JP4240458B2 - 光量絞り用ndフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ、フィルタの製造方法 - Google Patents

光量絞り用ndフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ、フィルタの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光量絞り用NDフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ、フィルタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一眼レフカメラ、コンパクトスチルカメラ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラに代表される光学機器の光学系に搭載される光量絞りは、銀塩フィルムあるいはCCD等の固体撮像素子といった撮像手段へ入射する光量を制御するために設けられている。光量絞りは、被写界が明るすぎる場合、光量を制御するために小さく絞り込まれる(開口を小さくする)様になっている。
従って、快晴時や高輝度の被写界を撮影すると、光量絞りは光量を減らすために小絞りとなる。しかし、小絞りになると、絞りのハンチング現象や光の回折の影響も受け易く、像性能の劣化を生じる。
これに対する対策として絞り羽根にフィルム状のND(Neutral Density)フィルタを取りつけて被写界の明るさが同一でも絞りの開口が大きくなる様な工夫をしている。
【0003】
近年、撮像素子の感度が向上するに従い、前記NDフィルタの濃度を濃くして、光の透過率をさらに低下させ、被写界の明るさが同一でも絞りの開口を大きくする様になっている。しかしながら、この様にNDフィルタの濃度が濃くなると図17に示す様な状態でNDフィルタを通過した光束aと通過しない光束bの光量差が大きくなり、画面内で明るさが異なる“シェーディング”現象が起きたり、解像度が低下してしまうという欠点がある。この欠点を解決するためにNDフィルタの透過率を、光軸中心に近づくにつれ次第に透過率が大きくなるようにするグラデーションタイプのNDフィルター(グラデーションNDフィルタ)が知られている。
【0004】
因みに図17はデジタルカメラ又はデジタルビデオカメラの撮影光学系である。図17において、6A,6B,6C,6Dは撮影光学系6を構成するレンズ、7は固体撮像素子で8はローパスフィルタである。また11〜14は光量絞り装置で、11がNDフィルタ、12と13が対向的に移動する絞り羽根で、2枚の絞り羽根は略菱形の開口を形成する。NDフィルタは通常、絞り羽根に接着されている。14は絞り羽根支持板である。
【0005】
一般的にNDフィルタの作製方法としては、フィルム状をなす材料(セルロースアセテート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル等)中に光を吸収する有機色素または顔料を混ぜ、練り込むタイプのものと、前記材料に光を吸収する有機色素または顔料を塗布するタイプのものがある。これらの製造方法では、濃度、即ち透過率が場所によって均一なフィルタは作製可能であるが、濃度が場所によって変化するタイプのフィルタ(グラデーションフィルタ)は作製が著しく困難である。
【0006】
このような濃度可変タイプ(グラデーションタイプ)のNDフィルタに関して、本発明者らは、既にマイクロ写真法による濃度可変タイプ(グラデーションタイプ)のNDフィルタの作製方法等を提案している(特許文献1〜3参照)。
また、グラデーションフィルタの製造方法として、真空蒸着法により楕円形グラデーションフィルタを製造するようにしたものもある(特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第2754518号公報(特開平05−281593号公報)
【特許文献2】
特許第2771078号公報(特開平06−095208号公報)
【特許文献3】
特許第2771084号公報(特開平06−175193号公報)
【特許文献4】
特開平11−38206号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1〜3が提案された当時のビデオカメラでは、これらの方法により作製したNDフィルタで、画質の向上が図られたが、近年のCCDの更なる高感度化、小型化、高画質対応により特に特殊条件での使用(例えば逆光下での小径絞り状態)において、銀塩粒子による光の散乱による影響により画質が劣化してしまうことがある。
また、上述した特許文献4に開示された方法では、微少領域で濃度を変化させること(例えば3mmの範囲で透過率を3%から80%まで変化させること)が難しい。
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みて、光学系に搭載しても画質の劣化が少ないNDフィルタ、例えば光量絞り装置に使用される濃度可変タイプ(グラデーションタイプ)の光量絞り用NDフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ、フィルタの製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のNDフィルタは、基板上に透過光量を減衰させる金属酸化物からなる吸収膜Mを有するND(Neutral Density)フィルタであって、前記吸収膜Mの酸素比率y/xが膜厚方向と垂直な方向において変化していることを特徴としている。
また、本発明の光量絞り装置は、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、前記絞り羽根により形成される開口内の少なくとも一部に配置された本発明のNDフィルタとを有することを特徴としている。
また、本発明のカメラは、光学系と、該光学系を通過する光量を制限する上記の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有することを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタの製造方法は、基板上に、透過光量を減衰させ酸素比率y/xが膜厚方向と垂直な方向において変化している金属酸化物からなる吸収膜Mを形成する工程を有することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例を交えて説明する。
図1は本実施の形態のグラデーションNDフィルターの模式図である。図1において、領域30は透過率が低い領域、領域31は透過率が高い領域を示しており、領域30から31に向かうに従い、徐々に透過率が大きくなる。このグラデーションNDフィルターを不図示の絞り羽根に取り付けることにより、グラデーションNDフィルターを用いた光量絞り装置を実現している。
【0012】
本実施形態のグラデーションNDフィルターは、プラスチックの基材上に、透過光量を減衰させる金属酸化物からなる吸収膜Mを成膜した構成となっている。そして、Mの酸素比率y/xを膜厚方向と垂直な方向(フィルターの面内方向)で変化させることにより、均一な膜厚でありながらフィルター面内において透過率の傾斜(グラデーション)を実現している。
基材としてプラスチック基板(PET、PEN等)を用いると、NDフィルターを薄型化することができ、省スペースの効果がある。
【0013】
吸収膜のMはTiからなる。その理由は、Tiは多種類の酸化物を形成でき、またその酸化度により様々な光の吸収率(可視域の波長域で)が得られることと、可視域の波長域で分光透過率の平坦性が良好なことである。
さらに、吸収膜の他に、反射防止のためにAl,SiO,MgFの少なくとも1種類を含む薄膜を形成することが望ましい。
【0014】
【実施例】
以下に、本実施形態のグラデーションNDフィルターの作製方法を実施例を用いて詳細に説明する。
[実施例1]
NDフィルタの基材として、耐熱性(ガラス転移点Tg)が高く、可視域の波長域で透明性が高く、また吸水率が低いPETを選択した。まず、材質厚75μmのPET基材上に、スパッタリング法により図14に示す層構成の積層膜を形成した。スパッタリング法は比較的容易に膜厚が制御できること、散乱が非常に小さいことから選択した。
【0015】
成膜装置は図2に示す装置を使用した。図2において、101、105はそれぞれロード室、アンロード室で、それぞれ成膜前、成膜後のプラスチック基板が収納されている部屋である。102,103,104はそれぞれスパッタリング室、106はAl、107,108,109はTi、110はMgFのターゲットである。111はプラスチック(PET)基板、112はガス導入パイプ、113は排気パイプである。102,103,104の各スパッタリング室においてそれぞれAl、Ti、MgFの成膜が行われる。
【0016】
本実施例の9層の積層膜の成膜を行う場合、まず、ロード室101に収納されているプラスチック基板111がスパッタリング室102に移動される。そして、スパッタリング室102において、Al膜の成膜が行われる。
次に、Al膜が1層成膜された基板を、スパッタリング室103に移動する。そして、スパッタリング室103において、Tiの成膜が行われる。
その後、Ti成膜後の基板を再びスパッタリング室102に移動し、再びAl膜の成膜を行う。
上記の工程を繰り返し、プラスチック基材111上にAlとTiの積層膜を8層形成する。最後に、スパッタリング室104にプラスチック基材111を移動し、最表層であるMgFを成膜し、9層の積層膜が作製される。
【0017】
各スパッタリング室102〜104及びそこで成膜される薄膜についてより詳細に述べる。
図5は、各スパッタリング室内を横から見た図で、(a)はスパッタリング室102、(b)はスパッタリング室103、(c)はスパッタリング室104を表している。図4は、各スパッタリング室内を基板を除去して上から見た図で、図5と同様に、(a)はスパッタリング室102、(b)はスパッタリング室103、(c)はスパッタリング室104を表している。図中、図2と同じ構成要件に関しては、同一の符号を記した。
【0018】
図4(b)、図5(b)において、107,108,109はスパッタリングターゲットで金属Tiからなる。112は酸素導入パイプで酸素ガスがここから導入される。また、106,110はスパッタリングターゲットで、各々Al,MgFである。111はプラスチック基板であり、ここに膜材料が堆積される。
【0019】
ここでガス導入パイプ112からスパッタリング室103内に酸素ガスが導入され、113に示す排気パイプで排気される。この結果、112−113間での酸素分圧は図6の様に勾配ができる。この様な雰囲気でスパッタリングされた膜は、スパッタリング室内の場所によって酸素分圧が異なる為、Tiのy/xの値が面内で異なる構造になる。y/xの値が異なると、透過率も異なる。より具体的には、y/xの値が小さいほど透過率は低く、大きくなるほど、透過率が高くなる。y/xの具体的な値と透過率の関係については後述する。
スパッタリング室103で成膜された膜を図3(b)に示した。図中、明るい部分がy/xの値が大きい領域で、暗い部分になるに従い、徐々にy/xの値が小さくなっている。つまり、明るい部分から暗い部分になるに従い、徐々に透過率が減少している。
【0020】
図4(a)、図5(a)はスパッタリング室102をそれぞれ横から見た図、基板を除去して上から見た図である。同様に、図4(c)、図5(c)はスパッタリング室104をそれぞれ横から見た図、基板を除去して上から見た図である。
スパッタリング室102及び104では、反射防止膜としてAlとMgF膜の成膜が行われる。成膜は、基板をスパッタリング室102〜104間を移動させて、同一基板上に薄膜を積層していき、図14に示す層構成の薄膜が形成される。AlとMgF膜のスパッタリング条件は、共にアルゴン圧0.47Pa,投入電力300Wである。図9(a)、(c)は、それぞれ成膜されたAlとMgF膜の図である。Ti膜とは異なり、基板上に一様な薄膜が形成されている。
【0021】
このようにして形成された、図14に示す層構成の多層膜の透過率特性を図7に示した。図7において、縦軸は透過率、横軸は図3(b)の基板を紙面上で左から右に向けて、左端からの距離である。透過率に傾斜ができていることがわかる。透過率の値は、波長550nmの光のものである。
【0022】
この様にして成膜されたプラスチックフィルムを図8の20の様な三角形状に加工して、本実施形態のNDフィルタが作製される。
続いて、Ti膜のy/xの値との関係について述べる。Ti膜のy/xの値との関係を調べる為、Ti膜のy/xが面内で一定である膜を成膜した。そして、y/xの値を変化させて、同様の膜を複数作成し、Ti膜のy/xの値との関係を調べた。
【0023】
スパッタリング条件は、投入電力300W、アルゴン圧力0.47Paで、TiOの単膜を物理膜厚30nm成膜し、酸素圧力を0,1×10−2Pa, 2×10−2Pa,3×10−2Pa,4×10−2Paと振って各膜の分光特性を波長領域400nm〜700nmの範囲で測定した。結果は表1の様になった。値は透過率である。
【0024】
【表1】
Figure 0004240458
また、この結果をグラフに表したものが図15である。
【0025】
各種膜のTiの組成分析は、EPMAにて行い、その結果はy/xとして表1の右端欄に記載されている。透過率3%から95%の間であれば、y/xとして0.3から2.0が適当である。これ以下では、吸収が大きすぎ、またこれ以上過剰に酸素は結合しないし2.0付近で吸収はほとんど0である。この比率は重量%である。
【0026】
濃度(D)と透過率(T)の関係はD=Log101/T=−Log10Tの関係がある。
ここで重要なのは、酸素流量であり酸素流量により様々な濃度パターンを得ることができ、流量は随時選べば良い。
また、本実施形態のNDフィルタは省スペースのため薄型化が要求されるため、プラスチック基板(PET、PEN等)を用いる。そのため、成膜時の基板温度は150℃未満でないと基板が熱収縮を起こしたり、熱変形してしまう。
しかし、一般的に真空成膜で形成された膜は、その基板温度が高い方が膜の封止密度が上昇し、耐環境性に優れている。このため、成膜時の基板温度が150℃未満であるプラスチック基板を用いる場合、膜の耐環境性が劣る問題がある。この問題の解決のため、本実施の形態では、反射防止膜の成膜後に100℃から130℃の範囲で1時間、空気中で熱処理を行い、耐環境性を向上させている。
例えば、60℃85%の雰囲気中で240時間の環境試験条件による試験前後の波長550nmでの透過率の上昇の絶対値は、成膜後熱処理を行わないNDフィルターでは2〜3%であるが、110℃1時間空気中で熱処理を行ったNDフィルターでは、0.3%未満である。
【0027】
環境試験前後での変化が熱処理を行わないNDフィルターで大きい理由として、真空蒸着時の基板温度が低いことが挙げられる。膜の封止密度は成膜時の基板温度が大きく影響し、温度が低いと封止密度が低くなり、水分、酸素等を透過し易くなる。そのため環境試験条件において吸収膜であるTi自体の酸化が促進されること、及びそれを保護するAl膜等の誘電体膜の保護効果が少ないことの両方の影響から透過率が上昇する。
【0028】
通常、ガラス基板を用いる場合、基板温度は300℃前後まで加熱して成膜する。しかし、本実施の形態の様に基板がプラスチックの場合、基板が熱収縮を起こさない温度で成膜する必要が有り、その基板温度は150℃未満に制約される。
【0029】
熱処理をすると、強制的にTi自体の酸化を促進してエージング効果によりそれ以上の酸化が起きにくくなるものと思われる。
また、この熱処理温度は100℃から130℃、1時間が適当である。100℃よりも温度が低いと酸化が不十分で環境試験後の透過率の上昇を抑える効果が少ない。130℃を超えるとプラスチック基材の熱的変形が生じ、膜にクラックが発生してしまう等不都合が生じる。
【0030】
[実施例2]
次に、本実施形態の実施例2について説明する。実施例2は、実施例1と比較して、Ti膜の成膜を行うスパッタリング室の構造が異なっている。
実施例1と同様に材質厚75μmのPET基材上に、スパッタリング法により図14に示す層構成の膜を形成した。成膜装置は図13に示す装置を使用した。図13の装置は、図2の装置と比較して、スパッタリング室103の代わりにスパッタリング室120が配置されている以外は略同じ構成である。このため、図2と同じ構成要素には同一符号を記し、説明を省略した。
【0031】
図13において、スパッタリング室120には、3つのスパッタリングターゲット121,122,123が配置されている。各ターゲットは各々5分割されており、Tiの酸化物の酸化数が順次異なるターゲットを並べてある。これらは、焼結法で作製した。
図13において、101、105はそれぞれロード室、アンロード室で、成膜前、成膜後のプラスチック基板が収納されている部屋である。102,120,104はそれぞれスパッタリング室で本実施例では、Al、Ti、MgFの成膜が行われる。
【0032】
本実施例の9層の成膜を行う場合、102、120の各スパッタリング室で交互に4回成膜を繰り返し、Al/Tiの交互層を成膜し、最後にスパッタリング室104で最表層MgFを成膜する。
本実施例は、実施例1とはTiの成膜を行うスパッタリング室120の構造が異なっている。スパッタリング室120内には、3つのターゲット121,122,123が配置されており、各ターゲットはそれぞれ5つのTiの酸化物の酸化数が異なるターゲット1〜5で形成されている。1がTi,2がTiO,3がTi,4がTi,5がTiOからなる。図10(b)及び図11(b)にスパッタリング室の図を示した。また、図9にはこのスパッタリング室で成膜された薄膜の図を示している。
【0033】
図9(a)、図10(a)、図11(a)はスパッタリング室102内及びそこで成膜された薄膜の図である。図9(c)、図10(c)、図11(c)はスパッタリング室104内及びそこで成膜された薄膜の図である。
ここで吸収膜の濃度を可変するのは、スパッタリングターゲットの組成がTi,TiO,Ti35,Ti47,TiO2に分割されていることで達成される。この様な雰囲気でスパッタリングされた膜は、Tiのy/xの値が面内で可変された構造になっている。
このようにして成膜した膜の透過率の変化を図12に示す。透過率の値は波長550nmのものである。
【0034】
この様にして成膜されたプラスチックフィルムを図8の20の様な三角形状に加工して、NDフィルタが作製される。
また、各組成のターゲットで作製された膜の分光特性を波長領域400nm〜700nmの範囲で測定した結果を表2の示す。値は透過率である。
【0035】
【表2】
Figure 0004240458
また、この結果をグラフに表したものが図16である。
TiO単膜で物理膜厚30nmの特性で分光透過特性を測定した。
【0036】
各種膜のTiの組成分析は、EPMAにて行い、その結果はy/xとして表2の右端に記載されている。透過率3%から95%の間であれば、y/xとして0.3から2.0が適当である。
これ以下では、吸収が大きすぎ、またこれ以上過剰に酸素は結合しないし2.0付近で吸収はほとんど0である。この比率は重量%である。
濃度(D)と透過率(T)の関係はD=Log101/T=−Log10Tの関係がある。
濃度分布を変えるには、ターゲットの組成分布を調整することにより達成できる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光学系に搭載しても画質の劣化が少ない光量絞り用NDフィルタ、該NDフィルタを有する光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ、フィルタの製造方法の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の濃度可変タイプ(グラデーションタイプ)のNDフィルターを表わした図である。
【図2】実施例1の成膜装置の概略図である。
【図3】(a)は実施例1のAl成膜室で成膜されたプラスチック基板、(b)は実施例1のTiO成膜室で成膜されたプラスチック基板、(c)は実施例1のMgF成膜室で成膜されたプラスチック基板を示す図である。
【図4】(a)は実施例1のAl成膜室を上から見た図、(b)は実施例1のTiO成膜室を上から見た図、(c)は実施例1のMgF成膜室を上から見た図である。
【図5】(a)は実施例1のAl成膜室を横から見た図、(b)は実施例1のTiO成膜室を横から見た図、(c)は実施例1のMgF成膜室を横から見た図である。
【図6】実施例1のTiO成膜室の酸素分圧の状態を表わした図である。
【図7】実施例1の多層膜の透過率の面内分布を表わした図である。
【図8】実施例1により作製されたプラスチック基板の透過率分布の絵とその後の加工形状を表わした図である。
【図9】(a)は実施例2のAl成膜室で成膜されたプラスチック基板、(b)は実施例2のTiO成膜室で成膜されたプラスチック基板、(c)は実施例2のMgF成膜室で成膜されたプラスチック基板を表わした図である。
【図10】(a)は実施例2のAl成膜室を上から見た図、(b)は実施例2のTiO成膜室を上から見た図、(c)は実施例2のMgF成膜室を上から見た図である。
【図11】(a)は実施例2のAl成膜室を横から見た図、(b)は実施例2のTiO成膜室を横から見た図、(c)は実施例2のMgF成膜室を横から見た図である。
【図12】実施例2の多層膜の透過率の面内分布を表わした図である。
【図13】実施例2の成膜装置の概略図である。
【図14】本実施形態における膜構成を表わした図である。
【図15】実施例1によるTi単膜の酸素分圧−分光透過率を表わした図である。
【図16】実施例2によるTi単膜のターゲットの酸化度−分光透過率を表わした図である。
【図17】撮影系にNDフィルタを配した時の作用を示すための光学断面図である。
【符号の説明】
1:金属Tiターゲット
2:TiOターゲット
3:Tiターゲット
4:Tiターゲット
5:TiOターゲット
6A,6B,6C,6D:撮影光学系6を構成するレンズ
7:固体撮像素子
8:ローパスフィルタ
11:NDフィルター
12,13:絞り羽根
14:絞り羽根支持板
101:ロード室
102:Al成膜室
103:TiO成膜室
104:MgF成膜室
105:アンロード室
106:Alターゲット
107,108,109:Tiターゲット
110:MgFターゲット
111:プラスチック基板
112:酸素ガス導入パイプ
113:排気用パイプ

Claims (10)

  1. 基板上に透過光量を減衰させる金属酸化物からなる吸収膜Mを有するND(Neutral Density)フィルタであって、前記吸収膜Mの酸素比率y/xが膜厚方向と垂直な方向において変化していることを特徴とするNDフィルタ。
  2. 前記Mは金属チタン(Ti)であることを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタ。
  3. Al,SiO,MgFの少なくとも1種類を含む反射防止層を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のNDフィルタ。
  4. 前記酸素比率y/xは0.3から2.0であることを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタ。
  5. 相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、前記絞り羽根により形成される開口内の少なくとも一部に配置された請求項1〜4のいずれか1項に記載のNDフィルタとを有することを特徴とする光量絞り装置。
  6. 光学系と、該光学系を通過する光量を制限する請求項5に記載の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有することを特徴とするカメラ。
  7. 基板上に、透過光量を減衰させ酸素比率y/xが膜厚方向と垂直な方向において変化している金属酸化物からなる吸収膜Mを形成する工程を有することを特徴とするNDフィルタの製造方法。
  8. 反射防止層を形成する工程を有することを特徴とする請求項7に記載のNDフィルタの製造方法。
  9. 前記吸収膜Mを形成する工程と、多層膜反射防止の積層膜を形成する工程とが、基板温度が150℃未満の雰囲気中で行われることを特徴とする請求項8に記載のNDフィルタの製造方法。
  10. 前記吸収膜Mを形成する工程と、多層膜反射防止の積層膜を形成する工程の後に、100℃から130℃の温度で空気中で熱処理する工程を有することを特徴とする請求項9に記載のNDフィルタの製造方法。
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