JP3664468B2 - 照明用反射鏡およびそれを用いた照明装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、店舗照明やプロジェクタの光源に使用されるハロゲンランプ等の照明装置およびその反射鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、スポット的に使用される店舗照明やオーバーヘッドプロジェクタなどの投光照明の光源として、ガラス製などの凹面反射鏡内にハロゲン電球などを配設した照明装置が用いられている。このような照明装置の反射鏡は、光線の照射を受ける商品やフィルムの熱損を防止するため、反射鏡内面に熱線を透過し可視光線のみを反射させる誘電体多層膜からなる反射膜が被着されている。この誘電体多層膜は真空蒸着などの方法によって成膜される高屈折率物質と低屈折率物質との20ないし30層程度の交互層からなる。また、反射鏡の外凸側中央部には反射鏡と一体に突出して成形されたネック部が設けられ、この反射鏡の凹面側からネック部に連通する孔内に電球バルブを挿入して無機セメントなどの耐熱性接着剤によって接着固定した反射鏡付き電球が使用されている。
【0003】
このような反射鏡付き電球において、比較的弱い力が加わっただけで電球バルブが反射鏡から離脱してしまうという問題が指摘され、その対策として実公平5-31805号公報記載の反射鏡付き電球が考案された。実公平5-31805号公報によれば、上記したような構造の反射鏡付き電球では、反射鏡内面の反射膜が蒸着時にネック部内側にまで被着し、この反射膜の上にセメントによって電球が接着されるため、反射膜の介在によって反射鏡ネック部と電球バルブとの接着強度が弱くなりやすいことが指摘されている。また、ガラス製反射鏡を形成しているガラス中の水分が電球の点灯に伴う温度上昇によりガラス中から放出され、この水分がセメントに伝播するとセメントが劣化することが示唆されている。
【0004】
このため実公平5-31805号公報記載の反射鏡付き電球では、反射鏡ネック部の内面に膜厚0.6μm以下の反射膜を形成することによって、ランプ点灯時反射鏡ガラスから放出される水分が反射膜の存在によりセメントに伝播するのを抑制でき、セメントの反射鏡ネック部内面からの剥離を防止するとともにネック部内面膜厚が厚くなると生じる接着強度の低下、剥離不良の発生を抑えられるようにしている。そして、反射鏡ネック部の内面膜厚を0.6μm以下にする方法として、ネック部内面に金属などの遮蔽体を設けて反射膜を蒸着する方法、蒸着源のネック部内面に該当する部分に遮蔽体を設ける方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通常、本発明に係るような反射鏡は、凹面ガラス基板に真空蒸着またはスパッタリングによって誘電体多層膜が成膜されるため、反射面部とネック部には同時に成膜され、反射面部からネック部内面まで反射膜は連続的に形成されている。
【0006】
一方、この種の多層膜反射鏡の耐久性評価として、400℃から600℃の耐熱試験、沸騰水中への浸漬試験、ランプ実装による連続点灯または点消灯サイクル試験などが行われている。これらの試験の結果、上記のように反射面部とネック部内面の膜厚差が大きいものは、反射面側のネック部入口にあたる角部から反射膜に微小クラックが発生しやすいことがわかってきた。微小クラックが発生したものを詳細に観察すると、ガラス基板の反射面とネック部との境界となるエッジ部からその上に被着された反射膜のエッジ方向またはガラス基板のエッジ部からガラス基板の反射面を延長したネック部内表面に向けて膜クラックが発生しているものが多い。この微小クラックの発生は、冷熱サイクル等で膜が膨張収縮を繰り返すうちに応力集中が起こりやすい角部に負荷がかかり、その応力を緩和するためにクラックが発生すると考えられ、膜の弱い方向に向かって伸長したものと思われる。
【0007】
このネック部入口にあたる部分は、実際の点灯時にも熱源となる光源バルブに最も近い位置にあり、熱的負荷が大きいことから、長期間使用した場合、点消灯による熱サイクル、環境水分等の影響で微小クラックは拡大し、反射面部への膜クラックの拡大、膜の剥離等の問題に発展する場合がある。また、ネック部側においても膜クラック、膜の剥離が進展すれば、反射鏡ネック部と電球バルブとの接着強度低下の原因となる。
【0008】
上述のとおり、本発明に係るような反射鏡は、凹面ガラス基板に真空蒸着またはスパッタリング等の方法によって誘電体多層膜が成膜されるため、特に何の手段も講じないで成膜を行った場合には実公平5-31805号公報記載のように反射鏡ネック部内面にも比較的厚く反射膜が成膜される。このため、実公平5-31805号公報においては遮蔽体を用いた上記の方法によって反射鏡ネック部内面への膜被着を制限して膜厚が0.6μm以下になるように制御している。しかし、真空蒸着やスパッタリング等の真空成膜法では反射鏡基板を真空槽内に収容し、100〜300℃程度に加熱して成膜が行われるため、使用できる遮蔽体材料は、この加熱温度で変形・変質を起こさず、かつ真空槽内の減圧下において揮発・昇華・ガス放出などのないものである必要があり、繰り返し使用を前提とすると金属などの固体材料に限定されてしまう。したがって、反射鏡ネック部内面に金属などの遮蔽体を設ける方法では、成膜後に遮蔽体を取り外す際に反射膜に傷を付けやすく、膜クラックの原因になるうえ、反射鏡基板1個ごとに遮蔽体の取り付け、取り外しが必要になり、作業効率が極めて低く製品コストの上昇を招く。また、蒸着源のネック部内面に該当する部分に遮蔽体を設ける方法は、多数の反射鏡基板を真空槽内のベルジャに取り付けて行う量産規模の成膜装置には適用し難い問題がある。
【0009】
本発明は以上のような事情を考慮してなされたもので、ランプの点消灯を繰り返す経時変化によっても膜クラックおよびそれに起因する膜剥離を生じにくく、反射鏡ネック部とランプバルブとの耐熱性接着剤による接着強度を強く保つことができ、しかもその加工が容易で低コストでの量産化が可能な照明用反射鏡及び照明装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内面に誘電体多層膜が形成されたガラス製凹面反射鏡と、このガラス製凹面反射鏡の外凸側に一体的に形成されたネック部とを備えた照明用反射鏡において、前記ネック部の内面に誘電体薄膜が被着されており、その膜厚はネック部の反射鏡側が厚く、ネック部末端側が薄くなるように被着されていることを特徴とする照明用反射鏡である。
【0011】
また、前記ネック部の内面に被着された誘電体薄膜の膜厚が、ネック部横断面周方向に交互に凹凸を繰り返す膜厚分布を有することを特徴とする照明用反射鏡である。
【0012】
また、前記ネック部の内面に被着された誘電体薄膜の膜厚分布を等厚線で表わした場合に、その等厚線がネック部の深さ方向に振幅を有する波状分布となっていることを特徴とする照明用反射鏡である。
【0013】
本発明の照明用反射鏡においては、前記ネック部の内面に被着された誘電体薄膜の膜厚が反射鏡内面の基準膜厚に対して、ネック部の反射鏡側入口付近で25%以上50%以下であり、ネック部末端側で25%未満であることが好ましい。
【0014】
このように構成された反射鏡においては、従来のものに比較してネック部入口角部からの微小クラック、特に反射鏡基板のエッジ部からガラス基板の反射面を内周方向に延長したネック部内表面側に環状に生じる膜クラックの発生が抑えられる。このように生じる膜クラックは、熱的負荷によって膜にかかる応力の大きさと方向に関係する。膜応力を緩和させるには、相対的に膜厚は薄い方が望ましいが、反射面部の膜厚は所望の分光反射特性を得るために必要な積層数、つまり膜厚が定められてしまうため、多層膜を構成する高屈折率物質及び低屈折率物質を特定物質に固定した場合には分光特性を犠牲にすることなしに膜厚を薄くすることはできない。
【0015】
本発明において、このようなエッジ部の膜クラック発生が抑えられる理由は明確ではないが、エッジ部付近のネック内膜厚を比較的厚くしたことで物理的に膜が補強され、また反射面部とネック部との膜厚差が縮小されて膜強度の弱い部分への応力集中が緩和されるためと考えられる。
【0016】
また、本発明者らの調査によると、反射鏡から光源バルブが容易に抜け落ちる原因の一つに、ガラス製反射鏡に対する誘電体多層膜の付着力よりも膜とセメント等の接着剤との付着力が大きいため、セメントの収縮などにより膜がセメントに付いて反射鏡から剥れてしまう現象も観察された。この現象は膜厚が厚いほど顕著であり、多層膜の層間剥離によるものも観察されている。この原因に対しては、接着剤の改良、選択によりある程度回避することが可能となっている。本発明ではネック部の反射面側で相対的に膜厚が厚く形成されていることから、この部分での上記現象の発生が予想されるが、実際には光源バルブの接着に使用する接着剤は、反射面部への付着を嫌ってネック部の反射面側数分の一を残して充填されるため、ネック部内で相対的に膜厚が厚い部分では接着剤と膜とは接しないので問題にはならない。
【0017】
さらに、本発明の反射鏡では一定期間使用後においても従来の反射鏡より反射鏡と光源バルブとのより強い接着強度を得ることができる。この理由として以下のことが考えられる。ひとつは、上記のようにエッジ部での膜クラック発生の減少により、この部位から生ずる環境水分の浸入や膜剥離が減少することである。他の理由としては、ネック部内面の膜厚が反射面側からネック部末端側に向かって薄くなるように形成されていることである。ネック部内面に被着した多層膜が反射面部と同様均一に規則正しく成膜されていると、たとえば、上記エッジ部に生じた微小クラックに起因して最も弱い層間に剥離を引き起こし、それが層間に沿って進展する場合がある。ところが、膜厚が均一でない場合には、膜厚が薄くなるにしたがって層間が明確でなくなってくるため、層間を伝わってきた剥離現象は途中で膜外へ到達するか進展が止まり、そこより先に剥離の影響が及ばない。このため、ネック部奥側の部分では初期の接着状態が維持される。
【0018】
しかも本発明に係る反射鏡のネック部内面ではネック部の反射面側から末端まで各層が均一に膜厚を漸減させているわけではなく、膜の被着状態に上述のような不均一性を持たせているため、ネック部内全体にわたる膜剥離が進展しにくいものと考えられる。
【0019】
特にネック部断面形状が四角形などのコーナーを有するものでは、コーナー部分で蒸着物質が被着し難く、平面部分の方が成膜し易い特性を利用して、膜厚分布を等厚線で表わした場合、図5に示すように各平面部中央でよりネック部末端側にまで成膜が進んだ波状分布とすることができる。このため仮にネック部入口方向から層間剥離が生じても、剥離の到達位置がネック部の深さ方向に対して一定でなく、各コーナー部における接着状態は比較的強固なまま維持されるので、長期間にわたって反射鏡ネック部と接着剤及び光源バルブ間の剥離を防止することができる。
【0020】
なお、本発明においてネック部の内面に被着された誘電体薄膜の膜厚を反射鏡内面の基準膜厚に対して、ネック部の反射鏡側入口付近で25%以上50%以下、ネック部末端側で25%未満とした理由は次のとおりである。誘電体多層膜反射鏡においては使用する高屈折率物質と低屈折率物質との屈折率差により所望の分光反射特性を得るために必要な積層数が異なり、これに伴って膜厚も異なるため、ネック部内面の膜厚を反射鏡内面の基準膜厚に対する相対値として表わした。ネック部の反射鏡側入口付近の膜厚が反射鏡内面基準膜厚の25%未満では両者の相対的膜厚比が大きくなりすぎて上述したエッジ部の膜クラック抑制効果がなく、50%を越えて成膜しようとすると反射鏡内面の成膜状態に悪影響を与え、所望の光学特性を損なう。好ましくは30%以上45%以下である。またネック部末端側で25%以上になると上述した膜剥離の抑制作用が弱く、長期間安定した接着状態を維持できないためである。好ましくは20%以下である。また、ここで言うネック部内膜厚の相対値は、上述のようにネック部横断面方向に膜厚分布を有するものにおいては、横断面内の再厚部での膜厚とを対比している。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る反射鏡の断面図、図2は同反射鏡のネック部を拡大して模式的に表わした断面図である。ガラス製の反射鏡1は前方に拡開した反射面部2とその外凸側に一体に形成されたネック部3とを有している。この反射鏡1の内面には、ZnS,TiOなどの高屈折率物質とMgF,SiOなどの低屈折率物質とを交互に積層した誘電体多層膜4が被着され、前記反射面部2からネック部3内面にまで成膜されている。反射面部2における誘電体多層膜4は、反射鏡1の内面に設けられる光源からの光に対し、赤外線を透過し可視光線を反射するようその各層が所定波長の1/4λとなるようにたとえば合計20〜30層積層され、その結果反射面部2の膜厚は1.5〜2.4μm程度となっている。またネック部3内面では、反射面部2に近い部位たとえばネック部3開口端31から光軸方向に2mmの位置で0.4〜0.85μm、ただし、反射面部2の膜厚に影響されるため、前記反射面部2膜厚の25〜45%、ネック部3末端側たとえばネック部3内面終端32から光軸方向に2mmの位置で0.25〜0.6μm、すなわち前記反射面部2膜厚の10〜25%となっている。
【0022】
図3に図1の反射鏡1のA−A断面図を示す。図3において、断面がおよそ四角形のネック部3内面の各頂点を順にa,b,c,dとしたときの前記A-A断面に沿った膜厚変化のイメージを示したものが図4である。図4に示すように本発明に係る反射鏡1では、各頂点近傍で膜厚が薄く、各頂点間で膜厚が厚くなっており、つまりネック部3横断面周方向に交互に凹凸を繰り返す膜厚分布を有している。
【0023】
また、図5にネック部3の展開図を示す。ネック部3内面に被着した誘電体膜は、その膜厚分布により膜厚の変化が干渉縞となって現れるが、この干渉縞を模式的に表わしたものが図5である。図5に示すように本発明に係る反射鏡1では、ネック部の内面に被着された誘電体薄膜の膜厚分布を等厚線で表わした場合に、その等厚線がネック部の深さ方向に振幅を有する波状分布となっている。
【0024】
本発明に係る反射鏡は、次のような方法で作成することができる。まず、反射鏡基板を真空装置内において傾斜状に支持され自転と公転とを同時に行えるプラネタリ方式のドーム形状のベルジャ上に配置して蒸発する物質がネック部内面に蒸着できるように設定する。このときベルジャ面の支持角度を通常より若干立ち気味に設定する。反射面部2に対してネック部は開口が狭いため、ベルジャの自公転に伴う蒸着源に対する角度変化により、ネック部3の反射面側が蒸着源に対向する時間が長く、ネック部3末端側はネック部3対向面に遮られて短くなる。これによりネック部3反射面側の膜厚を厚く、末端側の膜厚を薄く成膜することができる。また、同時に真空装置内にアルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガスを導入して蒸発物質を拡散させ、ネック部3への付着を妨害し反射面部2に対してネック部3膜厚を相対的に薄くすることができる。このとき蒸着源とベルジャつまり反射鏡基板との間の空間に適切な形状の補正板を配設することも有効な手段である。
【0025】
他の方法として、特開平10-287976号公報記載の装置を使用することも可能である。すなわち、真空装置内に設けられワークを公転させるためのリングギヤと、このリングギヤに取り付けられ一端側にワーク保持部、他端側に摩擦車を備えた上下方向に揺動可能に支持される回転軸を有するワーク保持機構と、真空装置内に固定された凹凸状の連続曲面からなる高低差をもつ環状走路とを備え、リングギヤの回転にともなって前記摩擦車を環状走路上で走行させることによりワークを上下に揺動させつつ自公転可能とした真空成膜装置のワークとして反射鏡基板を保持させる。このとき、反射鏡基板はその光軸と前記回転軸の回転中心とを一致させて保持し、前記回転軸は蒸着源と回転軸の支点とを結ぶ直線より常にワークが上方かつ水平以下となるように角度設定する。そして、上記と同様反射鏡1ネック部3が水平方向に近くなる保持時間を長くするように前記環状走路を設定することにより、ネック部3の反射面側が蒸着源に対向する時間が長くなりネック部3内に上記のような膜厚分布を形成することが可能となる。この方法においても必要に応じて不活性ガス導入、補正板使用を行うことができる。
【0026】
このような成膜方法を行うと、ネック部と同様、反射面部においてもネック部側に対してフランジ側の膜厚を厚く被着し易い利点がある。通常の成膜法では、内面が曲率を有する反射鏡に均一な光学膜厚を得ることが困難であり、ネック部側が厚く、フランジ側が薄く成膜される。しかも誘電体多層膜反射鏡では光線の入射角が大となるにしたがって入射光に対し反射光が短波長側にずれる欠点がある。つまり従来の反射鏡では光源との位置関係から、反射面ネック部側からの反射光に比較してフランジ側からの反射光の波長が短波長側にずれて、投射面の中心と外側では色調が異なることになる。これに対し、反射面ネック部側に対してフランジ側の膜厚を厚くすると、反射波長がほぼ等しくなって照射光の色調バラツキが解消され均一な照明とすることができる。なお、このように反射面部に膜厚差があるものにおいて、本発明における反射鏡内面の基準膜厚は、所定の光学膜厚となっている反射面部ネック部側の膜厚とする。
【0027】
以上のように構成された反射鏡1は、図6に示すように、そのネック部3にハロゲン電球5などの光源バルブを挿入固定して照明装置として使用される。前記ハロゲン電球5は、ガラスバルブ51内にフィラメント52を保持したリード53が気密に封止されたガラスバルブ51後端の圧潰封止部54を介して端子ピン55に接続されており、この端子ピン55を反射鏡1ネック部3の終端32から突出させるようにハロゲン電球5をネック部3に挿入し、セメントなどの耐熱性接着剤6によって接着固定される。
【0028】
本発明に係る反射鏡1を電気炉内に収容し500℃の温度で5分間保持した後、電気炉から取出して室温で自然放冷させるサイクルを5回繰り返す耐熱試験を実施した。この結果、従来品では反射面部2とネック部3との境界付近に膜クラックが発生したのに対し、本発明に係る反射鏡1では膜クラックが発生したものもあったが、その発生率は従来品の半数以下であった。
【0029】
また、上記のように反射鏡1にハロゲン電球5を接着固定した照明装置について、その接着強度を測定した。測定は圧縮試験機を用い、反射鏡1を伏せてネック部3後端から突出した端子ピン55に圧縮力を加えハロゲン電球5が外れた強度を測定した。この結果、本発明に係る反射鏡を用いた照明装置は、500N以上の接着強度を有していた。
【0030】
次いでこの照明装置を16時間点灯、8時間消灯のサイクルを125回繰り返す点消灯試験を実施した後、上記と同様に接着強度を測定した。この結果、従来品では接着強度が急激に低下していたのに対し、本発明に係る反射鏡を用いた照明装置でも接着強度は低下していたが300N以上であり、ランプ寿命に対して実用上充分な強度が維持されていた。
【0031】
【実施例】
上記したプラネタリ方式の成膜方法を適用してガラス製反射鏡基板に高屈折率物質としてZnS、低屈折率物質としてMgFを交互に22層真空蒸着により積層した本発明の実施例に係る反射鏡1を作成した。このとき反射鏡基板の保持角度等を変えてネック部3内面膜付着状態の異なるものも作成した。作成した反射鏡1の反射面部2膜厚はほぼ2μmであった。また、比較のため蒸着物質、積層数(反射面部2膜厚)を前記実施例と同じにした次のような反射鏡を真空蒸着により作成した。
比較例▲1▼:従来方法によって成膜したもので、ネック部3内面にほぼ一様に比較的厚い膜が成膜されたもの。
比較例▲2▼:蒸着時に反射鏡ネック部3にアルミニウム製遮蔽体を嵌挿して蒸着を行い、ネック部3内面にほぼ一様に薄い膜が成膜されたもの。
比較例▲3▼:実施例の成膜方法において、反射鏡基板の基準保持角度をより水平方向に近づけて設定し、ネック部3反射面側での膜厚を厚く成膜したもの。
【0032】
作成した反射鏡についてネック部3内面の膜厚を測定した。測定した箇所はネック部3内面後端から2mm,5mm,8mmの3点で、この結果を表1に示す。なお、反射鏡1のネック部3内面後端から反射面側ネック部3開口端までの長さは10mmであった。また、以上の実施例及び比較例について上述した耐熱試験を行うとともにハロゲン電球を反射鏡1ネック部に接着固定して反射鏡付きハロゲンランプを作成し点消灯試験前後での接着強度を測定した。この結果も合わせて表1に示す。なお、表中の値は各サンプル20個の平均値である。
【0033】
【表1】
Figure 0003664468
【0034】
表1の結果から明らかなように実施例の反射鏡および同反射鏡を使用した反射鏡付きハロゲン電球は、接着強度が従来品よりも強く、点灯試験後の強度低下も小さくなっており、耐熱試験での膜クラック発生率が低い。これに対し比較例▲1▼は接着強度が弱く、点灯試験後では100N以下に低下しているものもあった。また比較例▲2▼は接着強度が本実施例と同等であったが、点灯試験後の低下幅が大きく、耐熱試験での膜クラック発生も多かった。比較例▲3▼は接着強度において実施例と遜色ない結果であったが、反射面膜厚に不要な変化を生じ照射光に色ムラを生じていた。また上記実施例の反射鏡を用いたランプでは比較例▲2▼,▲3▼と比べて投射光の中心と外縁部との色調バラツキがなく反射光色が均一であった。
【0035】
なお、上記実施例の他に誘電体多層膜の積層数を変えて同様に比較した結果、また誘電体多層膜の構成を高屈折率物質としてTiO、低屈折率物質としてSiOとして同様に試験した結果においても本発明の要件を満たしているものは、上記実施例と同様膜クラックが発生しにくく点灯試験後の接着強度低下も小さかった。
【0036】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、経時変化によって生ずる膜クラック及びそれに起因する膜剥離を生じにくく、反射鏡ネック部とランプバルブとの接着強度を長期間にわたり強く維持することができる。また、本発明の反射鏡は従来から使用されている成膜装置を利用して量産規模での生産が可能なため、低コストで特性の改善された製品を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガラス製反射鏡の断面図。
【図2】図1の反射鏡ネック部の模式的拡大断面図。
【図3】図1の反射鏡におけるA−A断面図。
【図4】ネック部内面の膜厚分布を示す説明図。
【図5】ネック部内表面における膜厚分布を示すネック部の展開説明図。
【図6】本発明に係るガラス製反射鏡を用いた照明装置の断面図。
【符号の説明】
1…反射鏡、2…反射面部、3…ネック部、4…誘電体多層膜、
5…ハロゲン電球、51…ガラスバルブ、52…フィラメント、53…リード、
54…圧潰封止部、55…端子ピン、6…接着剤

Claims (5)

  1. 内面に誘電体多層膜が形成されたガラス製凹面反射鏡と、このガラス製凹面反射鏡の外凸側に一体的に形成されたネック部とを備えた照明用反射鏡において、前記ネック部の内面に誘電体薄膜が被着されており、その膜厚はネック部の反射鏡側が厚く、ネック部末端側が薄くなるように被着されていることを特徴とする照明用反射鏡。
  2. 前記ネック部の内面に被着された誘電体薄膜の膜厚が反射鏡内面の基準膜厚に対して、ネック部の反射鏡側入口付近で25%以上50%以下であり、ネック部末端側で25%未満であることを特徴とする請求項1記載の照明用反射鏡。
  3. 前記ネック部の内面に被着された誘電体薄膜の膜厚が、ネック部横断面周方向に交互に凹凸を繰り返す膜厚分布を有することを特徴とする請求項1または2に記載の照明用反射鏡。
  4. 前記ネック部の内面に被着された誘電体薄膜の膜厚分布を等厚線で表わした場合に、その等厚線がネック部の深さ方向に振幅を有する波状分布となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明用反射鏡。
  5. 請求項1ないし4に記載の照明用反射鏡のネック部に光源バルブを接着固定してなる照明装置。
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