JP4199422B2 - ポリペプチド - Google Patents
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Description
本発明はポリペプチド、さらに詳しくは、バイオマスの有効利用に有用な、セルロース分解活性を有するポリペプチドに関する。また、本発明は該ポリペプチドの遺伝子工学的生産に有用な遺伝子にも関する。
発明の背景
セルロースは繊維素とも呼ばれ、(C6H10O5)nで表される。セルロースを主成分とする物質として、例えば、マツ、スギ、ブナ、ポプラなどの木材;麻類、ミツマタ、稲ワラ、バガス、モミガラなどの茎類・ジン皮類;綿などの種子毛;新聞紙、雑誌、ダンボール廃紙などの古紙類;その他繊維質廃棄物;パルプ、セルロースパウダーなどが挙げられ、最近はオフィスよりの古紙類が増加している。
セルロース分子はD−グルコピラノースがβ−1,4結合で連なった構造を有し、側鎖は存在しない。すなわち、セルロースはアルコール発酵の原料物質となるグルコースから構成されており、セルロースをグルコースまで分解することが出来れば古紙類、繊維質廃棄物から燃料などとして有用なアルコールを製造することが可能となる。
セルロースの分解(糖化)方法として酸法または酵素法によるグルコースへの加水分解が行なわれてきた。酸法は、セルロースを塩酸や硫酸に接触させて繊維の塊部分を強力に分解するものであるが、加水分解条件の設定が困難であり、生成するグルコースが強酸性下において、さらに反応してしまい、グルコースを高収率で回収することが困難である等の問題点があった。したがって、酸法は現在では殆ど利用されていない。これに対して、セルロース加水分解酵素を用いた酵素法は、反応選択性が高く、環境保護などの面においても有利であるため、加水分解法の主流となっており、様々な方法が報告されている[ウッドら(Wood,B.E.,et al.)、バイオテクノロジー・プログレス(Biotechnology Progress)、第13巻、第223−237頁(1997);米国特許第5,508,183号;ジャオ・シンら(Zhao Xin,et al.)、エンザイム・アンド・マイクロバイアル・テクノロジー(Enzyme Microbial Technology)、第15巻、第62−65頁(1993)等]。
セルロース加水分解酵素として、例えば、エンドグルカナーゼ(EC3.2.1.4)、β−D−グルコシダーゼ(EC3.2.1.21)、エキソ−1,4−β−D−グルコシダーゼ(EC3.2.1.74)、セロビオヒドロラーゼ(EC3.2.1.91)が挙げられる。エンドグルカナーゼの推奨名はセルラーゼ、系統名は1,4−(1,3,1,4)−β−D−グルカン3(4)−グルカノヒドロラーゼである。
セルロースを分解するには通常、エンドグルカナーゼ、β−D−グルコシダーゼ、エキソ−1,4−β−D−グルコシダーゼ、セロビオヒドロラーゼなどからなる混合物を用い、これらが共同的に作用してセルロースをグルコースにまで分解する。この作用機作には様々な学説があるが、村尾らはまず、エンドグルカナーゼがセルロースの非結晶域に切れ目を入れ、その切れ目にセロビオヒドロラーゼが作用しながら結晶をほぐしていくとともに、エンドグルカナーゼとセロビオヒドロラーゼによってオリゴ糖が生成し、オリゴ糖がβ−D−グルコシダーゼによって分解されてグルコースが生成するというモデルを提出している[1987年5月10日、株式会社講談社発行、村尾沢夫ら著、「セルラーゼ」、第102〜104頁]。
セルロースは、通常、単一のセルロース鎖として存在することは殆ど無く、水素結合によって多数のセルロース鎖が集合した構造を形成しており、多数のセルロース鎖が密集している結晶領域と、疎な非晶領域とが存在する。酵素法による加水分解反応の律速段階は、該結晶領域にある多数のセルロース鎖を分離・分散する段階にある。したがって、酵素で分解する場合に高温で反応を行えば、(1)セルロースの結晶がほぐれ易いので反応が効率良く進行すると共に、(2)雑菌による汚染の危険が小さい、(3)加熱を必要とする工業プロセスにおいて酵素反応前の冷却を必要としない等の利点がある。
高度好熱菌由来のセルロース加水分解酵素としては、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)のβ−D−グルコシダーゼ、サーモコッカス(Thermococcus)sp.のβ−D−グルコシダーゼ、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)のエンドグルカナーゼ、β−D−グルコシダーゼ、サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)のエンドグルカナーゼ、β−D−グルコシダーゼ等が知られている[バウアーら(Bauer,et al.)、カレント・オピニオン・イン・バイオテクノロジー(Current Opinion in Biotechnology)、第9巻、第141〜145頁、1998年]。高度好熱菌由来のβ−D−グルコシダーゼ遺伝子のクローニング例としては、米国特許第5,744,345号があり、また、高度好熱菌由来のエンドグルカナーゼ遺伝子のクローニング例としては、WO97/44361がある。
一方、セロビオヒドロラーゼは好熱性細菌であるサーモトガ(Thermotoga)sp. FjSS−B.1株から単離されている[ラタースミスら(Ruttersmith,et al.)、バイオケミカル・ジャーナル(Biochemical Journal)、第277巻、第887〜890頁、1991年]が、該酵素のセロビオースによる阻害定数(Ki)は0.2mMと低いために生産物阻害を受け易く、4−メチルウンベリフェリル−β−D−セロビオシドを基質とした時の比活性は3.6U/mgである。また,該細菌の培養は高温嫌気条件下で行なう必要があるなどの理由で酵素の工業的大量生産は困難である。また、該酵素をコードする遺伝子がクローニングされていないため、遺伝子工学的な生産も実施することはできない。
発明の目的
本発明の目的は、セロビオースによる阻害定数が高く、更に耐熱性を有するセロビオヒドロラーゼおよび該セロビオヒドロラーゼを安価に製造するための手段を提供することにある。
発明の要旨
ピロコッカス・ホリコシイ(Pyrococcus horikoshii)OT3ゲノムは全DNA塩基配列が決定されており[カワラバヤシら(Kawarabayasi,et al.)、DNAリサーチ(DNA Research)、第5巻、第55〜76頁、1998年;カワラバヤシら、DNAリサーチ、第5巻、第147〜155頁、1998年]、各オープンリーディングフレームから予想される遺伝子産物とアミノ酸配列のホモロジーを持つタンパクのリストが公開されている(http://www.bio.nite.go.jp/ot3db index.html)。なお、公知のセルロース加水分解酵素をコードする核酸とのホモロジーを比較することにより、このリストから、ピロコッカス・ホリコシイOT3ゲノムにはα−アミラーゼ、α−マンノシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、β−D−グルコシダーゼ、β−D−マンノシダーゼ、エンドグルカナーゼ等のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームが存在することが予想されている。しかしながら、公知のセロビオヒドロラーゼをコードする核酸とホモロジーを有するオープンリーディングフレームの存在は予想されていない。
本発明者らは鋭意研究した結果、ピロコッカス・ホリコシイOT3ゲノムにセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(PH1171)が存在することを見出した。当該オープンリーディングフレームにコードされるアミノ酸配列で示されるポリペプチドは、古細菌AEPII1a由来のエンドグルカナーゼを始めとする種々のエンドグルカナーゼとホモロジーを示すにも関わらず、意外にもセロビオヒドロラーゼ活性を示すポリペプチドであることが判明した。さらに、該ポリペプチドの遺伝子工学的な製造方法を確立し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列、または該配列において、1個以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入もしくは置換の少なくとも1つを有するアミノ酸配列で示され、かつセロビオヒドロラーゼ活性を示すポリペプチド、
(2)耐熱性セロビオヒドロラーゼ活性を示す上記(1)記載のポリペプチド、
(3)上記(1)又は(2)記載のポリペプチドをコードする核酸、
(4)配列表の配列番号2記載の塩基配列で示される上記(3)記載の核酸、
(5)上記(3)記載の核酸にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、かつセロビオヒドロラーゼ活性を示すポリペプチドをコードする核酸、
(6)耐熱性セロビオヒドロラーゼ活性を示すポリペプチドをコードする上記(5)記載の核酸、
(7)上記(3)〜(6)いずれかに記載の核酸を含む組換えDNA、
(8)上記(7)記載の組み換えDNAにより形質転換された形質転換体、
(9)上記(8)記載の形質転換体を培養し、該培養物中よりセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドを採取する工程を包含する上記(1)記載のポリペプチドの製造方法、および
(10) β−1,4結合を介したD−グルコピラノースの重合体に、上記(1)記載のポリペプチドを作用させてセロビオースを遊離させる工程を包含するβ−1,4結合を介したD−グルコピラノースの重合体の分解方法、
(11)セロビオヒドロラーゼ活性を示すポリペプチドであって、セロビオースによる阻害定数Kiが10mM以上であるポリペプチド、
(12)95℃における5時間の処理によって20%以上のセロビオヒドロラーゼ活性を保持する上記(11)記載のポリペプチド、
を提供するものである。
発明の詳細な説明
1.本発明のポリペプチドについて
本発明のポリペプチドは、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列、または該アミノ酸配列において、1個以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入もしくは置換の少なくとも1つを有するアミノ酸配列で示され、かつセロビオヒドロラーゼ活性を示すことを特徴とする。
本発明におけるセロビオヒドロラーゼ活性とは、β−1,4結合で連結されたD−グルコースからなる多糖またはオリゴ糖のグルコシド結合を加水分解し、D−グルコースがβ−1,4結合した二糖であるセロビオースを遊離させるが、セロビオースのグルコシド結合は加水分解しない活性を意味する。セロビオヒドロラーゼ活性を測定する方法としては、例えば、リン酸膨潤セルロースを基質として酵素反応を行い、薄層シリカゲルクロマトグラフィーにより反応物中のセロビオースの存在を確認するなどの公知の方法が挙げられる。
なお、本発明のポリペプチドは、セロビオヒドロラーゼ活性を有していれば良く、その他のグリコシダーゼ活性、例えば、エンドグルカナーゼ活性、β−D−グルコシダーゼ活性を有していてもよい。
1つの実施態様において、本発明のポリペプチドは耐熱性のあるセロビオヒドロラーゼ活性を有することを特徴とする。
本明細書における「耐熱性」とは、バイオマスからのアルコール生産を目的とした工業プロセスにける高温条件下でセルロースを分解するのに必要な時間委ねられる場合、不可逆的に変性(不活性化)されない酵素活性を有することを意味する。本明細書における不可逆的変性とは、酵素活性の永久的且つ完全な損失を意味する。以下、該耐熱性を示すセロビオヒドロラーゼ活性を耐熱性セロビオヒドロラーゼ活性と称する。本発明を特に限定するものではないが、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチドは75℃における20分間の処理、95℃における10分間の処理、更には95℃における5時間の処理によっても80%以上のセロビオヒドロラーゼ活性を保持している。また、該ポリペプチドは90℃以上、更には100℃以上の高温条件下においてもセロビオヒドロラーゼ活性を示す。耐熱性セロビオヒドラーゼ活性を有する本発明のポリペプチドは、95℃における5時間の処理によって、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、最も好ましくは80%以上のセロビオヒドラーゼ活性を保持している。
本発明のポリペプチドの1例である配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチドは、例えば、リン酸膨潤セルロースやセロオリゴ糖からセロビオースを生成する活性を有する。該ポリペプチドが示す耐熱性セロビオヒドロラーゼ活性の至適pHは5〜6.5である。また、該ポリペプチドは65℃〜113℃の範囲で耐熱性セロビオヒドロラーゼ活性を示し、至適温度は約110℃である。該ポリペプチドは高い耐熱性を示し、基質非存在下、pH6、95℃にて5時間の加熱後に約90%の活性を保持しており、さらに24時間加熱しても約80%以上の活性が残存する。また、基質非存在下95℃で10分間加熱した場合、pH5〜7の範囲では活性は減少しない。該ポリペプチドを精製し、4−メチルウンベリフェリル−β−D−セロビオシドを基質としてセロビオヒドロラーゼ活性を測定すると、98℃、pH6.0において20分間の反応を行った場合、比活性は17.0U/mgである。
なお、該ポリペプチドはカルボキシメチルセルロース(CMC)やセロオリゴ糖にも作用することができる。該ポリペプチドのセロビオヒドロラーゼ活性は、CMC又はセロオリゴ糖を基質として生じる糖還元末端量を指標として測定することもできる。また、該ポリペプチドはp−ニトロフェニル−β−D−セロビオシド等の発色基質や4−メチルウンベリフェリル−β−D−セロビオシド等の蛍光基質にも作用するので、反応によって生じる発色物質又は蛍光物質の量を測定することによって該ポリペプチドのセロビオヒドロラーゼ活性を簡便に測定することができる。
また、該ポリペプチドが示す耐熱性セロビオヒドロラーゼ活性は、0.5〜1.0M NaCl存在下で最大の活性を示す。しかしながら、NaCl非存在下の活性は0.5M NaCl存在下の活性の約80%、2.5M NaCl存在下の活性は0.5M NaCl存在下の活性の約60%を示し、NaCl濃度による耐熱性セロビオヒドロラーゼ活性への影響は少ない。
1つの実施態様において、本発明のポリペプチドが示すセロビオヒドロラーゼ活性は、反応生成物であるセロビオース、またはグルコースによる活性阻害を受け難い。このようなポリペプチドのセロビオースによる阻害定数Kiは、好ましくは10mM以上であり、より好ましくは30mM以上であり、最も好ましくは100mM以上である。例えば、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列で示される本発明のポリペプチドのセロビオースによる阻害定数Kiは212mMである。このような高いセロビオースによる阻害定数を有するポリペプチドは本発明以前には知られていなかった。また、グルコースによる活性阻害は殆ど無い。一方、各種試薬非存在下の活性に対し、各々0.5mMのFe3+、Cu2+、Zn2+によって約90%、各々1mMのCo2+、Ca2+、Mg2+、エチレンジアミン四酢酸によって約50%の活性阻害を受ける。10mMのジチオスレイトールによっては殆ど阻害を受けない。
なお、本発明のポリペプチドは、セロビオヒドロラーゼ活性を示す限りにおいて配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列に、1個以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入もしくは置換の少なくとも1つがなされたアミノ酸配列で示されるポリペプチドを包含する。
すなわち、天然に存在するタンパク質にはそれをコードするDNAの多形や突然変異の他、生成後のタンパク質の生体内および精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の欠失、挿入、付加、置換等の変異が起こりうる。しかし、このような変異が該タンパク質の活性や構造の保持に関して重要でない部分に存在する場合には、変異を有しないタンパク質と実質的に同等の生理、生物学的活性を示すものがあることが知られている。
人為的にタンパク質のアミノ酸配列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合にはさらに多種多様の変異体を作製することが可能である。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−2)のアミノ酸配列中のあるシステイン残基をセリンに置換したポリペプチドがインターロイキン2活性を保持することが知られている[サイエンス(Science)、第224巻、1431頁(1984)]。
また、ある種のタンパク質は、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば、細胞外に分泌されるタンパク質に存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、あるいは活性型タンパク質への転換に際して除去される。このようなタンパク質は一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を発現するタンパク質である。配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列は配列表の配列番号5記載のアミノ酸配列からN末端28アミノ酸残基のシグナルペプチド領域が除かれた配列である。配列番号5記載のアミノ酸配列を持つポリペプチドをコードした配列表の配列番号6記載の塩基配列で示される核酸を含むベクターを大腸菌に導入して培養すると、発現したポリペプチドからシグナルペプチド領域が除去されて配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列を持つポリペプチドが生産される。
遺伝子工学的にタンパク質の生産を行う場合には、目的のタンパク質のアミノ末端、あるいはカルボキシル末端に該タンパク質の活性とは無関係のペプチド鎖が付加されることがある。例えば、目的のタンパク質の発現量を上げるために、使用される宿主中で高発現されているタンパク質のアミノ末端領域の一部を目的のタンパク質のアミノ末端に付加した融合タンパク質が作製されることがある。あるいは、発現されたタンパク質の精製を容易にするために、特定の物質に親和性を有するペプチドを目的のタンパク質のアミノ末端またはカルボキシル末端に付加することも行われている。これらの付加されたペプチドは目的タンパク質の活性に悪影響をおよぼさない場合には付加されたままであってもよく、また、必要であれば適当な処理、例えば、プロテアーゼによる限定分解などによって目的タンパク質から除去できるようにすることもできる。
したがって、本発明によって開示されたアミノ酸配列(配列表の配列番号1)に1個以上のアミノ酸残基の欠失、挿入、付加、置換が生じたアミノ酸配列によって示されるポリペプチドであっても、セロビオヒドロラーゼ活性を有していれば本発明の範囲内に属するものである。好ましくは、このようなポリペプチドは、耐熱性セロビオヒドロラーゼ活性を有し、高いセロビオースによる阻害定数を有する。
本発明のポリペプチドは、例えば、(1)本発明のポリペプチドを生産する微生物の培養物からの精製、(2)本発明のポリペプチドをコードする核酸を含有する形質転換体の培養物からの精製、等の方法により製造することができる。
(1)本発明のポリペプチドを生産する微生物の培養物からの精製
本発明のポリペプチドを生産する微生物としては、例えば、理化学研究所より購入可能なピロコッカス・ホリコシイOT3(JCM9974)が挙げられる。
微生物の培養は、その微生物の生育に適した条件で行えばよく、好ましくは、目的のポリペプチドの発現量が高くなるような培養条件が用いられる。かくして菌体あるいは培養液中に生産された目的のポリペプチドは、通常のタンパク質の精製に用いられる方法によって精製することができる。
上記菌株の培養にあたっては、通常、超好熱菌の培養に用いられる方法が利用でき、培地に加える栄養源は該菌株が利用しうるものであればよい。炭素源としては、例えば、デンプン等が利用でき、窒素源としては、例えば、トリプトン、ペプトン、酵母エキス等が利用できる。培地中には、マグネシウム塩、ナトリウム塩、鉄塩等の金属塩を微量元素として加えてもよい。また、例えば、培地の調製に人工海水を用いることが有利である。さらに、培地は固形の硫黄を含んでいない透明な培地が望ましく、該培地を用いれば、菌体の増殖は培養液の濁度を測定することにより容易に監視することができる。
培養は静置培養または撹拌培養で行なうことができるが、例えば、アプライド・アンド・エンバイロンメンタル・マイクロバイオロジー、第55巻、第2086〜2088頁(1992)に記載のように、透析培養法を用いてもよい。一般に培養温度は95℃前後が好ましく、通常16時間程度でポリペプチドが培養物中に著量蓄積する。培養条件は、使用する菌体、培地組成に応じポリペプチドの生産量が最大になるように設定するのが好ましい。
ポリペプチドを採取するに当たっては、まず、無細胞抽出液を調製する。無細胞抽出液は、例えば、培養液から遠心分離、濾過などによって菌体を集め、ついで菌体を破砕することにより調製できる。菌体の破砕方法としては、超音波破砕、ビーズ破砕、溶菌酵素処理、界面活性剤処理等のうちから目的酵素の抽出効果の高い方法を選べばよい。また、培養液中に該ポリペプチドが分泌されている場合には、硫安塩析法や限外濾過法等によってポリペプチドを濃縮し、これを無細胞抽出液とする。かくして得られた無細胞抽出液からポリペプチドを単離するにあたっては、通常のタンパク質の精製に用いられる方法を使用できる。例えば、硫安塩析処理、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー等の方法を組み合わせて使用できる。
(2)本発明のポリペプチドをコードする核酸を含む組換えDNAにより形質転換された形質転換体の培養物からの精製
配列表の配列番号2は本発明のポリペプチドをコードする核酸の塩基配列の1例である。配列番号1は、配列番号2に示される塩基配列より推定される本発明のポリペプチドのアミノ酸配列である。すなわち、配列表の配列番号1は本発明によって得られるポリペプチドのアミノ酸配列の1例である。
形質転換すべき宿主は、特に限定するものではなく、例えば、大腸菌、枯草菌、酵母、糸状菌等が挙げられる。
例えば、本発明のポリペプチドは、T7プロモーターの下流に配列表の配列番号6で表されるDNAを連結したプラスミドであるpECEL211を保持する大腸菌(Escherichia coli)BL21(DE3)を用いて得ることができる。配列番号5は、配列番号6に示される塩基配列より推定される本発明のポリペプチドのアミノ酸配列である。なお、pDCEL211で形質転換された大腸菌JM109は、Escherichia coli JM109/pECEL211と命名、表示され、平成10年12月11日より日本国茨城県つくば市東1丁目1−3通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号FERM P−17075として寄託され、平成11年11月15日よりFERM BP−6939としてブダペスト条約に基づく国際寄託へ移管されている。
すなわち、pECEL211を保持する大腸菌BL21(DE3)を通常の培養条件、例えば、100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(トリプトン10g/リットル、酵母エキス5g/リットル、NaCl5g/リットル、pH7.2)中、37℃で対数増殖期まで培養後、0.1mMとなるようイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドを添加し、さらに15℃で培養することにより、培養菌体中にポリペプチドを発現させることができる。
培養終了後、遠心分離によって集めた菌体を超音波で破砕し、さらに遠心分離して、上清を無細胞抽出液として用いることができる。該無細胞抽出液は酵素反応に用いることができる。さらにイオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過、疎水クロマトグラフィー、硫安沈殿等の公知の方法を用いることにより該無細胞抽出液から本発明のポリペプチドを精製することができる。部分精製品も当然酵素反応に用いることができる。なお、pECEL211を保持する大腸菌BL21(DE3)で発現される本発明のポリペプチドは高い耐熱性を有しているため、精製手段として培養菌体および/または無細胞抽出液を、例えば、95℃、10分間の熱処理を行ってもよい。
また、本発明のポリペプチドは、例えば、サブチリシンプロモーターの下流に配列表の配列番号2で表されるDNAを連結したプラスミドであるpNCEL101を保持する枯草菌DB104を用いて得ることができる。すなわち、pNCEL101を保持する枯草菌DB104を通常の培養条件、例えば、10μg/mlのカナマイシンを含むLB培地中、37℃で一晩培養することにより培養液中に本発明のポリペプチドを蓄積させることができる。培養液中の本発明のポリペプチドは大腸菌を宿主とした場合と同様、公知の方法によって精製することが可能である。
上記のように本発明のポリペプチドを、当該ポリペプチドをコードする核酸を用いて常温、例えば、37℃で発現させた場合でも、得られた発現産物はその活性、耐熱性などを保持している。すなわち、本発明のポリペプチドは、その本来の生産菌が生育する温度とは大きく離れた温度において発現された場合にも、その固有の高次構造を形成し得る。
2.本発明の核酸について
本発明の核酸は、上記のような本発明のポリペプチドをコードする核酸であり、具体的には、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列、または該配列において、1個以上のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入もしくは置換の少なくとも1つがなされたアミノ酸配列で示され、かつセロビオヒドロラーゼ活性を示す、ポリペプチドをコードする核酸(1)、配列表の配列番号2記載の塩基配列で示される核酸(2)、および上記核酸(1)または(2)にストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能であり、かつセロビオヒドロラーゼ活性を示すポリペプチドをコードする核酸(3)等である。
本明細書における核酸とは、1本鎖または2本鎖のDNAまたはRNAを意味する。
上記核酸(2)がRNAである場合は、配列表の配列番号2記載の塩基配列においてTをUで置換した塩基配列で示される。
本発明の核酸は、例えば、つぎのようにして得ることができる。
まず、配列表の配列番号2記載の塩基配列で示される核酸(2)は、本発明のポリペプチドの説明中に記載したように、ピロコッカス・ホリコシイOT3(JCM9974:理化学研究所)より単離することができる。
また、本発明により提供されるポリペプチドをコードする核酸の塩基配列を基に本発明のポリペプチドと同様のセロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする核酸を取得することも可能である。すなわち、本発明のポリペプチドをコードする核酸、またはその塩基配列の一部をハイブリダイゼーションのプローブ、あるいはPCR等の遺伝子増幅法のプライマーに用いることにより、セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNAをスクリーニングすることができる。かかる方法により、上記核酸(1)または(3)を得ることができる。
上記の方法では目的の核酸の一部のみを含む核酸断片が得られることがあるが、その際には得られた核酸断片の塩基配列を調べて、それが目的の核酸の一部であることを確かめた上、該核酸断片、あるいはその一部をプローブとしてハイブリダイゼーションを行うか、または該核酸断片の塩基配列に基づいて合成されたプライマーを用いてPCRを行うことにより、目的の核酸全体を取得することができる。
上記の「ストリンジェントな条件でハイブリダイズする」とは、例えば、以下の条件でハイブリダイズ可能なことをいう。すなわち、核酸を固定したメンブレンを0.5%SDS、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%ポリビニルピロリドン、0.1%フィコール400、0.01%変性サケ精子核酸を含む6×SSC(1×SSCは0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナトリウム、pH7.0を示す)中で、50℃にて12〜20時間、プローブとともにインキュベートする。インキュベーション終了後、0.5%SDSを含む2×SSC中、37℃での洗浄から始めて、SSC濃度は0.1倍までの範囲で、また、温度は50℃までの範囲で変化させ、固定された核酸由来のシグナルがバックグラウンドと区別できるようになるまでメンブレンを洗浄したうえ、プローブの検出を行う。また、こうして得られた新たな核酸について、そこにコードされているタンパクの有する活性を上記同様の方法によって調べることにより、得られた核酸が目的とするものであるかどうかを確認することができる。
さらに、これらの核酸を適切な発現ベクターなどに組込むことによって本発明の核酸を含む組換えDNAを作製し、次いでこの組換えDNAを含有する形質転換体を作製し、これを用いて上記のポリペプチドを工業的に生産することも可能になる。
本発明においては、本明細書に開示された塩基配列と同一の塩基配列ではなくとも、それがセロビオヒドロラーゼ活性を示すポリペプチドをコードする限り、そのような塩基配列は本発明の範囲に含まれるものであることは上記したとおりである。
すなわち、遺伝子上でアミノ酸を指定するコドン(3つの塩基の組み合わせ)はアミノ酸の種類ごとに1〜6種類ずつが存在することが知られている。したがって、あるアミノ酸配列をコードする核酸はそのアミノ酸配列にもよるが多数存在することができる。核酸は自然界において決して安定に存在しているものではなく、その塩基配列に変異が起こることはまれではない。核酸上に起こった変異がそこにコードされるアミノ酸配列には変化を与えない場合(サイレント変異と呼ばれる)もあり、この場合には同じアミノ酸配列をコードする異なる核酸が生じたといえる。したがって、ある特定のアミノ酸配列をコードする核酸が単離されても、それを含有する生物が継代されていくうちに同じアミノ酸配列をコードする多種類の核酸ができていく可能性は否定できない。さらに同じアミノ酸配列をコードする多種類の核酸を人為的に作製することは種々の遺伝子工学的手法を用いれば困難なことではない。
例えば、遺伝子工学的なタンパク質の生産において、目的のタンパク質をコードする本来の核酸上で使用されているコドンが宿主中では使用頻度の低いものであった場合には、タンパク質の発現量が低いことがある。このような場合にはコードされているアミノ酸配列に変化を与えることなく、コドンを宿主で繁用されているものに人為的に変換することにより、目的タンパク質の高発現を図ることが行われている(例えば、特公平7−102146号)。このように特定のアミノ酸配列をコードする多種類の核酸は人為的に作製可能なことは言うまでもなく、自然界においても生成されうるものである。
3.本発明のポリペプチドを用いたβ−1,4結合を介したD−グルコピラノースの重合体分解方法について
本発明のポリペプチドを用いることによりβ−1,4結合を介したD−グルコピラノースの重合体からセロビオースを遊離させることができる。なお、本発明におけるβ−1,4結合を介したD−グルコピラノースの重合体はグルコースの重合度に特に限定はなく、セロトリオースやセルロースなどが包含される。配列表の配列番号1で示される本発明のポリペプチドは耐熱性が高く、熱による基質の構造変化との相乗効果もあって、より効率よくセルロースを分解することができる。
具体的な反応条件としては、例えば、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列で示されるポリペプチドを用いる場合、50mM MES−NaOH(pH6.0)緩衝液中で基質と98℃で反応させることにより、セロビオースを遊離させることができる。ただし、セルロース、セロテトラオースなど基質の種類により反応条件が異なるのは当然のことである。本発明のポリペプチドは基質懸濁液中に遊離の状態で添加してもよいが、適当な担体に固定化して基質と反応させると反応終了後のポリペプチドの回収が容易である。
また、本発明のポリペプチドと共に耐熱性を有するエンドグルカナーゼ、エキソ−1,4−β−D−グルコシダーゼ、β−D−グルコシダーゼを使用することにより、高い効率でセルロースをD−グルコースまで分解することが可能となる。
実施例
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
また、本明細書に記載の操作のうち、プラスミドDNAの調製、制限酵素消化などの基本的な操作については1989年、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー発行、T.マニアティス(T.Maniatis)ら編集、モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリー・マニュアル第2版(Molecular Cloning:A Laboratory Manual 2nd ed.)に記載の方法によった。さらに、以下に示す大腸菌を用いたプラスミドの構築には、特に記載の無い限り大腸菌JM109あるいはHB101を宿主とし、100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(トリプトン 1%、酵母エキス 0.5%、NaCl 0.5%、pH7.0)あるいはLB培地に1.5%の寒天を加え固化させたLBプレートを用いて37℃で好気的に培養した。
実施例1
ピロコッカス・ホリコシイOT3ゲノム中に存在するオープンリーディングフレームPH1171を含む組換えDNAの作製
(1)オープンリーディングフレームPH1171を含むDNAの調製
ピロコッカス・ホリコシイOT3ゲノムDNAを鋳型としたPCRを行なうことによりオープンリーディングフレームPH1171を含む約1.6kbの増幅DNA断片を得るため、ピロコッカス・ホリコシイOT3ゲノム塩基配列をもとにして、配列表の配列番号3記載の塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド1171FNおよび配列表の配列番号4記載の塩基配列で示されるオリゴヌクレオチド1171RAを合成した。
そこで先ず、ピロコッカス・ホリコシイOT3 JCM9974(理化学研究所より購入)をJCMカタログ(理化学研究所)に記載の培地で95℃、16時間培養し、培養菌体よりゲノムDNAを精製した。
ついでオープンリーディングフレームPH1171を含むDNAを得るために、オリゴヌクレオチド1171FNおよび1171RAをプライマー対とし、上記ゲノムDNAを鋳型としてPCR反応を行った。PCR反応は、タカラEXタック(宝酒造社製)添付のプロトコールに従い、94℃で0.5分、50℃で2分、94℃で1.5分の反応を25サイクル行った。PCR反応物をアガロースゲル電気泳動に供し、約1.6kbの増幅DNA断片を抽出精製した。得られたDNAの塩基配列を解析した結果、該DNAはオープンリーディングフレームPH1171を含むDNAであった。
(2)組換えDNA pECEL101の構築
上記(1)で得られた約1.6kbの増幅DNA断片を制限酵素StuIおよびAvaI(ともに宝酒造社製)で消化し、T4 DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)により平滑末端化した後アガロースゲル電気泳動に供し、約1.5kbのDNA断片を抽出精製した。一方、pET21a[ノバジェン(Novagen)社製]を制限酵素BamHI(宝酒造社製)で消化し、アルカリホスファターゼ(宝酒造社製)により脱リン酸化処理後、T4 DNAポリメラーゼにより平滑末端化した。上記2種の平滑末端処理DNA断片をDNAリガーゼ(宝酒造社製)により連結後、大腸菌JM109を形質転換した。数個の形質転換体を選択し、各形質転換体に保持されるプラスミドDNAの精製を行った。得られたプラスミドDNAの制限酵素地図を作成し、ベクター上のT7プロモーターと同じ向きにオープンリーディングフレームPH1171が挿入されたプラスミドDNAを選択した。該プラスミドDNAをpECEL101と命名した。
(3)組換えDNA pECEL211の構築
下記方法により、上記(1)で得られた約1.6kbの増幅DNA断片とpET21d(ノバジェン社製)の組み換えDNAを調製した。
先ず、(1)で得られた約1.6kbの増幅DNA断片をAvaIで消化し、末端をT4 DNAポリメラーゼを用いて平滑化した後、更にPH1171の第1コドンがpET21dのT7プロモーター下流に作動可能に配置されるように制限酵素NcoI(宝酒造社製)で消化した。一方、pET21dはBamHIで消化し、T4 DNAポリメラーゼにより平滑末端化した。さらにNcoIで消化後、アルカリホスファターゼにより脱リン酸化処理した。
上記2種の処理DNA断片をDNAリガーゼにより連結後、大腸菌JM109を形質転換した。数個の形質転換体を選択、培養し、各形質転換体に保持されるプラスミドDNAの精製を行った。得られたプラスミドDNAの制限酵素地図を作成し、PH1171が挿入されたプラスミドDNAを選択した。該プラスミドDNAをpECEL211と命名した。なおpECEL211を保持する大腸菌JM109はEscherichai coli JM109/pECEL211と命名して工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託番号FERM BP−6939として寄託されている。
実施例2
本発明ポリペプチドの製造
(1)ポリペプチドの発現
実施例1の(3)で作製したpECEL211またはベクターコントロールのpET21dを用いて大腸菌BL21(DE3)(ノバジェン社製)を形質転換した。得られた各形質転換体をそれぞれ100μg/mlのアンピシリンを含む5mlのLB培地に接種し、37℃で好気的に一晩培養した。この培養液をそれぞれ新鮮な5mlの同じ培地に1%ずつ植菌して37℃で好気的に培養し、濁度がOD600=0.4〜0.7に達した時点で終濃度1mMとなるようにイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG;宝酒造社製)を加え、培養温度を15℃として更に一晩培養した。培養終了後、菌体を遠心分離して集め、0.5mlの100mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に懸濁し、超音波処理により破砕した。これを遠心分離して上清を回収し、無細胞抽出液とした。
エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼなどのセルロース加水分解酵素でセルロースを分解した場合、新たにグルコース残基の還元末端が生じる。そこで上記の大腸菌抽出液中に新たにグルコース残基の還元末端を生じさせるようなセルロース加水分解活性を有するポリペプチドが存在しているかどうかを確認するために、カルボキシメチルセルロース(CMC)を基質とし、単位反応時間における還元末端の増加量をパーク・アンド・ジョンソン(Park & Johnson)法により測定した。
すなわち、1%濃度になるようにCMC(シグマ社製)を100mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に溶解してCMC溶液を調製し、CMC溶液50μlと100mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)で希釈した無細胞抽出液50μlを混合後、ミネラルオイルを重層し、98℃で60分間保温後、遠心分離して水層を回収した。この反応液10μl、90μlの水、100μlの炭酸シアン化物溶液(5.3gの炭酸ナトリウムと0.65gのシアン化カリウムを1リットルの水に溶解したもの)、および100μlの0.05%フェリシアン化カリウム水溶液を混合し、沸騰湯浴中15分間反応させた。反応液と500μlの鉄ミョウバン液(1.5gの鉄ミョウバンと1gのラウリル硫酸ナトリウム(SDS)を1リットルの0.15N硫酸に溶解したもの)を混合して15分間室温で放置後、690nmの吸光度を測定した。還元末端量は、濃度既知のグルコースを用いて検量線を作成し、グルコース換算量として求めた。
なお、CMC分解活性1単位(U)は、上記反応系において1分間に1μmolのグルコースに相当する還元力を増加させる活性量とする。
このようにして求めた各無細胞抽出液のCMC分解活性量を表1に示す。すなわち、表1は、上記のようにして調製された無細胞抽出液中に検出された、98℃におけるCMC分解活性を示した表である。
表1に示すように、pECEL211で形質転換された大腸菌の無細胞抽出液に明らかなCMC分解活性が検出された。なお、pET21dで形質転換された大腸菌の無細胞抽出液にはCMC分解活性は認められなかった。したがって、ピロコッカス・ホリコシイOT3ゲノムにおけるオープンリーディングフレームPH1171より発現したポリペプチドは新たにグルコース残基の還元末端を生じさせるようなセルロース加水分解活性を有することが明らかとなった。
(2)発現ポリペプチドが有するセルロース加水分解活性の同定
検討に先立ち下記方法により発現ポリペプチド溶液を調製した。
pECEL211を保持する大腸菌BL21(DE3)を50μg/mlのアンピシリンを含む10mlのLB培地接種し、37℃で1晩培養した。これを1リットルの上記培地に植菌し、37℃で2.5時間培養後、培養容器を氷冷し、終濃度0.1mMになるようにIPTGを添加した後、20℃で1晩培養した。遠心によって菌体を集め、50mlの20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に懸濁し、超音波処理の後、遠心によって上清を得た。この遠心上清を95℃で10分間処理し、さらに遠心して上清を得た。こうして得た遠心上清を以下、発現ポリペプチド溶液として使用した。
発現したポリペプチドが有するセルロース加水分解活性の同定は下記方法により行なった。すなわち、各種基質に発現ポリペプチド溶液を作用させ、生成物を薄層クロマトグラフィーにより同定した。
まず、リン酸膨潤セルロースを基質に用いた。リン酸膨潤セルロースは下記の方法により調製した。
アビセルSF(旭化成社製)2gを50mlの氷冷した85%リン酸に徐々に加え、時々超音波処理をしながら氷上で撹拌してアビセルSFを溶解した。これを1.5リットルの氷水に投入し、セルロースゲルを遠心分離で回収した。セルロースゲルを水で6回洗浄してリン酸を除き、40mlの0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に懸濁した。これをリン酸膨潤セルロースとして以下の実験に用いた。
リン酸膨潤セルロース75μlに発現ポリペプチド溶液75μlを加え、98℃で8時間反応させた。反応液60μlに等量のアセトニトリルを加えて混合し、遠心によって得た上清を減圧下乾固した。これを10μlの水に溶解し、2μlをシリカゲル薄層クロマトグラフィーに供した。薄層プレートはシリカゲル60F254(メルク社製)、展開溶媒はエタノール:ブタノール:水=5:5:1を用い、2回の展開を行った。展開後の薄層プレートにオルシノール−硫酸試薬[オルシノール(シグマ社製)400mgを22.8mlの硫酸に溶解し、水を加えて200mlとしたもの]を噴霧し、ホットプレートで加熱してスポットを観察した。
その結果、セロビオースが生成することが明らかになった。
ついで各種オリゴ糖を基質として用いた。
セロビオース(シグマ社製)、セロトリオース、セロテトラオースまたはセロペンタオース(以上生化学工業社製)を1%(w/v)になるように0.1M MES−NaOH緩衝液(pH6.0)に溶解し、オリゴ糖溶液を調製した。発現ポリペプチド溶液を上記MES緩衝液で10倍、50倍または250倍希釈したもの25μlにオリゴ糖溶液25μlを加え、98℃で20分間反応させた。対照として希釈した発現ポリペプチド溶液の代りに上記MES緩衝液を加えたもの、オリゴ糖溶液の代りに上記MES緩衝液を加えたものを同時に反応させた。反応後、遠心分離を行いその上清1μlを上記リン酸膨潤セルロースを基質として用いた場合と同様のシリカゲル薄層クロマトグラフィーに供した。なお、基質がセロビオース、セロトリオース、セロテトラオースの場合は2回、セロペンタオースの場合は3回の展開を行った。
発現ポリペプチド溶液を加えない反応の場合、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオースの各基質のスポットが検出された。基質を加えない反応の場合、スポットは全く検出されなかった。発現ポリペプチド溶液と基質を加えて反応を行った場合、セロビオース以外の全てのオリゴ糖から未分解の基質よりRf値の大きいスポットを与える物質が生成しており、その量は加えた発現ポリペプチド溶液量に依存して増加した。
上記と同様にオリゴ糖を基質として反応を行った。ただし、発現ポリペプチド溶液の希釈倍率は10倍、反応時間は2時間とした。反応液の遠心上清を上記と同じ条件のシリカゲル薄層クロマトグラフィーにより分析した。
その結果、セロビオース以外の各基質はほぼ完全に消費され、セロトリオース、セロテトラオースからはセロビオースが生じていた。セロペンタオースからはセロトリオースとセロビオースが生じていた。いずれのオリゴ糖を基質とした場合も、主な分解産物はセロビオースであった。
上記結果より、ピロコッカス・ホリコシイOT3ゲノムにおけるオープンリーディングフレームPH1171より発現したポリペプチドはセロビオヒドロラーゼ活性を有することが明らかとなった。
実施例3
本発明のポリペプチドが有するセロビオヒドロラーゼ活性の理化学的性質
本実施例で使用した本発明のポリペプチド溶液は、実施例2−(2)で調製したものである。また、セロビオヒドロラーゼ活性は、1)CMCを基質として生成するセロビオース量を還元糖量としてパーク・アンド・ジョンソン法で測定したCMC分解活性、2)p−ニトロフェニル−β−D−セロビオシド(pNPC)を基質として生成するセロビオース量をp−ニトロフェノール量として測定したpNPC分解活性、または3)4−メチルウンベリフェリル−β−D−セロビオシド(4−MUC)を基質として生成するセロビオース量を4−メチルウンベリフェロン(4−MU)量として測定した4−MUC分解活性、として測定した。
(1)反応pH依存性
pH2.8、3.8、4.9および6.0の0.2Mクエン酸ナトリウム緩衝液、pH4.6、5.5および6.5の0.2M MES−NaOH緩衝液、pH5.6、6.6および7.7の0.2M Tris−HCl緩衝液およびpH7.7、8.7および9.8の0.2Mグリシン−NaOH緩衝液を調製した。なお、これらのpHは80℃での測定値である。
水で50倍希釈した本発明のポリペプチド溶液50μl、2% CMC水溶液25μlおよび上記緩衝液25μlを混合し、98℃で20分間反応させた。反応液の遠心上清に含まれる還元糖量をパーク・アンド・ジョンソン法で測定し、CMC分解活性を計算した。
その結果を図1に示す。図1は反応時のpHとCMC分解活性の関係を示す図であり、横軸はpH、縦軸はCMC分解活性(相対値、%)を示す。白丸(○)はクエン酸ナトリウム緩衝液、黒丸(●)はMES−NaOH緩衝液、白四角(□)はTris−HCl緩衝液、黒四角(■)はグリシン−NaOH緩衝液を示す。
その結果、本発明のポリペプチドはpH4.9〜6.5で最大の活性を示した。
(2)反応温度依存性
本発明のポリペプチド溶液を0.1M MES−NaOH緩衝液(pH6.0)で希釈したもの50μlに1% CMCの0.1M MES−NaOH緩衝液(pH6.0)溶液50μlを加え、37、65、98、108または113℃で20分間反応させた。生じた還元糖をパーク・アンド・ジョンソン法で測定し、CMC分解活性を求めた。
その結果を図2に示す。図2は反応温度と本発明のポリペプチドのCMC分解活性の関係を示す図であり、横軸は温度(℃)、縦軸はCMC分解活性(相対値、%)を示す。
その結果、本発明のポリペプチドは108℃で最大のCMC分解活性を示し、90℃で最大活性の約80%、80℃で最大活性の約60%の活性を示した。
(3)塩濃度の影響
本発明のポリペプチド溶液を水または1M、2M、3M、4M若しくは5M NaClで50倍に希釈した。希釈した本発明のポリペプチド溶液50μlに1% CMCの0.1M MES−NaOH緩衝液(pH6.0)溶液50μlを加え、98℃で20分間反応させた。生じた還元糖をパーク・アンド・ジョンソン法で測定し、CMC分解活性を求めた。
その結果を図3に示す。図3はNaCl濃度と本発明のポリペプチドのCMC分解活性の関係を示す図であり、横軸はNaCl濃度(M)、縦軸はCMC分解活性(相対値、%)を示す。
その結果、本発明のポリペプチドは0.5〜0.6M NaCl存在下で最大のCMC分解活性を示した。
(4)pH安定性
本発明のポリペプチド溶液25μlと実施例3−(1)で調製した各緩衝液25μlを混合し、95℃で10分間加熱した。この加熱処理液を水で50倍希釈し、本希釈液50μlに1% CMCの0.1M MES−NaOH緩衝液(pH6.0)溶液50μlを加え、98℃で20分間反応させた。反応液の遠心上清に含まれる還元糖量をパーク・アンド・ジョンソン法で測定し、CMC分解活性を計算した。
その結果を図4に示す。図4は95℃、10分間加熱処理時のpHと残存CMC分解活性の関係を示す図であり、横軸は熱処理時のpH、縦軸は残存CMC分解活性(U/ml)を示す。白丸(○)はクエン酸ナトリウム緩衝液、黒丸(●)はMES−NaOH緩衝液、白四角(□)はTris−HCl緩衝液、黒四角(■)はグリシン−NaOH緩衝液を示す。
その結果、本発明のポリペプチドが有するCMC分解活性はpH5〜7で最大の安定性を示した。
(5)熱安定性
CMCを0.1M MES−NaOH緩衝液(pH6.0)に溶解し、1% CMC溶液(pH6.0)とした。本発明のポリペプチド溶液50μlに上記MES緩衝液50μlを加え、95℃で0、1、5または24時間加熱処理した。この加熱処理物を遠心分離して得た上清を上記MES緩衝液で50倍、200倍または500倍希釈したもの50μlに1% CMC溶液50μlを加え、98℃で20分間反応を行った。反応液中の還元糖量をパーク・アンド・ジョンソン法により測定し、CMC分解活性を求めた。
その結果を図5に示す。図5は加熱処理時間と加熱処理後の残存活性の関係を表す図であり、横軸は加熱処理時間(時間)を、縦軸は加熱処理後の残存活性(%)を示す。
その結果、本発明のポリペプチドは95℃で24時間加熱後に約90%のCMC分解活性を有していた。
(6)合成基質に対する分解活性
本発明のポリペプチド溶液を0.1M MES−NaOH緩衝液(pH6.0)で1倍、2倍、5倍、10倍または20倍希釈し、その50μlに10mM pNPCの0.1M MES−NaOH緩衝液(pH6.0)溶液50μlを加え、98℃で20分間反応を行った。遠心分離を行い、405nmにおける上清の吸光度を測定し、遊離されたパラニトロフェノール(pNP)の量よりpNPC分解活性を求めた。
その結果を図6に示す。図6は本発明のポリペプチド溶液の希釈倍数と各希釈液のpNPC分解活性との関係を示す図であり、横軸は希釈倍数の逆数、縦軸はpNPC分解活性(mU/ml)を示す。
その結果本発明のポリペプチド溶液濃度依存的にpNPC分解活性が増加した。
(7)グルコースおよびセロビオースによる阻害
0、10、20、50、100もしくは200mMのグルコースまたは0、5、10、25もしくは50mMのセロビオース、0.4、0.8、1.2または1.6mMのpNPCおよび本発明のポリペプチド溶液を含む50mM MES−NaOH緩衝液(pH6.0)を98℃で20分間反応させ、405nmにおける吸光度を測定した。横軸にグルコースまたはセロビオースの濃度、縦軸に405nmにおける吸光度の逆数をとってプロットし、各pNPC濃度での点を結んだ直線の交点を求めた。この交点の横軸の値の符号を逆にしたものが阻害定数Kiとなる。
この結果、本発明のポリペプチドが有するpNPC分解活性はグルコースによる阻害は殆ど受けず、Kiは算出出来なかった。一方セロビオースによるKiは212mMであった。
(8)各種試薬の及ぼす影響
0、0.5、1、2または10mMのCoCl2、CuCl2、CaCl2、FeCl3、ZnCl2、MgCl2、ジチオスレイトール(DTT)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、5mMのp−ニトロフェニル−β−D−セロビオシド(pNPC;シグマ社製)および本発明のポリペプチド溶液を含む50mM MES−NaOH緩衝液(pH6.0)を98℃で20分間反応させ、405nmにおける吸光度を測定した。p−ニトロフェノール(pNP)濃度と405nmにおける吸光度の関係を示す検量線からpNPC分解活性を計算した。なお、本発明のポリペプチドが有するpNPC分解活性1単位(U)は、上記反応液において1分間に1μmolのpNPを遊離する量と定義した。
その結果を図7に示す。図7は各種試薬とpNPC分解活性の関係を示す図であり、横軸は各種試薬濃度(mM)、縦軸はpNPC分解活性(相対値、%)を示す。図7において白丸(○)はCoCl2を、黒丸(●)はCuCl2を、白四角(□)はCaCl2を、黒四角(■)はFeCl3を、白三角(△)はZnCl2を、黒三角(▲)はMgCl2を、白ひし形(◇)はDTTを、黒ひし形(◆)はEDTAを示す。
その結果、DTTによって本発明のポリペプチドのpNPC分解活性は阻害されず、0.5mMのCu2+、Fe3+およびZn2+によって約90%阻害され、1mMのCo2+、Ca2+、Mg2+およびEDTAによって約50%阻害された。
(9)本発明のポリペプチドの精製
実施例2−(2)と同様の方法で発現ポリペプチド溶液を調製した。但し熱処理の温度は75℃、時間は20分間とした。
上記熱処理後の遠心上清を、ハイトラップQカラム(ファルマシア社製)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーに供した。5mlのハイトラップQカラム2本を直列に連結し、サンプルをアプライした。流速を毎分2mlに設定し、50mM MES−NaOH緩衝液(pH6.0)から200mM NaClを含む同緩衝液までの直線濃度勾配(20分間)で溶出した。段階希釈した各画分50μlに6mM 4−MUCの100mM MES−NaOH緩衝液(pH6.0)溶液50μlを加え、98℃で20分間反応させた。励起波長355nm、蛍光波長460nmで蛍光値を測定し、遊離された4−MU量より4−MUC分解活性を計算した。
陰イオン交換カラムクロマトグラフィーの活性画分をハイトラップ・フェニルセファロース6ファストフロー(low sub)(ファルマシア社製)を用いた疎水カラムクロマトグラフィーに供した。陰イオン交換カラムクロマトグラフィーの活性画分に飽和硫安を加えて20%飽和とし、20%飽和硫安で平衡化した上記疎水カラム(1ml容)にアプライした。流速を毎分1mlに設定し、15分かけて20%飽和硫安を含む上記MES緩衝液から硫安を含まない上記MES緩衝液までの直線濃度勾配で溶出した。ほぼ0%飽和硫安で溶出された画分に4−MUC分解活性が検出された。
(10)比活性の測定
疎水カラムクロマトグラフィーの活性画分のうち2mlを限外ろ過によって脱塩し、凍結乾燥した後、気相HCl存在下、135℃で3時間加水分解した。加水分解物を100μlの水に溶解し、50μlをアミノ酸分析計(日立製作所製、L−8500)で分析したところ、分析した試料には3.61μgのタンパクが含まれていた。4−MUC分解活性にして60mUのポリペプチドをアミノ酸分析に供したことから、比活性は17.0U/mgであった。得られた精製ポリペプチドは、実施例3において決定した理化学的性質と同様の性質を示した。
(11)N末端アミノ酸配列の分析
実施例3−(9)で調製した精製ポリペプチドを常法に従ってSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。電気泳動終了後、10mM DTTを含む100mMコハク酸緩衝液(pH5.8)でゲルを洗い、1mM 4−MUCを含む100mMコハク酸緩衝液(pH5.8)中、60℃で1時間反応させた。ゲルに340nmの紫外線を照射したところ蛍光を発するバンドが観察された。
ゲルに含まれるタンパクをセミドライブロッティング法によってポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜に転写し、クーマシー・ブリリアント・ブルー(CBB)で染色した。4−MUC分解活性を示したバンドの位置にCBBで染色されるバンドが見られたのでこの部分のPVDF膜を切り取り、ペプチドシークエンサーでN末端アミノ酸配列を分析した。
その結果、N末端6残基のアミノ酸配列はGlu−Asn−Thr−Thr−Tyr−Glnであった。よって、大腸菌で発現した本発明のポリペプチドはN末端側28アミノ酸残基が除去されていることが明らかになった。
実施例4
枯草菌を用いた本発明のポリペプチドの製造
(1)枯草菌用発現ベクターの構築
WO97/21823記載のプラスミドpNAPS1を構築後、HindIII(宝酒造社製)で消化後アガロースゲル電気泳動に供し、枯草菌の複製起源、サブチリシン遺伝子のプロモーター、およびサブチリシン分泌シグナルをコードする配列などを含む約4.5KbのDNA断片を常法に従ってアガロースゲルより抽出精製した。一方、pUC119(宝酒造社製)をHindIIIで消化し、アルカリホスファターゼにより脱リン酸化処理した。これらDNA断片をDNAリガーゼにより連結後、常法に従って大腸菌の形質転換、形質転換体の培養、およびプラスミドの抽出精製を行った。得られたプラスミドの中からpUC119上のlacプロモーターとサブチリシン遺伝子のプロモーターが逆向きに該4.5KbDNA断片が挿入されたプラスミドを選択し、pUC119−BVと命名した。
つぎに、実施例1で構築したpECEL101をBamHIで消化後アガロースゲル電気泳動に供し、オープンリーディングフレームPH1171の19番目のロイシン残基から終止コドンまでをコードする約1.5KbのDNA断片を常法に従ってアガロースゲルより抽出精製した。一方、先に得たpUC119−BVをBamHIで消化後アガロースゲル電気泳動に供し、枯草菌の複製起源などを含む約4.5KbのDNA断片を常法に従ってアガロースゲルより抽出精製した。これらDNA断片をDNAリガーゼにより連結後、常法に従って枯草菌DB104の形質転換、形質転換体の培養、およびプラスミドの抽出精製を行った。
得られたプラスミドの中からベクター上のサブチリシン遺伝子プロモーターと同じ向きにオープンリーディングフレームPH1171が挿入されたプラスミドを選択し、pNCEL101と命名した。このプラスミドpNCEL101は、枯草菌中で構成的に働くサブチリシン遺伝子のプロモーターの下流に、N末端に29アミノ酸残基からなるサブチリシン遺伝子由来の分泌シグナル配列を含むベクター由来の31アミノ酸残基からなるリーダー配列がPH1171の19番目のロイシン残基のところでつながった融合ポリペプチドをコードしている。なお、このプラスミドの選択中に、ベクター上のサブチリシン遺伝子プロモーターと逆向きにオープンリーディングフレームPH1171が挿入されたプラスミドおよびベクターが自己連結したプラスミドも得られた。これらプラスミドをpNCEL001およびpNBVとそれぞれ命名し、発現チェック用のベクターコントロールとして用いた。
(2)本発明ポリペプチドの発現
上記のように得られたpNCEL101、pNCEL001、およびpNBVで形質転換された枯草菌DB104をそれぞれ10μg/mlのカナマイシンを含むLB培地に接種し、37℃で好気的に一晩培養した。得られた培養液をそのまま実施例2−(1)のCMC分解活性測定操作における無細胞抽出液に換えて用いることにより、培養液中のCMC分解活性を測定した。
すなわち、50μlの各枯草菌形質転換体培養液と50μlの100mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)により調製された1%のCMC溶液を混合後、ミネラルオイルを重層し、98℃で60分間保温後、遠心分離して上清を回収した。この反応液の還元力を実施例2−(1)と同様にパーク・アンド・ジョンソン法により測定した。その結果、pNCEL101により形質転換された枯草菌DB104の培養液の反応液は、ベクターが自己連結したプラスミドpNBVにより形質転換されたDB104の培養液の反応液(対照)と比較して明らかに高い還元力を示した。対照の値を差し引いた還元力をグルコース換算量としてCMC分解活性を計算すると1ml培養液当たり0.63ミリユニットとなった。なお、逆向きにPH1171が挿入されたプラスミドpNCEL001の場合はpNBVの場合と同等の還元力しか示さなかった。
実施例5
本発明ポリペプチドを用いた紙の分解
キムワイプ(クレシア社製)25mgを約1mm角に裁断し、480μlの50mM MES−NaOH(pH6.0)と20μlの上記緩衝液または実施例2−(1)で調製したpECEL211で形質転換された大腸菌の無細胞抽出液を加えて95℃で66時間反応させた。遠心上清50μlに100μlのアセトニトリルを加え、遠心によって不溶物を除いた後、減圧下乾固した。10μlの50%アセトニトリル水溶液に再溶解し、1μlを実施例2−(2)に記載の方法でシリカゲル薄層クロマトグラフィーに供した。
その結果、pECEL211で形質転換された大腸菌の無細胞抽出液添加試料においてのみセロビオースと同じRf値を示すスポットが観察された。
産業上の利用の可能性
本発明によって、セロビオヒドロラーゼ活性を有するポリペプチドが提供される。本発明のポリペプチドは高い耐熱性を有し、セルロースを効率よく分解することができる。また、本発明のポリペプチドと高度好熱菌由来のエンドグルカナーゼ、エキソ−1,4−β−D−グルコシダーゼ、β−D−グルコシダーゼと併用する事によりセルロースから効率よくグルコースを製造することができ、セルロース系バイオマスの利用が容易になる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1:本発明ポリペプチドが有するCMC分解活性と反応pHの関係を示す図である。
図2:本発明ポリペプチドが有するCMC分解活性と反応温度の関係を示す図である。
図3:本発明のポリペプチドが示すCMC分解活性に対する反応液中のNaCl濃度の影響を示す図である。
図4:本発明のポリペプチドを95℃で10分間加熱処理した場合の、処理pHと本発明のポリペプチドが有するCMC分解活性の関係を示す図である。
図5:本発明のポリペプチドを95℃で加熱処理した場合の、処理時間と本発明のポリペプチドが有するCMC分解活性の関係を示す図である。
図6:本発明のポリペプチドが有するpNPC分解活性と本発明のポリペプチド量との関係を示す図である。
図7:本発明のポリペプチドが有するpNPC分解活性に対する各種試薬が及ぼす影響を示す図である。
Claims (1)
- β−1,4結合を介したD−グルコピラノースの重合体に、配列表の配列番号1記載のアミノ酸配列、または該配列において1個〜数個のアミノ酸残基の欠失、付加、挿入もしくは置換の少なくとも1つを有するアミノ酸配列で示され、かつセロビオヒドロラーゼ活性を示すポリペプチドを作用させる工程を包含するセロビオースの製造方法。
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