JP4221108B2 - 出窓組立体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外部から直接室内を覗き込むことが困難な、出窓組立体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の住戸を連絡する形の外部廊下を有する集合住宅などにおいては、共用部の外部廊下が居室に面しており、複数の居室の窓が直接外廊下に面することとなる。こうした構造から、防犯上、面格子が各居室の窓のすぐ外側に、該窓に沿った形で取り付けられることとなる。また、外部廊下側の窓ガラスは外部廊下側からの視線を遮断するために曇りガラスなどの視線遮断型のガラスが装着され、一応のプライバシーを保持するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、こうした構造では、窓を開けた場合には、室内が外部廊下側から直接覗くことが出来、プライバシーの確保が困難となる。また、面格子が窓のすぐ外側に取り付けられることから、圧迫感があり、良好な居住性を確保することが困難であった。また、面格子が外部廊下に沿って多数並んだ状況は、画一的な印象を与え、集合住宅としての低品質を印象付ける要因となっていた。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑み、室内を外部側から直接覗くことを防止することが出来、プライバシーの確保が容易で、面格子を使用するにも拘わらず、圧迫感が少なく、かつ良好な居住性を確保することが出来る出窓組立体を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、窓枠体(14)を有し、
該窓枠体(14)の居室配置側に視線遮断性透明部材からなる少なくとも一つの第1の採光壁(20A、20B)を設けると共に、前記窓枠体の外部配置側に視線遮断性透明部材からなる少なくとも一つの第2の採光壁(16A、16B)を設け、
前記第1及び第2の採光壁間に開閉自在な窓(21、21A、21B)を、それら第1及び第2の採光壁を接続する形で設け、
該窓と第2の採光壁により出窓空間(30)を形成し、
前記窓枠体の前記外部配置側に、面格子(22A、22B)を前記第1の採光壁と前記窓との間で花台空間(31)を形成する形で設けて構成される。
【0006】
請求項2の発明は、前記視線遮断性透明部材は、ガラスブロックで構成される。
【0007】
請求項3の発明は、前記窓枠体(14)は、上下に突出部(13、15)を有しており、前記第2の採光壁(16A、16B)及び面格子(22A、22B)は前記上下の突出部を連絡する形で設けられ構成される。
【0008】
請求項4の発明は、前記出窓空間(30)は2個設けられており、それら出窓空間により前記花台空間(31)が両側から挟まれた形で形成されて構成される。
【0009】
請求項5の発明は、前記窓枠体(14)は、壁パネル(9a、9b)を有して構成される。
【0010】
請求項6の発明は、前記花台空間(31)に該花台空間を仕切る仕切壁(32)が設けられて構成される。
【0011】
請求項7の発明は、前記面格子(22A、22B)は開放、施錠固定自在に設けられて構成される。
【0012】
請求項8の発明は、仕切部材(26)を、前記下部突出部(15)の下方に物品収納空間(29)を形成し得る形で設けて構成される。
【0013】
【発明の効果】
請求項1の場合、第1及び第2の採光壁を接続する形で設けられた窓(21、21A、21B)により、窓が開放されていても、外部(7)側からは、居室内の一部しか見通すことが出来ず、プライバシーの確保が容易である。また、面格子(22A、22B)は窓(21、21A、21B)及び第1の採光壁(20A、20B)から花台空間(31)を介した形で設けられるので、面格子が窓のすぐ外側に配置されることが無くなり、圧迫感を和らげることが可能となる。更に、出窓空間(30)や花台空間(31)により、出窓組立体(12)が設置される外部(7)側に変化に富んだ印象を与えることが出来、これを集合住宅に使用した場合には、当該集合住宅として高品質な印象を付与することが可能となる。
【0014】
請求項2の場合、ガラスブロックにより、強固で防犯上も有利な視線遮断性透明部材を構成することが出来る。
【0015】
請求項3の場合、窓枠体(14)に突出部(13、15)が形成されることから、出窓組立体(12)の現場での施工時にそれら突出部(13、15)を構築する必要が無く、現場施工を短時間で簡単に行うことが出来る。
【0016】
請求項4の場合、花台空間(31)を両側の出窓空間(30)により共用することが出来るので、スペース的に有利であり、また花台空間に対して、両側の窓(21A、21B)を介してアプローチすることが出来るので、アプローチ性も向上することが出来る。
【0017】
請求項5の場合、窓枠体(14)に壁パネル(9a、9b)が形成されることから、出窓組立体(12)の現場での施工時にそれら壁パネル(9a、9b))を住戸仕切壁(9)としてそのまま使用することが出来、現場で住戸仕切壁(9)を構築する必要が無く、現場施工を短時間で簡単に行うことが出来る。
【0018】
請求項6の場合、一つの出窓組立体を2つの住戸で共用することが出来、それぞれの住戸の専有面積が小さな場合でも容易に対応することが出来る。
【0019】
請求項7の場合、花台空間(31)に対して、面格子(22A、22B)を開放することにより、外部側からもアプローチすることが出来、利便性に富み、また、開放感に富んだ住宅構造とすることが出来る。
【0020】
請求項8の場合、下部突出部(15)の下方を物品収納空間(29)として有効に活用することが出来る。
【0021】
なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0022】
【発明の実施の形態】
集合住宅1は、図1から図3に示すように、複数の柱3及び梁5により上下に層状に積層支持された形のスラブ2を有しており、各スラブ2には、図1左右方向に複数の住戸6が該住戸6を連絡する形で設けられた外部廊下7で連絡される形で設けられている。外部廊下7の図3左方、即ち、建物外部側には手摺壁7aが外部廊下7に沿って設けられており、更に、外部廊下と各住戸6との間には外部廊下7と各住戸6を仕切る住戸仕切壁9が設けられている。
【0023】
各住戸6は、図1に示すように、外部廊下側7に複数の居室10A、10Bが外部廊下7に沿った形で設けられており、各居室10A、10Bは仕切壁11で仕切られている。一つの住戸における2つの居室10A、10Bの外部廊下7側には出窓組立体12が該外部廊下7に面して、それら居室相互間を連絡する形で突出した形で設けられており、出窓組立体12は、住戸仕切壁9、周囲の柱3、梁5及び住戸仕切壁9と外見上一体となって形成された窓枠体14を有している。窓枠体14は、図2に示すように、住戸仕切壁9の一部を構成する壁パネル9a、9bを有しており、壁パネル9a、9bと後述する窓ユニット8は工場で一体的に生産され、出窓組立体12として集合住宅1の構築現場に搬入され、そこで、現場構築された上下スラブ2、2間に設置される。
【0024】
なお、図2及び図4において、壁パネル9a、9bは説明上の都合から、実線LN、LNで挟まれた長方形のものとして示されているが、これは、出窓組立体12として集合住宅1の構築現場に搬入される際の状態を便宜的に示したものであり、出窓組立体12の設置後は、壁パネル9a、9bは住戸仕切壁9の一部をなす形で外見上区別することは出来ないように施工される。
【0025】
一方、壁パネル9a、9bの間には、同様に窓枠体14を構成する上部庇13と下部台15が設けられており、上部庇13と下部台15は、図3に示すように、壁パネル9a、9bよりも外部廊下7側に突出した形で形成されている。上部庇13と下部台15は、その平面形状が図1に示すように、外部廊下7側に先すぼみとなった台形の形状を有している。
【0026】
窓枠体14の上部庇13と下部台15の図2の上下間には、窓ユニット8がそれらを上下に接続する形で設けられている。上部庇13と下部台15の外部廊下7側である、図1左右両側の、外部廊下7の伸延方向である、図1矢印A、B方向に角度を有する形で斜めに形成された辺部13a、15aには、透光性は有するが当該部材を通して反対側を明瞭に視認することは困難な視線遮断性を有する視線遮断性透明部材である合成樹脂やガラスブロックなどからなる採光壁16A、16Bが設けられている。採光壁16A、16Bは、前述の窓ユニット8の一部を構成しており、それら採光壁16A、16Bは上下の上部庇13と下部台15を連絡する形で設けられている。更に、出窓組立体12の窓枠体14の居室10A、10B側のパネル壁9a、9bに対応する位置には、中央部に連絡パネル17が設けられており、連絡パネル17の上部には、図2に示すように、換気口17a、17aが貫通穿設されている。各換気口17a、17aは、居室10A、10Bを仕切る形で設けられた壁19に貫通穿設された換気口19a、19aと整合する形で設けられており、それら換気口17a、19aは、各居室10A、10Bと外部をそれぞれ連通する形で設けられている。
【0027】
連絡パネル17の図1両側には、透光性は有するが当該部材を通して反対側を明瞭に視認することは困難な視線遮断性を有する視線遮断性透明部材である合成樹脂やガラスブロックなどからなる採光壁20A、20Bが上下方向に、居室10A、10B内外を仕切る形で設けられており、採光壁20A、20Bは外部廊下7の伸延方向である矢印A、B方向に平行に設けられている。採光壁20A、20Bも、前述の窓ユニット8の一部を構成している。
【0028】
採光壁20Aの図中左端部20cと採光壁16Aの右端部16cとの間には開閉自在なサッシュ窓21Aが、外部廊下7の矢印A、B方向の伸延方向に対して斜めに傾いた方向である矢印C方向に面する形で設けられており、採光壁20Bの図中右端部20dと採光壁16Bの左端部16dとの間にも開閉自在なサッシュ窓21Bが、外部廊下7の矢印A、B方向の伸延方向に対して斜めに傾いた方向である矢印D方向に面する形で設けられている。サッシュ窓21A、21Bも、後述する面格子22A、22Bと共に、前述の窓ユニット8の一部を構成している。
【0029】
また、採光壁16Aの右端部16cと採光壁16Bの左端部16dとの間には、2枚の面格子22A、22Bが上部庇13と下部台15を連絡する形で設けられており、面格子22A、22Bは、各端部16c、16d部分を介して外部廊下7方向である矢印E、F方向に開閉自在に設けられている。なお、面格子22A、22Bは、矢印E、F方向に開閉自在に構成するほかに、矢印A、B方向に引き違い状態で開閉自在となるように構成することも、更に上下方向に開閉自在にしたり、折り畳み式やケンドン方式により開閉自在とすることも可能である。また、面格子22A、22Bは、それら面格子22A、22Bが図1に示すように閉じた状態で互いに施錠固定自在に設けられており、面格子22A、22Bが閉じた状態では、面格子22A、22Bと、サッシュ窓21A、21B及び採光壁20A、20Bとで囲まれた下部台15の図1台形の部分は、花台23を形成する花台空間31となっている。
【0030】
また、下部台15部分の、図1採光壁16Aとサッシュ窓21Aとに挟まれた3角形状の部分は出窓25Aを形成する出窓空間30Aとなっており、下部台15部分の、図1採光壁16Bとサッシュ窓21Bとに挟まれた3角形状の部分は出窓25Bを形成する出窓空間30Bとなっている。そして、花台空間31は、両出窓空間30A、30Bに両側を挟まれた形になっている。
【0031】
集合住宅1は、以上のような構成を有するので、集合住宅1を構築する場合には、図3に示すように、ある階のスラブ2が構築された段階で、当該構築されたスラブ2上に、工場で壁パネル9a、9bと窓ユニット8が一体的に組み立てられた状態の出窓組立体12を、採光壁20A、20Bを居室10A、10B側などの居室配置側に、採光壁16A、16Bを外部廊下7側などの外部配置側になるように設置し、その状態で、周囲の壁や柱を構築して、図1及び図2に示すように、出窓組立体12と柱3、住戸仕切壁9などを一体化する形で構築する。この際、壁パネル9a、9bは、それら壁パネル9a、9bが住戸仕切壁9の一部をなす形で躯体に組み込まれる。こうして、住戸6の一部をなす形で組み立てられた出窓組立体12は、各居室10A、10Bに対応する出窓25A、25Bのサッシュ窓21A、21Bの開閉方向が、外部廊下7の矢印A、B方向の伸延方向に対して斜めに傾いた方向である矢印C及びD方向であるので、サッシュ窓21A、21Bを開放しても、外部廊下7側からは各居室10A、10Bの一部しか見通すことは出来ず、各居室10A、10B内が外部廊下7側から丸見えとなってしまうようなことはない。
【0032】
更に、出窓組立体12の外部廊下7側のサッシュ窓21A、21B以外の部分は、透光性は有するが当該部材を通して反対側を明瞭に視認することは困難な視線遮断性を有する透明部材である採光壁16A、16B、20A、20Bが、各出窓25A、25B及び花台23部分に配置されているので、各居室10A、10Bの採光はそれら採光壁16A、16B、20A、20Bにより良好な状態に保持される。なお、既に述べたように、採光壁16A、16B、20A、20Bは透光性は有するが当該部材を通して反対側を明瞭に視認することは困難な視線遮断性を有するので当該採光壁16A、16B、20A、20Bを介して外廊下7側から各居室10A、10B内が見通されるようなことはない。
【0033】
また、面格子22A、22Bとサッシュ窓21A、21Bとの間に花台23が設けられているので、面格子22A、22Bは各居室10A、10B内から遠ざかる形となり、面格子22A、22Bが室内に与える圧迫感を和らげることが出来るばかりか、花台23により、良好な居住環境の演出が可能となる。
【0034】
更に、面格子22A、22Bは、開閉可能でかつ閉じた状態での施錠が可能であることから、花台23に対するアプローチが外廊下7側とサッシュ窓21A、21B側から共に可能となり、防犯性と利便性を兼ねた出窓組立体12の提供が可能となる。
【0035】
上述の実施例は、出窓組立体12の下部台15の図3下方は、空間のままに構成したが、下部台15の下方は、図4及び図5に示すように、ガラリ26を設けて、エアコン室外機27などの物品収納空間29として活用することも可能である。
【0036】
更に、出窓組立体12の形状としては、図1に示すように、出窓25が2個設けられたものの外、図6(a)に示すように、出窓25が1個のものも可能である。更に出窓25及び花台23の平面形状も、図1及び図6(a)に示すような三角形状のようなものに限らず、図6(b)及び(c)に示すように、任意の形状を採用することが出来る。更に、出窓25及び花台23の形状に応じて面格子22の形状も適宜変更することが出来る。
【0037】
また、図6(a)に示す、サッシュ窓21の設置方向、即ち、設置角度αも、外部廊下7の伸延方向に対して平行(α=0)でなく、対向する形(180>α>0)で有ればどのような形で設置されていてもよい。従って、外部廊下7の伸延方向に対して斜めに傾いた方向に面するように設置する以外に、図6(b)に示すように、外部廊下7の伸延方向に対して直角な方向に向くように構成することもできる。
【0038】
更に、出窓組立体12自体も、図1及び図7(b)に示すように、各住戸6の居室10A、10B間に設けられるものの外に、図7(a)に示すように、住戸6の単独の居室10に設けたり、互いに隣接する住戸6、6間の居室10、10間に出窓組立体12をそれぞれ互いに隣接する住戸6、6の居室10、10間を連絡接続する形で設けることも当然可能である。この場合、図7(c)に示すように、出窓組立体12の中央部に、隣接する住戸6、6間を仕切るための仕切壁32が花台空間31を仕切る形で設けられる。
【0039】
また、出窓組立体12は、窓枠体14として壁パネル9a、9b、上部庇13、下部台15が設けられた例について説明したが、出窓組立体12の窓枠体14には、必ずしも、上部庇13や下部台15、壁パネル9a、9bは必要ではなく、窓ユニット8を支持する最低限の枠体などの支持部材があればどのような構成でも良い。従って、上部庇13や下部台15などの突出部なども現場で構築する形でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】集合住宅における出窓組立体の一例を示す平面図、
【図2】図1の正面図、
【図3】図1の側面図、
【図4】本発明の別の実施例を示す正面図、
【図5】図4の側面図、
【図6】本発明の他の実施例を示す図、
【図7】本発明の他の実施例を示す図である。
【符号の説明】
1……集合住宅
6……住戸
7……外部廊下
8……窓ユニット
9……住戸仕切壁
9a、9b……壁パネル
10、10A、10B……居室
13……突出部(上部庇)
14……窓枠体
15……突出部(下部台)
16A、16B……第2の採光壁(採光壁)
20A、20B……第1の採光壁(採光壁)
21、21A、21B……窓(サッシュ窓)
22A、22B……面格子
26……仕切部材
29……物品収納空間
30……出窓空間
31……花台空間
32……仕切壁

Claims (8)

  1. 窓枠体を有し、
    該窓枠体の居室配置側に視線遮断性透明部材からなる少なくとも一つの第1の採光壁を設けると共に、前記窓枠体の外部配置側に視線遮断性透明部材からなる少なくとも一つの第2の採光壁を設け、
    前記第1及び第2の採光壁間に開閉自在な窓を、それら第1及び第2の採光壁を接続する形で設け、
    該窓と第2の採光壁により出窓空間を形成し、
    前記窓枠体の前記外部配置側に、面格子を前記第1の採光壁と前記窓との間で花台空間を形成する形で設けて構成した出窓組立体。
  2. 前記視線遮断性透明部材は、ガラスブロックである、請求項1記載の出窓組立体。
  3. 前記窓枠体は、上下に突出部を有しており、前記第2の採光壁及び面格子は前記上下の突出部を連絡する形で設けられている請求項1記載の出窓組立体。
  4. 前記出窓空間は2個設けられており、それら出窓空間により前記花台空間が両側から挟まれた形で形成されている、請求項1記載の出窓組立体。
  5. 前記窓枠体は、壁パネルを有している、請求項1記載の出窓組立体。
  6. 前記花台空間に該花台空間を仕切る仕切壁が設けられている、請求項4記載の出窓組立体。
  7. 前記面格子は開放、施錠固定自在に設けられている、請求項1記載の出窓組立体。
  8. 仕切部材を、前記下部突出部の下方に物品収納空間を形成し得る形で設けて構成した、請求項3記載の出窓組立体。
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