JP4231617B2 - 給紙機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタや複写機において用紙カセットに収納された用紙を1枚ずつ供給する給紙機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、用紙カセットを着脱可能に装着するプリンタにおいて、用紙カセットから繰出された用紙を1枚ずつに分離する手段として、用紙を搬送するためのフィードローラとこれに接触して回転するリタードローラとにより分離を行う方式(リタード方式)が採られている。即ち、フィードローラは用紙を搬送する方向に回転し、リタードローラは逆に用紙を押し戻す方向に回転する(トルクリミッタによりフィードローラと同方向に回転する)ことにより、フィードローラに接触する1枚のみを搬送するようにしている。このリタード方式は、いわゆる分離パッドを使用する方式に較べて分離性能が優れている。
【0003】
また用紙補給やジャム用紙の除去などの際には用紙カセットを装置本体から引き抜くが、リタード方式では、リタードローラがフィードローラの下側に位置し、用紙カセットの着脱移動範囲内に進出しているので、従来は用紙カセットはリタードローラに干渉しない装置の側部方向に引き抜く構造としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の給紙機構においては、分離性能の点でリタード方式が優れているが、用紙補給やジャム用紙の除去などの際には用紙カセットを装置の側部から抜き差しをしなければならないので、使い勝手が悪いとともに、装置の側部側に用紙カセット着脱のためのスペースを必要とするという問題があった。即ち、分離性能と使い勝手又はスペースの問題を両立させるのは困難であるという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために第1の発明は、装置本体に対して着脱可能な用紙カセットから繰出された用紙を搬送するフィードローラと、用紙カセット装着領域内に位置し、フィードローラに圧接して回転するリタードローラとにより、繰出された用紙を1枚に分離する給紙機構において、前記装置本体に対して回動可能に設けられ、前記リタードローラを前記フィードローラとの圧接位置から、前記用紙カセットの抜脱方向、且つ、鉛直方向において前記用紙カセット装着領域より上方の退避位置へ移動可能に支持するブラケットと、前記用紙カセットを前記装置本体に対して着脱することで、前記リタードローラを前記用紙カセット装着領域と前記退避位置との間を移動するように前記ブラケットを回動させるギア機構とを設け、前記用紙カセットの装着動作に伴って前記ギア機構をしてリタードローラが前記退避位置から前記用紙カセット装着領域へ移動するように前記ブラケットを回動させ、前記用紙カセットの抜脱動作に伴って前記ギア機構をして前記リタードローラが前記用紙カセット装着領域から前記退避位置へ移動するように前記ブラケットを回動させることを特徴とする給紙機構である。
【0006】
上記第1の発明によれば、用紙カセットを引き抜くと、その動作に伴って、リタードローラが用紙カセット装着領域から退避位置へ移動するようにブラケットが回動する。また用紙カセットを装着すると、その動作に伴って、リタードローラが退避位置から用紙カセット装着領域へ移動するようにブラケットが回動する。これにより用紙カセットをリタードローラが装着されている方向に着脱することが可能になる。
【0007】
また第2の発明の給紙機構は、装置本体に対して回動可能に設けられ、リタードローラを回転可能に支持するブラケットと、前記ブラケットに形成された回転体と、用紙カセットの側部に形成され、前記回転体が当接するガイド部とを設け、用紙カセットの抜脱時に前記回転体が前記ガイド部に沿って移動することにより前記ブラケットが回動して前記リタードローラが用紙カセット装着領域から退避する方向に移動することを特徴とするものである。
【0008】
上記第2の発明によれば、用紙カセットを引く抜くと、回転体が用紙カセットに形成されたガイド部に沿って移動し、ブラケットは回動しリタードローラが用紙カセット装着領域から退避位置へ移動する。また用紙カセットを装着すると、回転体が用紙カセットに形成されたガイド部に沿って前記と反対方向に移動し、ブラケットは前記と反対方向に回動してリタードローラが退避位置から用紙カセット装着領域へ移動する。これにより用紙カセットをリタードローラが装着されている方向に着脱することが可能になる。
【0009】
さらに第3の発明の給紙機構は、装置本体に対して回動可能に設けられ、リタードローラを回転可能に支持するブラケットと、リタードローラが前記用紙カセット装着領域から退避する方向に前記ブラケットを付勢する付勢手段と、用紙カセットに設けられ、リタードローラを前記用紙カセット装着領域内において保持する保持手段と、用紙カセットに設けられ、前記保持手段によるリタードローラの保持を解除する解除手段とを設けたものである。
【0010】
上記第3の発明によれば、用紙カセットが装着されているとき、リタードローラは保持手段により用紙カセット装着領域内に保持されている。これによりフィードローラが回転してもリタードローラは移動しない。用紙カセットを引く抜く場合、まず解除手段により保持手段によるリタードローラの保持を解除し、その後用紙カセットを引く抜くと、付勢手段によりブラケットが回動しリタードローラが用紙カセット装着領域から退避位置へ移動する。また用紙カセットを装着すると、ブラケットが前記と反対方向に回動してリタードローラが退避位置から用紙カセット装着領域へ移動し、リタードローラは保持手段により保持される。
【0011】
さらに第4の発明の給紙機構は、上記第3の発明の構成に加えて、用紙カセットの側部に形成したラックと、前記ラックに係合して前記フィードローラを回転させるギア部と、前記ブラケットの退避方向への回転により、前記ギア部の回転を、フィードローラの回転方向と逆方向になるようにリタードローラに伝達する回転伝達手段とを設けたものである。
【0012】
上記第4の発明によれば、用紙カセットを引き抜くと、付勢手段によりブラケットが回動しリタードローラが用紙カセット装着領域から退避位置へ移動する。またこのとき用紙カセットに形成されたラックに係合するギア部がフィードローラを、挟まれている用紙があればそれを戻す方向に回転させ、回転伝達手段がリタードロ−ラをやはり挟まれている用紙があればそれを戻す方向に回転させる。これによりフィードローラとリタードローラに挟まれている用紙があればこれを用紙カセット内に戻すことができる。また用紙カセットを装着すると、ブラケットは前記と反対方向に回動してリタードローラが退避位置から用紙カセット装着領域へ移動し、リタードローラは保持手段により保持される。
【0013】
さらに第5の発明の給紙機構は、装置本体に対して回動可能に設けられ、リタードローラを回転可能に支持するブラケットと、リタードローラが前記用紙カセット装着領域から退避する方向に前記ブラケットを付勢する付勢手段と、用紙カセットに設けられ、リタードローラを前記用紙カセット装着領域内において保持する保持手段と、用紙カセットに設けられ、前記保持手段によるリタードローラの保持を解除する解除手段と、駆動源からの回転力を受け、前記ブラケットをリタードローラが前記退避位置から前記用紙カセット装着領域内に移動するように回動させる第1のギア機構と、駆動源からの回転力を受け、用紙が載置される用紙載置板を用紙繰出し位置側へ付勢する第2のギア機構とを設け、前記駆動源は用紙カセットが装置本体に装着された後に駆動されることを特徴とするものである。
【0014】
上記第5の発明によれば、用紙カセットが装着されているとき、リタードローラは保持手段により用紙カセット装着領域内に保持されている。これによりフィードローラが回転してもリタードローラは移動しない。用紙カセットを引く抜く場合、まず解除手段により保持手段によるリタードローラの保持を解除し、その後用紙カセットを引く抜くと、付勢手段によりブラケットが回動しリタードローラが用紙カセット装着領域から退避位置へ移動する。また用紙カセットを装着する場合、第1のギア機構が駆動源からの回転力を受け、ブラケットをリタードローラが退避位置から用紙カセット装着領域へ移動するように回転させ、リタードローラは保持手段により保持される。また第2のギア機構が、駆動源からの回転力を受け、用紙載置板を用紙繰出し位置側へ付勢し、用紙が繰出し可能な状態にする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。以下に説明する本発明の実施の形態では、用紙カセットが着脱可能なプリンタの給紙機構について説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。図1において、第1の実施の形態の給紙機構1はホッピングローラ2、フィードローラ3およびリタードローラ4を有する。ホッピングローラ2およびフィードローラ3はプリンタ装置本体5に回転可能に設けられている。プリンタ装置本体5には固定ブラケット6が設けられ、固定ブラケット6には外側に回動ブラケット7およびギア8が取付けられている。リタードローラ4は回動ブラケット7に回転可能に取付けられている。
【0016】
回動ブラケット7は固定ブラケット6に設けられた支点9を中心に回動し、ギア部10を有するとともにその端部にリタードローラ4が回転可能に取付けられている。回動ブラケット7が支点9を中心に回動すると、リタードローラ4は公転する。回動ブラケット7には用紙ガイド25が取付けられており、またローラ26が取付けられている。
【0017】
ギア8はギア部10と噛み合い、また同軸の小ギア11と一体になっている。小ギア11はレバーギア12と噛み合っている。レバーギア12は、固定ブラケット13に支軸14を中心に回転可能に取付けられ、支軸14に取付けられたトーションスプリング15により常に時計回り方向に付勢されている。レバーギア12の端部12aは用紙カセット16側へ突出している。
【0018】
装置本体5の下方には用紙カセット16が着脱可能に設けられている。用紙カセット16が装着されている状態では、リタードローラ4が用紙カセット16の装着領域内に進出している。用紙カセット16には保持ブラケット18が支点19を中心に回転可能に設けられ、スプリング20により常に上方へ付勢されている。保持ブラケット18はリタードローラ4の支軸21を保持することによりリタードローラ4を所定位置に保持する。
【0019】
用紙カセット16内には用紙積載板22が上下動可能に設けられており、この上に用紙23が積載されている。用紙積載板22の下側にはスプリング24が配置されており、このスプリング24により、用紙カセット16が装着されているときは、最上部の用紙23がホッピングローラ2に圧接している。
【0020】
次に第1の実施の形態の動作を図1、図2により説明する。図2は第1の実施の形態の動作を示す概略側面図である。最初に用紙カセット16を抜き出す動作を説明する。
【0021】
図1に示す通常使用状態においては、保持ブラケット18が回動ブラケット7に設けられたローラ26を用紙カセット16に設けられた突部27に押しつけることにより、その位置を保持している。
【0022】
用紙ジャム発生時や用紙補給時に、用紙カセット16を装置本体5から引き抜くと、即ち、用紙カセット16を矢印A方向に移動させると、用紙カセット16の端部16aに当接して規制されていたトーションスプリング15によりレバーギア12が時計回り方向に回転する。これによりレバーギア12と噛み合う小ギア11およびギア8を介して、回動ブラケット7のギア部10が支点9を中心に時計回り方向に回動する。即ち、回動ブラケット7が時計回り方向に回動し、リタードローラ4が上方に移動する。
【0023】
このとき、回動ブラケット7の支点9がフィードローラ3の回転中心とは異なる位置に設けてあるので、フィードローラ3とリタードローラ4の間が開き、用紙カセット16を引く抜く際にフィードローラ3とリタードローラ4の間に用紙が挟まっていたとしても、その用紙は用紙カセット16を引き抜く前に用紙カセット16上に落下し、用紙カセット16を引き出す際に、挟まった用紙が折れたり、丸まったりすることはなくなる。
【0024】
用紙カセット16の引き抜き動作に連動して、図示しない機構により、用紙積載板22は下方へ移動し、用紙23はホッピングローラ2から離れる。
【0025】
レバーギア12は用紙カセット16の引出し動作に伴って回転するが、図2に示す位置で図示しないストッパにより停止し、この状態を維持される。このときリタードローラ4および用紙ガイド25は、用紙カセット16の移動領域から退避した位置にある。したがって用紙カセット16のそれ以後の引出し動作を行うことが可能である。この状態で用紙の補給またはジャム用紙の除去を行う。
【0026】
用紙補給またはジャム用紙の除去を行った後、用紙カセット16を装置15内に装着する際は、リタードローラ4は図2に示す状態になっているので、用紙カセット16はリタードローラ4の下を通過して装着される。そして用紙カセット16の用紙積載部分がリタードローラ4の下を通過した後、用紙カセット16の端部16aがレバーギア12の下部に当たってこれを押すことにより、レバーギア12は反時計回り方向に回転し、レバーギア12と噛み合う小ギア11およびギア8を介して、回動ブラケット7のギア部10が支点9を中心に反時計回り方向に回動する。即ち、回動ブラケット7が反時計回り方向に回動し、リタードローラ4が下方に移動し、元の位置に戻る。
【0027】
以上のように第1の実施の形態によれば、用紙カセット16の直線的な往復運動を回転運動に変換してリタードローラ4を上下動させることにより、用紙カセット16を引出す際にはリタードローラ4を退避させ、用紙カセット16を装着する際にはリタードローラ4を駆動位置へ戻すことが可能となり、これにより用紙カセット16をリタードローラ4が装着されている方向に着脱することが可能になる。
【0028】
次に第2の実施の形態を説明する。図3は本発明の第2の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。図3において、第2の実施の形態の給紙機構31はホッピングローラ2、フィードローラ3およびリタードローラ4を有する。フィードローラ3は、プリンタ装置本体5に回転可能に取付けられている。リタードローラ4は回動ブラケット32に回転可能に取付けられ、用紙カセット16の装着領域内に進出して設けられている。
【0029】
装置本体5には回動ブラケット32が支点33を中心に回動可能に設けられ、この回動ブラケット32にはシャフト34が取付けられている。シャフト34にはリタードローラ4とともにブラケット35が取付けられている。ブラケット35の端部にはコロ36が回転自在に設けられ、コロ36は用紙カセット16の側壁41に形成されたガイド部37に接触するように設けられている。
【0030】
また回動ブラケット32には、回動ブラケット32を上方に引っ張るスプリング38と下方に引っ張るスプリング39が取付けられている。スプリング38の他端は装置本体5に取付けられている。スプリング39の他端は、プリンタ本体5内にあり、用紙カセット16の段差のある両側壁41によって可動するリタード位置保持部材40に取付けられている。用紙カセット16が装着されている状態では、スプリング39の引っ張り力の方がスプリング38の引っ張り力より大きく設定されている。
【0031】
図示してはいないが、第1の実施の形態と同様に、用紙カセット16内には用紙積載板が上下動可能に設けられており、この上に用紙が積載されている。用紙積載板の下側にはスプリングが配置されており、このスプリングにより、用紙カセット16が装着されているときは、最上部の用紙がホッピングローラ2に圧接している。また用紙カセット16には保持ブラケット18が支点19を中心に回転可能に設けられ、スプリング20により常に上方へ付勢されている。保持ブラケット18はリタードローラ4のシャフト34を保持することによりリタードローラ4を所定位置に保持する。
【0032】
次に第2の実施の形態の動作を図3、図4および図5により説明する。図4および図5は第2の実施の形態の動作を示す概略側面図である。最初に用紙カセット16を抜き出す動作を説明する。
【0033】
図3に示す通常使用状態においては、スプリング39が回動ブラケット32を引っ張り、コロ36が用紙カセット16に設けられたガイド部37に押しつけられることにより、その位置を保持している。
【0034】
用紙ジャム発生時や用紙補給時に、用紙カセット16を装置本体5から引き抜くと、即ち、用紙カセット16を矢印A方向に移動させ始めると、図4に示すように、コロ36がガイド部37に沿って上方へ移動し、回動ブラケット32が支点33を中心に時計回り方向に回動する。これによりリタードローラ4が上方に移動する。
【0035】
このとき、回動ブラケット32の支点33がフィードローラ3の回転中心とは異なる位置に設けてあるので、フィードローラ3とリタードローラ4の間が開き、用紙カセット16を引く抜く際にフィードローラ3とリタードローラ4の間に用紙が挟まっていたとしても、その用紙は用紙カセット16を引き抜く前に用紙カセット16上に落下し、用紙カセット16を引き出す際に、挟まった用紙が折れたり、丸まったりすることはなくなる。
【0036】
用紙カセット16の引き抜き動作に連動して、図示しない機構により、用紙積載板は下方へ移動し、用紙はホッピングローラ2から離れる。
【0037】
コロ36はガイド部37上を移動し、図5に示すように、用紙カセット16の側壁41の上部41aに乗る。この状態において、リタードローラ4および回動ブラケット32は、用紙カセット16の移動領域から退避した位置にある。したがって用紙カセット16のそれ以後の引出し動作を行うことが可能である。
【0038】
図5に示す状態において、用紙カセット16の引出しにより保持部材40が回動ブラケット32に接近してくるので、スプリング39の引っ張り力は弱くなる。そして用紙カセット16を完全に装置本体5から引き抜くと、回動ブラケット32はスプリング38で吊られている状態になっている。この状態で用紙の補給またはジャム用紙の除去を行う。
【0039】
用紙補給またはジャム用紙の除去を行った後、用紙カセット16を装置15内に装着する際は、リタードローラ4は図5に示すように用紙カセット16の移動領域から退避した状態になっているので、用紙カセット16はリタードローラ4の下を通過して装着される。そして用紙カセット16の用紙積載部分がリタードローラ4の下を通過した後、スプリング39の引張り力によりコロ36がガイド部37に沿って移動し、回動ブラケット32が支点33を中心に反時計回り方向に回動し、リタードローラ4が下方に移動し、元の位置に戻る。
【0040】
以上のように第2の実施の形態によれば、用紙カセット16を引出す際にはリタードローラ4を退避させ、用紙カセット16を装着する際にはリタードローラ4を駆動位置へ戻すことが可能となり、これにより用紙カセット16をリタードローラ4が装着されている方向に着脱することが可能となる。
【0041】
また第2の実施の形態によれば、スプリング38、39と用紙カセット16に形成したガイド部37という簡単な構成によりリタードローラ4の退避および復帰を行うようにしたので、ユーザーの激しい取扱いに対して負荷を分散させることにより、用紙カセット16の急激な挿抜動作に対応することができる。即ち、用紙カセット16の抜き差しの速さに対応してリタードローラ4を上方に吊り上げることによって、用紙補充もしくはジャム用紙の除去を行うことができる。
【0042】
次に第3の実施の形態を説明する。図6は本発明の第3の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。図6において、第3の実施の形態の給紙機構51はホッピングローラ2、フィードローラ3およびリタードローラ4を有する。リタードローラ4は、回動ブラケット52に回転可能に取付けられ、用紙カセット16の装着領域内に進出して設けられている。
【0043】
装置本体5には回動ブラケット52が支点53を中心に回動可能に設けられ、この回動ブラケット52にはシャフト54が設けられており、このシャフト54にリタードローラ4が設けられている。また回動ブラケット52の下端にはコロ55が回転自在に設けられ、コロ55は用紙カセット16の側壁41に形成されたガイド溝部56に入り込んでいる。
【0044】
また回動ブラケット52には、回動ブラケット52を上方に引っ張るスプリング57が取付けられている。スプリング57の他端は装置本体5に取付けられている。
【0045】
リタードローラ4が取付けられているシャフト54の下方には保持用ブラケット58が設けられている。保持用ブラケット58は用紙カセット16内に設けられ、その上部は略U字形をしている。その略U字形の部分には、3つのコロ59がそれぞれ回転自在に設けられている。3つのコロ59はシャフト54に対して同時に3点で接触する位置にあり、この3つのコロ59でシャフト54を保持できるようになっている。コロ59はリタードローラ4のすぐ脇でシャフト54に接触する。
【0046】
保持用ブラケット58の下部にはスプリング60が設けられ、このスプリング60により保持用ブラケット58は常に上方へ付勢されている。また保持用ブラケット58にはポスト61が形成され、ポスト61にはL字形のリンク部材62の一端が遊篏している。保持用ブラケット58は上下方向にのみ移動可能であり、図における左右方向への移動は図示しない部材により規制されている。
【0047】
リンク部材62は支点63を中心に回転自在になっており、他端にはポスト64が設けられ、ポスト64はリンク部材65の一端に形成された長孔66に遊篏している。リンク部材65の他端は、レバー67に設けられたポスト68に遊篏している。レバー67は支点68を中心に回動可能になっており、また鍵部69が設けられている。鍵部69は、プリンタ装置本体5に設けられたピン70に係合可能となっている。用紙カセット16が装着された状態においては、レバー67はスプリング60により常に反時計回り方向に付勢する力が働き、鍵部69がピン70を係合した状態になっている。
【0048】
また図示してはいないが、第1の実施の形態と同様に、用紙カセット16内には用紙積載板が上下動可能に設けられており、この上に用紙が積載されている。用紙積載板の下側にはスプリングが配置されており、このスプリングにより、用紙カセット16が装着されているときは、最上部の用紙がホッピングローラ2に圧接している。
【0049】
次に第3の実施の形態の動作を図6、図7および図8により説明する。図7および図8は第3の実施の形態の動作を示す概略側面図である。最初に用紙カセット16を抜き出す動作を説明する。
【0050】
図6に示す通常使用状態においては、スプリング60の付勢力によりレバー67がピン70に係合して用紙カセット16が装置本体5から抜き出せないようになっている。また同時に、スプリング60が保持用ブラケット58を上方へ押し上げ、コロ59を介してリタードローラ4をフィードローラ3に圧接した状態に保持している。
【0051】
この状態から、ジャム用紙の除去や用紙補給のために、用紙カセット16を装置本体5から引き抜くためには、まずオペレータがレバー67を引いて時計回り方向に回動させ、鍵部69をピン70から解除する。なおレバー67は用紙カセット16の側壁41の裏側に設けられている。なお鍵部69のみ側壁41より外側にあり、プリンタ装置本体5より出ているピン70と係合する。レバー67を回動させることにより、図7に示すようにリンク部材65、62が移動し、保持用ブラケット58がスプリング60の付勢力に抗して下方へ移動する。
【0052】
保持用ブラケット58の下方への移動により、コロ59によるシャフト54の保持およびリタードローラ4のフィードローラ3への圧接が解除される。以上の動作により、回動ブラケット52は、回動ブラケット52に設けられたコロ55がガイド溝部56内の規制を受けることによる規制を受けるだけとなる。即ち、回動ブラケット52はスプリング57により時計回り方向に常に付勢されているので、ガイド溝部56の上部に当接する。
【0053】
この状態で用紙カセット16を矢印A方向に移動させ始めると、コロ55がガイド溝部56に沿って上方へ移動し、回動ブラケット52が支点53を中心に時計回り方向に回動する。これによりリタードローラ4が上方に移動する。このとき、回動ブラケット52の支点53がフィードローラ3の回転中心とは異なる位置に設けてあるので、フィードローラ3とリタードローラ4の間が開き、用紙カセット16を引く抜く際にフィードローラ3とリタードローラ4の間に用紙が挟まっていたとしても、その用紙は用紙カセット16を引き抜く前に用紙カセット16上に落下し、用紙カセット16を引き出す際に、挟まった用紙が折れたり、丸まったりすることはなくなる。
【0054】
用紙カセット16の引き抜き動作に連動して、図示しない機構により、用紙積載板は下方へ移動し、用紙はホッピングローラ2から離れる。
【0055】
コロ55は、図8に示すように、ガイド溝部56の上部に沿って移動し、回動ブラケット52はスプリング57により吊り下げられ、リタードローラ4および回動ブラケット52は、用紙カセット16の移動領域から退避した位置に移動する。したがって用紙カセット16のそれ以後の引出し動作を行うことが可能である。そして用紙カセット16を完全に装置本体5から引き抜いた状態においては、回動ブラケット52はスプリング57で吊られている状態になっている。なおこの状態において、コロ55は用紙カセット16の溝部上部71よりは下方に位置している。この状態で用紙の補給またはジャム用紙の除去を行う。
【0056】
用紙補給またはジャム用紙の除去を行った後、用紙カセット16を装置15内に装着する際は、リタードローラ4はスプリング57により用紙カセット16の移動領域から退避した状態になっているので、用紙カセット16はリタードローラ4の下を通過して装着される。そして用紙カセット16の用紙積載部分がリタードローラ4の下を通過した後、溝部上部71がコロ55に当接し、コロ55をガイド溝部56内に引き込む。
【0057】
用紙カセット16を更に奥方へ押しこむと、コロ55がガイド溝部56に沿ってさらに下降し、回動ブラケット52が保持用ブラケット58を下方へ押し込みながら支点53を中心に反時計回り方向に回動し、リタードローラ4が下方に移動し、元の位置に戻る。リタードローラ4が元の位置に戻ると、保持用ブラケット58のコロ59によりリタードローラ4が保持される。またレバー67の鍵部69は用紙カセット16の装着動作によりピン70に当接した後回りこんで係合する。
【0058】
以上のように第3の実施の形態によれば、用紙カセット16を引出す際にはリタードローラ4を退避させ、用紙カセット16を装着する際にはリタードローラ4を駆動位置へ戻すことが可能となり、これにより用紙カセット16をリタードローラ4が装着されている方向に着脱することが可能となる。
【0059】
リタードローラ4はこれと圧接するフィードローラ3の回転力により図5における左方向に負荷を受けるが、第3の実施の形態によれば、上下動可能な保持用ブラケット58を設けてコロ59によりリタードローラ4をすぐその脇から保持する構成としているので、リタードローラ4に対してフィードローラ3から負荷が掛かっても、シャフト54が撓むようなことはない。したがって常に用紙の分離効率の優れた装置を提供できる。
【0060】
次に第4の実施の形態を説明する。図9は本発明の第4の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図、図10は第4の実施の形態の給紙機構の要部を示す斜視図である。図9、図10において、第4の実施の形態の給紙機構81はホッピングローラ2、フィードローラ3およびリタードローラ4を有する。リタードローラ4は、回動ブラケット82に回転可能に取付けられ、用紙カセット16の装着領域内に進出して設けられている。
【0061】
装置本体5には回動ブラケット82が支点53を中心に回動可能に設けられ、この回動ブラケット82にはシャフト54が設けられており、このシャフト54にリタードローラ4が設けられている。また回動ブラケット82の下端にはコロ55が回転自在に設けられ、コロ55は用紙カセット16の側壁41に形成されたガイド溝部56に入り込んでいる。
【0062】
また回動ブラケット82には、回動ブラケット82を上方に引っ張るスプリング57が取付けられている。スプリング57の他端は装置本体5に取付けられている。
【0063】
シャフト83には固定ギア84が固着され、シャフト83と一体に回転する。固定ギア84にはアイドルギア85が噛み合っており、アイドルギア85は、装置本体5に設けられ、用紙カセット16の側壁41の上部に形成されたラック86と噛み合い可能になっている。ラック86はアイドルギア85より奥側に形成され、用紙カセット16が装着されている状態ではラック86はアイドルギア85に噛み合わず、用紙カセット16が引出される際に噛み合うようになっている。
【0064】
また図10に示すように、シャフト83にはガイドカム87が遊篏して装着されている。ガイドカム87は図示しない固定ブラケットに取付けられている。ガイドカム87を図12に示すが、ガイドカム87の軸上には図11に示すように回動ブラケット82およびカム88が取付けられている。回動ブラケット82にはカム部89が形成され、このカム部89がカム88と噛み合っている。またシャフト83にはギア90が取付けられ、ギア90はシャフト83と一体に回転すると共に、シャフト83に沿って移動可能である。このギア90はスプリング91により常にカム88に押しつけられている。
【0065】
カム88は回動ブラケット82が回動することによりギア90側へ移動する。ギア90は通常はアイドルギア92を介してギア93に噛み合っているが、カム88が移動することにより図13に示すように、ギア90は移動してアイドルギア92から外れてギア94と噛み合う。またギア90はアイドルギア95、96を介してモータギア97と噛み合っている。ギア90がアイドルギア92に噛み合っている場合、駆動モータ98が回転することによりフィードローラ3とリタードローラ4は同方向に回転する。
【0066】
リタードローラ4に近接してトルクリミッタ99が取付けられている。トルクリミッタ99はリタードローラ4を使用した分離機構において周知の要素であり、ここでの説明は省略する。なおトルクリミッタ99は他の実施の形態でも所要するものである。
【0067】
リタードローラ4が取付けられているシャフト54の下方には保持用ブラケット58が設けられている。保持用ブラケット58は用紙カセット16内に設けられ、その上部は略U字形をしている。その略U字形の部分には、3つのコロ59がそれぞれ回転自在に設けられている。3つのコロ59はシャフト54に対して同時に3点で接触する位置にあり、この3つのコロ59でシャフト54を保持できるようになっている。コロ59はリタードローラ4のすぐ脇でシャフト54に接触する。
【0068】
保持用ブラケット58の下部にはスプリング60が設けられ、このスプリング60により保持用ブラケット58は常に上方へ付勢されている。また保持用ブラケット58にはポスト61が形成され、ポスト61にはL字形のリンク部材62の一端が遊篏している。保持用ブラケット58は上下方向にのみ移動可能であり、図における左右方向への移動は図示しない部材により規制されている。
【0069】
リンク部材62は支点63を中心に回転自在になっており、他端にはポスト64が設けられ、ポスト64はリンク部材65の一端に形成された長孔66に遊篏している。リンク部材65の他端は、レバー67に設けられたポスト68に遊篏している。レバー67は支点68を中心に回動可能になっており、また鍵部69が設けられている。鍵部69は、プリンタ装置本体5に設けられたピン70に係合可能となっている。用紙カセット16が装着された状態においては、レバー67はスプリング60により常に反時計回り方向に付勢する力が働き、鍵部69がピン70を係合した状態になっている。
【0070】
また図示してはいないが、第1の実施の形態と同様に、用紙カセット16内には用紙積載板が上下動可能に設けられており、この上に用紙が積載されている。用紙積載板の下側にはスプリングが配置されており、このスプリングにより、用紙カセット16が装着されているときは、最上部の用紙がホッピングローラ2に圧接している。
【0071】
次に第4の実施の形態の動作をさらに図14、図15を参照して説明する。図14および図15は第4の実施の形態の動作を示す概略側面図である。最初に用紙カセット16を抜き出す動作を説明する。
【0072】
図9に示す通常使用状態においては、スプリング60の付勢力によりレバー67がピン70に係合して用紙カセット16が装置本体5から抜き出せないようになっている。また同時に、スプリング60が保持用ブラケット58を上方へ押し上げ、コロ59を介してリタードローラ4をフィードローラ3に圧接した状態に保持している。
【0073】
図10において、通常使用状態においてはギア90はアイドルギア92と噛み合っており、この状態で駆動モータ98が駆動されるとフィードローラ3は矢印B方向に回転し、リタードローラ4も同方向、即ち矢印B方向に回転して、繰出される図示しない用紙を分離することができる。
【0074】
この状態から、ジャム用紙の除去や用紙補給のために、用紙カセット16を装置本体5から引き抜くためには、まずオペレータがレバー67を引いて時計回り方向に回動させ、鍵部69をピン70から解除する。レバー67を回動させることにより、図14に示すようにリンク部材65、62が移動し、保持用ブラケット58がスプリング60の付勢力に抗して下方へ移動する。
【0075】
保持用ブラケット58の下方への移動により、コロ59によるシャフト54の保持およびリタードローラ4のフィードローラ3への圧接が解除される。以上の動作により、回動ブラケット82は、回動ブラケット82に設けられたコロ55がガイド溝部56内の規制を受けることによる規制を受けるだけとなる。即ち、回動ブラケット82はスプリング57により時計回り方向に常に付勢されているので、ガイド溝部56の上部に当接する。
【0076】
この状態で用紙カセット16を矢印A方向に移動させ始めると、コロ55がガイド溝部56に沿って上方へ移動し、回動ブラケット82が支点53を中心に時計回り方向に回動する。これによりリタードローラ4が上方に移動する。このとき、回動ブラケット52の支点53がフィードローラ3の回転中心とは異なる位置に設けてあるので、フィードローラ3とリタードローラ4の間が開き、用紙カセット16を引く抜く際にフィードローラ3とリタードローラ4の間に用紙が挟まっていたとしても、その用紙は用紙カセット16を引き抜く前に用紙カセット16上に落下し、用紙カセット16を引き出す際に、挟まった用紙が折れたり、丸まったりすることはなくなる。
【0077】
また回動ブラケット82が回動することにより、カム88が図10に示す矢印D方向へ移動し、ギア90がアイドルギア92から外れてギア94と噛み合う。
【0078】
用紙カセット16の引き抜き動作に連動して、図示しない機構により、用紙積載板は下方へ移動し、用紙はホッピングローラ2から離れる。
【0079】
コロ55は、図15に示すように、ガイド溝部56の上部に沿って移動し、回動ブラケット82はスプリング57により吊り下げられ、リタードローラ4および回動ブラケット82は、用紙カセット16の移動領域から退避した位置に移動する。したがって用紙カセット16のそれ以後の引出し動作を行うことが可能である。
【0080】
用紙カセット16を或る程度引き抜くと、図15に示すように、用紙カセット側壁41に形成されたラック86がアイドルギア85と噛み合う。さらに用紙カセット16を引き抜くと、ラック86の直線方向の移動がアイドルギア85および固定ギア84により回転運動に変換されて、フィードローラ3を図10に示す矢印C方向に回転させる。このときギア90はギア94と噛み合っているので、リタードローラ4はフィードローラ3と逆方向、即ち、図10に示す矢印B方向に回転する。
【0081】
フィードローラ3とリタードローラ4の以上の回転動作により、用紙カセット16を引き抜く際にフィードローラ3とリタードローラ4との間に用紙が挟まれている場合には、挟まれている用紙は用紙カセット16を引き抜く方向と逆方向に戻されて両ローラ3、4の間から抜け出る。
【0082】
そして用紙カセット16を完全に装置本体5から引き抜いた状態においては、回動ブラケット82はスプリング57で吊られている状態になっている。なおこの状態において、コロ55は用紙カセット16の溝部上部71よりは下方に位置している。この状態で用紙の補給またはジャム用紙の除去を行う。
【0083】
用紙補給またはジャム用紙の除去を行った後、用紙カセット16を装置15内に装着する際は、リタードローラ4はスプリング57により用紙カセット16の移動領域から退避した状態になっているので、用紙カセット16はリタードローラ4の下を通過して装着される。そして用紙カセット16の用紙積載部分がリタードローラ4の下を通過した後、溝部上部71がコロ55に当接し、コロ55をガイド溝部54内に引き込む。
【0084】
用紙カセット16を更に奥方へ押しこむと、コロ55がガイド溝部54に沿ってさらに下降し、回動ブラケット82が保持用ブラケット58を下方へ押し込みながら支点53を中心に反時計回り方向に回動し、リタードローラ4が下方に移動し、元の位置に戻る。リタードローラ4が元の位置に戻ると、保持用ブラケット58のコロ59によりリタードローラ4が保持される。またレバー67の鍵部69は用紙カセット16の装着動作によりピン70に当接した後回りこんで係合する。
【0085】
回動ブラケット82が反時計回り方向に回動すると、カム88はスプリング91の力により図10に示す矢印D方向と反対の方向へ移動し、ギア90はギア94から外れて、アイドルギア92と噛み合う。
【0086】
以上のように第4の実施の形態によれば、用紙カセット16を引出す際にはリタードローラ4を退避させ、用紙カセット16を装着する際にはリタードローラ4を駆動位置へ戻すことが可能となり、これにより用紙カセット16をリタードローラ4が装着されている方向に着脱することが可能となる。
【0087】
また第4の実施の形態によれば、用紙カセット16に形成したラック86とギア機構およびカム機構により、用紙カセット16を引き抜く際に、フィードローラ3とリタードローラ4を用紙を押し戻す方向へ回転させるようにしたので、フィードローラ3とリタードローラ4の間に用紙が挟まっている場合でも、挟まった用紙を強制的に押し戻すことができ、ジャム用紙の除去が容易になる。
【0088】
次に第5の実施の形態を説明する。図16は本発明の第5の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。図16において、第5の実施の形態の給紙機構101はホッピングローラ2、フィードローラ3およびリタードローラ4を有する。リタードローラ4は、回動ブラケット102に回転可能に取付けられてオリ、用紙カセット16の装着領域内に進出して設けられている。
【0089】
装置本体5には回動ブラケット102が支点103を中心に回動可能に設けられ、この回動ブラケット102には略楕円形の逃げ孔104と扇形のギア部105が形成されている。逃げ孔104にはフィードローラ3の軸106が貫通している。回動ブラケット102は用紙カセット16の上部および用紙カセット16の移動領域内に位置しているが、ギア部105は用紙カセット16の側壁41の外側へ突出して形成されている。
【0090】
ギア部105はギア107と噛み合い、ギア107と同軸のギア108がギア109と噛み合っている。ギア109はギア110と噛み合い、ギア110と同軸のギア111が遊星ギア112と噛み合い可能に設けられている。遊星ギア112はモータギア113に噛み合うと共に、扇型ギア114と噛み合い可能に設けられている。
【0091】
扇型ギア114はシャフト115を中心に回転可能に設けられ、このシャフト115にはまたリフター116が回動可能に設けられている。即ち、扇型ギア114が回転するとシャフト115が回転し、これによりリフター116が回動するようになっている。また遊星ギア112はモータギア113の回転方向により、ギア111と噛み合うかまたは扇型ギア114に噛み合う。またリフター116は用紙カセット16の下方に設けられ、反時計回り方向に回動して用紙カセット16内へ入り込み、用紙積載板22を押し上げる。これらのギアは用紙カセット16の外側で装置本体5に設けられている。
【0092】
モータギア113はカップリング付きギアとなっており、用紙カセット16が引き出される際に用紙カセット16の側壁41に形成された図示しない突部が当接することによりカップリングが外れ、モータ117の回転が伝達されないようになっている。用紙カセット16の上記突部がモータギア113から離れると、スプリングの力により再びモータ117の回転が伝達可能になる。
【0093】
また回動ブラケット102には、回動ブラケット102を上方に引っ張るスプリング57が取付けられている。スプリング57の他端は装置本体5に取付けられている。リタードローラ4は回動ブラケット102に回転可能に設けられている。
【0094】
リタードローラ4が取付けられているシャフト54の下方には保持用ブラケット58が設けられている。保持用ブラケット58は用紙カセット16内に設けられ、その上部は略U字形をしている。その略U字形の部分には、3つのコロ59がそれぞれ回転自在に設けられている。3つのコロ59はシャフト54に対して同時に3点で接触する位置にあり、この3つのコロ59でシャフト54を保持できるようになっている。コロ59はリタードローラ4のすぐ脇でシャフト54に接触する。
【0095】
保持用ブラケット58の下部にはスプリング60が設けられ、このスプリング60により保持用ブラケット58は常に上方へ付勢されている。また保持用ブラケット58にはポスト61が形成され、ポスト61にはL字形のリンク部材62の一端が遊篏している。保持用ブラケット58は上下方向にのみ移動可能であり、図における左右方向への移動は図示しない部材により規制されている。
【0096】
リンク部材62は支点63を中心に回転自在になっており、他端にはポスト64が設けられ、ポスト64はリンク部材65の一端に形成された長孔66に遊篏している。リンク部材65の他端は、レバー67に設けられたポスト68に遊篏している。レバー67は支点68を中心に回動可能になっており、また鍵部69が設けられている。鍵部69は、プリンタ装置本体5に設けられたピン70に係合可能となっている。用紙カセット16が装着された状態においては、レバー67はスプリング60により常に反時計回り方向に付勢する力が働き、鍵部69がピン70を係合した状態になっている。
【0097】
次に第5の実施の形態の動作をさらに図17乃至図21を参照して説明する。図17乃至図21は第5の実施の形態の動作を示す概略側面図である。最初に用紙カセット16を抜き出す動作を説明する。
【0098】
図16に示す通常使用状態においては、スプリング60の付勢力によりレバー67がピン70に係合して用紙カセット16が装置本体5から抜き出せないようになっている。また同時に、スプリング60が保持用ブラケット58を上方へ押し上げ、コロ59を介してリタードローラ4をフィードローラ3に圧接した状態に保持している。また通常使用状態においては、モータギア113に噛み合う遊星ギア112は扇形ギア114と噛み合っている。
【0099】
この状態から、ジャム用紙の除去や用紙補給のために、用紙カセット16を装置本体5から引き抜くためには、まずオペレータがレバー67を引いて時計回り方向に回動させ、鍵部69をピン70から解除する。レバー67を回動させることにより、図17に示すようにリンク部材65、62が移動し、保持用ブラケット58がスプリング60の付勢力に抗して下方へ移動する。
【0100】
保持用ブラケット58の下方への移動により、コロ59によるシャフト54の保持およびリタードローラ4のフィードローラ3への圧接が解除される。以上の動作により、回動ブラケット102は、スプリング57により時計回り方向に支点103を中心に回動し、リタードローラ4は上方へ移動する。
【0101】
この状態で用紙カセット16を矢印A方向に移動させ始めると、用紙カセット16の側壁41に形成した図示しない突部がモータギア113に当接し、モータギア113のカップリングを外す。これによりモータギア113、モータギア113と噛み合う遊星ギア112および扇形ギア114がフリーに回転するようになり、リフター116は、図18に示すように、用紙積載板22の重さで時計回り方向に回動して下降する。これにより用紙カセット16を引き抜き可能になる。
【0102】
用紙カセット16を引く抜いて、用紙補給またはジャム用紙の除去を行った後、用紙カセット16を装置15内に装着する際は、リタードローラ4はスプリング57により用紙カセット16の移動領域から退避した状態になっているので、用紙カセット16はリタードローラ4の下を通過して装着される。そして図19に示すように、用紙カセット16を完全に奥まで装着する。この装着によりモータギア113はカップリングが噛み合い、モータ117の回転が伝達される。また用紙カセット16の装着により、図示しない検出センサにより用紙カセット16の装着が検出され、これによりモータ117が正回転する。
【0103】
モータ117の正回転により、図19に示すように、モータギア113が時計回り方向に回転し、これにより遊星ギア112が扇形ギア114から離れて上方へ移動し、ギア111と噛み合う。モータギア113の回転は、遊星ギア112、ギア111、110、109、108、107を介して、回動ブラケット102のギア部105に伝達され、回動ブラケット102は支点103を中心に反時計回り方向に回動し、リタードローラ4は下方に移動し、元の位置に戻る。
【0104】
リタードローラ4は元の位置に戻る際、保持用ブラケット58を押し下げ、元の位置に到達した時点で、図示しないセンサにより検出される。このセンサの検出によりモータ117が停止される。
【0105】
その後、モータ117が逆方向に回転し、これによりモータギア113は反時計回り方向に回転し、遊星ギア112を下方へ移動させ、遊星ギア112は扇形ギア114と噛み合う。これにより扇形ギア114は反時計回り方向に回転し、図20および図21に示すように、リフター116は反時計回り方向に回動して、用紙積載板22を押し上げる。用紙積載板22の上昇が図21に示すセンサ119により検出されると、モータ117の駆動が停止される。
【0106】
以上のように第5の実施の形態によれば、用紙カセット16を引出す際にはリタードローラ4を退避させ、用紙カセット16を装着する際にはリタードローラ4を駆動位置へ戻すことが可能となり、これにより用紙カセット16をリタードローラ4が装着されている方向に着脱することが可能となる。
【0107】
また第5の実施の形態によれば、用紙カセット16を引き抜く前にリタードローラ4を用紙カセット16の移動領域から完全に退避させ、またこのときフィードローラ3とリタードローラ4の間が開くので、用紙カセット16を引く抜く際にフィードローラ3とリタードローラ4の間に用紙が挟まっていたとしても、その用紙は用紙カセット16を引き抜く前に用紙カセット16上に落下し、用紙カセット16を引き出す際に、挟まった用紙が折れたり、丸まったりすることはなくなる。
【0108】
またもしユーザがレバー67だけを操作して(引くことによりロックを解除して)、用紙カセット16を装置本体5から引き抜かなかった場合、フィードローラ3とリタードローラ4の間に挟まっていた用紙は用紙カセット16上に落下するが、モータ117により元の位置に戻されるリタードローラ4により、落下した用紙は用紙積載板22上に確実に戻される。
【0109】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、用紙カセットを引出す際にはリタードローラを退避させ、用紙カセットを装着する際にはリタードローラを駆動位置へ戻すことが可能となり、これにより用紙カセットをリタードローラが装着されている方向に着脱することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。
【図2】第1の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図3】第2の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。
【図4】第2の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図5】第2の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図6】第3の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。
【図7】第3の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図8】第3の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図9】第4の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。
【図10】第4の実施の形態の給紙機構の要部を示す斜視図である。
【図11】ガイドカムを示す斜視図である。
【図12】ガイドカムを示す斜視図である。
【図13】ギア90の移動を示す説明図である。
【図14】第4の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図15】第4の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図16】第5の実施の形態の給紙機構を示す概略側面図である。
【図17】第5の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図18】第5の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図19】第5の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図20】第5の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【図21】第5の実施の形態の動作を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 給紙機構
3 フィードローラ
4 リタードローラ
5 プリンタ装置本体
7 回動ブラケット
12 レバーギア
16 用紙カセット
23 用紙
Claims (9)
- 装置本体に対して着脱可能な用紙カセットから繰出された用紙を搬送するフィードローラと、用紙カセット装着領域内に位置し、フィードローラに圧接して回転するリタードローラとにより、繰出された用紙を1枚に分離する給紙機構において、
前記装置本体に対して回動可能に設けられ、前記リタードローラを前記フィードローラとの圧接位置から、前記用紙カセットの抜脱方向、且つ、鉛直方向において前記用紙カセット装着領域より上方の退避位置へ移動可能に支持するブラケットと、
前記用紙カセットを前記装置本体に対して着脱することで、前記リタードローラを前記用紙カセット装着領域と前記退避位置との間を移動するように前記ブラケットを回動させるギア機構とを設け、
前記用紙カセットの装着動作に伴って前記ギア機構をしてリタードローラが前記退避位置から前記用紙カセット装着領域へ移動するように前記ブラケットを回動させ、前記用紙カセットの抜脱動作に伴って前記ギア機構をして前記リタードローラが前記用紙カセット装着領域から前記退避位置へ移動するように前記ブラケットを回動させることを特徴とする給紙機構。 - 前記ギア機構は、
前記ブラケットに設けられた第1のギア部と、
前記用紙カセットと当接し、回動する端部が設けられたレバーギアと、
前記第1のギア部と前記レバーギアの間に設けられ、レバーギアの回動を前記第1のギア部に伝達する第2のギア部と
が設けられる請求項1に記載の給紙機構。 - 前記ギア機構は、
前記レバーギアを前記用紙カセットの装着動作方向と対向する方向へ付勢する付勢部材が更に設けられる請求項2に記載の給紙機構。 - 装置本体に対して着脱可能な用紙カセットから繰出された用紙を搬送するフィードローラと、用紙カセット装着領域内に位置し、フィードローラに圧接して回転するリタードローラとにより、繰出された用紙を1枚に分離する給紙機構において、装置本体に対して回動可能に設けられ、リタードローラを回転可能に支持するブラケットと、前記ブラケットに形成された回転体と、用紙カセットの側部に形成され、前記回転体が当接するガイド部とを設け、用紙カセットの抜脱時に前記回転体が前記ガイド部に沿って移動することにより前記ブラケットが回動して前記リタードローラが用紙カセット装着領域から退避する方向に移動することを特徴とする給紙機構。
- 前記ブラケットを、前記回転体が前記ガイド部に密着するように付勢する付勢手段を設けた請求項4記載の給紙機構。
- 装置本体に対して着脱可能な用紙カセットから繰出された用紙を搬送するフィードローラと、用紙カセット装着領域内に位置し、フィードローラに圧接して回転するリタードローラとにより、繰出された用紙を1枚に分離する給紙機構において、装置本体に対して回動可能に設けられ、リタードローラを回転可能に支持するブラケットと、リタードローラが前記用紙カセット装着領域から退避する方向に前記ブラケットを付勢する付勢手段と、用紙カセットに設けられ、リタードローラを前記用紙カセット装着領域内において保持する保持手段と、用紙カセットに設けられ、前記保持手段によるリタードローラの保持を解除する解除手段とを設けたことを特徴とする給紙機構。
- 用紙カセットの側部に形成したラックと、前記ラックに係合して前記フィードローラを回転させるギア部と、前記ブラケットの退避方向への回転により、前記ギア部の回転を、フィードローラの回転方向と逆方向になるようにリタードローラに伝達する回転伝達手段とを設けた請求項6記載の給紙機構。
- 装置本体に対して着脱可能な用紙カセットから繰出された用紙を搬送するフィードローラと、用紙カセット装着領域内に位置し、フィードローラに圧接して回転するリタードローラとにより、繰出された用紙を1枚に分離する給紙機構において、装置本体に対して回動可能に設けられ、リタードローラを回転可能に支持するブラケットと、リタードローラが前記用紙カセット装着領域から退避する方向に前記ブラケットを付勢する付勢手段と、用紙カセットに設けられ、リタードローラを前記用紙カセット装着領域内において保持する保持手段と、用紙カセットに設けられ、前記保持手段によるリタードローラの保持を解除する解除手段と、駆動源からの回転力を受け、前記ブラケットをリタードローラが前記退避位置から前記用紙カセット装着領域内に移動するように回動させる第1のギア機構と、駆動源からの回転力を受け、用紙が載置される用紙載置板を用紙繰出し位置側へ付勢する第2のギア機構とを設け、前記駆動源は用紙カセットが装置本体に装着された後に駆動されることを特徴とする給紙機構。
- 前記ブラケットの回動中心はフィードローラの回転中心とは異なる位置にある請求項1、2、3、4、5、6または8のいずれか1項に記載の給紙機構。
Priority Applications (1)
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