JP4623711B2 - Ndフィルタの製造方法、ndフィルタ、光量絞り装置、該光量絞り装置を有するカメラ - Google Patents
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Description
光量絞りは銀塩フィルムあるいはCCD等への固体撮像素子へ入射する光量を制御するため、撮影光学系の光路中に設けられており、被写界が明るい場合に光量をより小さく絞り込まれるように構成されている。
従って、快晴時や高輝度の被写界を撮影すると絞りは小絞りとなり、絞りのハンチング現象や光の回折の影響も受け易く、像性能の劣化を生じる。
これに対する対策として、絞り羽根にフィルム状のND(Neutral Density)フィルタを取り付けて被写界の明るさが同一でも絞りの開口が大きくなる様な工夫がされている。
これらが提案された当時のビデオカメラでは、この方法により作製したNDフィルタで画質の向上が図られたが、近年のCCDの更なる高感度化、小型化、高画質対応により特に特殊条件での使用(例えば逆光下での小径絞り状態)において、銀塩粒子による光の散乱による影響により画質が劣化してしまうことがある。
さらに、上記高画質対応の対策として、単一濃度のNDフィルタを複数の絞り羽根に接着して、駆動させることにより、単一濃度フィルタでも複数重なった部分と重ならない部分とから、濃度変化させることは可能である。
しかしながら、この方法ではNDフィルタの枚数が増えることによりコスト高になること、及び絞り羽根に複数枚NDフィルタが存在することにより厚くなってしまい、近年の小型・省スペース化に対応できない等の欠点がある。
このような現象の解決には、連続的に濃度を変化させたグラディエントなNDフィルタが必要である。そのため、本発明者らは特許文献5、特許文献6等において、真空蒸着法等を用い、基板とスリット型マスクとの間隔を一定に保つようにして、基板に対しスリット型マスクを設け、スリット型マスクを該基板と一体的にドーム上を公転させ、成膜蒸着源と基板との位置関係から、該基板に蒸着させる蒸着粒子が該スリット型マスクを通過して基板に到達できたり、スリット型マスクに遮られ基板まで到達できなかったりすることで、グラデーション濃度分布を有するNDフィルタを製造する方法を提案している。
すなわち、本発明のNDフィルタの製造方法は、基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、該最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ最表層を、前記マスクを用いて成膜する工程と、
を有することを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタの製造方法は、基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、最表層を2度に分けて成膜する工程と、
を有し、該最表層の最初の成膜には前記マスクを用い、最後の成膜には前記マスクを用いないで成膜することを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタの製造方法は、基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、前記マスクを用いて最表層を2度に分けて成膜する工程と、
を有し、該最表層の最初の成膜には該最表層手前までの膜とは同方向の傾斜膜厚分布をもつ膜を形成し、該最表層の最後の成膜には該最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ膜を形成することを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタは、基板上に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を有するNDフィルタであって、
最表層が2度に分けて成膜された膜によって構成され、
前記最表層の最初に成膜された膜は、成膜面を有する基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置され複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜されたグラデーション濃度分布を有する膜であり、
前記最表層の最後に成膜された膜は、前記マスクを用いずに成膜された一定膜厚の膜であることを特徴としている。
また、本発明のNDフィルタは、基板上に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を有するNDフィルタであって、
最表層が2度に分けて成膜された膜によって構成され、
前記最表層の最初に成膜された膜は、成膜面を有する基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置され複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜された、最表層手前までの膜とは同方向の傾斜膜厚分布をもつ膜であり、
前記最表層の最後に成膜された膜は、前記マスクを用いて成膜された最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ膜であることを特徴としている。
また、本発明の光量絞り装置は、相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、前記NDフィルタが、上記したいずれかに記載のNDフィルタによって構成されている。
また、本発明のカメラは、光学系と、該光学系を通過する光量を制限する上記の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有している。
図1は本実施の形態に用いる真空蒸着機の構成を説明する図であり、(a)は真空蒸着機におけるチャンバー内の構成を示す簡易図、(b)は基板の拡大図である。図1において1は蒸着傘、2は蒸着源であり、また、3は成膜を施す基板、4は実際に成膜を実施する基材、5は基材4を固定するための基板治具である。真空蒸着機においては蒸着傘1によって回転機構が構成され、蒸着傘1に成膜するための基板3が取り付けられている。なお、本実施の形態において説明する基板3とは、図1(b)に示すように基板治具5に基材4がセットされた状態のものを意味している。
17はマスク、18は遮蔽板、19は基板3と遮蔽板18とがなす角、20は遮蔽板18間の距離、21は遮蔽板18の長さである。
図2に示されるように、マスク17は、それぞれが平行な位置関係をもつ複数枚の遮蔽板18より構成されており、遮蔽板は基板と平行ではない任意の角度を形成している。求められるグラデーション濃度分布仕様や基板の大きさなどの条件により、遮蔽板の枚数、遮蔽板間距離、基板と遮蔽板とが形成する角度が決定される。また、膜厚分布に影響を及ぼさない範囲であれば、基板とマスクとは必ずしも密着させる必要はない。
このように、マスクのパラメータである、基板3と遮蔽板18とが形成する角19、遮蔽板間距離20、遮蔽板の長さ21とを制御することにより、任意の膜厚分布、つまり任意の濃度分布を作製することが可能となる。
また、成膜される膜の膜厚は基板の位置と蒸着源、及びマスクの幾何学的位置関係により決定される為、蒸着源を固定し蒸着傘とマスク機構を回転させ成膜を実施することと、蒸着傘とマスク機構を固定し蒸着源を回転させ成膜を実施することとは同様のことである。従って、蒸着傘とマスク機構を固定し蒸着源を制御することによっても同様の効果を得ることも可能である。
本実施例は、上記した本発明の構成及び実施の形態を適用したものである。
以下に、本実施例によるNDフィルタの製造方法について説明する。
まず、各成膜基板上の蒸着源側に図2及び図3に示すマスクを設置し、材質厚75μmのプラスチック基材(以下、PET基材と記す)上に、真空蒸着法により図8に示す膜構成のうち第1層から最表層手前までを形成した。
具体的には基板とマスクとが形成する角は45度、遮蔽板間距離は25mm、マスクの長さは14.14mmとした。
膜の封止密度は成膜時の基板温度が大きく影響し、温度が低いと封止密度が低くなり、水分・酸素等を透過しやすく、そのため吸収膜であるTixOY自体の酸化が促進されることと、それを保護するAl2O3膜等の誘電体膜の保護効果が少ない事との両方の影響から透過率が上昇するものと考えられる。熱処理を行うと環境安定性が向上するのは、“エージング効果”であると考えられる。
通常、ガラス基板を用いる場合、基板温度は200℃〜250℃、望ましくは300℃前後まで加熱して成膜する。しかし、今回のように基板がプラスチックの場合、基板が熱収縮を起こさない温度で成膜する必要があり、その基板温度は150℃未満に制約される。
一例を示すと、図16(a)のようなパターンを作製して、略三角形の形状に切りぬき、その後、この略三角形の形状に切りぬかれたNDフィルタ101を絞り羽根102に貼って図17の状態になる。フィルタ1枚は図16(b)のようになっていて、0が端面部でそこからX1、X2、X3までが濃度変化領域である。X3からX4は最も濃い均一濃度が形成されている。X4からX5はフィルタを羽根に接着するための接着領域である。
この時の距離と透過率の関係は図9、距離と反射率の関係は図10に示すようになった。
さらに分光透過率は図11、分光反射率は図12に示すようになった。
このように、最表層のMgF2を2度に分けて成膜する理由は、マスクを取り外すためにチャンバーを大気等にさらした際に、第8層目のTixOyが酸化することを防止するためである。従って、最表層(1)のMgF2の膜厚は酸化防止を実現できる厚さであれば良い。
このように、最表層のMgF2を2度に分けて成膜する理由は、マスクを取り外すためにチャンバーを大気等にさらした際に、第8層目のTixOyが酸化することを防止するためである。最表層のMgF2における最初の成膜では、図2及び図3に示すマスクを使用していることから、膜厚はグラデーション傾斜をもった形状になるが、それはλ/32の膜厚であり、マスクを取り外した後の7λ/32の一定膜厚部が支配的な膜厚となるため、最表層の膜厚傾斜部の影響は殆ど受けずに、効率よく反射を抑えることができる。
17:マスク
18:遮蔽板
19:基板とマスクとが形成する角
20:遮蔽板間距離
21:マスクにおける遮蔽板の長さ
Claims (9)
- 基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、該最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ最表層を、前記マスクを用いて成膜する工程と、
を有することを特徴とするNDフィルタの製造方法。 - 基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、最表層を2度に分けて成膜する工程と、
を有し、該最表層の最初の成膜には前記マスクを用い、最後の成膜には前記マスクを用いないで成膜することを特徴とするNDフィルタの製造方法。 - 基板に対してマスクを設け、前記マスクを前記基板と一体的に公転させて、前記基板の成膜面に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を成膜してNDフィルタを製造するNDフィルタの製造方法であって、
前記基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置された複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜する工程と、
前記マスクを用いて成膜する工程によって、第1層から最表層手前までの膜を成膜した後に、前記マスクを用いて最表層を2度に分けて成膜する工程と、
を有し、該最表層の最初の成膜には該最表層手前までの膜とは同方向の傾斜膜厚分布をもつ膜を形成し、該最表層の最後の成膜には該最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ膜を形成することを特徴とするNDフィルタの製造方法。 - 前記マスクを用いる成膜に際して、前記基板と前記遮蔽板とがなす角度、前記遮蔽板の長さ、及び前記遮蔽板における遮蔽板間の距離を調整することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法。
- 前記最表層を成膜した後に、成膜された前記基板を100℃から130℃の温度で空気中で熱処理する工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のNDフィルタの製造方法。
- 基板上に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を有するNDフィルタであって、
最表層が2度に分けて成膜された膜によって構成され、
前記最表層の最初に成膜された膜は、成膜面を有する基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置され複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜されたグラデーション濃度分布を有する膜であり、
前記最表層の最後に成膜された膜は、前記マスクを用いずに成膜された一定膜厚の膜であることを特徴とするNDフィルタ。 - 基板上に少なくとも傾斜膜厚分布を有する2種類以上の膜を有するNDフィルタであって、
最表層が2度に分けて成膜された膜によって構成され、
前記最表層の最初に成膜された膜は、成膜面を有する基板と平行ではない所定の角度をなし、互いに平行に配置され複数枚の遮蔽板で構成されたマスクを用いて成膜された、最表層手前までの膜とは同方向の傾斜膜厚分布をもつ膜であり、
前記最表層の最後に成膜された膜は、前記マスクを用いて成膜された最表層手前までの膜とは逆方向の傾斜膜厚分布をもつ膜であることを特徴とするNDフィルタ。 - 相対的に駆動されて絞り開口の大きさを可変する複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置される光量調整のためのNDフィルタとを備えた光量絞り装置において、
前記NDフィルタが、請求項6または請求項7に記載のNDフィルタによって構成されていることを特徴とする光量絞り装置。 - 光学系と、該光学系を通過する光量を制限する請求項8に記載の光量絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子を有することを特徴とするカメラ。
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