JP2008063805A - フルプレキャストコンクリートスラブの接合構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フルプレキャストコンクリートスラブは、その接合端部に波形状のコッターが形成され、少なくとも前記コッターの凸部に下向きに細まる円錐台形状の貫通孔が梁部材の幅方向に少なくとも2列、同長手方向にも少なくとも2列設けられ、梁部材の上面の両側にそれぞれフルプレキャストコンクリートスラブが載置されて、隣接するフルプレキャストコンクリートスラブ端部の前記コッターの凹部と凸部とが梁部材の上面において相互に噛み合わされ、梁部材の上面に設置した剪断力伝達要素が双方の貫通孔へ起ち上がっており、フルプレキャストコンクリートスラブの貫通孔及び目地部へモルタルが充填されていることを特徴とする
【選択図】 図3
Description
ここで、フルPCaスラブ70を梁部材2の上に架設する場合、スラブ下面と梁上面との間に多少の隙間が生じることは避け得ないことである。
したがって、前記フルPCaスラブ70を梁部材2(鉄骨梁等)の上に配置した場合、一列のみの貫通孔73及び頭付きスタッド74の接合では、フルPCaスラブ70に作用する自重等の鉛直荷重によりスラブ下面と梁上面とが完全に密着するまでは、頭付きスタッド74を中心として、フルPCaスラブ70の端部に回転が生じ、同スラブ70には付加的な撓みが生じてしまう。
梁部材と、フルプレキャストコンクリートスラブとの接合構造であって、
前記フルプレキャストコンクリートスラブは、その接合端部に波形状のコッターが形成され、少なくとも前記コッターの凸部に下向きに細まる円錐台形状の貫通孔が梁部材の幅方向に少なくとも2列、同長手方向にも少なくとも2列設けられ、
前記梁部材の上面の両側にそれぞれフルプレキャストコンクリートスラブが載置されて、隣接するフルプレキャストコンクリートスラブ端部の前記コッターの凹部と凸部とが梁部材の上面において相互に噛み合わされ、且つ、前記梁部材の上面に設置した剪断力伝達要素が双方の貫通孔へ起ち上がっており
前記フルプレキャストコンクリートスラブの貫通孔及び目地部へモルタルが充填されて、梁部材とフルプレキャストコンクリートスラブとが一体的構造に接合されていることを特徴とする。
フルプレキャストコンクリートスラブの波形状のコッターの凹部近傍には下向きに細まる円錐台形状の貫通孔が梁部材の幅方向に少なくとも1列、長手方向には少なくとも2列設けられていることを特徴とする。
フルプレキャストコンクリートスラブの波形状のコッターの凹部近傍に設けられた貫通孔の底部に、梁縁に向かう溝が設けられていることを特徴とする。
梁部材は、上面の材軸方向に平鋼が埋設され、この平鋼の上面に剪断力伝達要素が突出され、下面に梁部材のあばら筋の内部に届く長さのアンカー要素が突出されたフルプレキャストコンクリート梁部材であることを特徴とする。
フルプレキャストコンクリート梁部材の上面に埋設される平鋼は、中央位置に1本、又は幅方向に間隔を空けて複数本、若しくは梁上面の全幅と全長に亘る一枚板として配置されていることを特徴とする。
したがって、フルPCaスラブ端部の撓みが減少し、フルPCaスラブ中央の正曲げモーメントが減少するため、同スラブにスパイラル筋やスラブ筋等の下端筋を増量する必要が無くなり、同スラブを薄く且つ軽量化することができる。すると、スラブの製作作業が飛躍的に向上するのみならず運搬や、接合作業が容易になる。
前記フルPCaスラブ1は、その接合端部に波形状のコッター3が形成され、少なくとも前記コッター3の凸部30に下向きに細まる円錐台形状の貫通孔4が梁部材の幅方向に少なくとも2列、同長手方向にも少なくとも2列設けられている。
前記梁部材2の上面の両側にそれぞれフルPCaスラブ1が載置されて、隣接するフルプレPCaスラブ1の端部の前記コッターの凹部31と凸部30とが梁部材2の上面において相互に噛み合わされ、且つ、前記梁部材2の上面に設置した剪断力伝達要素5が双方の貫通孔4へ起ち上げられている。
前記フルPCaスラブ1の貫通孔4及び目地部Sへモルタルが充填されて、梁部材2とフルPCaスラブ1とが一体的構造に接合されている
このフルPCaスラブ1は、床配筋を一定のコンクリート被りで成形した、梁部材表面から接合のための鉄筋やスタッド等を一切突出させない構造である。したがって、従来の溶接接合や接合筋等による接合や現場打ちコンクリート打設も不要であるという利点がある。本実施例は特に梁部材2の幅が狭い場合において好適に実施されるものである。
本発明の接合構造は、図1に示したように、大梁によって囲まれた一スパンのグリッド内に4枚のフルPCaスラブ1を載置後、これらを接合する工法である。その場合前記スラブ1と梁部材2との接合の他に同スラブ1の板々接合が存在するが、本発明はこのうち対向するフルPCaスラブ1と梁部材2(鉄骨梁2)との接合に関するものである。板々接合は、適切な方法により接続されているものとする。
本実施例のフルPCaスラブ1は、その接合端部に波形状のコッター3が形成されており、鉄骨梁2の上面ではその両側に載置された双方のフルPCaスラブ1、1の前記コッター3の凸部30、凹部31同士が相互に噛合する状態で載置される構成となっている。
貫通孔4が下向きに細まる逆円錐台状とした意義は、前記フルPCaスラブ1と梁部材2との接合状態を強固に保持するためである。
実施例2は、図3に示すように、フルPCaスラブ1が、その接合端部に波形状のコッター3が形成され、前記コッター3の凸部30に下向きに細まる円錐台形状の貫通孔4が梁部材の幅方向に2列、同長手方向にも2列設けられ、凹部31近傍には下向きに細まる円錐台形状の貫通孔4が梁部材2の幅方向に1列、長手方向には2列設けられている。実施例1と大きく異なる点は、凹部31に貫通孔4が設けられている点にある。本実施例は梁部材2の幅は実施例1よりも広い約60cmを想定した貫通孔4の数量であることを付言する。
前記凹部31の貫通孔4は、モルタルを充填する際に前記溝40部にも充填されるため梁部材2との固着面積が増大されて、貫通孔4内の頭付きスタッドによる引張力と前記溝40部に充填されたモルタル面との圧縮力により抵抗モーメントが発現し、固定度が増大する。その具体的な原理及び固定度については実験結果等から後述する。
フルPCaスラブ1の上面に埋設される平鋼6は、中央位置に1本、又は幅方向に間隔を空けて複数本、若しくは梁上面の全幅と全長に亘る一枚板として配置されることが好適に実施される(請求項5記載の発明)。
実施例4は、図5に示すように、前記フルPCaスラブ1は、その接合端部に波形状のコッター3が形成され、前記コッター3の凸部30に下向きに細まる円錐台形状の貫通孔4が梁部材の幅方向に2列、同長手方向にも2列設けられ、凹部31近傍にも下向きに細まる円錐台形状の貫通孔が梁部材の幅方向に2列、長手方向にもやはり2列設けた構成で実施される。本実施例では梁部材の幅方向に合計で4列の貫通孔4が設けられるので、フルPCaスラブ1と梁部材2との固定度は相当に高いものとなる。従って、上述した貫通孔4の底部に設ける溝40は積極的に設ける必要はないが、状況によって適宜設けても良い。
尚、本実施例4の梁部材2は図示の限りではなく、上記実施例3で説明した平鋼6を埋設したフルPCa梁部材2を用いて実施できることを付言する。
図6に本発明の実施例4に示す2列配置のモルタル充填(M−2)による接合構造と、従来の一列配置のモルタル充填(M−1)と現場打ちコンクリート(G−1)の接合構造の荷重と撓みの関係を示した。
一方、現場打ちコンクリートは一列配置であっても(G−1)前記隙間は生じないため、一列配置モルタル充填M−1のフルPCaスラブ1の場合のように荷重が小さな範囲で変形が大きくなる現象は生じていない。したがって、上述した図3、図4のように凹部31に幅方向に一列に配置された貫通孔4の底部に溝40設け、その箇所へモルタルを充填した場合、スラブ端部に作用する曲げモーメントに対して、圧縮側となる梁部材の上面とフルPCaスラブ1の下面とが密着し、現場打ちスラブとほぼ同条件となるため、スラブ端部の剛体回転を抑制することができる。
2 梁部材
3 コッター
30 凸部
31 凹部
4 貫通孔
40 溝
5 剪断力伝達要素
6 平鋼
7 アンカー要素
Claims (5)
- 梁部材と、フルプレキャストコンクリートスラブとの接合構造であって、
前記フルプレキャストコンクリートスラブは、その接合端部に波形状のコッターが形成され、少なくとも前記コッターの凸部に下向きに細まる円錐台形状の貫通孔が梁部材の幅方向に少なくとも2列、同長手方向にも少なくとも2列設けられ、
前記梁部材の上面の両側にそれぞれフルプレキャストコンクリートスラブが載置されて、隣接するフルプレキャストコンクリートスラブ端部の前記コッターの凹部と凸部とが梁部材の上面において相互に噛み合わされ、且つ、前記梁部材の上面に設置した剪断力伝達要素が双方の貫通孔へ起ち上がっており
前記フルプレキャストコンクリートスラブの貫通孔及び目地部へモルタルが充填されて、梁部材とフルプレキャストコンクリートスラブとが一体的構造に接合されていることを特徴とする、フルプレキャストコンクリートスラブの接合構造。 - フルプレキャストコンクリートスラブの波形状のコッターの凹部近傍には下向きに細まる円錐台形状の貫通孔が梁部材の幅方向に少なくとも1列、長手方向には少なくとも2列設けられていることを特徴とする、請求項1に記載したフルプレキャストコンクリートスラブの接合構造。
- フルプレキャストコンクリートスラブの波形状のコッターの凹部近傍に設けられた貫通孔の底部に、梁縁に向かう溝が設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載したフルプレキャストコンクリートスラブの接合構造。
- 梁部材は、上面の材軸方向に平鋼が埋設され、この平鋼の上面に剪断力伝達要素が突出され、下面に梁部材のあばら筋の内部に届く長さのアンカー要素が突出されたフルプレキャストコンクリート梁部材であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載したフルプレキャストコンクリートスラブの接合構造。
- フルプレキャストコンクリート梁部材の上面に埋設される平鋼は、中央位置に1本、又は幅方向に間隔を空けて複数本、若しくは梁上面の全幅と全長に亘る一枚板として配置されていることを特徴とする、請求項4に記載したフルプレキャストコンクリートスラブの接合構造。
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