JP2018180430A - 光学フィルタ - Google Patents

光学フィルタ Download PDF

Info

Publication number
JP2018180430A
JP2018180430A JP2017083480A JP2017083480A JP2018180430A JP 2018180430 A JP2018180430 A JP 2018180430A JP 2017083480 A JP2017083480 A JP 2017083480A JP 2017083480 A JP2017083480 A JP 2017083480A JP 2018180430 A JP2018180430 A JP 2018180430A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
region
transmission
light
film
wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017083480A
Other languages
English (en)
Inventor
内山 真志
Shinji Uchiyama
真志 内山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Electronics Inc
Original Assignee
Canon Electronics Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Electronics Inc filed Critical Canon Electronics Inc
Priority to JP2017083480A priority Critical patent/JP2018180430A/ja
Publication of JP2018180430A publication Critical patent/JP2018180430A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】光学特性の再現性を高めた光学フィルタを提供する。【解決手段】可視波長を含む所定の波長領域の光を透過する第1の透過領域と、近赤外波長を含む所定の波長領域の光を吸収する第1の透過阻止領域と、前記第1の透過領域から前記第1の透過阻止領域に亘り光の透過が連続的に変化する透過遷移領域と、を有する基板上に、可視波長を含む所定の波長領域の光を透過する第2の透過領域と、近赤外波長を含む所定の波長領域の光の透過を制限する第2の透過阻止領域を有した、1つ以上の薄膜積層構造体により構成された機能膜と、可視波長を含む所定の波長領域の光の透過を制限する第3の透過阻止領域を有した他の機能膜を、前記第2の透過領域内、及び前記第3の透過阻止領域内に、前記遷移領域において透過率が50%となる赤外半値波長が含まれるように構成する。【選択図】図4

Description

本発明は、光が通過する光路において光量を調整するための光学フィルタに関し、具体的には、所定の波長領域の透過を制限する、デジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラなど、固体撮像素子を使用する撮像装置等で使用される光学フィルタに関するものであって、特に、主に可視波長の光の透過を制限するND(Neutral Density)膜と、近赤外波長の光の透過を制限するIR(Infrared)カット膜とを、所定の近赤外領域の光を吸収する基板上に、一体的に構成した光学フィルタに関する。
ビデオカメラなどの撮像装置に使用される固体撮像素子は、人間の目の感度特性に対応させるために、分光透過率など光学特性を調節するフィルタと組み合わせて使用されることが多い。具体的には、紫外線カットフィルタ(UVカットフィルタ)や近赤外線カットフィルタ(IRカットフィルタ)、若しくはこれらを一枚のフィルタで実現した、UVIRカットフィルタなどがある。これらの光学フィルタは所望の波長領域の透過を制限するために、制限領域に吸収を持つ材料をフィルタの基材内に含有させたり、または基材上に塗布したりする吸収タイプと、基材上に屈折率の異なる2種類以上の薄膜を積層し、薄膜の干渉を利用し反射させる反射タイプとに大別される。さらには、反射タイプと吸収タイプ両方の構成要素を形成したハイブリッドタイプなども広く提案されている。
また、他の光学フィルタとして、光量絞り装置などに配置されるNDフィルタが広く知られている。光量絞りは銀塩フィルム、或いはCCDやCMOSセンサと言った固体撮像素子への入射光量を制御するために設けられているものであり、被写界が明るくなるにつれ、より小さく絞り込まれていく構造になっている。したがって、快晴時や高輝度の被写界を撮影する際、絞りはいわゆる小絞り状態となり、光の回折現象などの影響を受け易いことから、像性能に劣化を生じさせる場合がある。これに対する対策として、絞りの近傍に前述のNDフィルタを配置することで光量の制御を行い、被写界の明るさが同一であっても、絞りの開口をより大きくできる様な工夫をしている。近年では撮像素子の感度が向上するに従い、NDフィルタの濃度を濃くして、光の透過率をさらに低下させ、高感度の撮像素子を使用した場合であっても、絞りの開口が小さくなり過ぎないようにする改善がなされてきた。
このようなIRカットフィルタとNDフィルタのそれぞれの機能を合わせ、IRカット膜とND膜を1つの基板上に一体的に構成したNDIRフィルタが、特許文献1などに開示されている。
また、特許文献2、3にはIRカットフィルタなどの光学フィルタにおける光学特性の再現性を高める方法が提案されている。
特開2013−156619号公報 特開2013−109004号公報 特開2012−036479号公報
一般的に、IRカットフィルタやUVIRカットフィルタでは、可視波長領域の透過領域から近赤外波長領域の透過阻止帯に向かい、透過が連続的に減衰する可視・近赤外波長遷移領域における、透過率50%の波長をIR半値波長と定義している。このIR半値波長は、IRカットフィルタの光学的な機能の良否を判断するための1つの基準値となっている。このようなIRカット膜やUVIRカット膜は成膜プロセスにおける様々な不安定要因から、例えば前記の半値波長などにおいても常に同じ値を得ることなどは大変難しく、可視・近赤外波長遷移領域における光学特性の再現性を少しでも高めることが強く望まれている。
NDIRフィルタの場合、IRカット膜に加え、透過光量を減衰するND膜も一体的に構成されるために、NDIRフィルタ総体としては先のIR半値波長を透過率50%の波長と定義することは難しいものの、IRカットフィルタなどと同様に、可視・近赤外波長遷移領域における光学特性の再現性を高めることが、強く求められている。この課題に対して、特許文献2では真空蒸着の成膜プロセス中にイオンアシストを付与することで薄膜の膜密度を向上させる再現性を高める方法が、特許文献3では真空成膜プロセスにおける膜厚制御精度を改善することで再現性を高める方法がそれぞれ開示されている。
しかし、従来の光学フィルタでは、基板上に形成する膜の特性によって光学特性を調整していたため、フィルタ総体として所望の光学特性を得ることが難しかった。
本発明は、より簡単に、所望の光学特性が得られる光学フィルタを提供するものである。
本発明の光学フィルタは、可視波長を含む所定の波長領域の光を透過する第1の透過領域と、近赤外波長を含む所定の波長領域の光を吸収する第1の透過阻止領域と、前記第1の透過領域から前記第1の透過阻止領域に亘り光の透過が連続的に変化する透過遷移領域と、を有する基板上に、可視波長を含む所定の波長領域の光を透過する第2の透過領域と、近赤外波長を含む所定の波長領域の光の透過を制限する第2の透過阻止領域を有した、1つ以上の薄膜積層構造体により構成された機能膜と、可視波長を含む所定の波長領域の光の透過を制限する第3の透過阻止領域を有した他の機能膜と、を備え、前記第2の透過領域内、及び前記第3の透過阻止領域内に、前記遷移領域において半値波長(透過率が50%となる波長)が含まれたことを特徴とする。
本発明によれば、より簡単に、所望の光学特性が得られる光学フィルタを実現することができる。
また、具体的には詳述するが、近赤外波長の光の透過を制限する機能を持つIRカット膜と、可視波長の光の透過を制限する機能を持つND膜とを、可視波長領域から近赤外波長領域に亘り所定の波長領域に吸収を持つ吸収基板上に一体的に構成したNDIRフィルタにおいて、可視波長領域の透過領域から近赤外波長領域の透過阻止帯に向かい、透過が連続的に減衰する可視・近赤外波長遷移領域では、IRカット膜は透過領域を形成し、ND膜は可視波長領域を中心とする所定の波長領域全域の透過を略一定値に制限する透過制限領域を形成するように構成することで、可視・近赤外波長遷移領域におけるNDIRフィルタの光学特性は吸収基板の光学特性が支配的となり決定されることから、IRカット膜とND膜の成膜時に発生する成膜誤差によるNDIRフィルタへの光学特性への影響を大幅に低減することができ、NDIRフィルタとしての光学特性の再現性を著しく高めることが可能となる。
さらには、このような本発明の光学フィルタをビデオカメラ等の撮影装置に使用することにより、高精度化が可能となる撮像装置を提供することができる。
薄膜積層構造体の説明図。 実施例に用いられた近赤外波長吸収基板の分光特性図。 実施例1のNDIRフィルタの構成図。 実施例1のNDIRフィルタ及び各条件の分光特性の設計値図。 実施例2のNDIRフィルタの構成図。 実施例2、3のNDIRフィルタの分光特性の設計値図。 実施例3のNDIRフィルタの構成図。 実施例3の微細構造体の説明図。 実施例5の光量絞り装置の構成図。 実施例6の撮像装置の構成図。
本実施例の光学フィルタは、近赤外光領域及び紫外光領域における所定の波長領域の光の透過を制限し、可視光領域の所定の波長領域の光を透過するUVIRカットフィルタ、或いは近赤外光領域における所定の光の透過を制限し、可視光領域の所定の波長領域の光を透過するIRカットフィルタと、光量調整用途などに用いられる主に可視領域の所定の波長領域の光の透過を制限するNDフィルタとを、同一基板上に構成したNDIRフィルタである。
本実施例におけるNDIRフィルタの基板としては、少なくとも可視領域の一部から近赤外領域に亘り所定の波長領域の光を吸収する、近赤外波長吸収基板を用いる。このような近赤外波長吸収基板は、例えば、ガラスタイプや樹脂タイプ、さらには有機無機のハイブリッドタイプでも良く、光学フィルタの基板としての必要とされる強度や光学特性を有する、基体として機能可能であるものが利用される。
NDIRフィルタの機能を発現するために基板上に形成されるIRカット膜やUVIRカット膜、ND膜、反射防止膜などの機能膜は基板上に1層以上の薄膜を積層することにより作製され、これらの薄膜は物理的、若しくは化学的成膜方法で形成しても良いし、スピンコートなどの塗装法で形成することができる。
なお、これらの成膜方法の中で、再現性や膜の耐環境性などの観点からは、スパッタ法や、何らかのアシストを付加した成膜方法など、比較的高エネルギーで膜を形成できるプロセスが好ましい。より具体的にはスパッタ法、IAD法、イオンプレーティング法、IBS法、クラスター蒸着法などが適用可能であり、膜厚を比較的正確に制御でき、再現性の高い膜を得ることができる成膜方法であればよく、機能膜に求められる光学特性や生産性等を考慮し、最適な方法を選択すれば良い。
基板上に設けられた機能膜の最表層には反射低減効果を持つ反射防止構造体が形成される。この反射防止構造体は、1層または複数層の薄膜で構成される反射防止膜でも良いし、構造体形状を擬似的に屈折率の変化が連続的となる形状とすることで物質間の屈折率差に起因した反射の低減を図った微細構造体などでもよく、さらには反射防止膜と微細構造体の複合体であっても良い。
このような微細構造体は、可視光の波長よりも短いピッチで配列された凹凸形状を有したものである。このような構造体の1種として、ランダムに形成された針状体、及び柱状体等の突起、階段形状に微細に形成された凹凸構造などが含まれても良く、公知の微細構造から目的に応じて任意に選択したものを用いることができる。これらの微細構造体であれば、熱ナノインプリント法や光ナノインプリント法などの方法を用いることで再現性良く、さらには生産性高く作製することが可能である。
また、反射低減効果を有する微細構造体を形成する場合は、光学フィルタ総体としての反射を低減するために、微細構造体と機能膜、または微細構造体と基板など、微細構造体に隣接する物質との界面での反射を低減することが望ましく、界面を形成する2つの物質間の屈折率差はできるだけ小さくすることが好ましい。
さらには、前述したような光の干渉効果を利用した薄膜を積層したタイプの機能膜上に微細構造体を形成する場合は、機能膜の積層構成は、機能膜の最表層と微細構造体との界面での反射を無視した、それ以外の界面からの光干渉により総体的に形成される反射を可能な限り小さくする構成が好ましい。これは以下の理由からである。
まず、機能膜の最表層と微細構造体との屈折率差を小さくすることで、この界面での反射を可能な限り低減し、微細構造体の反射低減効果を利用することで、媒質(空気)から機能膜最表層までの反射を理想的に低減する。
次に、機能膜における基板側に向かう最表層以降では、最表層と微細構造体との界面以外の界面の光干渉効果により反射を低減する。そして、これら2つの反射低減構成を組合せることにより、光学フィルタ総体としての反射を低減させる。
このようなタイプの光学フィルタにおいて、全ての界面の中で、最表層と、空気などの最表層との屈折率差が大きい入射媒質との界面での反射が、光学フィルタとしての反射に与える影響が最も大きく、この部分の反射を十分に低減し、さらに他の全ての界面の反射を相殺させる構成とすることで、光干渉効果により形成される反射を低減すれば、光学フィルタとしての総体的な反射をより小さくできる。
また、微細構造の形状変化を利用した屈折率変化に加え、微細構造を形成する物質そのものの内部の屈折率を分布させることもでき、両方の変化を合わせることで、より複雑な屈折率分布を得ることも可能である。
UVIRカット膜やIRカット膜は比較的膜密度が高く、さらには積層する膜数が多いことから膜厚が厚くなるため、膜応力に起因した反りの問題を引き起こし易い。そこで、これを低減することが好ましいが、基板の両面に同じ材料、同じ膜厚・膜質で積層した場合が最も膜応力を低減できる。
この場合、積層薄膜の構成設計が困難となり、基板の片面に設計した場合と同じ積層数となるように膜設計を行った場合に、光学特性を大きく犠牲にする可能性が高い。また、光学特性と膜応力の緩和を同時に満足するためには積層数が増えることとなり、光学フィルタの製作の工数アップの要因となる。そこで、或る阻止波長領域を有する薄膜積層構造体を基板の両面に分割することが最適であり、可能な限り基板両面で略同じ膜厚となるように配置することで、過剰に積層数を増やすことなく、また光学特性を犠牲とすることなく、フィルタの反りを緩和することができる。
ここで、UVIRカットフィルタを例に挙げ、この薄膜積層構造体について説明する。図1に示した例のような分光透過特性を持つUVIRカットフィルタを、或る所定の阻止波長領域を有する複数の薄膜積層構造体により形成する場合、例えば、可視波長から紫外波長にかけての所望する波長域に第1の阻止領域1、可視波長から近赤外波長にかけての所望する波長域に第2の阻止領域2、第2の阻止領域2から更に近赤外波長にかけての所望の波長域に第3の阻止領域3を持つ、3つの阻止領域により構成される。
ここで、異なる阻止領域を構成する3つの薄膜積層構造体は、それぞれ異なる中心波長を持ち、これをλとした場合、高屈折率材料と低屈折率材料とを、それぞれ交互にλ/4ずつ積層した構成などを基本とし、所望の光学特性を得るために各層の膜厚に概ね0.7〜1.3倍程度の微調を加え積層する。
また、ここで、このような膜厚を表記する方法としてλ/4を1つの単位とし、例えば、2.0×λ/4 の膜厚の場合は2.0qwと表現する方法がある。これより、先の3つの薄膜積層構造体における中心波長を1つの基準波長λに置き換えれば、このλを共通に用いてそれぞれの薄膜積層構造体の膜厚を表現することができる。さらには、このような構成フィルタの場合、各薄膜積層構造体の最表層には反射低減を目的とした反射防止構造体が形成される。
このような光学フィルタは構成上、例えば、図1で示した第1〜第3の阻止領域などの透過阻止領域だけでなく、第1の阻止領域1と第2の阻止領域2に挟持された可視波長領域の一部に透過領域4を備えている。この透過領域においては、理想的には全域で100%を透過することが望ましいが、実際にはこれを完璧に満足することは大変困難であり、透過領域の全波長域で可能な限り100%に近い透過率となるように調整される。
ここで、このように調整された透過波長領域における透過率は、波長が連続的に変化するにつれ、少なからず波打つように変化しており、これは透過領域のリップル(透過リップル)などと呼ばれている。この透過リップルが大きくなると、波長毎での透過バランスが崩れることになり、例えばカラーバランスが崩れ画像が劣化するなどの不具合が生じる虞があるため、リップルは可能な限り小さい方が望ましい。
そこで、この透過領域でのリップルの低減するために、基板と薄膜積層構造体との間にリップルを低減するための透過リップル調整層を挿入した。透過リップル調整層の挿入位置が、薄膜積層構造体と反射防止構造体との間だと、表層に配置された反射防止構造体への影響が大きくなるため、透過領域の反射の最小化、つまり透過領域の透過の最大化と、リップル低減とを同時に満足することが難しくなってしまう。
また、薄膜積層構造体の中心層付近の場合、薄膜積層構造体を分割してしまうような配置となり、薄膜積層構造体への影響が大きくなり、結果薄膜積層構造体による阻止域での反射の最大化を阻害してしまい、これと同時にリップルを低減することが難しくなってしまう。以上の理由から、透過リップル調整層は、基板と薄膜積層構造体との間に配置し、透過領域の透過の最大化と、阻止域の透過の最小化を優先し、次に透過リップルの低減を優先するコンセプトで最適化された。
また、このような透過リップル調整層は薄膜積層構造体を形成する複数の薄膜や反射防止構造体と比較し、膜厚が非常に薄い特徴を有している。より具体的に示すと、先の阻止領域を構成する薄膜積層構造体の場合、概ね1.5〜2.5qw(λ:500nm)、反射防止構造体は1.0qw(λ:500nm)前後であるのに対し、透過リップル調整層は概ね0.1以下から0.4qw(λ:500nm)の膜厚となる。
このように本構成のような光学フィルタでは、前述の透過リップル調整層が全ての層の中で最も薄い層となる。また、この透過リップル調整層は2層以上あっても良いが、その場合も、全ての透過リップル調整層は薄膜積層構造体や反射防止構造体を形成する層よりも薄くなる。
さらには、以上のような本発明の光学フィルタをビデオカメラ等の撮影装置に使用することにより、高精度化が可能となる撮像装置とすることができる。
以下、本発明の光学フィルタについて実施例に基づき具体的に説明する。
(実施例1)
多層薄膜により構成されたUVIRカット膜とND膜とを、1枚の近赤外波長吸収基板の両面上に形成し、図4に示した分光透過特性を設計値とするNDIRフィルタを作製した実施例について、以下に詳しく記載する。
図4において、実線は、近赤外波長吸収ガラスにUVIRカット膜を設けた場合の分光特性の設計値。「○」は、近赤外波長吸収物質を入れない白板ガラスにUVIRカット膜を設けた場合の分光特性の設計値。「長鎖線」は、近赤外波長吸収ガラスのみの分光特性の設計値。「一点長線」は、近赤外波長吸収ガラスに本実施例1のND膜とUVIRカット膜を設けた場合の分光特性の設計値。「長二鎖線」は、白板ガラスにND0.9相当の薄膜を設けた場合の分光特性の設計値である。
本実施例1のNDIRフィルタの基板には図2に示すように約700〜1200nmの波長領域を透過阻止領域、約380〜550nmの波長領域を透過領域、透過領域から阻止領域へ透過が遷移する約550〜700nmの波長領域を遷移領域とする分光特性を有した厚さ0.4mmの近赤外波長吸収ガラスを使用した。なお、本実施例1の基板は、図4に示すように、分光特性として近赤外波長側の光吸収特性だけでなく、紫外波長側の光吸収特性についても有しているが、近赤外波長側の光吸収特性だけを有するようにしてもよいし、紫外波長側の光吸収特性だけを有するようにしてもよい。
そして、図3に示すように、この基板10の片面側に第1の薄膜積層構造体11と第2の薄膜積層構造体12、及び第1のND膜16を形成し、基板10のもう一方の面に、第3の薄膜積層構造体13と第2のND膜17を構成し、さらには各面の最表層に1層の薄膜で構成された反射防止構造体18、19を配置した。
本実施例1のUVIRカット膜は、可視波長から紫外波長にかけての約300〜400nmの波長領域に第1の阻止領域を有しており、更に可視波長領域から近赤外波長領域にかけての約700〜900nmの波長領域に第2の阻止領域を、約900〜1200nmの波長領域に第3の阻止領域を有した、3つの阻止領域により構成されている。
また、第1と第2の阻止領域に挟まれた可視波長領域の一部である約425〜640nmの波長領域が透過領域となっており、透過領域は可能な限り高い透過と、低い透過リップルとなるように構成されている。これらのUVIRカット膜を前述の近赤外波長吸収ガラス上に形成した光学特性、すなわち、本実施例1の光学フィルタは、図4に示すように、基板となる吸収ガラスの特性(光吸収特性)が加わり、約300〜400nmの波長領域と約700〜1200nmの波長領域が透過阻止領域となっており、約450〜550nmの波長領域を透過領域としている。
さらに、可視波長域の透過領域から近赤外波長領域の阻止領域へ透過が遷移する可視―近赤外波長遷移領域における透過率50%の波長をIR半値波長と定義し、この値を625nmとした。このように、このIR半値波長において前述したUVIRカット膜は透過領域を形成しており、成膜誤差により例えば光学特性が10nm長波長側へシフトとしたとしても、UVIRカット膜はIR半値波長において100%に近い透過率を有する透過領域を維持できるように構成されている。
さらにはこの場合、UVIRカット膜総体としてだけでなく、基板上の片面に配置された第1と第2の2つの薄膜積層構造体により形成される機能膜の透過特性と、基板上のもう一方の面に配置された第3の薄膜積層構造体が形成する機能膜の透過特性は、それぞれがIR半値波長において前述のような透過領域を形成している。
以上のような構成設計とすることにより、UVIRカット膜形成時の成膜誤差によりUVIRカット膜の光学特性が変化したとしても、近赤外波長吸収ガラス基板を含んで形成されるIR半値波長に与える影響は極めて小さいため、殆ど変化せず、高い再現性を得ることが可能となっている。
また、仮に透過領域を超過し光学特性がシフトしてしまうことがあったとしても、少なくても透過領域分は同様の低減効果が得ることができ、さらには透過領域から阻止領域に向かう遷移領域の初期領域も透過領域に比べ透過率は低くなるものの高透過領域であることから、少なからず低減効果を得ることができるため、本実施例のような構成であれば、光学特性の変化量を大きく低減することが可能である。
またこれと同様に、所定の近赤外波長吸収基板を選択することによって、近紫外波長領域の阻止領域から可視波長域の透過領域へ透過が遷移する近紫外―可視波長遷移領域における透過率50%の波長と定義されるUV半値波長においても同様の効果を得ることが可能である。
つまりは、UV半値波長領域においても、成膜誤差により例えば分光透過特性が短波長側へシフトとしたとしても、UVIRカット膜は100%に近い透過率を有する透過領域を維持するように構成することにより、UV半値波長においても光学特性は殆ど変化せず、フィルタ総体として高い再現性を得ることが可能である。さらには、これらUV半値波長とIR半値波長の2つの基準波長で同時に高い再現性を得ることも可能である。
このようなUVIRカット膜を形成するために、最初にUVIRカット機能を発現する第1の薄膜積層構造体111と第2の薄膜積層構造体112を基板10上にIAD法により成膜した後、基板の表裏を変え、基板のもう一方の面に第3の薄膜積層構造体113を同様にIAD法により成膜した。
このような蒸着膜を形成する蒸着材料には、高屈折率材料にはTiOを、低屈折率材料にはSiOを使用し、図3で示すようなTiO2とSiOの交互層を基板両面にそれぞれ26層/16層積層する構成とした。
本実施例1では比較的剛性の低い薄板ガラス基板を用いたことから、特に膜応力が高くなるUVIRカット膜による反りやうねりを低減する目的で、UVIRカット膜を構成する積層膜が両面で略同じ膜厚となるように26層膜は物理膜厚で約1950nm、16層膜は約1930nmとした。
また、各面それぞれの基板直上の1層を、透過リップルを低減するための第1の透過リップル調整層121、及び第2の透過リップル調整層122とした。さらに、UVIRカット膜とND膜との干渉条件を調整し、総体としての光学特性を調整することを目的とした第1の光学特性調整層151を第2の薄膜積層構造体112上に、第2の光学特性調整層152を第3の薄膜積層構造体113上にそれぞれ形成している。これら2つの光学特性調整層は、それぞれSiO層とTiO層の2層構成とした。
ここで、光学特性調整層として基板両面に配置した2つのSiO層は基板側の隣接層のSiO層と同じ成膜プロセスで形成されており、機能膜として役割を分担させ構成設計した経緯から、図3においては分割して配置した構成図としたが、そのまま2度に分割して成膜しても良いし、2層分を合わせて一度に成膜形成しても良い。本実施例1では後者を選択した。
また、通常は基板上の最上部に配置される薄膜積層構造体の最表層は反射防止効果を必要とすることから1.0qw(λ:500nm)前後の膜厚となるが、このように光学特性調整層と薄膜積層構造体最表層の膜材料が同じ2つの膜を1層とした場合、膜厚はこの値から大きく増加する。また、光学特性調整層と薄膜積層構造体最表層の膜材料を変えることも可能である。
この他に、高屈折率材料としてはNbやZrO、Taなどが使用でき、低屈折率材用としてはMgFなどが使用可能である。また、設計上や成膜上の理由から中間屈折率材料であるAlなどを一部の層で使用することも可能であり、その時々で最適な材料の組合せを選択すれば良い。
次に、第1の光学特性調整層151上に、誘電体層であるAlと光吸収層であるTiO(xは約1.0〜2.0)を交互に積層した8層の薄膜で構成された第1のND膜131を、特にアシストを付加しない通常のEB蒸着法により形成した後、最表層には1層のMgF膜で構成された反射防止膜となる反射防止構造体141を形成した。
その後、基板の表裏を反転させ、基板上のもう一方の面上に形成した第2の光学特性調整層152上に、通常のEB蒸着法により誘電体層であるAlと光吸収層であるTiOを交互に積層した8層の薄膜で構成された第2のND膜132を作製し、最表層に1層のMgF膜で構成された反射防止膜となる反射防止構造体142を形成した。
このような反射防止構造体141、142はIAD法により作製された1層のSiO膜などであっても良い。第1のND膜131及び第2のND膜132のND濃度はそれぞれ約0.5であり、フィルタ総体として約1.0の濃度となるように形成した。
第1のND膜131、第2のND膜132を構成する薄膜材料として、SiOやAlなどの誘電体層やこれらの酸価を変えたもの、Ti、Nb、Ta、Zr、Ni、Cr、W、Mo、Au、Ag、Cu、Mg、Alなどの金属単体、またはこれらの合金や金属化合物や、これらを混合させた層などを適宜選択することが可能である。
最表層の反射防止膜を含み設計された、基板両面に配置されたND膜131はIR半値波長の625nmを含む、400〜700nmの可視波長領域全域の透過を減衰し、略均一な透過特性を有する光学特性となっている。
従って、成膜誤差により長波長側、または短波長側に例えば10nm程度ND膜の分光透過特性がシフトしたとしても、IR半値波長に与える影響は極めて小さく、近赤外波長吸収ガラス基板の特性を合わせ形成されるNDIRフィルタとしてのNDIR半値波長にも殆ど影響を与えない。これにより、NDIRフィルタ総体として光学特性における高い再現性を得ることが可能となっている。
また、前述のように所定の近赤外吸収基板を選択し、適当なUVIRカット膜を構成することで、同様にNDIR半値波長に加え、NDIRフィルタとしてのNDUV半値波長においても高い再現性を得ることも可能である。
ここで、再現性を評価する基準値として、可視波長の透過領域から近赤外波長の阻止領域へ遷移する可視―近赤外波長遷移領域における、透過領域の透過率の平均値を100とした場合に透過が50となる波長をNDIR半値波長と定義した。また同様に、近紫外波長の透過阻止領域から可視波長の透過領域へ遷移する近紫外―可視波長遷移領域における、透過領域の透過率の平均値を100とした場合に透過が50となる波長をNDUV半値波長と定義した。
以上のように作製された、NDIRフィルタの分光透過特性は図4で示す設計値と略同じ値を得ることができた。また、作製された複数のサンプルについて、光学特性の再現性について評価を行った。これらの評価サンプルは、同じタイミングで成膜された同一バッチのサンプルだけではなく、異なる10バッチで成膜したサンプルを各バッチで10枚ずつ取り出した合計100サンプルとした。
ここで、再現性を評価するためにNDIR半値波長を比較した。結果、100サンプルのNDIR半値波長は約623.5〜625.5nmとなり、全サンプルでのNDIR半値波長が約2nmの波長領域内に収まり、非常に高い再現性を得ることができた。
また、本実施例では、UVIRカット膜を基板両面に形成した後に、改めて基板両面にND膜を形成したが、以下の方法で作製することも可能である。まず、基板の片面側にUVIRカット膜を構成する1層以上の薄膜積層構造体をIAD法により形成した後、この上に連続して通常のEB蒸着法によりND膜、及び反射防止膜を形成する。
次に、基板の表裏を変え、もう一方の面にUVIRカット膜を構成する別の薄膜積層構造体をIAD法で形成した後、連続してEB蒸着法によりND膜、及び反射防止膜を形成する。このような作製プロセスによっても、同様のNDIRフィルタを得ることができ、反射防止膜をIAD法により形成することも可能である。
(実施例2)
多層薄膜により構成されたIRカット膜とND膜を、1枚の近赤外波長吸収基板の片面上に形成し、さらにND膜上と、基板のもう一方の面に、多層薄膜で構成された反射防止膜を形成し図6に示した分光透過特性を設計値とするNDIRフィルタを作製した実施例について、以下に詳しく記載する。
本実施例2のNDIRフィルタの基板には図2に示すように約700〜1200nmの波長領域を透過阻止領域、約400〜550nmの波長領域を透過領域、透過領域から阻止領域へ透過が遷移する約550〜700nmの波長領域を遷移領域とする分光特性を有した厚さ0.4mmの近赤外波長吸収ガラスを使用した。
そして、図5に示すように、この基板20の片面側に第1の薄膜積層構造体211と第2の薄膜積層構造体212、及びND膜23を形成し、さらにND膜23上に4層の薄膜を積層し構成された多層反射防止膜である第1の反射防止構造体241を、基板20のもう一方の面には8層の薄膜を積層し構成された第2の反射防止構造体242をそれぞれ配置した。
本実施例2のIRカット膜は、可視波長領域から近赤外波長領域にかけての約700〜900nmの波長領域に第1の阻止領域を有し、さらには約900〜1200nmの波長領域に第2の阻止領域を有した、2つの阻止領域により構成されている。また、可視波長領域の一部である約400〜640nmの波長領域が透過領域となっており、透過領域は可能な限り高い透過と、低い透過リップルとなるように構成されている。
これらのIRカット膜を前述の近赤外波長吸収ガラス上に形成した光学特性は、基板となる吸収ガラスの特性が加わり、約700〜1200nmの波長領域が透過阻止領域となっており、約400〜550nmの波長領域を透過領域としている。また、IR半値波長は625nmとした。
このように、このIR半値波長において前述したIRカット膜は100%に近い透過率を有する透過領域を形成しており、成膜誤差により例えば光学特性が10nm長波長側へシフトとしたとしても、IRカット膜はIR半値波長において透過領域を維持できるように構成されている。
このような構成設計とすることにより、IRカット膜形成時の成膜誤差によりIRカット膜の光学特性が変化したとしても、近赤外波長吸収ガラス基板を含んで形成されるIR半値波長は殆ど変化せず、高い再現性を得ることが可能となっている。
また、仮に透過領域を超過し光学特性がシフトしてしまうことがあったとしても、少なくとも透過領域分は同様の低減効果が得ることができ、さらには透過領域から阻止領域に向かう遷移領域の初期領域も透過領域に比べ透過率は低くなるものの高透過領域であることから、少なからず低減効果を得ることができるため、本実施例のような構成であれば、光学特性の変化量を大きく低減することが可能である。
以上のIRカット膜を形成するために、最初に第1薄膜積層構造体211第2の薄膜積層構造体212を基板20上にIAD法により成膜した。このような蒸着膜を形成する蒸着材料には、高屈折率材料にはTiOを、低屈折率材料にはSiOを使用し、図5で示すようなTiOとSiOの交互層を40層積層する構成とした。
また、基板直上の1層を、透過リップルを低減するための透過リップル調整層22とした。さらに、IRカット膜とND膜との干渉条件を調整し、総体としての光学特性を調整することを目的とした光学特性調整層25を第2の薄膜積層構造体212上に形成している。この光学特性調整層はSiO層とTiO層の2層構成とした。
ここで、光学特性調整層として基板上に配置したSiO層は基板側の隣接層のSiO層と同じ成膜プロセスで形成されており、機能膜として役割を分担させ構成設計した経緯から、図5においては分割して配置した構成図としたが、そのまま2度に分割して成膜しても良いし、2層分を合わせて一度に成膜形成しても良い。本実施例2では後者を選択した。
次に、光学特性調整層25上に、誘電体層であるAlと光吸収層であるTiO(xは約1.0〜2.0)を交互に積層した8層の薄膜で構成されたND膜23を、特にアシストを付加しない通常のEB蒸着法により形成した後、ND膜23上にTiOとSiOの4層の交互層で構成された多層反射防止膜である反射防止構造体241をIAD法により形成した。その後、基板の表裏を反転させ、基板上のもう一方の面上にTiOとSiOの8層の交互層で構成された多層反射防止膜である反射防止構造体242をIAD法により形成した。ND膜23のND濃度は約1.0となるように形成した。
最表層に配置された多層反射防止膜である反射防止構造体241を含み設計されたND膜23は、IR半値波長の625nmを含む、400〜700nmの可視波長領域全域の透過を減衰し、略均一な透過特性を有する光学特性となっている。
従って、成膜誤差により長波長側、または短波長側に例えば10nm程度分光透過特性がシフトしたとしても、IR半値波長に与える影響は極めて小さく、近赤外波長吸収ガラス基板を含んで形成されるNDIRフィルタとしてのNDIR半値波長にも殆ど影響を与えない。これにより、NDIRフィルタ総体として光学特性における高い再現性を得ることが可能である。
以上のように作製された、NDIRフィルタの分光透過特性は図6で示す設計値と略同じ特性を得ることができた。また、作製された複数のサンプルについて、光学特性の再現性について評価を行った。これらの評価サンプルは、同じタイミングで成膜された同一バッチのサンプルだけではなく、異なる10バッチで成膜したサンプルを各バッチで10枚ずつ取り出した合計100サンプルとした。
ここで、再現性を評価するためにNDIR半値波長を比較した。結果、100サンプルのNDIR半値波長は約624.0〜626.0nmとなり、全サンプルでのNDIR半値波長が約2nmの波長領域内に収まり、非常に高い再現性を得ることができた。
(実施例3)
実施例2で作製された、ND膜の最表層に配置された多層膜で構成された反射防止膜に代わり、反射低減効果を有する微細構造体を形成し、図6に示した分光透過特性を設計値とするNDIRフィルタを作製した実施例について、以下に詳細を記載する。
本実施例3のNDIRフィルタの基板には図2に約700〜1200nmの波長領域を透過阻止領域、約400〜550nmの波長領域を透過領域、透過領域から阻止領域へ透過が遷移する約550〜700nmの波長領域を遷移領域とする分光特性を有した厚さ0.4mmの近赤外波長吸収ガラスを使用した。
そして、図7に示すように、この基板30の片面側に第1の薄膜積層構造体311と第2の薄膜積層構造体312、及びND膜33を形成し、さらにND膜33上に密着層36を介し反射低減効果を有する微細構造体により構成された第1の反射防止構造体341を配置した。さらには基板30のもう一方の面に、8層の薄膜を積層し構成された多層反射防止膜である第2の反射防止構造体342が配置されている。
本実施例3のIRカット膜は、可視波長領域から近赤外波長領域にかけての約700〜900nmの波長領域に第1の阻止領域を有し、さらには約900〜1200nmの波長領域に第2の阻止領域を有した、2つの阻止領域により構成されている。また、可視波長領域の一部である約400〜640nmの波長領域が透過領域となっており、透過領域は可能な限り高い透過と、低い透過リップルとなるように構成されている。
これらのIRカット膜を前述の近赤外波長吸収ガラス上に形成した光学特性は、基板となる吸収ガラスの特性が加わり、約700〜1200nmの波長領域が透過阻止領域となっており、約450〜550nmの波長領域を透過領域としている。また、IR半値波長を625nmとした。
このように、このIR半値波長において前述したIRカット膜は100%に近い透過率を有する透過領域を形成しており、成膜誤差により例えば光学特性が10nm長波長側へシフトとしたとしても、IRカット膜はIR半値波長において透過領域を維持できるように構成されている。
このような構成設計とすることにより、IRカット膜形成時の成膜誤差によりIRカット膜の光学特性が変化したとしても、近赤外波長吸収ガラス基板を含んで形成されるIR半値波長は殆ど変化せず、高い再現性を得ることが可能となっている。
また、仮に透過領域を超過し光学特性がシフトしてしまうことがあったとしても、少なくても透過領域分は同様の低減効果が得ることができ、さらには透過領域から阻止領域に向かう遷移領域の初期領域も透過領域に比べ透過率は低くなるものの高透過領域であることから、少なからず低減効果を得ることができるため、本実施例のような構成であれば、光学特性の変化量を大きく低減することが可能である。
このようなIRカット膜を形成するために、IRカット膜の機能を発現する第1の薄膜積層構造体311と第2の薄膜積層構造体312を基板30上にIAD法により成膜した。蒸着膜には高屈折率材料にはTiOを、低屈折率材料にはSiOを使用し、図7で示すようなTiOとSiOの交互層を40層積層する構成とした。また、基板直上の1層を、透過リップルを低減するための透過リップル調整層32とした。
さらに、IRカット膜とND膜33との干渉条件を調整し、総体としての光学特性を調整することを目的とした光学特性調整層35を第2の薄膜積層構造体312上に形成している。この光学特性調整層はSiO層とTiO層の2層構成とした。
ここで、光学特性調整層として基板上に配置したSiO層は基板側の隣接層のSiO層と同じ成膜プロセスで形成されており、機能膜として役割を分担させ構成設計した経緯から、図7においては分割して配置した構成図としたが、そのまま2度に分割して成膜しても良いし、2層分を合わせて一度に成膜形成しても良い。本実施例3では後者を選択した。
次に、光学特性調整層35上に、誘電体層であるAlと光吸収層であるTiO(xは約1.0〜2.0)を交互に積層し、最表層にSiO層を配置した9層構成のND膜33を、特にアシストを付加しない通常のEB蒸着法によりND濃度が約1.0となるように形成した。その後、基板30の表裏を反転させ、基板上のもう一方の面上にTiOとSiOの8層の交互層で構成された多層反射防止膜である反射防止構造体342をIAD法により形成した。
その後、再び基板30の表裏を反転させて、ND膜33上に、密着層36を介し、反射低減効果を有する微細構造体を第1の反射防止構造体341として形成した。本実施例3における微細構造体は、図8で示したような突起構造を2次元状に周期的に配置したピラーアレイ状とし、構造体は釣鐘型のモス・アイ形状で高さ400nm、周期250nmとした。
さらに、突起構造体の配列に関して、正方配列や三方(六方)配列などが考えられるが、三方配列の方が基板材料の露出面が少ないことなどから、反射低減効果が高い理由から、本実施例3では三方配列のピラーアレイとした。
ここで、図7で示したように、微細構造体は断面形状が膜厚方向で変わらない一定部分371と、断面形状が膜厚方向に変化する変化部分372とで構成されており、前述の構造体高さはこの変化部分372を指しており、本実施例において、一定部分371の高さは100nm程度となるように調整し、作製した。
このような微細構造体の作製方法に関しては様々な作製方法が提案されているが、本実施例3ではUV(紫外線)硬化樹脂を用いた光ナノインプリント法を選択した。微細構造体を、このような樹脂等の有機物を主成分とした材料を用いたプロセスで作製することで、生産性を飛躍的に高めることが可能となる。
ここで、このようなND膜33の膜構成において、本実施例では、ND膜33の最表層となるSiO層と密着層36との界面での反射を無視し、それ以外の界面での反射を光干渉効果により相殺させることで、それ以外の界面での総体的な反射を可能な限り小さくする膜構成とした。
さらに、反射低減の観点からND膜33の最表層であるSiO層と密着層36、及び密着層36と微細構造体との屈折率差をそれぞれ0.1以下となるように構成した。波長540nmのおける屈折率を例に取ると、密着層36の屈折率は約1.45、微細構造体の屈折率は約1.50、ND膜33の最表層であるSiO層の屈折率は1.46であり、ND膜33と密着層36との屈折率差、及び密着層36と微細構造体との屈折率差は0.05となる構成とした。
このように、隣接した、異なる物質間界面での屈折率差を0.1以下にすることで、この界面での反射を著しく低減することが可能であり、より好ましくは本実施例2のように0.05以下となるように構成する。
このように、微細構造体と密着層36で形成された反射防止構造体341を考慮し設計されたND膜33は、IR半値波長の625nmを含む、400〜700nmの可視波長領域全域の透過を減衰し、略均一な透過特性を有する光学特性となっている。
従って、成膜誤差により長波長側、または短波長側に例えば10nm程度分光透過特性がシフトしたとしても、IR半値波長に与える影響は極めて小さく、近赤外波長吸収ガラス基板を含んで形成されるNDIRフィルタとしてのNDIR半値波長にも殆ど影響を変化しない。これにより、NDIRフィルタ総体として光学特性における高い再現性を得ることが可能となっている。
ND膜33の最表層としたSiO膜と微細構造体との界面部分に挿入された密着層36はND膜33と微細構造体との密着性を向上させる目的でプライマー処理を施したものである。
このようなプライマー溶液としては、シランカップリング剤をベースに、IPAや硝酸等を適量加え、さらに密着力を強化する目的で、TEOSを加えたものなどを用いることができる。これを、0.2μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルタを介し基板上に滴下し、スピンコート法により極薄膜となるように塗工した後、所定の条件で乾燥処理を行い、密着層36を形成した。
さらに、基板30や第1の薄膜積層構造体311と第2の薄膜積層構造体312により構成されたIRカット膜に何らかの悪影響を与えない範囲であれば、プライマー液をより均一に塗工するために、プライマー液塗工前に、UVオゾンなどによる親水化処理を施しても良い。
また、このようなプロセスによる塗工を行う際、マスキングを施したり、プロセスをインクジェット法やグラビア法、マイクロコンタクトプリント法などに変えたりすることで、塗工領域を制限することも可能である。
次に、密着層36上にUV硬化樹脂を0.2μmのPTFEフィルタを介し適量滴下した後、スピンコート法により所定の膜厚となるように基板全面にUV硬化樹脂を塗工した。その後、この基板に、樹脂の硬化収縮を加味し、所望する形状を反転させ設計されたホールアレイ形状に離型処理を施した石英モールドを押し当て、少しの時間この状態を保持した後、そのままの状態でUV光を照射することで樹脂を硬化させ、離型することで微細構造体を作製した。
このようなUV硬化樹脂は各種様々な材料を用いることができ、本実施例ではアクリル系のUV硬化樹脂を用いたが、フッ素系樹脂や、アクリル系樹脂にフッ素成分を添加した樹脂、またその他の樹脂を主成分とする材料を使用しても良いし、インプリントのプロセスによっては、SOGなどの無機系材料や、有機無機ハイブリッドタイプの材料を使用することも可能である。
ここで、NDフィルタのように可視波長全域に吸収を持つフィルタの場合、紫外域にも吸収を持っている場合が多い。従って、使用するUV光の波長によっては、フィルタの基板側から光を照射した場合、NDフィルタがその光の少なくとも一部を吸収してしまい、十分な光が樹脂まで届かない場合がある。従って、そのような場合はモールド側からUV光を照射する必要があり、必要なUV光の波長を十分に透過する材質のモールドを選択する必要がある。
また、このような微細構造体の形状による屈折率変化に加え、微細構造体を構成している物質内部で、物質そのものの屈折率を変化させることも可能である。例えば、微細構造体を形成するUV硬化樹脂の主成分となる母材物質Aの他に、屈折率を調整するために、母材物質Aとは異なる屈折率を持つドーパント物質Bを混合させ、これらの濃度分布を所望の値となるように調整すれば良い。ここで、拡散を容易として滑らかな分布を得たい場合などは、このようなドーパント物質Bは、主成分である母材物質Aと反応しないものを用いることが望ましい。
以上のように作製された、NDIRフィルタの分光透過特性は図6で示す設計値と略同じ特性を得ることができた。また、作製された複数のサンプルについて、光学特性の再現性について評価を行った。これらの評価サンプルは、同じタイミングで成膜された同一バッチのサンプルだけではなく、異なる10バッチで成膜したサンプルを各バッチで10枚ずつ取り出した合計100サンプルとした。
またここで、再現性を評価するためにNDIR半値波長を比較した。結果、100サンプルのNDIR半値波長は約624.0〜626.0nmとなり、全サンプルでのNDIR半値波長が約2nmの波長領域内に収まり、非常に高い再現性を得ることができた。
さらには、基板の一方の面に形成された8層の多層薄膜で形成された反射防止構造体342に代わり、本実施例3で作製したような反射低減効果を有する微細構造体を形成することも可能であるし、反射防止構造体341を多層膜や単層膜の反射防止膜として、反射防止構造体342のみを反射低減効果を有する微細構造体で構成することでも同様のフィルタを作製することが可能である。
(実施例4)
本実施例1〜3で記載したようなIRカット膜やUVIRカット膜において、透過阻止領域が1200nm以上となるIRカット膜やUVIRカット膜を作製することで、阻止領域を拡大したNDIRフィルタを得ることも可能である。
この場合、例えば実施例1で形成した第1〜第3の阻止領域に加え、1200nm以上の波長領域に第4の阻止領域を形成することで対応することが可能であるし、同様に第5の阻止領域を追加形成することも可能である。さらには、300nm以下の波長領域に他の阻止領域を形成することもできる。
このように多数の薄膜積層構造体を構成する場合は、基板両面での膜応力を可能な限り近づけることが望ましく、積層数や膜厚などから判断し、薄膜積層構造体を適宜で基板両面に振り分けて配置することが好ましい。
特には、例えば図3における第2の薄膜積層構造体112のような、可視波長における透過領域に最も近い近赤外波長の阻止領域を形成する薄膜積層構造体と、例えば図3における第3の薄膜積層構造体113のような、先の阻止領域に連続した波長領域に阻止領域を形成する他の薄膜積層構造体とは、基板両面に分割配置されることが望ましい。
以上のように構成されたIRカット膜やUVIRカット膜にND膜との光学特性調整層を加え、実施例1〜3で記載したような特徴を有するIRカット膜やND膜、反射防止構造体を形成することで、実施例1〜3と同様に光学特性の再現性を高めたNDIRフィルタを得ることができる。
また、本実施例1〜3で記載したND膜に加え、様々な形態のND膜を構成することができる。例えば、本実施例1〜3ではフィルタ面全域で略均一な濃度を有する単濃度タイプのND膜を形成したが、これに限らず、フィルタの同一面上に複数の濃度領域を有する多濃度タイプを形成することも可能であるし、濃度が連続的に変化するグラデーションタイプのND膜を形成しても良く、これらを組み合わせた構成とすることも可能である。
さらに、基板両面へND膜をそれぞれ形成する場合は、各面上のND膜は異なる濃度とすることも、異なるタイプのND膜を配置することもでき、これらを組み合わせた構成を選択することもできる。また、NDIRフィルタの面内の一部領域に透明領域を設けることも可能であるし、面内の一部のみに反射防止膜を形成することなども可能である。
さらには、例えば本実施例2のような配置構成においては、基板両面での膜応力を同程度に調整するために、第2の反射防止構造体242の積層数を8層から増やし対応したり、膜応力を調整するために、反射防止膜材料として構成されたSiO膜とTiO膜などの交互層とは異なる蒸着材料によって構成された応力緩和層を挿入したりすることも可能である。
また、IRカット膜やUVIRカット膜とND膜の配置構成を変え、基板上に透過リップル調整層を配置した後、ND膜を形成し、さらにその上にIRカット膜やUVIRカット膜となる薄膜積層構造体を形成して、最後に反射防止構造体を形成することでも、同様に再現性を高める効果を持った光学フィルタを作製することができる。
さらにこの基板裏面に別のND膜や別の薄膜積層構造体のどちらか一方を単独で配置することもできるし、基板裏面上にND膜とIRカット膜となる薄膜積層構造体をこの順に形成することも、逆に基板裏面上にはIRカット膜となる薄膜積層構造体とND膜とをこの順に形成する構成を取ることも可能である。
(実施例5)
次に、本実施例1〜4で作製した光学フィルタを備える光量絞り装置に適用した実施例について図9を用いて説明する。
図9に光量絞り装置を示す。ビデオカメラあるいはデジタルスチルカメラ等の撮影系に使用するに適した光量絞り装置の絞りは、CCDやCMOSセンサと言った固体撮像素子への入射光量を制御するために設けられているものである。
被写界が明るくなるにつれ、絞り羽根50を制御し、より小さく絞り込まれていく構造になっている。このとき、小絞り状態時に発生する像性能の劣化に対する対策として、絞りの近傍にNDフィルタ53を配置し、被写界の明るさが同一であっても、絞りの開口をより大きくできる構造にしている。入射光がこの光量絞り装置52を通過し、固体撮像素子(不図示)に到達することで電気的な信号に変換され画像が形成される。
この絞り装置52に、本実施例1〜4で作製されたNDIRフィルタを配置する。更には、NDフィルタ50の位置にNDIRフィルタを配置することも可能であるし、絞り羽根支持板51に固定するように配置することも可能である。この場合、光学フィルタを配置する位置や、絞り装置52のメカ的な機構にも依存するが、本実施例で作製したフィルタと必要な外形が異なる場合も想定されるが、最適な形状を選択すればよい。
これにより作製された光量絞り装置52を撮像光学系に配置することで、より高精度化を実現できる。
(実施例6)
次に、本実施例1〜4で作製した光学フィルタを備えるビデオカメラ等の撮像装置に適用した実施例について図10を用いて説明する。
図10は、ビデオカメラなどの撮像装置で、絞り羽根63などで構成された撮像光学系61を透過した光線を、光学フィルタ60で固体撮像素子62の特性に合わせて制限し、適正な画像を得るようになっている。
例えば、本実施例1〜4で作製されたNDIRフィルタを光学フィルタ60の部分に配置する。これらのフィルタは出し入れ自由に駆動することも可能である。より具体的には、撮像光学系61を透過して撮像素子62に結像した光量を判断して、光学フィルタ60を駆動する。
入射した光量が通常の撮影に十分な量であるときは、固体撮像素子62にかかるように光学フィルタ60を移動させる。光量が不十分なときは、固体撮像素子62にかからないように光路外に退避させる。光学フィルタ60の有無により、結像する光線に光路差が発生してしまい、画像が劣化してしまうことがあるが、このような場合には光学フィルタの基材と同じ材質の基材をダミーとして挿入することで、画像劣化を十分に低減可能である。
これにより作製された撮像装置は、反射を低減しつつ、耐久性を改善することが可能である。また、これに限らず、他の光学装置であっても、実施例1〜4で作製されたような光学特性の再現性高い光学フィルタを用いることで、高精度化を実現することが可能である。
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されず、例えば、下記のような特徴を有するものも含まれる。
例えば、本発明は、光透過を制限する機能を有する機能膜が基板上に設けられた光学フィルタであって、基板は、可視光を透過する光透過領域と、近赤外光(又は紫外光)の透過を阻止する光透過阻止領域と、光透過領域から光透過率の減少を伴って光透過阻止領域に遷移する遷移領域(近赤外側遷移領域又は紫外側遷移領域)と、を有し、機能膜が有する光透過の制限領域と、基板が有する遷移領域とを光学的に合成することにより、光透過の制限領域での光透過を遷移領域によって抑制することを特徴とする光学フィルタを対象としてもよい。
ここで、本発明における基板は、例えば、可視波長領域の光を透過する光透過領域から近赤外波長領域(又は紫外波長領域)の光を阻止する光透過阻止領域へと遷移(変化)する遷移領域(変化領域)を有し、この遷移領域は、光透過率の単調減少に伴って光吸収率が単調増加する光吸収領域として設けられることが好ましい。すなわち、本発明における基板は、所定の波長域(帯域)において、光吸収特性が連続的に変化する遷移領域を有することが好ましい。
一方、このような基板上に形成する機能膜としては、例えば、単一の膜により構成してもよいし、複数の薄膜を積層した積層膜により構成してもよい。また、このような機能膜は、基板の一方面側に設けてもよいし、基板の両面側にそれぞれ設けてもよい。後者の場合、各機能膜が有する光透過の制限領域を光学的に合成したものに対し、基板が有する遷移領域を作用させてフィルタ全体として光透過の制限領域(制限波長領域)での光透過を抑制するようにすればよい。
そして、本発明は、上述した基板の遷移領域を、機能膜が有する光透過の制限領域に対して光学的に作用させる、すなわち、基板の光吸収特性と機能膜の光透過特性とを組み合わせることで、機能膜が有する所定の波長域に対応した光透過の制限領域における光透過を抑制することができる。
ここで、本発明において、機能膜が有する光透過の制限領域と、基板が有する遷移領域とを光学的に合成するとは、例えば、これら各領域を、光学特性として重ね合わせることを含む。すなわち、機能膜が有する光透過の制限領域に対し、基板が有する遷移領域を光吸収特性として光学的に重ね合わせ、機能膜における光透過の制限領域での光透過を抑制するように作用させることで、所望の光量調整を実現することができる。
なお、本発明は、上述した実施例にあるようなNDIRフィルタへの適用に限定されず、NDフィルタ、IRフィルタ、UVフィルタ等の単機能光学フィルタや、あるいはND・IR・UV等の各機能を複合的に組み合わせた多機能光学フィルタにも広く適用可能である。
1.第1の阻止領域
2.第2の阻止領域
3.第3の阻止領域
4.透過領域
10,20,30.基板
111,211,311.第1の薄膜積層構造体
112,212,312.第2の薄膜積層構造体
113.第3の薄膜積層構造体
121.第1の透過リップル調整層
122.第2の透過リップル調整層
131.第1のND膜
132.第2のND膜
141,241,341.第1の反射防止構造体
142,242,342.第2の反射防止構造体
151.第1の光学特性調整層
152.第2の光学特性調整層
22,32.透過リップル調整層
23,33.ND膜
25,35.光学特性調整層
36.密着層
371.一定部分
372.変化部分
50.絞り羽根
51.絞り羽根支持板
52.光量絞り装置
53.NDフィルタ
60.光学フィルタ
61.撮像光学系
62.固体撮像素子
63.絞り羽根


Claims (10)

  1. 光透過を制限する機能を有する機能膜が基板上に設けられた光学フィルタであって、
    前記基板は、可視波長を含む所定の波長領域の光を透過する第1の透過領域と、近赤外波長を含む所定の波長領域の光を吸収する第1の透過阻止領域と、前記第1の透過領域から前記第1の透過阻止領域に亘り光の透過が連続的に変化する透過遷移領域と、を有し、
    前記機能膜は、可視波長を含む所定の波長領域の光を透過する第2の透過領域と、近赤外波長を含む所定の波長領域の光の透過を制限する第2の透過阻止領域を有した、1つ以上の薄膜積層構造体により構成され、
    前記基板上には、可視波長を含む所定の波長領域の光の透過を制限する第3の透過阻止領域を有した他の機能膜が設けられ、
    前記遷移領域における半値波長は、前記第2の透過領域内、及び前記第3の透過阻止領域内に含まれていることを特徴とする光学フィルタ。
  2. 前記基板上の前記薄膜積層構造体を設けた面と反対の面に、他の薄膜積層構造体が配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記薄膜積層構造体、または前記他の薄膜積層構造体のうち少なくとも1つの構造体は、紫外波長を含む所定の波長領域の光の透過を制限する第3の透過阻止領域を有することを特徴とする、請求項2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記基板上の最表層に反射を低減する機能を有した反射防止構造体を配置したことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記反射防止構造体が、可視光の波長サイズよりも短いピッチで2次元平面状に配置された微細構造体であることを特徴とする、請求項4に記載の光学フィルタ。
  6. 前記微細構造体と隣接する物質との間に、前記微細構造体と前記物質との密着強度を高めた密着層が配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の光学フィルタ。
  7. 前記基板と、前記基板に最も近い位置に配置された前記薄膜積層構造体との間に、前記薄膜積層構造体を形成する各薄膜と前記反射防止構造体よりも膜厚が薄い薄膜層が1層以上配置されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
  8. 光透過を制限する機能を有する機能膜が基板上に設けられた光学フィルタであって、
    前記基板は、可視光を透過する光透過領域と、近赤外光の透過を阻止する光透過阻止領域と、前記光透過領域から光透過率の減少を伴って前記光透過阻止領域に遷移する遷移領域とを有し、
    前記機能膜が有する光透過の制限領域と前記基板が有する前記遷移領域とを光学的に合成することにより、前記光透過の制限領域での光透過を前記遷移領域によって抑制することを特徴とする光学フィルタ。
  9. 前記遷移領域は、光透過率の減少に伴って光吸収率が単調に増加する光吸収領域であることを特徴とする請求項8に記載の光学フィルタ。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学フィルタを光通過経路に配置したことを特徴とする光量調整装置。

JP2017083480A 2017-04-20 2017-04-20 光学フィルタ Pending JP2018180430A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017083480A JP2018180430A (ja) 2017-04-20 2017-04-20 光学フィルタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017083480A JP2018180430A (ja) 2017-04-20 2017-04-20 光学フィルタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018180430A true JP2018180430A (ja) 2018-11-15

Family

ID=64276545

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017083480A Pending JP2018180430A (ja) 2017-04-20 2017-04-20 光学フィルタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018180430A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7459483B2 (ja) 2018-12-28 2024-04-02 Agc株式会社 光学フィルタ、近赤外線カットフィルタ、および撮像装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7459483B2 (ja) 2018-12-28 2024-04-02 Agc株式会社 光学フィルタ、近赤外線カットフィルタ、および撮像装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5728572B2 (ja) 光学フィルタ及び光学装置
JP5823119B2 (ja) 紫外赤外線カット用光学フィルタ
JP5789373B2 (ja) 光学フィルタ
JP6006718B2 (ja) 光学フィルタ、光学機器、電子機器及び反射防止複合体
US9513417B2 (en) Optical filter and optical apparatus
US10551534B2 (en) Optical element, optical system, image pickup apparatus, and lens apparatus
JP2007094385A (ja) Ndフィルタ、ndフィルタを有する絞り装置及び光学機器
JP2006301487A (ja) 近赤外線カットフィルタ
JP2007178822A (ja) 光量絞り用ndフィルタ
JP2013015827A (ja) Ndフィルタ及び光学装置
JP2010032867A (ja) Irカットフィルタ
JP2006251380A (ja) カメラモジュール
JP6556529B2 (ja) 光学フィルタ、及び、光学フィルタを備えた光学装置
JP6053352B2 (ja) 光学フィルタ、光学装置及び光学フィルタの製造方法。
WO2012017930A1 (ja) Irカット機能付きndフィルタ
JP4671410B2 (ja) Irカット機能付きndフィルタを備えた光量絞り装置及びカメラ
JP4963027B2 (ja) Ndフィルタおよびその製造方法、それらを用いた光量絞り装置
JP2018180430A (ja) 光学フィルタ
JP2010175941A (ja) 光学フィルタ及び光学フィルタの製造方法、並びにこれらの光学フィルタを有する撮像装置
US7710670B2 (en) ND filter
JP2007171542A (ja) 光学絞り用ndフィルタと該ndフィルタを備えた光学絞り装置
JP6289526B2 (ja) 光学素子及びそれを有する光学系
JP6957135B2 (ja) 光学素子、光学系、撮像装置及びレンズ装置
JP3816048B2 (ja) Ndフィルタの製造方法及びndフィルタ、並びにこれらのndフィルタを有する光量絞り装置及びカメラ
JP2020064258A (ja) 光学フィルタ、及び撮像装置