JP4623711B2 - Ndフィルタの製造方法、ndフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ - Google Patents

Ndフィルタの製造方法、ndフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ Download PDF

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Description

本発明は、NDフィルタの製造方法、NDフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラに関し、特にビデオカメラあるいはスチルビデオカメラ等の撮影系に使用するのに適したNDフィルタの製造方法及びNDフィルタに関するものである。
濃度が連続的に変化するND(Neutral Density)フィルタは、例えば、表示パネルの濃度分布を補正する補正板として、あるいは顕微鏡等に光を供給する光量調整用のフィルタとして使用され、また近年ではマイクロレンズアレイ作製用のフォトマスクに使用される等、多岐の分野で用いられている。しかし、従来の作製方法では、これらの仕様を満足する濃度特性をもつNDフィルタを作製することは著しく困難であった。また、NDフィルタに限らず、濃度が連続的に変化する各種の薄膜を作製することも同様に困難であった。
以下に、光量絞りに用いられるNDフィルタの例について説明する。
光量絞りは銀塩フィルムあるいはCCD等への固体撮像素子へ入射する光量を制御するため、撮影光学系の光路中に設けられており、被写界が明るい場合に光量をより小さく絞り込まれるように構成されている。
従って、快晴時や高輝度の被写界を撮影すると絞りは小絞りとなり、絞りのハンチング現象や光の回折の影響も受け易く、像性能の劣化を生じる。
これに対する対策として、絞り羽根にフィルム状のND(Neutral Density)フィルタを取り付けて被写界の明るさが同一でも絞りの開口が大きくなる様な工夫がされている。
近年、撮像素子の感度が向上するに従い、前記NDフィルタの濃度を濃くして、光の透過率をさらに低下させ、被写界の明るさが同一でも絞りの開口を大きくする様な工夫がなされてきている。しかしながら、この様にNDフィルタの濃度が濃くなると、図19に示す様にフィルムを通過した光aと通過しない光bの光量差が大きく異なり、画面内で明るさが異なる“シェーディング”現象が起きたり、解像度が低下してしまうという欠点がある。この欠点を解決するためにNDフィルタの濃度を光軸中心に向かって順次透過率が大となる様な構造を取る必要が出てきている。
因みに図19で106A,106B,106C,106Dは撮影光学系106を構成するレンズ、107は固体撮像素子で108はローパスフィルタである。また111から114は絞り装置で、111がNDフィルタ、112と113が対向的に移動する絞り羽根で、2枚の絞り羽根は略菱形の開口を形成する。NDフィルタは普通、絞り羽根に接着されている。114は絞り羽根支持板である。
一般的にNDフィルタの作製方法としては、フィルム状をなす材料(セルロースアセテート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル等)中に光を吸収する有機色素または顔料を混ぜ、練り込むタイプのものと、前記材料に光を吸収する有機色素または顔料を塗布するタイプのものがある。これらの製造方法では、濃度が均一なフィルタは作製可能であるが、濃度が変化するタイプのフィルタ(グラデーションフィルタ)は作製が著しく困難である。
また、特許文献1、特許文献2、特許文献3等に開示されているように、マイクロ写真法による濃度が変化するタイプのフィルタの作製が提案されている。
これらが提案された当時のビデオカメラでは、この方法により作製したNDフィルタで画質の向上が図られたが、近年のCCDの更なる高感度化、小型化、高画質対応により特に特殊条件での使用(例えば逆光下での小径絞り状態)において、銀塩粒子による光の散乱による影響により画質が劣化してしまうことがある。
また、特許文献4には、真空蒸着法により楕円形グラデーションフィルタの製造方法が開示されている。この方法では、微少領域(例えば3mmの範囲で透過率3%から80%までの変化等)での濃度変化ができない欠点がある。
さらに、上記高画質対応の対策として、単一濃度のNDフィルタを複数の絞り羽根に接着して、駆動させることにより、単一濃度フィルタでも複数重なった部分と重ならない部分とから、濃度変化させることは可能である。
しかしながら、この方法ではNDフィルタの枚数が増えることによりコスト高になること、及び絞り羽根に複数枚NDフィルタが存在することにより厚くなってしまい、近年の小型・省スペース化に対応できない等の欠点がある。
さらに、近年、段階的な多濃度NDフィルタが使用され始めてきているが、異なる濃度の境界部分で重なったり隙間ができたりして光学特性が変化し、画質の劣化を引き起こすことがわかってきた。
このような現象の解決には、連続的に濃度を変化させたグラディエントなNDフィルタが必要である。そのため、本発明者らは特許文献5、特許文献6等において、真空蒸着法等を用い、基板とスリット型マスクとの間隔を一定に保つようにして、基板に対しスリット型マスクを設け、スリット型マスクを該基板と一体的にドーム上を公転させ、成膜蒸着源と基板との位置関係から、該基板に蒸着させる蒸着粒子が該スリット型マスクを通過して基板に到達できたり、スリット型マスクに遮られ基板まで到達できなかったりすることで、グラデーション濃度分布を有するNDフィルタを製造する方法を提案している。
特許第2754518号公報 特許第2771078号公報 特許第2771084号公報 特開平11−38206号公報 特開2004−061900号公報 特開2004−061903号公報
しかしながら、上記特許文献5、特許文献6等によるNDフィルタの製造方法では、連続的に濃度を変化させたグラディエントなNDフィルタを得ることができるが、この方法では図18(a)に示す様にスリットの中心を基準に左右対称の濃度分布しか得ることができず、例えば図16(a)に示す様に、1つの成膜基板から切り抜くフィルタの形状を同方向に揃える必要がある際などには、1枚のシートから作製されるフィルタの個数が減少し、量産性の面で必ずしも満足の得られない場合があった。
そこで、本発明は上記課題に鑑み、1つの成膜基板から切り抜くフィルタの形状を同方向に揃える必要がある場合等において量産性の向上を図ることができ、各濃度において分光特性がフラットで、光量の均一性が向上したNDフィルタの製造方法、NDフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラを提供することを目的とするものである。
本発明は、以下のように構成したNDフィルタの製造方法、NDフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラを提供するものである。
すなわち、本発明のNDフィルタの製造方法は、基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、該最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ最表層を、前記マスクを用いて成膜する工程と、
有することを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタの製造方法は、基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、最表層を2度に分けて成膜する工程と、
を有し、該最表層の最初の成膜には前記マスクを用い、最後の成膜には前記マスクを用いないで成膜することを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタの製造方法は、基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、前記マスクを用いて最表層を2度に分けて成膜する工程と、
を有し、該最表層の最初の成膜には該最表層手前までの膜とは同方向の傾斜膜厚分布をもつ膜を形成し、該最表層の最後の成膜には該最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ膜を形成することを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタは、基板上に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を有するNDフィルタであって
最表層が2度に分けて成膜された膜によって構成され、
前記最表層の最初に成膜された膜は、成膜面を有する基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置され複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜されたグラデーション濃度分布を有する膜であり、
前記最表層の最後に成膜された膜は、前記マスクを用いずに成膜された一定膜厚の膜であることを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタは、基板上に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を有するNDフィルタであって、
最表層が2度に分けて成膜された膜によって構成され、
前記最表層の最初に成膜された膜は、成膜面を有する基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置され複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜された、最表層手前までの膜とは同方向の傾斜膜厚分布をもつ膜であり、
前記最表層の最後に成膜された膜は、前記マスクを用いて成膜された最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ膜であることを特徴としている。
また、本発明の光量絞り装置は、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、前記NDフィルタが、上記したいずれかに記載のNDフィルタによって構成されている。
また、本発明のカメラは、光学系と、該光学系を通過する光量を制限する上記の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有している。
本発明によれば、1つの成膜基板から切り抜くフィルタの形状を同方向に揃える必要がある場合等において量産性の向上を図ることができ、各濃度において分光特性がフラットで、光量の均一性が向上したNDフィルタの製造方法、NDフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラを実現することができる。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態に用いる真空蒸着機の構成を説明する図であり、(a)は真空蒸着機におけるチャンバー内の構成を示す簡易図、(b)は基板の拡大図である。図1において1は蒸着傘、2は蒸着源であり、また、3は成膜を施す基板、4は実際に成膜を実施する基材、5は基材4を固定するための基板治具である。真空蒸着機においては蒸着傘1によって回転機構が構成され、蒸着傘1に成膜するための基板3が取り付けられている。なお、本実施の形態において説明する基板3とは、図1(b)に示すように基板治具5に基材4がセットされた状態のものを意味している。
図2は本実施の形態における成膜基板上に設けたマスクの構成を模式的に示す断面図であり、図3はその立体図である。
17はマスク、18は遮蔽板、19は基板3と遮蔽板18とがなす角、20は遮蔽板18間の距離、21は遮蔽板18の長さである。
図2に示されるように、マスク17は、それぞれが平行な位置関係をもつ複数枚の遮蔽板18より構成されており、遮蔽板は基板と平行ではない任意の角度を形成している。求められるグラデーション濃度分布仕様や基板の大きさなどの条件により、遮蔽板の枚数、遮蔽板間距離、基板と遮蔽板とが形成する角度が決定される。また、膜厚分布に影響を及ぼさない範囲であれば、基板とマスクとは必ずしも密着させる必要はない。
本実施の形態で目指している濃度分布は、透過率が順次小、若しくは大になるようなグラデーション濃度分布である。この様な濃度分布は、グラデーション濃度分布を必要とする各種フィルタ等に関する用途を考慮すると、一般的な仕様であると考えられる。具体的には、例えば図6の理想型グラデーション透過分布例に示すような透過特性を持つ分布である。この仕様を満足するフィルタを作成するためには、図7の理想型グラデーション濃度分布例に示すような濃度分布を得る必要がある。濃度と膜厚はリニアの関係にあるため、言い換えれば、図7で示すような傾斜膜厚分布を得る必要があると言える。
一般的に真空蒸着法においては、図1(a)の様にチャンバー内の基板は蒸着傘1に備え付けられ、この蒸着傘1と共に基板3が回転し成膜が行われる。この各基板上の蒸着源2側に、図2及び図3に示すような複数枚の遮蔽板18により構成されたマスク17を設けることにより、蒸着源2と基板3及びマスク17との位置関係から、蒸着する蒸着粒子はマスク17を通過して基板3まで到達できたり、マスク17に遮られ基板3まで到達できなかったりすることになり、図4に示すような傾斜膜厚分布を得ることとなる。
図4は、図2及び図3で示すマスクを基板上に設けた場合のシミュレーションによる膜厚分布例であり、図5は図4のパラメータとなっている基板上の位置Δxにおける、成膜側の位置関係を示す図である。具体的には基板と遮蔽板とが形成する角は45度、遮蔽板間距離は25mm、遮蔽板の長さは14.14mmとした際のシミュレーション結果である。
このように、マスクのパラメータである、基板3と遮蔽板18とが形成する角19、遮蔽板間距離20、遮蔽板の長さ21とを制御することにより、任意の膜厚分布、つまり任意の濃度分布を作製することが可能となる。
また、成膜される膜の膜厚は基板の位置と蒸着源、及びマスクの幾何学的位置関係により決定される為、蒸着源を固定し蒸着傘とマスク機構を回転させ成膜を実施することと、蒸着傘とマスク機構を固定し蒸着源を回転させ成膜を実施することとは同様のことである。従って、蒸着傘とマスク機構を固定し蒸着源を制御することによっても同様の効果を得ることも可能である。
以上、本実施の形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。特に、以上の本実施の形態においては、NDフィルタに成膜を実施する方法として真空蒸着法を用いた場合を説明したが、本発明は真空蒸着法に限らずターゲットから基板に到達した遮光材を該基板に付着させるようにするスパッタリング法、あるいはスプレー法等も適用することができるものである。なお、これらの成膜法は一般的に知られているため、ここではその説明は省略する。
つぎに、本発明の実施例について説明する。
本実施例は、上記した本発明の構成及び実施の形態を適用したものである。
以下に、本実施例によるNDフィルタの製造方法について説明する。
まず、各成膜基板上の蒸着源側に図2及び図3に示すマスクを設置し、材質厚75μmのプラスチック基材(以下、PET基材と記す)上に、真空蒸着法により図8に示す膜構成のうち第1層から最表層手前までを形成した。
具体的には基板とマスクとが形成する角は45度、遮蔽板間距離は25mm、マスクの長さは14.14mmとした。
また、膜の生成法として、膜厚を比較的容易に制御でき、かつ可視域の波長域で散乱が非常に小さいことから、真空蒸着法を選択した。また、基材の材質としては、耐熱性(ガラス転移点Tg)が高く、可視域の波長域で透明性が高く、また吸水率が低いPETを選択した。
次にチャンバーから各基板に設けたマスクを取り外し、最表層を光学膜厚n×d(nは屈折率、dは機械膜厚)でλ/4 λ:540nmの条件により成膜した。この最表層の膜の屈折率nは可視域の波長域で1.5以下のものを選んだ。具体的にはMgF2を使用した。
以上のように第1層から最表層まで成膜した後、110℃で1時間、空気中で熱処理を行った。110℃を選んだのは、100℃未満では環境安定性向上の効果が不十分であり、130℃を超えると基材の熱的劣化を生じて膜にクラックが発生する等問題が生じるためである。したがって、本実施例の条件下においては、熱処理の温度は、110℃から130℃の間が適当である。
環境安定性を調べるため、前記プラスチックNDフィルタを60℃ 85%240時間の放置試験を行い、試験前後での透過率を測定すると、その差が0.2%以下とほとんど差は見られなかった。参考として、熱処理を行わないものを同様な環境試験を行い、試験前後での透過率を測定すると2%前後増加していた。このような現象が起きる要因としては、真空蒸着時の基板温度が低いことがあげられる。
膜の封止密度は成膜時の基板温度が大きく影響し、温度が低いと封止密度が低くなり、水分・酸素等を透過しやすく、そのため吸収膜であるTixY自体の酸化が促進されることと、それを保護するAl23膜等の誘電体膜の保護効果が少ない事との両方の影響から透過率が上昇するものと考えられる。熱処理を行うと環境安定性が向上するのは、“エージング効果”であると考えられる。
通常、ガラス基板を用いる場合、基板温度は200℃〜250℃、望ましくは300℃前後まで加熱して成膜する。しかし、今回のように基板がプラスチックの場合、基板が熱収縮を起こさない温度で成膜する必要があり、その基板温度は150℃未満に制約される。
ここで、膜厚分布は図4に示すシミュレーションの結果とほぼ同等な結果が得られた。但し第1層から第8層までの分布である。最表層は一定膜厚である。
一例を示すと、図16(a)のようなパターンを作製して、略三角形の形状に切りぬき、その後、この略三角形の形状に切りぬかれたNDフィルタ101を絞り羽根102に貼って図17の状態になる。フィルタ1枚は図16(b)のようになっていて、0が端面部でそこからX1、X2、X3までが濃度変化領域である。X3からX4は最も濃い均一濃度が形成されている。X4からX5はフィルタを羽根に接着するための接着領域である。
この時の距離と透過率の関係は図9、距離と反射率の関係は図10に示すようになった。
さらに分光透過率は図11、分光反射率は図12に示すようになった。
ところで、第8層目の成膜終了後、図13に示すように濃度傾斜部と全く反対の傾斜を形成するように、基板とマスクにおける遮蔽板とが成す角度、マスクにおける遮蔽板の長さ、前記遮蔽板の遮蔽板間距離、等を調整し直して最表層を成膜するようにしてもよい。こうすることで、グラデーション仕様によっては、前記した最表層としてMgF2を一定で光学膜厚n×dをλ/4 λ:540nm形成し反射防止を図る以上に、濃度傾斜部の反射をより低減でき、さらに膜厚分布によりグラデーション濃度分布を実現する方法においては、位相差を補正することも可能となる。
また、図14に示すように、第8層目の成膜終了後、例えば光学膜厚n×dでλ/32 λ:540nm MgF2を成膜し、その後チャンバーから各基板に設けたマスクを取り外し、8層目までの濃度傾斜と反対の傾斜で相似した傾斜を形成するように、基板とマスクにおける遮蔽板とが成す角度、マスクにおける遮蔽板の長さ、前記遮蔽板の遮蔽板間距離、等を調整し直し、最表層としてMgF2を再度成膜するようにしてもよい。こうすることで、グラデーション仕様によっては、前記した最表層としてMgF2を一定で光学膜厚n×dをλ/4 λ:540nm形成し反射防止を図る以上に、濃度傾斜部の反射をより低減することが可能となる。
このように、最表層のMgF2を2度に分けて成膜する理由は、マスクを取り外すためにチャンバーを大気等にさらした際に、第8層目のTixOyが酸化することを防止するためである。従って、最表層(1)のMgF2の膜厚は酸化防止を実現できる厚さであれば良い。
さらに、別の方法として、図15に示すように第8層目の成膜終了後、MgF2を例えば光学膜厚n×dでλ/32 λ:540nm成膜し、その後チャンバーから各基板に設けたマスクを取り外し、MgF2を光学膜厚n×dで7λ/32成膜するようにしてもよい。
このように、最表層のMgF2を2度に分けて成膜する理由は、マスクを取り外すためにチャンバーを大気等にさらした際に、第8層目のTixOyが酸化することを防止するためである。最表層のMgF2における最初の成膜では、図2及び図3に示すマスクを使用していることから、膜厚はグラデーション傾斜をもった形状になるが、それはλ/32の膜厚であり、マスクを取り外した後の7λ/32の一定膜厚部が支配的な膜厚となるため、最表層の膜厚傾斜部の影響は殆ど受けずに、効率よく反射を抑えることができる。
本発明の実施の形態を説明する真空蒸着機におけるチャンバー内の構成を示す簡易図。 本発明の実施の形態における成膜基板上に設けたマスクの構成を模式的に示す断面図。 本発明の実施の形態における成膜基板上に設けたマスクの構成を模式的に示す立体図。 本実施の形態におけるマスクを用いてシミュレーションした結果の膜厚分布の一例を示す図。 本発明の実施の形態における図4のパラメータとなっている基板上の位置Δxにおける、成膜側の位置関係を示す図。 本発明の実施の形態を説明するための理想型グラデーション透過分布例を示す図。 本発明の実施の形態を説明するための理想型グラデーション濃度分布例を示す図。 本発明の実施例によって作製される蒸着NDフィルタの膜構成を示す図。 本発明の実施例における距離と透過率の関係を表わしたグラフ。 本発明の実施例における距離と反射率の関係を表わしたグラフ。 本発明の実施例における分光透過率を表わしたグラフ。 本発明の実施例における分光反射率を表わしたグラフ。 本発明の実施例における最表層の構成例を示す図。 本発明の実施例における最表層の構成例を示す図。 本発明の実施例における最表層の構成例を示す図。 本発明の実施例を説明する図であり、(a)は本実施例により作製されたNDグラデーションフィルタの図、(b)は略三角形の形状に切り抜いた状態を示す図である。 本発明の実施例におけるNDフィルタが羽根に接着された状態を示す図である。 従来例を説明する図であり、(a)は従来例により作製されたNDグラデーションフィルタの図、(b)は略三角形の形状に切り抜いた状態を示す図である。 従来例におけるビデオカメラに使用される撮影光学系を表した図である。
符号の説明
3:基板
17:マスク
18:遮蔽板
19:基板とマスクとが形成する角
20:遮蔽板間距離
21:マスクにおける遮蔽板の長さ

Claims (9)

  1. 基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
    前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
    前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、該最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ最表層を、前記マスクを用いて成膜する工程と、
    有することを特徴とするNDフィルタの製造方法
  2. 基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
    前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
    前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、最表層を2度に分けて成膜する工程と、
    有し、該最表層の最初の成膜には前記マスクを用い、最後の成膜には前記マスクを用いないで成膜することを特徴とするNDフィルタの製造方法。
  3. 基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
    前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
    前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、前記マスクを用いて最表層を2度に分けて成膜する工程と、
    有し、該最表層の最初の成膜には該最表層手前までの膜とは同方向の傾斜膜厚分布をもつ膜を形成し、該最表層の最後の成膜には該最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ膜を形成することを特徴とするNDフィルタの製造方法。
  4. 前記マスクを用いる成膜に際して、前記基板と前記遮蔽板とがなす角度、前記遮蔽板の長さ、及び前記遮蔽板における遮蔽板間の距離を調整することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法。
  5. 前記最表層を成膜した後に、成膜された前記基板を100℃から130℃の温度で空気中で熱処理する工程を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法。
  6. 基板上に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を有するNDフィルタであって、
    最表層が2度に分けて成膜された膜によって構成され、
    前記最表層の最初に成膜された膜は、成膜面を有する基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置され複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜されたグラデーション濃度分布を有する膜であり、
    前記最表層の最後に成膜された膜は、前記マスクを用いずに成膜された一定膜厚の膜であることを特徴とするNDフィルタ。
  7. 基板上に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を有するNDフィルタであって、
    最表層が2度に分けて成膜された膜によって構成され、
    前記最表層の最初に成膜された膜は、成膜面を有する基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置され複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜された、最表層手前までの膜とは同方向の傾斜膜厚分布をもつ膜であり、
    前記最表層の最後に成膜された膜は、前記マスクを用いて成膜された最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ膜であることを特徴とするNDフィルタ。
  8. 相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、
    前記NDフィルタが、請求項6または請求項7に記載のNDフィルタによって構成されていることを特徴とする光量絞り装置。
  9. 光学系と、該光学系を通過する光量を制限する請求項に記載の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有することを特徴とするカメラ。
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