JP6494488B2 - コンクリート構造物耐震補強構造 - Google Patents

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本発明は、繊維シートサンドイッチ鋼板を永久型枠として用いたコンクリート構造物耐震補強構造に関する。
従来、コンクリート構造物の耐震補強構造として、コンクリート柱、コンクリート梁、コンクリート壁からなるコンクリート構造物の外周部に鋼製の永久型枠を配置し、コンクリート構造物と永久型枠間の空間に、未硬化のコンクリートを打設して、コンクリートを硬化させ、永久型枠とコンクリート構造物を一体化するコンクリート構造物耐震補強構造が提案されている。
また、鋼製の永久型枠の外周に繊維シートを巻き付け固定し、耐震性をより向上させたコンクリート構造物耐震補強構造が提案されている。
特開2008−240368号公報 特開2011−26786号公報
しかしながら、従来のコンクリート構造物耐震補強構造においては、鋼製の永久型枠に囲まれた空間に打設固化されるコンクリートと永久型枠との一体化が不十分であるという問題と、鋼製の永久型枠の地震時の変位に対する耐久性が十分でないという問題があり、その結果、鋼製の永久型枠に囲まれた空間に配筋される軸方向筋やフープ筋の量を増やさなければならないという問題を有していた。
また、鋼製の永久型枠の外周に繊維シートを巻き付け固定するコンクリート構造物耐震補強構造においては、繊維シートと鋼製永久型枠外周面との接着面が一面であるため、繊維シートと鋼板との付着力が不十分で繊維シートの引張強度が十分に発揮することができず、さらに複数層の繊維シートを巻き付け固定することが困難であるという問題を有していた。
本発明は、従来技術の持つ課題を解決するもので、構造が簡単で、製造が容易で耐震性能を向上することが可能な繊維シートサンドイッチ鋼板を永久型枠として用いたコンクリート構造物耐震補強構造を提供することを目的とする。
コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造であって、断面コ字形又は断面半円形の2枚の薄肉鋼板の間に繊維シートを圧着固定した繊維サンドイッチ鋼板を折り曲げ加工して上下横リブと左右縦リブを形成し、上下横リブと左右縦リブに複数の連結ボルト挿通孔を形成して、コンクリート柱又はコンクリート梁の周囲に向き合わせ配置された1対の永久型枠と、1対の永久型枠とコンクリート柱又はコンクリート梁との空隙に充填される硬化性充填材と、を備え、永久型枠の硬化性充填材の充填側の薄肉鋼板の表面を粗面とすることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物耐震補強構造は、異なる繊維方向の繊維シートを複数枚積層して用いることを特徴とする。
また、本発明のコンクリート構造物耐震補強構造は、繊維シートの材料をカーボン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維及びポリアレート繊維のいずれかとすることを特徴とする。
コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造であって、断面コ字形又は断面半円形の2枚の薄肉鋼板の間に繊維シートを圧着固定した繊維サンドイッチ鋼板を折り曲げ加工して上下横リブと左右縦リブを形成し、上下横リブと左右縦リブに複数の連結ボルト挿通孔を形成して、コンクリート柱又はコンクリート梁の周囲に向き合わせ配置された1対の永久型枠と、1対の永久型枠とコンクリート柱又はコンクリート梁との空隙に充填される硬化性充填材と、を備え、永久型枠の硬化性充填材の充填側の薄肉鋼板の表面を粗面とすることで、2枚の薄肉鋼板と一体化された繊維シートが引張強度、減衰性能を発揮し、耐震性が向上し、永久型枠の横方向、縦方向の連結が溶接手段を用いることなく容易となり、横リブ、縦リブが補強リブとして機能することが可能となり、硬化性充填材との付着力を向上させることが可能となる。
異なる繊維方向の繊維シートを複数枚積層して用いることで、より引張強度、減衰性能を向上させることが可能となる。
繊維シートの材料をカーボン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維及びポリアレート繊維のいずれかとすることで、引張強度の大きな材料で繊維シートを形成することが可能となる。
本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)(c)本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)(c)本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)(c)本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)本発明の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
本発明の実施の形態を図により説明する。図1は、本発明のコンクリート構造物耐震構造に用いる永久型枠を形成する繊維シートサンドイッチ鋼板の一実施形態を示す図である。
繊維シートサンドイッチ鋼板1は、厚さ1.0〜2.3mmの薄肉鋼板2,3を接着樹脂材に含浸し、2枚の薄肉鋼板2、3の表面に接着樹脂材を付着させる。接着樹脂材の付着した2枚の薄肉鋼板2,3野間に繊維シート4を置き、2枚の薄肉鋼板2、3に荷重を加え、繊維シート4を圧着固定する。2枚の薄肉鋼板2、3の表面の接着樹脂材が付着しているので複数層の繊維シート4を積層配置しても確実に2枚の薄肉鋼板2,3の間に繊維シート4が圧着固定される。
2枚の薄肉鋼板2、3の間に繊維シート4を圧着固定するので繊維シートの付着強度が向上し、繊維シート4の引張強度が著しく増大する。従来の鋼板の外表面に繊維シートを固定するものは、繊維シートの鋼板への付着性能が低いため、付着強度が繊維シートの設計引張強度より著しく小さくなる。
繊維シート4の材料としてはカーボン繊維などの無機系繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維及びポリアレート繊維などの有機系繊維を用いる。これらの繊維で形成される1方向及び2方向の繊維シート4の引張強度は5〜180ton/mと大きい。2枚の薄肉鋼板2、3の間に複数層の繊維シート4を積層する場合、繊維方向が異なるように積層配置する。繊維方向が異なるように積層配置することにより、繊維シート4の引張強度と減衰性能が向上する。
繊維シートサンドイッチ鋼板1は、接着樹脂材の強度管理や圧着装置が整った工場で形成し、強度のばらつきがない製品とする。減衰性に優れた繊維シート4と伸び率の大きな軟鋼材の薄肉鋼板2、3を用いて繊維シートサンドイッチ鋼板1が形成されているので、繊維シートサンドイッチ鋼板1自体が履歴減衰特性を有するので、これを永久型枠として用いるとコンクリート構造物の制震性能が向上する。繊維シートサンドイッチ鋼板1の2枚の薄肉鋼板2、3の一方の表面をサンドブラスト等の手段により粗面とする。繊維シートサンドイッチ鋼板1から永久型枠5を形成する際、薄肉鋼板の租面加工された側を硬化材が充填される側とする。
図2(a)(b)(c)は、繊維シートサンドイッチ鋼板1から形成される永久型枠5の第一実施形態を示す図である。第一実施形態の永久型枠5は、矩形の繊維シートサンドイッチ鋼板1の上下端を直角に折り曲げて上下の横リブ6を形成し、左右端を直角に折り曲げ左右の縦リブ7を形成する。上下の横リブ6と左右の縦リブ7に複数の連結ボルト挿通孔8を形成する。第一実施形態の永久型枠5は、上面視が直線状の一文字形でるので一文字形永久型枠と称する。
図3(a)(b)(c)は、繊維シートサンドイッチ鋼板1から形成される永久型枠5の第二実施形態を示す図である。第二実施形態の永久型枠5は、矩形の繊維シートサンドイッチ鋼板1の左右を直角に折り曲げ、上面視コ字形の形状とする。上面視コ字形に折り曲げ加工した繊維シートサンドイッチ鋼板1の上下端を直角に折り曲げて上下の横リブ6を形成し、左右端を直角に折り曲げ左右の縦リブ7を形成する。上下の横リブ6と左右の縦リブ7に複数の連結ボルト挿通孔8を形成する。第二実施形態の永久型枠5は、上面視がコ字形であるのでコ字形永久型枠と称する。
図4(a)(b)(c)は、繊維シートサンドイッチ鋼板1から形成される永久型枠5の第三実施形態を示す図である。第三実施形態の永久型枠5は、矩形の繊維シートサンドイッチ鋼板1の中央を直角に折り曲げ、上面視L字形の形状とする。上面視L字形に折り曲げ加工した繊維シートサンドイッチ鋼板1の上下端を直角に折り曲げて上下の横リブ6を形成し、左右端を直角に折り曲げ左右の縦リブ7を形成する。上下の横リブ6と左右の縦リブ7に複数の連結ボルト挿通孔8を形成する。第三実施形態の永久型枠5は、上面視がL字形であるのでL字形永久型枠と称する。
図5(a)(b)は、繊維シートサンドイッチ鋼板1から形成される永久型枠5の第四実施形態を示す図である。第四実施形態の永久型枠5は、矩形の繊維シートサンドイッチ鋼板1を半円形に折り曲げ上面視半円形の形状とする。上面視半円形に折り曲げ加工した繊維シートサンドイッチ鋼板1の上下端に切れ目を入れて直角に折り曲げて上下の横リブ6を形成し、左右端を直角に折り曲げ左右の縦リブ7を形成する。上下の横リブ6と左右の縦リブ7に複数の連結ボルト挿通孔8を形成する。第四実施形態の永久型枠5は、上面視が半円形であるので半円形永久型枠と称する。
矩形の繊維シートサンドイッチ鋼板1を折り曲げ加工して各種形状の永久型枠5を準備し、コンクリート構造物の耐震補強個所に応じて選択使用する。
図6(a)(b)は、永久型枠5を断面矩形コンクリート柱9の耐震補強に適用した例を示す図である。床構造10から立設する断面矩形コンクリート柱9の耐震補強のため、断面矩形コンクリート柱9の周囲に増打ちコンクリートの充填空隙を開けて図3に示されるコ字形永久型枠5を向かい合わせに配置する。縦リブ7の連結ボルト挿通孔8に連結ボルト11を挿入しナットを螺着して向かい合わせたコ字形永久型枠5を連結する。床構造10に接する横リブ6の連結ボルト挿通孔8からアンカーボルト12を床構造10に打ち込み固定する。
1段目のコ字形永久型枠5の連結固定が終了すると、2段目のコ字形永久型枠5を連結固定する。2段目のコ字形永久型枠5の向きを1段目のコ字形永久型枠5の向きを90度変えて縦リブ7の接合部が直線状になるのを防止する。1断面のコ字形永久型枠5の横リブ6の連結ボルト挿通孔8と2段目のコ字形永久型枠5の横リブの連結ボルト挿通孔8に連結ボルト11を挿入し、ナットを螺着して固定する。この作業を順次実施し、断面矩形コンクリート柱9の上部までコ字形永久型枠5を連結固定し、段目矩形コンクリート柱9と永久型枠5の空隙に軸方向筋、フープ筋を配筋し、コンクリートモルタル等の硬化性充填材を充填し、硬化させ、断面矩形コンクリート柱9と連結固定されたコ字形永久型枠5を一体化する。
コ字形永久型枠5は、繊維シートサンドイッチ鋼板1により形成されているため、コ字形永久型枠5自体が引張強度が大きく、減衰性に優れているため、配筋量を少なくすることが可能となる。
図7は、永久型枠5を断面円形コンクリート柱13の耐震補強に適用した例を示す図である。断面円形コンクリート柱13の耐震補強のため、断面円形コンクリート柱13の周囲に増打ちコンクリートの充填空隙を開けて図5に示される半円形永久型枠5を向かい合わせに配置する。縦リブ7の連結ボルト挿通孔8に連結ボルト11を挿入しナットを螺着して向かい合わせた半円形永久型枠5を連結する。床構造10への固定や、上部に積み上げていく構成は、断面矩形コンクリート柱9の耐震補強と同様であるので説明を省略する。
図8は、永久型枠5を断面矩形コンクリート柱9の一面のみの耐震補強に適用した例を示す図である。断面矩形コンクリート柱9の一面側にコ字形永久型枠5を向き合わせて連結し、断面矩形の増打ちコンクリート充填空隙を形成する。コ字形永久型枠5の断面矩形コンクリート柱9の一面と接する部分からアンカーボルト12を打ち込みコ字形永久型枠5を断面矩形コンクリート柱9に固定する。上部に積み上げていく構成は、断面矩形コンクリート柱9の耐震補強と同様であるので説明を省略する。
図9は、永久型枠5を断面矩形コンクリート9とコンクリート梁14の交差部の耐震補強に適用した例を示す図である。断面矩形コンクリート柱9に対応する位置にコ字形永久型枠5を増し打ちコンクリート充填空隙が形成するように配置し、コ字形永久型枠5の両端に連結鋼板15の一端を固定し、連結鋼板15の他端をコンクリート梁14の表面と接2枚の薄肉鋼板の間に繊維シートを圧着固定した繊維シートサンドイッチ鋼板から形成される永久型枠2枚の薄肉鋼板の間に繊維シートを圧着固定した繊維シートサンドイッチ鋼板から形成される永久型枠梁14にアンカーボルトを打ち込み、永久型枠5を固定する。上部に積み上げていく構成は、断面矩形コンクリート柱9の耐震補強と同様であるので説明を省略する。
図10は、永久型枠5をコンクリート壁16の耐震補強に適用した例を示す図である。床構造10から立設するコンクリート壁16の両側に一文字形永久型枠5をコンクリート壁16との間に増す打ちコンクリートを充填する空隙を設けて連接配置する。床構造10と接する一文字形永久型枠5の横リブ6の連結ボルト挿通孔8を通してアンカーボルト12を打ち込み固定する。一文字形永久型枠5の横方向の連結は、縦リブ7の連結ボルト挿通孔8に連結ボルト11を挿入しナットを螺着して連結する。一文字形永久型枠5の縦方向の連結は、横リブ7の連結ボルト挿通孔8に連結ボルト11を挿入しナットを螺着して連結する。コンクリート壁16と永久型枠5の間のコンクリートモルタル等の硬化性充填材を充填し硬化させ、コンクリート壁16と連結固定された一文字形永久型枠5を一体化する。一文字形永久型枠5は、繊維シートサンドイッチ鋼板1により形成されているため、一文字形永久型枠5自体が引張強度が大きく、減衰性に優れているため、配筋量を少なくすることが可能となる
以上のように、本発明のコンクリート耐震補強構造は、永久型枠を2枚の薄肉鋼板の間に大きな付着力で繊維シートが付着させたサンドイッチ鋼板で形成しているため、大きな引張強度と減衰性能を有する永久型枠とすることが可能となり、耐震性に優れたコンクリート構造物耐震構造とすることが可能となる。
1:繊維シートサンドイッチ鋼板、2:薄肉鋼板、3:薄肉鋼板、4:繊維シート、5:永久型枠、6:横リブ、7:縦リブ、8:連結ボルト挿通孔、9:断面矩形コンクリート柱、10:床構造、11:連結ボルト、12:アンカーボルト、13:断面円形コンクリート柱、14:コンクリート梁、15:連結鋼板、16:コンクリート壁

Claims (3)

  1. コンクリート柱、コンクリート梁からなるコンクリート構造物の耐震補強構造であって、
    断面コ字形又は断面半円形の2枚の薄肉鋼板の間に繊維シートを圧着固定した繊維サンドイッチ鋼板を折り曲げ加工して上下横リブと左右縦リブを形成し、上下横リブと左右縦リブに複数の連結ボルト挿通孔を形成して、コンクリート柱又はコンクリート梁の周囲に向き合わせ配置された1対の永久型枠と、1対の永久型枠とコンクリート柱又はコンクリート梁との空隙に充填される硬化性充填材と、
    を備え、
    永久型枠の硬化性充填材の充填側の薄肉鋼板の表面を粗面とすることを特徴とするコンクリート構造物耐震補強構造。
  2. 異なる繊維方向の繊維シートを複数枚積層して用いることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物耐震補強構造。
  3. 繊維シートの材料をカーボン繊維、アラミド繊維、ポリエチレン繊維及びポリアレート繊維のいずれかとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート構造物耐震補強構造。
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