JP4297370B2 - Ndフィルタ、並びにこれらのndフィルタを有する光量絞り装置及びカメラ - Google Patents
Ndフィルタ、並びにこれらのndフィルタを有する光量絞り装置及びカメラ Download PDFInfo
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Description
特に、ビデオカメラあるいはスチルビデオカメラ等の撮影系に使用するに適したNDフィルタ、並びにこれらのNDフィルタを有する光量絞り装置及びカメラに関するものである。
従って、快晴時や高輝度の被写界を撮影すると絞りは小絞りとなり、絞りのハンチング現象や光の回折の影響も受け易く、像性能の劣化を生じる。
これに対する対策として絞り羽根にフィルム状のND(Neutral Density)フィルタを取りつけて被写界の明るさが同一でも絞りの開口が大きくなる様な工夫をしている。
しかしながら、この様にNDフィルタの濃度が濃くなると、図8に示す様な状態でNDフィルタを通過した光aとNDフィルタを通過しない光bの光量差が大きく異なることとなる。
これにより、画面内で明るさが異なる“シェーディング”現象が起きたり、解像度が低下してしまうという欠点が生じる。
このような欠点を解決するために、NDフィルタの濃度を光軸中心に向かって順次透過率が大となる様な構造を取る必要が生じる。
また811から814は絞り装置を構成する部材で、811がNDフィルタ、812と813が対向的に移動する絞り羽根で、2枚の絞り羽根は略菱形の開口を形成する。
NDフィルタは普通、絞り羽根に接着されている。814は絞り羽根支持板である。
すなわち、フィルム状をなす材料(セルロースアセテート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル等)中に光を吸収する有機色素又は顔料を混ぜ、練り込むタイプのものと、前記材料に光を吸収する有機色素又は顔料を塗布するタイプのものがある。
また、従来例として、クラックを生じることのない高品質の反射防止の光吸収膜が提案されている(特許文献1参照)。
また、特許文献1で開示されているものは、単濃度においてのクラック対策であり、1枚のフィルムに多濃度のNDを成膜した場合においては、膜厚が厚くなりる。
そのため、クラックが発生してしまうという問題に対する解決策に関して、何も開示されていない。
さらに、近年CCDの高感度化、小型化等の高画質化に対応するため、分光透過率をフラットにして、低反射に抑える必要がある。
このような問題に対しても、上記特許文献1には、可視光域550nm付近で透過率が低下してしまう分光特性のものが開示されているにすぎない。
本発明のNDフィルタは、基板と、該基板上に積層された少なくとも2種類以上の層からなる膜とを有し、該膜を前記基板の両面に積層することで段階的な複数の濃度分布を形成したNDフィルタであって、
前記基板の一方の面に単濃度の膜を有すると共に、他方の面に積層した複数の単濃度の
膜を有し、前記他方の面に積層された複数の膜は、面積の大きい方から小さい方の順に積層されており、
前記膜は、前記基板に面する第1層目の膜が誘電体膜で形成され、その機械膜厚が5nm〜90nmであることを特徴としている。
また、上記本発明のNDフィルタを用いて、光量の均一性が向上した光量絞り装置あるいはカメラを構成することができる。
それは、本発明者らが鋭意検討した結果による、つぎのような知見に基づくものである。
そこで、本発明者らは次のような成膜手法で、図3に示すような3濃度ステップフィルタを作成した。
先ず、図3に示すプラスチック基板の1面側に、積層面積が最も大きい単濃度の膜を積層し、その次に前記プラスチック基板の2面側に積層面積の小さい2濃度を重ねて成膜し、3濃度ステップフィルタを作成した。
このような積層順を採用したのは、基板温度や蒸着膜の温度により、プラスチック材が熱収縮しない150℃未満を設定してはいるものの、やはり多少は収縮してしまう傾向があり、積層面積が大きい程その熱収縮の影響を受けやすくなる。そのため、積層面積の小さい膜から徐々に大きい膜を成膜すると、先に成膜した積層面積の小さい膜は、後に成膜した大きい膜の熱収縮による応力の影響を受けやすくなり、それがクラック発生の大きな要因になるものと考えられる。
このようなことから、上記した積層順を採用し、本発明を完成するに至ったのである。
特に、以下においては、NDフィルターに成膜を実施する方法として真空蒸着法を用いた場合を説明している。
しかしながら、スパッタリング法・インクジェットプリンティング法・スプレー法等においても同様な効果を得ることができ、このことは一般的に知られている事と推測される為、記述を省略する。
また、本実施の形態として説明する基板502とは、図5(b)に示すように基板治具505に基材504がセットされた状態を示しているものとする。
本実施の形態においては、これを単濃度に構成して、2重、3重に重ねていき、1枚のシートに3濃度分布を持ったステップNDフィルタを作成する。
例えば、図3に示すようにプラスチック基板の1面側に、積層面積が最も大きいものをまず積層する。
ついで、前記プラスチック基板の2面側に積層面積の小さいものを積層するに際し、面積の大きい方から小さい方の順に重ねて2濃度のものを形成することで、3濃度分布を持ったステップNDフィルタを作成する。
このように構成することによって、成膜後やプレス等で切断した際にもクラックの発生が起こることなく、高品質に対応したステップNDフィルタを作製することが可能となる。
まず、材質厚75μmのポリエチレンテレフタレート(以下PETと記す)基材上に、真空蒸着法により膜を成膜する。
基材の材質は耐熱性(ガラス転移点Tg)が高く、可視域の波長域で透明性が高く、また吸水率が低い、PETを選択した。
成膜法として、膜厚を比較的容易に制御でき、かつ可視域の波長域で散乱が非常に小さいことから真空蒸着法を選択した。
本実施例ではこのD=0.5の膜を2重、3重に重ねていき、1枚のシートにD=0.5・1.0・1.5の3濃度分布を持ったステップNDフィルタを作製した。
その際、図3に示すようにプラスチック基板の1面側に、積層面積が最も大きいものをまず積層する。
ついで、前記プラスチック基板の2面側に積層面積の小さいものを積層するに当たり、面積の大きい方から小さい方の順に重ねて2濃度のものを形成した。
この2面側の2濃度が重なっている部分に、実際にはクラックが発生しやすい傾向がある。
(1)第1層Al2O3の成膜膜厚を5nm〜90nmにする。実際好ましいのは、膜厚10nm〜60nmであり、その範囲未満であると膜厚制御が困難であり、以上であると膜厚が厚くなりクラックが生じてしまう。そのため極力膜厚を薄くした方がクラックの発生率は低くなる。
そこで、透過率、反射率の分光特性に影響を受けることの無い第1層Al2O3を薄くした。
図15は、第1層の膜厚を振った時のクラック率の関係を表わしたものである。この結果からも分かる様に、第1層膜を薄くするだけでもクラック率を低下させることができる。
この相乗効果として、クロスカット試験(蒸着した膜に縦横1〜2mm間隔の切り込みを入れニチバンテープにより剥離)により膜の密着性も向上するという結果が得られた。
(2)最も面積の大きい膜の成膜時には、図2(b)に示すような分断マスク201を用いて成膜し図1(a)に示すような3濃度ステップNDフィルタを形成する。
これによると、全面マスクで全面に成膜した図1(b)に示す3濃度ステップNDフィルタの場合と比べ、全体のプラスチック基板のソリも抑えることができ、応力が分散し低応力のものが得られる。
(3)面積の小さい2面側の2濃度を重ねる部分は、最表層がMgF2であると密着性が下がるため、密着面にはAl2O3を用いる。
なお、片側面に3層重ねる方法も考えられるが、極力重なる部分は少なくした方が良いと考えられる。
図7において、左側の(a)に示すものはクラック対策を施さない時のクラック率、中央の(b)に示すものは分断マスク201を用いた時のクラック率、右側の(c)に示すものは面積の大きい順に成膜した時のクラック率を表わしている。
また、図7に示された結果から、図6(a)のように面積の小さい2面側から切り抜く場合に比して、図6(b)のように面積の大きい1面側から切り抜くとクラック率が遥かに低くなることが分かる。
例として、最初に1面側を成膜し1面側から切り抜く場合、切断前後の形状は凸⇒凸と変わらないが、2面側から切り抜く場合、切断前後で凹⇒凸に形状が逆転する為、クラック率が高くなると考えられる。
D=0.5膜(図9・図10)においては、透過率も可視光線域でフラットになっており、反射率も3%未満であり低反射に抑えられている。
D=1.0膜(図11・図12)においては、もう1層D=0.5を積層する為、最表層が反射率を抑えるMgF2ではなく、Al2O3となっているが、同様に透過率はフラット、反射率も低く抑えられた。
D=1.5膜(図13・図14)においても、透過率・反射率共に上記と同様な結果を得た。
なお、NDフィルタの透過率をフラットにすることは、近年のCCDの高感度化や小型化等の高画質化への対応として必要不可欠なことである。
501:蒸着傘
502:基板
503:蒸着源
504:基材
505:基板治具
806A,806B,806C,
806D:撮影光学系6を構成するレンズ
807:固体撮像素子
808:ローパスフィルタ
8011:NDフィルタ
812,813:絞り羽根
814:絞り羽根支持板
Claims (3)
- 基板と、該基板上に積層された少なくとも2種類以上の層からなる膜とを有し、該膜を前記基板の両面に積層することで段階的な複数の濃度分布を形成したNDフィルタであって、
前記基板の一方の面に単濃度の膜を有すると共に、他方の面に積層した複数の単濃度の膜を有し、前記他方の面に積層された複数の膜は、面積の大きい方から小さい方の順に積層されており、
前記膜は、前記基板に面する第1層目の膜が誘電体膜で形成され、その機械膜厚が5nm〜90nmであることを特徴とするNDフィルタ。 - 相対的に駆動されて絞り開口の大きさが変わる複数の絞り羽根と、該絞り羽根により形成された開口内の少なくとも一部に配置されるNDフィルタとを備えた絞り装置において、
前記NDフィルタが、請求項1に記載のNDフィルタであることを特徴とする絞り装置。 - 光学系と、該光学系を通過する光量を制限する請求項2に記載の絞り装置と、該光学系によって形成される像を受ける固体撮像素子とを有することを特徴とするカメラ。
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