JP4211883B2 - 牽切用パラ系アラミド繊維トウ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な牽切用パラ系アラミド繊維トウに関し、さらに詳しくは、深い色合いに染色可能な可染タイプであり、紡績糸の強力利用率が高く、容易に超高級番手の製造可能な牽切用パラ系アラミド繊維トウに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パラ系アラミド繊維を用いたスポーツ用衣料や防護衣料は、パラ系アラミド繊維の染色が不可能に近く、ほとんど染色されていないのが現状である。近年アウトドアースポーツが盛んになり、パラ系アラミド繊維の耐切創性が画期的に高く、耐熱性も優れていることにより幅広く用いられるようになったが、より色彩豊かなカラフルで軽量で柔軟性を持った、軽快で安全性に優れた、パラ系アラミド繊維を用いたアウトドアースポーツ衣料が強く求められている。
【0003】
また、切創事故を起こし易い作業に以前より幅広く用いられている防護衣料においても、軽量で柔軟性が高く作業性の良い、カラフルで職場環境の明るくなるパラ系アラミド繊維を用いた防護衣料が強く要望されている。
【0004】
一般にパラ系アラミド繊維等の高強力繊維は、耐切創性、耐熱性に優れているが結晶性が高く、分子間結合力が強固で緻密な分子構造を有しているため、染色性が悪く、他の汎用繊維に適用される染色技術により染色するのが困難であるので、パラ系アラミド繊維の染色はほとんど実施されていないのが現状であり、次のような改善手段の提案がなされている。
【0005】
真空減圧による膨潤作用を利用する方法(特開昭63−256765号公報)、濃硫酸の紡糸浴中に染料または顔料を分散させる、原着法(特開平1−111014号公報)、染色促進剤に接触させることにより、カチオン染色可能なパラ系アラミド繊維を得る方法(特開平2−41414号公報)、3,4−オキシジフェニルテレフタルアミドを共重合したアラミド系繊維を分子量400以下の分散染料の水分散液で160℃以上に加熱し染色する方法(特開平5−209372号公報)、が提案されている。
【0006】
しかし、これらの提案は、いずれも着色しうる色相、染着度の範囲が限られ、濃色染めが困難であり、従来の染色設備が使用できないなどの問題を有していた。
【0007】
一方、軽量化に向けてパラ系アラミド繊維フイラメント糸の細デニール化については、生産性の極端な低下や設備化費用が膨大となるなどの理由で、200デニールが限界である。設備化されたとしても糸原価が非常な高価なものとなる。このため細デニール化の手法として、ステープルから一般のカード方式を用いた紡績糸の細番手化が、たとえば、特公昭61−9421号公報に提案されている。細番手を紡績するには繊度を細く(1.5d以下)、繊維長もカード通過性のゆるすかぎり長くされている。しかし、繊維長51mm〜64mm間で、これ以上長くするとカードにおける開繊作用が強くなりすぎ、ネップ、および短繊維のフィブリル化による白粉が多発し、スパン糸の品質が大幅に低下する、また強力利用率の低下をきたし、高品質な70s 以上の細番手糸が得られていないのが現状である。
【0008】
他方、細繊度繊維の可紡性向上を狙いとした紡績方法として牽切紡績があり、トウを牽切してスライバーとした後、バルキー紡績糸や高強力紡績糸などを得ることが幅広く行われている。これらに用いられる牽切用トウは、一対又は数対のローラ間で延伸牽切されることから、トウを構成する単繊維の伸度が小さいものは牽切紡績工程通過性が優れており、このことから、アクリル系、ポリビニル系繊維を用いる例が多い。ポリエステルトウ、ポリアミドトウについても、牽切紡績用としては、特開昭53−98418号公報などに見られるように、低伸度化する方法が提案されている。またパラ系アラミド繊維トウについても、たとえば特開昭58−87323号公報などが提案されている。
【0009】
従来のパラ系アラミド繊維トウは繊維伸度は低いが、切断伸度の変動率が大きく、また強力が非常に高く、分繊性、静電性も劣ることから、牽切に際して集中切断、集団切断、ミスカットなどが多発し、牽切性、生産性が著しく低いなどの理由から、パラ系アラミド繊維トウの牽切は困難であるとされてきた。また、牽切後のスライバ品質も他合繊トウより大幅に劣っていた。
【0011】
70s 以上のパラ系アラミド繊維100%スパン糸を得るには、1.5d以下で80mmを越える長繊維長を有するスライバが必要であるが、カード方式では満足な可紡性や、良好なスライバ品質が得られず、開発上の最大の難点になっていた。
【0012】
一方、細繊度、長繊維長スライバが可能なことから、従来より牽切紡績が用いられている。従来のパラ系アラミド繊維トウの伸度は4〜6%と低伸度であるが、伸度バラツキが20〜30%と大きく、さらに細繊度トウであることから、牽切紡績に適用しても満足なスライバは得られない。
【0013】
一般の牽切装置であるトウリアクタで市販のパラ系アラミド繊維トウを牽切した場合の牽切挙動をみると、牽切機のプロセスは、クリール上での整トウ、張力調整に次いで延伸域で延伸し、牽切域で牽切し、スライバとするのであるが、市販のパラ系アラミド繊維トウで留意すべき点は延伸域での延伸倍率と牽切域での牽切ドラフト倍率の設定である。
【0014】
延伸域は供給トウを構成する単繊維のすべてを切断伸度直前まで均一に延伸できることが必要であり、このような牽切を可能にするには、トウを構成する各単繊維の伸度のバラツキが小さいことが重要となる。バラツキが大きいと単繊維群のうち伸度の低い単繊維に合わせる必要がある。もし延伸倍率を大きく設定すると低伸度サイドにある単繊維が切断し、単繊維切れを原因とする延伸域でのローラ巻き付きとなり、操業上トラブルとなる。したがって、延伸倍率は供給単繊維群のうち低い伸度繊維に設定せざるを得ず、供給トウの延伸効率は悪くなり、その結果、大半の単繊維は不十分な延伸状態で牽切域に供給されることになり、牽切不良を招く一つの原因になっている。
【0015】
一方、牽切域では、できるかぎり小さな延伸倍率で切断することにより安定した牽切性が得られ、生産性向上につながる。延伸域を経て牽切域で切断される単繊維は多少とも切断された瞬間に繊維が伸長回復によりもどされる。伸長回復が大きいと、先端がまるまってネップの潜在要因となるほか、延伸域での繊維の延伸効果が少なくなり、牽切域で再び前記の延伸域の作用と牽切作用を同時におこなわせる必要があり、牽切ドラフト倍率も大きくなる。その結果、牽切域での波打ち現象が起こり集団切断による周期むらの原因となり、ついには牽切不能となるのである。
【0016】
この牽切域における繊維の伸長回復の定量化は難しいが、本発明者らは、定速伸長型引張り試験機(テンシロン)で測定した単繊維の伸長弾性率と牽切域における繊維の伸長回復との関係が深いことを見い出した。すなわち、市販のパラ系アラミド繊維トウは前記伸度バラツキの他、該繊維伸長弾性率が大きく、また単繊維の伸度は小さいが強度(15g〜25g/d)が非常に高いため伸度バラツキ、伸長弾性率の僅かの変動により牽切不良になっているのである。
【0017】
また近年、パラ系アラミド繊維をアウトドアスポーツ用衣料や防護衣料に幅広く用いられるようになるにつれ、色彩の鮮やかさ、薄さ、軽量化の要求が強く染色可能なパラ系アラミド繊維の要望が強く待ち望まれていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記パラ系アラミド繊維トウの問題点を解決し、深い色合いに染まり、牽切性、生産性の高いパラ系アラミド繊維100%の高級番手紡績糸を得るための新規な牽切用パラ系アラミド繊維トウを提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。
【0020】
すなわち、牽切用パラ系アラミド繊維トウにおいて、トウを構成するパラ系アラミド繊維が、染色可能な可染タイプである硫黄をスルホネート基としてp−フェニレンテレフタルアミドポリマー繰り返し単位100モル当たり5から20モル有していて、約1.5から4の固有粘度(IV)を示すスルホン化ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)からなり、トウを構成する単繊維の切断伸度が8%以下、切断伸度の変動率が20%以下、単繊維の4%伸長時の繊維伸長弾性率が80%以下、単繊維のケン縮数が4〜14山/25mmであり、未延伸サブトウを1.001〜1.006倍に延伸し、集束して捲縮を付与した後、乾燥して得られるであることを特徴とする牽切用パラ系アラミド繊維トウである。
【0021】
上記のトウにおいて、トウを構成する単繊維の繊度が6d以下、初期引張抵抗度が200g/d以下、単繊維の切断強度が20g/d以下であることが好ましい。
【0022】
また、トウを構成する単繊維のケン縮数が4〜14山/25mm、ケン縮度が6〜13%であることが好ましい。
【0023】
また、トウのトータルデニールは10〜40万Dであることが好ましい。
【0024】
本発明のトウは、濃色染めが可能であり、牽切性良好なトウである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
本発明では、かかる紡績糸を用いて柔軟で耐切創性に優れ染色可能な編織物の製造ができ、更に、超高級番手を用いて超薄物の編織物の製造や、パラ系アラミド繊維のフイラメント細デニール糸の代替が可能となる。
【0027】
本発明において用いられるパラ系アラミド繊維について説明する。硫黄をスルホネート基としてp−フェニレンテレフタルアミドポリマー繰り返し単位100モル当たり5から20モル有していて、約1.5から4の固有粘度を示すスルホン化ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)からなる、1デニール当たり200グラム未満の引張り応力と6%以上の伸びを示す、深い色合いに迅速染色可能な織物品質の繊維である。
【0028】
染料を追加的に含み深い色合いに染色可能な織物品質の繊維を製造する方法において、95から120℃の温度の、約100.2%から102%の濃度を有する硫酸と一緒に、約5以上の固有粘度(IV)を示すポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)を約10から15重量%の量で用い、このポリマーが分解して4未満の固有粘度を示すようになるまでこれらを混合し、この溶液を紡糸して水系凝固浴の中に入れることでフイラメントを生じさせ、該フイラメントをその浴から取り出して該フイラメントの中和を行うことを含む方法、たとえば特表平8−509269号公報などによる方法である。
【0029】
本発明において、固有粘度(IV)は次の方法によって測定したものである。
【0030】
固有粘度(IV)=ln(ηrel )/c
[式中、cはポリマー溶液の濃度(溶媒100mL中0.5gのポリマー)であり、そしてηrel (相対粘度)は、毛細管粘度計を用いて30℃で測定した時にポリマー溶液が示す流れ時間とその溶媒が示す流れ時間との間の比率である]で固有粘度(IV)を定義する。本発明における固有粘度値は、濃硫酸(96%H2 SO4 )を用いて測定した値である。
【0031】
上記製造法で製造した単繊維の繊度が6d以下、初期引張抵抗度が200g/d以下、トウのトータルデニール10万〜40万デニール、切断強度が20g/d以下、切断伸度が10%以下、4%伸長時の繊維伸長弾性率が80%以下で単繊維の切断伸度の変動率が20%以下、トウを構成する単繊維のケン縮数が4〜14山/25mm、ケン縮度が6〜11%であり、さらに詳しく本発明について説明をする。
【0032】
近年、産業界では安全第一、職場環境向上がさけばれている。また、精密機械などの製造が多く、柔軟性、耐熱性、切創性の高い薄手の防護手袋、軽量防護エプロン、薄手のコーテング防護シートなどの要望が非常に高い。また、アウトドアスポーツ用衣料においては、カラフルで色彩豊かで柔軟性、耐熱性、切創性の優れた薄手のアウトドアスポーツ用衣料の要望が高い。
【0033】
これらには、パラ系アラミド繊維の50デニール〜70デニールのマルチフイラメントか、70s 〜100s の紡績糸を用いることが要求されるが、現在市販されているマルチフイラメントの最も細い物で200デニールであり、また、紡績糸で現在量産されているのは60s (87デニール)までであり、70S (76デニール)についてはいまだに上市されていない。上市されたとしても、現在量産されている60s でさえスパン糸強力利用率24%±5%であり、さらに悪化すると予想され、糸強力不足による糸切れ多発となって量産が不可能となっている。
【0034】
以下、紡績番手60S 以上の高級番手紡績糸が、容易に製造可能で深い色合いに染色可能な牽切用パラ系アラミド繊維トウについて説明する。
【0035】
本発明の牽切用パラ系アラミド繊維トウを構成する単繊維の切断伸度の平均値は10%以下であることが好ましい。より好ましくは8%以下である。単繊維の切断伸度の平均値が10%を越えると牽切性が不良となってくる。
【0036】
本発明の牽切用パラ系アラミド繊維トウを構成する単繊維の4%伸長時の繊維伸長弾性率は、80%以下であることが好ましい。より好ましくは70%以下である。単繊維の4%伸長時の繊維伸長弾性率が、80%を越えると牽切性が不良となってくる。
【0037】
本発明において繊維伸長弾性率とは、JIS L 1013 7.9 A法により試長20cm、引張り速度10cm/minとし、4%伸長時の弾性率をいう。
【0038】
延伸域での延伸倍率を効果的に設定することを容易にし、延伸後の残留伸度を小さくし、牽切域での牽切ドラフト倍率を大きく、牽切を容易にする観点から、本発明の牽切用パラ系アラミド繊維トウを構成する単繊維の切断伸度の変動率は20%以下、さらには15%以下がより好ましい。
【0039】
トウの総繊度は操業性、生産性、牽切装置の能力、梱包形態などの観点から、10万〜40万デニールが好ましく、さらには、20万〜30万デニールがより好ましい。
【0040】
初期引張抵抗度について説明する、JIS 1063−1960−5.13法により単繊維の強伸度曲線を描き、初期応力/歪み曲線の傾きを測定して、グラム/デニールで表示する。初期引張抵抗度は200g/d以下が好ましい、染色性、牽切装置の能力などから180g/d以下がより好ましい。
【0041】
パラ系アラミド繊維トウを構成する単繊維の強度は、要求される染色性、強度特性から20g/d以下が好ましい。
【0042】
パラ系アラミド繊維トウを構成する単繊維のケン縮数は4〜14山/25mm、ケン縮度は6〜11%が好ましい、ケン縮数が4山、ケン縮度が6%より少なくなると、トウ中の単繊維の分繊性が悪くなり牽切性が悪化する、ケン縮数が14山、ケン縮度が11%より多くなると、ケン縮による座屈が多くなり単繊維の強力低下が起こり、牽切性不良や紡績糸の強力低下を招き好ましくない。
【0043】
単繊維の断面形状、断面構造、光沢については特に制限はない。
【0044】
また、ロ−ラ巻き付き防止、牽切性向上、静電気防止を目的に界面活性剤を付与するのが良い。付与方法としては、浸漬法、噴霧法(スプレ法)いずれで付与してもよく、好ましくは、前記界面活性剤は浸漬法で紡糸工程中に繊維に付与される油剤として使用する。
【0045】
本発明の牽切用パラ系アラミド繊維トウは、たとえば、常法により乾湿式紡糸し得られた未延伸サブトウを特殊な集束法により適当本数集束して80℃〜100℃の蒸気加熱下で1.001〜1.006倍に延伸し、続いて80〜180℃の熱ドラム上で熱処理したのち一定厚さになるよう集束し、押し込みクリンパで捲縮を付与して80〜140℃で乾燥することによって製造することができる。
【0046】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1、比較例1、比較例2、比較例3]
硫黄をスルホネート基としてp−フェニレンテレフタルアミドポリマー繰り返し単位100モル当たり15モルを有し、固有粘度2.40dl/gであるパラ系アラミド繊維のコード糸11145デニール18本を、厚さ、熱処理ムラ防止のためクリールおよびガイドバーで収束し、98℃蒸気雰囲気下1.003に延伸したののち、オイリング付与後押し込みクリンパで12山/25mmの捲縮を付与した後80℃乾熱で15分間乾燥し、単繊維繊度1.5d、総繊度20万デニールのトウを作製した(実施例1)。
【0047】
比較例1として従来市販のトウ(東レ・デュポン社製“ケブラー”トウ)を次の方法により製造した。ケブラーを常法により乾湿式紡糸した後、延伸サブトウ1540デニールを130本収束し、厚さむら防止のためのクリールおよびガイドバーで集束しオイリング付与後、押し込みクリンパで12山/25mmの捲縮を付与した後80℃乾熱で15分間乾燥し、単繊維繊度1.5d、総繊度20万デニールのトウを作製した。
【0048】
一方、比較例2、比較例3、比較例4として前記と同じ延伸サブトウをできるだけ、つれやたるみが発生しないようクリールおよびガイドバーにより130本集束し、93℃蒸気雰囲気下、それぞれ1.003、1.005、1.007倍に延伸した。その後、180℃のドラム上で熱処理後にムラ防止のためのクリールおよびガイドバーで集束し、オイリング付与後押し込みクリンパで12山/25mmの捲縮を付与した後80℃乾熱で15分間乾燥し、3種類の単繊維繊度1.5d、総繊度20万デニールのトウを作製した。なお、延伸倍率を1.007以上とすると延伸時に単繊維切れが多発し、操業性が大幅に劣り量産困難なため評価対象からはぶいた。以上の4種のトウの代表特性を表1に示した。
【0049】
次いで、これらトウをオーエム製作所製トウリアクタ(TR−II型)に各トウ1本(20万デニール)を供給し牽切をおこなった。各トウの適正延伸倍率を探索し牽切性を評価した。評価結果を表2に示した。なお、適性延伸倍率は三段延伸域の全倍率である。本発明の実施例1のトウは低伸度で伸度バラツキも小さく、伸長弾性率も低いことから牽切性良好であり、ネップもフィブリル化繊維も少ない高品質のスライバーが得られた。またこれを用いた編織物の品質も良好であった。比較用トウ(比較例1、比較例2、比較例3)はトウの変動率も大きく、4%伸長時の伸長弾性率も80%以上あり牽切ドラフト倍率が大きくなり牽切不良であった。
【0050】
上記4水準の牽切スライバーを用いソ毛紡績方式によりそれぞれメートル番手1/52の紡績糸得た、この紡績糸を用い20ゲージ筒編機2本給糸により編地を作成し、染料Basacryl Rad Gl(Basic Red 29)と硫酸ナトリウムが各々4重量%溶液により染色して染色性をL値により評価した。
【0051】
実施例1は濃色に染色されL値も27と良好な編製品であった、比較例1、2、3はL値も高く淡色で染色性が劣るものであった。結果を表2に示した。
【0052】
表2のトウリアクタ牽切性結果からわかるように、本発明のトウは低伸度であり伸度バラツキも小さく、伸長弾性率も低いことから牽切性良好であり、該トウから、ネップもフィブリル化繊維も少ない長繊維長の高品質スライバが得られた。またこれを用いた編織物の染色性も良好であった。
【0053】
これに対し、トウ製造時の延伸倍率の低い市販のトウ及び比較用トウ(比較例1)はトウの変動率も大きいことからトウリアクタでの高延伸倍率が得られず、しかも4%時の伸長弾性率も80%以上あり、牽切ドラフト倍率が大きくなり牽切不良であった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
ただし、表中
[トウリアクタ牽切性良否評価]
牽切状態を5名により肉眼評価した。
【0057】
○:牽切性良好、△:牽切性若干問題あるもの、×:牽切性不良
[見掛上ネップ評価]
牽切スライバー5g、n=5を5名により肉眼評価した。
【0058】
○:ネップ無く良好、△:1〜2個ネップ含有、×:3個以上ネップ含有
【0059】
【発明の効果】
本発明により、耐切創性、耐熱性、柔軟性に優れ、薄くて軽量、濃色に染色可能なアウトドアースポーツ衣料や、防護衣料の製造可能な牽切用パラ系アラミド繊維トウを提供することが可能となった。
Claims (4)
- 牽切用パラ系アラミド繊維トウにおいて、トウを構成するパラ系アラミド繊維が、染色可能な可染タイプである硫黄をスルホネート基としてp−フェニレンテレフタルアミドポリマー繰り返し単位100モル当たり5から20モル有していて、約1.5から4の固有粘度(IV)を示すスルホン化ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)からなり、トウを構成する単繊維の切断伸度が8%以下、切断伸度の変動率が20%以下、単繊維の4%伸長時の繊維伸長弾性率が80%以下、単繊維のケン縮数が4〜14山/25mmであり、未延伸サブトウを1.001〜1.006倍に延伸し、集束して捲縮を付与した後、乾燥して得られることを特徴とする牽切用パラ系アラミド繊維トウ。
- トウを構成する単繊維の繊度が6d以下、初期引張抵抗度が200g/d以下、単繊維の切断強度が20g/d以下であることを特徴とする請求項1に記載の牽切用パラ系アラミド繊維トウ。
- トウを構成する単繊維のケン縮度が6〜11%である請求項1または2記載の牽切用パラ系アラミド繊維トウ。
- トウのトータルデニールが10〜40万Dである請求項1〜3のいずれかに記載の牽切用パラ系アラミド繊維トウ。
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