JP4225709B2 - 多層半生麺の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層半生麺の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の半生麺は、茹で上げた際に内部に芯が残り、生麺を茹でた場合に比べて食感が著しく低下する欠点を有していた。
また、多層麺として、外層は主として小麦粉よりなり、内層は原料配合において小麦粉を含み、かつ澱粉添加配合量が40〜90wt%である多層麺が知られている(特公昭62−32907号公報参照)。さらに粗蛋白含量を6〜15重量%に調整した外層用製麺原料を用いて三層押し出しを行って三層麺帯を製造し、前記の三層麺帯を圧延した後に、麺線に切り出す三層麺類の製造方法も知られている(特開平11−151071号公報参照)。
【0003】
しかしながら、特公昭62−32907号公報に記載された発明は、生麺、あるいは生麺から直接調製する茹麺、蒸し麺、即席麺および即席ワンタンの製麺性、ほぐれ、復元性、食味食感を改良することを目的とするものであり、本発明の生麺とは麺の種類およびその技術的課題を異にするものである。
【0004】
また特開平11−151071号の発明は、麺帯を押し出し成型することを必須とする製麺方法に関するものでありロール圧延法とは技術的にも異なるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、麺帯をロール圧延法による半生麺の製造法において、半生麺を茹で上げたときに内部に芯が残らず、ソフトで粘りがあり、かつ滑らかな食感を有する茹麺を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、内層用麺帯および外層用麺帯をロール圧延により調製し、前記内層用麺帯を前記外層用麺帯で挾持し、複合する製麺方法において、内層用麺帯のみに小麦粉および/またはそば粉に対し1〜20重量%のアセチル化タピオカ澱粉、リン酸架橋タピオカ澱粉及び酸化タピオカ澱粉の何れか1種以上を添加して製麺し、得られた麺の水分含量を20〜27%とすることを特徴とする、多層半生麺の製造法にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、小麦粉等の製麺原料に加水し混捏して麺生地を調製する。この際水の添加量は、製麺原料に対し30〜50重量%の範囲で適宜調整する。また麺生地の調製は、バッチ式、連続式等のいずれの方法も採用できる。また生地混捏は常圧下または減圧下のいずれも好適に実施できる。
【0008】
本発明の外層用麺帯は、前記麺生地をロールで延ばしながら薄い帯状に成形する。圧延には形の成形とロールによる混捏の2つの効果がある。麺帯がロール間隙を圧縮されて通過すると、ロールと接触する表面と中の部分では伸びにずれが生じ、混捏の効果が出るようになる。
【0009】
この圧延工程はまず生地混捏で得られたオカラ状または団塊状の麺生地をロールにより粗麺帯に形成する。次に粗麺帯を2枚重ねてロールに通し複合する。複合により麺帯の表面がきれいに成形され、生地の水分にむらがある場合は、麺帯の水分の均質化が行われる。また粗麺帯を調製する場合は生地の食い込みがよいように、圧延工程の中でも最も口径の大きいロールを使用することが好ましい。また複合された麺帯は、複合工程で麺帯に最も大きいズリ応力がかかるために、この後に熟成時間をとり、麺帯中の歪みの緩和を図ることが好ましい。
【0010】
複合された麺帯は口径を順次小さくした数段のロールで少しずつ圧延しながら麺帯を所望する厚さまで圧延する。これらのロール径と段数の組合せは所望する麺帯の性状に合わせて適宜行えばよい。一般にロールの口径が大きい程、麺帯との接触面が増えるので、麺帯にかかる荷重が少なくなりスムースに圧延できる。また、ロールの段数は、ロール径が大きい程少なくてよく、また生地の加水量が多い程少なくてよい。さらにロールの回転数が遅い程少なくてよい。前記麺生地の圧延は急激な圧延を避け、その圧延率[{(圧延前の麺帯の厚さ−圧延後の厚さ)/圧延前の厚さ}×100]は約30%程度とすることが好ましい。
【0011】
前記外層用麺帯に用いられる製麺原料としては薄力粉、中力粉、強力粉等の小麦粉の外そば粉等が挙げられる。またこれらの製麺原料には必要により食塩、かん水、乳化剤、増粘剤、防腐剤、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、油脂類、調味料、香辛料、着色料等適宜用いることができる。
【0012】
また本発明の内層用麺帯の調製法は前記の外層用麺帯と同様に調製することができるが、製麺原料として使用する小麦粉および/またはそば粉に対し1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の澱粉を添加することが必須である。この添加量が1重量%未満では本発明の目的が達成されず、一方、20重量%を超えると食感がやわらかくなりすぎるので好ましくない。
【0013】
本発明で使用する澱粉としてはコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、コムギ澱粉、コメ澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉あるいはこれらの酸処理澱粉、酸化澱粉、架橋澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の化工澱粉が挙げられるが、なかでもアセチル化タピオカ澱粉およびリン酸架橋タピオカ澱粉が好ましい。これらの澱粉は1種または2種以上を適宜混合して用いることができる。
【0014】
前記のようにして得られた外層用麺帯および内層用麺帯は複合して多層麺帯を調製する。この多層麺帯は通常は内層用麺帯を外層用麺帯で挾持し、これを複合機で複合した後圧延ロールで所望の厚さになる迄圧延した後、切刃を用いて所望する太さの麺線に切り出すことにより多層生麺が得られる。
【0015】
また他の方法としてそれぞれ澱粉添加量の異なる麺帯を複合して内層用麺帯を調製し、これを用いて多層生麺を調製することもできる。
【0016】
得られた多層生麺は乾燥装置を用いて水分含量が20〜27%になる迄乾燥することにより半生麺を調製することができる。
【0017】
【実施例】
次に本発明をさらに具体的に説明するために実施例を掲げるが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0018】
実施例1〜9、比較例1〜3
(1)中力小麦粉(日清製粉株式会社製「白椿」)およびアセチル化タピオカ澱粉[ホーネン株式会社製「A−700」]を表1に記載した割合で混合し外層用製麺原料を調整し、これをミキサーに供し、外層用製麺原料100重量部に、食塩6重量部を水41重量部に溶かした水溶液47重量部を混合して生地を調製し、この生地を製麺ロールを用い常法により麺帯に成形し外層用麺帯を得た。
(2)中力小麦粉(日清製粉株式会社製「白椿」)およびアセチル化タピオカ澱粉[ホーネン株式会社製「A−700」]、リン酸架橋タピオカ澱粉(株式会社ホーネンコーポレーション製「アクトボディTP-1」)および酸化タピオカ澱粉(松谷化学工業株式会社製「MKK-100」)を表1に記載した割合で混合し内層用製麺原料を調整し、これをミキサーに供し、内層用製麺原料100重量部に、食塩6重量部を水41重量部に溶かした水溶液47重量部を混合して生地を調製し、この生地を製麺ロールを用い常法により麺帯に成形し内層用麺帯を得た。
(3)上記(1)および(2)で得られた麺帯をそれぞれ表1に記載されている厚みになるまでロールで圧延し、重ね合わせ三層麺帯とした後、連続して圧延ロールで圧延して厚さ2.4mmの麺帯にし、それを♯10Mの切刃を用いて麺線に切り出して、三層生うどんを製造した。
(4)上記(3)で得られた生うどんを26℃50%RHの条件下で乾燥し、水分含量23±1%の半生うどんを得た。
(5)上記(4)で得られた半生うどんを沸騰水中で茹で歩留270%に茹で上げ、水洗いを30秒間行い、冷却水(5℃)中に30秒間浸漬した後、冷却水から取り出した。冷却水から取り出した茹でうどんを表2に示す評価基準に従い10名のパネラーに評価してもらい、その平均値をとったところ、表3に示すとおりであった。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
上記表3の結果から、内層に澱粉を配合した実施例1〜9の半生うどんは、茹で上げた際、滑らかさを損なうことなく粘弾性および内部に残る芯が改良され、極めて高い品質を有していることが分かる。これに対し、従来の機械麺製法により得られた小麦粉のみで製造した比較例1の半生うどんは、粘弾性に劣り、内部に芯が残っており、低品質であることが分かる。また、内外層ともに澱粉を配合した比較例2の半生うどんは、内部の芯は消失しているが、粘弾性、滑らかさともに劣っており、低品質であることが分かる。また、外層に澱粉を配合した比較例3の半生うどんは、内部に芯が残っており、滑らかさも劣り、低品質であることが分かる。
【0023】
【発明の効果】
本発明方法により得られる半生麺を茹で上げると内部に芯が残らず、ソフトで粘りがあり、かつ滑らかな食感を有する茹麺を得ることができる。
Claims (1)
- 内層用麺帯および外層用麺帯をロール圧延により調製し、前記内層用麺帯を前記外層用麺帯で挾持し、複合する製麺方法において、内層用麺帯のみに小麦粉および/またはそば粉に対し1〜20重量%のアセチル化タピオカ澱粉、リン酸架橋タピオカ澱粉及び酸化タピオカ澱粉の何れか1種以上を添加して製麺し、得られた麺の水分含量を20〜27%とすることを特徴とする、多層半生麺の製造法。
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