JP2007316238A - Ndフィルタ - Google Patents

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宗利 吉川
Shinji Uchiyama
真志 内山
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一雄 鈴木
Takayuki Wakabayashi
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Abstract

【課題】光量絞りが摺動する際に、NDフィルタの表面に発生する傷を抑制する。
【解決手段】基板31上に反射率を低下させるための反射防止膜の誘電体膜Al23膜32と可視光吸収膜であるTiOy膜33が交互に積層する。そして、第10層のTiOy膜33上の第11層には保護膜としてMgF2膜34が積層する。このMgF2膜34は低屈折材料であり、反射防止効果を向上させるために配置していると共に、MgF2膜34が水分や酸素を透過し難い保護膜としても作用しており、高温、高湿下における透過率特性の安定性を確保する。更に、このMgF2膜34上の第12層にはケイ素酸化物から成る硬質の保護膜であるSiOx膜35が積層することにより、12層構成のNDフィルタ膜36を得ることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、ビデオカメラ或いはスチルビデオカメラ等の撮影系に使用するのに適したNDフィルタに関するものである。
従来のビデオカメラ等においては、光量を調節するための光量絞り装置を有しているものが知られており、この光量絞り装置においては、通常では開閉動作する一対の絞り羽根が用いられている。しかし、特に高輝度被写体に対しては、絞り開口部が小さくなり過ぎると回折による解像力の劣化が生ずる。
そのため、絞り開口部の大きさが小さくなり過ぎることを防止するために、光量調節部材として光減衰膜から成るND(Neutral Density)フィルタ等を用いて、通過光量を減少させることにより画質低下を防止している。具体的には、絞り羽根の一部に別部材から成るNDフィルタを接着することにより、被写体が高輝度の時に絞り開口部を極端に小さくなるまで絞り込まなくとも、NDフィルタにより通過光量を減少するようにしている。
この種の光量絞り装置を備えたビデオカメラ、スチルカメラ等の光学機器においては、小型化・薄型化の要求が強く、必然的に光学機器内に配置される光量絞り装置の小型化・薄型化も要求されている。特に、カメラの薄型化つまり撮影光学系の光軸方向での小型化を図る場合には、光量絞り装置からCCD等の固体撮像素子までの距離や、光量調節装置からレンズ駆動源までの距離を短縮する必要がある。同時に、光量絞り装置の厚みである光軸方向における長さも短くする必要がある。
このような光軸方向における省スペース化を達成するために、NDフィルタの基板にはガラス基材を使用せずに、セルロースアセテート、PET、塩化ビニル等の合成樹脂材料が用いられている。そして、この合成樹脂材料中に光を吸収する有機色素又は顔料を混入させ、練り込みフィルム状に加工したNDフィルタが使用されてきた。
しかし、最近ではPETやPEN等から成るフィルム状の合成樹脂基板の表面に、蒸着法等により光吸収性を有する材料と、反射率を低下させるための材料を積層することにより、蒸着膜を形成したものが一般的に使用されるようになってきた。
上述の絞り羽根に貼り付けられたNDフィルタは、被写体の明暗に応じて露光量を制御するために絞り羽根及び絞り羽根支持板の間を摺動することになる。しかし、その際にNDフィルタは他方の絞り羽根や絞り羽根支持板と擦れ合い、NDフィルタの表面に傷が付いてしまう。この傷は特に合成樹脂材料中に光を吸収する有機色素又は顔料を混入させて練り込むタイプのもので顕著に発生しているものであるが、合成樹脂基板上に蒸着膜を形成するタイプのものでも傷が生じてしまう。近年では、撮像素子の感度が向上するに従い、このNDフィルタの表面に付いた傷が原因で、解像度が低下してしまうという問題が発生している。
そこで、上述したNDフィルタの表面に生ずる傷を抑制するために様々な対策が提案されている。例えば、特許文献1においては、NDフィルタ板を2枚の地板の間に独立して配置し、各地板のNDフィルタ板と対向する面に、化学エッチング或いはエンボス加工等により段差を形成している。これにより、NDフィルタの露光開口を覆う有効領域に接触させることなく、NDフィルタを取り付けた部材を摺動させるようにしている。
また、特許文献2においては、NDフィルタを有する絞り羽根に対して突起状のガイドレールを形成する方法が開示されている。この方法では、光量絞りの摺動時に絞り羽根支持板に対して、NDフィルタの露光開口を覆う有効領域に接触させることなく、NDフィルタ取り付け部材を摺動させるようにしている。
更に特許文献3においては、NDフィルタの最表面に硬質膜として反射防止効果も高いMgF2膜やSiO2膜を使用することが開示されている。特許文献4においては、湿式成膜法により合成樹脂基材上に反射防止膜を成膜する方法が開示されており、成膜した反射防止膜が合成樹脂基材と比較して硬質性を向上させるものとなっている。
特開2005−173133号公報 特開2005−274856号公報 特開平10−133253号公報 特開2002−277612号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法を採用した場合には、シャッタ羽根を配置するための第1羽根室とNDフィルタを配置するための第2羽根室を分割するための地板が1枚追加され、薄型化を行う際には好ましくない。また、これらの方法で地板面内に段差を形成する際には、薄型化に対応したμmオーダの高い寸法精度を有する段差面を形成しなければならず、極めて困難な作業を要することになり工程の複雑化は避けられない。
また特許文献2に示すように、NDフィルタを有する絞り羽根に対して突起状のガイドレールを形成する方法を採用した場合には、ガイドレールの高さに関してNDフィルタ自体の厚さの他に、NDフィルタ自体の反り量等も考慮しなければならない。そして、接触しないだけの余裕を持たせた寸法に設定する必要があり、結果として光軸方向の厚みが増し、装置の薄型化が困難なものになる。
一方、特許文献3に記載されている最表面に硬質膜を形成する方法では、硬質膜として反射防止効果の高いMgF2膜を使用した場合には、摺動時に発生するNDフィルタの表面に傷の発生低減に効果が見られる。しかし、近年におけるCCDの更なる高感度化により、MgF2膜の表面上に発生する光量絞り摺動による僅かな摺動痕が問題となりつつあり、表面保護膜として今まで以上の傷付き防止機能を要求されるようになっている。
最表層にSiO2膜を用いた場合には、光量絞り摺動時の傷の発生に関しては大きな効果が見られる。しかし、このSiO2膜は酸素や水分を透過し易いため下層の金属酸化膜が酸化され易く、高温高湿による耐環境性試験で透過率の変化が大きく、透過率の安定性が不十分である。
また、特許文献4に記載されている方法においては、合成樹脂基材表面の硬質性を向上させたものであり、薄膜で形成されたNDフィルタの表面の硬質性向上は想定していない。
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、摺動により他の部材と擦れた際に、NDフィルタ表面に発生する傷を抑制できるNDフィルタを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るNDフィルタの技術的特徴は、プラスチック基板上に、金属酸化物から成る金属酸化物層と、誘電体膜との複数層の膜とを積層したNDフィルタにおいて、最表層であるN層目はケイ素酸化物とし、(N−1)層目はMgF2とし、前記N層目のケイ素酸化物の膜厚を物理膜厚で10nm以上としたことにある。
本発明に係るNDフィルタによれば、NDフィルタと他部材との摺動によるNDフィルタの表面の傷の発生を防止することができる。
更に、この膜構成により減光効果のある金属酸化膜の酸化を抑制することができるため、高温高湿中等の耐環境特性が良好に保たれる。同時に、表面反射を低く抑えることができる。
また、このようなNDフィルタを使用した光量絞り装置やカメラに使用すると、解像度の低下を抑制し高画質化に対応することが可能となる。
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施例における撮影光学系の構成図を示し、レンズ1、光量絞り装置2、レンズ3〜5、ローパスフィルタ6、CCD等から成る固体撮像素子7が順次に配列されている。光量絞り装置2においては、絞り羽根支持板8に一対の絞り羽根9a、9bが可動に取り付けられている。絞り羽根9aには、絞り羽根9a、9bにより形成される略菱形形状の開口部を通過する光量を減光するためのNDフィルタ10が接着されている。
図2はこのNDフィルタ10を製造するための成膜装置におけるチャンバの構成図を示している。チャンバ21内には、蒸着源22、回転可能な蒸着傘23が設けられ、この蒸着傘23には成膜部位に開口部を設けたマスクと合成樹脂基板をセットした基板治具24が設けられている。蒸着傘23に固定された基板は、この蒸着傘23と共に回転し成膜が行われる。また、蒸着傘23にはイオンプレーティング法を用いる際にプラズマを発生させるためのマッチングボックス25、RF電源26、DC電源25が接続されている。
この成膜装置は真空蒸着法、イオンプレーティングの両方の成膜方式により膜形成ができるように構成されている。NDフィルタ10を形成する蒸着面は、NDフィルタ膜の表面が蒸着源22に対向するように蒸着傘23に備え付けられ、Z軸を中心にこの蒸着傘23と共に基板冶具24が回転し成膜が行われる。
図3は本実施例におけるNDフィルタ10を構成する12層から成る膜構成図を示している。例えば、厚さ100μmの透明なPET樹脂から成るフィルム状の合成樹脂基板31上には、真空蒸着法を用いてAl23膜32とTiOy膜33を交互に積層する。第1、3、5、7、9層には、反射率を低下させるための反射防止膜として誘電体膜であるAl23膜32を配置し、反射率は蒸着時にモニタリングすることにより、Al23膜32の膜厚を制御して反射率を小さくすることが可能である。また、第2、4、6、8、10層には可視光を吸収する金属酸化物層から成る可視光吸収膜として、チタン酸化物であるTiOy膜33を配置しており、透過率はTiOy膜33の総膜厚によって変化し、総膜厚が厚くなるに従い透過率は低下する。
また、400〜700nmの波長範囲内での透過率のニュートラル性はTiOy膜33の組成のyの数値によって変化し、yの数値を適切に選択することにより、透過率分布はニュートラルとなる。好ましいyの数値は0.5以上〜2未満の範囲であり、y=1.2以下のとき約550nmの波長を境界として低波長の透過率が低くなるように傾く現象がある。また、y=1.2以上のときは逆に低波長の透過率が高くなるように傾く。このため、蒸着時に透過率をモニタリングすることにより、透過率をニュートラルにすることが好ましい。
そして、第10層のTiOy膜33上の第11層には、保護膜としてイオンプレーティング法を用いてMgF2膜34を積層する。このMgF2膜34は低屈折材料であり、反射防止効果を向上させるために配置していると共に、MgF2膜34が水分や酸素を透過し難い保護膜としても作用しており、高温、高湿下における透過率特性の安定性を確保するものとなっている。
更に、このMgF2膜34上の第12層には、真空蒸着法を用いてケイ素酸化物から成る硬質の保護膜であるSiOx膜35を積層することにより、12層構成のNDフィルタ膜36を得ることができる。
積層膜のうち、MgF2膜34を除く金属酸化物、ケイ素酸化物を含む誘電体膜は、真空蒸着法、イオンプレーティング法等を用いて成膜することが可能である。ただし、MgF2膜34を形成する場合には、十分な密着性と環境安定性を確保するために、イオンプレーティング法を用いることが好ましい。具体的には、特許文献5に記載されているような方法等により、MgF2を蒸着源22から蒸発させると共に、蒸着傘23を介して供給される高周波電力によってチャンバ21内にプラズマを発生させることで、蒸発させたMgF2粒子をイオン化する。更に、印加するバイアス電圧として、自己バイアス及び重畳するパルスバイアスを適切に制御することによりイオン化させたMgF2粒子を合成樹脂基板に析出させて成膜を行う方法等を採ることが好適である。
本実施例においては、基板31にフィルム状のPET樹脂を用いたが、PEN等の樹脂を用いてもよい。また、この基板31の板厚は、NDフィルタ10としての剛性を保持しながら、可能な限り薄く形成することが好ましい。具体的には、その厚さとして200μm以下とすることが望ましい。更に好ましくは、50〜100μmの範囲とすることがよい。また、本実施例におけるNDフィルタ膜36は12層構成としたが、その層数は適宜増減させることができる。
また、本実施例のように、最表層のSiOx膜35を真空蒸着法を用いてNDフィルタ10の所望の表面全体に薄膜として形成するためには、SiOx膜35の膜厚を、物理膜厚で少なくとも10nm以上成膜することが必要である。このSiOx膜35はxの数値を適切に設定することにより、MgF2に次ぐ低屈折材料となる。また、モース硬度の値がMgF2と比較して大きく、引っかきに対してはMgF2よりも強く、光量絞り部材の摺動に対して傷が付き難いという利点がある。SiOx膜35のxの数値は1<x≦2となるようにすることが好ましく、更に好ましくは1.5≦x≦2となるようにすることがよい。
本実施例では、SiOx膜35を光学膜厚n×d(ただし:nは屈折率、dは物理膜厚)で1/8λ(λ=540nm)、MgF2膜34を光学膜厚n×dで1/8λ(λ=540nm)とする。
また、SiOx膜35とMgF2膜34の合計膜厚が、光学膜厚n×dで1/4λ(λ=540nm)となるように成膜した。SiOx膜35とMgF2膜34の合計膜厚は可視光領域の波長に対する反射防止効果を向上させるために、光学膜厚n×dで62nm(λ=500nmの光の1/8λ)以上、300nm(λ=600nmの光の1/2λ)以下であることが好ましい。更に、SiOx膜35とMgF2膜34の合計膜厚が、光学膜厚n×dで125nm(λ=500nmの光の1/4λ)以上、150nm(λ=600nmの光の1/4λ)以下であることが望ましい。
図4、図5は上述の方法により得られたNDフィルタ10における分光特性の一例を示している。図4に示すように、本実施例において作製されたNDフィルタ10の透過率はλ=400〜700nmにおいて各波長における透過率のばらつきが少なく、平坦性に優れたものである。また、図5に示すように反射率は上述の波長範囲において十分低い値を示しており、NDフィルタ10として十分許容できるものである。また、後述する摺動試験及び環境安定性試験を行ったが問題なかった。
このようにして成膜したNDフィルタ膜36は、成膜面内で濃度が均一な単濃度膜であり、具体的には濃度が約0.6、つまり透過率が約25.1%である。
特開2003−166047号公報
実施例1においては、SiOx膜35、MgF2膜34の光学膜厚をそれぞれ1/8λとした。実施例2においては、SiOx膜35の光学膜厚を1/16λ、MgF2膜34の光学膜厚を3/16λとし、SiOx膜35とMgF2膜34の合計膜厚が、光学膜厚n×dで1/4λとなるようにした。なお、成膜方法は実施例1と同様とし、成膜したNDフィルタ膜36は成膜面の濃度が均一な単濃度膜とし、濃度も実施例1と同一である。更に、実施例1と同様に後述する摺動試験及び環境安定性試験を行ったが、実施例1と同様にNDフィルタ膜36の表面の傷は発生せず、環境安定性も問題なかった。
更に、比較例1として、図6に示すように第1〜10層までは実施例1、2と同様に成膜し、最表層にイオンプレーティング法によりMgF2膜34を光学膜厚n×dで1/4λとなるようにし、NDフィルタ膜37を成膜した。このMgF2膜34以外の膜については真空蒸着法により成膜し、成膜したNDフィルタ膜37は実施例1、2と同様に蒸着面の濃度が均一な単濃度膜とした。
そして、実施例1、2と同様の摺動試験を行った結果、NDフィルタ膜37の表面には僅かではあるが絞り羽根とNDフィルタ10との接触軌道上に傷が発生していた。実施例1、2と同様の環境安定性試験を行った結果、平均透過率変化が0.7%となっており、高温、高湿下における透過率特性の安定性に問題はないが、上述したようにNDフィルタ膜37の表面に傷が発生するという問題が発生する。
比較例2としては、図7に示すように第1〜10層までは実施例1、2と同様に成膜し、最表層にSiOx膜35(x=2)を光学膜厚n×dで1/4λとなるようにし、NDフィルタ膜38を成膜した。本比較例2では全ての膜を真空蒸着法にて成膜し、NDフィルタ膜38は実施例1、2と同様に蒸着面の濃度が均一な単濃度膜とした。
そして、実施例1、2と同様の摺動試験を行った結果、NDフィルタ膜38の表面には傷が発生していなかった。また、実施例1、2と同様の環境安定性試験を行った結果、平均透過率変化が2.3%と無視できない変化を起こしており、環境安定性が悪いという問題が発生した。
表1は実施例1、2において成膜したNDフィルタ10を評価するために実施した摺動試験及び環境安定性試験の結果を示している。摺動試験としては、基板31上に形成したNDフィルタ膜36の表面の強度を試験するために、上述の方法により作成したNDフィルタ10を、実際に光量絞り装置2に取り付け、絞りの開閉を25万回実施し摺動させた。その結果、実施例1、2において作成したNDフィルタ膜36の表面の傷の発生を抑制することができた。
表1
実施例1 実施例2 比較例1 比較例2
SiOx膜の膜厚(光学膜厚) λ/8 λ/16 0 λ/4
MgF2膜の膜厚(光学膜厚) λ/8 (3/16)λ λ/4 0
傷の発生 無 無 有 無
環境安定性 良 良 良 悪
また、環境安定性試験としてはNDフィルタ10を湿度60℃、湿度90%の相対湿度の環境下で240時間放置し、400〜700nmの波長範囲で放置前後における平均透過率変化を測定した。その結果、実施例1、2のNDフィルタ10の平均透過率変化は0.7%であり、高温、高湿下における透過率特性の安定性を有していた。
実施例1、2においては、NDフィルタ10の濃度は均一は単濃度膜としたが、実施例3においては、透過光量の異なる複数の領域を形成する。
図8は2種類の異なる濃度を有するNDフィルタ10の平面図、図9は断面図をそれぞれ示し、NDフィルタ10のうち、光軸中心に近い領域Aの濃度が小さく、絞り開口部の縁に近い領域Bの濃度が大きくなるように成膜する。
図8、図9に示すように、先ず実施例1、2と同様に厚さ100μmの透明なPET樹脂から成る基板31の片面に対して全面に図3と同様の12層構成のNDフィルタ膜36aを濃度が0.6となるように成膜する。次に、もう一方の面において、領域Aに対して図示しないマスクを配置し、NDフィルタ膜36aが付着しないようにした後に、領域Bに対して図3と同様の12層構成で濃度が0.6のNDフィルタ膜36bを成膜する。更に、領域Aの基板31が露出している面に対しては、反射率低減及び表面の硬質性を向上させるために、領域Bに対してマスクを施し、例えば図10に示すようにSiO2膜41、Ta25膜42、SiO2膜43を積層した反射防止膜44を成膜する。
本実施例3では設計波長はλ=540nmとし、作製されたNDフィルタ10は領域Aの濃度が約0.6、領域Bの濃度が約1.2となる。
なお本実施例3では、NDフィルタ膜36a、36bにおいて、最表層となるSiOx膜(実施例3ではx=2)を光学膜厚n×dで1/8λ(λ=540nm)、MgF2膜を光学膜厚n×dで1/8λ(λ=540nm)とする。そして、SiOx膜とMgF2膜の合計膜厚が光学膜厚n×dで1/4λ(λ=540nm)となるように成膜した。
そして、実施例1、2と同様の摺動試験及び環境安定性試験を行った結果、本実施例3におけるNDフィルタ膜36a、36bの表面には傷が発生しなかった。環境安定性試験においては、放置前後の領域A及び領域Bの平均透過率変化を波長400〜700nmの範囲で測定したところ、領域A、Bの平均透過率変化がそれぞれ0.7%、0.1%未満となり、高温、高湿下における透過率特性の安定性を有していた。
実施例1〜3においては、NDフィルタ10の濃度は単濃度又は2濃度であったが、本実施例4においては、グラデーション濃度分布を有するNDフィルタ10を作成した。
図11はグラデーション濃度分布を有するNDフィルタ10の平面図、図12は断面図を示している。実施例1〜3と同様の基板31の両面に、膜厚を変化させることにより、濃度が順次に小から大に変化するグラデーション濃度を有するNDフィルタ膜51a、51bを成膜する。このグラデーション部は特許文献6に開示されているようなマスク面となす角度の調節が可能な遮蔽板を有するマスクを使用し、マスクで蒸着面に対して膜材料の一部を遮蔽することにより、基板31上にグラデーション濃度分布を形成する方法を用いた。
具体的には濃度が約0.2〜約0.6、つまり透過率が約63〜25%へと順次に変化するNDフィルタ膜51a、51b膜を基板31の両面にそれぞれ成膜し、成膜後の濃度が約0.4〜1.2、つまり透過率が約40〜6.3%へと順次変化するものとした。ただし、最表層のSiOx膜(本実施例ではx=2)及び第11層のMgF2膜は、反射防止性をNDフィルタ10の全域で向上させるために遮蔽板を有するマスクを使用しない。最表層となるSiOx膜の膜厚は光学膜厚n×dで1/8λ(λ=540nm)、MgF2膜の膜厚は光学膜厚n×dで1/8λ(λ=540nm)とする。そして、SiOx膜とMgF2膜の合計膜厚が光学膜厚n×dで1/4λ(λ=540nm)となるように成膜した。
そして、実施例1、2と同様の摺動試験及び環境安定性試験を行った結果、本実施例4におけるNDフィルタ膜51a、51bの表面には傷が発生しなかった。また、環境安定性試験においては、放置前後の平均透過率変化を濃度0.6及び濃度1.2の部位に対してλ=400〜700nmの範囲で測定した。濃度0.6の部位における平均透過率変化が0.7%、濃度1.2の部位における平均透過率変化が0.1%未満となっており、高温、高湿下における透過率特性の安定性を有している。
また、NDフィルタ10の最表層のSiOx膜を、安定した薄膜として形成されるための限界である10nmの厚みに成膜し、NDフィルタ膜51a、51b表面の強度を調べる摺動試験で傷の防止効果のあることを別途確認することができた。
反射防止効果を向上させるためには、実施例1〜4に示すように最表層となるSiOx膜と、その下面のMgF2膜との合計膜厚が、光学膜厚n×dで1/4λとすることが好適である。
この光学膜厚が1/8λ(λ=500nmの光に対して62nm)以上、1/2λ(λ=600nmの光に対して300nm)以下の範囲であれば、MgF2膜34とSiOx膜35が優れた反射防止効果を有し、反射率に大幅な劣化はないことも確認できた。
また、各実施例1〜4において、このように膜厚を変更しても摺動耐久性及び環境安定性にも大幅な変化はない。
反射防止膜の膜厚を上述の範囲の膜厚に成膜したNDフィルタ10は本発明の範囲に含まれる。より好適な膜厚の設定範囲として、最表層となるSiOx膜とその下面のMgF2膜との合計膜厚を光学膜厚n×dで、125nm(λ=500nmの光の1/4λ)以上、150nm(λ=600nmの光の1/4λ)以下とする。これにより、よりばらつきの少ない表面保護膜を成膜することが望ましい。
以上の各実施例で説明したNDフィルタを有する光学絞り装置を、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の固体撮像素子上に被写体の像を形成するタイプの撮影装置に適用することにより、良好な性能の光学絞り装置を実現できる。
特開2004−117467号公報
撮影光学系の概略図である。 チャンバの構成図である。 実施例1におけるNDフィルタの膜構成図である。 NDフィルタの透過率特性のグラフ図である。 NDフィルタの反射率特性のグラフ図である。 比較例1におけるNDフィルタの膜構成図である。 比較例2におけるNDフィルタの膜構成図である。 実施例3における2濃度のNDフィルタの平面図である。 実施例3における2濃度のNDフィルタの断面図である。 実施例3における反射防止膜の膜構成図である。 実施例4におけるNDフィルタの平面図である。 実施例4におけるNDフィルタの断面図である。
符号の説明
1、3〜5 レンズ
2 光量絞り装置
6 ローパスフィルタ
7 固体撮像装置
8 絞り羽根支持板
9a、9b 絞り羽根
10 NDフィルタ
21 チャンバ
22 蒸着源
23 蒸着傘
24 基板治具
31 合成樹脂基板
32 Al23
33 TiOy膜
34 MgF2
35 SiOx膜
36、36a、36b、51a、51b NDフィルタ膜
41、43 SiO2
42 Ta25
44 反射防止膜

Claims (9)

  1. プラスチック基板上に、金属酸化物から成る金属酸化物層と、誘電体膜との複数層の膜とを積層したNDフィルタにおいて、最表層であるN層目はケイ素酸化物とし、(N−1)層目はMgFとし、前記N層目のケイ素酸化物の膜厚を物理膜厚で10nm以上としたことを特徴とするNDフィルタ。
  2. 前記N層目及び前記(N−1)層目の合計膜厚を、光学膜厚n×d(nは屈折率、dは物理膜厚)において、波長500nmの光の1/8波長以上で波長600nmの光の1/2波長以下としたことを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタ。
  3. 前記N層目及び前記(N−1)層目の合計膜厚を、光学膜厚n×d(nは屈折率、dは物理膜厚)において、波長500nmの光の1/4波長以上で波長600nmの光の1/4波長以下としたことを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタ。
  4. 前記金属酸化物層をチタン酸化物としたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載のNDフィルタ。
  5. 前記NDフィルタは全面が一様な濃度を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載のNDフィルタ。
  6. 前記NDフィルタは透過光量が段階的に変化する濃度分布を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載のNDフィルタ。
  7. 前記NDフィルタは透過光量が連続的に変化する濃度分布を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1つの請求項に記載のNDフィルタ。
  8. 開口を形成するための絞り羽根と、前記開口を通過する光量を調節する請求項1〜7の何れか1つの請求項に記載のNDフィルタを備えたことを特徴とする光量絞り装置。
  9. 光学系と、該光学系を通過する光量を制限する請求項8に記載の光量絞り装置と、前記光学系によって受光面上に像が形成される固体撮像素子とを有することを特徴とするカメラ。
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