JPH06111613A - 多層コーティング反射鏡の製造方法 - Google Patents

多層コーティング反射鏡の製造方法

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JPH06111613A
JPH06111613A JP4255086A JP25508692A JPH06111613A JP H06111613 A JPH06111613 A JP H06111613A JP 4255086 A JP4255086 A JP 4255086A JP 25508692 A JP25508692 A JP 25508692A JP H06111613 A JPH06111613 A JP H06111613A
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JP
Japan
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weight
parts
reflecting mirror
coating
coating material
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Application number
JP4255086A
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English (en)
Inventor
Yukio Shimada
幸雄 嶋田
Kazuo Seto
和夫 瀬戸
Minoru Inoue
井上  稔
Motomasa Haruna
基全 春名
Yuichi Morikawa
祐一 森川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 下地層の塗膜形成が容易であり、300℃以
上の高耐熱性を有するとともに、塗装条件によらず、3
00℃でクラックが発生することのない多層コーティン
グ反射鏡を得ることのできる方法を提供する。 【構成】 基体の表面に下地層、光輝性金属層、無機化
合物保護被膜層を順次形成して反射鏡を製造するにあた
り、前記下地層の形成を、(A)一般式Si(OR′)
4 で表されるケイ素化合物および/またはコロイド状シ
リカ20〜200重量部、(B)一般式RSi(O
R′)3 で表されるケイ素化合物100重量部、(C)
一般式R2 Si(OR′)2 で表されるケイ素化合物0
〜60重量部(ここで、RおよびR′は互いに独立に1
価の炭化水素基を表す)が配合されていてさらに(D)
平均粒径10〜300nmの金属化合物微粒子5〜100
重量部が分散されているコーティング材を用いて行うよ
うにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、照明器具等に利用さ
れる多層コーティング反射鏡を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】屋外スポーツ競技場の照明、工場照明、
道路照明、広場照明等に用いられ、HID光源(高輝度
照明ランプ)を備えた照明器具の反射鏡には、高い鏡面
性(反射率)を有すること、ランプの輻射熱による高温
に耐え得ること、および、湿気や腐食性ガスに対する耐
性の良いこと等が求められる。このような要求を満足さ
せ、さらに反射鏡の反射率を上げるために、金属基材の
表面に下地層となる耐熱性樹脂を焼き付けて表面を平滑
にした後、その上にAl等のような光輝性金属、およ
び、SiO2 等のような酸化物保護被膜を順次蒸着した
反射鏡が提案されている。このような高耐熱性の多層コ
ーティング反射鏡の具体例としては、下記(a)〜
(c)の反射鏡がある。
【0003】(a)金属基材の表面に形成する下地層の
耐熱性樹脂として高アリールシリコン樹脂を焼き付け、
その上に光輝性金属および光透過性セラミックを順次真
空コーティングした反射鏡(特開昭55−65902号
公報等参照)。 (b)下地層を形成するための塗料(以下、「下地塗
料」と記す)として、熱硬化型アクリル系樹脂を主成分
とする塗料を用いた反射鏡(特開昭59−98842号
公報等参照)。
【0004】(c)(A)一般式Si(OR′)4 で表
されるケイ素化合物および/またはコロイド状シリカ2
0〜200重量部、(B)一般式RSi(OR′)3
表されるケイ素化合物100重量部、(C)一般式R2
Si(OR′)2 で表されるケイ素化合物0〜60重量
部(ここで、RおよびR′は互いに独立に1価の炭化水
素基を表す)が配合されてなるコーティング材を下地塗
料として用いた反射鏡(特開平3−139601号公報
参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年、前述したHID
ランプ等の出力が増加するにつれて、反射鏡に対して、
300℃以上のより高い耐熱性が要求されるようになっ
てきた。ところが、前述した従来の多層コーティング反
射鏡には、以下の問題があった。
【0006】前記(a)の反射鏡の場合、耐熱性は優れ
ているが、下地層に使用している耐熱性樹脂の焼き付け
温度が高く、その焼き付け工程も複雑になるため、コス
ト的に不利である。前記(b)の反射鏡の場合、下地塗
料が、低温で焼き付けができ、処理工程が簡単で、しか
も耐熱性に優れているとされているが、耐熱性樹脂とし
て熱硬化型アクリル系樹脂を用いているため、200〜
300℃で熱劣化が起こり、光輝性金属層および保護被
膜の剥がれが発生するという欠点があり、高出力ランプ
には適用できない。
【0007】前記(c)の反射鏡の場合、下地層の塗膜
形成が容易であり、上記(b)の反射鏡のような欠点が
なく、300℃以上の高耐熱性を有するものの、下地層
の塗装膜厚が厚くなると、300℃でクラックが発生す
ることがあるという問題があった。そこで、この発明
は、下地層の塗膜形成が容易であり、300℃以上の高
耐熱性を有するとともに、塗装条件によらず、300℃
でクラックが発生することのない多層コーティング反射
鏡を得ることのできる方法を提供することを課題とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明にかかる多層コーティング反射鏡の製造方
法は、基体の表面に下地層、光輝性金属層、無機化合物
保護被膜層を順次形成して多層コーティング反射鏡を製
造するにあたり、前記下地層の形成を、(A)一般式S
i(OR′)4 で表されるケイ素化合物および/または
コロイド状シリカ20〜200重量部、(B)一般式R
Si(OR′)3 で表されるケイ素化合物100重量
部、(C)一般式R2 Si(OR′)2 で表されるケイ
素化合物0〜60重量部(ここで、RおよびR′は互い
に独立に1価の炭化水素基を表す)が配合されてなるコ
ーティング材を用いて行う多層コーティング反射鏡の製
造方法において、前記コーティング材中に、さらに
(D)平均粒径10〜300nmの金属化合物微粒子5〜
100重量部が分散されていることを特徴とする。
【0009】まず、以下に、この発明において反射鏡の
下地層を形成するために用いられるコーティング材(以
下、特に断らない限り、単に「コーティング材」と記
す)について説明する。このコーティング材中には、下
記一般式(1)で表されるケイ素化合物が含まれてい
る。
【0010】Rn Si(OR′)4-n …(1) 〔式(1)中、RおよびR′は互いに独立に1価の炭化
水素基を表し、nは0〜2の整数である。〕上記一般式
(1)中のRとしては、特に限定はされないが、たとえ
ば、炭素数1〜4のアルキル基およびフェニル基、また
は、アミノ基、アクリル基等を含んでいるもの等が好ま
しく用いられる。R′としては、特に限定はされない
が、たとえば、炭素数1〜4のアルキル基等が好ましく
用いられる。そして、前記一般式(1)におけるnの値
が異なる(A)成分(n=0)、(B)成分(n=
1)、(C)成分(n=2)を前記所定の配合割合で組
み合わせて用いる。ただし、(A)成分については、コ
ロイド状シリカに置き換えてもよいし、コロイド状シリ
カと併用してもよい。(A)成分、(B)成分および
(C)成分として用いられるケイ素化合物は、各成分に
おいて、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用し
てもよい。
【0011】コーティング材は、たとえば、各原料ケイ
素化合物成分を適当な溶剤で希釈し、そこに、(D)成
分の金属化合物微粒子、硬化剤としての水、および、必
要に応じ触媒を添加し、攪拌する等して、上記ケイ素化
合物成分を加水分解し、縮重合反応させることによって
調製される。その際、安定した性能を得るためには、生
成するケイ素化合物のプレポリマーの分子量分布が、分
子量重量平均Mwがポリスチレン換算で500〜300
0、この分子量重量平均Mwと分子量数平均Mnとの比
がMw/Mn=1.0〜3.0となるように調製するこ
とが好ましい。より好ましくは、Mwがポリスチレン換
算で700〜2000、Mw/Mn比が1.2〜1.8
である。
【0012】プレポリマーの分子量分布が、前記範囲よ
りも小さな値になると、縮重合の際の硬化収縮が大きく
なる傾向にあり、焼き付け後に塗膜にクラックが発生し
やすくなる傾向にある。また、プレポリマーの分子量分
布が、前記範囲よりも大きな値になると、反応が遅くな
りすぎて硬化しにくくなったり、硬化しても軟らかい塗
膜しか形成できなかったり、塗膜のレベリング性が非常
に悪いものとなったりする傾向にある。
【0013】コロイド状シリカは、微粒子シリカ成分が
水またはメタノール等の有機溶剤に分散されたものであ
り、その粒径や溶剤の種類等は、特に限定されず、通常
のものが使用できる。具体的には、市販品として、メタ
ノールシリカゾル(MA−ST)、イソプロパノールシ
リカゾル(IPA−ST)、n−ブタノールシリカゾ
ル、スノーテックスO、スノテックスUP(以上、いず
れも日産化学工業製の商品名)、OSKAL1232、
OSKAL1432、OSKAL1454、OSKAL
1622、OSKAL1722(以上、いずれも触媒化
成工業製の商品名)等が例示される。これらのコロイド
状シリカは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併
用してもよい。なお、コロイド状シリカを用いる場合、
前記(A)成分の配合割合は、分散媒を含む重量部割合
である。
【0014】硬化剤としては、水が用いられるが、その
量としては、コーティング材に対して45重量%以下の
割合で用いることが好ましく、25重量%以下の割合で
用いることがより好ましい。前記(A)、(B)、
(C)の成分に加えて用いられる(D)成分は、平均粒
径10〜300nmの金属化合物微粒子である。その配合
量は、(B)成分100重量部に対して5〜100重量
部、好ましくは5〜80重量部である。
【0015】(D)成分として用いられる金属化合物微
粒子としては、特に限定はされないが、たとえば、硫酸
バリウム、酸化チタン、炭酸カルシウム、アルミナ等が
挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよいし、2
種以上を併用してもよい。(D)成分の分散方法として
は、特に限定はされないが、たとえば、湿式ミルを用い
て分散させる方法、各種分散剤、界面活性剤、増粘剤等
を適宜加えて分散させる方法等が挙げられる。(D)成
分の分散時機についても、特に限定はされず、原料ケイ
素化合物成分の加水分解と縮重合反応の前でも後でも構
わない。(D)成分は、後で述べる希釈溶剤中に予め分
散させたものを(A)、(B)、(C)の各成分に配合
するようにしてもよいし、また、高濃度に分散したもの
を用いるマスターバッチ式のものであってもよい。
【0016】コーティング材の希釈溶剤として用いるこ
とのできる溶剤としては、特に限定はされないが、たと
えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール(以
下、IPAとも言う)、イソブタノール(以下、IBA
とも言う)等のアルコール、エチルセロソルブ、ブチル
セロソルブ、エチレングリコール、エチレングリコール
モノメチルエーテル等が挙げられる。これらは、1種の
みを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ただ
し、希釈溶剤として、メタノール等の低沸点溶剤を多量
に用いると、塗布直後から蒸発潜熱のために表面が冷却
され過ぎ、塗膜上に空気中の水分が結露することによ
り、表面にごく小さな穴を無数に持つ塗膜になってしま
う、このような塗膜の上に金属膜を形成させた場合、鏡
面性が低下するため、反射鏡の特性上、好ましくない。
したがって、希釈溶剤としては、低沸点の溶剤の使用量
を少なくし、好ましくは80℃以上の沸点を持つ溶剤、
たとえば、IPA、IBA、エチルセロソルブ等を多く
用いることが好ましい。
【0017】前述したプレポリマーの分子量の範囲内で
安定してコーティング材を使用するためには、コーティ
ング材のpHは、3.8〜6.0の範囲に調整されている
ことが好ましい。pHが上記範囲を外れると、コーティン
グ材の安定性が悪くなり、コーティング材を作製してか
らの使用可能な期間が限られてしまうからである。コー
ティング材のpHの調整方法としては、特に限定はされな
いが、たとえば、コーティング材の各原料を混合した時
に、pHが3.8未満になった場合には、アンモニア等の
塩基性試薬を用いてpHを上げるようにすればよく、pHが
6.0を超える場合、塩酸等の酸性試薬を用いてpHを下
げるようにすればよい。また、pH値によっては、分子量
が小さいままで反応が進まず、前記分子量範囲まで到達
させるのに時間がかかる場合があるが、その場合には、
コーティング材を加熱して反応を促進してもよいし、酸
性試薬でpH値を下げて反応を進めた後、塩基性試薬で所
定範囲のpH値に戻すことも可能である。
【0018】コーティング材には、上述した各配合成分
の他、必要に応じて、各種着色剤、前記シリカゾル以外
の充填剤(たとえば、アルミナゾル、ヒュームドシリ
カ)や界面活性剤、増加剤、紫外線吸収剤等を適宜加え
ることもできる。また、塗装後の乾燥および焼き付け処
理条件については、特に限定はされないが、たとえば、
60〜200℃程度の温度で行うことが好ましい。
【0019】この発明にかかる多層コーティング反射鏡
の製造方法は、前述したように、基体の表面に下地層、
光輝性金属層、無機化合物保護被膜層を順次形成して多
層コーティング反射鏡を製造するにあたり、前記下地層
の形成を、上に述べたコーティング材を用いて行う方法
である。基体の構成材料としては、特に限定はされない
が、たとえば、アルミニウム等の金属製のもの等が挙げ
られる。基体の形状についても、特に限定はされず、た
とえば、椀形曲面状、単なる平板状等、適当な反射面を
構成するように成形されたものでよい。
【0020】下地層の上に形成される光輝性金属層に用
いられる光輝性金属としては、特に限定はされず、たと
えば、Al、Ag、Cr、Ni等、通常の反射鏡に用い
られている材料が使用できる。これらの中でも、反射
率、コスト、蒸着の容易さ等の点からは、Alが実用的
に最も優れている。光輝性金属層の上に形成される無機
化合物保護被膜層に用いられる無機化合物としては、特
に限定はされないが、たとえば、SiO、SiO2 、T
iO2 Al2 3 MgF2 等が挙げられる。透明性
や安定性、経済性等の点からは、SiO2 を用いること
が最も実用的である。
【0021】この発明にかかる多層コーティング反射鏡
の製造方法は、特に限定されるわけではないが、たとえ
ば、上記したような原材料を用い、以下のようにして行
われる。まず、金属製の基体を予め脱脂乾燥し、これ
に、コーティング材を、スプレー法、静電塗装法、浸漬
法等の通常のコーティング方法で塗布する。このときの
塗膜厚は、5μm以上であることが好ましい。その後、
塗膜の乾燥および焼き付けを行って、下地層化する。
【0022】次に、この下地層の上に蒸着等により光輝
性金属層を形成する。具体的な蒸着方法は、通常の反射
鏡製造の場合と同様でよい。たとえば、10-4〜10-5
Torrの真空下で、抵抗加熱または電子線加熱により光輝
性金属を蒸発させて下地層の上に光輝性金属層を形成さ
せる。この光輝性金属層の膜厚は300〜1000Åの
範囲に設定することが好ましい。膜厚が300Å未満で
あると、下地層が透けて見えるようになって反射率が悪
くなるからである。また、膜厚が1000Åを超えて
も、それ以上は効果の増大が望めず、コストの点で不経
済になるからである。なお、必要であれば、下地層と光
輝性金属層との密着性を向上させるために、蒸着の直前
にボンバード処理を行うようにしてもよい。
【0023】次に、光輝性金属層の上に保護被膜層とな
る無機化合物を蒸着させる。具体的な蒸着方法は、通常
の反射鏡の製造と同様にして行うことができる。たとえ
ば、10-4〜10-5Torrの真空下で電子線加熱等により
無機化合物を蒸発させて所定の被膜層を形成させる。保
護被膜層の膜厚は、0.3〜2.0μmの範囲に設定す
ることが好ましい。膜厚が0.3未満であると、保護被
膜層にピンホールが多くなって耐食性が悪くなるからで
ある。また、膜厚が2.0μmを超えても、それ以上の
効果の増大が望めず、蒸着時間がかかり、不経済になる
からである。なお、この保護被膜層の形成工程でも、必
要に応じて、無機化合物の蒸着前にボンバード処理を行
って、無機化合物保護被膜層と光輝性金属層との密着性
を向上させてもよい。無機化合物による保護被膜層の形
成方法としては、イオンプレーティング法を採用しても
よく、その場合は、無機化合物保護被膜層と光輝性金属
層との密着性をより向上させることができ、ランプ点灯
時に発生する輻射熱によって無機化合物保護被膜層にク
ラックが発生するのを、より高い温度まで防止すること
ができる。さらに、保護被膜の形成後、反射鏡を150
〜300℃で1〜12時間エージング処理してもよい。
【0024】
【作用】反射鏡の多層コーティング膜のうち、下地層を
前記のような配合のコーティング材を用いて形成する
と、下地層の塗膜形成が容易になるとともに、コーティ
ング材中に前記(A)、(B)、(C)のケイ素化合物
成分が前記所定の割合で配合されているため、300℃
以上の高耐熱性の下地層を形成させることが可能にな
る。しかも、その上に光輝性金属層および無機化合物保
護被膜層を形成させると、光輝性金属層と下地層との密
着性も向上する。さらに、コーティング材中には成分
(D)として前記特定の平均粒径を持つ金属化合物微粒
子が所定の割合で分散されているため、この成分(D)
により熱膨張係数が制御される(塗膜硬化中の応力が分
散される)ので、下地層の膜厚を厚くしても、300℃
の高温で下地層にクラックが発生することがなくなる。
また、耐湿性(MIL試験)および耐食性(塩水噴霧試
験)も向上する。
【0025】また、前記のような配合のコーティング材
を用いて下地層を形成することにより、膜厚が5μm以
上の塗膜をワンコートで安定して得ることが可能にな
る。もしも、形成される下地層の膜厚が5μm未満より
薄くなると、反射鏡の基体の凹凸が表面に表れるので、
基体の表面が粗い場合には、鏡面性が不充分になる。
【0026】
【実施例】次に、この発明の実施例を比較例と併せて説
明するが、この発明は下記実施例に限定されない。反射
鏡の基体として、1mm厚のアルミ板を5×8cmの大きさ
に切断したものを用いた。下地層の形成には、前記アル
ミ板を脱脂乾燥した後、以下の実施例および比較例で調
製されたコーティング材をスプレーで塗布した。その
際、塗布量は、硬化後に15μmの膜厚になるように設
定した。塗布後のセッティング時間を10分間とった
後、200℃で30分間焼き付けを行った。
【0027】−実施例1− メチルトリメトキシシラン100重量部に、テトラエト
キシシラン10重量部、IPAオルガノシリカゾル(商
品名「OSCAL1432」、触媒化成工業製)10重
量部、ジメチルジメトキシシラン30重量部およびイソ
プロパノール(IPA)100重量部を加えて混合し、
さらに水90重量部を添加して攪拌した。これに、市販
微粒子硫酸バリウム(平均粒径50nm)20重量部を加
えて分散させることにより、コーティング材を得た。
【0028】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成した後、基体を蒸着装置に装着
し、5×10-5Torrの真空中で抵抗加熱により高純度ア
ルミニウム(99.99%)を蒸着させて、膜厚100
0Åのアルミニウム膜からなる光輝性金属層を形成させ
た。次に、真空度を5×10-5Torrに保ったまま、電子
線加熱によりSiO2 を蒸着させて、膜厚5000Åの
SiO2 膜からなる保護被膜層を形成させることによ
り、反射鏡を得た。
【0029】−実施例2− テトラエトキシシラン20重量部、IPAオルガノシリ
カゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒化成工業
製)170重量部、ジメチルジメトキシシラン60重量
部、および、イソプロパノール(IPA)100重量部
に市販微粒子酸化チタン(平均粒径40nm)40重量部
を分散させたものをメチルトリメトキシシラン100重
量部に加えて混合し、さらに水200重量部を添加して
攪拌することにより、コーティング材を得た。
【0030】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成し、後は実施例1と同様の工程
を行うことにより、反射鏡を得た。 −実施例3− メチルトリメトキシシラン100重量部に、テトラエト
キシシラン30重量部、IPAオルガノシリカゾル(商
品名「OSCAL1432」、触媒化成工業製)50重
量部、ジメチルジメトキシシラン50重量部およびイソ
プロパノール(IPA)100重量部を加えて混合し、
さらに水80重量部を添加して攪拌した。これに、市販
微粒子硫酸バリウム(平均粒径30nm)と市販アエロジ
ル(平均粒径20nm)の7:1混合物35重量部を加え
て分散させることにより、コーティング材を得た。
【0031】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成し、後は実施例1と同様の工程
を行うことにより、反射鏡を得た。 −実施例4− メチルトリメトキシシラン100重量部に、テトラエト
キシシラン15重量部、IPAオルガノシリカゾル(商
品名「OSCAL1432」、触媒化成工業製)80重
量部およびイソプロパノール(IPA)100重量部を
加えて混合し、さらに水100重量部を添加して攪拌し
た。これに、微粒子炭酸カルシウム(平均粒径100n
m)5重量部を加えて分散させることにより、コーティ
ング材を得た。
【0032】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成し、後は実施例1と同様の工程
を行うことにより、反射鏡を得た。 −実施例5− メチルトリメトキシシラン100重量部に、IPAオル
ガノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒
化成工業製)70重量部およびジメチルジメトキシシラ
ン35重量部を加えて攪拌した。これに微粒子アルミナ
(平均粒径200nm)10重量部を加えて分散させた
後、イソプロパノール(IPA)100重量部を加えて
混合し、さらに水95重量部を添加して攪拌することに
より、コーティング材を得た。
【0033】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成し、後は実施例1と同様の工程
を行うことにより、反射鏡を得た。 −比較例1− メチルトリメトキシシラン100重量部に、IPAオル
ガノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒
化成工業製)10重量部、ジメチルジメトキシシラン5
0重量部およびイソプロパノール(IPA)100重量
部を加えて混合し、さらに水100重量部を添加して攪
拌した。これに、微粒子アルミナ(平均粒径200nm)
40重量部を加えて分散させることにより、コーティン
グ材を得た。
【0034】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成し、後は実施例1と同様の工程
を行うことにより、反射鏡を得た。 −比較例2− メチルトリメトキシシラン100重量部に、テトラエト
キシシラン15重量部、IPAオルガノシリカゾル(商
品名「OSCAL1432」、触媒化成工業製)80重
量部およびイソプロパノール(IPA)120重量部を
加えて混合し、さらに水200重量部を添加して攪拌し
た。これに、市販微粒子硫酸バリウム(平均粒径50n
m)120重量部を加えて分散させることにより、コー
ティング材を得た。
【0035】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成し、後は実施例1と同様の工程
を行うことにより、反射鏡を得た。 −比較例3− メチルトリメトキシシラン100重量部に、テトラエト
キシシラン30重量部、IPAオルガノシリカゾル(商
品名「OSCAL1432」、触媒化成工業製)60重
量部、ジメチルジメトキシシラン45重量部およびイソ
プロパノール(IPA)100重量部を加えて混合し、
さらに水130重量部を添加して攪拌することにより、
コーティング材を得た。
【0036】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成し、後は実施例1と同様の工程
を行うことにより、反射鏡を得た。 −比較例4− メチルトリメトキシシラン100重量部に、テトラエト
キシシラン10重量部、IPAオルガノシリカゾル(商
品名「OSCAL1432」、触媒化成工業製)100
重量部、ジメチルジメトキシシラン50重量部およびイ
ソプロパノール(IPA)100重量部を加えて混合
し、さらに水100重量部を添加して攪拌した。これ
に、微粒子アルミナ(平均粒径500nm)40重量部を
加えて分散させることにより、コーティング材を得た。
【0037】このコーティング材を用い、前記の方法で
基体表面に下地層を形成し、後は実施例1と同様の工程
を行うことにより、反射鏡を得た。しかし、この反射鏡
は、下地層の焼き付けの段階で、塗膜に光沢がなく、反
射率が悪かった。実施例1〜5および比較例1〜4で得
られた反射鏡について、下記の方法により耐熱性を調べ
た。
【0038】作製後1ヶ月を経た反射鏡を300℃の恒
温槽内に120時間連続放置した。その後、膜の膨れ等
の外観検査およびゴバン目セロハンテープ剥離試験を行
った。ゴバン目セロハンテープ剥離試験は、ゴバン目1
00個中に剥離しないものが何個あったかを測定した。
その数(非剥離数/ゴバン目100個)が多い程、耐熱
性に優れていることを示す。
【0039】その結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】この発明にかかる製造方法によれば、3
00℃以上の高耐熱性を有するとともに、塗装膜厚を厚
くしても300℃でクラックが発生することのない下地
層が容易に形成されるため、300℃以上の高耐熱性を
有し、300℃でクラックが発生することのない多層コ
ーティング反射鏡を容易に得ることができる。得られた
反射鏡は、下地層の上に形成される光輝性金属層と下地
層との密着性も良好であり、たとえば、MIL試験によ
り評価される耐湿性や、塩水噴霧試験により評価される
耐食性も向上しており、反射率等、反射鏡の性能にも優
れたものとなっている。
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】コロイド状シリカは、微粒子シリカ成分が
水またはメタノール等の有機溶剤に分散されたものであ
り、その粒径や溶剤の種類等は、特に限定されず、通常
のものが使用できる。具体的には、市販品として、メタ
ノールシリカゾル(MA−ST)、イソプロパノールシ
リカゾル(IPA−ST)、n−ブタノールシリカゾ
ル、スノーテックスO、スノテックスUP(以上、いず
れも日産化学工業製の商品名)、OSAL1232、
OSAL1432、OSAL1454、OSAL
1622、OSAL1722(以上、いずれも触媒化
成工業製の商品名)等が例示される。これらのコロイド
状シリカは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併
用してもよい。なお、コロイド状シリカを用いる場合、
前記(A)成分の配合割合は、分散媒を含む重量部割合
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 春名 基全 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 森川 祐一 兵庫県西宮市東鳴尾町1丁目10番36号 富 士防火株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の表面に下地層、光輝性金属層、無
    機化合物保護被膜層を順次形成して多層コーティング反
    射鏡を製造するにあたり、前記下地層の形成を、 (A)一般式Si(OR′)4 で表されるケイ素化合物
    および/またはコロイド状シリカ20〜200重量部、 (B)一般式RSi(OR′)3 で表されるケイ素化合
    物100重量部、 (C)一般式R2 Si(OR′)2 で表されるケイ素化
    合物0〜60重量部(ここで、RおよびR′は互いに独
    立に1価の炭化水素基を表す)が配合されてなるコーテ
    ィング材を用いて行う多層コーティング反射鏡の製造方
    法において、前記コーティング材中に、さらに (D)平均粒径10〜300nmの金属化合物微粒子5〜
    100重量部が分散されていることを特徴とする、多層
    コーティング反射鏡の製造方法。
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