JP3649124B2 - フルオロ重合体コーティング組成物および塗装物品 - Google Patents

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、フルオロ重合体コーティング組成物および塗装物品に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、フルオロ重合体被覆組成物には、造膜助剤として陰イオン界面活性剤が添加されているが、発泡しやすいので塗膜にピンホールができやすく、また、造膜性が不充分であり、厚塗りも困難なために塗膜の摩耗による耐腐食性や非粘着性が低下するほか、本来白色であるべき成形品に焼成により着色が生じるなどの欠点があった。
【０００３】
本発明の目的は、厚塗りができ、耐摩耗性、耐腐食性、非粘着性に優れた塗膜を形成しうる特定のポリエーテル系樹脂がとくにエマルジョンの形態で配合されており、かつ酸化触媒が配合されているフルオロ重合体コーティング組成物およびそれが塗装されている物品を提供することにある。
【発明の開示】
【０００４】
本発明は、フルオロ重合体の微粒子と該微粒子の重量基準で０．１〜３００重量％のポリエーテル系樹脂と酸化触媒と液状担体とからなるフルオロ重合体コーティング組成物であって、該ポリエーテル系樹脂が、一般式（Ｉ）：
Ｒ¹−Ｙ¹−（Ａ−Ｂ）_m−Ｒ¹ （Ｉ）
［式中、Ｒ¹は同じかまたは異なりいずれも水素原子または炭素数１〜２０のアルキル基、Ｙ¹は−Ｏ−、エステル基、ウレタン基またはチオニール基、Ａは炭素数３以上のポリアルキレンオキシド残基（ただし、重合してえられるアルキレンオキシド部分の分子量が１×１０³〜１×１０⁴である）、Ｂは式：
−ＣＯＮＨ−Ｊ¹−ＮＨＣＯ−
（式中、−ＣＯＮＨ−Ｊ¹−ＮＨＣＯ−はトリレンジイソシアネート系ウレタン残基、ヘキサメチレンジイソシアネート系ウレタン残基、イソホロンジイソシアネート系ウレタン残基、キシリレンジイソシアネート系ウレタン残基またはジフェニルメタンジイソシアネート系ウレタン残基である）で示されるウレタン残基、ｍは１〜１００の整数を表わす］で示される樹脂であり、該樹脂の分解して気化する温度が、該フルオロ重合体の分解温度までの範囲内にあるフルオロ重合体コーティング組成物に関する。
【０００５】
また本発明は、前記フルオロ重合体コーティング組成物が、少なくとも３０μｍの厚さの溶融被膜を形成するように上塗りされてえられる物品に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００６】
本発明は、特定のポリエーテル系樹脂をエマルジョンの形態で用いかつ酸化触媒を配合することによって、とくに厚塗りが可能となると共に焼成後の着色もない点に最大の特徴があるフルオロ重合体コーティング組成物である。
【０００７】
前記特定のポリエーテル系樹脂は、一般式（Ｉ）：
Ｒ¹−Ｙ¹−（Ａ−Ｂ） _m −Ｒ¹ （Ｉ）
で示される樹脂であって、エチレンオキシド残基を有していないため疎水性で水分散性であり界面活性能を有しておらず、また本発明で用いるフルオロ重合体の分解温度までの範囲内の温度で分解して気化する（すなわち、低温分解性）樹脂である。
【０００８】
前記Ｒ¹は疎水性の点から同じかまたは異なりいずれも水素原子、炭素数１〜２０のアルキル基であることが好ましい。
【０００９】
前記Ｙ¹は、熱分解性の点から−Ｏ−またはエステル基が好ましく、製造の容易さからウレタン基またはチオニール基であることが好ましい。
【００１０】
前記Ａは疎水性、水分散性の点から炭素数３以上、好ましくは炭素数３〜４のポリアルキレンオキシド残基であり、重合してえられるアルキレンオキシド部分の分子量が１×１０³〜１×１０⁴であることが好ましい。
【００１１】
前記Ｂは製造の容易さの点からウレタン残基であることが好ましい。
【００１２】
一般式（Ｉ）のカッコ内は、交互共重合でえられる残基であることが好ましい。
【００１３】
このような一般式（Ｉ）で示されるポリエーテル系樹脂は、疎水性で水分散性であり、安定性、作業性の点から樹脂エマルジョンの形態で好適に用いられうる。また、エマルジョンであるためにフルオロ重合体粒子と均一に分散しやすい。
【００１４】
一般式（Ｉ）で示される樹脂の具体例としては、たとえば前記Ｂがウレタン残基のばあい
【００１５】
【化１】

【００１６】
［式中、ｍは１〜１００の整数、ｎは１０〜２００の整数、ＣＯＮＨ−Ｊ¹−ＮＨＣＯはたとえばトリレンジイソシアネート（ＴＤＩ）系ウレタン残基、ヘキサメチレンジイソシアネート（ＨＭＤＩ）系ウレタン残基、イソホロンジイソシアネート（ＩＰＤＩ）系ウレタン残基、キシリレンジイソシアネート（ＸＤＩ）系ウレタン残基、ジフェニルメタンジイソシアネート（ＭＤＩ）系ウレタン残基などを表わす］、
【００１７】
【化２】

【００１８】
（式中、ｍ、ｎ、Ｊ¹は前記と同じ）
などがあげられるが熱分解性の点から（１）の構造が好ましい。
【００２９】
なお、これらの具体例において［ ］内はいずれも交互共重合でえられる残基である。
【００３０】
本発明におけるフルオロ重合体とは、フッ素原子、塩素原子またはこれら２種で完全に置換されているモノエチレン系不飽和炭化水素の単量体の単独重合体、該単量体の少なくとも２種からなる共重合体であり、単独重合体および共重合体の少なくとも２種からなる混合物でもある。
【００３１】
前記単独重合体としては、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）があげられる。
【００３２】
前記共重合体としては、たとえばテトラフルオロエチレン−パーフルオロ（アルキルビニルエーテル）共重合体（ＰＦＡ）（ただし、アルキル基の炭素数は１〜５である）、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体（ＦＥＰ）があげられるが、非粘着性、耐熱性が優れているという点からＰＦＡが好ましい。
【００３３】
前記単独重合体および共重合体の混合物としては、たとえばＰＴＦＥとＰＦＡ、ＰＴＦＥとＦＥＰ、ＰＴＦＥとＰＦＡとＦＥＰ、ＰＦＡとＦＥＰなどがあげられるが、非粘着性、耐熱性が優れている点からＰＴＦＥとＰＦＡとの混合物が好ましい。
【００３４】
前記フルオロ重合体の数平均分子量としては、２×１０⁴〜１×１０⁷であり、２×１０⁵〜８×１０⁶であることが好ましく、数平均分子量が２×１０⁴未満では塗膜が脆くなる傾向があり、１×１０⁷を超えると溶融粘度が高すぎて粒子どうしが融着しない傾向がある。
【００３５】
たとえばＰＴＦＥの数平均分子量は、「Journal of Applied Polymer Science」第１７巻、第３２５３〜３２５７頁（１９７３年）に記載の方法により測定して求めることができる。
【００３６】
また、ＦＥＰの数平均分子量はＡＳＴＭ Ｄ−２１１６に記載の方法により、溶融流れ速度（ＭＦＲ）を測定し、式（１）により溶融粘度（ＭＶ）を求め、さらに式（２）により数平均分子量（Ｍｎ）を求めることができる。
【００３７】
【数１】

【００３８】
前記フルオロ重合体の微粒子とは、たとえばフルオロオレフィンの乳化重合などの方法によりえられる微粒子であればよく、その平均粒子径としては、０．０１〜１００μｍであり、０．１〜５μｍであることが好ましく、該粒子径が０．０１μｍ未満であると造膜性がわるくなる傾向があり、１００μｍを超えると塗装に用いるガンノズルが目詰りする傾向がある。
【００３９】
また、本発明においては、前記乳化重合でえられたフルオロ重合体の微粒子の水性分散液またはこの水性分散液からえられる粉末状の微粒子を用いることができるが、粒子の電気的反発による安定性の点から水性分散液の形態で用いることが好ましく、その固形分の濃度としては塗膜形成の点から２０〜８０重量％であり、４０〜７０重量％であることが好ましい。
【００４０】
本発明において、つぎに示す親水性のポリエーテル系高分子界面活性剤をさらに厚塗りが可能となる点から、前記疎水性で水分散性で界面活性能を有していないポリエーテル系樹脂とともに用いることができる。前記ポリエーテル系高分子界面活性剤としては、たとえば
一般式（ＩＩ）：
【００４１】
【化７】

【００４２】
［式中、Ｒは水素原子または炭素数１〜２０のアルキル基、Ｙは−Ｏ−、エステル基、ウレタン基、チオニール基またはりん酸基であり、Ｃはエチレンオキシド残基、Ｄはプロピレンオキシド残基、ａは３０〜２０００の整数、ｂは２０〜５００の整数、ｃは１〜１０の整数である（ただし、
【００４３】
【化８】

【００４４】
は交互共重合またはランダム共重合でえられる残基を示す）］、
一般式（ＩＩＩ）：
Ｒ−Ｙ−Ｃ_a−Ｄ_b−Ｃ_d−Ｙ−Ｒ （ＩＩＩ）
（式中、Ｒ、Ｙ、Ｃ、Ｄおよびｂは前記と同じ、ａとｄとの合計は３０〜２０００の整数である）、
一般式（ＩＶ）：
Ｒ−Ｙ−Ｄ_a−Ｃ_b−Ｄ_d−Ｙ−Ｒ （ＩＶ）
（式中、Ｒ、Ｙ、ＣおよびＤは前記と同じ、ａとｄとの合計は２０〜５００の整数、ｂは３０〜２０００の整数）、一般式（Ｖ）：
【００４５】
【化９】

【００４６】
［式中、Ｚは炭素数１〜５の多価脂肪族飽和炭化水素基、Ｒは水素原子または炭素数１〜２０のアルキル基、Ｙは−Ｏ−、エステル基、ウレタン基、チオニール基またはりん酸基であり、Ｃはエチレンオキシド残基、Ｄはプロピレンオキシド残基、ａは３０〜２０００の整数、ｂは２０〜５００の整数、ｃは１〜１０の整数、ｅは２〜４の整数である（ただし、
【００４７】
【化１０】

【００４８】
は交互共重合またはランダム共重合でえられる残基を示す）］、
一般式（ＶＩ）：
Ｚ［−Ｙ−Ｃ_a−Ｄ_b−Ｃ_d−Ｙ−Ｒ］_e （ＶＩ）
（式中、Ｚ、Ｒ、Ｙ、Ｃ、Ｄおよびｂは一般式（Ｖ）のばあいと同じ、ａとｄとの合計は３０〜２０００の整数、ｅは２〜４の整数である）もしくは
一般式（ＶＩＩ）：
Ｚ［−Ｙ−Ｄ_a−Ｃ_b−Ｄ_d−Ｙ−Ｒ］_e （ＶＩＩ）
（式中、Ｚ、Ｒ、Ｙ、ＣおよびＤは一般式（Ｖ）のばあいと同じ、ａとｄとの合計は２０〜５００の整数、ｂは３０〜２０００の整数、ｅは２〜４の整数である）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤またはこれらの２種以上などがあげられ、これらはエチレンオキシド残基を有しているため親水性である。
【００４９】
一般式（ＩＩ）において、Ｒがアルキル基のばあいその炭素数としては、熱分解性の点から１〜１８であることが好ましい。Ｙとしては、熱分解性の点から−Ｏ−またはエステル基が好ましい。ａとしては、４０〜６００の整数であることが造膜性と熱分解性の点から好ましく、ｂとしては、３０〜１２０の整数であることが増粘性の点から好ましい。ｃとしては、１〜５であることがレベリング性の点から好ましい。
【００５０】
一般式（ＩＩＩ）において、Ｒがアルキル基のばあいその炭素数としては、熱分解性の
点から１〜１８であることが好ましい。Ｙとしては、熱分解性の点から−Ｏ−またはエステル基が好ましい。ａとしては、２０〜３００の整数であることが造膜性と熱分解性の点から好ましく、ｂとしては、３０〜１２０の整数であることが増粘性の点から好ましく、ｄとしては、２０〜３００の整数であることが造膜性と熱分解性の点から好ましい。
【００５１】
一般式（ＩＶ）において、Ｒがアルキル基のばあいその炭素数としては、熱分解性の点から１〜１８であることが好ましい。Ｙとしては、熱分解性の点から−Ｏ−またはエステル基が好ましい。ａとしては、１５〜６０の整数であることが増粘性と熱分解性の点から好ましく、ｂとしては、４０〜６００の整数であることが造膜性の点から好ましく、ｄとしては、１５〜６０の整数であることが増粘性と熱分解性の点から好ましい。
【００５２】
一般式（Ｖ）において、Ｚの炭素数としては、増粘性と熱分解性の点から２または３であることが好ましく、Ｒがアルキル基のばあいその炭素数としては、増粘性、熱分解性の点から１〜１８であることが好ましい。Ｙとしては、熱分解性の点から−Ｏ−またはエステル基が好ましい。ａとしては、４０〜６００の整数であることが造膜性と熱分解性の点から好ましく、ｂとしては、３０〜１２０の整数であることが増粘性の点から好ましく、ｃとしては、１〜５であることがレベリング性の点から好ましい。
【００５３】
一般式（ＶＩ）において、Ｚの炭素数としては、増粘性と熱分解性の点から２または３であることが好ましい。Ｒがアルキル基のばあいその炭素数としては、熱分解性の点から１〜１８であることが好ましい。Ｙとしては、熱分解性の点から−Ｏ−またはエステル基が好ましい。ａとしては、２０〜３００の整数であることが造膜性と熱分解性の点から好ましく、ｂとしては、３０〜１２０の整数であることが増粘性の点から好ましく、ｄとしては、２０〜３００であることが造膜性と熱分解性の点から好ましい。
【００５４】
一般式（ＶＩＩ）において、Ｚの炭素数としては、増粘性と熱分解性の点から２または３であることが好ましい。Ｒがアルキル基のばあいその炭素数としては、熱分解性の点から１〜１８であることが好ましい。Ｙとしては、熱分解性の点から−Ｏ−またはエステル基が好ましい。ａとしては、１５〜６０の整数であることが増粘性と熱分解性の点から好ましく、ｂとしては、４０〜６００の整数であることが造膜性の点から好ましく、ｄとしては、１５〜６０であることが増粘性と熱分解性の点から好ましい。
【００５５】
前記ポリエーテル系高分子界面活性剤は、増粘性、造膜性の機能を有しており、たとえばプロピレンオキシド残基部分を親油基とし、エチレンオキシド残基部分を親水基とした構造を有する親水性の高分子界面活性剤であり、２５０℃付近から前記フルオロ重合体の溶融温度までの範囲内で分解して気化するものであり、交互共重合体（たとえば一般式（ＩＩ）または（Ｖ）においてａ＝ｂ＝１のとき）、ブロック共重合体（たとえば一般式（ＩＩＩ）、（ＩＶ）、（ＶＩ）または（ＶＩＩ））、ランダム共重合体（たとえば一般式（ＩＩ）または（Ｖ））などの形態をとりうるが、増粘しやすさの点から一般式（ＩＩＩ）で示される少なくとも１種のブロック共重合体がもっとも好ましい。
【００５６】
これらのポリエーテル系高分子界面活性剤のエチレンオキシド残基部分の合計の分子量としては、１×１０³〜２×１０⁵であり、２×１０³〜８×１０⁴であることが好ましく、８×１０³〜５×１０⁴であることがさらに好ましく、またプロピレンオキシド残基部分の合計の分子量としては、２×１０³〜３×１０⁴であり、２．５×１０³〜２×１０⁴であることが好ましく、３×１０³〜１×１０⁴であることがさらに好ましい。
【００５７】
前記エチレンオキシド残基部分の合計の分子量が、１×１０³未満であると相分離を起こし均一に分散しなくなる傾向があり、２×１０⁵を超えると増粘しすぎてスプレーできなくなる傾向があり、また前記プロピレンオキシド残基部分の合計の分子量が、２×１０³未満では増粘不足で塗料が垂れやすくなり、垂れの部分で焼成時にクラックが発生する傾向があり、３×１０⁴を超えると増粘しすぎてスプレーできなくなる傾向がある。
【００５８】
一般式（ＩＩ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤の具体例としては、たとえば
（７） ＨＯ（ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ）_a（ＣＨ（ＣＨ₃）ＣＨ₂Ｏ）_bＨ
（式中、ａは３００、ｂは７５）で示されるランダムポリマー、
（８） Ｃ₁₇Ｈ₃₅ＣＯＯ（ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ）_a（ＣＨ（ＣＨ₃）ＣＨ₂Ｏ）_bＣＯＣ₁₇Ｈ₃₅
（式中、ａは３００、ｂは７５）で示されるランダムポリマー
などがあげられるが、熱分解性の点から（７）の構造が好ましい。
【００５９】
一般式（ＩＩＩ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤の具体例としては、たとえば
（９） ＨＯ（ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ）_a（ＣＨ（ＣＨ₃）ＣＨ₂Ｏ）_b（ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ）_dＨ
（式中、ａとｄとの合計は３６４、ｂは６９）、
（10） Ｃ₁₇Ｈ₃₅ＣＯＯ（ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ）_a（ＣＨ（ＣＨ₃）ＣＨ₂Ｏ）_b（ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ）_dＣＯＣ₁₇Ｈ₃₅
（式中、ａとｄとの合計は３００、ｂは６０）で示されるブロックポリマー
などがあげられるが、熱分解性の点から（９）の構造が好ましい。
【００６０】
一般式（ＩＶ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤の具体例としては、たとえば
（11） ＨＯ（ＣＨ（ＣＨ₃）ＣＨ₂Ｏ）_a（ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ）_b（ＣＨ（ＣＨ₃）ＣＨ₂Ｏ）_dＨ
（式中、ａとｄとの合計は６４、ｂは３５０）、
（12） Ｃ₁₇Ｈ₃₅ＣＯＯ（ＣＨ（ＣＨ₃）ＣＨ₂Ｏ）_a（ＣＨ₂ＣＨ₂Ｏ）_b（ＣＨ（ＣＨ₃）ＣＨ₂Ｏ）_dＣＯＣ₁₇Ｈ₃₅
（式中、ａとｄとの合計は６０、ｂは３１０）で示されるブロックポリマー
などがあげられるが、熱分解性の点から（１１）の構造が好ましい。
【００６１】
一般式（Ｖ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤の具体例としては、たとえば
【００６２】
【化１１】

【００６３】
（式中、ａは３００、ｂは７５）で示されるランダムポリマー、
【００６４】
【化１２】

【００６５】
（式中、ａは３００、ｂは７５）で示されるランダムポリマー
などがあげられるが、熱分解性の点から（１３）の構造が好ましい。
【００６６】
一般式（ＶＩ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤の具体例としては、たとえば
【００６７】
【化１３】

【００６８】
（式中、ａとｄとの合計は３６４、ｂは６９）、
【００６９】
【化１４】

【００７０】
（式中、ａとｄとの合計は３００、ｂは６０）で示されるブロックポリマーなどがあげられるが、熱分解性の点から（１５）の構造が好ましい。
【００７１】
一般式（ＶＩＩ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤の具体例としては、たとえば
【００７２】
【化１５】

【００７３】
（式中、ａとｄとの合計は６４、ｂは３５０）、
【００７４】
【化１６】

【００７５】
（式中、ａとｄとの合計は６０、ｂは３１０）で示されるブロックポリマーなどがあげられるが、熱分解性の点から（１７）の構造が好ましい。
【００７６】
本発明においては一般式（ＩＩ）〜（ＩＶ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤を単独で用いるばあい増粘のしやすさの点から一般式（ＩＩＩ）が好ましく、また、２種以上を用いるばあい、一般式（ＩＩ）〜（ＩＶ）における組み合わせとしては、たとえばすべての組み合わせが可能であるが、増粘してレベリング性を付与するという点から（ＩＩ）と（ＩＩＩ）との組み合わせが好ましい。このばあいの具体例の好ましい組み合わせとしては、たとえば前記具体例中の（７）と（９）または（１０）との組み合わせ、（８）と（９）または（１０）との組み合わせなどが熱分解性の点から好ましい。
【００７７】
また、本発明においては一般式（Ｖ）〜（ＶＩＩ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤を単独で用いるばあい増粘のしやすさの点から一般式（ＶＩ）が好ましく、また、２種以上を用いるばあい、一般式（Ｖ）〜（ＶＩＩ）における組み合わせとしては、たとえばすべての組み合わせが可能であるが、増粘してレベリング性を付与するという点から（Ｖ）と（ＶＩ）との組み合わせが好ましい。このばあいの具体例の好ましい組み合わせとしては、たとえば前記具体例中の（１３）と（１５）または（１６）との組み合わせ、（１４）と（１５）または（１６）との組み合わせなどが熱分解性の点から好ましい。
【００７８】
なお、前記一般式（Ｉ）で示されるポリエーテル系樹脂と組み合わせるばあい、前記一般式（ＩＩ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤が好ましい。
【００７９】
本発明における液状担体としては、たとえば水および水とメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、テトラヒドロフランなどのエーテル類などとの混合物があげられるが、これらの中でも前記フルオロ重合体の微粒子の凝集防止、造膜性の点から水および水とアミン類との組み合わせが好ましい。
【００８０】
本発明の特徴の１つは、酸化触媒を配合する点にある。フルオロ重合体の塗膜は最終的にフルオロ重合体の融点以上の温度で焼成することにより行なわれるが、ポリエーテル樹脂をエマルジョン化するための部分や前記界面活性剤が一部変性して残留したりするため、本来、美しい白色であるべき塗膜に着色が生じてしまう。この問題は特に本発明が目的とする厚塗りのばあいに顕著に現われる。
【００８１】
本発明ではそうした着色源となりうる残留物を迅速かつ完全に分解して除去するために酸化触媒を配合する。
【００８２】
酸化触媒には反応型と触媒型があり、本発明においてはいずれも使用できる。反応型酸化触媒としては、たとえば硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、亜硝酸ナトリウムなどの金属の硝酸塩または亜硝酸塩；酢酸ナトリウムなどの酢酸塩などがあげられる。これらのうち、硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウムが触媒自体の耐熱性が高く、フッ素樹脂塗料の高温焼成時の触媒活性が高い点から好ましい。
【００８３】
触媒型酸化触媒としては、たとえば硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケルなどのニッケル塩；硝酸セリウム、塩化セリウム、酢酸セリウム、オクチル酸セリウムなどのセリウム塩などがあげられる。これらのうち、塩化セリウム、硝酸セリウム、オクチル酸セリウム、硝酸ニッケルがフッ素樹脂塗料の高温焼成時の触媒活性が高い点から好ましい。
【００８４】
酸化触媒の配合量はフルオロ重合体の０．００１〜１０重量％、好ましくは０．０１〜３重量％、さらに好ましくは０．０５〜２重量％である。少なすぎれば着色源が残留してしまう。多すぎると添加剤や界面活性剤の分解が早く生じてしまい、塗膜が多孔状になり、塗膜の耐久性、耐食性、耐汚染性に悪影響を及ぼす。
【００８５】
酸化触媒は、粉末の形態で、または水もしくは有機溶剤などの液体に分散もしくは溶解させた形態で添加することができる。
【００８６】
本発明においては、組成物の物性を損なわない範囲内、たとえば組成物中に１５重量％（以下、「％」という）以下の割合で、たとえばトルエン、キシレン、Ｃ₉〜Ｃ₁₁の芳香族系炭化水素などの非極性溶媒を液状担体として用いることができる。
【００８７】
本発明においては、雲母粒子、顔料で被覆された雲母粒子、金属フレークまたはこれらの２種以上のフィラーを添加することができる。これらのフィラーは厚塗り性の向上、耐スクラッチ性の向上という機能を有しており、これらのうちでも雲母が塗膜に美観を与える点で好ましい。
【００８８】
雲母粒子の粒子径としては、１０〜１００μｍであり、１５〜５０μｍであることが好ましく、粒子径が１０μｍ未満では塗膜の光輝感、耐スクラッチ性がわるくなる傾向があり、１００μｍを超えると非粘着性能が低下する傾向がある。
【００８９】
顔料で被覆された雲母粒子としては、たとえばＴｉＯ₂、Ｆｅ₂Ｏ₃などの顔料を焼結蒸着の方法により前記雲母粒子に被覆してえられるものである。
【００９０】
金属フレークとしては、たとえばチタン、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、アンチモン、錫、鉄、ニッケルなどがあげられるが、錆にくさの点からチタン、ジルコニウムが好ましく、その大きさとしては１０〜１００μｍであり、該大きさが１０μｍ未満では塗膜の光輝感、耐スクラッチ性がわるくなる傾向があり、１００μｍを超えると非粘着性能が低下する傾向がある。
【００９１】
本発明においては種々の添加剤を用いることができ、たとえば酸化コバルトなどの乾燥剤、シリコーンオイルなどの消泡剤、メチルセルロース、ＰＶＡ、カルボキシ化ビニルポリマーなどの増粘剤、Ｃ₉〜Ｃ₁₁の芳香族系炭化水素、グリコール系溶剤などのレベリング剤、酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラックなどの顔料などを通常の方法により添加すればよく、その添加量としては前記フルオロ重合体の重量基準で５０％以下、好ましくは３５％以下であり、該添加量が５０％を超えると非粘着性を失う傾向がある。
【００９２】
また、必要に応じてアンモニア水またはモノ、ジ、トリエタノールアミンなどのアルカリ性液体を必要に応じて添加することができる。
【００９３】
前記特定のポリエーテル系樹脂および前記ポリエーテル系高分子界面活性剤の使用量としてはいずれも、前記フルオロ重合体の微粒子の重量基準で０．１〜３００％であり、０．５〜１００％が好ましく、１〜３０％がさらに好ましく、該使用量が０．１％未満では効果があらわれない、３００％を超えると焼き付け時に収縮が激しくなり塗膜の形成が困難となる。
【００９４】
前記フィラーの使用量としては、これとフルオロ重合体との合計重量基準で０．２〜２０％であり、１〜１５％であることが好ましく、２〜１０％であることがさらに好ましく、該使用量が０．２％未満であると塗膜の耐摩耗性がわるくなる傾向があり、２０％を超えると非粘着性が低下する傾向がある。
【００９５】
本発明のフルオロ重合体コーティング組成物の固形分の濃度としては、２０〜８０％であり、４０〜７０％であることが好ましく、該濃度が２０％未満では塗膜が形成できない傾向があり、８０％を超えるとスプレーできない傾向がある。
【００９６】
本発明のフルオロ重合体コーティング組成物を製造するには、たとえばつぎのような方法があげられる。
【００９７】
撹拌機付容器にフルオロ重合体の微粒子の水性分散液（固形分濃度６０％）９０〜１１０重量部（以下、「部」という）を入れ、撹拌下にフィラー０．１〜１０．８部、特定のポリエーテル系樹脂０．０５〜１９８部、前記ポリエーテル系高分子界面活性剤を用いるときは該活性剤０．０５〜１９８部、液状担体２〜２２部、必要に応じて添加剤０．０５〜１０部を順次投入して、５〜３０℃で１０〜４０分間均一になるまで撹拌して本発明のフルオロ重合体コーティング組成物がえられる。
【００９８】
本発明の組成物を各種基材に塗装する方法としては通常の方法によればよく、たとえば金属、ホーロー、ガラス、セラミックスなどの表面をサンドブラストして粗面化したのち、プライマー混合物（ダイキン工業（株）製、ポリフロンエナメルＥＫ−１９０９ＢＫＮ）を下塗りし、組成物に浸漬するか、組成物をスプレー、ローラーコーティングまたはドクターブレードでコーティングし、さらに塗装した組成物中のフルオロ重合体が溶融するのに充分な温度（３４０〜４１５℃）で１０〜３０分間焼付ければよい。
【００９９】
このときの溶融被膜の厚さとしては、３０μｍ以上であり、上限はとくに限定はしないが、７０μｍを超えると前記特定のポリエーテル系樹脂や前記ポリエーテル系高分子界面活性剤のスラッジが塗膜中に残り非粘着性が急激に低下するので、３０〜７０μｍが好ましい。
【０１００】
本発明の組成物は、たとえば金属調理器具、とくにフライパンの塗装にもっとも有用であるが、この組成物は耐腐食性を必要とするその他の製品を塗装するためにも使用されうる。他の製品とは、たとえばガラスまたは使用される焼き付け温度に耐える物質からつくられる、たとえばベアリング、バルブ、電線、金属箔、ボイラー、パイプ、船底、オーブン内張り、アイロン底板、パン焼き型、炊飯器、グリル鍋、電気ポット、製氷トレー、雪かきシャベル、すき、シュート、コンベア、ロール、金型、ダイス、のこぎり、やすり、きりのような工具、包丁、ホッパー、その他に工業用コンテナ（特に半導体工業用）および鋳型があげられる。
【０１０１】
本発明のフルオロ重合体コーティング組成物は、たとえばつぎのようなものが好ましくあげられる。
（１）
（Ａ）フルオロ重合体の微粒子
（Ｂ）一般式（Ｉ）で示されるポリエーテル系樹脂
（Ａ）の重量基準で０．１〜３００％
（Ｃ）酸化触媒
（Ｄ）液状担体
この組成物は、厚塗りができ、耐摩耗性、耐腐食性、非粘着性および白色度に優れた塗膜を形成でき、該組成物が上塗りされている物品は、長期間品質を維持できる。
【０１０２】
より好ましくは、
（Ａ１）テトラフルオロエチレン系重合体の微粒子
（Ｂ）一般式（Ｉ）で示されるポリエーテル系樹脂
（Ａ１）の重量基準で０．１〜３００％
（Ｃ）酸化触媒
（Ｄ）液状担体
この組成物は、より厚塗りができ、耐摩耗性、耐腐食性、非粘着性および白色度に優れた塗膜を形成でき、該組成物が上塗りされている物品は、より長期間品質を維持できる。
【０１０３】
さらに好ましくは、
（Ａ２）ＰＴＦＥ、ＰＦＡおよび／またはＦＥＰの微粒子
（Ｂ１）一般式（Ｉ）で示されるポリエーテル系樹脂
（Ａ２）の重量基準で０．１〜３０％
（Ｃ１）酸化触媒（特にセリウム塩）
（Ｄ）液状担体
この組成物は、さらに光沢、耐腐食性および白色度に優れた塗膜を形成でき、該組成物が上塗りされている物品は、さらに長期間品質を維持できる。
【０１０４】
（２）
（Ａ）フルオロ重合体の微粒子
（Ｂ）一般式（Ｉ）で示されるポリエーテル系樹脂
（Ａ）の重量基準で０．１〜３００％
（Ｃ）一般式（ＩＩ）〜（ＶＩＩ）で示される少なくとも１種のポリエーテル系高分子界面活性剤
（Ａ）の重量基準で０．１〜３００％
（Ｄ）酸化触媒
（Ｅ）液状担体
この組成物は、厚塗りができ、耐摩耗性、耐腐食性、非粘着性および白色度に優れた塗膜を形成でき、該組成物が上塗りされている物品は、長期間品質を維持できる。
【０１０５】
より好ましくは、
（Ａ１）テトラフルオロエチレン系重合体の微粒子
（Ｂ）一般式（Ｉ）で示されるポリエーテル系樹脂
（Ａ１）の重量基準で０．１〜３００％
（Ｃ１）一般式（ＩＩ）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤
（Ａ１）の重量基準で０．１〜３００％
（Ｄ）酸化触媒
（Ｅ）液状担体
この組成物は、より厚塗り性および白色度に優れた塗膜を形成でき、該組成物が上塗りされている物品は、より長期間品質を維持できる。
【０１０６】
さらに好ましくは、
（Ａ２）ＰＴＦＥ、ＰＦＡおよび／またはＦＥＰの微粒子
（Ｂ１）一般式（Ｉ）においてＲ１が水素原子であるポリエーテル系樹脂
（Ａ２）の重量基準で０．１〜３００％
（Ｃ２）一般式（ＩＩ）においてＲが水素原子であるポリエーテル系高分子界面活性剤
（Ａ２）の重量基準で０．１〜３００％
（Ｄ１）酸化触媒（特にセリウム塩）
（Ｅ）液状担体
この組成物は、さらに厚塗り性、光沢、耐腐食性および白色度に優れた塗膜を形成でき、該組成物が上塗りされている物品は、さらに長期間品質を維持できる。
【実施例】
【０１０７】
つぎに、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【０１０８】
実施例１
つぎに示す成分を記載の順序で混合した。
（１） ＰＴＦＥ水性分散液（ダイキン工業（株）製ポリフロンディスパージョンＤ−１、固形分６０％の水性分散液（ＰＴＦＥに対して分散安定剤としてポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル（ＥＯ＝１０）を６％含有している）） １５０．０部
（２） ポリエーテル系樹脂エマルジョン（三洋化成工業（株）製パーマリンＵＡ−２００、分子量約２０００のポリテトラメチレングリコールをウレタン基でジョイントした乳化剤フリーのエマルジョン、固形分３０％） ６．０部
（３） ２５％ラウリル硫酸ナトリウム水溶液 ３．６部
（４） トルエン １．６部
（５） 酸化触媒（亜硝酸ナトリウム１０重量％水溶液） ９．０部
（６） 脱イオン水 ７．０部
【０１０９】
えられた組成物について、塗料物性の試験を行なった。
【０１１０】
試験はつぎのように行なった。
塗料物性
粘度：Ｂ型回転粘度計（Ｎｏ．２ロータ）を用いてロータの回転数６０ｒｐｍで２分間回転させて測定した（温度２５℃）。
【０１１１】
結果を表１に示す。
【０１１２】
つぎに、予めサンドブラストしたのちプライマー混合物（ダイキン工業（株）製ポリフロンエナメルＥＫ−１９０９ＢＫＮ（ポリアミドイミドを含む））を乾燥後の厚さが１５μｍになるように下塗りしたアルミニウム製フライパンに、前記（１）〜（６）の各成分を混合した本発明の組成物を焼付け後の厚さが３５μｍになるように噴霧し、扇風機で乾燥後さらに９０℃で１０分間乾燥し、３８０℃で１５分間焼付け（風乾）、膜の厚さが合計で５０μｍの本発明の組成物が上塗りされた物品をえた。また、扇風機での乾燥を行なわなかったほかは同様に乾燥（９０℃１０分間）および焼付け（３８０℃１５分間）を行ない（速乾）、目的とする物品をえた。これらの物品の塗膜物性の試験を行なった。試験はつぎのように行なった。
【０１１３】
塗膜物性
クラック限界膜厚：ノンブラストのアルミニウム板にスプレー塗装し、前記乾燥（風乾、速乾）および焼付け条件で焼き、電磁式膜厚計で測定した。
着色の程度：上記（風乾）でえられた塗膜を目視で観察し、着色なしをＡ、少し着色したものをＢ、かなり着色したものをＣと評価した。
Ｌ値：ノンブラストのアルミニウム板にスプレー塗装し、前記風乾の焼付け条件で焼きつけた。膜厚３０μｍの個所の色調をカラーコンピュータ（スガ試験機（株）製のＭｏｄｅｌ ＳＭ−７）にて評価した。Ｌ値が大きい方が白色度が高い。
【０１１４】
結果を表１に示す。
【０１１５】
実施例２〜７および比較例１〜８
表１に示す組成の塗料を実施例１と同様にして調製し、実施例１と同様にして評価した。
【０１１６】
結果を表１に示す。
【０１１７】
なお表１中の、ポリエーテル系樹脂（Ｉ）エマルジョン、各ポリエーテル系高分子界面活性剤（ＩＩ）、（ＩＩＩ）、（ＶＩ）、ミルベースおよびＴｉＯ₂被覆雲母はそれぞれつぎのものである。
ポリエーテル系樹脂（Ｉ）エマルジョン：
パーマリンＵＡ−２００（三洋化成工業（株）製）
ポリエーテル系高分子界面活性剤（ＩＩ）：
オキシエチレン−オキシプロピレンランダム共重合体（三洋化成工業（株）製のニューポール７５Ｈ−９００００、２０％水溶液）。式（ＩＩ）において、ＲがＨ、Ｙが酸素原子、ａが３００、ｂが７５、ｃが１である。
ポリエーテル系高分子界面活性剤（ＩＩＩ）：
オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体（三洋化成工業（株）製のニューポールＰＥ１２８、２０％水溶液）。式（ＩＩＩ）において、ＲがＨ、Ｙが酸素原子、ａが１８２、ｂが６９、ｄが１８２である。
ポリエーテル系高分子界面活性剤（ＶＩ）：
オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体（三洋化成工業（株）製のニューポールＶ−１０−Ｃ、２０％水溶液）。式（ＶＩ）において、ＲがＨ、Ｙが酸素原子、ａが１８２、ｂが６９、ｄが１８２、Ｚは３価の脂肪族飽和炭化水素、ｅが３である。
ミルベース：
脱イオン水５５部と酸化コバルトブルー４５部をボールミルで混合した混合物。
ＴｉＯ₂被覆雲母
平均粒子径３０μｍ。
【０１１８】
【表１】

【０１１９】
表１の結果から明らかなように、一般式（Ｉ）で示される特定のポリエーテル系樹脂および酸化触媒が配合されている本発明の組成物は、厚塗りが可能なだけではなく着色を大きく抑制していることがわかる。
【０１２０】
また、さらに一般式（ＩＩ）〜（ＶＩＩ）で示される特定のポリエーテル系高分子界面活性剤を併用すると、クラック限界膜厚（特に速乾時）が厚くなり、量産性により優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【０１２１】
以上の結果から明らかなように、本発明のフルオロ重合体コーティング組成物は、厚塗りができ、耐摩耗性、耐腐食性、非粘着性に優れた、しかも着色のない塗膜を形成でき、また前記特定のポリエーテル系樹脂エマルジョンを用いているので作業性、安全性、環境面で優れており、塗料中に均一に分散するので造膜効果が大きく、該組成物が上塗りされている物品は、長期間、白色度と品質を維持できる。

Claims (10)

1. フルオロ重合体の微粒子と該微粒子の重量基準で０.１〜３００重量％のポリエーテル系樹脂と酸化触媒と液状担体とからなるフルオロ重合体コーティング組成物であって、該ポリエーテル系樹脂が、一般式（Ｉ）：
   Ｒ¹−Ｙ¹−（Ａ−Ｂ）_m−Ｒ¹ （Ｉ）
   ［式中、Ｒ¹は同じかまたは異なりいずれも水素原子または炭素数１〜２０のアルキル基、Ｙ¹は−Ｏ−、エステル基、ウレタン基またはチオニール基、Ａは炭素数３以上のポリアルキレンオキシド残基（ただし、重合してえられるアルキレンオキシド部分の分子量が１×１０³〜１×１０⁴である）、Ｂは式：
   −ＣＯＮＨ−Ｊ¹−ＮＨＣＯ−
   （式中、−ＣＯＮＨ−Ｊ¹−ＮＨＣＯ−はトリレンジイソシアネート系ウレタン残基、ヘキサメチレンジイソシアネート系ウレタン残基、イソホロンジイソシアネート系ウレタン残基、キシリレンジイソシアネート系ウレタン残基またはジフェニルメタンジイソシアネート系ウレタン残基である）で示されるウレタン残基、ｍは１〜１００の整数を表わす］で示される樹脂であり、該樹脂の分解して気化する温度が、該フルオロ重合体の分解温度までの範囲内にあるフルオロ重合体コーティング組成物。
2. フルオロ重合体の微粒子の重量基準で０.１〜３００重量％の一般式（II）：
   

   

   ［式中、Ｒは水素原子または炭素数１〜２０のアルキル基、Ｙは−Ｏ−、エステル基、ウレタン基、チオニール基またはりん酸基、Ｃはエチレンオキシド残基、Ｄはプロピレンオキシド残基、ａは３０〜２０００の整数、ｂは２０〜５００の整数、ｃは１〜１０の整数である（ただし、
   

   

   は交互共重合またはランダム共重合でえられる残基を示す）］、
   一般式（III）：
   Ｒ−Ｙ−Ｃ_a−Ｄ_b−Ｃ_d−Ｙ−Ｒ （III）
   （式中、Ｒ、Ｙ、Ｃ、Ｄおよびｂは前記と同じ、ａとｄとの合計は３０〜２０００の整数である）、
   一般式（IV）：
   Ｒ−Ｙ−Ｄ_a−Ｃ_b−Ｄ_d−Ｙ−Ｒ （IV）
   （式中、Ｒ、Ｙ、ＣおよびＤは前記と同じ、ａとｄとの合計は２０〜５００の整数、ｂは３０〜２０００の整数）、
   一般式（Ｖ）：
   

   

   ［式中、Ｚは炭素数１〜５の多価脂肪族飽和炭化水素基、Ｒは水素原子または炭素数１〜２０のアルキル基、Ｙは−Ｏ−、エステル基、ウレタン基、チオニール基またはりん酸基、ｃはエチレンオキシド残基、Ｄはプロピレンオキシド残基、ａは３０〜２０００の整数、ｂは２０〜５００の整数、ｃは１〜１０の整数、ｅは２〜４の整数である（ただし、
   

   

   は交互共重合またはランダム共重合でえられる残基を示す）］、
   一般式（VI）：
   Ｚ［−Ｙ−Ｃ_a−Ｄ_b−Ｃ_d−Ｙ−Ｒ］_e （VI）
   （式中、Ｚ、Ｒ、Ｙ、Ｃ、Ｄおよびｂは一般式（Ｖ）のばあいと同じ、ａとｄとの合計は３０〜２０００の整数、ｅは２〜４の整数である）もしくは
   一般式（VII）：
   Ｚ［−Ｙ−Ｄ_a−Ｃ_b−Ｄ_d−Ｙ−Ｒ］_e （VII）
   （式中、Ｚ、Ｒ、Ｙ、ＣおよびＤは一般式（Ｖ）のばあいと同じ、ａとｄとの合計は２０〜５００の整数、ｂは３０〜２０００の整数、ｅは２〜４の整数である）で示されるポリエーテル系高分子界面活性剤またはこれらの２種以上を含む請求項１記載のフルオロ重合体コーティング組成物。
3. フルオロ重合体がテトラフルオロエチレン系重合体である請求項１または２記載のフルオロ重合体コーティング組成物。
4. テトラフルオロエチレン系重合体が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ（アルキルビニルエーテル）共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体またはこれらの２種以上である請求項３記載のフルオロ重合体コーティング組成物。
5. 請求項１〜４のいずれかに記載のフルオロ重合体コーティング組成物にさらに
   （１）雲母粒子、顔料で被覆された雲母粒子、金属フレークまたはこれらの２種以上が添加されており、
   （２）フルオロ重合体がポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ（アルキルビニルエーテル）共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体またはこれらの２種以上であり、
   成分（１）と成分（２）との合計量基準で成分（２）が８０〜９９．８重量％、成分（１）が２０〜０．２重量％であるフルオロ重合体コーティング組成物。
6. 請求項１〜５のいずれかに記載の液状担体が水であるフルオロ重合体コーティング組成物。
7. 前記酸化触媒がフルオロ重合体の０．００１〜１０重量％配合されている請求項１〜６のいずれかに記載のフルオロ重合体コーティング組成物。
8. 前記酸化触媒が粉末の形態で添加されている請求項１〜７のいずれかに記載のフルオロ重合体コーティング組成物。
9. 前記酸化触媒が、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸セリウム、オクチル酸セリウム、塩化セリウムまたは硝酸セリウムである請求項１〜８のいずれかに記載のフルオロ重合体コーティング組成物。
10. 請求項１〜９のいずれかに記載のフルオロ重合体コーティング組成物が、少なくとも３０μｍの厚さの溶融被膜を形成するように上塗りされてえられる物品。