JP5103702B2 - 樹脂水性分散組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング用の水性分散組成物として使用した場合、極めて容易にかつスムーズに塗布でき、かつマッドクラックの発生がない樹脂水性分散組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のコーティング用樹脂水性分散組成物では、物品表面に塗工して乾燥させるとき、溶剤や水の蒸散に伴って塗膜が収縮してクラックが生ずる、いわゆるマッドクラックの発生がしばしば起こっている。
【0003】
そこでマッドクラックの防止のため、たとえばWO97/40112号公報で提案されているように、造膜助剤として特定のポリエーテル系ウレタン樹脂を使用している。しかし、マッドクラックは低減化されるものの、フッ素樹脂塗膜に好適な焼成温度と時間ではウレタン基の熱分解が不充分なため未分解物が塗膜に残り、得られる溶融塗膜が着色する問題があった。
【0004】
また造膜助剤として解重合性アクリル樹脂粒子を用いることが、特開昭50−8828号公報、特開昭51−60243号公報、特開昭52−13531号公報などに提案されているが、これらのコーティング用水性分散組成物は、マッドクラックの防止のためにガラス転移温度の低いアクリル樹脂を使用し、さらにこのアクリル樹脂を可塑化させる水溶性高沸点溶剤としてブチルカルビトールを併用して、乾燥工程で濃縮されたブチルカルビトールでアクリル樹脂を溶解してマッドクラックを防いでいた。アクリル樹脂のガラス転移温度を大幅に下げると分解性が悪くなるので、酸化剤の併用が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、マッドクラックの防止を造膜成分としての樹脂の添加やブチルカルビトールなどの添加といった化学的処方で解消するのではなく、物理的な観点からの解決を検討し、樹脂水性分散組成物の乾燥後での樹脂粒子の充填状態とその空隙率に基づき、その空隙を特定の熱的性質をもつ非イオン性界面活性剤により特定割合占有することにより、樹脂の種類や濃度または非イオン性界面活性剤の化学的性質によらず、マッドクラックの発生を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、1種または2種以上の樹脂粒子と水とを含み、各樹脂粒子の一次平均粒子と同体積の真球と置き換えたと仮定した場合、それぞれの樹脂粒子を最密充填構造(面心立方格子)に配列させたときの樹脂粒子間の理論空隙率26%の75〜95%を占める量の非イオン性界面活性剤が存在しており、該非イオン性界面活性剤が100℃までの温度範囲で実質的に不揮発性でありかつ樹脂粒子の熱分解温度よりも低い温度で揮散または熱分解する溶媒であることを特徴とする樹脂水性分散組成物に関する。
【0007】
前記樹脂粒子の少なくとも1つがフッ素樹脂粒子である水性分散組成物を好適に提供できる。
【0008】
さらに前記樹脂粒子が、フッ素樹脂粒子と解重合性アクリル樹脂粒子である水性分散組成物も提供できる。
【0009】
非イオン性界面活性剤としては、式(I):
R−O−A−H
(式中、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数9〜19、好ましくは10〜16のアルキル基;Aはオキシエチレンユニットを4〜20個およびオキシプロピレンユニットを0〜2個有するポリオキシアルキレン鎖)で示される非イオン性界面活性剤が好ましく、このうち特に式(II):
CxH2x+1CH(CyH2y+1)CzH2zO(C2H4O)nH (II)
(式中、xは1以上の整数、yは1以上の整数、zは0または1、ただしx+y+zは8〜18の整数、nは4〜20の整数)で表わされかつHLB値が9.5〜16である非イオン性界面活性剤、および/または式(III):
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、xは8〜18の整数、Aはオキシエチレンユニットを5〜20およびオキシプロピレンユニットを1または2個有するポリオキシアルキレン鎖)で表わされる非イオン性界面活性剤が好適に使用できる。
【0012】
なお、環境ホルモンの1種といわれているアルキルフェノールの含有量を0.1ppm以下に抑えることが望ましい。
【0013】
本発明の樹脂水性分散組成物は、さらに無機粒子を含んでいてもよい。
【0014】
好ましい固形分濃度としては、20〜80質量%、さらには30〜70質量%の範囲である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の1種または2種以上の樹脂粒子と水とを含む樹脂水性分散組成物の本質的特徴は、
(1)各樹脂粒子を真球と仮定した場合、それぞれの樹脂粒子を最密充填構造に配列させたときの樹脂粒子間の理論空隙率26%の75〜95%を占める量(以下、「占有率」という。理論空隙率基準である)の非イオン性界面活性剤が存在していること、
(2)該非イオン性界面活性剤が100℃の温度まで不揮発性でありかつ樹脂粒子の熱分解温度よりも低い温度で揮散または熱分解する溶媒であること
にある。
【0016】
これらの特徴(1)と(2)の意味するところは、樹脂水性分散組成物を塗布し乾燥すると水が蒸散していくが、その乾燥塗膜において水が存在しなくなった空隙の75〜95%を特徴(2)の非イオン性界面活性剤が占有するように、予め樹脂水性分散組成物を調製しておくことにある。
【0017】
すなわち、非イオン性界面活性剤が存在しない系を考えると、塗布された水性分散組成物は塗布された当初は樹脂粒子間を水が占めているが、乾燥(水の蒸散)が進むにしたがって樹脂粒子間に空隙が生じることから、マッドクラックが発生する。そこで、水が蒸散したあとでも樹脂粒子間を非イオン性界面活性剤が占有していればマッドクラックの発生が防止できる。一方、多量の非イオン性界面活性剤などの非イオン性界面活性剤が存在しているとマッドクラックは生じないが、焼成工程中の収縮が大きく造膜性が悪くなるので多すぎるのも問題がある。ただ、どの程度の割合を液状物が占めていると効果的にマッドクラックが防止できるかは、実験を繰り返してみなければ判明しない。
【0018】
本発明者らは、実験の結果、前記特徴(2)の熱的特性を有する非イオン性界面活性剤を(1)の条件で水性分散組成物中に存在させると、水が蒸発して塗膜が乾燥しても必要量の非イオン性界面活性剤が樹脂粒子間に介在しており、この非イオン性界面活性剤が見かけ上バインダーのように機能するのでマッドクラックを効果的に抑止できることを発見した。この非イオン性界面活性剤の含有量が少なすぎると水の蒸散に伴う樹脂粒子の移動が顕著になりマッドクラックの発生を効果的に抑制することができず、一方、多すぎると加熱により非イオン性界面活性剤を分解揮散させたときに収縮が大きすぎてクラックが発生する。好ましい占有率は、76〜94%、さらには77〜93%である。
【0019】
なお、樹脂粒子を真球と仮定するとは、樹脂粒子は通常は粒子状であっても真球ではないからであり、また最密充填構造に配列させるためには真球でなければならないからである。ただ、最密充填構造に配列された粒子は粒子径に無関係に理論空隙率は26%である(樹脂粒子の占める割合は74%)。したがって、占有率の算出は、次式で行なうことができる。
【0020】
【数1】
【0021】
樹脂粒子体積は樹脂粒子の重量と比重から算出される。
【0022】
前記特徴(2)は非イオン性界面活性剤の熱的特性の規定である。「100℃までの温度領域で不揮発性」である必要性は、水と共に蒸散してしまうとマッドクラックの発生が防止できない。また、例え高沸点溶剤であってもこの温度領域で蒸発しないとは保証できない。蒸発が起こるとマッドクラックが発生する。また、「樹脂粒子の熱分解温度よりも低い温度で揮散または熱分解する非イオン性界面活性剤」である必要性は、目的は樹脂の塗膜の形成であるから、樹脂が熱分解する温度でも残存していれば、樹脂の塗膜の形成を妨害するからである。
【0023】
ここで注意すべきことは、非イオン性界面活性剤の占有率は水が蒸散した後の状態を基準としていることである。すなわち樹脂粒子が最密充填構造に配列する状態は水性分散組成物の状態ではなく、水が蒸散した後樹脂粒子が移動して互いに最密充填された状態である。したがって、他の非イオン性界面活性剤が並存する場合はそれらの他の非イオン性界面活性剤は加熱(乾燥時など)によって水と共に蒸散してもよいが、要は、乾燥完了時点で前記の占有率で非イオン性界面活性剤が塗膜中に存在していればよい。特定の占有率以上になると最終工程にこの非イオン性界面活性剤を揮散させる焼成工程があり、たとえばフッ素樹脂の使用する場合、有機物の分解揮散に伴う収縮が大きすぎてクラックを発生させる。
【0024】
つぎに樹脂粒子について説明する。
【0025】
樹脂粒子の種類は特に限定されない。また、粒径も限定されない。これは、最密充填構造における理論空隙率が樹脂の種類や粒径に依存せず、一定の値である26%であることによる。
【0026】
また、樹脂粒子を2種以上混在させる場合も、それらの樹脂粒子の種類や粒径に依存しない。粒径が異なる粒子を混在させる場合、その理論空隙率は別々の粒子に分けて充填構造を考え、それから空隙量の合計を考えればよい。その理由は、本発明は、塗料組成物であるので、通常2種以上の粒子を混合するものであり、その割合は不特定である。また、必要に応じて増粘剤を入れるのは普通でありことから、大粒子の隙間に小粒子が入り込むことはない。
【0027】
要するに、2種以上の樹脂粒子が最密充填構造に充填された場合でも、非イオン性界面活性剤が樹脂粒子間に生ずる空隙(理論空隙)の75〜95%を占めていればよい。
【0028】
樹脂粒子としては、1種の樹脂粒子であってもよいし、2種以上の樹脂粒子を使用する場合では、粒子径の異なる同種の樹脂粒子であってもよいし、粒子径が同じ異種の樹脂粒子であってもよいし、粒子径の異なる異種の樹脂粒子であってもよい。
【0029】
本発明で好適に使用できる樹脂粒子としては、たとえばつぎのものが代表例としてあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
(フッ素樹脂)
乳化重合で得られたPTFE粒子、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)粒子、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)粒子、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)粒子、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)粒子などがあげられ、なかでも非粘着用途で厨房、家電製品などに好適に使用されているパーフルオロ系重合体であるPTFE、FEP、PFAの粒子が好ましく採用される。また、PTFEは少量の共単量体で変性されていてもよい。さらに、いわゆるシード重合法で同種または異種の単量体を共重合して得られた粒子でもよいし、コア−シェル構造の粒子であってもよい。
【0031】
フッ素樹脂の数平均分子量としては、2×104〜1×107、特に2×105〜8×106であることが好ましく、数平均分子量が2×104未満では塗膜が脆くなる傾向があり、1×107を超えると溶融粘度が高すぎて粒子同士が融着しにくくなる傾向がある。
【0032】
フッ素樹脂粒子は、たとえばフッ素系単量体を乳化重合などの方法で製造した微粒子(フッ素樹脂水性分散液)をそのまま使用することができ、その平均粒子径としては0.01〜100μm、特に0.1〜5μmであることが好ましい。平均粒子径が0.01μm未満のものは造膜性を低下させる傾向があり、100μmを超えると塗装に用いるガンノズルに目詰まりが生ずる傾向がある。
【0033】
また、前記乳化重合で得られるフッ素樹脂粒子の水性分散液またはこの水性分散液から得られる粉末状の粒子を用いることができるが、粉末の場合、粒子の電気的反発によって取扱い性がわるくなることがあるので、水性分散液の形態で用いることが好ましい。フッ素樹脂水性分散液のフッ素樹脂固形分濃度としては、安定性や後の塗膜形成性が良好な点から20〜80質量%であり、特に40〜70質量%であることが好ましい。なお、本発明の水性分散組成物の調製段階で、固形分濃度は適宜調整できる。
【0034】
(非フッ素系樹脂)
アクリル系樹脂:ブチルメタクリレート系ウレタンエマルジョンなど
ポリウレタン系樹脂:ウレタンエマルジョンなど
ポリエステル系樹脂:ポリエステルエマルジョンなど
ポリオレフィン系樹脂:ポリエチレンエマルジョンなど
そのほか、PPS、PAI、PES、PEEKなどの粒子も適用できる。
【0035】
さらに、フッ素樹脂粒子を使用する場合、最終的にはフッ素樹脂被膜中には存在しないが、焼成時の膜形成、特に熱収縮クラックの発生を防止するために、解重合性のアクリル樹脂を使用することが好ましい。
【0036】
解重合性アクリル樹脂粒子は、前述のとおり、水性分散組成物を塗布乾燥後焼成するとき、フッ素樹脂粒子へのバインダー効果を維持しながら徐々に分解するので、収縮クラックの発生を防止する。したがって、解重合性アクリル樹脂粒子は、フッ素樹脂の溶融温度以下で溶融しておりかつ解重合が始まっており、フッ素樹脂粒子の溶融温度で少なくとも一部は残存し、焼成温度で殆ど分解揮散していることが必要である。
【0037】
乾燥塗膜を加熱すると、まず残存する非イオン性界面活性剤の蒸散または分解揮散と解重合性アクリル樹脂粒子の熱溶融が始まる。非イオン性界面活性剤は少なくとも解重合性アクリル樹脂粒子の熱溶融が完了するまでは残存している必要がある。温度がさらに上がると残存非イオン性界面活性剤の蒸散または分解が完了すると共に熱溶融している解重合性アクリル樹脂の解重合が始まる。かかる解重合性アクリル樹脂の解重合はフッ素樹脂の溶融温度以下の温度から徐々に始まるがフッ素樹脂粒子が熱溶融し始める温度(溶融温度)ではまだ完了せず、さらに温度がフッ素樹脂の溶融温度を超えた焼成温度になって完了する。そのことにより、得られるフッ素樹脂塗膜中に解重合性アクリル樹脂が多量に残存することを避けることができる。この解重合性アクリル樹脂は熱溶融時に粘性を有しており解重合も徐々に進行するため、フッ素樹脂粒子が溶融し融着する際にも急激な収縮は生じず、熱収縮クラックの発生を抑制できる。
【0038】
したがって解重合性アクリル樹脂粒子は、フッ素樹脂の融点以下から解重合が始まるとしてもフッ素樹脂粒子が溶融を開始する温度(溶融温度)までは残存し、焼成(加工)温度では分解揮散するものが好ましい。たとえばフッ素樹脂の溶融温度(通常240〜345℃)において5%以上、特に10%以上で少なくとも50%、好ましくは少なくとも20%は残存し、焼成(加工)温度(通常フッ素樹脂の溶融温度を超え415℃までの温度、好ましくは360〜400℃)において10%以下、特に5%以下しか残存せず、焼成完了時には実質的に残存しないものが好ましい。この点から、解重合性アクリル樹脂粒子の解重合(分解)温度は、約200℃以上でフッ素樹脂の焼成(加工)温度未満、特にフッ素樹脂の溶融温度以下であることが望ましい。なお、解重合(熱分解)温度がフッ素樹脂の溶融温度を超えかつ分解ガスが多量に発生するアクリル樹脂粒子の場合、得られる塗膜にピンホールなどの塗膜欠陥が生じやすくなる。
【0039】
特に、樹脂の種類に関係なく、300〜320℃の温度範囲で約25〜50%残存し、330〜345℃の温度範囲で約20〜10%残存する解重合性アクリル樹脂が収縮クラックの防止作用と着色の防止作用とのバランスから好適であり、この条件を満たす解重合性アクリル樹脂粒子であれば、フッ素樹脂がPTFEであろうともPFAであろうとも使用できる。
【0040】
解重合性は「Polym. Eng. Sci.」第6巻、273頁(1966年)、「Plast. Massy.」 第75巻、48頁(1971年)、「高分子材料の劣化」 コロナ社、144頁(1958年)に記載されているように、一般に重合鎖中に分岐が多くなればなるほどC−C結合やC−H結合が弱くなり、酸化分解して解重合しやすくなる。そこで具体的には、たとえば式(IV):
CH2=C(CH3)COOR (IV)
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基またはヒドロキシアルキル基)で示されるメタクリレート系単量体を必須とするメタクリレート系単独重合体または共重合体が好ましくあげられる。メタクリレート系単量体の具体例としては、たとえばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ジメチルプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクレートが好ましく採用される。これらのうちガラス転移温度は低くかつ解重合性(分解性)が良好な点からブチルメタクリレートを単量体とする解重合性アクリル樹脂が好ましい。
【0041】
また、単独重合体でも安定なエマルションが形成できるのであれば問題ないが、エマルションを安定させる観点から、カルボキシル基かヒドロキシル基を有する単量体などを適宜共単量体として使用してもよい。
【0042】
解重合性アクリル樹脂粒子は、たとえば乳化重合などの方法で製造した微粒子(解重合性アクリル樹脂エマルション)をそのまま使用することができ、その平均粒子径としては0.1〜100μm、特に0.2〜1μmであることが好ましい。平均粒子径が0.1μm未満のものはマッドクラックを発生しやすい傾向があり、100μmを超えると塗装が難しくなる傾向がある。
【0043】
解重合性アクリル樹脂粒子の配合量は、フッ素樹脂粒子(固形分)100部に対して5〜25部、好ましくは7〜20部、特に好ましくは10〜15部である。5部未満の場合はフッ素樹脂の造膜が困難になり、25部を超えると塗膜に着色が生ずることがある。
【0044】
解重合性アクリル樹脂粒子はエマルションの形態で他の成分と混合することが好ましい。
【0045】
また、エラストマーも粒子状であれば樹脂粒子と同じく本発明の範囲に包含される。
【0046】
粒径は、広い範囲から選択されるが、通常コーティング用途であれば、0.1〜10μmの範囲が適当であり、この範囲の樹脂粒子を1種または2種以上使用する。
【0047】
つぎに非イオン性界面活性剤について説明する。
【0048】
本発明で使用する非イオン性界面活性剤は、水および使用する樹脂粒子の熱的性質の観点から選択される。その選択基準は前記の特徴(2)である。水との違いは、100℃まで不揮発性であることである。すなわち、常温乾燥を考えた場合、水は蒸散するが非イオン性界面活性剤は揮散せず、塗膜中に残存する必要があるからであり、水が存在しなくなっても非イオン性界面活性剤が残っている状態を確保する必要がある。
【0049】
ただ、乾燥温度(常温から100℃)において揮散しない方が、経済面および組成物の設計上から好ましい。
【0050】
一方、非イオン性界面活性剤は樹脂を成膜する際に最後まで残存すると均一で連続した塗膜が形成できないので、少なくとも樹脂粒子の成膜温度よりも低い温度で揮散または熱分解するものである必要がある。
【0051】
成膜方法としては、通常、加熱(焼成)して樹脂粒子を溶融し相互に融着させて連続した膜を形成させる方法が一般的である。
【0052】
加熱(焼成)法で成膜させる場合は、熱分解温度の低い方の樹脂粒子の熱分解温度よりも低い温度で揮散または熱分解する非イオン性界面活性剤を使用する。
【0053】
このように非イオン性界面活性剤は実質的には使用する樹脂粒子の熱的特性、特に熱分解温度にのみ依存する。しかし、この基準に加えて従来の処方において各種の化学的特性を付与する観点から、非イオン性界面活性剤を選択することも重要である。
【0054】
本発明で使用する非イオン性界面活性剤は、水性分散組成物中に樹脂粒子を安定的に分散させ、また、焼成(加工)時に分解揮散して塗膜に着色を生じさせない。
【0055】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤(たとえばユニオンカーバイド社製のトライトンX(商品名)など)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系の天然アルコールを原料とした非イオン性界面活性剤がある。
【0056】
しかしポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系界面活性剤は焼成工程で熱分解し、分解ガスとして有害な芳香族化合物(ベンセン、トルエン、キシレンなど)を発生して大気汚染を引き起こすこと、また、アルキルフェノール系非イオン界面活性剤の中には未反応のアルキルフェノール(内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモン物質)が微量残存していることがある。これらの点から、構造中にベンセン環を含んでいないノンフェノール型の非イオン性界面活性剤が好ましい。とりわけ、起源を問わず、アルキルフェノールの含有量が0.1ppm以下、特に存在しないことが環境上望まれる。
【0057】
具体例としては、たとえば前記式(I)のポリオキシアルキレンアルキルエーテル系非イオン性界面活性剤があげられる。特に好ましいノンフェノール型非イオン性界面活性剤としては、前記式(II)または式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤があげられる。これらのHLB値は9.5〜16、特に12〜14であるのが、フッ素樹脂を安定的に分散させる点から好ましい。
【0058】
非イオン性界面活性剤の添加量は本発明のコーティング用水性分散組成物の分散状態を安定にさせる量であればよく、たとえば樹脂粒子に対して6〜10質量%、特に7〜9質量%存在させればよい。
【0059】
非イオン性界面活性剤は最終のコーティング用水性分散組成物を安定させるものであり、樹脂粒子の水性分散液中や解重合性アクリル樹脂粒子のエマルション中に予め添加していてもよいし、これらを混合した後添加してもよい。
【0060】
本発明では、前記非イオン性界面活性剤以外に、水との親和性をとり水性分散組成物の分散安定性を図る点から親水性基を有している他の液状有機化合物も併用してもよい。かかる親水性基含有有機化合物としては、高沸点多価アルコールが好ましい。
【0061】
高沸点多価アルコールとしては、窒素原子を含まない多価アルコールが、焼成時における熱分解により着色を惹き起こすことが少ないため好ましい。好ましい水酸基の個数は2〜3個である。水酸基の数が4個以上のものは室温で固体のものが多い。
【0062】
好適な多価アルコールとしては、たとえばエチレングルコール(沸点:198℃)、1,2−プロパンジオール(188℃)、1,3−プロパンジオール(214℃)、1,2−ブタンジオール(190℃)、1,3−ブタンジオール(208℃)、1,4−ブタンジオール(229℃)、1,5−ペンタンジオール(242℃)、2−ブテン−1,4−ジオール(235℃)、グリセリン(290℃)、2-エチル-2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール(295℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(178℃/5mmHg)などの1種または2種以上があげられる。
【0063】
また、必要に応じて、高沸点多価アルコール以外の有機溶媒を本発明の効果を損なわない範囲で併用してもよい。そうした有機溶媒としては、たとえばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、炭素数9〜11の脂肪族炭化水素系溶剤などがあげられる。
【0064】
多価アルコールの配合量は、フッ素樹脂粒子(固形分)100部に対して5〜18部、好ましくは7〜15部、特に好ましくは7〜12部である。5部未満の場合はマッドクラックの発生防止効果が弱くなり、18部を超えると塗膜が白濁することがある。
【0065】
水は樹脂水性分散組成物の液状媒体として使用し、組成物の固形分濃度を調整する。水を単独で使用してもよいし、水と水溶性化合物と併用した水性混合溶媒としてもよい。
【0066】
本発明においては、必要に応じて、さらに無機材料などの他の添加剤を配合してもよい。
【0067】
無機材料としては、顔料のほか、雲母粒子、顔料で被覆された雲母粒子、金属フレークまたはこれら2種以上の無機フィラーがあげられる。これらは本発明の効果を損なわない範囲の量で配合される。
【0068】
顔料としては従来より公知の各種顔料が使用でき、たとえば酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラなどがあげられる。
【0069】
無機フィラーは耐摩耗性向上の機能を付与するものであり、これらのうち雲母が美観を与える点で好ましい。雲母粒子の粒径としては10〜100μmであり、15〜50μmであることが好ましい。粒径が10μm未満では耐摩耗性の低下および光輝性が低下する傾向があり、100μmを超えると非粘着性が低下する傾向がある。顔料で被覆された雲母粒子は、たとえばTiO2・Fe2O3などの顔料を焼結蒸着法などにより前記雲母粒子に付着させて得られる。金属フレークとしては、たとえばチタン、ジルコニウム、アルミニウム、亜鉛、アンチモン、錫、鉄、ニッケルなどのフレークがあげられるが、錆にくさの点からチタン、ジルコニウムが好ましい。そのサイズとしては通常塗料に使用されている範囲のサイズのものが使用できる。
【0070】
その他、本発明の効果を損なわないかぎり、種々の公知の添加剤を配合することができる。たとえば、消泡剤、乾燥剤、増粘剤、レべリング剤、ハジキ防止剤などがあげられる。
【0071】
消泡剤としては、たとえばトルエン、キシレン、炭素数9〜11の炭化水素系などの非極性溶剤、シリコーンオイルなどがあげられる。
【0072】
乾燥剤としては、たとえば酸化コバルトなどがあげられる。
【0073】
増粘剤としては、たとえばメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ビニルポリマーなどがあげられる。
【0074】
本発明の樹脂水性分散組成物の調製は、通常の方法で行なうことができる。たとえば、非イオン性界面活性剤により樹脂粒子が水性媒体に分散している樹脂水性分散液に非イオン性界面活性剤、他の液状有機化合物、解重合性アクリル樹脂粒子エマルション、要すれば無機材料、さらには他の添加剤を攪拌下に投入混合し、5〜30℃にて10〜40分間攪拌混合することによって調製できる。さらに、固形分濃度を水性媒体を追加するなどして調整してもよい。
【0075】
本発明の樹脂水性分散組成物は、コーティング用、たとえば各種塗料、特に上塗り用塗料として有用である。塗装方法としては従来と同様な各種の塗装方法が採用できる。たとえばディッピング法、スプレー法、ロールコート法、ドクターブレード法、フローコート法などがあげられる。
【0076】
本発明の組成物は基材に直接塗装してもよいが、密着性を向上させるために、プライマー層を設けてその上塗り層として形成することが望ましい。基材としては特に限定されないが、たとえば各種金属、ホーロー、ガラス、各種セラミックスが採用でき、また密着性を高めるために表面をサンドブラスト法などで粗面化することが好ましい。
【0077】
基材に塗布された組成物はついで乾燥される。本発明の組成物はこの乾燥の段階でマッドクラックを生じない点に特徴がある。乾燥は通常の条件でよく、たとえば室温〜80℃、好ましくは80〜100℃にて5分間〜1時間実施すれば、指触乾燥に達する。
【0078】
焼付け型の塗料、たとえばフッ素樹脂塗料の場合、乾燥した塗膜は焼成(加工)される。解重合性アクリル樹脂を配合したときは、フッ素樹脂粒子が溶融し融着するまでの間バインダーとして機能しているので、この焼成段階での熱収縮によるクラックの発生を防止できる。焼成(加工)温度および時間はフッ素樹脂の種類や溶融温度などによって異なるが、フッ素樹脂の溶融温度以上、通常360〜415℃にて5〜30分間行なう。PTFEの場合は360〜380℃にて10〜30分間が適当である。
【0079】
プライマー層を設ける場合は、プライマー層を塗布、乾燥、焼成した後に本発明の組成物を塗布、乾燥、焼成する方法(2コート2ベーク法)でもよいし、プライマー層を塗布、乾燥した後に本発明の組成物を塗布、乾燥し、両者を同時に焼成する方法(2コート1ベーク法)でもよい。
【0080】
本発明の樹脂水性分散組成物によれば、1回の塗装で溶融塗膜の膜厚が30μm以上の厚膜の塗膜が得られる。上限は特に限定されないが、余りにも厚すぎると塗膜内に各種の分解残渣が残ってしまい着色の原因となるため、100μm以下である。
【0081】
本発明の組成物は、フッ素樹脂粒子を使用するフッ素樹脂塗料の場合は、たとえば金属調理器具、特にフライパンの塗装に最も有用であるが、この組成物は耐腐食性を必要とするその他の製品を塗装するためにも使用され得る。他の製品とは、たとえばベアリング、バルブ、電線、金属箔、ボイラー、パイプ、船底、オーブン内張り、アイロン底板、パン焼き型、炊飯器、グリル鍋、電気ポット、製氷トレー、雪かきシャベル、すき、シュート、コンベア、ロール、金型、ダイス、のこぎり、やすり、きりのような工具、包丁、はさみ、ホッパー、その他の工業用コンテナ(特に半導体工業用)および鋳型があげられる。
【0082】
【実施例】
つぎに実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」である。
【0083】
実施例1
つぎに示す各成分を記載の順序で混合した。
得られた本発明の樹脂水性分散組成物について、つぎの性質を調べた。結果を表1に示す。なお、非イオン性界面活性剤の合計量の占有率は80%であった。
【0084】
(粘度)
25℃における粘度をB型回転粘度計で測定する。
【0085】
(貯蔵安定性)
コーテイング用水性分散組成物500gをポリエチレン製のビンに入れ、40℃の恒温槽内で6ヵ月間放置し、再分散性で評価する。
【0086】
評価は、150メッシュの金網を用い、全てが通過したものを○、金網上に残存物があるものを×とする。
【0087】
ついで、得られたコーティング用水性分散組成物をノンブラストアルミニウム板にスプレー法により塗布し、室温で30時間乾燥させた後更に80℃にて1時間乾燥した。得られた乾燥塗膜表面を光学顕微鏡で観察し、マッドクラックの発生の有無を調べたところ、マッドクラックは発生していなかった。
【0088】
ついで乾燥塗膜を380℃の温度で20分間焼成して溶融塗膜を形成した。この塗膜のクラック限界膜厚を調べた。結果を表1に示す。
【0089】
(クラック限界膜厚)
膜厚を種々変更し、クラックが発生し始める膜厚をクラック限界膜厚とする。
【0090】
(アルキルフェノール含量)
液体クロマトグラフィー法で分析する(カラム:ASAHIPAC GS-310、溶離液:アセトニトリル/水=50/50容量比、流量:1.2ml/min、カラム温度:25〜28℃、検出:UV(230nm))。検出されない場合を○、検出された場合を×とする。
【0091】
実施例2
実施例1と同様にして本組成物を調製した。この組成物の特性を実施例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。なお、非イオン性界面活性剤の合計量の占有率は88%であった。
【0092】
ついで、コーティング用組成物をノンブラストアルミニウム板にスプレー法により塗装し、実施例1と同じ条件下で乾燥、焼成して溶融塗膜を形成した。そして実施例1と同じ塗膜物性を調べた。結果を表1に示す。
【0093】
比較例1〜5
表1に示す各成分を同表に示す割合で使用したほかは実施例1と同様にして本発明の組成物を調製した。この組成物の特性を実施例1と同様にして調べた。結果を表1に示す。
【0094】
ついで、水性分散組成物をノンブラストアルミニウム板にスプレー法により塗装し、実施例1と同じ条件下に乾燥、焼成して溶融塗膜を形成した。そして実施例1と同じ塗膜物性を調べた。結果を表1に示す。
【0095】
なお、比較例1は、実施例1で後添加の非イオン性界面活性剤が少ない場合である。非イオン性界面活性剤の合計量の占有率は60%であった。
【0096】
比較例2は、グリセリンの代わりにブチルカルビトールを添加してアクリル樹脂に造膜性をもたせた場合配合例である。非イオン性界面活性剤の合計量の占有率は63%であった。
【0097】
比較例3は、比較例2で非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルフェノール系界面活性剤(トライトンX100、ユニオンカーバイト社製)を使用した例である。
なお、非イオン性界面活性剤の合計量の占有率は63%であった。
【0098】
比較例4と比較例5は非イオン性界面活性剤の添加量を多くした場合である。
なお、非イオン性界面活性剤の合計量の占有率は比較例4では109%、比較例5では131%であった。
【0099】
【表1】
【0100】
表1から明らかなように、非イオン性界面活性剤の占有率が75〜95%の範囲にある本発明の組成物は、マッドクラックが発生せず、また焼成して厚膜が得られることが分かる。
【0101】
【発明の効果】
本発明の樹脂水性分散組成物は、厚塗りでき、マッドクラックの発生を抑制できる。
Claims (5)
- フッ素樹脂粒子と解重合性アクリル樹脂粒子を含む、少なくとも2種の樹脂粒子と水とを含み、各樹脂粒子の一次平均粒子と同体積の真球と置き換えたと仮定した場合、それぞれの樹脂粒子を最密充填構造に配列させたときの樹脂粒子間の理論空隙率26%の75〜95%を占める量の非イオン性界面活性剤が存在しており、該非イオン性界面活性剤が100℃までの温度範囲で実質的に不揮発性でありかつ樹脂粒子の熱分解温度よりも低い温度で揮散または熱分解する溶媒であり、
前記解重合性アクリル樹脂粒子が、下記式(IV):
CH2=C(CH3)COOR (IV)
(式中、Rは炭素数1〜5のアルキル基またはヒドロキシアルキル基)で示されるメタクリレート系単量体を必須とするメタクリレート系単独重合体または共重合体であることを特徴とする樹脂水性分散組成物。 - 前記非イオン性界面活性剤が、式(I):
R−O−A−H
(式中、Rは直鎖状または分岐鎖状の炭素数9〜19、好ましくは10〜16のアルキル基;Aはオキシエチレンユニットを4〜20個およびオキシプロピレンユニットを0〜2個有するポリオキシアルキレン鎖)で示される非イオン性界面活性剤である請求項1記載の水性分散組成物。 - さらに無機粒子を含む請求項1または2記載の水性分散組成物。
- 固形分濃度が10〜70質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の水性分散組成物。
- 解重合性アクリル樹脂粒子の配合量は、フッ素樹脂粒子(固形分)100部に対して5〜25部である請求項1〜4のいずれかに記載の水性分散組成物。
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