JP2993002B2 - フッ化ビニリデン系重合体の水性組成物 - Google Patents

フッ化ビニリデン系重合体の水性組成物

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JP2993002B2 JP1044141A JP4414189A JP2993002B2 JP 2993002 B2 JP2993002 B2 JP 2993002B2 JP 1044141 A JP1044141 A JP 1044141A JP 4414189 A JP4414189 A JP 4414189A JP 2993002 B2 JP2993002 B2 JP 2993002B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、フッ化ビニリデン系重合体の水性組成物に
関する。
[従来の技術] フッ素含有重合体は、耐食性、耐熱性および耐候性な
どをはじめとした性質が優れているので、種々の基材に
被覆され、耐食性、耐候性および非粘着性などが要求さ
れる用途に利用されている。フッ素含有重合体は、通
常、乳化物などの分散物の形態で基材に適用される。
基材に被覆するフッ素含有重合体として、テトラフル
オロエチレン系重合体(以下、「PTFE」という。)が提
案されている(特公昭51−45720号公報、特公昭55−714
8号公報および特公昭60−240437号公報参照)。PTFE
は、例えば、構築材料、離型用シート、布(織布または
不織布)、電気機器用積層板などの基材の被覆のために
水性組成物の形態で使用されている。PTFEの水性組成物
は、例えば、非イオン性界面活性剤で安定化され、樹脂
濃度40〜60重量%で基材に塗布される。
PTFE水性組成物を塗布後、PTFEを成膜するには、PTFE
の融点以上、例えば340〜400℃程度の高温で焼成を行う
必要があり、基材の変色が生じることがある。そのた
め、仕上がりの美観を要求される用途では、基材には耐
熱性が要求され、種々の基材を使用することができな
い。高温成膜はエネルギー的にも不利である。
PTFEで基材を被覆して得られた被覆物は、通常、接着
剤を使用してまたは加熱圧着を行って加工される。接着
剤を使用するには被覆物の特別な表面処理が必要とな
る。加熱圧着を行うには、通常、テトラフルオロエチレ
ンの共重合体(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体(FEP)など)を接着剤として用
いる必要があり、PTFE単独では接着強度に劣る。加え
て、PTFEの塗膜表面は非常に不活性であり、染色や印刷
を施しにくい。このように、PTFE被覆物の後加工性は悪
い。
PTFE水性組成物は、高温での焼成を要し、後加工性が
悪いので、PTFEに代えてフッ化ビニリデン系重合体を使
用することが提案されている。
例えば、特公昭57−14392号公報には、フッ化ビニリ
デン系重合体の水性組成物が記載されている。しかし、
この水性組成物から形成された塗膜において、耐候性、
機械的強度および耐汚染性が低く、着色が生じることが
あり、塗膜の性能が悪い。これの主たる原因は、水性組
成物の安定化の目的で配合されている非イオン性界面活
性剤が形成塗膜に残存するためであると考えられる。フ
ッ化ビニリデン系重合体の組成物を塗布する際の焼成温
度(例えば、約80〜300℃)は低い。このような焼成温
度では、非イオン性界面活性剤が完全に除去されず塗膜
中に残存するのである。
ところで、PTFE水性組成物においては、非イオン性界
面活性剤の残存を防止する方法が提案されている。例え
ば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、塩化亜鉛
(ZnC)または酢酸鉛[Pb(OCOCH3]を添加す
ること(特開昭46−7340号公報参照)、あるいはコバル
ト化合物、鉄化合物、セリウム化合物またはマンガン化
合物を添加すること(特公昭54−37905号公報参照)に
よって、非イオン性界面活性剤の分解を促進し、その残
存を防止している。しかし、これら金属化合物をフッ化
ビニリデン系重合体において使用する場合に、フッ化ビ
ニリデン系重合体の焼成温度が低く、一方、分解促進効
果の発現温度が高いので、非イオン性界面活性剤は充分
に除去されず、形成塗膜の性能は悪い。
加えて、フッ化ビニリデン系重合体は有機溶剤に分散
または溶解させて塗料化する場合が多い(例えば、特公
昭43−1036公報、特公昭47−18345号公報、特公昭48−1
6705号公報参照)ので、臭気、毒性、火炎等の点で取扱
いには注意を要するものが多く、取扱いが容易でない。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、取扱いが容易であり、低温で成膜で
き、後加工性が良好であり、塗膜性能が良好であるフッ
素含有重合体の水性組成物を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の要旨は、 (a)フッ化ビニリデン系重合体100重量部、 (b)非イオン性界面活性剤0.5〜10重量部、および (c)銀、ニッケル、アルミニウムおよびカリウムから
成る群から選ばれた少なくとも1種の金属の水溶性塩0.
05〜10重量部 を含有し、無機フッ化物およびリン酸を含有しないフッ
化ビニリデン系重合体の水性組成物に存する。
フッ化ビニリデン系重合体は、フッ化ビニリデンの単
独重合体またはフッ化ビニリデンを75重量%以上含有す
る他の単量体との共重合体である。他の単量体として
は、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、スチ
レン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、ジ
フルオロクロロエチレン、トリフルオロクロロエチレ
ン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニルフォルメート、
酢酸ビニル、ビニルプロピオネート、ビニルブチレー
ト、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、
メチルメタクリレート、アリルメタクリレート、アクリ
ロニトリル、N−ブチルメタクリルアミド、アリルアセ
テート、およびイソプロペニルアセテート等が挙げられ
る。
フッ化ビニリデン系重合体の数平均分子量(n)
は、ジメチルホルムアミド中70℃でGPCによって測定し
て、好ましくは20,000〜500,000、より好ましくは50,00
0〜250,000である(ポリスチレン換算)。nが20,000
よりも低い場合、塗膜は機械的強度に不足し、耐候性、
耐食性などに劣る。nが500,000よりも高い場合、平
滑な塗膜が容易に得られない。フッ化ビニリデン系重合
体の平均粒径は、光散乱法あるいは光透過法によって測
定して、好ましくは0.1〜0.5μmである。平均粒径が0.
1μmよりも小さい場合、水性組成物の粘度が高くなり
容易な塗装ができない。平均粒径が0.5μmよりも大き
い場合、水性組成物の保存安定性が悪くなり、沈降また
は凝析が生じやすい。
フッ化ビニリデン系重合体の量は、水性組成物100重
量部に対して好ましくは40〜65重量部である。
フッ化ビニリデン系重合体は、フッ化ビニリデンおよ
び要すれば他の単量体を水系溶媒中で常套手段により乳
化重合することによって得られる。乳化重合において使
用する乳化剤は、例えば、パーフルオロオクタン酸アン
モニウムである。乳化剤の量は、通常、単量体100重量
部に対して0.1〜2%である。乳化重合により得られた
ディスパージョンにおける重合体の濃度は、通常、10〜
25重量%である。
非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレ
ン単位を有するアルキルアリールポリエーテルアルコー
ル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロッ
ク共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルであ
る。
非イオン性界面活性剤は、式: [式中、EOはCH2CH2O、 Rは炭素数6〜18、好ましくは8〜9の飽和または不
飽和炭化水素基、 nは5〜30の数である。] で示される非イオン性界面活性剤であることが好まし
い。nの数が5未満の場合、非イオン界面活性剤が水に
溶けにくいため、水性組成物中で均一にまじりにくく、
非イオン性界面活性剤が水性組成物から分離しやすい。
また、nの数が30を越える場合に、非イオン性界面活性
剤の親水性が強すぎて、重合体へのぬれが悪くなり、濃
縮時の安定性が低い。Rは直鎖、分岐または環状の炭化
水素基であってよい。上記式の非イオン性界面活性剤
は、例えば、ニッサンHS−208(日本油脂株式会社
製)、トライトンX−100(ロース&ハース社製)とし
て市販されている。
非イオン性界面活性剤の量はフッ化ビニリデン系重合
体100重量部に対して好ましくは0.5〜10重量部、より好
ましくは0.5〜5重量部である。非イオン性界面活性剤
の量が0.5重量部よりも少ない場合、水性組成物の安定
性が悪くなり、重合体の凝固が起こりやすい。非イオン
性界面活性剤の量が10重量部よりも多い場合、輸送時な
どの振動によって泡立やすく、多量の活性剤が塗膜に残
存し、変色や耐候性および耐食性の低下の原因になる。
1種の非イオン性界面活性剤を使用してよく、あるいは
2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用し
てよい。
銀(Ag)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)およ
びガリウム(Ga)から成る群から選ばれた少なくとも1
種の金属の水溶性塩、好ましくは過塩素酸塩、塩素酸
塩、硝酸塩または亜硝酸塩は、非イオン性界面活性剤分
解の促進剤として働く。ナトリウム、カリウム等のアル
カリ金属の塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ
土類金属の塩(特開昭46−7340号公報参照)は、400℃
程度の高温で酸化能が充分に発現するので、フッ化ビニ
リデン系重合体の焼成温度(例えば、約80〜300℃)で
酸化能が弱く、非イオン性界面活性剤が充分に除去され
ない。また、コバルト化合物、鉄化合物、セリウム化合
物およびマンガン化合物(特公昭54−37905号参照)も
同様に不十分な酸化能を有し、かつ有毒である。
分解促進剤の量は、フッ化ビニリデン系重合体100重
量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部、より好まし
くは0.1〜5重量部である。分解促進剤の量が0.05重量
部よりも少ない場合、分解効果が不足する。分解促進剤
の量が10重量部よりも多い場合、焼成後に分解促進剤の
残渣である金属酸化物の色が発現し外観を損なう。
本発明の組成物は、前記成分に加えて、次のような任
意配合成分、例えば、成膜助剤、顔料またはバインダー
樹脂などを含んでよい。
1)成膜助剤 本発明の組成物は、組成物の塗装を容易にし成膜を促
進する成膜助剤として作用する有機溶剤を含有してよ
い。成膜助剤の量は、フッ化ビニリデン系重合体100重
量部に対して140重量部以下、好ましくは1〜140重量
部、より好ましくは50〜100重量部である。成膜助剤の
量が140重量部よりも多い場合、重合体のゲル化が起こ
りやすくなる。
フッ化ビニリデン系重合体に対して成膜作用がある有
機液体とは、常温または沸点以下の温度で、フッ化ビニ
リデン系重合体を溶解することができる有機液体であ
り、単独で使用できる有機液体および単独では使用でき
ないが混合して使用できる有機液体がある。単独使用で
きる有機液体としては、ジメチルホルムアミド、ジエチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリド
ン、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクト
ン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチル
エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルア
セテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、
トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどのよう
な水に溶解し重合体に対して成膜作用のある有機液体が
挙げられる。これらの有機液体は2種以上を混合した混
合有機液体として用いることもできる。特に、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール
モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテルアセテートあるいはジエチレングリコールモノ
ブチルエーテルが好ましい。単独使用できないが混合使
用できる有機液体としては、アジピン酸ジメチル、アジ
ピン酸ジオクチル、セバチン酸ジメチル、イソホロン、
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル、キノリン、ジエチレングリコールブチルエーテル、
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレング
リコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレン
グリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノブチルエーテルなどのような水に溶解しないが、成膜
作用のある有機液体が挙げられる。これらの有機液体
は、その1種または2種以上を前記単独使用できる有機
液体またはブチルアルコール、アミノアルコールの如き
水に溶解し重合体を溶解しない有機液体の1種または2
種以上を混合して、水に溶解できるように調節された混
合有機液体として使用に供する。有機液体と水とを、例
えば20:80〜90:10(重量比)の割合で混合し、これをフ
ッ化ビニリデン系重合体の液体媒体として用いる。
2)顔料 本発明の組成物は必要に応じ、顔料、例えば酸化チタ
ン、酸化亜鉛、酸化ジルコン、酸化カドミウム、酸化鉛
の如き金属酸化物、シリカ、硫酸亜鉛、リトポン、カー
ボンブラック、クロム酸鉛の1種または2種以上を含有
してよい。顔料の量は、通常、フッ化ビニリデン系重合
体100重量部に対して200重量部以下である。
3)バインダー樹脂 本発明の組成物は、目的に応じて水溶性樹脂または水
分散性樹脂を選択し、配合して変性することができる。
例えば、アクリル樹脂の水性組成物を配合することによ
って塗膜の硬度、光沢、基材との密着性の向上、コスト
低減をはかることができる。アクリル樹脂としては、ポ
リメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポ
リエチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポ
リグリシジルメタクリレート、ポリグリシジルアクリレ
ート、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどをはじ
め、これらのポリマーを形成する2種以上の単量体によ
る共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデン系
重合体10〜90部、アクリル樹脂90〜10部の割合で混合で
きる。
また、水性組成物を電着用塗料として使用する場合、
水溶性樹脂を配合してよい。水溶性樹脂は、水溶性アク
リル酸樹脂、水溶性アルキッド樹脂、アクリルアミド樹
脂のような水中において電離しうる高分子化合物であ
る。
水溶性アクリル酸樹脂は、アクリル酸またはメタクリ
ル酸とα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸のアル
キルエステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸
エチル、クロトン酸メチルなど)との共重合体を水溶性
アンモニウム塩としたもの、あるいはアクリル酸または
メタクリル酸の低級アルキルエステルとビニルトルエン
との共重合体をスルホン化することにより酸基を導入し
これを水溶性塩としたものなどのように重合体中に遊離
の酸基を導入して、その水溶性塩を作り水溶性樹脂とし
たもの、また不飽和カルボン酸アミド(例えば、アクリ
ルアミド、メタクリルアミドなど)とN−ビニルラクタ
ムとの共重合体のメチロール化合物、あるいはN−メチ
ロールアクリルアミド(40重量%以内)とアクリル酸エ
チルとの共重合体などのように重合体中にアクリルアミ
ド、メタクリルアミドないしはそのメチロール化合物を
含有するものである。
水溶性アルキッド樹脂は、多塩基酸として二官能の酸
または三官能以上の酸を利用して水溶化したもの、ある
いはポリオキシエチレン結合を利用して水溶化したもの
などである。
水溶性樹脂の量は、重合体に対して好ましくは0.1〜3
0重量%、より好ましくは1〜10重量%である。
本発明の水性組成物は、例えば、以下のようにして製
造できる。乳化重合で得られたフッ化ビニリデン系重合
体の水性ディスパージョンと、非イオン性界面活性剤の
水溶液とを混合し、水性媒体を除去し、樹脂濃度35〜65
重量%、好ましくは40〜60重量%の濃縮ディスパージョ
ンを調製し、分解促進剤を混合して水性組成物を得るこ
とができる。水性媒体の除去は、例えば、混合液を放置
することによって生じる上澄液を除去することによって
行える。混合操作において、強いせん断力が加わると、
樹脂の繊維化や凝析が起こることがあるので、高速せん
断は避けるべきである。
本発明の組成物は、公知の方法で基材に塗布すること
ができる。塗布には、例えば、含浸法、ロールコート
法、スプレーコート法、ハケ塗り法、バーコート法、ナ
イフコート法、電着法などの方法を用いることができ
る。基材に組成物を塗布した後、80℃〜300℃、好まし
くは150〜280℃程度で焼成して成膜を行う。水分の急激
な蒸発によって生ずるマッドクラックを防ぐために赤外
線乾燥機器などを用いて焼成前に乾燥工程を加えること
もできる。本発明の組成物を適用できる基材は、フッ化
ビニリデン系重合体の焼成温度の低い温度で耐熱性があ
る基材である。基材の例は、ガラス繊維、カーボン繊
維、アスベスト、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊
維などから成る織物などの繊維製品、ステンレススチー
ル、鉄、アルミニウムなどの金属、大理石などの石材な
どである。
本発明の組成物の具体的用途は以下のとおりである。
耐候、耐食、耐火用の膜材、例えばテント材。
工業用ベルト、例えば、ベルトコンベア用ベルト。
プラスチックパネル用の離型シート。
耐久性装飾布。
電子機器用の積層板。
電着用塗料のベース材料またはバインダー。
[発明の効果] 本発明の組成物の特長は次のとおりである。
1)本発明の組成物は取扱いやすい。水系であるため安
全であり、分散安定性が優れている。
2)低温で成膜できる。したがって、種々の基材に適用
できる。
3)後加工性が良好である。得られた被覆物の接着加
工、染色、印刷などが容易にできる。
4)塗膜の性能が良好である。塗膜の着色が生じにく
く、塗膜の耐候性および機械的強度などが優れている。
[発明の好ましい態様] 以下、本発明の実施例、比較例および試験例を示し、
本発明を具体的に説明する。以下において、部は特記し
ない限り重量部を表す。
実施例1〜24 樹脂濃度20重量%のフッ化ビニリデン(VdF)ホモ重
合体の水性ディスパージョン(重合体の平均粒径0.25μ
m、数平均分子量15万)を用いた。このディスパージョ
ン80重量部にニッサンHS−208(日本油脂製、非イオン
性界面活性剤)の20重量%水溶液10重量部を加えて撹拌
混合し、室温下で1日放置した。上澄液を除去し、樹脂
濃度60重量%、非イオン性界面活性剤濃度2重量%の濃
縮ディスパージョンを得た。水性ディスパージョンは有
機溶剤のN−メチル−2−ピロリドンを含有していたの
で、濃縮ディスパージョンにおけるN−メチル−2−ピ
ロリドンの量は、フッ化ビニリデンホモ重合体100重量
部に対して50重量部であった。
なお、重合体の平均粒径は光透過型粒度分布計CAPA−
500(堀場製作所株式会社製)を用いて測定した。数平
均分子量(ポリスチレン換算値)は、ウォーターズ150C
(日本ウォターズ株式会社製)を用いて、ジメチルホル
ムアミドを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグ
ラフによって70℃で測定した。
フッ化ビニリデンと他モノマーの共重合体についても
同様にして濃縮ディスパージョンを作成した。
次いで、濃縮ディスパージョンに分解促進剤として、
水溶性塩の水和物AgCO4・H2O、AgCO3・H2O、AgNO3
・H2O、AgNO2・H2O、Ni(CO4)・H2O、Ni(CO3
・H2O、Ni(NO3・H2OまたはNi(NO2・H2Oを
配合し、水性分散液を得た。塩水和物の結晶水を除く塩
が重合体100重量部に対して所定の量になるように配合
した。
水性組成物の組成を第1表に示す。
比較例1〜5 分解促進剤を配合しない(比較例1)、あるいは分解
促進剤としてCe(NO3・6H2O(比較例2)、NaC
(比較例3)またはZnC(比較例4)を配合する以
外は、実施例1と同様の手順を繰り返し、水性組成物を
得た。
また、PTFEの水性ディスパージョン(ポリフロンディ
スパージョン、ダイキン工業製)を使用し、分解促進剤
を配合しない以外は実施例1と同様の手順を繰り返し、
水性組成物を得た(比較例5)。
水性組成物の組成を第1表に示す。
試験例1 実施例1〜24および比較例1〜5の水性組成物から塗
膜を作成した。基材としてJIS G 3302 3308鋼板を
使用し、基材に水性組成物を流延塗装後、200℃で10分
間焼成した。乾燥塗膜の厚さは10μmであった。得られ
た塗膜の外観および耐候性を評価した。なお、耐候性
は、サンシャインカーボンアーク光源を有するデューサ
イクルウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)を用
いて、ブラックパネル温度63℃で、60分間点灯/60分間
消灯を繰り返して、60時間を1サイクルとして8サイク
ル行った。結果を第2表に示す。
本発明の水性組成物から得られた塗膜は外観および耐
候性に優れていることがわかる。
試験例2 実施例1〜24および比較例1〜5の水性組成物を以下
の方法でガラスクロスに含浸して焼成し、被覆物を得
た。基材としてガラスクロスTR−607(カネボウ株式会
社製)を用いた。基材の寸法は400mm×400mmであり、平
均重量は391g/m2であった。予め、水性組成物1kgをバッ
トに入れておき、クロスを浸漬して水性組成物を含浸さ
せ、泡がクロスの表面に残らないように、絞りロールで
1回絞り、余分の液を切りクロスを熱風循環式乾燥器に
より200℃で10分間焼成した。含浸および焼成は、フッ
化ビニリデン系重合体は水性組成物については4回、PT
FEの水性組成物については6回行った。被覆物における
塗布乾量は約250g/m2であった。被覆物について試験例
1と同様にして外観および耐候性を評価した。結果を第
3表に示す。
本発明によれば、外観および耐候性の良い塗膜が得ら
れることがわかる。また、本発明の組成物はPTFEの水性
組成物に比較して低温で成膜できることがわかる。
次いで、実施例1と比較例5の組成物を塗布した被覆
物について印刷性を試験した。なお、印刷性の評価は、
サクラペンタッチ赤(フェルトペン)を使用して、10mm
×10mmに塗布し、インクの広がりを観察することによっ
て行った。結果を次の表に示す。
フッ化ビニリデンホモ重合体の水性組成物(実施例
1)がPTFEの水性組成物(比較例5)に比較して印刷性
にも優れていることがわかる。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 27/16 C08K 3/00 C09D 127/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)フッ化ビニリデン系重合体100重量
    部、 (b)非イオン性界面活性剤0.5〜10重量部、および (c)銀、ニッケル、アルミニウムおよびガリウムから
    成る群から選ばれた少なくとも1種の金属の水溶性塩0.
    05〜10重量部 を含有し、無機フッ化物およびリン酸を含有しないフッ
    化ビニリデン系重合体の水性組成物。
  2. 【請求項2】(a)フッ化ビニリデン系重合体100重量
    部、 (b)非イオン性界面活性剤0.5〜10重量部、 (c)銀、ニッケル、アルミニウムおよびガリウムから
    成る群から選ばれた少なくとも1種の金属の水溶性塩0.
    05〜10重量部、および (d)成膜助剤1〜140重量部 を含有し、無機フッ化物およびリン酸を含有しないフッ
    化ビニリデン系重合体の水性組成物。
JP1044141A 1989-02-23 1989-02-23 フッ化ビニリデン系重合体の水性組成物 Expired - Fee Related JP2993002B2 (ja)

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