JP4900678B2 - Ndフィルタを有する絞り装置及び光学機器 - Google Patents

Ndフィルタを有する絞り装置及び光学機器 Download PDF

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Description

本発明は、NDフィルタを有する絞り装置及び光学機器に関する。
従来、ビデオカメラ等の撮像装置においては、光量絞り装置にND(Neutral Density)フィルタを用いることによって、明るい被写界でも極端に絞り開口が小さくなるのを防ぎ、ハンチング現象や光の回折現象等の防止を図っている。
NDフィルタを用いた光量絞り装置の具体例として、例えば、特許文献1に示されている多段階に濃度を変化させたステップNDフィルタを用いたものが知られている。
また、特許文献2に示されている濃度変化領域が長く無段階に濃度が変化するグラデーションNDフィルタを用いたもの等が知られている。
特開2002−277612号公報 特許第03621941号公報
ところで、光量絞り装置に従来のNDフィルタを使用した場合、かなり複雑な制御が必要である。
具体的には、ある時点での光量絞り装置の透過光量の測光値に対して、適正な透過光量との差を計算し、その差分をあらかじめ決められているアルゴリズムに従って、絞りあるいはNDフィルタを作動させ、適正な露光量を得られるようになっている。
また、最適な露出あるいは最適な露出補正を得るため、被写体輝度により制御アルゴリズムを変化させたり、機種によってはズームレンズの使用焦点距離やレンズの合焦位置(距離)の情報も制御のパラメータとしている。
このように、その制御においては極めて複雑な制御要素が含まれている。
さらに、NDフィルタの濃度変化で透過光量変化をさせるときは、絞りの開口径が小さい場合が多く、NDフィルタの僅かな濃度の違いが大きな透過光量の違いとなってしまう。
したがって、NDフィルタを使用して光量の制御を行う場合、その作動量に従ってどの位置でも濃度が連続的に変化するグラデーションNDフィルタを使用した場合は特に、作動量と透過光量の関係を関係づけることが、きわめて難しくなる。
一方、ステップNDフィルタは、その濃度の切り替わり部分の位置、言い換えれば濃度の薄い部分の面積と濃い部分の面積の比だけを注目すれば良いので、従来の単色のNDフィルタを使用した場合と似た考え方ができ、制御は比較的簡単となる。
しかしながら、ステップNDフィルタにおいて、光を波として考えたとき、通過するフィルタが有するND膜の光学膜厚の差により位相がずれて画質に影響がでることとなる。すなわち、特開2004−253892号公報(第22頁、第24図参照)に開示されているように、透過波面位相差により画質に影響が出ることとなる。
これは、ステップNDフィルタのうち、屈折率が同じ膜を、膜の厚さを変えることによって違う濃度を得るタイプのものでは、膜厚によって濃度の異なる領域を通過した光の位相が、光を弱め合うようにずれて干渉し解像度を悪化させることによる。最も影響が大きくなるのは、異なる濃度の部分の面積が等しくなるときである。この状態で両者の膜厚の差すなわち透過波面位相差を変化させてみると、周期λで軸上光学性能を表すMTF(moduration transfer function)値が変動する。
両者の位相差がゼロのときから増していくにしたがいMTFは低下し、位相差2λ/4で極値をとり上昇に転じ、4λ/4で極値をとり再び低下、6λ/4で極値をとり上昇に転じ、8λ/4でまた極値をとるというような変化を示す。
また、このステップNDフィルタとグラデーションNDフィルタとを比較してみると、ステップNDフィルタでは、特に濃度差が大きい場合、濃度境界部の濃度変化が不連続なために回折が起こり画質が劣化する。
以上のように、ステップNDフィルタには回折と透過波面位相差という問題があり、グラデーションNDフィルタに比べ画質が劣る場合がある。
しかしながら、光量絞り装置の制御においては、ステップNDフィルタの方がグラデーションNDフィルタより容易であり、また、制御プログラムの開発においても短期間で可能である場合が多い。
本発明は、上記課題に鑑み、光量絞り装置の制御が、ステップNDフィルタのように比較的簡単でありながら、光学性能の低下を低減させることが可能となるNDフィルタを有する絞り装置及び光学機器の提供を目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、つぎのように構成したNDフィルタを有する絞り装置及び光学機器を提供するものである
発明の絞り装置は、開口を形成する絞り部材と、
該開口を通過する光の光量を減衰するためのNDフィルタを備え、
該NDフィルタは、
一定の濃度のND膜を有する第1の領域と、
該第1の領域とは濃度の異なる一定の濃度のND膜を有する第2の領域と、
前記第1の領域と第2の領域の間に設けられた濃度変化領域を有し、
該濃度変化領域は前記第1の領域の濃度から前記第2の領域の濃度まで、濃度が連続的に変化するND膜を有し、
前記濃度変化領域の幅は、前記開口内において前記第1の領域と第2の領域の面積が同一となるときに、前記開口内の前記濃度変化領域の面積が、前記開口の面積の20%以下となるような幅に設定されていることを特徴とする。
また、本発明の光学機器は、上記した絞り装置を備える光学系と、
該光学系によって形成される像を受光する固体撮像素子を備えることを特徴とする。
本発明によれば、光量絞り装置の制御が、従来のステップNDフィルタのように比較的簡単であり、しかも光学性能の低下が少ないNDフィルタを有する絞り装置及び光学機器を実現することができる。
本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例により説明する。
本実施例の絞り装置に適用される光量調整用NDフィルタについて、図1を用いて説明する。
図1(a)〜(c)において、10は透明基材、11a〜11dはそれぞれ多層膜で構成されたND膜である。
本実施例のNDフィルタは、単一濃度(一定濃度)のND膜を有する領域1と、ND領域1とは異なる単一濃度のND膜を有する領域2との間に、濃度が連続的に変化するND膜を有する濃度変化領域を備えている。
図1(a)は、透明基材10の一方の面だけにND膜11aを形成することで、上記構成を実現した例である。
図1(b)は、透明基材10の両方の面にND膜11b,11cを形成することで、上記構成を実現した例である。
図1(c)は、図1(a)の例の変形例であり、領域2と透過率100%の領域(ND膜が形成されていない領域)との間に濃度変化領域を形成した例である。なお、図1(a)〜(c)においては、ND膜や基材の厚みは実際とは誇張した形状で示されている。
濃度構成に関しては、単一濃度領域が3領域以上と多濃度になっても構わないが、基材や膜の応力の関係から考えて4領域から5領域が限界と考えられる。
各領域の濃度は所望する濃度で良いので、本実施例では領域1で濃度D=1.0、膜厚500nm、領域2が濃度D=0.5、膜厚250nmの構造をしているものについて説明をする。
なお、ここで濃度D=−log10(透過率)であり、透過率10%のときD=1.0、透過率32%のときD=0.5である。
上述のように領域1の濃度Dを1.0、領域2の濃度Dを0.5に設定した場合、領域1と領域2との透過波面の位相差はほぼλ/2となっている。
これは、透過波面位相差としては好ましくない関係であるが、濃度としては従来のステップNDフィルタとして使われてきた値であり、実用的なステップNDフィルタとして求められる濃度の関係となっている。
ND膜の積層は、蒸着にてD=0.5の単一濃度膜を2回成膜する構造としている。前述したように、図1(a)では、透明樹脂基材10の片面に、このような単一濃度膜を2回重ねて形成した例である。図1(b)は、透明基材10の片面に単一濃度膜を1回形成し、他面にもう1回形成した例である。図1(c)は、NDフィルタが絞り開口の一部分に挿入される状態が起こる場合の最適な構造である。図1(c)のように、領域2の切断端面も連続的に濃度を変化させることにより、画像劣化を抑えることが可能となる。
このような構成において、異なる2濃度領域の境界部で濃度変化が不連続であると、急激な濃度差による回折が生じる。
さらに両者の面積の比率によっては、透過波面位相差の影響が大きくなり、画質劣化(解像度の低下)の原因となってしまう。
透過波面位相差は、境界部が特に不連続でなくとも、両者の膜厚の関係により発生する。特に2つの濃度領域の関係において、両者の面積の割合が50%ずつであるときが最も画質劣化が大きくなる。
本実施例では、この2つの濃度領域の間に濃度が連続的に変化する一定の幅の領域を設けることによって、画質劣化を緩和することが可能となる。
例えば、2つの単一濃度領域の面積の割合がそれぞれ40%である場合に、20%の面積の割合を持つ濃度変化領域を設けることによって、透過波面位相差に起因した画質劣化を緩和することが可能となる。
このように本実施例のNDフィルタによれば、2つの単一濃度領域間の濃度段差が大きくても、回折の影響を低減することができる。
しかも、透過波面位相差が2λ/4や6λ/4のときのように解像度を悪化させる関係にある場合においても、解像度の劣化も緩和することが可能となる。
また、同時に、濃度変化領域の幅を所定の上限を超えない幅とすることにより、従来のステップNDフィルタを用いた光量絞り装置の制御と同等の制御が可能となり、制御系の開発の負荷を低減することが可能となる。
また、従来のステップNDフィルタ、あるいは本発明によるNDフィルタのいずれを搭載した機種を開発する場合においても、光量絞り装置の制御回路は同一でも良いことになる。
したがって、制御回路の開発や製造の省力化を達成することができる。
次に上述した濃度変化領域を備えたNDフィルタの製造方法について説明する。本実施では、真空蒸着法によるNDフィルタを製造した。
図2は、真空蒸着装置におけるチャンバー内の簡易図である。
図2(a)において、12は成膜を施す基板、15は蒸着傘、16は蒸着源、17はマスクである。なお、図2(a)における基板12は、図2(b)に示すように、基板治具14に基材13(透明基材10)がセットされた状態を示している。
一般的に真空蒸着法においては、図2(a)の様にチャンバー内の基板12は蒸着傘15に備え付けられ、この蒸着傘15と共に基板12を回転させることにより成膜を行う。
本実施例においては、各基板12の蒸着源16側に、基板12から任意の距離だけ離した位置に、図3に示すようなマスク17を基板12と平行に設けている。このような構成により、蒸着源16と基板12及びマスク17との幾何学的位置関係から、蒸着する蒸着粒子はマスク17を通過し、基板12まで到達できたり、マスク17に遮られ基板12まで到達できなかったりする。
これにより、2つの単一濃度領域間で連続的に変化する濃度変化領域の膜厚分布が得られることとなる。
ここで、蒸着時に基板12とマスク17とを密着させると、膜の付着した部分と付着していない部分にシャープ(不連続)な境界が得られる。一方、基板12とマスク17との間隔が広がるにつれ、境界部がぼけてくる。
図4に、濃度変化領域の幅(濃度変化幅)と、基板12とマスク17との空間距離(GAP距離)との関係を示す。
この図4によれば、本実施例のように0.1mm以上0.3mm以下の幅で濃度を変化させる場合には、0.2mm以上0.6mm以下のGAP距離を設けるのが好ましいことがわかる。
このような手法を用いて、図1に示したような、単一濃度の領域1および領域2の2つの異なる濃度領域の境界部に、濃度を連続的に変化させた濃度変化領域を有するNDフィルタを製造した。
以上においては、真空蒸着法により基材上に薄膜を形成した場合を説明したが、本発明のNDフィルタは、このような真空蒸着法に限らず、スパッタリング法、あるいはインクジェットプリンティング法、等も適用することができる。
なお、これらの成膜法は一般的に知られているため、ここではその説明を省略する。
次に、本実施例のNDフィルタの製造条件について説明する。
まず、各成膜基板上の蒸着源側に図3で示すようなマスクを2つ設置し、真空蒸着法により図5に示す膜構成のうち、第1層から最表層手前までを形成した。基材13としては厚さ75μmのPET基材を使用した。
真空蒸着法は、膜厚を比較的に容易に制御でき、かつ可視光の波長域で散乱が非常に小さい膜を成膜できることから選択した。
基材の材質は、耐熱性(ガラス転移点Tg)が高く、可視光の波長域で透明性が高く、また吸水率が低いPETを選択した。
基材に関しては、ポリカーボネートやノルボルネン系樹脂を用いても良い。
つぎに、チャンバーから各基板に設けたマスクを取り外し、最表層を光学膜厚n×d(nは屈折率、dは機械膜厚)でλ/4(λ:540nm)の条件により成膜した。
この最表層の膜の屈折率nは可視域の波長域で1.5以下のものを選んだ。具体的にはMgF2を使用した。
ここで、第1層から最表層まで、図3で示す様なマスクを用い、全層を膜厚変化させ成膜すると、反射防止条件と合致しなくなる。
この結果、反射率の上昇が起きて、画質上の問題として“ゴースト現象”や“フレア現象”が発生してしまう
。このことを考慮し、最表層ではマスクを外し基板全面の膜厚が等しくなる様に成膜した。
つぎに、このようにして製作されたNDフィルタを使用した光量絞り装置について説明する。
この光量絞り装置を取り付けた撮影装置の受光素子のサイズは、ビデオカメラの一般的な固体撮像素子サイズである1/2インチである。
絞り開放径は、Φ5mmという条件を想定した。一般的にビデオカメラ等の撮影装置の撮影光学系には、複数枚の絞り羽根で形成する開口径を変化させて光量を調整する光量絞り装置が使用されている。
このような光量絞り装置では、開口径が小さくなり過ぎないようにするため、絞り羽根と絞り開口を通過する光の光量を減衰するためのNDフィルタを併用し、図6に示すように構成する。
図6において、4はNDフィルタ、5及び6は絞り羽根である。
図6のような絞り羽根5,6とNDフィルタ4を用いて光量を制御する場合、たとえば、不図示の絞り羽根駆動用モータ、NDフィルタ駆動用モータの近傍に置かれたホール素子と検出回路により駆動制御する方法が用いられる。
その際、モータ内のロータの回転に応じたそれぞれのホール素子の出力電圧と、絞り羽根、NDフィルタの位置の関係とをあらかじめ把握しておき、ホール素子の出力電圧をモニタしながらモータを駆動し制御する。
ここで、濃度境界部での濃度変化が不連続なステップNDフィルタとグラデーションNDフィルタを着け換えて、ホール素子の出力電圧が等しくなる位置で光量を比較してみると、NDフィルタの位置によっては0.5Ev以上の差がある場合があった。
これは前記課題でも述べたように、グラデーションNDフィルタの連続的な濃度変化による透過光量の変化とステップNDフィルタのそれとはおのずと差が出ることに起因する。
これに対し、濃度境界部での濃度変化が不連続なステップNDフィルタと、濃度変化領域が0.2mmから0.3mmの幅である本実施例のNDフィルタを比較すると、光量の差は最大で約0.09EVであり、問題にならない程度であった。
これは濃度変化領域の位置等のばらつきにより透過光量に差が出たとしても、その面積が絞り口径の面積に比して小さいため、問題にならないレベルとなることによる。
この実験で使った制御系は、開放(Fナンバー2.0)から約Fナンバー3.0までは絞り羽根により開口径を小さくした(図7(a))。
一方、約Fナンバー3.0から約Fナンバー10(減光した光量をF値に換算)までは絞り羽根の動きを固定(したがって絞り羽根は約Fナンバー3.0の位置)したままとした。
そして、2つの濃度領域を持つNDフィルタを開口内に進入させて減光し(図7(b))、約Fナンバー10では、濃度変化領域が開口内から出て濃度の濃い部分が開口全面に進入した状態(図7(c))とした。
その後は、NDフィルタの動きを停止し、絞り羽根のみを駆動した(このような駆動系については、例えば特開2000−106649号公報参照)。
NDフィルタの作動と光量の関係を実験した約Fナンバー3.0のポイントでは、絞り羽根による開口面積7.1mm2、四角形の開口形状の対角線が3.77mmであった。
このときNDフィルタの移動方向は、ほぼ前記対角線の方向である。濃度境界部(濃度変化領域)は、NDフィルタの移動方向に濃度勾配を持ち、移動方向と直交する方向には濃度変化は持たない。
濃度変化領域の開口部の面積に対する比率は、幅0.1mm時で5.26%、幅0.2mm時で10.4%、幅0.3mm時には15.5%となる。
なお、濃度変化領域は開口部に対して移動するため、開口部に占める面積および面積比は変化する。上記濃度変化する領域の開口部の面積に対する比率は、透過波面位相差の影響が最も出やすい、濃度変化領域がほぼ中央にあるときの値である。
連続的に濃度変化する領域の幅が0.1mm未満であると、濃度境界部の濃度変化が不連続な時と同様に、濃度変化領域が絞り開口の端部近傍にあるとき絞り羽根と高濃度の単一濃度領域との間にできる開口形状が、小絞り時に似たような状態となる。
これにより、回折と透過波面位相差の影響により画像の劣化が大きくなる。これらの影響を無くすためには、最低0.1mmの濃度変化領域が必要であった。
また、透過波面位相差と回折の影響の起こらない0.4mmの濃度変化領域を設けると、グラデーションNDフィルタに近い構成となるため、上記と同一の実験条件では露光量誤差が大きくなった。
ここで、同一の条件下での適正開口面積と実際の開口面積の誤差による光量絞り装置の透過光量の差(露光量誤差EV)は、以下の式で表される。
Log(S2/S1)/Log2=露光量誤差EV
S2=実際の絞り面積
S1=適正(目標)絞り面積。
この式は、絞り面積が倍あるいは半分になったとき、透過光量(露光量)は1EV変化することを表している。
通常、CCD等の固体撮像素子を使用したビデオカメラやデジタルスチルカメラ等においては、適正絞りに対して許容される誤差は最大±0.15EV、望ましくは±0.1EV以内と言われている。
そこで±0.15EVを上記式に代入すると、
Log(S2/S1)/Log2=±0.15EV
S2/S1=1.11,0.90
となる。
すなわち、適正絞り位置に対して絞り開口が大きい方へは11%、小さい方へは10%まで実開口面積が変化しても良いこととなる。
これは、例えば通常の絞り羽根が絞りを構成するときのように、透過率0%の部分と100%の部分のみで絞りを構成しているときの許容露光量誤差である。
この境界上に濃度が連続的に変化する領域を設けたとすると、その領域が存在することによる透過光量(露光量)の変化を+11%から−10%の間に収めるために、濃度が連続的に変化する領域の面積の許容される上限は、つぎのようになる。
すなわち、濃度が連続的に変化する領域の面積の許容される上限は、露光量の11%までの増加を許容することを考慮すると22%である。
しかし露光量の10%までの減少を許容することを考慮すると20%までということになる。
実際には、絞りを構成するのにNDフィルタを用いているので、完全に遮光しないが、前記のように通常の光量絞り装置に使用され、同じく前記のような課題を有するNDフィルタは透過率10%から30%程度の高濃度のものである。
したがって、ほぼこの式に近い結果を示す。また、濃度の薄いNDフィルタは回析などの問題を起こしにくいため本発明を適用する必要はない。
さらに言えば、濃度が連続的に変化する領域の中間点が絞り開口の中心位置に来るように設定すれば、理論的には露光誤差は0にできる。
しかし、連続的に変化する領域の製造方法を考えると技術的に難しく、また光量制御方法が難しくなるのを防ぐため、最悪の場合を考えると濃度が連続的に変化する範囲は前記の幅に制限する事が望ましい。
つまり、露光量に影響する割合が最大となる、絞り口径内で隣り合う単一濃度領域の面積が略同一となるとき、濃度が連続的に変化する領域(濃度変化領域)の面積を、その時の絞り開口面積の少なくとも20%以内とすれば良い。
すなわち、開口内の濃度変化領域の面積がその開口面積の20%以内となるように、濃度変化領域の幅を設定すれば、露光量誤差は±0.15EV以内となる。したがって、従来タイプのステップNDフィルタを備えた光量絞り装置の制御回路と同一制御回路で制御できることになる。
因に、本実施例のNDフィルタを用いた光量絞り装置では露光量誤差が0.09EVであるのに対し、NDフィルタなしでの計算上の開口面積の許容誤差は6.44%となる。
本実施例のNDフィルタの濃度が連続的に変化する領域の許容最大面積は、開口面積に対して上記値の約2倍の12.9%となり(許容最大幅は約0.25mmとなり)本計算結果と略一致する。
したがって、露光量誤差が0.15EVまで許容される場合は、濃度が連続的に変化する領域の許容最大面積は開口面積に対して20%となり、濃度が連続的に変化する領域の幅を約0.4mmまで広げてもよい。
したがって、濃度境界部に濃度変化を持たせた領域の幅の許容範囲は、0.1mm以上となり、濃度変化領域の許容上限面積は、隣り合う濃度領域の絞り開口内の面積が略同一となるときの絞り開口面積の20%となる。濃度変化領域の面積は、さらに好ましくは、同絞り開口面積の15%以内である事が望ましい。
なお、本実施例では2つの濃度を持つNDフィルタで説明したが、3つ以上の濃度を持つ場合でも同様である。
次に本発明のNDフィルタを備える光量絞り装置を光学機器(ビデオカメラ)に適用した実施例について図8を用いて説明する。
図8において、1はレンズユニット1A〜1Dを有する撮影光学系である。2はCCD等の固体撮像素子であり、撮影光学系1によって形成される像を受光し、電気信号に変換する。3は光学ローパスフィルタである。撮影光学系1は、図6に示したNDフィルタ4、絞り羽根5,6で構成される光量絞り装置を有している。
以上の実施例の構成によれば、解像度を向上させることができるNDフィルタを提供することができる。
また、これを使用した光量絞り装置を、固体撮像素子と撮影光学系を有する光学機器に使用することにより、制御回路の開発や製造の省力化が達成できる。
すなわち、同一シリーズで機種により従来タイプのステップNDフィルタを搭載する機種と、本発明によるNDフィルタを搭載した機種の両方を開発する場合においても、光量絞り装置の制御回路は同一でも良いことになる。
これにより制御回路の開発や製造の省力化が達成できる。
本発明の実施例1の絞り装置に適用される、透明基板と単一濃度領域を持つNDフィルタ領域1およびNDフィルタ領域2における2濃度の領域の領域境界部に、濃度を連続的に変化させた濃度変化領域を形成した光量絞り用NDフィルタの構成例を示す図。 本発明の実施を説明する真空蒸着機におけるチャンバー内の構成を示す簡易図。 本発明の実施における濃度変化領域を作製する際の原理基板とマスクの配置を説明するための図。 本発明の実施を説明するための濃度変化幅とGAP量の関係を表わしたグラフ。 本発明の実施例の絞り装置に適用されるND膜フィルタの構成例を示す断面図。 絞り装置の構成図である羽根図。 本発明の実施例絞り装置におけるNDフィルタの動作を説明するための図。 光学機器の実施例の要部概略図である。
符号の説明
1:撮影光学系
1A、1B、1C、1D:レンズユニット
2:固体撮像素子
3:光学ローパスフィルタ
4:NDフィルタ
5:絞り羽根
6:絞り羽根
10:透明基材
11a、11b、11c、11d:ND膜
12:基板
13:基材
14:基板治具
15:蒸着傘
16:蒸着源
17:マスク

Claims (2)

  1. 開口を形成する絞り部材と、
    該開口を通過する光の光量を減衰するためのNDフィルタを備え、
    該NDフィルタは、
    一定の濃度のND膜を有する第1の領域と、
    該第1の領域とは濃度の異なる一定の濃度のND膜を有する第2の領域と、
    前記第1の領域と第2の領域の間に設けられた濃度変化領域を有し、
    該濃度変化領域は前記第1の領域の濃度から前記第2の領域の濃度まで、濃度が連続的に変化するND膜を有し、
    前記濃度変化領域の幅は、前記開口内において前記第1の領域と第2の領域の面積が同一となるときに、前記開口内の前記濃度変化領域の面積が、前記開口の面積の20%以下となるような幅に設定されていることを特徴とする絞り装置。
  2. 請求項1に記載の絞り装置を備える光学系と、
    該光学系によって形成される像を受光する固体撮像素子を備えることを特徴とする光学機器。
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