JP4235829B2 - 照明装置並びにその照明装置を備えたプロジェクタ - Google Patents

照明装置並びにその照明装置を備えたプロジェクタ Download PDF

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Description

本発明は、発光管及び該発光管からの出射光を反射する反射鏡を有する照明装置、並びにその照明装置を備えたプロジェクタに関する。
照明装置として、発光管と反射鏡とからなる照明装置が広く用いられている。そのような照明装置において、発光管から放出されても迷光となって使用に供されていなかった光を有効に利用するために、従来は、実開平5−87806号公報(第7ページ、第1図)に記載されているように、発光管に反射膜を成膜することが行われている。また、特開平8−31382号公報(第2ページ、第1図)に記載されているように、発光管を挟んで反射鏡と対向するように第2の反射鏡を備えることも行われている。
しかしながら、発光管の前面に反射膜を成膜する方法は、電極間の位置が発光管外面に取り付けた反射膜に対してばらつきを持つため、所望の反射特性が得られない場合や、反射特性が発光管の形状に依存するため所望の反射特性が得られない場合がある。従って、発光管の前面に反射膜を成膜する方法の場合、発光管によっては効果的な光の有効利用が図れないこともある。また、反射膜の代わりに、元々配置されている第1反射鏡に対向させて第2反射鏡を別途備える構成としても、光利用率をより向上させるためには、発光管と第1反射鏡とに関連させて、第2反射鏡の配置や態様をより具体的に特定する必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、発光管と第1反射鏡に対して第2反射鏡の配置及び態様をより具体的に特定して、通常は迷光となってしまうような発光管からの出射光の大部分を利用できるようにする照明装置、並びにその照明装置を利用したプロジェクタを提供することを目的とする。さらに、そのような照明装置の組み立て方法を提供することも目的とする。
本発明の照明装置は、電極間で発光が行われる発光部及び該発光部の両側に位置する封止部を有した発光管と、該発光管の長手方向において前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、
前記発光管の構造及び前記第一反射鏡の貫通孔の構造によって定まる
前記発光部の後側に出射される利用可能限界光の前記第一反射鏡の反射面の開口端部の直径D1が、前記第二反射鏡の外側面の直径d1よりも大きく、かつ、前記第二反射鏡の外側面の直径d1は、前記利用可能限界光の前記第一反射鏡により反射された光の内側に入る大きさに設定され、前記第二反射鏡の反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲し、かつ、前記発光部中心から出射されて該第二反射鏡に入る入射光と該第二反射鏡の法線とが一致するように配置されていると共に、前記第二反射鏡が、前記封止部の外周に該外周面に対して隙間を有して巻線されたバネにより前記発光管の発光部近傍に押圧固定されていることを特徴とする。
これにより、通常は迷光となってしまうような発光管からの光のほとんどを第一反射鏡に戻して利用に供させることが可能となる。また、発光部から照明装置の後側に出射される光のうち、利用可能範囲内にある光については、第一反射鏡で反射された後、第二反射鏡によって遮断されるのを回避できる。これに加えて次のような効果も得られる。同じ光量を得るに際して第一反射鏡を小さくできる。また、第一反射鏡による集光点径を小さくすることも可能となるため、引き続く光学系に光が入射し易くなり、この点からも光利用効率を向上させることができる。さらに、この構成によると、発光管を第一反射鏡から突出した状態にできるため、照明装置を通過する冷却空気を直接発光管に当てて、そのクーリング性を向上させることもできる。
また、前記照明装置において、前記第二反射鏡が、前記封止部の外周に該外周面に対して隙間を有して巻線されたバネにより前記発光管の発光部近傍に押圧固定されているので、発光管が熱により膨張しても上記隙間によりその熱的変形を吸収できる。これは、本発明の他の証明装置についても同様である。
なお、前記バネを導電性巻線から構成し、該バネが配置されている側と反対側の封止部から出るリード線に接続すると、前記バネを点灯性を向上させる絶縁破壊のためのトリガ線として利用することができる。
なお、前記利用可能限界光は、前記発光管の構造によって定まる限界光とすることができる。この場合には、発光部から照明装置の後側に出射される光のほぼ全てが利用できることになる。
本発明の他の照明装置は、電極間で発光が行われる発光部及び該発光部の両側に位置する封止部を有した発光管と、該発光管の長手方向において前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、
前記発光管の構造及び前記第一反射鏡の貫通孔の構造によって定まる
前記発光部の後側に出射される利用可能限界光の前記第一反射鏡の反射面の開口端部の直径D1が、前記第二反射鏡の外側面の直径d1よりも大きく、かつ、前記第二反射鏡の外側面の直径d1は、前記利用可能限界光の前記第一反射鏡により反射された光の内側に入る大きさに設定され、前記第二反射鏡は、前記発光部中心から出射されて該第二反射鏡に入る入射光と該第二反射鏡の法線とが一致するように配置されており、前記電極の先端間距離をLe、前記電極先端間の中心F1から前記第二反射鏡の反射面の開口端面までの前記照明装置の光軸上の距離をLr、前記第二反射鏡の外側面の開口端部の直径をd2、前記第一反射鏡の反射面の開口端部の直径をD2、前記電極先端のうち前記第一反射鏡側の電極先端から前記第二反射鏡で遮られずに射出される光と前記照明装置の光軸を前記照明装置の後ろ側へと延長させた直線とに挟まれた角度をθd、前記第一反射鏡の反射面の開口端と前記第一反射鏡側の電極先端とを結ぶ線と前記照明装置の光軸を前記照明装置の後側へと延長させた直線とに挟まれた角度をθeとして、θdを、θd=90度+tan-1{(Le/2+Lr)/(d2/2)}として近似するとき、前記第一反射鏡の反射面の開口端部の直径D2が、θe>θdとなるような範囲にあると共に、前記第二反射鏡が、前記封止部の外周に該外周面に対して隙間を有して巻線されたバネにより前記発光管の発光部近傍に押圧固定されていることを特徴とする。
第一反射鏡の反射面の開口端部の直径をこのようにすることで、第二反射鏡で反射されずに前方に出射した光も利用可能となる。
またさらに、本発明の他の照明装置は、電極間で発光が行われる発光部及び該発光部の両側に位置する封止部を有した発光管と、該発光管の長手方向において前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、
前記発光管の構造及び前記第一反射鏡の貫通孔の構造によって定まる
前記発光部の後側に出射される利用可能限界光の前記第一反射鏡の反射面の開口端部の直径D1が、前記第二反射鏡の外側面の直径d1よりも大きく、かつ、前記第二反射鏡の外側面の直径d1は、前記利用可能限界光の前記第一反射鏡により反射された光の内側に入る大きさに設定され、前記第二反射鏡は、前記発光部中心から出射されて該第二反射鏡に入る入射光と該第二反射鏡の法線とが一致するように配置されており、前記第二反射鏡の反射面の開口端部の直径d2が、前記電極間で発生するアークの前記第一反射鏡側のアーク端から前記第二反射鏡で遮られずに射出される光の境界光を反射できる大きさであると共に、前記第二反射鏡が、前記封止部の外周に該外周面に対して隙間を有して巻線されたバネにより前記発光管の発光部近傍に押圧固定されていることを特徴とする。
第一反射鏡の反射面の開口端部の直径をこのようにすることで、第二反射鏡で反射されずに前方に出射した光も利用可能となり、且つ、第一反射鏡の反射面の開口端部の直径を最小限に設定することができる。
また、前記照明装置において、前記第二反射鏡は前記発光部の外周に対して隙間を有して配置されていることが好ましい。これによれば、発光部中心から出射されて該第二反射鏡に入る入射光と該第二反射鏡の法線とが一致させる際に、前記隙間を調整幅として発光部と第二反射鏡との相対位置を調整することができる。また、この隙間により第二反射鏡と発光部の間に熱がこもらないので発光部の過度な温度上昇を抑制することが可能となる。
また、前記照明装置において、前記第二反射鏡の反射面は、紫外線及び赤外線を通す誘電体多層膜により成形されていることが好ましい。これにより、可視光だけを第一反射膜へと反射させるため紫外線及び赤外線等による発光部および第一反射鏡の反射面さらにこの照明装置から出射される光を入射する光学部品等の劣化を防止できる。また、第二反射鏡は実際の照明に利用される可視光を効率よく反射できるので、照明装置の照度を向上させることができる。
また、前記照明装置において、前記第二反射鏡の反射面を、前記封止部の外径より大きな内径を有する管の端面研磨又はプレス成形により形成することが好ましい。これによれば、反射面の加工の複雑な手間を低減できる。
なお、前記照明装置において、前記第二反射鏡の外側面は、その反射面側から入射した光を透過させる態様、あるいは、その反射面側から入射した光を拡散反射させる態様に成形して、第二反射鏡に光が吸収されないようにするのが好ましい。これにより、第二反射鏡の反射面から入射してきた赤外線等の光による第二反射鏡の温度上昇を防止できる。
さらに、前記照明装置において、前記第二反射鏡を、石英、透光性アルミナ、水晶、サファイア、YAG、蛍石のいずれかから製作することが好ましい。これらの材料は、熱伝導性が良好なため温度分布を均一化でき、あるいは低熱膨張ゆえに耐熱性に優れ、しかも赤外線及び紫外線の透過性に優れた第二反射鏡を得ることができる。
また、前記照明装置において、前記発光部の外周面に反射防止コートを施すことが好ましい。これにより、第二反射鏡を経由する光の発光部での反射による光損出を低減できる。
また、前記照明装置において、前記第二反射鏡が、前記発光部の近傍において前記封止部の表面に接着剤により固着されていることが好ましい。これにより、発光部からの射出され第一反射鏡から反射されて来る光や発光部から射出され第二反射鏡を透過して来る光などの遮断を出来るだけ少なくして、第二反射鏡を発光管に固定することが可能となる。
また、前記接着剤をシリカ・アルミナ混合物又は窒化アルミを含む無機系接着剤とすると、それらの熱伝導率が良好なため、第二反射鏡や発光管の温度の不均一分布を抑制することが可能となる。
本発明のプロジェクタは、照明装置からの光が入射され与えられた画像情報に応じて該入射光を変調する光変調装置を備えたプロジェクタにおいて、前記照明装置として上記のいずれかに記載された照明装置を備えたことを特徴とする。これにより、小型で高輝度のプロジェクタが得られることになる。
本発明の実施形態1に係る照明装置の構成図。 図1の照明装置の作用説明図。 第二反射鏡の有無による第一反射鏡の反射面の直径の比較説明図。 第二反射鏡の有無による照明装置の集光スポット径の比較説明図。 本発明の実施形態2に係る照明装置の光製図及び作用図。 本発明の実施形態3に係る照明装置の構成図。 発光管と第二反射鏡との位置決め方法説明図。 発光管と第一反射鏡との位置決め方法説明図。 本発明の実施形態4に係る照明装置の構成図。 本発明の実施形態5に係る照明装置の構成図。 上記実施形態に係る照明装置を備えたプロジェクタの構成図。
以下、本発明の実施形態を図を参照しながら説明する。なお、各図中、同じ符号は同一物または相当物を示しているのとする。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る照明装置100の構成図、図2は図1の装置100の作用説明図である。この照明装置100は、発光管10と、照明装置100の主反射鏡である第一反射鏡20aと、照明装置100の補助反射鏡である第二反射鏡30aとを備える。発光管10は、石英ガラス等からなり、内部にタングステンの電極12,12と、水銀、希ガス及び少量のハロゲンが封入された中央の発光部11と、発光部11の両側の封止部13,13からなる。各封止部13には、電極12と接続されたモリブデンからなる金属箔14が密封され、各金属箔14,14には外部につなげられるリード線15,15がそれぞれ設けられている。これらのリード線15,15の接続先は従来からの構成と同じでよく、例えば、図示していない照明装置固定具等に設けられた外部との接続端子に接続される。
なお、発光部11の外周面には、タンタル酸化膜、ハフニウム酸化膜、チタン酸化膜等を含む多層膜の反射防止コートを施しておくと、そこを通過する光の反射による光損出を低減することができる。
第一反射鏡20aの反射面50は回転曲線形状であり、F1,F2は第一反射鏡20aの反射面50の回転曲線の第1焦点と第2焦点を示し、f1,f2は第一反射鏡20aの反射面50の回転曲線の頂点から第1焦点F1と第2焦点F2までの距離を表している。なお、第一反射鏡20aの反射面50は回転楕円面形状または回転放物面形状などを採用できる。第一反射鏡20aは、発光管10を含むこの照明装置100において、発光管10の後側に配置されている反射素子で、その後側の端部中心部に、発光管10を固定するための貫通穴21を備えている。発光管10は、この第一反射鏡20aの貫通穴21に、発光管10の軸と第一反射鏡20aの軸とを一致させて、セメントなどの無機系接着剤22により固着されている。発光管10の軸とは発光管10の長手方向の中心軸であり、ほぼ電極12,12方向と一致している。また、第一反射鏡20aの軸とは第一反射鏡20aの反射面50を構成する回転曲線の回転軸であり、ほぼ照明装置100から射出される光束の中心軸と一致している。なお、発光管10の発光部11中心(電極12,12間の中心)は、第一反射鏡20aの反射面50が回転楕円面形状の場合、その第一焦点(F1)に一致又はその近傍に位置させ、第一反射鏡20aの反射面50が回転放物面の場合には、その焦点Fに一致又はその近傍に位置させている。すなわち、発光部11の中心が、第一反射鏡20aの焦点F1又はF付近に、或いは焦点F1又はFの位置にほぼ一致して、配置されている。
第二反射鏡30aは、発光管10を含むこの照明装置100において、発光管10の前側に配置されている反射素子で、その反射面60が発光部11の前側ほぼ半分を包囲し、かつ、発光部11の中心から射出されてこの第二反射鏡30aの反射面60に入る入射光と該第二反射鏡30aの反射面60における法線とが一致するように配置されているものである。ここで、第二反射鏡30aは、接着剤31により封止部13に固定されている。発光部11の構造(電極12間の位置、発光部11の各部の形状など)は、製造バラツキなどにより発光管10毎にそれぞれ異なるため、第二反射鏡30aの反射面60の形状は、発光部11との関係に応じて、発光管10毎にそれぞれ定めるのが好ましい。
さらに、第二反射鏡30aは、約900〜1000℃度の高温に晒されることになるため、低熱膨張性、あるいは熱伝導性に優れた材料で製造されることが必要となる。このため、第二反射鏡30aは、例えば、低熱膨張材である石英又はネオセラムや、高熱伝導材である透光性アルミナ、サファイア、水晶、蛍石、YAG等を利用して製作される。透光性アルミナとしては、例えば、商品「スミコランダム」(スミコランダムは住友化学工業の登録商標)が利用できる。
第二反射鏡30aの反射面60は、照明に利用される可視光のみを反射させ、照明に不要な紫外線及び赤外線を通過させることができれば、第二反射鏡30aに生じる発熱を少なくできる。そのため、ここでは可視光のみを反射させ、紫外線及び赤外線を通過させる誘電体多層膜を、第二反射鏡30aの反射面60に積層している。この誘電体多層膜も耐熱性が必要とされ、例えば、タンタル化合物とSiO2の交互積層、又はハフニウム化合物とSiO2の交互積層等から構成できる。以上の各要素を加味すると、低熱膨張性を有し、あるいは熱伝導性に優れ、しかも紫外線及び赤外線を透過しやすい材料として、石英、透光性アルミナ、水晶、サファイア、YAG(Y3Al5O12)、蛍石等が挙げられ、それらのいずれかから第二反射鏡30aを製作するのが好ましい。
なお、第二反射鏡30aの外側面80は、その反射面60で反射されずに入射した光(赤外線、紫外線、反射面60側から漏れてきた可視光など)を透過させるように、あるいは、その反射面60で反射されずに入射した光を拡散反射させるような反射膜や形状を備えるように成形して、第二反射鏡30aができるだけ光を吸収しないようにしておく。
さらに、図1に示すように、発光部11からこの第一反射鏡20a側すなわち照明装置100の後側に出射する利用可能限界光L1,L2によって示される円錐の第一反射鏡20aの反射面50の直径D1が、第二反射鏡30aの外側面80の直径d1よりも大きくなるように、かつ、第二反射鏡30aの外側面80の直径d1が、利用可能限界光L1,L2の第一反射鏡20aにより反射された光によって形成される円錐の内側に入る大きさとなるように、第二反射鏡30aの外側面80の直径d1が設定される。こうすることで、発光部11から照明装置100の後側に出射される光のうち、利用可能範囲内にある光については、第一反射鏡20aで反射された後、第二反射鏡30aによって遮断されることなく進むことができる。
ところで、利用可能限界光L1,L2とは、発光部11からこの照明装置100の後側に出射される光のうち、照明光として実際に利用できる範囲の内側境界に対応する光をいい、発光管10の構造によって定まる場合と、第一反射鏡20aの構造によって定まる場合とがある。発光管10の構造によって定まる利用可能限界光とは、発光部11から第一反射鏡20a側すなわち後側に出射し封止部13等の影響により遮断されず有効光として出射される光のうち、封止部13等の影響により光が遮断される光との境界の有効光である。また、第一反射鏡20aの構造によって定まる利用可能限界光とは、発光部11から第一反射鏡20a側すなわち照明装置100の後側に出射し封止部13等の影響により遮断されず有効光とし出射され光のうち、第一反射鏡20aの貫通孔21の存在等による第一反射鏡20aに起因して反射面50で反射することができず照明光として利用し得なくなる光との境界の有効光である。なお、上記利用可能限界光を、発光管10の構造によって定まる限界光とした場合、本実施形態によれば、発光部11から照明装置100の後側に出射される光のほぼ全てが利用できることになる。
なお、第二反射鏡30aの外側面80の直径d1が大きくなると、第一反射鏡20aにより反射された後に、前方に進行する光の遮断が多くなるため光の利用率が低下する。従って、光の利用率低下を回避するために、第二反射鏡30aの外側面80の直径d1はできるだけ小さくするべきである。
また、発光部11の外周面と第二反射鏡30aの反射面60との間には、光源像と反射像の位置関係を調整するために発光部11に対して第二反射鏡30aの位置調整ができる程度の間隔、すなわち0.2mm以上の隙間Aを設けるのがよい。これにより、光源像と反射像を一致させるように発光部11と第二反射鏡30aとの相対位置を調整することが可能であり、且つ、第二反射鏡30aで覆われている側の発光部11及び発光管10の放熱が確保され、発光管10の過度な温度上昇を抑制することができる。従って、温度上昇に起因する電極12の消耗、発光部11を含む発光管10の白濁や膨張を抑制できる。
以上述べたように、本実施形態の照明装置100によれば、図2に示すように、発光管10の発光部11から後側へと出射する光L1、L2、L5,L6は、第一反射鏡20aにより反射されて照明装置100の前方に向かう。また、発光部11から前側へと出射する光L3、L4は、第二反射鏡30aの反射面60により反射されて第一反射鏡20aに戻った後、第一反射鏡20aにより反射されて照明装置100の前方に向かう。これにより、発光部11から出射する光のほとんどを利用することができる。
さらに、本実施形態の照明装置100は、第二反射鏡30aを用いることにより第一反射鏡20aの反射面50の直径D4を第二反射鏡を用いない照明装置と比較して小さくできる。
これについて図3を参照して説明する。図3(a)は第二反射鏡を用いない照明装置100eを示し、図3(b)は第二反射鏡30aを用いた照明装置100を示す。第一反射鏡20b,20aの反射面51,50の回転楕円面の第1焦点距離f1及び第2焦点距離f2は共に等しい。図3(b)に示すように、第二反射鏡30aを用いた場合は、発光部11から前側へ出射される光を第二反射鏡30aにて反射し第一反射鏡20aの反射面50へと入射させることができるので、第一反射鏡20aの反射面50の開口端部の直径D4は、第二反射鏡30aを用いない場合の第一反射鏡20bの反射面51の開口端部の直径D3よりも小さくすることができる(D4<D3)。しかし、f2/f1の倍率関係は変わらないので、これらの場合の集光スポット径は同一となって、光学系の効率の変化はない。
またさらに、本実施形態の照明装置100は、第二反射鏡30aを用いることにより照明装置の集光スポット径を第二反射鏡を用いない照明装置と比較して小さくできる。
まず、集光スポット径について説明する。発光部11のアークが点であるなら集光スポットは点となり、反射面の開口端部の直径が同一である第一反射鏡において焦点距離を変化させても集光スポット径の大きさは変化しない。しかし、現実的にはアークは有限である。図4(b)に示すように、有限であるアークの直径をLLとし、そのときの集光スポットの直径をφとし、第一反射鏡20cの反射面52の回転曲線の頂点から第一焦点までの距離をf1’とし、第一反射鏡20cの反射面52の回転曲線の頂点から第二焦点までの距離をf2’とすると、集光スポットの直径φはアークの直径LLとf2’/f1’の積によって決まる。従って、反射面の開口端部の直径D3が同一である図4(a)の第一反射鏡20bと図4(b)の第一反射鏡20cにおいて、第一反射鏡20bの反射面51の焦点f1,f2と、第一反射鏡20cの反射面52の焦点f1’,f2’との倍率関係は(f2/f1)>(f2’/f1’)となるので、図4(b)の第一反射鏡20cの集光スポット径の方が図5(a)の集光スポット径より小さくなる。ここで、図4(a)の第一反射鏡20bの焦点距離f1、f2を図4(b)の第一反射鏡20cの焦点距離f1’,f2’に近づけるにつれて、第一反射鏡20bの反射面51に入射しない光が多くなっていき照明効率が劣化する。しかし、第二反射鏡30aを備える図4(b)の照明装置100fは、第二反射鏡30aにより光の損失を防ぎ、集光スポット径が小さくすることで照明装置100fに引き続く光学系に入射しやすくなり、且つ、発光部11から出射する光の利用効率を向上させることができる。
(実施形態2)
図5(a)は、本発明の実施形態2に係る照明装置100Aの構成図及び作用図である。この照明装置100Aの構成は基本的に図1の照明装置100と同じであり、図1の照明装置100との相違点は、照明装置100の第一反射鏡20aの反射面50の焦点距離f1より照明装置100Aの第一反射鏡20dの反射面53の焦点距離f1Aの方が大きく(f1<f1A)、照明装置100の第一反射鏡20aの反射面50の焦点距離f2より照明装置100Aの第一反射鏡20dの反射面53の焦点距離f2Aの方が小さい(f2>f2A)点である。図中、f1Aは第一反射鏡20dの反射面53の回転曲線の頂点から第1焦点F1Aまでの距離を表し、f2Aは第一反射鏡20dの反射面53の頂点から第2焦点F2Aまでの距離を表している。これにより、第一反射鏡20dの反射面53の開口端部の直径D5は図1の第一反射鏡20aの反射面50の開口端部の直径D4より大きくなるが、照明装置100Aの第2焦点F2Aにおける集光スポット径は、照明装置100の第2焦点F2における集光スポット径より小さくなる。従って、照明装置100Aからの出射光が引き続く光学系に入射し易くなり、光利用率の向上により貢献できる。
また、より輝度の大きい発光管などの形状の大きな発光管10Aを使用する場合、発光管10Aが大きくなったことに伴い第二反射鏡の形状も大きくしなければならない。その結果、図5(b)の照明装置100は、発光管10Aの構造によって定まる利用可能限界光L1,L2の第一反射鏡20aからの反射光を第二反射鏡30cによって遮ってしまう。しかし照明装置100Aは焦点距離f1よりも焦点距離f1Aが大きいので、発光管10Aの構造によって定まる利用可能限界光L1,L2で示される円錐の第一反射鏡20dの反射面53の直径D6が、照明装置100の第一反射鏡20aの反射面50の直径D7より大きくなるから、利用可能限界光L1,L2の第一反射鏡20dからの反射光を第二反射鏡30bが遮ることなく有効光として利用でき、高輝度である大電力の発光管からの光の利用効率を向上できる。
さらに、発光部11Aから発生する熱量が同じである場合、第一反射鏡20dが輻射熱を受ける面積は、第一反射鏡20aが輻射熱を受ける面積と焦点距離の比率であるf1A/f1の2乗の積によってきまるから、第一反射鏡20dの受ける単位面積あたりの輻射熱は、f1A/f1の2乗に反比例する。従って、本実施形態の照明装置100Aは、第一反射鏡20dの単位面積あたりで受ける発光管10Aからの輻射熱が第一反射鏡20aよりも少ないので、第一反射鏡20dの温度上昇を防止できる。
(実施形態3)
図6は、本発明の実施形態3に係る照明装置100Dの構成図である。この照明装置100Dの図1と同じ部分については同じ符号を用いて説明は省略し、相違する点を以下で説明する。ここでは、上記実施形態1又は実施形態2とは異なり、第二反射鏡30cの反射面62の開口端部の先端が電極12,12の間の中心位置まで届いていない状態の場合に、第一反射鏡20eが担うべき光の反射領域の範囲を定めたものである。図6において、電極12,12の先端間距離をLe、電極12,12の先端間の中心F1(第一反射鏡20eの第一焦点)から第二反射鏡30bの開口端面までの光軸上の距離をLr、第二反射鏡30bの外側面の開口端部の直径をd2、第一反射鏡20eの反射面54の開口端部の直径をD2、照明装置100Dから射出される光の中心軸すなわち照明装置100Dの光軸をA、一対の電極12,12のうち第一反射鏡20e側の電極12先端から第二反射鏡30bで遮られずに射出される光の境界光であるL7と照明装置100Dの光軸Aを照明装置100Dの後側へと延長させた直線とに挟まれた角度θdとする。図6においてθdは、第一反射鏡20e側の電極12より後側の光軸延長線Aから右回りで境界光L7までの角度である。これによれば、角度θdを下記式1で近似できる。
θd=90度+tan-1{(Le/2+Lr)/(d1/2)}…式1
ここで、発光管10はガラスにより形成されているため、実際のアーク像から射出した光は発光管10のガラス形状により屈折し、その結果発光管10外部からみたアーク像は実際のアーク像よりも大きく見えたり、実際のアーク像の位置から移動しているように見える場合がある。言い換えると、たとえ第一反射鏡20e側の電極12から射出した光であっても、発光管10のガラス部分を透過する際に屈折して、第一反射鏡20eの反射領域でない部分に射出され照明光として利用されない光となってしまうことがある。そこで、第一反射鏡20eの反射面54の開口端Bと第一反射鏡側の電極の先端とを結ぶ線Cと光軸Aの後側へと延長された直線とに挟まれた角度をθeとしたとき、θeをθdより大きく設定することにより、発光部11から射出されるより多くの光を有効照明光として利用できる。図6においてθeは、第一反射鏡20e側の電極12より後側の光軸の延長線Aから右回りで線Cまでの角度である。
さらに、発光部11から射出される光は、電極12,12間からの光だけでなく、実際のアーク像は、電極12の先端に重なっているため、電極12の先端間よりも外側から射出する光も存在する。従ってθdだけで第一反射鏡20eの反射面54の開口端部の直径D2を決定すると、第一反射鏡20e側の電極12に重なった部分のアーク像からの射出した光であるL8は、第一反射鏡20eの反射領域でない部分に射出され照明光として利用されない光となってしまう。そこで、第一反射鏡20e側のアーク端Loから第二反射鏡30bで遮られずに射出される光の境界光であるL8と第一反射鏡20eの反射面54の延長線との交点を第一反射鏡20eの開口端Bとすることによって、アーク端Loから射出される光L8をも有効光として利用できる。またさらに、第一反射鏡20eの開口端をL8をも反射できるように設定すると、電極12の先端から射出され発光管10のガラス部分で屈折した光も第一反射鏡20eで反射することもでき、発光部11からの射出されるより多くの光を有効照明光として利用でき、且つ、必要最小限の第一反射鏡20eの反射面54の開口端部の直径を選択できる。
例えば、第一反射鏡20eの反射面54の開口端部の直径D2を、θdからθd+10度までの光線を反射する範囲にすると、発光部11から射出される光のほぼ全てが利用可能となる。
(照明装置の製造について)
次に、照明装置100,100A,100Dの製造手順について説明する。以下は第一反射鏡20aを有する照明装置100について説明しているが、照明装置100A,100Dも同様の手順で製造できる。まず始めに、各発光管10毎に、発光管10及び第一反射鏡20aの構造に関するデータを収集する。このデータには、発光部11内の電極間距離、発光管10の各部形状及び寸法、第一反射鏡20aの形状及び寸法、第一反射鏡20aの焦点(第一反射鏡が楕円形状の場合には、第1焦点及び第2焦点)を含める。続いて、これらのデータを基に、各発光管10の発光部11からの光の出射状態を、コンピュータなどを利用してシミュレーションする。次に、発光部11からの光の出射状態シミュレーションを基に、各発光管10に対応した第二反射鏡30の設計を行う。この設計もまた、コンピュータシミュレーションなどを利用して行うことができ、そのようなシミュレーションを通して、既に説明した第二反射鏡30aとしての作用を果たすことが可能な形状(外径、内径、及び反射面形状など)が決定される。そして、その設計に基づいて、各発光管10に対応した第二反射鏡30aを製作する。このようにして製作された第二反射鏡30aの反射面60が発光部11の前側ほぼ半分を包囲し、かつ、発光部11の中心から出射されて第二反射鏡30aに入る入射光と第二反射鏡30の反射面60の法線とが一致するように調整しながら、第二反射鏡30aを発光管10の封止部13の一方に取り付ける。これにより、発光部11における電極間での実際のアーク像及び光が発光管10のガラス部を透過する際の屈折を考慮した形状を有する第二反射鏡30aを製作でき、さらに、実際に発光部11から射出される光にあわせた第二反射鏡30aの位置調整を行なうことができる。
なお、第二反射鏡30aは、その構造上、発光管10の封止部13外径より大きな内径を有する中空の管材から製作することができる。この場合において、誘電体多層膜が成膜される第二反射鏡30aの反射面60は、肉厚部の研磨により形成することができる。第二反射鏡30aを製作する際の研磨は、その反射面60が中空となっているので、通常の球面研磨のような複雑な研磨制御が不要となるという利点を有している。また、第二反射鏡30aは、上記管材のプレス成形によっても製作可能である。プレス成形は極めて単純であり、製造コストを大きく低減できる。
また、第二反射鏡30aの発光管10への取り付けは、以下のような方法で実行できる。(1)CCDカメラ等で電極12,12間を観察しつつ、発光部11の前側半分と第二反射鏡30aの反射面60が対向するようにして、第二反射鏡30aを発光管10の封止部13に仮固定する。次に、(2)複数の異なる方向からCCDカメラ等で第二反射鏡30aの反射面60を観察しながら、その反射面60に写る電極12,12間の像が、本来の電極間(物点)に入り込むように、第二反射鏡30aの位置を調整する。(3)調整終了後、第二反射鏡30aを発光管10の封止部13に固定する。なお、上記(2)に対応する第二反射鏡30aの仮固定後の調整は、次のようにしても可能である。すなわち、極細のレーザービームを複数の異なる方向から電極12,12間を通して第二反射鏡30aの反射面60に照射し、第二反射鏡30aからの反射ビーム光の位置とその広がり具合が一致するように、第二反射鏡30aの位置を調整しても、CCDカメラを用いたのと同じ結果が得られる。これらにより、第二反射鏡30aによる反射光を正確に電極12,12間に戻し、さらに第一反射鏡20aに戻すことが可能となる。
ここでは、発光管10、第一反射鏡20a、及び第二反射鏡30aのアライメント方法を更に詳細に説明する。
まず、発光管10の電極12,12又は電極間アーク(点灯時のアーク)の実像と第二反射鏡面30aによるそれらの反射像とを重ねるように第二反射鏡30aの位置を調整して、発光管10と第二反射鏡30aとを固定する。この場合、図7に示すように、上記実像と上記反射像とを、少なくとも2方向からカメラ(CCDカメラ等)による撮像画像を利用して検出し、それぞれの方向でそれらの実像と反射像とを重ねるように第二反射鏡30aの位置を調整して、発光管10と第二反射鏡30aとを固定することができる。図7では、(a)がCCDカメラを使って2方向から撮影するイメージ図、(b)が電極の実像と反射像とを重ねる概念図、(c)が点灯時の電極間アークの実像と反射像とを重ねる概念図を示している。なお、調整方向を多くすれば、それだけ精度よく位置決めできる。
次に、上記のようにして第二反射鏡30aが固定された発光管10の電極間中心に第一反射鏡20aの第一焦点をほぼ一致させて第一反射鏡20aと発光管10とを配置し、所定位置における明るさが最大となるように第一反射鏡20aに対する発光管10の位置を調整して、適正な位置で発光管10と第一反射鏡20aとを固定する。この場合、図8に示すように、設計上の集光スポット付近に受光器を配置し、第一反射鏡20aからの出射光を受光器によって測定しながら設計上の集光スポットでの明るさが最大となるように、x、y、zの3軸方向にそれぞれ発光管10と第一反射鏡20aとの相対位置を調整して、発光管10と第一反射鏡20aとを固定することができる。なお、図8では受光器を用いて明るさを測定しているが照度が測定できればほかの方法を用いてもよい。これにより、所定の位置における照度が最も大きくなるような発光管10と第一反射鏡20aとの相対位置関係を有する照明光学系300を製造することができる。
この他、照明装置100が搭載される光学系たとえば、図11に示されるような照明光学系300に組み込み、照明光学系300の照明対象物である液晶パネル410R,410G,410Bが配置される位置における明るさが最大となるように、x、y、zの3軸方向にそれぞれ発光管10と第一反射鏡20aとの相対位置を調整して、発光管10と第一反射鏡20aとを固定してもよい。これにより、照明装置100と照明対象物との間に存在する光学系との関係も含んだ発光管10と第一反射鏡20aとの最適な相対位置関係を有する照明装置100を搭載する光学系300を製造することができる。
なお、上記z軸とは照明装置100の光軸と平行な方向であり,X軸とy軸とはz軸の垂直な面において直角に交わりあう2軸である。
以上の2つのステップによって、発光管10、第一反射鏡20a、及び第二反射鏡30aのアライメントを行うことで、第二反射鏡30aを配した照明装置100の光利用率をより向上させることができる。
なお、第二反射鏡30aの発光管10への固定は、第二反射鏡30aを発光管10の封止部13へ固着することで行う。その固着は、例えば、従来から知られているセメントを用いた接着に加え、前述したような高温度に耐えうるシリカ・アルミナ混合物又は窒化アルミを含む無機系接着剤とすると、熱伝導率の良好さゆえ、第二反射鏡30aや発光管10の温度の不均一分布を抑制することができる。なお、接着剤の具体的な例としては、商品「スミセラム」(朝日化学工業(株)製造、スミセラムは住友化学工業の登録商標)が挙げられる。また、発光管10と第二反射鏡30aの固定のための接着剤の塗布は、滴接着(点塗布)により行う。塗布量を多くする場合には、滴接着ポイント数を増やす。こうすることで、接着剤の量を管理しやすくなるからである。
また、第二反射鏡30aは、発光部11になるべく近い場所の封止部13表面に配置すると、発光部11からの射出された後第一反射鏡20aにより反射されて来る光や、発光部11から射出された後第二反射鏡30aを透過して来る光などの遮断をできるだけ少なくできる。また、接着剤の塗布領域も、発光部11からの射出された後第一反射鏡20aにより反射されて来る光や、発光部11から射出された後第二反射鏡30aを透過して来る光などの遮断をできるだけ少なくできる範囲内に留めるものとする。
(実施形態4)
図9は本発明の実施形態4に係る照明装置100Bの構成図である。照明装置100とは発光管10と第二反射鏡30dとの固定方法のみが異なる。これは、封止部13の外周に該外周面に対して隙間を有して巻線されたバネ40を利用して、第二反射鏡30dを封止部13に設けた突出部16に押圧固定したものである。突出部16は発光管10とは別に形成されたもので、発光部11の外周と第二反射鏡30dの反射面63との間に0.2mm以上の隙間Aを確保できる位置に設けられている。そしてバネ40は、第一反射鏡20fの開口端部の周囲に渡された2本またはそれ以上の引張線41により第二反射鏡30d及び突出部16側に押圧されている。このようにしても、発光管10に第二反射鏡30dを固定することができる。なお、バネ40が封止部13の外周に対して隙間を有して巻線されているため、封止部13が熱により膨張してもクリアランスがあるため問題にはならない。また、必要に応じて、第二反射鏡30dの固定に接着剤を併用してもよい。
(実施形態5)
図10は図9の構成を一部変更した本発明の実施形態5に係る照明装置100Cである。ここでは、バネ40を導電性巻線により構成し、該導電性巻線の一端をバネ40が配置されている側と反対側の封止部13から出るリード線15に配線42を介して電気的に接続し、バネ40を発光管10の始動時の絶縁破壊のトリガ線として作用させるようにしたものである。こうすることで、配線42を利用して第二反射鏡30fを発光管10に固定できると共に、発光管10の点灯性を向上させることができる。
以上説明した接着剤やバネに加えて、封止部13、第二反射鏡30fのいずれか又は両方に融着部を設けておき、それらをレーザーあるいはガスバーナーを用いて融着させることにより、封止部13に第二反射鏡30fを固着することもできる。レーザー使用の場合にはレーザー照射部分が黒化する場合もあるが、固着場所が封止部13なのでそれはここでは問題とならない。なお、先述した、発光管10、第一反射鏡20f、第二反射鏡30fのアライメント方法は、第二反射鏡30fの固定手段の相違にかかわらず照明装置100での製造方法を適用できる。
上記照明装置100,100A、100B、100C、100Dによれば、発光管10から出射された光の大部分を無駄にすることなく利用に供させることが可能となる。また、これらの照明装置は、装置の小型化、冷却性能の向上にも貢献する。
図11は上記いずれかの照明装置を備えたプロジェクタの構成図である。以下には照明装置100を搭載させたプロジェクタについて説明する。この光学系は、発光管10、第一反射鏡20a及び第二反射鏡30aからなる照明装置100と、照明装置100からの出射光を所定の光に調整する手段とを備えた照明光学系300と、ダイクロイックミラー382,386、反射ミラー384等を有する色光分離光学系380と、入射側レンズ392、リレーレンズ396、反射ミラー394,398を有するリレー光学系390と、各色光に対応するフィールドレンズ400,402,404及び光変調装置としての液晶パネル410R,410G,410Bと、色光合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム420と、投写レンズ600とを備えている。
次に、上記構成のプロジェクタの作用を説明する。まず、発光管10の発光部11の中心より後側からの出射光は、第一反射鏡20aにより反射されて照明装置100の前方に向かう。また、発光部11の中心より前側からの出射光は、第二反射鏡30aにより反射されて第一反射鏡20aに戻った後、第一反射鏡20aにより反射されて照明装置100の前方に向かう。
照明装置100を出た光は凹レンズ200に入り、そこで光の進行方向が照明光学系300の光軸1とほぼ平行に調整された後、インテグレータレンズを構成する第1レンズアレイ320の各小レンズ321に入射する。第1レンズアレイ320は、入射光を小レンズ321の数に応じた複数の部分光束に分割する。第1レンズアレイ320を出た各部分光束は、その各小レンズ321にそれぞれ対応した小レンズ341を有してなるインテグレータレンズを構成する第2レンズアレイ340に入射する。そして、第2レンズアレイ340からの出射光は、偏光変換素子アレイ360の対応する偏光分離膜(図示省略)の近傍に集光される。その際、遮光板(図示省略)により、偏光変換素子アレイ360への入射光のうち、偏光分離膜に対応する部分にのみ光が入射するように調整される。
偏光変換素子アレイ360では、そこに入射した光束が同じ種類の直線偏光に変換される。そして、偏光変換素子アレイ360で偏光方向が揃えられた複数の部分光束は重畳レンズ370に入り、そこで液晶パネル410R,410G,410Bを照射する各部分光束が、対応するパネル面上で重さなり合うように調整される。
色光分離光学系380は、第1及び第2ダイクロイックミラー382,386を備え、照明光学系から射出される光を、赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。第1ダイクロイックミラー382は、重畳レンズ370から射出される光のうち赤色光成分を透過させるとともに、青色光成分と緑色光成分とを反射する。第1ダイクロイックミラー382を透過した赤色光は、反射ミラー384で反射され、フィールドレンズ400を通って赤色光用の液晶パネル410Rに達する。このフィールドレンズ400は、重畳レンズ370から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル410G,410Bの前に設けられたフィールドレンズ402,404も同様に作用する。
さらに、第1ダイクロイックミラー382で反射された青色光と緑色光のうち、緑色光は第2ダイクロイックミラー386によって反射され、フィールドレンズ402を通って緑色光用の液晶パネル410Gに達する。一方、青色光は、第2ダイクロイックミラー386を透過し、リレー光学系390、すなわち、入射側レンズ392、反射ミラー394、リレーレンズ396、及び反射ミラー398を通り、さらにフィールドレンズ404を通って青色光用の液晶パネル410Bに達する。なお、青色光にリレー光学系390が用いられているのは、青色光の光路長が他の色光の光路長よりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ392に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ404に伝えるためである。なお、リレー光学系390は、3つの色光のうちの青色光を通す構成としたが、赤色光等の他の色光を通す構成としてもよい。
3つの液晶パネル410R,410G,410Bは、入射した各色光を、与えられた映像情報に従って変調し、各色光の画像を形成する。なお、3つの液晶パネル410R,410G,410Bの光入射面側、光出射面側には、通常、偏光板が設けられている。
上記の各液晶パネル410R,410G,410Bから射出された3色の変調光は、これらの変調光を合成してカラー画像を形成する色光合成光学系としての機能を有するクロスダイクロイックプリズム420に入る。クロスダイクロイックプリズム420には、赤色光を反射する誘電体多層膜と、青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に略X字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって赤、緑、青の3色の変調光が合成されて、カラー画像を投写するための合成光が形成される。そして、クロスダイクロイックプリズム420で合成された合成光は、最後に投写レンズ600に入り、そこからスクリーン上にカラー画像として投写表示される。
上記プロジェクタによれば、そこに用いられている発光管10、第一反射鏡20a及び第二反射鏡30aからなる照明装置100(又は100A,100B,100C,100D)のすでに説明した作用により、プロジェクタの小型化と高輝度化を共に達成することができる。
なお、上記実施形態では、透過型の液晶パネルを用いたプロジェクタを例に説明したが、本発明は、反射型の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等の光変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、それが光を反射するタイプであることを意味している。また、光変調装置は液晶パネルに限られるものではなく、例えば、マイクロミラーを用いた装置であってもよい。さらに、本発明の照明光学系は、観察する方向から投写を行う前面投写型プロジェクタにも、また、観察する方向とは反対側から投写を行う背面投写型プロジェクタにも適用可能である。

Claims (14)

  1. 電極間で発光が行われる発光部及び該発光部の両側に位置する封止部を有した発光管と、該発光管の長手方向において前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、
    前記発光管の構造及び前記第一反射鏡の貫通孔の構造によって定まる
    前記発光部の後側に出射される利用可能限界光の前記第一反射鏡の反射面の直径D1が、前記第二反射鏡の外側面の直径d1よりも大きく、かつ、前記第二反射鏡の外側面の直径d1は、前記利用可能限界光の前記第一反射鏡により反射された光の内側に入る大きさに設定され、
    前記第二反射鏡の反射面が前記発光部の前側ほぼ半分を包囲し、かつ、前記発光部中心から出射されて該第二反射鏡に入る入射光と該第二反射鏡の法線とが一致するように配置されていると共に、前記第二反射鏡が、前記封止部の外周に該外周面に対して隙間を有して巻線されたバネにより前記発光管の発光部近傍に押圧固定されていることを特徴とする照明装置。
  2. 電極間で発光が行われる発光部及び該発光部の両側に位置する封止部を有した発光管と、該発光管の長手方向において前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、
    前記発光管の構造及び前記第一反射鏡の貫通孔の構造によって定まる
    前記発光部の後側に出射される利用可能限界光の前記第一反射鏡の反射面の直径D1が、前記第二反射鏡の外側面の直径d1よりも大きく、かつ、前記第二反射鏡の外側面の直径d1は、前記利用可能限界光の前記第一反射鏡により反射された光の内側に入る大きさに設定され、
    前記第二反射鏡は、前記発光部中心から出射されて該第二反射鏡に入る入射光と該第二反射鏡の法線とが一致するように配置されており、
    前記電極の先端間距離をLe、前記電極先端間の中心F1から前記第二反射鏡の反射面の開口端面までの前記照明装置の光軸上の距離をLr、前記第二反射鏡の外側面の開口端部における直径をd2、前記第一反射鏡の反射面の開口端部における直径をD2、前記電極先端のうち前記第一反射鏡側の電極先端から前記第二反射鏡で遮られずに射出される光と前記照明装置の光軸を前記照明装置の後側へと延長させた直線とに挟まれた角度をθd、前記第一反射鏡の反射面の開口端部と前記第一反射鏡側の電極先端とを結ぶ線と前記照明装置の光軸を前記照明装置の後側へと延長させた直線とに挟まれた角度をθeとして、θdを式1で近似するとき、前記第一反射鏡の反射面の開口端部における直径D2が、θe>θdとなるような範囲にあると共に、前記第二反射鏡が、前記封止部の外周に該外周面に対して隙間を有して巻線されたバネにより前記発光管の発光部近傍に押圧固定されていることを特徴とする照明装置。
    θd=90度+tan-1{(Le/2+Lr)/(d2/2)}…式1
  3. 電極間で発光が行われる発光部及び該発光部の両側に位置する封止部を有した発光管と、該発光管の長手方向において前記発光部より後側に配置された第一反射鏡と、前記発光部より前側に配置された第二反射鏡とを備えた照明装置であって、
    前記発光管の構造及び前記第一反射鏡の貫通孔の構造によって定まる前記発光部の後側に出射される利用可能限界光の前記第一反射鏡の反射面の開口端部の直径D1が、前記第二反射鏡の外側面の直径d1よりも大きく、かつ、前記第二反射鏡の外側面の直径d1は、前記利用可能限界光の前記第一反射鏡により反射された光の内側に入る大きさに設定され、
    前記第二反射鏡は、前記発光部中心から出射されて該第二反射鏡に入る入射光と該第二反射鏡の法線とが一致するように配置されており、
    前記第二反射鏡の反射面の開口端部の直径d2が、前記電極間で発生するアークの前記第一反射鏡側のアーク端から前記第二反射鏡で遮られずに射出される光の境界光を反射できる大きさであると共に、前記第二反射鏡が、前記封止部の外周に該外周面に対して隙間を有して巻線されたバネにより前記発光管の発光部近傍に押圧固定されていることを特徴とする照明装置。
  4. 前記バネを導電性巻線により構成し、該導電性巻線の一端を前記バネが配置されている側と反対側の封止部から出るリード線に接続したことを特徴とする請求項1乃至3記載の照明装置。
  5. 前記第二反射鏡は前記発光部の外周に対して隙間を有して配置されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の照明装置。
  6. 前記第二反射鏡の反射面は、紫外線及び赤外線を通す誘電体多層膜により成形されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の照明装置。
  7. 前記第二反射鏡の反射面が、前記封止部の外径より大きな内径を有する管の端面研磨又はプレス成形により形成されてなることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の照明装置。
  8. 前記第二反射鏡の外側面は、その反射面側から入射した光を透過させる態様に成形されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の照明装置。
  9. 前記第二反射鏡の外側面は、その反射面側から入射した光を拡散反射させる態様に成形されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の照明装置。
  10. 前記第二反射鏡が、石英、透光性アルミナ、水晶、サファイア、YAG、蛍石のいずれかからなることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の照明装置。
  11. 前記発光部の外周面に反射防止コートを施してなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の照明装置。
  12. 前記第二反射鏡が、前記発光部の近傍において前記封止部の表面に接着剤により固着されていることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の照明装置。
  13. 前記接着剤がシリカ・アルミナ混合物又は窒化アルミを含む無機系接着剤であることを特徴とする請求項12記載の照明装置。
  14. 照明装置と、該照明装置からの光が入射され与えられた画像情報に応じて該入射光を変調する光変調装置を備えたプロジェクタにおいて、
    前記照明装置として請求項1乃至13のいずれかに記載された照明装置を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
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