JP4241105B2 - インクジェット記録ヘッド、記録装置、及びインクジェット記録カートリッジ - Google Patents

インクジェット記録ヘッド、記録装置、及びインクジェット記録カートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録ヘッド、記録装置、及びインクジェット記録カートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のインクジェット方式に従う記録装置に搭載される記録ヘッドの電気熱変換素子(ヒータ)と、入力画像信号に従ってそれを駆動する駆動回路は、例えば、特開平5−185594号公報に示されているように、半導体プロセス技術を用いて、同一基板上に形成されている。また、この基板上の状態、例えば、基板温度や抵抗値の分布状態、駆動回路の特性変動などを検知するための素子を同一基板上に形成することも提案されている。
【0003】
図8は、従来のインクジェット記録ヘッドにおける基板状態の検知方法を概念的に示すブロック図である。
【0004】
図8において、101は記録ヘッドを構成する半導体基板(以下、基板という)、102はインクを吐出するために必要な熱エネルギーを発生する電気熱変換素子(ヒータ)を複数個配列したヒータアレイ、103はヒータアレイ102を構成する一つのヒータ、104はヒータに所望の電流を供給してヒータを駆動するパワートランジスタブロック、105は外部からのデータ転送に応じて各ヒータのON/OFFを切り換えるためのラッチ回路やシフトレジスタなどで構成されるロジック回路部、106はヒータに所定の電圧を印加し、電流を供給するための電源ライン、107はヒータ及びパワートランジスタを流れた電流が流れ込むGNDライン、108、109はそれぞれGNDライン、電源ラインを記録ヘッドの外部へ引き出すためのGND端子、電源端子である。
【0005】
さらに、410は基板101の温度を検出するための温度検出素子、411は温度検出素子410の信号が伝送される配線、412は温度検出素子の信号を記録ヘッドの外部へ引き出すための端子、420は基板上に形成された電気熱変換素子の抵抗値をモニタするための抵抗体、421は抵抗体420に電圧を印加し抵抗値を測定するための配線、422は配線421を記録ヘッドの外部へ引き出すための端子、430は温度検知素子及び抵抗値モニタ用抵抗体の出力を処理するための信号処理回路ブロック、413、423はそれぞれ温度検知素子410、抵抗体420と信号処理回路ブロック430とを結ぶ配線、440は信号処理回路ブロック430からの出力を受けて、基板の状態を検出し、それに応じた適切な制御を基板に対してフィードバックする判定回路ブロック、450は信号処理回路ブロック430と判定回路ブロック440とを結ぶ配線、460は判定回路ブロック440と基板内のロジック回路部105とを結ぶ配線である。
【0006】
ここで、図8を参照して、従来の記録ヘッドにおける基板の温度検知及びその検知温度に従う制御の概念を説明する。
【0007】
ヒータアレイ102には、パワートランジスタにより吐出に必要な熱エネルギーを発生するための電流が供給され、その電流を流すタイミングは記録情報やその時々に応じた基板状態に対して最適な駆動方法などが判定回路ブロック440で決定され、その決定された駆動方法に従う制御信号がロジック回路部105に送られ、ロジック回路部105がパワートランジスタの制御端子にその制御信号を供給する。
【0008】
この時、ヒータに流れる電流のタイミングにより、ヒータでの発熱量及び発熱時間が決定され、それに見合ったインクが吐出される。しかしながら、ヒータによる発熱エネルギーはインクにのみ供給されるわけではなく、基板101にも供給されるので、同時に基板101の温度は上昇する。従って、常に一定の条件の下でインク吐出を行うことができる訳ではない。つまり、一定の駆動タイミングのみで、広い温度範囲にわたって同一の吐出状態を保つことは困難である。このような訳で、基板温度を検知しながら、インク吐出のための最適条件を選択してヒータの駆動を行う必要が生じる。
【0009】
そこで、基板内の温度変化をモニタできる素子、これは温度特性が既知の素子であることが望ましく、例えば、P−n接合ダイオードを用い、そのダイオードの順方向電圧−電流特性などが利用される。このダイオードを基板上に配置しておき、この素子の特性変化を外部からある一定の期間毎に検出し、その値によってその期間内の基板の温度変化を検知して、それに見合った最適な駆動タイミングを外部から供給することで、広い温度範囲にわたって、安定的なインク吐出を保つことができるようにしている。
【0010】
即ち、図8に示す回路においては、電源端子109に所定の電圧を印加しておき、ロジック回路部105から記録情報と駆動条件に基づいたタイミングパルスがパワートランジスタブロック104へ入力されると、ヒータアレイ102の中のそれに応じたヒータ103が駆動され、その駆動ヒータに対応した特定の位置にあるノズルからインクが吐出される。
【0011】
このとき、ヒータへの発熱動作が連続的に繰り返されると、基板の温度もそれに応じて上昇するが、温度検知素子410は基板温度に対応した出力信号を基板内の配線411、端子412、基板外部の配線413を介して装置側の信号処理回路ブロック430へ送る。通常、温度検知素子410の出力は、アナログ出力であり、信号処理回路ブロック430はこのアナログ出力を増幅し、デジタル値に変換した上で判定回路ブロック440へそのデジタル値を配線450を介して送る。
【0012】
判定回路ブロック440はこのデジタル値によって、基板101の温度上昇を検知し、その温度における最適駆動条件を表す駆動信号を配線460を介してロジック回路部105へ送る。これによって、ロジック回路部105は基板温度に見合ったタイミングパルスをパワートランジスタへ供給し、その結果、ヒータが駆動されてインクが吐出する。
【0013】
このように、基板の温度検出をある一定の期間毎に行うことにより、基板の温度変化があっても、常に安定した吐出条件を保つことができるようになる。
【0014】
次に、従来の記録ヘッドにおける基板上に形成された電気熱変換素子(ヒータ)の抵抗値のモニタ及びそのモニタ結果に従う制御の概念を説明する。
【0015】
インクジェット記録ヘッドにおいては、ヒータ103で発生した熱がインクを沸騰させ、それによって発生した泡の圧力によってインクを吐出して記録を行うが、この時発生する熱量(Q)は、ヒータに流れる電流(I)とヒータの抵抗値(R)を用いて、Q=I2Rで表わされる。このQとRとの関係によれば、ヒータ自身の抵抗値(R)によって発生する熱量(Q)は変化する。従って、これによる泡の形成も変化することになる。
【0016】
ここで、記録ヘッドを新しく交換する際のことを考えると、この交換によって、発生熱量(Q)は新しい記録ヘッドのヒータの抵抗値に依存することになる。しかしながら、そのヒータ抵抗値には固体差(バラツキ)があるので、常に同一の駆動条件でヒータを駆動していては、発生熱量が異なり、その結果、均一な記録は行えないことになる。一般に、ヒータの形成に半導体プロセスによって形成される金属または金属化合物の薄膜抵抗を用いる場合、その製造上のバラツキは±20%程度と予測される。
【0017】
このような理由で、記録ヘッド各々のヒータ抵抗値を検知して、それに見合った最適な駆動タイミングを外部から供給することによって、抵抗値のバラツキに対しても、安定したインク吐出を保持するという必要がある。
【0018】
即ち、図8に示す回路においては、ヒータ抵抗値をモニタするために用いる抵抗体420の素子を実際の熱発生を行うヒータ103と同一材料、同一プロセスで形成しておき、この抵抗値を基板内配線421、端子422、外部の配線423を介して、信号処理回路ブロック430が読み取る。
【0019】
抵抗値420から記録ヘッド外部への出力はアナログ出力であり、信号処理回路ブロック430では、このアナログ出力を増幅しデジタル値に変換した上で、判定回路ブロック440へそのデジタル値を配線450を介して送る。判定回路ブロック440ではこのデジタル値によって、ヒータ抵抗値を検知し、その抵抗値に従う最適駆動条件を表す駆動信号を配線460を介してロジック回路部105へフィードバックする。
【0020】
このような制御を新しく記録ヘッドを交換した時や、プリンタ本体の電源投入時等に行うことにより、異なる抵抗値を持ったヒータでも常に安定したインク吐出条件を保つことができるようにしている。
【0021】
また、上記のような記録ヘッドの基板の温度以外に、駆動制御の変更を行なうための記録ヘッドのID(識別)情報、記録パラメータを決定するためのランク情報等を、記録ヘッドから装置本体に送信することも提案されている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来例では、検知された基板温度を表す情報やモニタされたヒータ抵抗値を表す情報の出力は、いずれもアナログ出力として基板上から記録ヘッドの外部に対して行なわれる。このため、例えば、インク吐出のためのヒートパルスに同期して大電流が流れる際に発生する電源ノイズやGNDノイズによる影響や、外部に引き出す配線に飛び込むカップリングノイズや放射ノイズなどによる影響を上記各情報は受けやすく、その情報を精度よく読み取ることが困難であるという問題があった。
【0033】
録ヘッドの温度の検出は、一般的に比較器(コンパレータ)を用いて行われているが、基準電圧の切換えと比較器の作動に時間がかかるため、記録装置からの記録データ転送が高速になると温度データの転送が間に合わなくなるという欠点があった。
【0034】
特に、記録装置からの記録データの転送速度を温度データの転送速度に合わせていては、最近の記録速度に対する高速化の要求には対応できない。また、基準電圧の切換と比較器の動作を高速化することも可能ではあるが、その分だけこれらの動作を実行するアナログ回路の消費電流が増大してしまい記録動作待機中(即ち、温度検出をしていない状態)の消費電力が記録データの受信と格納を行なうデジタル回路に比して大きくなってしまうという別の問題が発生する。
【0035】
この問題に対処するために、アナログ回路の電源供給を記録ヘッド外部から制御することも考えられるが、その電源供給をON/OFFする制御回路での電圧降下が温度検出精度に影響したり、記録ヘッドと外部とを接続する信号線の数が増えるなどの問題も多い。
【0036】
本発明はこのような問題を解消するべく、記録データの高速転送にも対応しつつ、温度情報を検出し送出できるインクジェット記録ヘッド、記録装置、及びインクジェット記録カートリッジを提供することを目的としている。
【0055】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、温度情報を記録データの入力に従って出力することができる回路基板を備えたインクジェット記録ヘッドであって、
前記回路基板は、
第1の周波数のクロックと、該クロック信号に同期した記録データがともに入力されるシフトレジスタと、
前記記録データに従って通電され発熱するヒータと、
前記インクジェット記録ヘッド内部の温度を検出する温度検出回路と、
前記第1の周波数のクロック信号が入力され、該クロック信号を分周して第2の周波数のクロック信号を生成する分周回路とを有し、
前記温度検出回路は
前記回路基板の温度を出力する温度センサと、
基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、
前記第2の周波数のクロック信号が入力され、該クロック信号に従って、前記基準電圧を変化させるための切換動作を行なう切換回路と、
前記温度センサからの出力電圧および、前記切換回路で前記第2の周波数のクロック信号に従って切換動作が行なわれた前記基準電圧を比較し、該比較結果を前記回路基板の検出温度を示す信号として前記第2の周波数のクロック信号に基づいて出力する比較回路と
を有することを特徴とする。
【0057】
また、前記分周回路は、第1の周波数のクロックを少なくとも2分周できるようにすると良い。
【0058】
さらに、前記シフトレジスタに格納された記録データをラッチするラッチ回路を有すると良い。
【0059】
ンクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えていることが望ましい。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0061】
なお、本発明において用いている「記録」という語は、文字や図形などの意味をもつ画像を記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味をもたない画像を付与することをも意味するものである。
【0062】
また、本発明は紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスティック、ガラス、木材、セラミックス等の記録媒体に対して記録を行なう、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリや通信システムとプリンタ部とを組み合わせたプリンタシステム、プリンタ部を有するワードプロセッサなどの装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用可能な発明である。
【0063】
さらに、以下に用いる「素子基体」という語は、シリコン半導体からなる単なる基体を指し示すものではなく、各素子や配線などが設けられた基体を示すものである。
【0064】
さらに、以下の説明で用いる「素子基体上」という表現は、単に素子基体の上を指し示すだけでなく、素子基体の表面、表面近傍の素子基体内部側をも示すものである。また、本発明でいう「作りこみ(ビルトイン(built-in))」とは、別体の各素子を単に基体上に配置することを指し示している言葉ではなく、各素子を半導体回路の製造工程などによって素子基体上に一体的に形成、製造することを示すものである。
【0065】
始めに、以下で説明する本発明の記録ヘッドを用いる記録装置の代表的な全体構成および制御構成について説明する。
【0066】
図1は、本発明の記録ヘッドを用いたインクジェットプリンタIJRAの構成の概要を示す外観斜視図である。図1において、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5009〜5011を介して回転するリードスクリュー5005の螺旋溝5004に対して係合するキャリッジHCはピン(不図示)を有し、ガイドレール5003に支持されて矢印a,b方向を往復移動する。キャリッジHCには、記録ヘッドIJHとインクタンクITとを内蔵した一体型インクジェットカートリッジIJCが搭載されている。5002は紙押え板であり、キャリッジHCの移動方向に亙って記録用紙Pをプラテン5000に対して押圧する。5007,5008はフォトカプラで、キャリッジのレバー5006のこの域での存在を確認して、モータ5013の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知器である。5016は記録ヘッドIJHの前面をキャップするキャップ部材5022を支持する部材で、5015はこのキャップ内を吸引する吸引器で、キャップ内開口5023を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、5019はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材であり、本体支持板5018にこれらが支持されている。ブレードは、この形態でなく周知のクリーニングブレードが本例に適用できることは言うまでもない。又、5021は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達機構で移動制御される。
【0067】
これらのキャッピング、クリーニング、吸引回復は、キャリッジがホームポジション側の領域に来た時にリードスクリュー5005の作用によってそれらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されているが、周知のタイミングで所望の動作を行うようにすれば、本例にはいずれも適用できる。
【0068】
次に、上述した装置の記録制御を実行するための制御構成について説明する。
【0069】
図2はインクジェットプリンタIJRAの制御回路の構成を示すブロック図である。制御回路を示す同図において、1700は記録信号を入力するインタフェース、1701はMPU、1702はMPU1701が実行する制御プログラムを格納するROM、1703は各種データ(上記記録信号や記録ヘッドIJHに供給される記録データ等)を保存しておくDRAMである。1704は記録ヘッドIJHに対する記録データの供給制御を行うゲートアレイ(G.A.)であり、インタフェース1700、MPU1701、RAM1703間のデータ転送制御も行う。1710は記録ヘッドIJHを搬送するためのキャリアモータ、1709は記録紙などの記録媒体搬送のための搬送モータである。1705は記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ、1706,1707はそれぞれ搬送モータ1709、キャリアモータ1710を駆動するためのモータドライバである。
【0070】
上記制御構成の動作を説明すると、インタフェース1700に記録信号が入るとゲートアレイ1704とMPU1701との間で記録信号がプリント用の記録データに変換される。そして、モータドライバ1706、1707が駆動されると共に、ヘッドドライバ1705に送られた記録データに従って記録ヘッドIJHが駆動され、記録が行われる。
【0071】
なお、上述のように、インクタンクITと記録ヘッドIJHとは一体的に形成されて交換可能なインクカートリッジIJCを構成しても良いが、これらインクタンクITと記録ヘッドIJHとを分離可能に構成して、インクがなくなったときにインクタンクITだけを交換できるようにしても良い。
【0072】
図3は、インクタンクとヘッドとが分離可能なインクカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。インクカートリッジIJCは、図3に示すように、境界線Kの位置でインクタンクITと記録ヘッドIJHとが分離可能である。インクカートリッジIJCにはこれがキャリッジHCに搭載されたときには、キャリッジHC側から供給される電気信号を受け取るための電極(不図示)が設けられており、この電気信号によって、前述のように記録ヘッドIJHが駆動されてインクが吐出される。
【0073】
なお、図3において、500はインク吐出口列である。また、インクタンクITにはインクを保持するために繊維質状もしくは多孔質状のインク吸収体が設けられており、そのインク吸収体によってインクが保持される。
【0074】
以下、本発明の記録ヘッドの具体的な実施形態により、記録ヘッドと装置本体とのデータの送受信について詳細に説明する。
【0075】
<第1の実施形態>
図4は本発明の第1の実施形態による記録ヘッドIJHの駆動制御を行なう回路を示すブロック図である。
【0076】
なお、図4において、図8の従来例で示したのと同じ構成要素には同じ参照番号を付し、その説明は省略する。
【0077】
さて、図4において、120は記録ヘッドの基板(素子基体)101上に作り込まれた構成としての、基板101の状態を検出するための素子を有する素子ブロック、130は素子ブロック120内の素子の出力信号をデジタル化するA/D変換ブロック、131はA/D変換ブロック130の出力を記録ヘッドIJHの外部へ引き出すための端子である。140はA/D変換ブロック130の出力を入力して基板101の状態を検知し、それに応じた適切な制御を基板101に対してフィードバックする判定回路ブロック、133は端子131と判定回路ブロック140とを結ぶ外部配線、160は判定回路ブロック140とロジック回路部105とを結ぶ配線である。
【0078】
なお、図2との関係で説明すると、判定回路ブロック140は図2に示す制御回路のMPU1701やヘッドドライバ1705が実行する機能の一部として構成される。
【0079】
図5は素子基体上に作り込まれた素子ブロック120を構成する各素子を示す図である。
【0080】
図5に示すように、素子ブロック120は、温度を検出するための温度検出素子として温度特性が既知のp−n接合ダイオード201と、インクを吐出するためのヒータ103の抵抗値をモニタするためにヒータと同一材料、同一プロセスで形成されたモニタ用抵抗202と、パワートランジスタのON抵抗をモニタするためにパワートランジスタと同一導伝型で、かつ同一プロセスで形成されたモニタ用のトランジスタ203とで構成されている。これらの素子夫々に対して、定電流源210から一定の電流が供給され、各素子に設けられた出力端子220から基板温度、ヒータ抵抗値、パワートランジスタのON抵抗を夫々反映した出力電圧がアナログ値で出力される。
【0081】
ここでは、素子ブロック120を構成する素子として温度検出素子と、モニタ用抵抗と、モニタ用トランジスタの3つの素子を有する構成として説明したが、これら素子のいずれかを単独で用いても良く、また、それらの組み合わせであっても良い。
【0082】
素子ブロック120を構成するそれぞれの素子、即ち、p−n接合ダイオード201、抵抗202、トランジスタ203に定電流源210からそれぞれ定電流が供給されると、端子220からは以下のような出力が得られる。
【0083】
p−n接合ダイオード201を素子として用いた場合は、その時の基板温度に対応して順方向電圧を端子220から出力し、抵抗202を素子として用いた場合は、吐出のためのヒータ103の抵抗値に対応した抵抗値に見合う電位降下分を端子220から出力し、トランジスタ203を素子として用いた場合は、パワートランジスタのON抵抗値に対応した抵抗値に見合う電位降下分を端子220から出力する。なお、これらの出力電圧は、すべてのアナログ値である。
【0084】
図6は素子ブロック120から出力されたアナログ出力をデジタル値に変換するA/D変換ブロック130との関係を説明するためのブロック図である。
【0085】
図6において、301はA/D変換器である。
【0086】
図5に示した端子220から得られる出力信号は、A/D変換器301によってデジタル値へと変換される。このとき、図5に示した素子ブロック120内の定電流源201は、外部電流源、即ち、記録ヘッドIJH外部から供給される定電流源であっても同様の効果が得られ、また各素子の特性が得られる他の手段、例えば、定電圧源や固定パターン発生器のようなものに置き換えても同様の効果が得られる。
【0087】
また、A/D変換器301は、必要となる範囲で、その方式や精度に任意のものを選択することが可能である。
【0088】
例えば、基板の温度上昇を検知するためのP−N接合ダイオードの順方向電圧をA/D変換する場合の実施形態を以下に示す。
【0089】
ここで、基板上に作り込むA/D変換器としてはインクを吐出するためのドライバー部と同一基板上に構成することが必要であるためコストアップを最小限に抑えるという観点からなるべく回路規模の小さいものが望ましい。
【0090】
また、A/D変換器の精度としてインクを一定の吐出特性のもとに行なうという観点では、その最小分解能に相当する温度範囲が約5℃程度の比較的粗いものでも十分実用に堪え、かつ温度の刻み幅が一定ではなく必要とする温度において連続的ではない離散的な値が出力されてもよく、このような特性を満足する範囲で最小限の回路規模のものを採用することが望ましい。さらには、このA/D変換器における消費電力が大きいと、その影響で基板温度が上昇してしまい基板全体としての温度上昇に悪影響を及ぼすことが懸念されるため、なるべく消費電力の小さいものを用いることが望ましい。
【0091】
このような観点から、例えば、図9に示すようなA/D変換器の構成が本発明のA/D変換器としては好適である。
【0092】
図9において、210は定電流源、201は温度に対してリニアな出力電圧特性をもつP−N接合ダイオード、230は温度に対してほぼ不変の出力電圧特性をもつ基準電圧発生回路、231はバッフア回路、232はコンパレータ、234は検出する所望の温度に対応した電圧を基準電圧発生回路の出力から分圧して得るための分圧抵抗とアナログスイッチ群、233は出カバッファ、236はシフトレジスタ、235は出力端子である。
【0093】
また、図10は図9に示す回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0094】
210から定電流を供給された201のダイオード出力は温度に対してリニアな出力電圧特性をもつ。また、基準電圧発生回路の出力電圧特性は温度に対してほぼ不変の特性をもつ。この両者をコンパレータにより比較することにより、ダイオードのアナログ出力電庄はデジタル値に変換される。このとき、基準電圧側を抵抗分圧により検出したい所望の温度に対応した電圧に設定しておけば分圧抵抗の分圧点▲1▼〜▲8▼に接続されたスイッチをクロックパルスに同期して動作するシフトレジスタにより順次切り換えることにより、例えば、ダイオード出力が−2mV/℃の温度特性をもつ電圧を発生し、抵抗分圧の分圧点の電圧を10mV刻みに8点とっていれば、5℃間隔で8点の温度がクロックパルスに同期して変化するOUT端子の出力より検出できる。これは、40℃の範囲の温度を5℃の分解能でデジタル変換したのと同じ効果を得ることになる。
【0095】
図10に示すとおり、シフトレジスタにクロック入力端子とリセット信号入力端子とを設けておき、所定のタイミングでリセットした後にクロックパルスの立上りに同期して、OUT端子の出力をモニタすれば所望の温度に対応したタイミングでOUT端子の出力がハイ(High)レベルからロー(Low)レベルへと変化することによりデジタル的に温度を検出することが可能になる。
【0096】
このような構成をとることにより、例えば、5℃刻みという比較的粗い分解能であれば基準電圧とコンパレータさらには検出温度ポイント数だけの抵抗という小規模な回路構成でインクジェット記録ヘッド用基板上にA/D変換器を作り込む事ができる。また、基準電圧発生回路およぴコンパレータはそれぞれ1つですむため、回路全体での消費電力も抑えられ基板の温度上昇に悪影響を与えずにすむということも可能になる。
【0097】
さらには、P−N結合ダイオードの代わりに、ヒータ抵抗値モニタ用抵抗またはパワートランジスタON抵抗モニタ用トランジスタを定電流源に接続すれば、それぞれの値を所望の分解能でA/D変換することが可能となる。
【0098】
次に、以上のような構成の記録ヘッドIJHの動作について説明する。
【0099】
記録ヘッドIJHの記録動作によって発生する熱による基板温度の上昇は、従来例でも説明したように常に一定のインク吐出を行おうとする制御に悪影響をもたらす。また、個々の記録ヘッドのヒータ抵抗値のバラツキは、ヒータ発熱量にバラツキをもたらして、記録ヘッドを新しく交換した後のインク吐出制御に悪影響をもたらす。
【0100】
また、ヒータを駆動するためのパワートランジスタは、その抵抗成分によって、駆動電流を消費してしまうため、ヒータでの発熱量を低下させる要因となるので、なるべく抵抗成分の小さいものを使用することが好ましい。しかし、いくら小さい抵抗成分とはいっても、電力損失を生じることは避けられず、これもヒータ抵抗値同様、記録ヘッド各々の個体差がある。従って、電力損失にも個体差が生じ、ひいては、これがヒータにおける発熱量のバラツキとなって現れ、結果的にインク吐出特性のバラツキという悪影響をもたらすことになる。従って、このパワートランジスタの抵抗成分も記録ヘッド各個体における値をモニタして、常に最適な駆動を行う制御を行う必要が生じる。
【0101】
このように、記録ヘッドIJHの基板の状態を表わすための要素として、基板の温度、ヒータ抵抗値、パワートランジスタON抵抗値が代表的なものとして挙げられる。
【0102】
これらの要素を、それぞれモニタするための素子が、素子ブロック120内に収められた素子であり、これらの素子はそれぞれの値をアナログ値として出力する。このアナログ値は、A/D変換器301へ送られデジタル値に変換される。これらのデジタル値は端子131、配線133を介して判定回路ブロック140へ送られる。一方、判定回路ブロック140は、デジタル値の出力を受信して基板101のそれぞれの状態(基板温度、ヒータ抵抗値、パワートランジスタON抵抗値)を検知し、それに応じた最適な駆動パルスを選択して、ロジック回路部105へフィードバックする。
【0103】
ここで、インクの吐出状態を一定に保つためには基板の状態に応じて最適な駆動を行なう必要があるが、これはヒータに電流を流す時間、即ち、ドライバトランジスタを駆動するパルス(以下、ヒートパルス)のパルス幅を変化させることで可能になる。そこで、基板の状態をデジタル値で受信した後、その値に対応したヒートパルス幅を決定してヘツドを駆動することになる。
【0104】
図11は温度状態、ヒータ抵抗値、トランジスタON抵抗値がある一定の範囲内で変化したときのそれに対応するヒートトパルス幅を決定するためのテーブルを示す図である。
【0105】
例えば、図11(a)に示すように、温度検出の分解能を8段階に設定した場合、4番目の状態を規格値のヒートパルス幅(Th)とし、ここから1ランクずつ温度が上昇するごとに2%ずつそのパルス幅を減らし、1ランクずつ温度が低下するごとに2%ずつそのパルス幅を増やすというテーブルを作成しておき、これを駆動装置内のメモリに格納しておき、デジタル値を受信後、そのテーブルから得られたThを用いてドライバトランジスタを駆動するようにする。
【0106】
また、ヒータおよびトランジスタは基板内では直列に接続されているため、それらの抵抗値は双方の抵抗値の合計値で表わされるので、その合計の抵抗値でパルス幅を決定すればよく、図11(b)に示すようにマトリクス形式でテーブルを作成しておくことで効率よく、所定のThを選定することができる。
【0107】
デジタル値で受信する抵抗値に対応したランクのマトリクスにおいて、ランク抵抗が増えればThを増やし、ランク抵抗が減ればThを減らすことで最適な駆動パルスを決定することができる。本実施形態においては、1ランク抵抗の増減に応じてThを1%増減させているが、増減の量は適宜決定決定すればよい。
【0108】
従って以上説明した実施形態に従えば、記録ヘッドの基板上にA/D変換器を設け、基板温度、ヒータ抵抗値、パワートランジスタON抵抗値を反映した情報をデジタル信号として記録装置に出力することができるので、記録動作に伴って記録ヘッドから発生する様々なノイズに対する影響を受けにくく、精度よく信号を受け取ることができる。
【0109】
これにより、基板温度、ヒータ抵抗値、パワートランジスタのON抵抗値の変化をより正確に反映した情報に基づいて、記録ヘッドの駆動制御をより正確に行なうことが可能になり、より安定したインク吐出特性が得られるように記録ヘッドを制御することできる。
【0110】
前述の第1の実施形態においては、素子ブロック120の各端子から基板温度、ヒータ抵抗値、パワートランジスタのON抵抗値の特性を表すアナログ情報をある一定の期間毎に読み取って、これをデジタル値に変換して、その都度、最適な制御が記録ヘッドにフィードバックされるように構成していた。しかしながら、基板温度のように常に記録ヘッドの駆動状態の変化によって変動する因子については、そのような制御が必要となるが、記録ヘッド各々の個体差があるヒータ抵抗値やパワートランジスタON抵抗値などは経時変化する訳ではないので、例えば、新しく記録ヘッドを交換した時に、一度だけその値を読み取って不揮発性メモリに格納し、その後は、そのメモリの値を読み取るように構成しても良い。
【0111】
図7はこの変形例に従う記録ヘッドIJHの基板構成の特徴的な部分を示すブロック図である。
【0112】
図7において、311は素子ブロック120の各素子の特性を測定するための外部端子、302は測定した各素子の値を格納しておくための不揮発性メモリ(NVRAM)、312はNVRAM302への書き込み端子である。
【0113】
図7に示す構成によれば、測定端子311を介して素子ブロック120内の抵抗、トランジスタのON抵抗を、例えば、記録ヘッドIJHの工場出荷検査などで測定し、これに対応したデジタル値を書き込み端子312を介してNVRAM302へ書き込んでおき、必要に応じて端子131より読み出せば、素子ブロック120の素子の測定を行なわずに簡単にデジタル値を得ることができる。
【0114】
この時、NVRAM302の具体的な素子としては、それぞれ必要となる精度や使用する半導体プロセスなどに応じて、その素子を任意に選択することが可能であり、例えば、EPROM、EEPROM、Fuse(フューズ)式ROMなどが考えられる。
【0115】
従って以上説明した変形例に従えば、経時変化しないヒータ抵抗値やパワートランジスタON抵抗値などの特性をあらわす情報は記録ヘッドに設けられた不揮発性メモリにデジタル情報として工場出荷時などに書きこんでおき、記録ヘッドの駆動制御の必要に応じてそのメモリから読み出して用いることができるとともに、経時変化する基板温度の情報だけを素子ブロック120とA/D変換器301とを介してデジタル情報として定期的に読み出すことができる。
【0116】
なお、以上説明した第1の実施形態およびその変形例では、素子ブロック120内に収める基板の状態を示す素子として、基板温度、ヒータ抵抗値、パワートランジスタのON抵抗値の特性を表す素子を用いたが、本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、吐出するインクの残量をモニタする手段や、各トランジスタのスイッチングスピードの個体値、さらには、インクの酸性度アルカリ度を表すPH値、外部湿度等の特性をモニタする素子を用いるようにしても良い。
【0117】
さらには、基板を構成する要素として配線層の膜厚や保護膜厚などの個体値をモニタする素子を用いるようにしても良い。
【0118】
ここで、トランジスタのスイッチングスピードや配線層膜厚、保護膜厚などは経時的に変化するものではないため、前述のように工場出荷時に測定した値を不揮発性メモリに書きこむことでデジタル化しておくことが可能である。
【0119】
<第2の実施形態>
以下、本発明の記録ヘッドの第2の実施形態について説明する。
【0120】
図12は、記録ヘッドを構成する同一基板上(素子基体上)に作り込まれた記録ヘッドの回路構成の例を示す図である。
【0121】
図12において、(a)は入力画像信号に従ってヒータを駆動するヒータ駆動回路の構成を、(b)は複数のヒータ夫々に電流を流すか否かを制御するために、ヒータ夫々に対応して設けられたパワートランジスタで構成されるスイッチ夫々の抵抗のバラツキを示すデータ(以下、ROMデータという)をシリアルに記録ヘッド外部に出力する回路(ROMデータ出力回路)の構成を、(c)は記録ヘッドの状態を(ヘッド温度等)アナログ入力してデジタル出力するA/D変換回路の構成を示す図である。
【0122】
また、図13は図12に示す記録ヘッドに入出力される各種信号のタイムチャートである。図13において、(a)は図12(a)に示す回路への出力信号を、(b)は図12(b)に示す回路の入出力信号を、(c)は図12(c)に示す回路の入出力信号を示すタイムチャートである。
【0123】
次に、この記録ヘッドの構成とその動作について説明する。
【0124】
まず、図12(a)と図13(a)を参照して、インク吐出動作について説明する。
【0125】
図12(a)に示されているように、複数のヒータ1150各々に対応して、複数のシフトレジスタ(S/R)1156が設けられ、これらは直列に接続されるとともに、複数のシフトレジスタ(S/R)1156各々の出力は、LATCH回路1154に接続され、さらに、LATCH回路1154の出力はANDゲート1152の一方の入力に接続されている。一方、ANDゲート1152の他方の入力はヒート信号(HEAT)の入力パッド(PAD)1153に接続されている。
【0126】
そして、ANDゲート1152の出力がヒータ1150への通電を制御するスイッチ1151の開閉を制御している。 ANDゲート1152からの出力信号に従って、スイッチ1151がONするとヒータ1150が通電され、ヒータ1150からの熱エネルギによってインクを加熱し、インクをその吐出ノズル口から吐出させる。
【0127】
さて、画像信号(DATA)は、図13(a)に示すように、入力パッド(PAD)1159から入力されるクロック信号(DCLK1)に同期してデータ入力パッド(PAD)1157からシリアルに入力される。複数のシフトレジスタ(S/R)1156への画像信号入力が終わると、入力パッド(PAD)1155からラッチ信号(LD1)のパルスが入力され、複数のシフトレジスタ(S/R)1156に一時的に保持された画像信号(DATA)がLATCH回路1154によって一括して取り込まれ保持される。
【0128】
そして、そのラッチされた画像信号のレベル(H/L)と入力パッド(PAD)1153から入力されるヒート信号(HEAT)のレベルとの論理積に応じて、ANDゲート1152がイネーブル状態となる。これによって、スイッチ1151が導通し、図12(a)に示すVH電源ラインからヒータ1150に電流が流れる。ヒータへの通電は、画像信号がハイレベル“H”である所に対してのみ発生し、その通電によってヒータが発熱し、その熱エネルギによってインクを吐出する。尚、ヒート信号(HEAT)のパルスを印加している時間だけヒータをONさせることができる。
【0129】
次に、図12(b)と図13(b)とを参照して、ROMデータ出力回路の構成とその動作について説明する。
【0130】
記録ヘッドの回路基板は半導体製造プロセスを応用して製造されるので、ICチップの特性には製造上発生するばらつきがある。このようなばらつきは、インク吐出特性にも影響を与えることがある。従って、このようなばらつきによるインク吐出特性への影響を最小化するとともに、そのばらつきを考慮した最適なパワーをヒータに印加することによりヒータの耐久性を向上させることが必要である。
【0131】
このため、記録ヘッドの回路基板には、図12(b)に示すように、半導体製造プロセス上発生するヒータ1150の抵抗バラツキ、ヒータをON/OFFさせるスイッチ1151のON抵抗バラツキのようなICチップ固有のバラツキに関する情報を格納する10個のROM1114が設けられている。
【0132】
このROMデータ出力回路に、図13(b)に示すように、入力パッド(PAD)1103からラッチ信号(LD2)を入力し、その後、入力パッド(PAD)1101からクロック信号(DCLK2)を入力してやることで、このクロック信号に同期して出力パッド(PAD)1115からROMデータがシリアルに(ROM0、ROM1、ROM2、ROM3、……)出力される。
【0133】
さて、図12(b)に示されているように、 ROMデータ出力回路には10個のシフトレジスタ(S/R0、S/R1、……、S/R9)1107が10個のROM1114に一対一に対応して設けられており、これらのシフトレジスタは直列に接続され、最後に、もう1つのシフトレジスタ(S/R10)を経て、PAD1115に接続されている。この接続において、隣り合うシフトレジスタ(S/R0〜S/R10)の入力端子(IN)と出力端子(OUT)がそれぞれ接続されている。
【0134】
図14はこれらシフトレジスタ1つ1つの内部構成を示す回路図である。
【0135】
PAD1101、インバータ1102によって反転したクロック信号とPAD1103とはこれらのシフトレジスタともう1つのシフトレジスタ(S/R10)に共通に接続されているので、PAD1103から入力されるラッチ信号(LD2)の1個のパルスによって10個のROM1114からのデータがパラレルに読み出され、夫々のシフトレジスタ1107に記憶保持される。
【0136】
図12(b)と図14とを参照して説明すれば、PAD1101から入力されたクロック信号(DCLK2)は各シフトレジスタのDK端子に、反転したクロック信号は各シフトレジスタのIDK端子に、PAD1103から入力したラッチ信号は各シフトレジスタのLD端子に入力される。また、ROM1114からの出力信号は各シフトレジスタのRIN端子に入力される。
【0137】
次に、PAD1101からクロック信号(DCLK2)を入力すると、このクロック信号の立ち上がりエッジに同期して、ROMデータがPAD1115から出力される。
【0138】
また、図15はROM1114各々の内部構成を示す図である。
【0139】
各ROMの記憶素子1138には、その半導体製造プロセス工程終了時に外部から電気的に書き込みがなされる。具体的には、発熱で溶断可能な材質を用いて焼き切るか否かによって記憶すべき信号レベル(H/L)を確定するか、或は、強誘電体を用いたコンデンサに信号レベル(H/L)を保持させる。
【0140】
ここで、図15に示す記憶素子1138に記憶される信号レベルがハイレベル“H”の場合と、ローレベル“L”の場合の、シフトレジスタの動作についてそれぞれ述べる。
【0141】
(1)ハイレベル“H”の場合
この場合、ROMの出力端子(OUT)での信号はローレベル“L”になるので、この出力端子(OUT)と接続されているシフトレジスタ(S/R)のRIN端子からはローレベル“L”の信号が入力される。しかし、シフトレジスタ(S/R)の中には、この時点ではその信号がまだ保持されていない。
【0142】
次に、クロック信号(DCLK2)がローレベル“L”である時にラッチ信号(LD2)のパルスが一つ入力されると初めて、RIN端子に入力された信号がシフトレジスタ(S/R)内にとり込まれる。そして、図14に示したシフトレジスタの論理構造からすると、RIN端子における信号レベルが“L”であり、ラッチ信号(LD2)のレベルが“H”の時、シフトレジスタ(S/R)の出力端子(OUT)における信号レベルは“H”に保持される。上述したように、10個のシフトレジスタ(S/R0、……、S/R9)は10個のROM1114に並列に接続されているので同タイミングで全てのROMデータがシフトレジスタ(S/R)に転送、保持される。
【0143】
(2)ローレベル“L”の場合
この場合、ROMの出力端子(OUT)での信号はハイレベル“H”になるので、この出力端子(OUT)と接続されているシフトレジスタ(S/R)のRIN端子からはハイレベル“H”の信号が入力される。しかし、シフトレジスタ(S/R)の中には、この時点ではその信号がまだ保持されていない。
【0144】
次に、クロック信号(DCLK2)がローレベル“L”である時にラッチ信号(LD2)のパルスが一つ入力されると初めて、RIN端子に入力された信号がシフトレジスタ(S/R)内にとり込まれる。そして、RIN端子における信号レベルが“H ”であり、ラッチ信号(LD2)のレベルが“H”の時、シフトレジスタ(S/R)の出力端子(OUT)における信号レベルは“L”に保持される。
【0145】
なお、10個のROM1114夫々の記憶素子に記憶された信号レベルがH/L混在の場合でも、その信号レベルに応じた信号レベルがシフトレジスタ(S/R0、……、S/R9)に同様に保持される。
【0146】
このようにして、ROMデータがシフトレジスタ(S/R)に転送、保持されたなら、 クロック信号(DCLK2)のパルスの立ち上がりエッジに同期して、ROMデータがシフトレジスタ(S/R)から出力される(即ち、ROMから読み出されたパラレルデータがシリアルデータに変換されて出力される) 。
【0147】
最後に、図12(c)と図13(c)とを参照して、A/D変換回路の構成とその動作について説明する。
【0148】
この記録ヘッドはヒータの発熱によって発生する熱エネルギをインクに加えることによってインクを吐出しているので、ヒータ発熱で記録ヘッド自身の温度も上昇する。一方、インクの粘性は温度に依存する。さらに、インクの吐出量はインクの粘性に依存する。従って、記録ヘッドの温度、即ち、インク温度によってインク吐出量も影響される。
【0149】
このため、記録ヘッドの温度を記録装置本体側のCPUにフィードバックして、温度変化によるインク吐出特性を考慮した記録制御、さらには、ヒータの発熱によって記録ヘッドが許容温度を越えないように記録制御を行うことが必要となる。しかしながら、この温度を測定する温度センサの出力はアナログ値であるため、CPUでの処理のためにはこのアナログ値をデジタル値に変換するためA/D変換回路を必要とする。
【0150】
上記で述べたように、このような回路は装置本体側に設けることもできるが、先の実施形態で述べたように、本体側の構成の簡素化やノイズ防止等の観点から記録ヘッド内部でA/D変換を行っている。本実施形態でも、記録ヘッドの回路基板上にA/D変換回路が設けられている。
【0151】
この回路は、記録ヘッド内部に設けられた温度センサの出力(温度に比例した電圧)などのアナログ信号(ALG)を入力して、規準電圧と比較し、その結果をデジタル出力する。この規準電圧は4つの入力パッド(PAD)1316〜1319を介して4つの信号(IN0〜3)のどれか一つに入力することで4段階に切り替えている。
【0152】
図12(c)において、1124は温度、外部電源のそれぞれの変動に対して影響を受けない定電圧源(Vref)、1125〜1129は夫々、抵抗であり、これらの抵抗は、直列に接続されている。そして各抵抗の抵抗比によって任意な電圧を得ることができる。また、1130〜1133は入力信号(IN0〜3)に従ってON/OFF動作を行うアナログスイッチである。
【0153】
4つの入力パッド(PAD)1316〜1319のいずれか1つのパッドから入力信号(IN0〜3)の内どれか一つを入力すると、その信号がインバータ1120〜1123で反転され、入力信号と反転入力信号とが、選択されたアナログスイッチ1130〜1133のいずれか1つに入力され、その選択されたアナログスイッチが接続されたノードの電圧がノード1134を経て、コンパレータ1135の(−)端子に入力される。
【0154】
コンパレータ1135はこれを規準電圧とし、入力アナログ信号(ALG)との比較を行う。そして、その比較結果はデジタル出力端子1137からデジタル信号として出力される。
【0155】
次に、さらに、このような実施形態のパッドおよび配線の数を低減する、本発明の記録ヘッドの他の実施形態について説明する。
【0156】
図16は、このような実施形態としての記録ヘッドIJHに実装される回路基板の構成を示す図である。
【0157】
なお、図16において、既に図12を参照して説明した実施形態の記録ヘッドの回路基板の構成と同じ構成要素には同じ参照番号を、また、同じ信号には同じ参照記号を付しその説明は省略し、ここでは、この実施形態に特徴的な要素とその動作について、特に、図12の回路との相違について説明する。また、図16において、(a)は図12(a)に対応したヒータを駆動するヒータ駆動回路を、(b)は図12(b)に対応したROMデータ出力回路を、(c)は図12(c)に対応したA/D変換回路である。従って、図16におけるROM1114′には図12(b)に示したROM1114に格納されるのと同様なデータが格納される。
【0158】
ここで、図12の実施形態とは異なり、ヒータ駆動回路のラッチ回路(Latch)1154にはPAD1103から入力されるラッチ信号(LD)がシフトレジスタ(S/R0〜9)1107’に対するラッチ信号と共通的に用いられている。また、ヒータ駆動回路のシフトレジスタ(S/R)1156にはPAD1101から入力されるクロック信号(DCLK)とその反転信号がシフトレジスタ(S/R0〜9)1107’に対する入力信号と共通的に用いられている。
【0159】
図17がシフトレジスタ(S/R)1156の構成を示す回路図である。図17において、DKはクロック信号(DCLK)入力端子、IDKは反転されたクロック信号の入力端子、INは画像信号(DATA)の入力端子、OUTは画像信号(DATA)の出力端子である。
【0160】
図18はラッチ回路(Latch)1154の構成を示す回路図である。図18において、LDはラッチ信号(LD)の入力端子、INはシフトレジスタ(S/R)1156からの画像信号(DATA)の入力端子、OUTはラッチされた画像信号の出力端子である。
【0161】
また、ROMデータ出力回路に関しては、10個のシフトレジスタ(S/R0〜9)1107′各々の出力端子(OUT)からの出力は、次段のシフトレジスタの入力端子(IN)に接続されるとともに、10個のROM1114′のアドレス入力端子(IN)に接続され、10個のシフトレジスタと10個のROMとが一対に接続されるようになっている。図16に示す例では、10ビットのシフトレジスタが構成されている。また、シフトレジスタ1107’の前段にはスタータ回路1140が接続され、そのLD端子にはPAD1103から入力されたラッチ信号(LD)が入力され、そのIN端子にはシフトレジスタ(S/R0)の出力端子(OUT)からの信号が入力され、そのOUT端子からの出力信号はシフトレジスタ(S/R0)の入力端子(IN)に入力されている。さらに、10個のROM1114′各々の出力端子(OUT)は10入力OR回路1140に接続されている。10入力OR回路1140の出力がROMデータ出力となる。
【0162】
図19は1つのシフトレジスタ(S/R0〜9)1107′の構成を示す回路図である。図19と図14とを比較すると分かるように、この実施形態のシフトレジスタ(S/R0〜9)1107′は、ROMからの入力端子がなく、前段のシフトレジスタ或はスタータ回路1140からの信号の入力端子(IN)と、後段のシフトレジスタ或はPAD1115への信号の出力端子(OUT)と、ラッチ信号入力端子(LD)と、クロック信号入力端子(DK)と、反転されたクロック信号の入力端子(IDK)とを備えている。
【0163】
図20はスタータ回路1140の構成を示す回路図である。図20において、LDはラッチ信号(LD)の入力端子、INはシフトレジスタ(S/R0)1107′からのフィードバック信号の入力端子、OUTはシフトレジスタ(S/R0)1107′への出力端子である。
【0164】
図21はROM1114′の構成を示す回路図である。図21の構成と、図15に示すROM1114の構成とを比較すると分かるように、この実施形態のROMでは記憶素子1138の前段にAND回路を設け、シフトレジスタから入力端子(IN)に入力される信号と記憶素子1138からの出力信号レベルととの論理積が出力端子(OUT)から出力される構成となっている。
【0165】
さらに、A/D変換回路の4つのインバータ1120〜1123へは、ROMデータ出力回路に備えられた10個のシフトレジスタの内、最初の4つのシフトレジスタ(S/R0〜S/R3)各々からの出力信号が入力ノード1116〜1119を経て入力される。
【0166】
以上のような図12の実施形態との構成の相違から、信号伝達の経路は次のように異なる。
【0167】
即ち、図12(b)に示した実施形態ではROMデータ出力回路のシフトレジスタにROMデータを一括して転送し、そのシフトレジスタにクロック信号(DCLK2)を入力することで、シリアルデータ出力を行っているのに対し、この実施形態では、図16に示すように、シフトレジスタ(S/R0〜9)1107’にROMデータを転送せずに、スタータ回路1140を用いて最前段のシフトレジスタ(S/R0)にハイレベル“H”の信号を入力する。さて、シフトレジスタ(S/R0)の出力は対応するROMの入力端子(IN)に接続されており、ROMの入力端子にハイレベル“H”の信号が印加されるとROMの記憶素子に格納された信号(H/L)が出力端子(OUT)に出力してくる。
【0168】
一方、シフトレジスタ(S/R0)の出力は後段のシフトレジスタ(S/R1)に入力されているので、その出力は順次後段のシフトレジスタ(S/R2、3、……)に転送され、その結果、これらシフトレジスタの出力がハイレベル“H”となった場所に対応するROMに格納されたデータが順次出力されることになる。
【0169】
さらに、シフトレジスタ(S/R0)の出力が順次後段のシフトレジスタに転送されるとき、シフトレジスタ(S/R0、1、2、3)の出力は、A/D変換回路の入力ノード1116〜1119に出力され、規準電圧切換信号としても用いられる。
【0170】
次に、上記構成の記録ヘッドの動作について、図22に示すタイムチャートを参照して説明する。
【0171】
まず、全てのシフトレジスタ(S/R0〜9)1107′に格納された信号レベルをローレベル“L”にするために、クロック信号(DCLK)の信号レベルを“L”にしておきながら、ラッチ信号(LD)のパルスを一つ入力する。これにより、シフトレジスタ(S/R0〜9)1107′の出力端子(OUT)からの信号はローレベル“L”に固定、保持される。
【0172】
次に、スタータ回路1140を用い最前段のシフトレジスタ(S/R0)への入力信号をハイレベル“H”にする。即ち、先程のラッチ信号(LD)パルスの入力によって、シフトレジスタ(S/R0)からはローレベル“L”信号が出力され、これがフィードバックされてスタータ回路1140のIN端子に入力される。一方、先程のラッチ信号(LD)パルスの入力後は、ラッチ信号(LD)レベルはローレベル“L”となるために、図20に示したスタータ回路の構成に従うと、その回路の出力端子(OUT)からはハイレベル“H”の信号が出力保持される。そして、シフトレジスタ(S/R0)の入力端子(IN)にはハイレベル“H”の信号が印加される。このように、ラッチ信号(LD)がローレベルにあるとき(即ち、PAD1103に何も印加してない時)にもスタータ回路1140からの出力はハイレベル“H”が保持される。
【0173】
次に、図22に示すように、PAD1101からクロック信号(DCLK)のパルスを入力していくことで、シフトレジスタに保持されたハイレベル“H”の信号が順次後段のシフトレジスタにシフトしていく。
【0174】
ここで、スタータ回路1140からの出力がハイレベル“H”を永久に保持していると、すべてのシフトレジスタ(S/R0〜9)にハイレベル“H”の信号が保持されることになってしまう。従って、シフトレジスタ(S/R0)にセットされたハイレベル“H”の信号(即ち、1ビットデータ)が順次次段のシフトレジスタ(S/R1、2、……)に転送されていくように、シフトレジスタ(S/R0)からの出力はスタータ回路1140の入力端子(IN)にフィードバック入力される。即ち、スタータ回路1140の入力端子(IN)へはハイレベル“H”の信号が印加される。一方、LD端子に入力されるラッチ信号(LD)は、ローレベル“L”を維持しているので、結果として、スタータ回路1140の出力端子(OUT)の信号レベルはローレベル“L”に固定、保持される。
【0175】
従って、図22に示すように、ハイレベル“H”の信号(即ち、1ビットデータ)がシフトレジスタ(S/R0〜9)を次々にシフトされていくことになる。
さて、上述したように、シフトレジスタ(S/R0〜9)の出力は夫々、対応するROMの入力端子に接続されている。従って、シフトレジスタ(S/R0〜9)の出力がハイレベル“H”にある時のみ、そのROMは読み出し可能状態になり記憶素子に格納されたデータ(H/Lデータ)がその出力端子(OUT)より出力される。このようにして、出力端子(OUT)より出力されたROMデータは10入力OR回路1140に入力される。
【0176】
このように、シフトレジスタ(S/R0〜9)からの出力信号がハイレベル“H”にあるときのみROMからデータは出力されるので、そのROMからの出力は、図22に示すようにシリアルになる。
【0177】
一方、A/D変換回路の規準電圧切換信号の入力ノード1116〜1119にシフトレジスタ(S/R0〜3)の出力に接続してやることで、クロック信号(DCLK)入力に従って、デジタルデータが出力される。
【0178】
従って、以上説明した実施形態に従えば、ROMデータの読み出し制御に用いる信号をヒータ駆動に用いる信号と共用させることにより、また、記録ヘッドの内部温度情報などのデジタルデータ出力を画像信号(DATA)の転送クロック(DCLK)を用いて行わせるので、記録ヘッドに入力する制御信号の数を少なくし、記録ヘッドの回路基板に設ける入出力パッドの数を少なくすることができる。
【0179】
これによって、記録ヘッドの回路基板の面積を削減と回路基板の簡素化が実現され、装置の小型化やコストダウンに貢献することができる。さらに、パッド数の削減は、外部接点とのポインティングワイヤの数の削減にもつながり、コストダウンにつながる。また、パッド数の削減に伴う制御信号ライン数の削減は、装置信頼性の向上とコストダウンにつながる。
【0180】
前述の第2の実施形態では、A/D変換回路から出力されるデジタル信号の出力周波数が、図22に示すように、ROMデータの出力周波数と同じである例について説明した。以下の変形例では、そのデジタル信号の出力周波数を、ROMデータ出力周波数より小さくしてデジタル信号を出力する場合について説明する。
【0181】
図23はこの変形例に従う記録ヘッドIJHに実装される回路基板の構成を示す図である。なお、図23において、既に図16や図12を参照して説明した記録ヘッドの回路基板の構成と同じ構成要素には同じ参照番号を、また、同じ信号には同じ参照記号を付しその説明は省略し、ここでは、この変形例に特徴的な要素とその動作について、特に、前述の実施形態との相違について説明する。また、図23において、(a)は図16の(a)と同じヒータ駆動回路を、(b)は図16の(b)と同じROMデータ出力回路を、(c)は図16の(c)と同じA/D変換回路である。
【0182】
従って、図23と図16とを比較すると明らかなように、この変形例の回路基板には、ROMデータ出力回路とA/D変換回路との間に、クロックレート切換回路(図23の(d))が設けられている。
【0183】
以下、このクロックレート切換回路の構成と動作について、図23と図22に示したタイムチャートを参照して説明する。
【0184】
クロックレート切換回路は、図23に示すように隣接する4ペアのシフトレジスタ((S/R0とS/R1)、(S/R2とS/R3)、(S/R4とS/R5)、(S/R6とS/R7))の各出力を4つORゲート1260〜1263に入力することにより、図22に示すようにクロック信号(DCLK)に同期したシフトレジスタからの信号出力周波数を(1/2)倍にしている。そして、これらORゲートの出力を規準電圧切換信号の入力ノード1116〜1119に接続し、前述の第2の実施形態と同様に、選択された規準電圧に従って、入力されたアナログ信号(ALG)をデジタルデータに変換してPAD1137から出力している。
【0185】
以上のような構成により、この変形例ではコンパレータ1135の動作に要求されるスピードを低減させて、A/D変換を実行することができる。通常、コンパレータの切換スピードを上げる、即ち、動作周波数を上げるとその回路の消費電力が上昇するので、これに伴う回路の発熱をできるだけ抑えることが記録ヘッドの正常な動作を維持するためにも望まれる。
【0186】
従って、以上説明した第2の実施形態の変形例によれば、コンパレータの切換スピードを低減して回路基板の温度上昇を制御し、記録ヘッドの良好な動作を維持することができる。
【0187】
また、1つのORゲートに入力するシフトレジスタの出力信号の数を2個以上にすることで、さらにコンパレータの切換スピードを低減できることは言うまでもない。
【0188】
<第3の実施形態>
以下、本発明の記録ヘッドの第3の実施形態について説明する。
【0189】
図24は、本実施形態における記録ヘッドと、記録装置本体の制御部9100との電気的接続を模式的に示したブロック図である。ここでは、説明の簡略化のためデータ転送に関する信号だけを図示している。
【0190】
この図において、9000は記録ヘッドの一部をなす半導体基板(素子基体)であり、1色のインクの吐出制御を行う。9001はシフトレジスタであり、制御部9100からの記録データ信号HDATA、転送クロックHCLK、ラッチ信号BGにより転送されてくるデータをラッチし、駆動ロジック回路9002に供給する。
【0191】
駆動ロジック回路9002は、図示しない吐出制御信号により、シフトレジスタ9001からのデータに従ってノズル9003内部の電気熱変換体(ヒータ)を駆動してインクを吐出させる。9004は温度検出部であり、半導体基板9000の温度に応じて出力信号レベルをアナログ的に変化させる。9005はコンパレータであり、複数の基準電圧を順次切り替えて温度検出部9004の出力と比較し、比較結果を「1」または「0」のデジタル情報で信号TOとして出力する。
【0192】
9006は記録ヘッドに関する情報を格納するメモリとして、抵抗体の溶断により予め書き込まれた識別(ID)および/またはランクを示す複数ビットの情報を格納するフューズROMであり、ポインタを順次切りかえて、格納された情報を1ビットずつ信号SOに出力する。
【0193】
なお、メモリの形式は、フューズ式ROMだけでなく、EPROM、EEPROM等の他の形式の不揮発性メモリとすることもできる。
【0194】
図25は、記録データのみを転送する場合のHDATA、HCLK、BGの各信号の状態を示すタイミングチャートである。ここでは、「f0cah」(1111000011001010B)という16ビットの記録データを転送する場合を示している。
【0195】
HCLKの各立ち上がり時に、HDATAの状態(「1」または「0」の1ビットデータ)がシフトレジスタ9001に入力され、同時にヘッド制御部2018はHDATAから出力するデータを次のビットデータに切換える。これを繰り返して16ビットのデータがシフトレジスタ9001に入力された後、BGが一旦“Low”となって再び“High”となる立ち上がりで、16ビットデータはシフトレジスタ部9001にラッチされる。
【0196】
図26は、コンパレータ9005における基準電圧切換動作を示すフローチャートである。始めに、信号BGが「1」であるか否かを判定し(ステップS931)、BGが「1」であれば、基準電圧レベルを初期状態であるレベル「1」に戻す(ステップS932)。ステップS931で信号BGが「0」であれば、HCLKの立ち上がりを検出したか否かを判定し(ステップS933)、HCLKの立ち上がりを検出した場合、基準電圧レベルをインクリメントして(ステップS934)、ステップS931へ戻る。
【0197】
すなわち、BG=「0」の状態で、HCLKの立ち上がりを検出する度に基準電圧レベルを上昇させる。そして、BG=「1」となってからコンパレータ9005の出力信号TOが変化した時点までに検出された、HCLKの立ち上がりの数(パルス数)から、記録ヘッドの半導体基板9000の温度に関する情報を得ることができる。
【0198】
図27は、フューズROM9006におけるポインタ切換動作を示すフローチャートである。始めに、信号BGが「1」であるか否かを判定し(ステップS941)、BGが「1」であれば、ポインタの位置を初期状態である「1」に戻す(ステップS942)。ステップS941で信号BGが「0」であれば、HCLKの立ち上がりを検出したか否かを判定し(ステップS943)、HCLKの立ち上がりを検出した場合、ポインタをインクリメントして(ステップS944)、ステップS931へ戻る。
【0199】
すなわち、BG=「0」の状態で、HCLKの立ち上がりを検出する度にポインタをインクリメントして、ROM9006からデータを1ビットずつ信号SOで出力し、記録ヘッドのIDおよび/またはランクを示す複数ビットの情報がシリアルで出力される。
【0200】
図28は、記録ヘッドへの記録データの転送と記録ヘッドからのデータの転送を同時に行なう場合における、各信号の状態を示すタイミングチャートである。ここで転送する記録データは、図25で示したものと同じである。
【0201】
この場合、記録データのみを転送する図25と異なり、BGは記録データの転送期間中「0」となっている。これにより、記録データ転送と同時に記録ヘッドの温度に関する情報と、IDおよび/またはランク情報とを同時に記録ヘッドの半導体基板9000から出力させている。そして転送された記録データをラッチするために信号BGが立ち上がると、信号TOおよびSOは初期値に戻る。
【0202】
以上説明したように、本実施形態では、記録ヘッドへ転送する記録データが16ビットであり、記録ヘッドから信号SOおよびTOで転送される情報も16ビットである。記録データが32ビットであれば、記録ヘッドから転送可能な情報も32ビットとなる。また、記録ヘッドから転送する情報が、記録データのビット数より少ない場合には、信号BGの立ち下がりタイミングを後にずらす等の制御も可能である。
【0203】
<第4の実施形態>
以下、本発明の記録ヘッドの第4の実施形態について説明する。
【0204】
図32は、入力記録データに同期して検出温度データを外部に送出できる記録ヘッドを構成する素子基体上に作り込まれた回路構成を示すブロック図である。
【0205】
図32に示す回路において、記録データ(SD)はシフトクロック信号(CK)に同期してシリアルデータとしてシフトレジスタ(SR)2101に入力されて一時的に格納され、さらに、その格納された記録データはラッチ回路(LT)2102にラッチされる。そして、そのラッチされた記録データに基づいて、ヒータ(HT)2103は通電加熱される。
【0206】
一方、同じシフトクロック信号(CK)は回路基板に設けられた温度検出回路を構成する基準電圧発生部(RF)2104を制御する切換回路(SW)2105に入力されて1クロック毎に基準電圧を変化させるために用いられる。そして、比較器(CP)2106はその基準電圧とヒータ(HT)の近傍に置かれた温度検出センサ(DT)2107からの出力電圧とを比較し、その比較結果を“0”或は“1”のデジタルデータとして素子基体外部へ送出する。
【0207】
このような温度検出方法によって、上記で述べたように、検出温度の情報を即時的にデジタル化して送出するため、記録ヘッドとそれを搭載する記録装置との間での配線引き回し部分でのノイズの影響に強く、また、記録ヘッドの外部にA/Dコンバータ等の回路を備えなくても良いこと、そして、記録データの転送と温度データの取得を同時に行えるため情報取得のためのタイミングロスがないことなどのメリットがある。
【0208】
図29はこのような図32の実施形態を更に改良した記録ヘッドIJHの回路基板(素子基体)表面の模式図である。
【0209】
図29において、2001は回路基板、2002は2列から構成されインクを加熱するヒータ列、2003はシフトレジスタとラッチ回路とを実装した論理回路部、2004は記録装置のキャッリジHCに記録ヘッドIJHが装着されたときに、キャリッジHC内の接点と圧接するコンタクトパッド列、2005は回路基板の温度を検出するセンサを含む温度検出回路部である。
【0210】
図30は記録ヘッドの回路基板に実装される回路の構成を示すブロック図である。また、図31は図30に示す回路で扱う種々の信号のタイムチャートである。なお、図30において、先の図32の実施形態で説明したのと同じ構成要素や信号には同じ参照番号や参照記号を付してその説明は省略する。また、図31には図32の実施形態に示した回路から出力される検出温度の情報を示す信号(TMP)を比較のために記している。
【0211】
図30に示す構成を図32の構成と比較すると、この図30の実施形態では、基準電圧の切換回路(SW)2105の前段に入力されるシフトクロック信号(CK)を分周してクロック信号(CK_DV)を得る分周回路(DV)2000が備えられている。
【0212】
以上の構成において、図31に示すように、シフトクロック信号(CK)が入力されると、分周回路(DV)2000でのその周波数を2分の1に分周し、その周期が2倍になったクロック信号(CK_DV)を出力する。これにより、基準電圧の切換回路(SW)2105は2分周されたクロック信号(CK_DV)に従って、基準電圧を変化させるための切換動作を行う。このようにすることで、比較器(CP)2106における温度センサからの出力と基準電圧とを比較する動作速度も2分の1になる。
【0213】
従って、比較器(CP)2106から出力される検出温度の情報を示す信号(TMP_SLOW)は、図31に示すように、元々のシフトクロック信号(CK)の2クロック分に1回のスピードで、TS1、TS2、……と送出される。この場合、記録データの入力速度に比べて2分の1で速度で検出温度の情報が得られる。これは、従来の検出温度の情報を示す信号(TMP)の送出速度の2分の1である。
【0214】
一方、シフトレジスタ(SR)2101にはシフトクロック信号(CK)の周波数に従って記録データ(SD)がD1、D2、D3、……と入力される。
【0215】
従って以上説明した実施形態に従えば、記録データの入力速度の2分の1で温度情報を得られるので、記録データの入力速度を2倍にしても従来と同じ速度で温度情報を得ることができる。これにより、記録データの入力速度を速めることで記録速度の高速化に対応でき、一方で従来と同じ速度で比較器や切換回路のアナログ回路を作動させることが可能となるので、アナログ回路の消費電力が増加することもない。また、そのアナログ回路の高速化を図る必要もない。
【0216】
なお、以上説明した実施形態では、入力シフトクロック信号を2分周した例について説明したが本発明はこれによって限定されるものではなく、例えば、分周回路で3分周或は4分周したクロック信号を生成してもよい。
【0217】
<他の実施形態>
以上説明した4つの実施形態は、それぞれ独立して適用することが可能であるが、いくつかの実施形態を組み合わせて適用することもできる。例えば、第2〜第4の実施形態におけるA/D変換器は、第1の実施形態と同様に、熱エネルギーを発生するための電気熱変換素子と該電気熱変換素子を駆動するための駆動回路と基板の温度を検出するセンサとが形成された同一基板上(素子基体上)に、半導体製造プロセスによって設けられていてもよく、第2および第3の実施形態における、メモリからの読み出しに使用するクロック信号は、第4の実施形態と同様に、記録データの入力に用いられるクロックを分周して得られたものでもよい。
【0219】
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0220】
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて膜沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状をすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0221】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0222】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0223】
さらに、記録装置が記録できる最大記録媒体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0224】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0225】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0226】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0227】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0228】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0229】
さらに加えて、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0230】
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ,インタフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0231】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0232】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0233】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。
【0234】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0235】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0244】
本発明によれば、記録動作のために記録データの入力速度が速くなっても、検出温度を示す信号の出力は低く抑えられるので、温度検出のための回路の作動速度が遅くても良いという効果がある。
【0245】
これによって、温度検出のための回路を記録データの高速転送に対応させて高速化する必要がなく、その高速化のために必要なコストを抑えることができる。
【0246】
従って、コストをかけない記録ヘッドの温度制御と記録データの高速転送の両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な実施形態であるインクジェットプリンタIJRAの構成の概要を示す外観斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタIJRAの制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】インクタンクとヘッドとが分離可能なインクカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。
【図4】第1の実施形態の記録ヘッド基板の構成を示すブロック図である。
【図5】素子ブロックの回路図である。
【図6】A/D変換器と素子ブロックの関係を示すブロック図である。
【図7】変形例のA/D変換器と素子ブロックと不揮発性メモリとの関係ブロック図である。
【図8】従来例を説明する記録ヘッド基板のブロック図である。
【図9】A/D変換器の構成を示す図である。
【図10】図9に示す回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】温度状態、ヒータ抵抗値、トランジスタON抵抗値がある一定の範囲内で変化したときのそれに対応するヒートトパルス幅を決定するためのテーブルを示す図である。
【図12】同一基板上に形成された記録ヘッドの回路構成を示す図である。
【図13】図12に示す記録ヘッドに入出力される各種信号のタイムチャートである。
【図14】シフトレジスタ1つ1つの内部構成を示す回路図である。
【図15】ROM1114各々の内部構成を示す図である。
【図16】第2の実施形態の記録ヘッドIJHに実装される回路基板の構成を示す図である。
【図17】シフトレジスタ(S/R)1156の構成を示す回路図である。
【図18】ラッチ回路(Latch)1154の構成を示す回路図である。
【図19】1つのシフトレジスタ(S/R0〜9)1107′の構成を示す回路図である。
【図20】スタータ回路1140の構成を示す回路図である。
【図21】ROM1114′の構成を示す回路図である。
【図22】記録ヘッドの動作に係る種々の制御信号を示すタイムチャートである。
【図23】記録ヘッドIJHに実装される回路基板の変形例の構成を示す図である。
【図24】第3の実施形態の記録ヘッドとヘッド制御部との接続を示すブロック図である。
【図25】記録データを転送する際のタイミングチャートである。
【図26】コンパレータの動作フローチャートである。
【図27】ヒューズROMの動作フローチャートである。
【図28】記録データと共に記録ヘッド情報を送信する際のタイミングチャートである。
【図29】第4の実施形態の記録ヘッドIJHの回路基板表面の模式図である。
【図30】記録ヘッドの回路基板に実装される回路の構成を示すブロック図である。
【図31】図30に示す回路で扱う種々の信号のタイムチャートである。
【図32】記録ヘッドの回路構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
101 半導体基板
102 ヒータアレイ
120 素子ブロック
130 A/D変換回路
140 判定回路ブロック
1101、1103、1153、1155、1157、1316〜1319、1358 入力パッド
1115、1137 出力パッド
1102、1120〜1123 インバータ
1107、1107′、1156 シフトレジスタ
1114、1114′ ROM
1116〜1119 入力ノード
1124 定電圧源
1125〜1129 抵抗
1130〜1133 アナログスイッチ
1135 コンパレータ
1138 記憶素子
1139 ORゲート
1140 スタータ回路
1150 ヒータ
1151 スイッチ
1152 AND回路
1154 ラッチ回路
1260〜1263 ORゲート
2000 分周回路(DV)
2001 回路基板
2002 ヒータ列
2003 論理回路部
2004 コンタクトパッド列
2005 温度検出回路部
2101 シフトレジスタ(SR)
2102 ラッチ回路(LT)
2103 ヒータ(HT)
2104 基準電圧発生部(RF)
2105 切換回路(SW)
2106 比較器(CP)
2107 温度検出センサ(DT)
9000 記録ヘッドの半導体基板
9001 シフトレジスタ
9002 駆動ロジック
9003 ノズル
9004 温度検出部
9005 コンパレータ
9006 ヒューズROM

Claims (6)

  1. 温度情報を記録データの入力に従って出力することができる回路基板を備えたインクジェット記録ヘッドであって、
    前記回路基板は、
    第1の周波数のクロックと、該クロック信号に同期した記録データがともに入力されるシフトレジスタと、
    前記記録データに従って通電され発熱するヒータと、
    前記インクジェット記録ヘッド内部の温度を検出する温度検出回路と、
    前記第1の周波数のクロック信号が入力され、該クロック信号を分周して第2の周波数のクロック信号を生成する分周回路とを有し、
    前記温度検出回路は
    前記回路基板の温度を出力する温度センサと、
    基準電圧を発生する基準電圧発生回路と、
    前記第2の周波数のクロック信号が入力され、該クロック信号に従って、前記基準電圧を変化させるための切換動作を行なう切換回路と、
    前記温度センサからの出力電圧および、前記切換回路で前記第2の周波数のクロック信号に従って切換動作が行なわれた前記基準電圧を比較し、該比較結果を前記回路基板の検出温度を示す信号として前記第2の周波数のクロック信号に基づいて出力する比較回路と
    を有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 前記分周回路は、前記第1の周波数のクロック信号を2分周することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 前記シフトレジスタに格納された記録データをラッチするラッチ回路をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
  4. 前記インクジェット記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出するために、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドを用いた記録装置。
  6. 請求項に記載のインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドに供給するインクを貯留するインクタンクとを有するインクジェット記録カートリッジ。
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