JP4232631B2 - フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、マッドクラックを発生せず、かつ焼成時に着色しないフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物に関する。
従来のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物では、物品表面に塗工して乾燥させるとき、溶剤や水の蒸散に伴って塗膜が収縮してクラックが生ずる、いわゆるマッドクラックの発生がしばしば起こっている。
そこでマッドクラックの防止のため、たとえば特許文献1で提案されているように、造膜助剤として特定のポリエーテル系ウレタン樹脂を使用している。しかし、マッドクラックは低減化されるものの、フッ素樹脂塗膜に好適な焼成温度と時間ではウレタン基の熱分解が不充分なため未分解物が塗膜に残り、得られる溶融塗膜が着色する問題があった。
そうしたタール状の未分解物ウレタン樹脂を除去するために、特許文献2では、酸化剤を併用する方法が提案されている。しかし、今度は溶融塗膜中に酸化剤がそのまま残存するので溶融被膜自体の劣化が進み、顔料としてカーボンなどが存在するとカーボンが酸化して脱色してしまうという問題が出てくる。この問題は、特に、余熱が多い大きな加工物品において影響が大きい。
また造膜助剤として解重合性アクリル樹脂粒子を用いることが、特許文献3、特許文献4、特許文献5などに提案されているが、これらのコーティング用水性分散組成物は、マッドクラックの防止のために高沸点溶剤であるトリエタノールアミンを必須としているが、窒素原子を含むため得られる溶融塗膜の着色が大きいという問題がある。着色を防止するためにはやはり、上記と同様に酸化剤が必須となり、酸化剤に起因する塗膜の劣化や顔料の脱色などの問題が未解決となっている。
国際公開第97/40112号パンフレット 国際公開第99/21927号パンフレット 特開昭50−88128号公報 特開昭51−60243号公報 特開昭52−13531号公報
本発明者らは、マッドクラックの防止と焼成時の着色の防止を同時に満たす組成物を見出すべく鋭意検討した。
前記のとおり、従来マッドクラックを防止するには、トリエタノールアミンやジエタノールアミンなどの高沸点溶剤と室温で液体でありかつ不揮発性のカプリル酸やカプリン酸、オレイン酸などの長鎖脂肪酸を添加する方法が知られている。しかし、マッドクラック防止効果が奏される量まで高沸点溶剤や長鎖脂肪酸を添加すると焼成時にこれらが反応して塗膜を着色する物質に変化してしまうため、酸化剤を必ず添加しなければならない。ところが酸化剤を添加すると高沸点溶剤や長鎖脂肪酸の殆どはフッ素樹脂の融点以下で分解し着色物質は減少できるが、焼成時に生ずる収縮クラックの発生が防止できなくなる。
その他の方法として、アクリル樹脂粒子を溶解させるブチルジグリコール、ジプロピレングリコールメチルエーテルなどの水溶性高沸点溶剤を添加し、乾燥時にアクリル樹脂粒子を溶かしてマッドクラックと熱収縮を同時に防止する方法も考えられるが、この水溶性高沸点溶剤が分散剤として添加される非イオン性界面活性剤の乳化力を低下させるため、スプレー塗装時の剪断でフッ素樹脂エマルションが破壊されてしまい、塗膜が不均一になったり塗ブツが発生するという問題がある。
本発明者らは、非イオン性界面活性剤によりフッ素樹脂粒子が分散されたフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物に、高沸点多価アルコールと解重合性アクリル樹脂粒子を特定割合で配合することを検討し、高沸点多価アルコールのみではマッドクラックは防止できるがアクリル樹脂バインダーなしでは熱収縮によるクラックが防止できないし、また、解重合性アクリル樹脂粒子のみではマッドクラックが防止できないが、両者を特定の配合割合で併用した場合のみ目的とする効果が奏されるという知見を得、しかも酸化剤を添加しなくても、マッドクラック防止と焼成時の着色防止を同時に解決でき、しかも外観に優れた溶融塗膜を与えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(A)フッ素樹脂粒子と、(B)窒素原子を含まず沸点が100℃以上でかつ水酸基を2個以上有する高沸点多価アルコールと、(C)分解して気化する温度が該フッ素樹脂の分解温度までの温度範囲内にある解重合性アクリル樹脂粒子と、(D)非イオン系界面活性剤と、(E)水性媒体とを含み、該高沸点多価アルコール(B)および解重合性アクリル樹脂粒子(C)の配合量がフッ素樹脂粒子(A)100質量部(以下、「部」という)に対してそれぞれ5〜18部および5〜25部であり、かつ酸化剤およびアミン系溶剤を含まないフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物に関する。
本発明の組成物がマッドクラック防止と熱収縮時のクラック防止を同時に達成できる理由は、高沸点多価アルコールが、塗膜の乾燥時に水が蒸発した後にも塗膜中に残存してマッドクラックの発生を防止し、かつ乾燥時または焼成時に解重合性アクリル樹脂粒子が熱融着を開始するまで残存することにより空隙が生ずる状態が発生することを防止する働きをし、一方、解重合性アクリル樹脂粒子は焼成処理開始時から徐々に分解しつつフッ素樹脂粒子が熱融着するまでのバインダーとして機能して塗膜の熱収縮を制御しているものと考えられる。また、これらの物質は焼成が完了するまでには完全に分解揮散するため、着色の原因にはならない。したがって、酸化剤の使用も回避できる。また、乾燥および焼成時の収縮を制御できるので、1回の塗装で厚い塗膜とすること(厚塗り性)ができる。
本発明の組成物において、前記高沸点多価アルコール(B)としてはグリセリンが特に好ましい。
また、前記非イオン界面活性剤(D)としては、式(I):
R−O−A−H
(式中、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数9〜19、好ましくは10〜16のアルキル基;Aはオキシエチレンユニットを4〜20個およびオキシプロピレンユニットを0〜2個有するポリオキシアルキレン鎖)で示される非イオン性界面活性剤が好ましく、このうち特に式(II):
x2x+1CH(Cy2y+1)Cz2zO(C24O)nH (II)
(式中、xは1以上の整数、yは1以上の整数、zは0または1、ただしx+y+zは8〜18の整数、nは4〜20の整数)で表わされかつHLB値が9.5〜16である非イオン性界面活性剤、および/または式(III):
Figure 0004232631
(式中、xは8〜18の整数、Aはオキシエチレンユニットを5〜20個およびオキシプロピレンユニットを1または2個有するポリオキシアルキレン鎖)で表わされる非イオン性界面活性剤が好適に使用できる。
なお、環境ホルモンの1種といわれているアルキルフェノールの含有量を0.1ppm以下に抑えることが望ましい。
前記フッ素樹脂粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)粒子、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)粒子、またはこれらの2種以上が好ましく使用できる。
本発明においては、酸化剤を使用しないので顔料などの脱色の問題が生じない。また、顔料、雲母粒子、顔料で被覆された雲母粒子および金属フレークよりなる群から選ばれた少なくとも1種の無機材料(F)を配合することができる。フッ素樹脂粒子(A)と無機材料(F)との質量比は20/80〜0.2/99.8であることが好ましい。
本発明はまた、上記のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を塗装し焼成して得られる厚さが少なくとも20μmの溶融被膜を上塗り層として有する塗装物品にも関する。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、貯蔵安定性がよく、厚塗りでき、マッドクラックの発生を抑制でき、しかも焼成時にクラックおよび着色を生じない塗膜を形成することができる。また、非イオン性界面活性剤として非常に優秀な特性をもつが環境ホルモン物質の発生源となり得るアルキルフェノール系の界面活性剤を使用しなくても、塗膜物性を低下させることなく所望の塗膜を形成できる。
以下、本発明のコーティング用水性分散組成物の各成分について説明する。
(A)フッ素樹脂粒子の説明
本発明で用いるフッ素樹脂粒子としては乳化重合で得られたPTFE粒子、FEP粒子、PFA粒子、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)粒子、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)粒子などがあげられる。なかでも非粘着用途で厨房、家電製品などに好適に使用されているパーフルオロ系重合体であるPTFE、FEP、PFAの粒子が好ましく採用される。また、PTFEは少量の共単量体で変性されていてもよい。さらに、いわゆるシード重合法で同種または異種の単量体を共重合して得られた粒子でもよいし、コア−シェル構造の粒子であってもよい。
フッ素樹脂の数平均分子量としては、2×104〜1×107、特に2×105〜8×106であることが好ましく、数平均分子量が2×104未満では塗膜が脆くなる傾向があり、1×107を超えると溶融粘度が高すぎて粒子同士が融着しにくくなる傾向がある。
PTFEの数平均分子量は、「Journal of Applied Polymer Science」第17巻、第3253〜3257頁(1973)に記載の方法により測定して求めることができる。また、FEPの数平均分子量は、ASTM D2116に記載の方法により、溶融流れ速度(MFR)を測定し、以下に示す式(1)により溶融粘度(MV)を求め、さらに式(2)から数平均分子量(Mn)を求めることができる。
Figure 0004232631
フッ素樹脂粒子は、たとえばフッ素系単量体を乳化重合などの方法で製造した微粒子(フッ素樹脂水性分散液)をそのまま使用することができ、その平均粒子径としては0.01〜100μm、特に0.1〜5μmであることが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満のものは造膜性を低下させる傾向があり、100μmを超えると塗装に用いるガンノズルに目詰まりが生ずる傾向がある。
また、本発明においては、前記乳化重合で得られるフッ素樹脂粒子の水性分散液またはこの水性分散液から得られる粉末状の粒子を用いることができるが、粉末の場合、粒子の電気的反発によって取扱い性がわるくなることがあるので、水性分散液の形態で用いることが好ましい。フッ素樹脂水性分散液のフッ素樹脂固形分濃度としては、安定性や後の塗膜形成性が良好な点から20〜80質量%であり、特に40〜70質量%であることが好ましい。なお、本発明の水性分散組成物の調製段階で、固形分濃度は適宜調整できる。
(B)多価アルコール
本発明で用いる高沸点多価アルコールの作用は、本発明の水性分散組成物を塗布後乾燥するときのマッドクラックの発生を防止する作用である。塗布された水性分散組成物は、通常、室温〜150℃で乾燥される。その際、まず水が蒸散するが、その乾燥温度で蒸散しないかまたは蒸散速度が水よりも遅い高沸点多価アルコールを併用しなければ解分解性アクリル樹脂粒子が軟化する前に水が蒸散してしまうため、樹脂粒子間に間隙が生じてしまい、マッドクラックの原因となる。
その結果、乾燥された塗膜中は、乾燥温度や高沸点多価アルコールの種類(特に沸点)により、(1)高沸点多価アルコールと解重合性アクリル樹脂粒子が併存している状態、(2)高沸点多価アルコールが殆ど残存せず解重合性アクリル樹脂が溶融してフッ素樹脂粒子を固定している状態、(3)これら両者の状態が渾然としている状態となっている。
本発明で使用する多価アルコールは、窒素原子を含まず水酸基を2個以上有する沸点が100℃以上のものである(ただし、解重合性アクリル樹脂の熱溶融開始温度(軟化温度)よりも高い)。窒素原子を含む多価アルコールは焼成時における熱分解により着色を惹き起こすため、好ましくない。また、沸点が100℃以上(ただし、解重合性アクリル樹脂の熱溶融開始温度(軟化温度)よりも高い)とする理由は、乾燥時に水よりも早く蒸散してはならないからであり、乾燥後に塗膜中に残存させるためである。好ましくは、沸点が乾燥温度以上、さらに150℃以上、特に200℃以上のものである。さらに、水酸基を2個以上有することが必要である。1個のものまたはゼロのものは沸点100℃以上の物質では親水性に劣るため、均一な混合が困難である。好ましい水酸基の個数は2〜3個である。水酸基の数が4個以上のものは室温で固体のものが多く、マッドクラックの防止効果が期待しにくい。
また、本発明で使用する多価アルコールは、後述する焼成時の加熱により最終的に蒸散し尽くすか分解揮散し尽くす必要がある。したがって、沸点または熱分解温度がフッ素樹脂の溶融温度以下、好ましくは340℃以下のものが好ましい。
好適な多価アルコールとしては、たとえばエチレングルコール(沸点:198℃)、1,2−プロパンジオール(188℃)、1,3−プロパンジオール(214℃)、1,2−ブタンジオール(190℃)、1,3−ブタンジオール(208℃)、1,4−ブタンジオール(229℃)、1,5−ペンタンジオール(242℃)、2−ブテン−1,4−ジオール(235℃)、グリセリン(290℃)、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(295℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(178℃/5mmHg)などの1種または2種以上があげられる。なかでもグリセリンが価格、安全性などで有利である。
また、必要に応じて、多価アルコール以外の有機溶媒を本発明の効果を損なわない範囲で併用してもよい。そうした有機溶媒としては、たとえばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、炭素数9〜11の脂肪族炭化水素系溶剤などがあげられる。
多価アルコール(B)の配合量は、フッ素樹脂粒子(固形分)100部に対して5〜18部、好ましくは7〜15部、特に好ましくは7〜12部である。5部未満の場合はマッドクラックの発生防止効果が弱くなり、18部を超えると塗膜が白濁することがある。
(C)解重合性アクリル樹脂粒子
本発明で用いる解重合性アクリル樹脂粒子は、本発明の水性分散組成物を塗布乾燥後焼成するとき、フッ素樹脂粒子へのバインダー効果を維持しながら徐々に分解するので、収縮クラックの発生を防止する。したがって、解重合性アクリル樹脂粒子は、フッ素樹脂の溶融温度以下で溶融しておりかつ解重合が始まっており、フッ素樹脂粒子の溶融温度で少なくとも一部は残存し、焼成温度で殆ど分解揮散していることが必要である。
乾燥塗膜を加熱すると、まず残存する多価アルコールの蒸散または分解揮散と解重合性アクリル樹脂粒子の熱溶融が始まる。多価アルコールは解重合性アクリル樹脂粒子の熱溶融が完了するまでは残存している必要がある。温度がさらに上がると残存多価アルコールの蒸散または分解が完了すると共に熱溶融している解重合性アクリル樹脂の解重合が始まる。かかる解重合性アクリル樹脂の解重合はフッ素樹脂の溶融温度以下の温度から徐々に始まるがフッ素樹脂粒子が熱溶融し始める温度(溶融温度)ではまだ完了せず、さらに温度がフッ素樹脂の溶融温度を超えた焼成温度になって完了する。そのことにより、得られるフッ素樹脂塗膜中に解重合性アクリル樹脂が多量に残存することを避けることができる。この解重合性アクリル樹脂は熱溶融時に粘性を有しており解重合も徐々に進行するため、フッ素樹脂粒子が溶融し融着する際にも急激な収縮は生じず、熱収縮クラックの発生を抑制できる。
したがって解重合性アクリル樹脂粒子は、フッ素樹脂の融点以下から解重合が始まるとしてもフッ素樹脂粒子が溶融を開始する温度(溶融温度)までは残存し、焼成(加工)温度では分解揮散するものが好ましい。たとえばフッ素樹脂の溶融温度(通常240〜345℃)において5%以上、特に10%以上で少なくとも50%、好ましくは少なくとも20%は残存し、焼成(加工)温度(通常フッ素樹脂の溶融温度を超え415℃までの温度、好ましくは360〜400℃)において10%以下、特に5%以下しか残存せず、焼成完了時には実質的に残存しないものが好ましい。この点から、解重合性アクリル樹脂粒子の解重合(分解)温度は、約200℃以上でフッ素樹脂の焼成(加工)温度未満、特にフッ素樹脂の溶融温度以下であることが望ましい。なお、解重合(熱分解)温度がフッ素樹脂の溶融温度を超えかつ分解ガスが多量に発生するアクリル樹脂粒子の場合、得られる塗膜にピンホールなどの塗膜欠陥が生じやすくなる。
特に、樹脂の種類に関係なく、300〜320℃の温度範囲で約25〜50%残存し、330〜345℃の温度範囲で約20〜10%残存する解重合性アクリル樹脂が収縮クラックの防止作用と着色の防止作用とのバランスから好適であり、この条件を満たす解重合性アクリル樹脂粒子であれば、フッ素樹脂がPTFEであろうともPFAであろうとも使用できる。
解重合性は一般には、「Polym.Eng.Sci.,Vol.6,p273(1966)」、「Plast.Massy.,Vol.75,p48(1971)」および「高分子材料の劣化」コロナ社、144頁(1958)に記載されているように、重合鎖中に分岐が多くなればなるほどC−C結合やC−H結合が弱くなり、酸化分解して解重合しやすくなる。そこで具体的には、たとえば式(IV):
CH2=C(CH3)COOR (IV)
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基またはヒドロキシアルキル基)で示されるメタクリレート系単量体を必須とするメタクリレート系単独重合体または共重合体が好ましくあげられる。メタクリレート系単量体の具体例としては、たとえばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ジメチルプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレートが好ましく採用される。これらのうちガラス転移温度は低くかつ解重合性(分解性)が良好な点からブチルメタクリレートを単量体とする解重合性アクリル樹脂が好ましい。
また、単独重合体でも安定なエマルションが形成できるのであれば問題ないが、エマルションを安定させる観点から、カルボキシル基またはヒドロキシル基を有する単量体などを適宜共単量体として使用してもよい。
解重合性アクリル樹脂粒子は、たとえば乳化重合などの方法で製造した微粒子(解重合性アクリル樹脂エマルション)をそのまま使用することができ、その平均粒子径としては0.1〜100μm、特に0.2〜1μmであることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満のものはマッドクラックを発生しやすい傾向があり、100μmを超えると塗装が難しくなる傾向がある。
解重合性アクリル樹脂粒子(C)の配合量は、フッ素樹脂粒子(固形分)100部に対して5〜25部、好ましくは7〜20部、特に好ましくは10〜15部である。5部未満の場合はフッ素樹脂の造膜が困難になり、25部を超えると塗膜に着色が生ずることがある。
解重合性アクリル樹脂粒子はエマルションの形態で他の成分と混合することが好ましい。
(D)非イオン性界面活性剤
本発明において非イオン性界面活性剤は、水性分散組成物中にフッ素樹脂粒子を安定的に分散させる点から必要である。また、焼成(加工)時に分解揮散して塗膜に着色を生じさせない点から非イオン性界面活性剤が使用される。
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤(たとえばユニオンカーバイド社製のトライトンX(商品名)など)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系の天然アルコールを原料とした非イオン性界面活性剤がある。
しかしポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系界面活性剤は焼成工程で熱分解し、分解ガスとして有害な芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)を発生して大気汚染を引き起こすこと、また、アルキルフェノール系非イオン界面活性剤の中には未反応のアルキルフェノール(内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモン物質)が微量残存していることがある。これらの点から、構造中にベンゼン環を含んでいないノンフェノール型の非イオン性界面活性剤が好ましい。とりわけ、起源を問わず、アルキルフェノールの含有量が0.1ppm以下、特に存在しないことが環境上望まれる。
具体例としては、たとえば前記式(I)のポリオキシアルキレンアルキルエーテル系非イオン性界面活性剤があげられ、特に好ましいノンフェノール型非イオン性界面活性剤としては、前記式(II)または式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤があげられる。これらのHLB値は9.5〜16、特に12〜14であるのが、フッ素樹脂を安定的に分散させる点から好ましい。
非イオン性界面活性剤の添加量は本発明のコーティング用水性分散組成物の分散状態を安定にさせる量であればよく、たとえばフッ素樹脂粒子に対して6〜10質量%、特に7〜9質量%存在させればよい。
非イオン性界面活性剤は最終のコーティング用水性分散組成物を安定させるものであり、フッ素樹脂粒子(A)の水性分散液中や解重合性アクリル樹脂粒子(C)のエマルション中に予め添加していてもよいし、これらを混合した後添加してもよい。
(E)水性溶媒
コーティング用水性分散組成物の液状媒体として使用し、組成物の固形分濃度を調整する。水を単独で使用してもよいし、水と水溶性化合物と併用した水性混合溶媒としてもよい。
以上が本発明のコーティング用水性分散組成物の必須の成分である。本発明においては、必要に応じて、さらに他の添加剤を配合してもよい。
(F)無機材料
無機材料としては、顔料のほか、雲母粒子、顔料で被覆された雲母粒子、金属フレークまたはこれら2種以上の無機フィラーがあげられる。これらは本発明の効果を損なわない範囲の量で配合される。
顔料としては従来より公知の各種顔料が使用でき、たとえば酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラなどがあげられる。本発明においては、これらのうち従来では酸化剤の影響のため脱色などが生じていたカーボンブラックも安心して使用できる点で優れている。
無機フィラーは耐摩耗性向上の機能を付与するものであり、これらのうち雲母が美観を与える点で好ましい。雲母粒子の粒径としては10〜100μmであり、15〜50μmであることが好ましい。粒径が10μm未満では耐摩耗性の低下および光輝性が低下する傾向があり、100μmを超えると非粘着性が低下する傾向がある。顔料で被覆された雲母粒子は、たとえばTiO2・Fe23などの顔料を焼結蒸着法などにより前記雲母粒子に付着させて得られる。金属フレークとしては、たとえばチタン、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、アンチモン、錫、鉄、ニッケルなどのフレークがあげられるが、錆にくさの点からチタン、ジルコニウムが好ましい。そのサイズとしては通常塗料に使用されている範囲のサイズのものが使用できる。
その他、本発明の効果を損なわないかぎり、種々の公知の添加剤を配合することができる。たとえば、消泡剤、乾燥剤、増粘剤、レべリング剤、ハジキ防止剤などがあげられる。
消泡剤としては、たとえばトルエン、キシレン、炭素数9〜11の炭化水素系などの非極性溶剤、シリコーンオイルなどがあげられる。
乾燥剤としては、たとえば酸化コバルトなどがあげられる。
増粘剤としては、たとえばメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ビニルポリマーなどがあげられる。
なお、本発明の組成物ではアミン系溶剤および酸化剤を配合することなく上記の効果を奏することができる。しかし、具体的な態様においては、着色の原因にならない量であればアミン系溶剤を添加することを排除するものではなく、また塗膜劣化を起こさない量であれば酸化剤の添加を排除するものではない。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物にはフッ素樹脂粒子(A)を始め、解重合性アクリル樹脂粒子(C)、無機材料(F)などの固形分が含まれるが、それらの固形分含量は20〜80質量%、特に30〜70質量%であることが好ましい。固形分濃度が20質量%未満では一回の塗装により厚膜とすることがしにくい傾向があり、80質量%を超えると塗料粘度が高くなりスプレー塗装が困難になることがある。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物の調製は、通常の方法で行なうことができる。たとえば、非イオン性界面活性剤(D)によりフッ素樹脂粒子(A)が水性媒体(E)に分散しているフッ素樹脂水性分散液に多価アルコール(B)、解重合性アクリル樹脂粒子エマルション(C)、要すれば無機材料(F)、さらには他の添加剤を攪拌下に投入混合し、5〜30℃にて10〜40分間攪拌混合することによって調製できる。さらに、固形分濃度を水性媒体(E)を追加するなどして調整してもよい。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、塗料、特に上塗り用塗料として有用である。塗装方法としては従来と同様な各種の塗装方法が採用できる。たとえばディッピング法、スプレー法、ロールコート法、ドクターブレード法、フローコート法などがあげられる。
本発明のコーティング用組成物は基材に直接塗装してもよいが、密着性を向上させるために、プライマー層を設けてその上塗り層として形成することが望ましい。基材としては特に限定されないが、たとえば各種金属、ホーロー、ガラス、各種セラミックスが採用でき、また密着性を高めるために表面をサンドブラスト法などで粗面化することが好ましい。
基材に塗布されたコーティング用組成物はついで乾燥される。本発明の組成物はこの乾燥の段階でマッドクラックを生じない点に特徴がある。乾燥は通常の条件でよく、用いる多価アルコールの沸点によって異なるが、たとえば室温〜150℃、好ましくは80〜150℃にて5〜20分間実施すれば、指触乾燥に達する。
乾燥した塗膜は焼成(加工)される。本発明の組成物によれば、解重合性アクリル樹脂がフッ素樹脂粒子が溶融し融着するまでの間バインダーとして機能しているので、この焼成段階での熱収縮によるクラックの発生を防止できる。焼成(加工)温度および時間はフッ素樹脂の種類や溶融温度などによって異なるが、フッ素樹脂の溶融温度以上、通常360〜415℃にて5〜30分間行なう。PTFEの場合は360〜380℃にて10〜30分間が適当である。
プライマー層を設ける場合は、プライマー層を塗布、乾燥、焼成した後に本発明の組成物を塗布、乾燥、焼成する方法(2コート2ベーク法)でもよいし、プライマー層を塗布、乾燥した後に本発明の組成物を塗布、乾燥し、両者を同時に焼成する方法(2コート1ベーク法)でもよい。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物によれば、1回の塗装で溶融塗膜の膜厚が30μm以上の厚膜の塗膜が得られる。上限は特に限定されないが、余りにも厚すぎると塗膜内に各種の分解残渣が残ってしまい着色の原因となるため、100μm以下である。
本発明の組成物は、たとえば金属調理器具、特にフライパンの塗装に最も有用であるが、この組成物は耐腐食性を必要とするその他の製品を塗装するためにも使用され得る。他の製品とは、たとえばベアリング、バルブ、電線、金属箔、ボイラー、パイプ、船底、オーブン内張り、アイロン底板、パン焼き型、炊飯器、グリル鍋、電気ポット、製氷トレー、雪かきシャベル、すき、シュート、コンベア、ロール、金型、ダイス、のこぎり、やすり、きりのような工具、包丁、はさみ、ホッパー、その他の工業用コンテナ(特に半導体工業用)および鋳型があげられる。本発明はかかる塗装物品にも関する。
本発明のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物は、たとえばつぎの成分の組合せが好ましくあげられるが、これらに限定されるものではない。
[1](A)フッ素樹脂粒子100部
(B1)窒素原子を含まず沸点が150℃以上で水酸基を2個以上有する多価アルコールを5〜18部
(C)フッ素樹脂の焼成温度までの温度範囲内で解重合して気化するアクリル樹脂粒子を5〜25部
(D)非イオン性界面活性剤
(E)水性溶媒
この組成物は、厚塗りができ、耐摩耗性、耐腐食性、非粘着性に優れた塗膜を形成でき、該組成物が上塗りされている物品は、長期間品質を維持できる。
[2](A)フッ素樹脂粒子100部
(B2)窒素原子を含まず沸点が250℃以上で水酸基を2個以上有する多価アルコール5〜18部
(C1)解重合性メタクリレート系アクリル樹脂粒子5〜25部
(D1)ポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン性界面活性剤
(E)水性溶媒
この組成物は、塗膜に残存するスラッジが少ないので塗膜の着色が少なく、溶融性フッ素樹脂を含むのでさらに光沢に優れた塗膜を形成でき、該組成物が上塗りされている物品は、さらに長期間品質を維持できる。さらに好ましくは、
[3](A1)PTFE、PFAおよび/またはFEP粒子100部
(B2)窒素原子を含まず沸点が250℃以上で水酸基を2個以上有する多価アルコール5〜18部
(C1)解重合性メタクリレート系アクリル樹脂粒子5〜25部
(D1)ポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン性界面活性剤
(E)水性溶媒
この組成物は、塗膜に残存するスラッジが少ないので塗膜の着色が少なく、溶融性フッ素樹脂を含むのでさらに光沢に優れた塗膜を形成でき、またパーフルオロ系樹脂を使用するので耐水蒸気透過性に優れ、該組成物が上塗りされている物品は、さらに長期間品質を維持できる。
つぎに実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」である。
実施例1
つぎに示す各成分を記載の順序で混合した。
(A)PTFE水性分散液(平均粒子径0.3μm、固形分濃度60%、PTFEに対して分散安定剤としてポリオキシエチレントリデシルエーテル(エチレンオキサイド8.5モル)を6%含有) 78.7部
(B)グリセリン 4.7部
(C)解重合性アクリル樹脂粒子エマルジョン(ブチルアクリレート系樹脂。平均粒子径0.3μm、固形分濃度40%) 11.8部
(D)非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレントリデシルエーテル、日本油脂(株)製のディスパノールTOC(20%水溶液) 4.7部
(その他)増粘剤(ラウリル硫酸ナトリウムの25%水溶液) 1.9部
得られた本発明のコーティング用水性分散組成物について、つぎの性質を調べた。結果を表1に示す。
(粘度)
25℃における粘度をB型回転粘度計で測定する。
(貯蔵安定性)
コーテイング用水性分散組成物500gをポリエチレン製のビンに入れ、40℃の恒温槽内で6ヵ月間放置し、再分散性で評価する。
評価は、150メッシュの金網を用い、全てが通過したものを○、金網上に残存物があるものを×とする。
ついで、得られたコーティング用水性分散組成物をノンブラストアルミニウム板にスプレー法により塗布し、80℃にて15分間乾燥した。得られた乾燥塗膜表面を光学顕微鏡で観察し、マッドクラックの発生の有無を調べたところ、マッドクラックは発生していなかった。
ついで乾燥塗膜を380℃の温度で20分間焼成して溶融塗膜を形成した。この塗膜につき、つぎの塗膜物性を調べた。結果を表1に示す。
(塗膜外観)
光学顕微鏡により塗膜表面を観察する。
(クラック限界膜厚)
膜厚を種々変更し、クラックが発生し始める膜厚をクラック限界膜厚とする。
(着色)
塗膜を目視で観察する。
(アルキルフェノール含量)
液体クロマトグラフィー法で分析する(カラム:ASAHIPAC GS-310、溶離液:アセトニトリル/水=50/50容量比、流量:1.2ml/min、カラム温度:25〜28℃、検出:UV(230nm))。検出されない場合を○、検出された場合を×とする。
実施例2
実施例1において(A)〜(D)の配合割合を(A)/(B)/(C)/(D)=70.4/4.2/21.1/4.2(部)としたほかは実施例1と同様にして本発明の組成物を調製した。この組成物の特性を実施例1と同様にしてしらべた。結果を表1に示す。
ついで、コーティング用組成物をノンブラストアルミニウム板にスプレー法により塗装し、実施例1と同じ条件下に乾燥、焼成して溶融塗膜を形成した。そして実施例1と同じ塗膜物性を調べた。結果を表1に示す。
比較例1〜7
表1に示す各成分を同表に示す割合で使用したほかは実施例1と同様にして本発明の組成物を調製した。この組成物の特性を実施例1と同様にしてしらべた。結果を表1に示す。
ついで、コーティング用組成物をノンブラストアルミニウム板にスプレー法により塗装し、実施例1と同じ条件下に乾燥、焼成して溶融塗膜を形成した。そして実施例1と同じ塗膜物性を調べた。結果を表1に示す。
比較例1は、特定の多価アルコール(B)および解重合性アクリル樹脂粒子エマルション(C)を配合しなかった例である。
比較例2は、特定の多価アルコール(B)を配合しなかった例である。
比較例3は、特定の多価アルコール(B)をPTFE粒子(固形分)100部に対して20部配合した例である。
比較例4は、特定の多価アルコール(B)をPTFE粒子(固形分)100部に対して20部配合し、解重合性アクリル樹脂粒子(C)をPTFE粒子(固形分)100部に対して30部配合した例である。
比較例5は、特定の多価アルコール(B)をPTFE粒子(固形分)100部に対して20部配合し、かつ非イオン性界面活性剤(D)としてポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤(トライトンX100)を使用した例である。
比較例6は、グリセリンに代えてブチルジグリコール(水酸基数1個、沸点230℃)を使用した例である。
比較例7は、特定の多価アルコール(B)および解重合性アクリル樹脂粒子(C)を使用せず、代わりにウレタン樹脂エマルションを配合した従来例である。
Figure 0004232631
表1から明らかなように、グリセリンと解重合性アクリル樹脂粒子エマルションが特定の割合で配合されている本発明の組成物は、マッドクラックが発生せず、酸化剤を使用しないにもかかわず着色がなく、またクラック限界膜厚が厚く、環境ホルモン物質であるアルキルフェノールを含まないことが分かる。

Claims (7)

  1. (A)フッ素樹脂粒子と、
    (B)窒素原子を含まず沸点が100℃以上でかつ水酸基を2個以上有する高沸点多価アルコールと、
    (C)分解して気化する温度が該フッ素樹脂の分解温度までの温度範囲内にある解重合性アクリル樹脂の粒子と、
    (D)式(I):
    R−O−A−H
    (式中、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数9〜19のアルキル基;Aはオキシエチレンユニットを4〜20個およびオキシプロピレンユニットを0〜2個有するポリオキシアルキレン鎖)で示される非イオン系界面活性剤と、
    (E)水性媒体と
    を含み、
    該高沸点多価アルコール(B)および解重合性アクリル樹脂粒子(C)の配合量がフッ素樹脂粒子(A)100質量部に対してそれぞれ5〜18質量部および5〜25質量部であり、かつ
    酸化剤およびアミン系溶剤を含まない
    フッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
  2. 前記高沸点多価アルコール(B)がグリセリンである請求項1記載の水性分散組成物。
  3. アルキルフェノールの含有量が0.1ppm以下である請求項1または2記載の水性分散組成物。
  4. 前記フッ素樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン粒子、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体粒子、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体粒子、またはこれらの2種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の水性分散組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物と、顔料、雲母粒子、顔料で被覆された雲母粒子および金属フレークよりなる群から選ばれた少なくとも1種の無機材料(F)とからなり、フッ素樹脂粒子(A)と無機材料(F)との質量比が20/80〜0.2/99.8であるフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物。
  6. フッ素樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン粒子、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体粒子、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体粒子、またはこれらの2種以上である請求項5記載の水性分散組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のフッ素樹脂コーティング用水性分散組成物を塗装し焼成して得られる厚さが少なくとも20μmの溶融被膜を上塗り層として有する塗装物品。
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