JP4228073B2 - 高活性融合酵素 - Google Patents

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Description

本発明は、セルロースのβ-1,4-グルコシド結合を加水分解する好熱性エンドグルカナ
ーゼ、糖質を基質とする酵素、及び、それらの製造方法に関する。
セルロースは、D-グルコースがβ-1,4-結合により直鎖状に結合したホモ多糖類であり
、自然界に最も多く存在する。セルロースは、結晶状又は非結晶状で、リグニン、ヘミセルロース類、ペクチン類などと複雑に結合して植物組織を構成している。
セルラーゼは、セルロースをセロオリゴ糖、セロビオース、最終的にはグルコースにまで分解する酵素反応系を触媒する酵素群の総称である。セルラーゼは、真菌、アクチノマイセス類、粘液細菌、真の細菌を含む広範な微生物や植物により生産される。例えば糸状菌アクレオニウム・セルロティカス(Acreonium cellulolyticus)が生産するセルラーゼは、糖化力が強いことが特徴であり、サイレージ調製のための添加剤としての有用性が報告されている(特開平4-117244、特開平7-236431)。この他にも、多様な基質特異性のセルラーゼが同定されてきている。
セルラーゼの工業的に重要な用途としては、洗剤組成物又は布じん柔軟化組成物中の成分としての用途、セルロース繊維又は布じんの処理剤としての用途、新しい布じんのバイオポリッシング剤(酵素による仕上げ加工剤)としての用途、セルロース含有布じん、特にデニムのいわゆるストーンウォッシュド外観のための処理剤としての用途などが挙げられる。この他、紙パルプの処理、廃水処理、リサイクル紙の脱インクなどにも使用できる。
セルラーゼは、その作用形式により、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、β-
グルコシダーゼに大別される。
中でもエンドグルカナーゼ(エンドβ-1,4-グルカナーゼ(EC3.2.1.4))は、生理的条件下でセルロースの構成成分であるD-グルコース同士のβ-1,4-グルコシド結合を加水分
解することから、セルロースの加水分解処理に有効な酵素である。本エンドグルカナーゼは、セルロースのみならず、通常、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体、リグニン、穀物のβ-D-グルカンのような混合β-1,3-
グルカン、キシログルカン及びセルロース部分を含有する他の植物材料などのβ-1,4-結
合をエンド型で加水分解を触媒する反応を触媒するとされている。
ここで、エンドグルカナーゼを用いた植物試料又は繊維製品などの処理は高温中で行う方が加水分解効率が高い。また、エンドグルカナーゼを洗剤組成物に添加する場合は、高温で洗浄する方が洗浄効率が高い。従って、高温下でも失活しないエンドグルカナーゼが求められる。
さらに、高温下で失活しないエンドグルカナーゼであれば、高温下でセルロースを加水分解処理することができ、それにより夾雑酵素及び微生物類を失活させることができるため、目的産物を高純度で得ることができる。また、エンドグルカナーゼ自体の精製時にエンドグルカナーゼ含有試料を熱処理することができ、それにより夾雑タンパク質を失活させて、酵素サンプルのエンドグルカナーゼ純度を著しく高めることができる。
しかし、従来見出されているセルロースを分解するエンドグルカナーゼの殆どは、その至適温度が35〜60℃程度の比較的低温の酵素である。
本発明は、高温下でセルロースを分解する活性を示すエンドグルカナーゼ及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者は研究を重ね、以下の知見を得た。
(i) 好熱性古細菌パイロコッカスホリコシ(Pyrococcus horikoshii)由来のエンドグルカナーゼ(アミノ酸数431個)のカルボキシル末端(以下、「C末端」という)側から43個のアミノ酸を削除し、これに変えて好熱性古細菌パイロコッカスフリオサス(Pyrococcus f
uriosus)由来のキチナーゼのキチン結合領域の一つを結合して得られる融合エンドグル
カナーゼを、外来タンパク質として大腸菌に生産させた場合、改変前のパイロコッカスホリコシ由来のエンドグルカナーゼに較べて、発現量が20倍程度になり、分子活性が約2倍になる。
(ii) この融合エンドグルカナーゼはパイロコッカスホリコシ由来のエンドグルカナーゼが有する耐熱性をほぼ維持している。すなわち、改変前のエンドグルカナーゼの活性は97
℃で3時間の熱処理により80%以上の活性が残存するが、融合エンドグルカナーゼでも97
℃で3時間の熱処理により約80%の活性が残存する。
本発明は前記知見に基づき完成されたものであり、以下の融合エンドグルカナーゼなどを提供するものである。
項1. 耐熱性エンドグルカナーゼの全領域又は耐熱性エンドグルカナーゼ活性を示す一部の活性領域とキチナーゼのキチン結合領域とを含む融合エンドグルカナーゼ。
項2. 耐熱性エンドグルカナーゼの全アミノ酸数の1〜20%のアミノ酸をカルボキシ
ル末端側から削除して得られる活性領域とキチナーゼのキチン結合領域とを含む項1に記載の融合エンドグルカナーゼ。
項3. 耐熱性エンドグルカナーゼのカルボキシル末端側にキチナーゼのキチン結合領域が存在している項1又は2に記載の融合エンドグルカナーゼ。
項4. 耐熱性エンドグルカナーゼが、85℃で3時間の熱処理により80%以上の活性が残存するものである項1、2又は3に記載の融合エンドグルカナーゼ。
項5. 耐熱性エンドグルカナーゼが、以下の特性を有するものである項1〜4のいずれかに記載の融合エンドグルカナーゼ。
(a) 分子量が43キロダルトン
(b) 至適温度が95℃以上
(c)至適pHが5.4〜6
項6. 耐熱性エンドグルカナーゼが、パイロコッカスホリコシ由来のものである項1〜5のいずれかに記載の融合エンドグルカナーゼ。
項7. キチナーゼが、85℃で1時間の熱処理により80%以上の活性が残存するもので
ある項1〜6のいずれかに記載の融合エンドグルカナーゼ。
項8. 耐熱性エンドグルカナーゼとキチナーゼのキチン結合領域との間に、スペーサーペプチドが存在する項1〜7のいずれかに記載の融合エンドグルカナーゼ。
項9. 以下の(d)又は(e)のポリペプチド。
(d) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(e) 配列番号2において1又は2以上のアミノ酸残基が欠失、付加又は置換されたアミ
ノ酸配列からなり、かつ、耐熱性エンドグルカナーゼ活性を有するポリペプチド。
項10. 以下の(f)又は(g)のポリヌクレオチド。
(f) 配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(g) 配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズし、かつ、耐熱性エンドグルカナーゼをコードするポリヌクレオチド。
項11. 項10のポリヌクレオチドを含むベクター。
項12. 項11に記載のベクターを保持する形質転換体。
項13. 項12に記載の形質転換体を培養し、培養物から融合エンドグルカナーゼを回収する融合エンドグルカナーゼの製造方法。
項14. 糖質を基質とする酵素の全領域又は一部の領域とキチナーゼのキチン結合領域とを含む融合酵素。
本発明によれば、高温下で活性を示すエンドグルカナーゼ及びその製造方法が提供された。さらにいえば、本発明により、耐熱性エンドグルカナーゼの活性を維持したまま、その発現量及び活性が著しく向上した融合エンドグルカナーゼが得られた。これにより、セルロースの加水分解処理を極めて効率よく行うことができるようになる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)融合エンドグルカナーゼ
基本的構成
本発明の融合エンドグルカナーゼは、耐熱性エンドグルカナーゼの全領域又は耐熱性エンドグルカナーゼ活性を示す一部の活性領域とキチナーゼのキチン結合領域とを含む融合タンパク質である。
耐熱性エンドグルカナーゼにキチン結合領域を付加することにより、エンドグルカナーゼの分子活性が向上する。
キチナーゼのキチン結合領域
本発明において「キチナーゼ」は、N-アセチルグルコサミンがβ-1,4-結合した多糖で
あるキチンのβ-1,4-結合の加水分解による開裂を触媒する酵素である。
キチナーゼは、耐熱性であることを必ずしも要さない。但し、そのキチン結合領域を耐熱性エンドグルカナーゼとの融合タンパク質として発現させて高温下で作用させる場合に、そのキチン結合活性を維持できるように耐熱性酵素であることが好ましい。耐熱性は高いほど好ましいが、例えば85℃で1時間の熱処理により80%以上の活性が残存する耐熱性
キチナーゼであることが好ましい。
このような耐熱性キチナーゼとしては、それには限定されないが、例えばパイロコッカス属、アエロパイラム属、スフォロバス属、サーモプラズマ属、サーモプロテウス属、バチルス属、シネココッカス属、サーマス属等の好熱性菌に由来するものが挙げられる。
超好熱性微生物である点で、特に古細菌、さらに特にパイロコッカス属に由来するキチナーゼが好ましく、パイロコッカスフリオーサス由来のキチナーゼが最も好ましい。
本発明においてキチナーゼの活性は、コロイド状キチンを基質として測定することにより求めた値であり、具体的には以下の方法により測定した値である。
<キチナーゼ活性測定方法>
基質として1%コロイド状キチンを使用し、200mM酢酸緩衝液(pH5.6)中に、490μlの基質溶液に対して10μlの酵素を加えて85℃で1時間反応させた後、水酸化カリウムでpH9
.1に調整した1.6Mホウ酸緩衝液30μlを酵素反応液150μlに加えて混合し、正確に3分間
煮沸する。これを氷冷した後、900μlのDMAB(パラ−ジメチルアミノベンザルデヒド)試薬を加え、37℃で20分間加熱した後、585nmでの吸光度を測定することにより、還元末端
の増加を測定する。酵素活性は、還元末端の増加速度により評価する。
標準物質としてはアセチルグルコサミンを用いる。DMBA試薬は10N塩酸を12.5%含む酢酸100mlにDMABを10g加えたものであり、使用直前に酢酸で10倍に希釈して用いる。
通常、キチナーゼには1〜4個程度のキチン結合領域が存在する。これらのうちのいずれの領域を使用してもよい。また同種又は異種の複数のキチン結合領域を使用することもできる。キチナーゼのキチン結合領域は、通常50〜150個程度のアミノ酸残基からなる領域
である。融合エンドグルカナーゼは、一つのキチン結合領域についてはその全域を含んでいてもよく又は一部が欠けていてもよいが、全領域を含むことが好ましい。
例えば配列番号6は、パイロコッカスフリオーサス由来のキチナーゼのアミノ酸配列を示すが、既知のキチナーゼのキチン結合領域のアミノ酸配列との相同性検索から、概ねアミノ酸番号70〜140の領域、600〜720の領域がキチン結合領域と考えられる。融合エンド
グルカナーゼにおいては、これらのいずれか1以上の領域を用いることができる。
耐熱性エンドグルカナーゼ
本発明の融合エンドグルカナーゼの構成要素となるエンドグルカナーゼは、セルロースを構成するD-グルコース間のβ-1,4-結合の加水分解による開裂を触媒できる酵素である
。そのようなエンドグルカナーゼのEC番号は3.2.1.4である。
このエンドグルカナーゼは耐熱性酵素である。このような耐熱性エンドグルカナーゼとしては、それには限定されないが、例えばパイロコッカス属、アエロパイラム属、スフォロバス属、サーモプラズマ属、サーモプロテウス属、バチルス属、シネココッカス属、サーマス属等の好熱性菌に由来するものが挙げられる。
超好熱性微生物である点で、特に古細菌、中でもパイロコッカス属由来のエンドグルカナーゼが好ましい。最も好ましいのは、結晶性のセルロースを分解できるパイロコッカスホリコシ由来のエンドグルカナーゼである。
改良前のエンドグルカナーゼは、耐熱性が高いものほどよいが、例えば85℃、特に90℃、さらに特に97℃で3時間の熱処理により80%以上の活性が残存するエンドグルカナーゼが好ましい。このような耐熱性を有し、さらにSDS-PAGEで測定した分子量が43キロダルトン程度であり、至適温度が95℃程度であり、かつ、至適pHが5.4〜6程度であるエンドグ
ルカナーゼがより好ましい。
<エンドグルカナーゼ活性測定法>
本発明において、エンドグルカナーゼ活性は、結晶性セルロースを基質としたソモジーネルソン法(Hiromi, K., Takahashi, Y. and Ono, S. Bull. Chem. Soc. Jpn. (1963)
36: 563-569)により加水分解後に生じる還元末端を定量することにより求めた値である。
具体的には以下の方法により求めた値である。100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)を用いて基質として結晶性セルロース(アビセル;旭化成社製)の0.5重量%溶液を調整
する。この基質溶液の1mlにエンドグルカナーゼを10〜100μl添加し、85℃で加水分解反応を行い、加水分解により得られる糖鎖の還元性末端を定量することによりエンドグルカナーゼ活性の初速度を求める。酵素活性は、1分子の酵素が、何回基質分子に作用したかを示す分子活性として表す。
本発明の融合エンドグルカナーゼに含まれるのは、耐熱性エンドグルカナーゼの全領域又はその一部である。全部又は一部のいずれであってもよいが、一部を使用する場合は、耐熱性エンドグルカナーゼ活性を有するように一部を削除した領域、すなわち活性領域を使用すればよい。一部削除するのは、耐熱性エンドグルカナーゼのC末端側でもよく、ア
ミノ末端(以下、「N末端」という)側でもよい。
外来タンパク質の大量発現を行う場合、その外来タンパク質が複雑に絡み合った活性のないインクルージョンボディと呼ばれる顆粒として菌体内に蓄積し易い。ここで、好熱性エンドグルカナーゼの通常C末端付近には、膜結合に寄与すると思われる領域が存在する
が、この膜結合領域の全部又は一部を削除することにより、インクルージョンボディになり難くなり、すなわち活性を示す形態での発現量が著しく向上する。さらに、融合タンパク質とすることにより、耐熱性は殆ど低下しない。その結果、耐熱性及び高活性を備えたエンドグルカナーゼとなる。
また、エンドグルカナーゼの一部を削除する場合は、全長エンドグルカナーゼの活性の80%以上、特に90%以上の活性を有する程度に削除することが好ましい。 具体的には、耐熱性エンドグルカナーゼの活性領域は、全アミノ酸数の1〜20%、特に5〜15%程度、さらに特に7〜13%程度のアミノ酸を特にそのC末端側から削除して得られる領域であることが好ましい。削除するアミノ酸数が多すぎるとエンドグルカナーゼ活性が低下し、少なすぎると発現量向上効果が見られないが、上記範囲であればこのような問題は生じない。
例えばパイロコッカスホリコシ由来のエンドグルカナーゼは、配列番号4に示すアミノ酸431個の酵素であるが、融合エンドグルカナーゼに使用する活性領域は、この酵素のC末端から4〜86個程度、特に21〜65個程度のアミノ酸残基を削除した領域であることが好ま
しい。
また、削除することで発現量増大効果があるアミノ酸種としては、プロリン、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、アルギニンなどが挙げられる。これらのアミノ酸がC末端側に多く存在する場合、これらのアミノ酸を削除
することにより発現量が効果的に増大する。特にロイシン、イソロイシン、バリン、アルギニン、プロリンを削除することによる効果が大きい。
融合状態
キチン結合領域は、耐熱性エンドグルカナーゼのアミノ末端(以下、「N末端」という
)側に存在していてもよく、又は、C側に存在していてもよいが、C末端側に存在する方が好ましい。C末端側にキチン結合領域が存在する融合タンパク質の方が、高いエンドグル
カナーゼ活性を示し、その付加により耐熱性を損ない難く、さらに活性エンドグルカナーゼが高発現する可能性が高い。
エンドグルカナーゼ領域とキチン結合領域とは直接連結されていてもよく、又は、その間にスペーサーペプチドが存在していてもよい。スペーサーペプチドは酵素活性の低下を招く立体構造障害を回避できるため、スペーサーペプチドが存在することが好ましい。
スペーサーペプチドは、天然又は人工のいずれの配列であってもよく、エンドグルカナーゼ活性を阻害しない限りアミノ酸配列も限定されない。
スペーサーが存在する場合は、通常1〜50個程度、特に2〜20個程度のアミノ酸数からなるものであることが好ましい。スペーサーが余りに長いと融合エンドグルカナーゼの安定性が低下し、余りに短いとエンドグルカナーゼの活性及び安定性が低下するが、上記範囲であればこのような問題は生じない。
また、本発明の融合エンドグルカナーゼには、本発明の目的を達成できる範囲で、耐熱性エンドグルカナーゼとキチン結合領域との間のスペーサーペプチドの他に、人工又は天然のアミノ酸配列が含まれていてもよい。
アミノ酸配列
本発明の融合エンドグルカナーゼの1例としては、以下の(d)又は(e)のポリペプチドが挙げられる。
(d) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(e) 配列番号2において1又は2以上のアミノ酸残基が欠失、付加又は置換されたアミ
ノ酸配列からなり、かつ、エンドグルカナーゼ活性を有するポリペプチド。
(d)のポリペプチドにおいて、アミノ酸番号1〜388は、配列番号4に示すパイロコッカスホリコシ(理化学研究所においてJCM9974として登録済み)由来のエンドグルカナーゼ
のアミノ酸番号1〜388の領域である。また、アミノ酸番号 389〜392の領域は人工的な配列領域である。また、393〜500の領域は、配列番号6に示すパイロコッカスフリオーサス(理化学研究所においてJCM8422として登録済み)由来のキチナーゼのアミノ酸番号613〜720の領域である。
(e)のポリペプチドは、(d)のポリペプチドにおいて、1〜100個程度、特に1〜50個程
度のアミノ酸が欠失、付加又は置換されたものであることが好ましい。
具体的には、例えばアミノ酸の置換の場合は、タンパク質の構造保持の観点から、極性、電荷、可溶性、親水性/疎水性の点で、置換前のアミノ酸と類似した性質を有するアミノ酸に置換することができる。例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリンは非極性アミノ酸に分類され;セリン、トレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミンは極性アミノ酸に分類され;フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンは芳香族アミノ酸に分類され;アスパラギン酸、グルタミン酸は酸性アミノ酸に分類される。従って、同じ群のアミノ酸から選択して置換することができる。
また、アミノ酸の置換により側鎖が小さくなる場合は、ポリペプチドのホールディングが変化し難く、それにより活性が変化し難いため、置換を行う場合はこのような置換であることが好ましい。
(e)の変異したポリペプチドは、(d)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対してエキソヌクレアーゼを用いたヌクレオチド欠失導入、リンカー導入、位置指定突然変
異導入、変異プライマーを用いたPCR等の方法により変異を導入し、その変異体のコード
するタンパク質を回収することにより得られる。
融合エンドグルカナーゼの作製方法
本発明の融合エンドグルカナーゼは、適当なベクターに、耐熱性エンドグルカナーゼ遺伝子の3'末端側を削除した領域と、その下流にキチナーゼ遺伝子のキチン結合領域とを挿入したものを、ベクターに応じた宿主中で融合タンパク質として発現させることにより得られる。
パイロコッカスホリコシ以外の生物由来の耐熱性エンドグルカナーゼ遺伝子は、配列番号3の塩基配列との相同性を、NCBIのBlastサーチやHomoloGene( HYPERLINK http://www.
ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene) http://www.ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene)で検索することより、他の生物種から選抜することができる。また、例えば配列番号3に示すエンドグルカナーゼ遺伝子の塩基配列から適当なプライマーを設計して、他生物の染色体DNAライ
ブラリーを鋳型としたPCRにより得ることができる。
3'末端側の削除範囲は、全ヌクレオチド数の1〜20%程度とすればよいが、最適な削除
数は耐熱性エンドグルカナーゼの種類によって異なる。最適な削除範囲は例えば次の方法で決定できる。すなわち、エンドグルカナーゼ遺伝子を挿入したベクターにおいて、この遺伝子の3'末端側が欠失した種々の変異体を作製し、この変異体を含む形質転換体が生産する活性を示すホールディングのエンドグルカナーゼの発現量が最も多くなる変異体を選択すればよい。インクルージョンボディとなるエンドグルカナーゼは、形質転換体の培養物を破砕した溶液中で沈殿となるが、活性を有するホールディングをとるものは溶液中に溶けた状態で存在する。従って、形質転換体の培養物の破砕液をSDS-PAGEに供することにより、活性を有するエンドグルカナーゼの発現量を調べることができる。
またキチナーゼは、例えば配列番号5に示すパイロコッカスフリオーサス由来のキチナーゼ遺伝子のキチン結合領域である塩基番号1836〜2160の配列を用い、前記と同様にして他の生物種からも選抜することができる。
さらに、エンドグルカナーゼ活性領域を挿入したベクターのエンドグルカナーゼ活性領域の3'末端側に種々のキチン結合領域を挿入し、エンドグルカナーゼ活性を最も増大させる種類及び長さを選択すればよい。
融合エンドグルカナーゼ遺伝子
本発明の融合エンドグルカナーゼ遺伝子は、以下の(f)又は(g)のポリヌクレオチドからなるものである。
(f) 配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(g) 配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハ
イブリダイズし、かつ、耐熱性エンドグルカナーゼをコードするポリヌクレオチド。
(g)のポリヌクレオチドは、(f)のポリヌクレオチドについて、全塩基数の30%以内、特に15%以内の範囲で、ヌクレオチドの欠失、付加又は置換を行ったものであることが好ましい。
本発明のポリヌクレオチドには、特に言及しない限り、その塩基配列を有するポリヌクレオチドの他に、それに相補的な塩基配列を有するポリヌクレオチドも含まれる。また、DNA及びRNAの双方が含まれる。また1本鎖及び2本鎖の双方が含まれ、2本鎖ポリヌクレオチドにはDNA・RNAハイブリッドも含まれる。さらに、本発明の目的を達成できる範囲であれば、修飾されたDNA(例えばホスホロチオエートDNA、H-ホスホネートDNA)及び修飾
されたRNAも含まれる。
本発明において、ストリンジェントな条件としては、例えば、1×SSC(standard sali
ne citrate; 1×SSC=0.15M NaCl,0.015M sodium cirate)中65℃一夜の条件下、又はホ
ルムアミドを含む4×SSC中37℃一夜の条件下においてハイブリダイズし、2×SSC中55℃での30分間の洗浄によりそのDNAから脱離しない条件が挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドは、例えば上記説明した方法により製造できる。
ベクター
本発明のベクターは、上記(f)又は(g)のポリヌクレオチド(ここではDNA)が挿入され
た組み換えベクターである。ベクターとしては公知の細菌用、酵母用、動物細胞用等のものを広く使用できる。公知のベクターとしては、大腸菌ベクターのpBR322、pUC19、pKK23
3-2など、バチルス用ベクターとしてはpUB110、pC197、pE194、pTHT15、pBD16など、酵母用ベクターとしてはYip5、Yrp17、Yep24など、動物細胞用としてはpUC18、pUC19、M13mp1
8などが挙げられる。
形質転換体
本発明の形質転換体は、本発明の組み換えベクターを保持する形質転換体である。宿主は、ベクターに適したものを使用すればよい。目的タンパク質の生産量が多い点で、バチルス属細菌(例えばバチルスズブティリス、バチルスブレビス)、酵母、カビなどが好ましい。形質転換方法は当業者に周知である。
融合エンドグルカナーゼの製造方法
本発明の融合エンドグルカナーゼの製造方法は、上記本発明の形質転換体を培養し、培養物から融合エンドグルカナーゼを回収する方法である。
培養条件(培地、温度、時間)は特に限定されず、宿主に適した条件とすればよい。融合エンドグルカナーゼは、形質転換体の培養液から菌体を集め、菌体破砕液から回収すればよい。また、精製する場合は、ゲルろ過、イオン交換、アフィニティなどの各種クロマトグラフィーにより精製すればよい。
糖質関連酵素の融合タンパク質
本発明の融合タンパク質は、糖質を基質とする酵素とキチナーゼのキチン結合領域とを含む融合タンパク質である。キチン結合領域は糖質を基質とする酵素のC末端側に存在し
ていてもよく、又はN末端側に存在していてもよいが、酵素を高発現させる上でC末端側に存在することが好ましい。また、両者の間にはスペーサーペプチドが存在していてもよい。
糖質を基質とする酵素は、その全長を使用してもよく、一部の活性領域を使用してもよい。基質である糖質は2糖以上のオリゴ糖又は多糖であればよく、特に制限されない。
酵素の基質となる糖の、構成単糖の炭素数は特に制限されず公知の単糖からなる糖であればよい。また、糖にはカルボキシル基、硫酸基、アミノ基などの官能基が結合していてもよい。また、糖質を基質とする酵素の作用は特に制限されず、例えば加水分解酵素、還元酵素、酸化酵素、転移酵素等が挙げられる。
キチナーゼのキチン結合領域については前述した通りである。また、スペーサーペプチドについても前述した通りである。
糖質を基質とする酵素が膜結合タンパク質であり、例えばそのC末端側に膜結合領域が
存在する場合は、これを削除しそれに代えてキチン結合領域を結合すればよい。削除する
のは、通常酵素の全アミノ酸数の1〜20%程度、特に5〜15%程度とすることが好ましい。
以下、本発明を実施例を示してより詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
菌の培養
パイロコッカスホリコシJCM9974及びパイロコッカスフリオーサスJCM8422を、次の方法で培養した。
13.5gの食塩、4gのNa2SO4、0.7 gのKCl、0.2g のNaHCO3 、0.1gのKBr、30 mg のH3BO3
、10gのMgCl2・6H2O、1.5g のCaCl2 、25mgのSrCl2、1.0mlのレザスリン溶液(0.2g/L)
、1.0gの酵母エキス、5gのバクトペプトンを1リットルに溶かし、この溶液のpHを6.8に調整し加圧殺菌した。
次いで、乾熱滅菌した元素硫黄を0.2%となるように加え、この培地をアルゴンで飽和
して嫌気性とした後、JCM9974およびJCM8422をそれぞれ植菌した。培地が嫌気性となったか否かはNa2S溶液を加えて、培養液中でNa2Sによるレザスリン溶液のピンク色が着色しないことにより確認した。この培養液を95℃で2〜4日培養した。
染色体DNAの調整
JCM9974及びJCM8422の染色体DNAを以下の方法により調製した。
培養終了後5000rpm、10分間の遠心分離により菌体を集菌した。菌体を10mM Tris(pH 7.
5)-1mM EDTA 溶液で2回洗浄後InCert Agarose(FMC社製)ブロック中に封入した。この
ブロックを1%N-lauroylsarcosine-1mg/ml プロテアーゼK溶液中で処理することにより
、染色体DNAはAgaroseブロック中に分離調製された。
染色体DNAを含むライブラリークローンの作製
実施例2で得られた染色体DNAを制限酵素HindIIIにより部分分解後アガロースゲル電気
泳動により約40kb長の断片を調製した。このDNA断片と制限酵素HindIIによって完全分解
したBACベクターpBAC108L及びpFOS1とをそれぞれT4リガーゼを用いて結合させた。
前者のベクターを用いた場合には結合終了後のDNAをただちに大腸菌内へ電気孔窄法に
より導入した。後者のベクターpFOS1を用いた場合には結合終了後のDNAをGIGA Pack Gold
(ストラタジーン社製)により試験管内でλファージ粒子内に詰め込み、この粒子を大
腸菌に感染させることによりDNAを大腸菌内に導入した。
これらの方法により得られた抗生物質クロラムフェニコール耐性の大腸菌集団をBAC及
びFosmidライブラリーとした。ライブラリーからJCM9974及びJCM8422の染色体をカバーするのに適したクローンをそれぞれ選択して、クローンの整列化を行った。
エンドグルカナーゼおよびキチン結合ドメイン遺伝子の同定
実施例3で決定された各BAC或いはFosmidクローンの塩基配列の大型計算機による解析
を行い、JCM9974からエンドグルカネースをコードする遺伝子が同定され、JCM8422からキ
チナーゼ遺伝子が同定された。また、キチナーゼ遺伝子から既存のキチン結合ドメインとのホモロジー検索でキチン結合ドメインが同定された。
融合セルラーゼ−キチン結合タンパク質遺伝子およびその発現プラスミドの構築
エンドグルカナーゼ構造遺伝子領域の前後に制限酵素(NdeI 及びBamHI)サイトを構築する目的でDNAプライマー5'-GGAATTCCATATGGAAAATACAACATATCAAACACC-3'(配列番号7)
及び5'-CGGGATCCAGAACTTTTGGAACAACTATCCATC-3'(配列番号8)を合成し、PCRでその
遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。PCR反応後、制限酵素(NdeI とBamHI)で完全分解(37℃で2時間)し、その構造遺伝子を精製した。
プラスミドpET- 21a(Novagen社製)を制限酵素NdeI 及びBamHIで切断・精製した後、
上記のエンドグルカナーゼ構造遺伝子とT4リガーゼで16℃、2時間反応させ連結した
。連結したDNAの一部をE. coli-JM109のコンピテントセルに導入し形質転換体のコロ
ニーを得た。得られたコロニーから発現プラスミドをアルカリ法で精製した、プラスミドpET-EGを得た。
キチナーゼ遺伝子から推定される基質結合領域の前後にリンカー様配列及び制限酵素サイトを構築する目的でDNAプライマー5'-CGGGATCCACCACTACAACTACCCCTGTCC-3'(配列番号
9) 及び 5'-GGAATTCTCATGTCCATATGTCAATTACTTGTCG-3'(配列番号10)を合成し、PCRで
その遺伝子の制限酵素サイトを導入した。PCRを行い制限酵素のBamHI及びEcoRIで完全分解後、DNA断片を精製した。上記で調製した、pET-EGプラスミドをBamHI及びEcoRIで切断・精製した後、上記のキチナーゼ基質結合領域遺伝子と連結し、この一部をE. coli

JM109株のコンピテントセルに導入し、形質転換体のコロニーを得た。
組換え遺伝子の発現
大腸菌(E. coli Rosetta(DE3), Novagen社製)のコンピテントセルを融解して、ファ
ルコンチューブに0.1mL移した。その中に上記発現プラスミド溶液0.005mLを加え氷中に30分間放置した後42℃でヒートショックを30秒間行い、SOCmedium0.9mLを加え、37
℃で1時間振とう培養した。菌液をアンピシリン及びクロラムフェニコールを含むLB寒
天プレートに適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体を得た。
この形質転換体をアンピシリン及びクロラムフェニコール含むLB培地で600nmの吸収が0.6に達するまで培養した後、IPTG(Isopropyl-b-D-thiogalactopyranoside)を加えさらに6時間培養した。培養後遠心分離(7,000rpmで5 分間)で集菌した。
耐熱性高活性化エンドグルカネースの精製
公知の耐熱性エンドグルカネース精製方法と同様の手法で行なった。すなわち、集菌した菌体の10倍量の50mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)を加え、超音波ホモモジナイザーで菌体を破砕した後、85℃で30分間加熱後遠心分離(28000 ×gで20分間)し、その上清に2.5
%になるようにストレプトマイシン硫酸塩を加え、1時間緩やかに撹拌した。これを遠心
分離(28000 ×gで20分間)した後、上清に50%飽和になるように硫酸アンモニウムを
添加し、1時間緩やかに撹拌した。これをさらに遠心分離(28000 ×gで20分間)し、得られた沈殿を少量の50mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に溶解し、一晩、同緩衝液に対して透析した。透析後、遠心分離50mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)した上清をHiTrapQ(ファルマシア社製)カラムに吸着させ活性画分を得た。この活性画分をさらに、HiTrap Phenyl


(ファルマシア社製)に吸着させることで、SDS-PAGEにより単一バンドを与える単一な蛋白質を得た。
酵素の活性測定
(1)至適pHの検討
100mM酢酸ナトリウム緩衝液、100mMリン酸緩衝液及び100mMホウ酸を含む緩衝液
(pH4〜9)を用いて基質として結晶性セルロース(アビセル;旭化成社製)の2mM溶液
を調整した。この基質溶液の1mlに、実施例7において得られた融合エンドグルカナーゼ
を10〜100μl添加し、85℃で加水分解反応を行い、ソモジーネルソン法で加水分解された糖鎖の還元性末端を定量することによりエンドグルカナーゼ活性の初速度を測定して求めた。酵素活性は、1分子の酵素が、何回基質分子に作用したかを示す分子活性で表した。
この結果、pH5.6近傍で最大初速度が得られた。至適pHは5.6である。
(2)融合エンドグルカナーゼとエンドグルカナーゼとの活性の比較
100mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6)を用いて基質として結晶性セルロース(アビセル;旭化成社製)の0.5重量%溶液を調整した。この基質溶液の1mlに、実施例7において得られた融合エンドグルカナーゼ及び別途精製したパイロコッカスホリコシJCM9974由来
の天然型エンドグルカナーゼをそれぞれ10 〜100μl添加し、85℃で加水分解反応を行い、ソモジーネルソン法で加水分解された糖鎖の還元性末端を定量することによりエンドグルカナーゼ活性の初速度を測定することにより酵素活性を求めた。
この結果、分子活性は、天然型エンドグルカナーゼでは、0.184(s-1)であり、融合エンドグルカナーゼでは0.334(s-1)であった。融合タンパク質とすることにより、分子活性は約2倍に向上した。
(3)耐熱性の検討
濃度0.1mg/mLの融合エンドグルカナーゼ(実施例7で得られた酵素)の100mM酢
酸緩衝液(pH5.6)溶液を97℃で3時間加熱した後、温度を85℃に低下させ、(2)と同様の方法で残存活性を調べた。残存活性は約80%であった。
一方、パイロコッカスホリコシJCM9974由来の天然型エンドグルカナーゼでは、97℃で
3時間の熱処理により約80%の活性が残存した。
このことから、耐熱性エンドグルカナーゼのC末端側を削除し、これに代えてキチン結
合領域を結合させても耐熱性は低下しないことが分かる。
酵素の発現量の比較
配列番号4に示す天然型エンドグルカナーゼ、天然型エンドグルカナーゼのC末端部分
を削除した活性領域(配列番号4のアミノ酸番号1〜388の配列からなる)、配列番号2
に示す融合エンドグルカナーゼを、それぞれ公知の手法で発現生産し精製した。
すなわち、配列番号3の塩基配列からなる天然型エンドグルカナーゼ遺伝子、配列番号3の塩基番号1〜1164の天然型エンドグルカナーゼ活性領域遺伝子、配列番号1に示す融合エンドグルカナーゼ遺伝子を、実施例5と同様の手法でプラスミドpET-21aに挿入し、
得られた組み換えベクターで、実施例6と同様にしてE.coli-JM109を形質転換し、形質転換体を培養した。さらに、実施例7と同様にして、菌体破砕液の上清から各酵素を精製し
た。
前述したように、インクルージョンボディは菌体破砕液を遠心することにより沈殿となって除去されるが、活性を示す酵素は遠心上清に溶解した状態で残る。従って、菌体破砕液の上清の各酵素量を測定することにより、活性体の発現量を評価することができる。
この結果、培養した大腸菌培地の容量当たりの酵素重量は、パイロコッカスホリコシJC
M9974由来の天然型エンドグルカナーゼでは5.2mg/ml、天然型エンドグルカナーゼのC末端部分を削除した活性領域酵素では37.0mg/ml、融合エンドグルカナーゼでは28.0mg/mlであった。
このことから、天然型エンドグルカナーゼのC末端側から所定領域を削除することによ
り、活性を示す酵素の発現量が著しく向上したことが分かる。
本発明の融合エンドグルカナーゼは、高いセルロース分解活性を有することから、洗剤組成物又は布じん柔軟化組成物中の成分、セルロース繊維又は布じんの処理剤、新しい布じんのバイオポリッシング剤、デニムなどのストーンウオッシュド外観のための処理剤、紙パルプの処理剤、廃水処理剤、リサイクル紙の脱インク剤などとして好適に使用できる。さらに本発明の融合エンドグルカネースは耐熱性を有することから、これらのセルロース分解処理を高温下で効率よく行うことができる。

Claims (5)

  1. 列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  2. 列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド。
  3. 請求項のポリヌクレオチドを含むベクター。
  4. 請求項に記載のベクターを保持する形質転換体。
  5. 請求項に記載の形質転換体を培養し、培養物から融合エンドグルカナーゼを回収する融合エンドグルカナーゼの製造方法。
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