確実に地震時に作用する力を耐震壁構造Cで受け止めることができ、構造物1の耐震性能を確実に向上させることができる。また、本実施形態の耐震壁構造Cにおいては、耐震壁構造Cに発生する応力が小さい中央側のFRPブロック3を隅角部9側の高耐力型FRPブロック30よりも低耐力のFRPブロック3として、耐震壁構造Cに作用する力の大きさに応じて、すなわち地震時に発生する耐震壁構造Cの応力状態に応じて耐力の異なるFRPブロック3、30を効果的に配置することにより、耐震壁構造Cを経済的に築造することができる。よって、本実施形態の耐震壁構造Cにおいては、経済性を向上させつつ確実に構造物1の耐震性能の向上を図ることが可能になる。
なお、上記の第3実施形態の変形例として次のような耐震壁構造を採用してもよい。本実施形態では、耐震壁構造Cが構築される空間2が平面視で矩形状を呈するように形成され、高耐力型FRPブロック30を、地震時の応力が大きくなる4つの隅角部9側に設けるものとしたが、高耐力型FRPブロック30は、耐震壁構造Cの応力が大きく作用すると判断される他の部分に設けられてもよい。例えば空間2が平面視で三角形状に形成されて3つの隅角部を備えていたり、逆に多角形状に形成されて5つ以上の隅角部を備えている場合には、それぞれの隅角部側に高耐力型FRPブロック30が設けられて耐震壁構造が形成されてもよい。また、図22(a)に示した高耐力型FRPブロック30は、繊維30aが他のFRPブロック3よりも増量されて高耐力を有するものとしたが、例えば繊維30aが炭素繊維である場合には、炭素繊維の引張強度が炭素繊維毎の炭素量で一義的に決められるため、繊維30aを増量させるのではなく、他のFRPブロック3の繊維よりも大きな引張強度を備える繊維を用いて高耐力を有するように形成されていてもよい。
本発明の第1実施形態に係る耐震壁構造を示す平面図である。 図1のX−X線矢視図である。 図1の耐震壁構造に具備される繊維強化複合部材の拡大図である。 図1の耐震壁構造に具備される繊維強化複合部材同士を一体に結合する繊維シートの繊維方向を示す図である。 図1の耐震壁構造に具備される上部連結部材の断面図である。 図5に示した上部連結部材の側面図である。 図1の耐震壁構造に具備される側部連結部材の断面図である。 図1の耐震壁構造に具備される下部連結部材の断面図である。 図1の耐震壁構造の連結部材を設置した状態を示す平面図である。 図1の耐震壁構造の最下段の繊維強化複合部材を設置した状態を示す平面図である。 図1の耐震壁構造の最上段の繊維強化複合部材の設置状態を示す平面図である。 図1の耐震壁構造の連結部材と繊維強化複合部材の間の隙間に充填材を充填した状態を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る耐震壁構造に具備される繊維強化複合部材の変形例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る耐震壁構造の変形例を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る耐震壁構造の変形例を示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る耐震壁構造に具備される連結部材の変形例を示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る耐震壁構造の変形例として示した断面図である。 本発明の第2実施形態に係る耐震壁構造に具備される繊維強化複合部材を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る耐震壁構造に具備される繊維強化複合部材を示す平面図である。 本発明の第2実施形態に係る耐震壁構造に具備される繊維強化複合部材の変形例を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係る耐震壁構造を示す平面図である。 図21の耐震壁構造に具備される高耐力型の繊維強化複合部材を示す斜視図である。
符号の説明
1 構造物
1a 柱
1b 柱
1c 梁
1d 梁
2 空間
3 FRPブロック(繊維強化複合部材)
3a 外面
4 繊維シート
5 FRPブロック積層体(繊維強化積層体)
5a 周縁部
6 フレーム部材
6a 上部連結部材(連結部材)
6b 側部連結部材(連結部材)
6c 側部連結部材(連結部材)
6d 下部連結部材(連結部材)
6e 底板部
6f 側壁部
9 隅角部
10 切欠部
11 グラウト孔
13 充填材
20 係合凸部
21 係合凹部
22 係合凸部
23 係合凹部
24 ピン保持孔
25 ピン部材
30 高耐力型FRPブロック(繊維強化複合部材)
A 耐震壁構造(耐震壁)
B 耐震壁構造(耐震壁)
C 耐震壁構造(耐震壁)
S 積層線

Claims (5)

  1. 構造物の柱と梁または床で囲まれた空間内に、繊維を樹脂で封止して略ブロック状に形成した繊維強化複合部材を、前記空間を埋めるように積層して形成される耐震壁構造であって、
    複数の繊維が並べられてシート状に形成された繊維シートが、隣接する前記繊維強化複合部材同士のそれぞれの露出する外面に樹脂で封止されつつ固着されて、隣接する前記繊維強化複合部材同士を一体に結合するように設けられ、且つ、
    前記繊維シートは、積層されて隣接する前記繊維強化複合部材同士の間に画成された積層線を挟む位置に筋状に設けられるとともに、前記外面側からの平面視で、前記積層線に対し、前記繊維シートの繊維方向が15〜45度の範囲内で交差するように設けられていることを特徴とする耐震壁構造。
  2. 請求項1に記載の耐震壁構造において、
    前記繊維強化複合部材には、隣接する前記繊維強化複合部材側を向く端面側に係合凸部もしくは係合凹部が形成されており、隣接する前記繊維強化複合部材同士が、互いの前記係合凸部と前記係合凹部が係合されて保持されていることを特徴とする耐震壁構造。
  3. 請求項1に記載の耐震壁構造において、
    前記繊維強化複合部材には、隣接する前記繊維強化複合部材側を向く端面側に、該端面から内側に凹むピン保持孔が設けられ、隣接する前記繊維強化複合部材同士が、互いの前記ピン保持孔に略棒状のピン部材の先端側と後端側のそれぞれの端部側がそれぞれ嵌合されて保持されていることを特徴とする耐震壁構造。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の耐震壁構造において、
    積層した複数の前記繊維強化複合部材が一体に結合されて繊維強化積層体が構成され、該繊維強化積層体は、周縁部が、繊維を樹脂で封止して形成され前記柱または前記梁もしくは前記床に支持された連結部材に保持されて、前記構造物と一体とされていることを特徴とする耐震壁構造。
  5. 構造物の柱と梁または床で囲まれた空間内に、繊維を樹脂で封止して略ブロック状に形成した繊維強化複合部材を、前記空間を埋めるように積層して形成する耐震壁の築造方法であって、
    繊維を樹脂で封止して形成され積層した前記繊維強化複合部材を保持するための連結部材を、前記柱または前記梁もしくは前記床に支持させつつ設置する連結部材設置工程と、
    複数の前記繊維強化複合部材を積層する積層工程と、
    複数の繊維が並べられてシート状に形成された繊維シートを、隣接する前記繊維強化複合部材同士のそれぞれの露出する外面に、且つ前記繊維強化複合部材同士の間に画成された積層線を挟む位置に、前記積層線に対し、前記繊維シートの繊維方向が15〜45度の範囲内で交差するように樹脂で封止しつつ筋状に固着して隣接する前記繊維強化複合部材同士を一体に結合する結合工程とを備えることを特徴とする耐震壁の築造方法。
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