JP4348752B2 - 塗料組成物およびこれを塗布してなる塗装品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長期的な非粘着性に優れた塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、フライパン、ガステーブルの天板、電子レンジの内壁材などには耐熱性および非粘着性が求められており、たとえば特開昭50−83453号および特公昭53−34134号各公報には、耐熱性および非粘着性に優れた塗膜を提供し得る非粘着性耐熱塗料として、ポリエーテルスルフォン樹脂とテトラフルオロエチレン樹脂とからなる組成物が開示されている。そして、耐熱性および非粘着性は、得られる塗膜の表面に被膜を形成するテトラフルオロエチレン樹脂により付与されるものである。
【0003】
ところが、テトラフルオロエチレン樹脂は融点および溶融粘度が高いため、耐熱性バインダーを含む1コート系塗膜の表面でテトラフルオロエチレン樹脂からなる被膜を形成しにくいため、前記非粘着性耐熱塗料を基材に塗布してなる塗板、たとえばガステーブルの天板などにおいて、次第に非粘着性が損なわれるという問題があった。これは、テトラフルオロエチレン樹脂の造膜性に起因するものである。
【0004】
すなわち、前記非粘着性耐熱塗料から得られる塗膜の非粘着性は長期間の持続性に劣り、たとえば前記非粘着性耐熱塗料を金属基材に塗布してなるプレコートメタル(PCM)を加工すると、次第に非粘着性が損なわれるという問題があった。これは、前記非粘着性耐熱塗料を基材に塗布してなる塗板についての非粘着サイクル試験において、サイクルを重ねるごとに非粘着性が低下していくことからも確認できる。
【0005】
また、たとえば特開昭63−193965号公報には、ポリエーテルスルフォン樹脂と融点が280〜315℃の熱溶融性フッ素樹脂とからなる被覆材が開示されている。
【0006】
当該公報記載の被覆材は、均一で光沢のある爪痕や圧痕の付きにくい塗膜であり、テトラフルオロエチレン樹脂を使用した場合と同様の耐熱性、潤滑性および非粘着性を保持し得るものである。
【0007】
しかし、これも粉状物として入手可能なPFAは平均粒径が25μm以上と、比較的大きいものしか入手できず、非粘着性の長期的な持続性に劣るという問題があった。また、平均粒径が小さい熱溶融性フッ素樹脂(たとえばテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA))は、ディスパージョンの形態で入手することが可能であるが、主として水性塗料用であることから、安定化のために大量の界面活性剤を含んでおり、有機溶剤中に分散させることはできず、また、凝析によって粉状物を得ることも非常に困難であった。
【0008】
ところで、特にガステーブルの天板に代表される厨房機器の非粘着性および耐熱性を評価する方法としては、260℃における耐汚染性試験が広く行なわれている。したがって、融点が260℃以下のフッ素樹脂を用いると、試験時に塗膜表面のフッ素樹脂が溶融して汚染物が塗膜内部に浸透し、結果として、得られる塗膜の非粘着性の持続性に劣ることになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
叙上の事実に鑑み、本発明の目的は、特にPCMに適し、非粘着性の持続性に優れた非粘着性耐熱塗料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、耐熱性バインダー樹脂100重量部に対して、融点が270℃以上の熱溶融性フッ素樹脂を10〜200重量部含み、熱溶融性フッ素樹脂が1μm以下の平均粒径を有する粉末である塗料組成物に関する。
【0011】
本発明はまた、前記塗料組成物を基材に塗布してなる塗装品にも関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
前述したように、従来技術における非粘着性耐熱塗料は、非粘着性の持続性に問題があった。本発明者らはかかる問題を解消すべく種々検討を行なった結果、熱溶融性フッ素樹脂として融点が270℃以上で、かつ平均粒径が1μm以下のものを用いれば、非粘着性の持続性に優れた塗膜を得ることができることを見出した。
【0013】
まず、本発明において用いることのできる熱溶融性フッ素樹脂としては、融点が270℃以上のものであれば特に制限はなく、たとえばテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレンなどの単量体の少なくとも1種からなる重合体があげられる。なかでも、より非粘着性の持続性に優れるという点から、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましく、さらに、耐熱性という点から、PFAを用いるのが好ましい。
【0014】
熱溶融性フッ素樹脂の融点は、耐熱防汚性という点から、270〜330℃であるのが好ましい。さらに、耐熱性および加工時の熱溶融性フッ素樹脂の造膜性という点から、280〜320℃であるのが特に好ましい。
【0015】
なお、融点は、当業者であれば、熱溶融性フッ素樹脂を構成する単量体の重合比を適宜選択することにより制御することができる。
【0016】
つぎに、本発明において用いる熱溶融性フッ素樹脂は、得られる塗膜中で良好な分散性を発揮させて耐熱性および非粘着性に優れた被膜を表面に形成させるべく、粉末であるのが好ましく、かつその平均粒径は1μm以下、特に0.5μm以下であるのが好ましい。
【0017】
ここで、冒頭で述べたとおり、従来は、比較的粒径の大きな熱溶融性フッ素樹脂しか用いられておらず、平均粒径が1μm以下の熱溶融性フッ素樹脂を使用することは困難であった。すなわち、入手可能な平均粒径が1μm以下の熱溶融性フッ素樹脂がディスパージョンの形態をしているため、溶剤中に分散することができず、また、安定化のために大量の界面活性剤を含んでいることから凝析によって粉状物を得ることが非常に困難であった。
【0018】
そこで、本発明において用いる平均粒径が1μm以下の熱溶融性フッ素樹脂は、たとえば本件出願人の先の出願に係る特許第85082号明細書(特公平1−25506号公報)記載の方法を参考にして得ることができる。
【0019】
たとえば、平均粒径が1μm以下の熱溶融性フッ素樹脂は、水性媒体中で単量体を共存させて乳化重合を行ない、得られたディスパージョンを界面活性剤を添加せずに凝析、乾燥して得られる。
【0020】
また、熱溶融性フッ素樹脂の平均粒径は、さらには、造膜性という点から、0.1〜1.0μmであるのが好ましく、特に、焼成時のフッ素樹脂の溶融性という点から、0.3〜0.5μmであるのが好ましい。
【0021】
本発明の塗料組成物における熱溶融性フッ素樹脂の配合量としては、後述する耐熱性バインダー樹脂100重量部に対して10〜200重量部であればよい。これは、10重量部未満であると非粘着性の持続性が低下し、200重量部を超えると得られる塗料組成物と基材との密着性が低下するからである。さらに、非粘着性および密着性を向上させるという点から50〜150重量部であるのが好ましく、特に80〜120重量部であるのが好ましい。
【0022】
つぎに、本発明の塗料用組成物を構成する耐熱性バインダー樹脂について説明する。本発明における耐熱性バインダー樹脂は、400℃程度の耐熱性(分解開始温度)を有し、得られる塗料組成物を基材に塗布した場合にバインダーとして前記熱溶融性フッ素樹脂を保持し得るものであれば従来のものと同じでよく、たとえばポリエーテルスルフォン、ポリフェニルサルファイド、ポリスルフォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどがあげられる。これらはそれぞれ単独でまたは任意に組み合わせて用いることができるが、着色の自由度および加工性の点から、ポリエーテルスルフォンを用いるのが好ましい。
【0023】
溶剤としては、耐熱性バインダー樹脂を溶解し、熱溶融性フッ素樹脂を分散させるというものであればよく、たとえばN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組み合わせて用いることができる。また、耐熱性バインダーの溶解性という点から、N−メチル−2−ピロリドンを用いるのが好ましい。
【0024】
かかる溶剤の配合量としては、得られる塗料組成物に塗膜形成性を与え、また、塗装方法に適した塗料粘度を与えるという範囲で、当業者であれば適宜選択することができる。
【0025】
また、本発明の塗料組成物は、熱溶融性フッ素樹脂の分散という点から、界面活性剤を添加することができる。なかでも、フッ素樹脂との親和性および表面張力低下能という点から含フッ素界面活性剤を用いるのが好ましい。
【0026】
また、かかる界面活性剤は、前述した熱溶融性フッ素樹脂の配合量の0.1〜10重量%に相当する量で配合するのが好ましい。これは、界面活性剤が熱溶融性フッ素樹脂の0.1重量%未満であると、熱溶融性フッ素樹脂の分散効果が期待できず、10重量%を超えると、界面活性剤が熱溶融性フッ素樹脂が塗膜の表面に被膜を形成することを阻害し、得られる塗膜の非粘着性が低下するからである。さらに、非粘着性の持続性という点から、熱溶融性フッ素樹脂の1〜5重量%に相当する界面活性剤を配合するのが好ましい。
【0027】
好ましい含フッ素界面活性剤のうち市販されているものとしては、たとえばダイキン工業(株)製の「ユニダイン」、大日本インキ化学(株)製の「メガファック」などがあげられる。
【0028】
本発明の塗料組成物は、前述した熱溶融性フッ素樹脂、耐熱性バインダー樹脂および溶剤を必須成分として含み、任意成分として界面活性剤を含むが、そのほかの任意成分として、たとえば顔料、光輝剤、抗菌剤、充填材などの従来から用いられている添加剤も、本発明の効果を損なわない範囲で含むことができる。
【0029】
界面活性剤を除く前記任意成分の配合量は、得られる塗料組成物からなる塗膜の非粘着性を低下させないという点から、合計で、耐熱性バインダーと熱溶融性フッ素樹脂の50重量%までの範囲であればよい。
【0030】
本発明の塗料組成物は常法によって製造することができる。たとえば、ボールミル、3本ロール、ディスパーなどの撹拌混合装置を用いて、各成分を撹拌混合することによって製造することができる。
【0031】
かくして得られる本発明の塗料組成物は、塗装性という点から、固形分濃度が10〜50重量%であるのが好ましい。さらに、15〜35重量%が特に好ましい。
【0032】
つぎに、本発明は、前記塗料組成物を基材に塗布してなる塗装品にも関する。また、基材としては、たとえばステンレス鋼、アルミニウム、鉄、めっき鋼板などがあげられる。また、必要に応じて防錆プライマー層を設けてもよい。
【0033】
前記基材の形状としては、たとえば板状、棒状、球状があげられ、所望する塗装品の最終形状であってもよい。
【0034】
前記基材に塗料組成物を塗布する場合は、たとえばロールコーター、フローコーター、スプレーなどを用いて、常法により塗布することができる。また、基材との密着性という点から、ブラスト、酸、アルカリおよびクロメートなどによって基材の表面を処理してから塗布するのが好ましい。
【0035】
本発明の塗料組成物を基材に塗布する場合、その乾燥膜厚は耐熱性を損なわない範囲であればよく、さらに、非粘着性の持続性の点から5〜40μmであるのが好ましく、さらに、加工性の点から10〜20μmであるのが特に好ましい。
【0036】
前述のようにして得られる本発明の塗装品は、たとえばフライパン、ガステーブルの天板、ホットプレート、パン焼き器、オイルポット、電子レンジの内壁材などの、家電および厨房機器など、そのほか耐熱性および非粘着性が求められているものにも好適に適用することができる。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
【0038】
実施例1
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)10g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点320℃、平均粒径0.3μm)10gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散して本発明の塗料組成物を得た。ついで、当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、本発明の塗装品を得た。なお、熱溶融性フッ素樹脂の粒径は、日本電子(株)製の「HEROS and RODOSレーザー回析式粒度分布測定装置」および(株)堀場製作所製「CAPA−700」にて測定した。
【0039】
実施例2
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)10g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体A(融点320℃、平均粒径0.3μm)10g、複合酸化物顔料(ダイピロキサイドカラ#9510、大日本精化工業(株)製)5gをN−メチル−2−ピロリドン47g、メチルイソブチルケトン14g、キシレン13gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させ、さらにアルミフレーク(HS−2、東洋アルミ(株)製)を1g添加して撹拌、分散させて本発明の塗料組成物を得た。ついで当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、本発明の塗装品を得た。
【0040】
実施例3
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)10g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点280℃、平均粒径0.2μm)10gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて本発明の塗料組成物を得た。ついで当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、本発明の塗装品を得た。
【0041】
実施例4
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)10g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点300℃、平均粒径0.15μm)10gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて本発明の塗料組成物を得た。ついで当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、本発明の塗装品を得た。
【0042】
実施例5
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)14g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点320℃、平均粒径0.3μm)7gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて本発明の塗料組成物を得た。ついで当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、本発明の塗装品を得た。
【0043】
実施例6
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)8g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点320℃、平均粒径0.3μm)12gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて本発明の塗料組成物を得た。ついで当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、本発明の塗装品を得た。
【0044】
実施例7
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)8g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点320℃、平均粒径0.3μm)12gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15g、F−142D(大日本インキ化学工業(株)製のメガファック)0.3gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて本発明の塗料組成物を得た。ついで当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、本発明の塗装品を得た。
【0045】
比較例1
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)10g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(融点240℃、平均粒径0.2μm)10gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて比較塗料組成物を得た。ついで当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、比較塗装品を得た。
【0046】
比較例2
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)10g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点300℃、平均粒径5.0μm)10gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて比較塗料組成物を得た。ついで、当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、比較塗装品を得た。
【0047】
比較例3
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)10g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点320℃、平均粒径0.3μm)0.9gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて比較塗料組成物を得た。ついで、当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、比較塗装品を得た。
【0048】
比較例4
ポリエーテルスルフォン樹脂(PES5003P、住友化学工業(株)製)6g、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(融点320℃、平均粒径0.3μm)15gをN−メチル−2−ピロリドン50g、メチルイソブチルケトン15g、キシレン15gの混合溶剤に加え、ボールミルで溶解分散させて比較塗料組成物を得た。ついで当該組成物を塗布型クロメート処理した0.5mmのステンレス鋼板にバーコーターにて乾燥膜厚が10μmになるように塗布し、400℃で90秒間焼成して、比較塗装品を得た。
【0049】
前述のようにして作製した本発明の塗装品および比較塗装品を切断して試験片を得、試験片を下記の項目にて試験、評価した。
【0050】
[試験方法]
(1)加工性(OT密着曲げセロハンテープ剥離試験)
試験片をOT曲げ(塗装面を外側にして折り曲げ)した後にセロハンテープ剥離を行ない、剥離率が0%以上10%未満のものをA、剥離率が10%以上20%未満のものをB、剥離率が20%以上50%未満のものをC、剥離率が50%以上のものをDと評価した。
【0051】
(2)表面粗さ
試験片の表面粗度(Ra)を、SURFCOM470A((株)東京精密製)で測定した。Raが0.5μm未満のものをA、0.5μm以上1.0μm未満のものをB、1μm以上のものをCとした。
【0052】
(3)初期非粘着性
卵/砂糖/醤油=1/1/1(重量比)からなる汚染液を試験片にスポットし、260℃で30分間焼き付けた後のものについて試験した。簡単に汚染物が除去できるものをA、汚染物が取れ難いものをB、汚染物が取れないものをCとした。
【0053】
(4)非粘着性の持続性
前記、初期非粘着性試験を1サイクルとし、汚染物が取れなくなるまでのサイクル数を調べた。
【0054】
【表1】
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、非粘着性の持続性に優れた非粘着性耐熱塗料を提供することができ、かかる塗料を基材に塗布してなる塗装品は、たとえばフライパン、ガステーブルの天板、電子レンジの内壁材などの耐熱性および非粘着性を必要とするものに適用することができる。
Claims (1)
- 耐熱性バインダー樹脂100重量部に対して、融点が270〜330℃の熱溶融性フッ素樹脂として1μm以下の平均粒径を有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体粉末を50〜200重量部含み、かつ溶剤として有機溶剤のみを含む塗料組成物。
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