JP2015136324A - 糖化酵素組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】リグノセルロース系バイオマスに対する糖化効率の高い糖化酵素組成物、及び当該組成物を使用したリグノセルロース系バイオマスの糖化方法の提供。
【解決手段】 リグノセルロース系バイオマスを基質とし、β−グルコシダーゼと、セルロース結合ドメインを含有するセロビオハイドラーゼと、キシナラーゼ又はキシロシダーゼと、アラビノフラノシダーゼとを含有し、前記β−グルコシダーゼが、アクレモニウム・セルロリティカス由来の新規β−グルコシターゼ酵素4種のうちのいずれかであることを特徴とする、糖化酵素組成物;さらに、セルロース結合ドメインを非含有であるエンドグルカナーゼを含有する、前記記載の糖化酵素組成物;リグノセルロース系バイオマスを、前記記載の糖化酵素組成物を用いて糖化処理することを特徴とする、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、リグノセルロース系バイオマスを糖化処理のための糖化酵素組成物に関する。より詳細には、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)由来の新規β−グルコシターゼ酵素を含む、リグノセルロース系バイオマスに対する糖化効率の高い糖化酵素組成物に関する。
地球温暖化や大気汚染などの環境上の問題に加えて、原油価格の大幅上昇や近い将来の原油枯渇予想(ピークオイル)など輸送用エネルギー供給に関わる懸念から、近年、石油代替エネルギー開発は非常に重要な課題である。植物バイオマスやリグノセルロース等のセルロース系バイオマスは、地球上に最も豊富にある再生可能エネルギー源であり、石油代替資源として期待されている。植物バイオマスの主要構成要素は、セルロース、ヘミセルロース等の多糖類とリグニンである。例えば、多糖類は、セルラーゼ酵素と総称されるグルコシド加水分解酵素によってグルコースやキシロースなどの単糖に加水分解された後、バイオ燃料や化成品原料として利用される。
複雑な構造を持つリグノセルロースは難分解性であり、単一の酵素では分解、糖化が難しい。リグノセルロースの全分解には、一般的に、グルコシド加水分解酵素のエンドグルカナーゼ(セルラーゼ又はエンド−1,4−β−D−グルカナーゼ、EC 3.2.1.4)、エキソ型のセロビオハイドロラーゼ(1,4−β−セロビオシダーゼ又はセロビオハイドロラーゼ、EC 3.2.1.91)、β−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)の3種の酵素が必要とされる。リグノセルロースの加水分解には、その他にも、ヘミセルラーゼであるキシラナーゼ(エンド−1,4−β−キシラナーゼ、EC 3.2.1.8)や、他の植物細胞壁分解酵素も含めた複数酵素の適切な配合が必要であると考えられている。つまり、セルロース系バイオマスの酵素糖化処理を効率よく行うためには、これらの複数の糖化酵素を含む酵素組成物が必要である。
一方で、アクレモニウム・セルロリティカスは、糖化力の強いセルラーゼを生産する糸状菌であり、現在までに、2種類のセロビオハイドロラーゼ遺伝子、3種のβ−グルコシターゼ遺伝子、及び7種のエンドグルカナーゼ遺伝子が単離されている(例えば、特許文献1参照。)。エンドグルカナーゼは、セルロース、ヘミセルロース等のリグノセルロースをランダムに切断して分解し、単糖を生成するプロセスに関わるグルコシド加水分解酵素の一つである。
アクレモニウム・セルロリティカスからはα−L−アラビノフラノシダーゼ遺伝子も単離されている(例えば、特許文献2参照。)。α−L−アラビノフラノシダーゼは、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、アラビナン等の多糖に含まれるα−1,5、1,3又は1,2−L−アラビノシド結合に作用し、L−アラビノフラノースを遊離させる反応を触媒する。アラビノフラノシダーゼは、その他のヘミセルラーゼとブレンドされた酵素組成物として、バイオマスの加水分解に用いられている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2010−148427号公報 特許第4683531号公報 特表2011−515089号公報
複数の糖化酵素を含む従来の酵素組成物を用いたアルカリ処理バイオマス糖化反応では、反応終了後の糖化液中に単糖化されずにオリゴ糖が残存してしまい、糖化効率が充分ではない。糖化効率を向上させるためには、バイオマス中のヘミセルロース構造の加水分解に適した糖化酵素を組み合わせる必要がある。糖化液中に残存するオリゴ糖はヘミセルロース分解物ではないかと予想されるものの、その構成糖は明確ではなかった。さらに、ヘミセルロースの組成と構造は、セルロース等の他の多糖類よりも複雑であり、また、草本類バイオマスの種類ごとにその含有量や組成が様々に異なるという問題がある。
本発明は、リグノセルロース系バイオマスに対する糖化効率の高い糖化酵素組成物、及び当該組成物を使用したリグノセルロース系バイオマスの糖化方法を提供することを目的とする。
一般的に、コーンストーバーや稲藁等の草本系バイオマスには、キシラン主鎖に4−O−メチルグルクロン酸やアラビノースが側鎖として結合しているヘミセルロース構造が存在していることが知られており、このヘミセルロース構造を単糖化するための酵素の一つとして、アラビノフラノシダーゼが有効であることが知られている。しかしながら、アラビノフラノシダーゼは一般的にGH3、GH43、GH51、GH54、及びGH62に分類されており、いずれのアラビノフラノシダーゼが上記バイオマスのヘミセルロース構造の単糖化に有効かについては不明であった。
本発明者らは、活性の高い新規なセルラーゼ酵素を開発すべく鋭意研究した結果、アクレモニウム・セルロリティカスから新規なセルラーゼ遺伝子を4種単離し同定した。さらに、これらのβ−グルコシターゼ酵素と、アラビノフラノシダーゼを含む他の糖化酵素を組み合わせて用いることにより、リグノセルロース系バイオマスを従来になく効率よく単糖にまで糖化し得ることを見出し、本発明を完成させた。
[1]本発明の第一の態様は、リグノセルロース系バイオマスを基質とし、
β−グルコシダーゼと、セルロース結合ドメインを含有するセロビオハイドラーゼと、キシナラーゼ又はキシロシダーゼと、アラビノフラノシダーゼとを含有し、
前記β−グルコシダーゼが、
(1A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(1B)配列番号1で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(1C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と92%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(2A)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(2B)配列番号4で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(2C)配列番号4で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(3A)配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(3B)配列番号7で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(3C)配列番号7で表されるアミノ酸配列と92%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(4A)配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(4B)配列番号10で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、又は
(4C)配列番号10で表されるアミノ酸配列と91%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
からなるβ−グルコシダーゼ触媒ドメインを有することを特徴とする、糖化酵素組成物である。
[2] 前記[1]の糖化酵素組成物においては、前記セロビオハイドラーゼが配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記アラビノフラノシダーゼがGH51又はGH54であることが好ましい。
[3] 前記[1]又は[2]の糖化酵素組成物においては、前記βーグルコシダーゼと前記セロビオハイドラーゼの含有量比(質量比)が、0.02〜2.5:1の範囲内であることが好ましい。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれかの糖化酵素組成物においては、さらに、セルロース結合ドメインを非含有であるエンドグルカナーゼを含有することが好ましい。
[5] 前記[4]の糖化酵素組成物においては、前記エンドグルカナーゼが配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであることが好ましい。
[6] 前記[4]又は[5]の糖化酵素組成物においては、組成物全体に対する、前記β−グルコシダーゼ、前記エンドグルカナーゼ、及び前記セロビオハイドラーゼの合計含有量が、30〜80質量%であることが好ましい。
[7] 前記[4]〜[6]のいずれかの糖化酵素組成物においては、前記β−グルコシダーゼ、前記エンドグルカナーゼ、及び前記セロビオハイドラーゼの含有量比(質量比)が0.02〜2.5:0.02〜2.5:1の範囲内であることが好ましい。
[8] 前記[1]〜[7]のいずれかの糖化酵素組成物においては、前記リグノセルロース系バイオマスが、稲わら、又はコーンストーバーであることが好ましい。
[9] 本発明の第二の態様に係る基質・糖化酵素混合物は、前記[1]〜[8]のいずれかの糖化酵素組成物、及びリグノセルロース系バイオマスを含有することを特徴とする。
[10] 本発明の第三の態様に係るリグノセルロース系バイオマスの糖化方法は、リグノセルロース系バイオマスを、前記[1]〜[8]のいずれかの糖化酵素組成物を用いて糖化処理することを特徴とする。
本発明に係る糖化酵素組成物は、アクレモニウム・セルロリティカス由来の新規β−グルコシターゼ酵素を含有するため、非常に効率よくリグノセルロース系バイオマスを糖化処理することできる。特に当該糖化酵素組成物は、アラビノフラノシダーゼを含むため、糖化処理し難いリグノセルロース系バイオマスの糖化処理に対して用いた場合でも、従来よりも糖化処理後に残存する二糖類以上の多糖類の量をより少量にすることができる。
実施例1において、酵素サンプル(BGL2)のSDS−PAGE解析結果を示した図である。 実施例1において、酵素サンプル(BGL3)のSDS−PAGE解析結果を示した図である。 実施例1において、酵素サンプル(BGL5)のSDS−PAGE解析結果を示した図である。 実施例1において、酵素サンプル(BGL6)のSDS−PAGE解析結果を示した図である。 実施例1において、比較酵素調製物1を用いて得られた糖化処理物のHPLCにおける、溶離時間7〜10.5分のクロマトグラムを示した図である。 実施例1において、比較酵素調製物1を用いて得られた糖化処理物の溶離時間7〜10.5分の各画分のグルコース、キシロース、及びアラビノースの濃度(質量/容量%)の測定結果を示した図である。 実施例1において、比較酵素調製物1により得られた糖化物、酵素調製物(Akabf2)により得られた糖化物、及び酵素調製物(Aoabf2)により得られた糖化物における、HPLCの溶離時間7〜10.5分のクロマトグラムを示した図である。 実施例1において、コーンストーバーを基質とした場合における、酵素サンプル(Aoabf2)の含有量が異なる各酵素調製物の相対糖化効率を示した図である。 実施例1において、BGL2を含有した酵素調製物(Abfなし、Akabfあり、Aoabfあり)を用いた場合の溶離時間7〜10.5分のクロマトグラムを示した図である。 実施例1において、BGL3を含有した酵素調製物(Abfなし、Akabfあり、Aoabfあり)を用いた場合の溶離時間7〜10.5分のクロマトグラムを示した図である。 実施例1において、BGL4を含有した酵素調製物(Abfなし、Akabfあり、Aoabfあり)を用いた場合の溶離時間7〜10.5分のクロマトグラムを示した図である。 実施例1において、BGL6を含有した酵素調製物(Abfなし、Akabfあり、Aoabfあり)を用いた場合の溶離時間7〜10.5分のクロマトグラムを示した図である。
[β−グルコシターゼ]
本発明において用いられるβ−グルコシターゼは、アクレモニウム・セルロリティカス由来の新規な酵素である。本発明者らは、アクレモニウム・セルロリティカスから回収したmRNAを鋳型として逆転写反応により合成されたcDNA又はゲノムDNAから、新規なβ−グルコシターゼをコードする遺伝子を4種単離・同定した。以降において、この4種のβ−グルコシターゼ遺伝子を、それぞれ、BGL2遺伝子、BGL3遺伝子、BGL5遺伝子、及びBGL6遺伝子という。
BGL2遺伝子がコードするβ−グルコシターゼ(BGL2)のアミノ酸配列を配列番号1に、BGL2をコードする塩基配列(BGL2遺伝子のコード領域の塩基配列)を配列番号2に、それぞれ示す。
BGL3遺伝子がコードするβ−グルコシターゼ(BGL3)のアミノ酸配列を配列番号4に、BGL3をコードする塩基配列(BGL3遺伝子のコード領域の塩基配列)を配列番号5に、それぞれ示す。
BGL5遺伝子がコードするβ−グルコシターゼ(BGL5)のアミノ酸配列を配列番号7に、BGL5をコードする塩基配列(BGL5遺伝子のコード領域の塩基配列)を配列番号8に、それぞれ示す。
BGL6遺伝子がコードするβ−グルコシターゼ(BGL6)のアミノ酸配列を配列番号10に、BGL5をコードする塩基配列(BGL6遺伝子のコード領域の塩基配列)を配列番号11に、それぞれ示す。
一般的に何らかの生理活性を有するタンパク質は、その生理活性を損なうことなく、1個又は複数個のアミノ酸を欠失、置換又は付加させることができる。つまり、各々のBGLにおいても、β−グルコシターゼ活性を失わせることなく、1個又は複数個のアミノ酸を欠失、置換又は付加させることができる。
そこで、本発明において用いられるβ−グルコシターゼとしては、下記の(1A)〜(1C)、(2A)〜(2C)、(3A)〜(3C)、(4A)〜(4C)のいずれかのポリペプチドからなるβ−グルコシダーゼ触媒ドメインを有する、β−グルコシダーゼである。
(1A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(BGL2)、
(1B)配列番号1で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(1C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と92%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(2A)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(BGL3)、
(2B)配列番号4で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(2C)配列番号4で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(3A)配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(BGL5)、
(3B)配列番号7で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(3C)配列番号7で表されるアミノ酸配列と92%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
(4A)配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(BGL6)、
(4B)配列番号10で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、又は
(4C)配列番号10で表されるアミノ酸配列と91%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド。
前記(1B)、(2B)、(3B)、又は(4B)のポリペプチドにおいて、それぞれ配列番号1、4、7、又は10で表されるアミノ酸配列に対して欠失、置換若しくは付加されるアミノ酸の数は、1〜20個が好ましく、1〜10個がより好ましく、1〜5個がさらに好ましい。各アミノ酸配列において、欠失、置換若しくは付加されるアミノ酸の位置は、欠失等されたアミノ酸配列からなるポリペプチドが、β−グルコシターゼ活性を有する限り、特に限定されるものではない。
前記(1C)のポリペプチドにおいて、配列番号1で表されるアミノ酸配列との配列同一性は、92%以上であれば特に限定されないが、95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。
前記(2C)のポリペプチドにおいて、配列番号4で表されるアミノ酸配列との配列同一性は、90%以上であれば特に限定されないが、93%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、98%以上であることがさらに好ましい。
前記(3C)のポリペプチドにおいて、配列番号7で表されるアミノ酸配列との配列同一性は、92%以上であれば特に限定されないが、95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましい。
前記(4C)のポリペプチドにおいて、配列番号10で表されるアミノ酸配列との配列同一性は、91%以上であれば特に限定されないが、93%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、98%以上であることがさらに好ましい。
なお、アミノ酸配列同士の配列同一性(相同性)は、2つのアミノ酸配列を、対応するアミノ酸が最も多く一致するように、挿入及び欠失に当たる部分にギャップを入れながら並置し、得られたアラインメント中のギャップを除くアミノ酸配列全体に対する一致したアミノ酸の割合として求められる。アミノ酸配列同士の配列同一性は、該技術分野で公知の各種相同性検索ソフトウェアを用いて求めることができる。本発明におけるアミノ酸配列の配列同一性の値は、公知の相同性検索ソフトウェアGENETYX ver11.0のMaximum matching機能により得られたアライメントを元にした計算によって得られる。
前記(1B)及び(1C)のポリペプチドとしては、人工的に設計されたものであってもよく、BGL2のホモログ又はその部分タンパク質であってもよい。
前記(2B)及び(2C)のポリペプチドとしては、人工的に設計されたものであってもよく、BGL3のホモログ又はその部分タンパク質であってもよい。
前記(3B)及び(3C)のポリペプチドとしては、人工的に設計されたものであってもよく、BGL5のホモログ又はその部分タンパク質であってもよい。
前記(4B)及び(4C)のポリペプチドとしては、人工的に設計されたものであってもよく、BGL6のホモログ又はその部分タンパク質であってもよい。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼは、前記(1A)〜(4C)のポリペプチドのいずれかからなるβ−グルコシダーゼ触媒ドメインのみからなる酵素であってもよく、その他の領域を含んでいてもよい。その他の領域としては、公知のβ−グルコシダーゼが有する、β−グルコシダーゼ触媒ドメイン以外の領域が挙げられる。例えば、本発明において用いられるβ−グルコシダーゼには、公知のβ−グルコシダーゼに対し、β−グルコシダーゼ触媒ドメインを前記(1A)〜(4C)のポリペプチドに置換することによって得られる酵素も含まれる。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼは、例えば、N末端又はC末端に、細胞内の特定の領域に移行させて局在させ得るシグナルペプチドや、細胞外へ分泌するシグナルペプチドを有していてもよい。このようなシグナルペプチドとして、例えば、小胞体保留シグナルペプチド、核移行シグナルペプチド、分泌型シグナルペプチド等がある。N末端又はC末端にシグナルペプチドを付加することにより、形質転換体中で発現させたβ−グルコシダーゼを、細胞外へ分泌させたり、細胞中の小胞体等に局在させることができる。
小胞体保留シグナルペプチドは、ポリペプチドを小胞体に保留させ得るペプチドであれば、特に限定されるものではなく、公知の小胞体保留シグナルペプチドを適宜用いることができる。小胞体保留シグナルペプチドとして、例えば、HDELのアミノ酸配列からなるシグナルペプチド等がある。
また、本発明において用いられるβ−グルコシダーゼは、発現系を用いて生産した場合に簡便に精製可能とするため、例えばN末端やC末端に、各種タグが付加されていてもよい。当該タグとしては、例えば、Hisタグ、HA(hemagglutinin)タグ、Mycタグ、及びFlagタグ等の組換えタンパク質の発現・精製において汎用されているタグを用いることができる。
さらに、本発明において用いられるβ−グルコシダーゼは、前記(1A)〜(4C)のポリペプチドに由来するβ−グルコシダーゼ活性を損なわない限り、その他の機能ドメインを有していてもよい。当該他の機能ドメインとしては、例えば、セルロース結合モジュールが挙げられる。当該セルロース結合モジュールとしては、例えば、既知のタンパク質が有するセルロース結合モジュール又はそれを適宜改変したものが挙げられる。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼがβ−グルコシダーゼ触媒ドメイン以外の機能ドメインを有する場合、当該他の機能ドメインは、β−グルコシダーゼ触媒ドメインの上流(N末端側)にあってもよく、下流(C末端側)にあってもよい。また、当該他の機能ドメインとβ−グルコシダーゼ触媒ドメインは、直接結合していてもよく、適当な長さのリンカー領域を介して結合していてもよい。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼは、β−グルコシド結合を含むグルカンを基質とする。当該β−グルコシダーゼの基質としては、例えば、結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セロビオース等のβ−1,4結合から成るグルカン、β−1,3結合とβ−1,4結合から成るグルカン、ゲンチオビオース等のβ−1,6結合から成るグルカン等が挙げられる。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼは、20〜60℃の範囲内においてβ−グルコシダーゼ活性を示す。当該β−グルコシダーゼとしては、β−グルコシダーゼ活性を、25〜55℃の範囲内において示すものが好ましく、β−グルコシダーゼ活性の至適温度が25〜55℃の範囲内にあるものがよりさらに好ましい。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼの至適pHは、反応温度に依存して変化するものの、pH4〜6の範囲内にある。当該β−グルコシダーゼとしては、少なくともpH4.5〜5.5の範囲内においてβ−グルコシダーゼ活性を示すものが好ましい。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼは、β−グルコシダーゼ活性以外のセルロース加水分解活性を有していてもよい。その他のセルロース加水分解活性としては、セロビオハイドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、キシラナーゼ活性等が挙げられる。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼは、アミノ酸配列に基づいて化学的に合成してもよく、タンパク質発現系によって生産してもよい。タンパク質発現系におけるβ−グルコシダーゼの生産は、各β−グルコシダーゼをコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いて、常法により行うことができる。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼとして、タンパク質発現系により合成されたものを用いる場合、当該タンパク質発現系としては、大腸菌等の原核細胞の発現系であってもよく、酵母、糸状菌、昆虫培養細胞、哺乳培養細胞、植物細胞等の真核細胞の発現系であってもよく、無細胞発現系であってもよい。本発明において用いられるβ−グルコシダーゼとしては、糸状菌や酵母等の真核微生物発現系により生産したものが好ましい。BGL2等は、糸状菌アクレモニウム・セルロリティカスが元々有する酵素であるため、麹菌をはじめとする糸状菌等の真核微生物の発現系で発現させることによって、より天然型のβ−グルコシダーゼに近いβ−グルコシダーゼを合成することができる。
その他、前記(1B)及び(1C)のポリペプチドは、それぞれ、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドに基づいて、アミノ酸変異を導入する遺伝子組換え技術を用いて人工的に合成することもできる。
前記(2B)及び(2C)のポリペプチドは、それぞれ、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドに基づいて、アミノ酸変異を導入する遺伝子組換え技術を用いて人工的に合成することもできる。
前記(3B)及び(3C)のポリペプチドは、それぞれ、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドに基づいて、アミノ酸変異を導入する遺伝子組換え技術を用いて人工的に合成することもできる。
前記(4B)及び(4C)のポリペプチドは、それぞれ、配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドに基づいて、アミノ酸変異を導入する遺伝子組換え技術を用いて人工的に合成することもできる。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼを、当該β−グルコシダーゼをコードする発現ベクターを導入した形質転換体内で生産した場合、形質転換体からβ−グルコシダーゼを抽出・精製する方法は、β−グルコシダーゼの活性を損なわない方法であれば、特に限定されるものではなく、細胞や生体組織からポリペプチドを抽出する場合に通常用いられている方法によって抽出することができる。当該方法として、例えば、形質転換体を適当な抽出バッファーに浸し、β−グルコシダーゼを抽出した後、抽出液と固形残渣に分離する方法が挙げられる。当該抽出バッファーとしては、界面活性剤等の可溶化剤を含有するものが好ましい。形質転換体が植物である場合には、抽出バッファーに浸す前に、予め当該形質転換体を細断又は粉砕しておいてもよい。また、抽出液と固形残渣を分離する方法としては、例えば、濾過方法、圧縮濾過方法、遠心分離処理方法等の公知の固液分離処理を用いることができ、抽出バッファーに浸した状態の形質転換体を搾ってもよい。抽出液中のβ−グルコシダーゼは、塩析法、限外濾過法、クロマトグラフィー法等の公知の精製方法を用いて精製することができる。
本発明において用いられるβ−グルコシダーゼを、形質転換体内で分泌型シグナルペプチドを有する状態で発現させた場合には、当該形質転換体を培養した後、得られた培養物から形質転換体を除いた培養液上清を回収することにより、簡便にβ−グルコシダーゼを含む溶液を得ることができる。また、本発明において用いられるβ−グルコシダーゼが、Hisタグ等のタグを有している場合、当該タグを利用したアフィニティクロマトグラフィ法により、抽出液や培養上清中のβ−グルコシダーゼを簡便に精製することができる。
[エンドグルカナーゼ]
本発明において用いられるエンドグルカナーゼは、セルロース結合ドメインを有しておらず、かつエンドグルカナーゼ触媒ドメインを有するポリペプチドである。本発明においては、セルロース結合ドメインを有していない公知のエンドグルカナーゼの中から適宜選択して用いることができる。また、セルロース結合ドメインを有している公知のエンドグルカナーゼのうち、エンドグルカナーゼ触媒ドメインをセルロース結合ドメインと切り離した部分タンパク質も、本発明においてエンドグルカナーゼとして用いることができる。本発明において用いられるエンドグルカナーゼとしては、具体的には、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。
本発明において用いられるエンドグルカナーゼとしては、エンドグルカナーゼ活性を、20〜60℃の範囲内において示すものが好ましく、25〜55℃の範囲内において示すものがより好ましく、エンドグルカナーゼ活性の至適温度が25〜55℃の範囲内にあるものがさらに好ましい。また、本発明において用いられるエンドグルカナーゼとしては、エンドグルカナーゼ活性をpH4〜6の範囲内において示すものがより好ましく、少なくともpH4.5〜5.5の範囲内においてエンドグルカナーゼ活性を示すものがより好ましい。当該エンドグルカナーゼが酵素活性を示す温度範囲やpH範囲が、前記β−グルコシダーゼとエンドグルカナーゼとで共通する場合には、本発明に係る酵素組成物を、この共通する温度条件・pH条件で基質と反応させることにより、一段階の反応で糖化処理を効率よく行うことができる。
本発明において用いられるエンドグルカナーゼとしては、耐熱性エンドグルカナーゼであってもよい。この場合には、本発明に係る酵素組成物を、まず、前記β−グルコシダーゼが酵素活性を示す温度条件で基質と反応させた後、耐熱性エンドグルカナーゼが酵素活性を示す高温条件で反応させる、いわゆる二段階の反応で糖化処理を効率行うことができる。
[セロビオハイドラーゼ]
本発明において用いられるセロビオハイドラーゼは、セルロース結合ドメインを有しており、かつセロビオハイドラーゼ触媒ドメインを有するポリペプチドである。本発明においては、セルロース結合ドメインを有している公知のセロビオハイドラーゼの中から適宜選択して用いることができる。また、セルロース結合ドメインを有しているない公知のセロビオハイドラーゼに、セルロース結合ドメインを付加した融合タンパク質も、本発明においてセロビオハイドラーゼとして用いることができる。本発明において用いられるセロビオハイドラーゼとしては、具体的には、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが挙げられる。
本発明において用いられるセロビオハイドラーゼにおいて、セルロース結合ドメインは、セロビオハイドロラーゼ触媒領域の上流(N末端側)にあってもよく、下流(C末端側)にあってもよい。また、セルロース結合ドメインとセロビオハイドロラーゼ触媒領域は、直接結合していてもよく、適当な長さのリンカー領域を介して結合していてもよい。本発明において用いられるセロビオハイドロラーゼとしては、セロビオハイドロラーゼ触媒領域の上流又は下流に、リンカー領域を介してセルロース結合ドメインが存在しているものが好ましく、セロビオハイドロラーゼ触媒領域の上流にリンカー領域を介してセルロース結合ドメインが存在しているものがより好ましい。
本発明において用いられるセロビオハイドロラーゼが含むセルロース結合ドメインは、セルロースとの結合能、例えば、PSAや結晶性アビセルとの結合能を有する領域であればよく、そのアミノ酸配列は特に限定されるものではない。当該セルロース結合ドメインとしては、例えば、既知のタンパク質が有するセルロース結合ドメイン又はそれを適宜改変したものを用いてもよい。
本発明において用いられるセロビオハイドロラーゼとしては、セロビオハイドロラーゼ活性を、20〜60℃の範囲内において示すものが好ましく、25〜55℃の範囲内において示すものがより好ましく、セロビオハイドロラーゼ活性の至適温度が25〜55℃の範囲内にあるものがさらに好ましい。また、本発明において用いられるロビオハイドロラーゼとしては、ロビオハイドロラーゼ活性をpH4〜6の範囲内において示すものがより好ましく、少なくともpH4.5〜5.5の範囲内においてロビオハイドロラーゼ活性を示すものがより好ましい。本発明において用いられるセロビオハイドロラーゼとしては、耐熱性セロビオハイドロラーゼであってもよい。
[キシナラーゼ又はキシロシダーゼ]
本発明に係る糖化酵素組成物は、前記エンドグルカナーゼ等に加えて、キシナラーゼ又はキシロシダーゼを含む。本発明に係る糖化酵素組成物は、キシナラーゼのみを含むものであってもよく、キシロシダーゼのみを含むものであってもよく、キシナラーゼとキシロシダーゼの両方を含むものであってもよい。本発明において用いられるキシナラーゼとしては、キシナラーゼ活性を有する公知の酵素の中から適宜選択して用いることができる。同様に、本発明において用いられるキシロシダーゼとしては、キシロシダーゼ活性を有する公知の酵素の中から適宜選択して用いることができる。
[アラビノフラノシダーゼ]
本発明に係る糖化酵素組成物は、前記エンドグルカナーゼ等に加えて、アラビノフラノシダーゼを含む。本発明において用いられるアラビノフラノシダーゼとしては、アラビノフラノシダーゼ活性を有する公知の酵素の中から適宜選択して用いることができる。本発明において用いられるアラビノフラノシダーゼとしては、糸状菌等の真核微生物での発現が良好であることから、GH51(配列番号16)(1〜17番目まではSignalP4.1による予測シグナル配列である。)又はGH54(配列番号14)がより好ましい。
[糖化酵素組成物]
本発明に係る糖化酵素組成物は、リグノセルロース系バイオマスを基質とする糖化酵素組成物であって、特定のβ−グルコシダーゼと、セルロース結合ドメインを含有するセロビオハイドラーゼと、キシナラーゼ又はキシロシダーゼと、アラビノフラノシダーゼとを含有することを特徴とする。前記特定のβ−グルコシダーゼとアラビノフラノシダーゼとを含有するため、非常に効率よくリグノセルロース系バイオマスを単糖にまで糖化処理することできる。
本発明に係る糖化酵素組成物は、さらに、セルロース結合ドメインを非含有であるエンドグルカナーゼを含有することも好ましい。前記酵素群に加えてエンドグルカナーゼも含有することにより、より効率よくリグノセルロース系バイオマスを単糖にまで糖化処理することできる。
本発明に係る糖化酵素組成物が前記エンドグルカナーゼをも含有する場合、本発明に係る糖化酵素組成物全体に対する、β−グルコシダーゼ、エンドグルカナーゼ、及びセロビオハイドラーゼの合計含有量は、30〜80質量%であることが好ましく、35〜75質量%がより好ましく、38〜65質量%がさらに好ましい。β−グルコシダーゼ、エンドグルカナーゼ、及びセロビオハイドラーゼを充分量含有することにより、リグノセルロース系バイオマスを基質とした場合の糖化効率がより高められる。
当該酵素組成物における、β−グルコシダーゼとセロビオハイドラーゼの含有量比(質量比)は、0.02〜2.5:1の範囲内であることが好ましい。本発明に係る糖化酵素組成物が前記エンドグルカナーゼをも含有する場合、当該酵素組成物におけるβ−グルコシダーゼ、エンドグルカナーゼ、及びセロビオハイドラーゼの含有量比(質量比)は、0.02〜2.5:0.02〜2.5:1の範囲内であることが好ましい。これら3種ないしは2種類の酵素をバランスよく含有することにより、リグノセルロース系バイオマスを基質とした場合の糖化効率がより高められる。
なお、本発明に係る糖化酵素組成物は、β−グルコシダーゼ等による酵素活性を阻害しない範囲において、その他の酵素を含有していてもよい。
[糖化方法]
本発明に係る糖化酵素組成物は、他の糖化酵素や糖化酵素組成物と同様に、セルロースを含む材料に対する糖化処理に用いることができる。セルロースを含む材料としては、セルロースが含まれていれば特に限定されるものではない。当該材料としては、例えば、雑草や農業系廃棄物等のセルロース系バイオマス、古紙等が挙げられる。本発明に係る糖化酵素組成物は、特に、リグノセルロース系バイオマスの糖化処理に用いることがより好ましく、稲わら、又はコーンストーバーの糖化処理に用いることがさらに好ましい。
当該セルロースを含む材料は、本発明に係る糖化酵素組成物と接触させる前に、破砕・細断等の物理的処理、酸・アルカリ等の化学処理、適当なバッファーへの浸漬又は溶解処理等を行っておくことが好ましい。
[リグノセルロース系バイオマスの糖化方法]
本発明に係る糖化酵素組成物により、リグノセルロース系バイオマスを糖化処理する場合には、まず、前記糖化酵素組成物とリグノセルロース系バイオマスを混合して、両者を含有する基質・糖化酵素混合物を調製する。次いで、この基質・糖化酵素混合物を、当該糖化酵素組成物中の酵素が活性を示す温度及びpHでインキュベートすることにより、糖化反応が進行する。この基質・糖化酵素混合物には、必要に応じてバッファー等の溶媒も添加してもよい。
使用した糖化酵素組成物中の全酵素の酵素活性を示す温度やpHが共通する場合には、一段階で糖化反応を行うことができる。例えば、20〜60℃、pH4〜6で反応を行うことが好ましく、25〜55℃、pH4〜6で反応を行うことがより好ましい。反応時間は、加水分解に供されるセルロースを含む材料の種類、前処理の方法、量等を考慮して適宜調整される。例えば、10分間〜144時間の反応時間で行うことができる。活性を示す温度範囲が個々の酵素で異なる場合には、低温から順次段階的に反応を行っていけばよい。
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(1) BGLの麹菌発現ベクターの構築
<アクレモニウム・セルロリティカスのゲノムDNA抽出>
アクレモニウム・セルロリティカスH1株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センターより入手可能。受託番号:FERM BP−11508、以下「H1株」と略記する。)を、PDB寒天培地(PDA培地(Difco PDA broth使用)に1.5%(質量/容量)アガロースを添加した平板培地)上に植菌して30℃で1週間培養した。得られた菌体を、寒天ごと直径5mmを切り出してPDA培地に植菌し、30℃、130rpmで浸透培養を行った。培養物を15000rpmで10分間の遠心分離処理することによって回収した菌体を、PDA培地による洗浄を2回繰り返すことによって、菌体サンプルを取得した。
当該菌体サンプルの入った2mL容プラスチックチューブにビーズを入れ、卓上ビーズ式破砕装置(装置名:シェイクマスター、バイオメディカルサイエンス社製)を用いて90秒間の破砕処理を3回行い、菌体サンプルを粉末状にした後、Nucleon(AMersham社製)を使用してDNAを抽出した。
<アクレモニウム・セルロリティカスのBGL2のゲノムDNA>
得られたゲノムDNAを鋳型とし、表1に記載の配列番号18で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号19で表される塩基配列からなるプライマーとDNAポリメラーゼ(製品名:KOD−plus、東洋紡社製)を用いたPCRによって、BGL2をコードする配列(配列番号3)を増幅した。PCRは、94℃、2分間を1サイクルした後、96℃、20秒間、次いで60℃、30秒間、さらに72℃、5分間を30サイクルすることにより行った。得られたPCR産物は、QIAquick PXR purification kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
<アクレモニウム・セルロリティカスのBGL2のcDNA配列の決定>
前記<アクレモニウム・セルロリティカスゲノムDNA抽出>に記載の方法で菌体を調製した。次いで、当該菌体サンプルの入った2mL容プラスチックチューブにビーズを入れ、卓上ビーズ式破砕装置(装置名:シェイクマスター、バイオメディカルサイエンス社製)を用いて90秒間の破砕処理を3回行い、菌体サンプルを粉末状にした後、ISOGEN II(日本GENE社製)を使用してRNAを抽出した。抽出されたRNAから、cDNA合成キット(製品名:SMARTer(商標登録)RACE cDNA Amplification Kit、Clontech社製)を用いてcDNAを合成した。得られたcDNAをシーケンス解析し、得られた配列(配列番号2)とゲノムDNA配列(配列番号3)を比較し、イントロンを決定した。
<アクレモニウム・セルロリティカスのBGL3のcDNA配列の決定>
表1に記載の配列番号20で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号21で表される塩基配列からなるプライマーを用いた以外は、BGL2と同様にして、アクレモニウム・セルロリティカスのゲノムDNAを鋳型としたPCRによりBGL3をコードする配列(配列番号6)を増幅し、遺伝子導入した宿主株が発現したRNAから得られたcDNAをシーケンス解析し、得られた配列(配列番号5)とゲノムDNA配列(配列番号6)を比較し、イントロンを決定した。
<アクレモニウム・セルロリティカスのBGL5のcDNA配列の決定>
表1に記載の配列番号22で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号23で表される塩基配列からなるプライマーを用いた以外は、
BGL2と同様にして、アクレモニウム・セルロリティカスのゲノムDNAを鋳型としたPCRによりBGL5をコードする配列(配列番号9)を増幅し、遺伝子導入した宿主株が発現したRNAから得られたcDNAをシーケンス解析し、得られた配列(配列番号8)とゲノムDNA配列(配列番号9)を比較し、イントロンを決定した。
<アクレモニウム・セルロリティカスのBGL6のcDNA配列の決定>
前記<アクレモニウム・セルロリティカスのBGL2のcDNA配列の決定>で得られたcDNAを鋳型とし、表1に記載の配列番号24で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号25で表される塩基配列からなるプライマーとDNAポリメラーゼ(製品名:KOD−plus、東洋紡社製)を用いたPCRによって、BGLをコードする配列(配列番号2)を増幅した。PCRは、94℃、2分間を1サイクルした後、96℃、20秒間、次いで60℃、30秒間、さらに72℃、5分間を30サイクルすることにより行った。得られたPCR産物は、QIAquick PXR purification kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
<niaD遺伝子を含む大腸菌ベクターpBR−niaDの調製>
麹菌アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae) RIB40株(独立行政法人製品評価技術基盤機構より入手。NBRC番号:100959。以下「RIB40株」と略記する。)のゲノムDNAを鋳型とし、表1に記載の配列番号26で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号27で表される塩基配列からなるプライマーを用いた以外は、BGL2等のcDNAの増幅と同様にしてPCRを行い、麹菌アスペルギルス・オリゼ由来の硝酸還元酵素遺伝子niaDのcDNAを増幅した。
得られたPCR増幅産物と大腸菌プラスミドpBR322(タカラバイオ社製)を制限酵素AvaI及びNdeIを用いて37℃で消化した後、消化物をアガロースゲル電気泳動で分離し、目的バンドを切り出し、そのゲル片からQIAquick Gel Extraction Kit(QIAGEN社製)を用いて抽出・精製することによって、pBR322及びniaDのcDNAの制限酵素処理断片を得た。これらのDNA断片をDNA ligation Kit(タカラバイオ社製)を用いて連結し、大腸菌E.coli JM109株(以下「JM109株」と略記する。)に形質転換した。その結果、プラスミドpBR−niaD(pBR322の制限酵素AvaI及びNdeIの間にniaDのcDNA断片が挿入されたプラスミド)が導入された形質転換体を得た。
<agdAターミネーターのpBR−niaDへの組み込み>
RIB40株のゲノムDNAを鋳型とし、表1に記載の配列番号28で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号29で表される塩基配列からなるプライマーを用いた以外は、BGL2等のcDNAの増幅と同様にしてPCRを行い、麹菌由来agdA遺伝子のターミネーター領域(以下、「agdAターミネーター」ということがある。)のcDNAを増幅した。
得られたPCR増幅産物とpBR−niaDを制限酵素SalI及びAvaIを用いて37℃で消化した後、前記pBR−niaDの調製と同様にして、得られた消化物からpBR−niaD及びagdAターミネーターのcDNAの制限酵素処理断片を得、これらのDNA断片を連結してJM109株に形質転換した。その結果、プラスミドpBR−agdAT−niaD(pBR322−niaDの制限酵素SalI及びAvaIの間にagdAターミネーターのcDNA断片が挿入されたプラスミド)が導入された形質転換体を得た。
<enoAプロモーターのpBR−agdAT−niaDへの組み込み>
RIB40株のゲノムDNAを鋳型とし、表1に記載の配列番号30で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号31で表される塩基配列からなるプライマーを用いた以外は、BGL2等のcDNAの増幅と同様にしてPCRを行い、麹菌由来enoA遺伝子のプロモーター領域(以下、「enoAプロモーター」ということがある。)のcDNAを増幅した。
得られたPCR増幅産物とpBR−agdAT−niaDを制限酵素NheI及びSalIを用いて37℃で消化した後、前記pBR−niaDの調製と同様にして、得られた消化物からpBR−agdAT−niaD及びenoAプロモーターのcDNAの制限酵素処理断片を得、これらのDNA断片を連結してJM109株に形質転換した。その結果、プラスミドpBR−enoAP−agdAT−niaD(pBR−agdAT−niaDの制限酵素NheI及びSalIの間にenoAプロモーターのcDNA断片が挿入されたプラスミド)が導入された形質転換体を得た。
<BGLゲノムDNAのpBR−enoAP−agdAT−niaDへの組み込み>
まず、pBR−enoAP−agdAT−niaDを制限酵素SmaIを用いて30℃で消化した後、前記pBR−niaDの調製と同様にして、得られた消化物からpBR−enoAP−agdAT−niaDのSmaI処理断片を得た。
当該SmaI処理断片と前記で精製されたBGL2をコードする配列とを、In−Fusion(登録商標)HD Cloning Kit(Clontech社製)を用いて連結してプラスミドpBR−enoAP−BGL2−agdAT−niaD(BGL麹菌発現用ベクター)を得、当該プラスミドをStellar Competent Cells(Clontech社製)に形質転換し、BGL2大腸菌形質転換株を得た。得られた形質転換株を100μg/mLアンピシリン含有LB培地で37℃、180rpmで1晩培養し、培養物からQIAquick Miniprepキット(QIAGEN社製)を用いて、pBR−enoAP−BGL2−agdAT−niaDを大量調製した。
BGL2をコードする配列に代えて、BGL3をコードする配列、BGL5をコードする配列、又はBGL6をコードする配列をそれぞれ用い、同様にして、pBR−enoAP−BGL3−agdAT−niaD、pBR−enoAP−BGL5−agdAT−niaD、及びpBR−enoAP−BGL6−agdAT−niaDを大量調製した。
(2) BGL麹菌発現用ベクターを導入した麹菌の形質転換体の作製
定法であるPEG−カルシウム法(Mol.Gen.Genet.,vol.218,p.99〜104(1989年))により、上記プラスミドpBR−enoAP−BGL2−agdAT−niaD等を用いて、麹菌アスペルギルス・オリゼniaD300株(独立行政法人酒類総合研究所より入手。)を形質転換した。ツアペクドックス(Czapek−Dox)培地(3%(質量/容量)デキストリン、0.1%(質量/容量)リン酸2水素カリウム、0.2%(質量/容量)塩化カリウム、0.05%(質量/容量)硫酸マグネシウム、0.001%(質量/容量)硫酸鉄、0.3%(質量/容量)硝酸ナトリウム)で生育できる株を選択することにより、形質転換体(BGL2麹菌形質転換株、BGL3麹菌形質転換株、BGL5麹菌形質転換株、及びBGL6麹菌形質転換株)を得た。
(3) BGL麹菌形質転換株からのBGL調製
作製した各BGL麹菌形質転換株を、ツアペクドックス培地で胞子形成させ、滅菌水で胞子を回収した。500mL容三角フラスコに入った100mLのPD液体培地(2%(質量/容量)デキストリン、1%(質量/容量)ポリペプトン、0.1%(質量/容量)カザミノ酸、0.5%(質量/容量)リン酸2水素カリウム、0.05%(質量/容量)硫酸マグネシウム、0.1%(質量/容量)硝酸ナトリウム)に最終胞子濃度1×10/mLとなるように植菌した。30℃で3日間の液体培養を行い、目的遺伝子産物(BGL)を培地中に分泌発現させた。培養後の当該培養液を酵素サンプルとした。
当該酵素サンプル中の各BGLを、SDS−PAGE解析により確認した。酵素サンプルのSDS電気泳動は、10−20%のミニグラジェントゲル(ATTO社製)を用いて行った。酵素サンプルとTris−SDSβMEサンプル処理液(ATTO社製)を1:1で混合した後に100℃で5分間処理し、当該混合液20μLを泳動させた。泳動終了後、固定化したゲルをEzStainAQua(ATTO社製)で染色し、タンパク質のバンドを可視化した。その後、ChemiDoc XRS Plusシステム(BIO−RAD社製)を用いて、当該ゲルの画像を取得した。取得画像をImage Lab 2.0ソフトウェアにより解析し、タンパク質定量を行った。
図1に、酵素サンプル(BGL2)のSDS−PAGE解析結果(レーン左:タンパク質分子量指標、レーン右:酵素サンプル)を、図2に、酵素サンプル(BGL3)のSDS−PAGE解析結果(レーン右:タンパク質分子量指標、レーン左:酵素サンプル)を、図3に、酵素サンプル(BGL5)のSDS−PAGE解析結果(レーン右:タンパク質分子量指標、レーン左:酵素サンプル)を、図4に、酵素サンプル(BGL6)のSDS−PAGE解析結果(レーン右:タンパク質分子量指標、レーン左:酵素サンプル)を、それぞれ示す。この結果、酵素サンプル(BGL2)には、分子量約120kDaのBGLが含まれており、酵素サンプル(BGL3)には、分子量約130kDaのBGLが含まれており、酵素サンプル(BGL5)には、分子量約140kDaのBGLが含まれており、酵素サンプル(BGL6)には、分子量約80kDaのBGLが含まれていることが確認できた。
(4) 麹菌により発現させたアラビノフラノシダーゼ(Araf)の製造
<Akabf2(GH54)のcDNA及びAoabf2(GH51)のcDNAのpBR−enoAP−agdAT−niaDへの組み込み>
Akabf2(GH54)をコードする塩基配列(cDNA、配列番号15)からなるDNA断片(人工合成品、株式会社タカラバイオ製)を鋳型として、表1に記載の配列番号32で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号33で表される塩基配列からなるプライマーとDNAポリメラーゼ(製品名:KOD−plus、東洋紡社製)を用いたPCRによって、Akabf2をコードする配列を増幅した。PCRは、94℃、2分間を1サイクルした後、96℃、20秒間、次いで60℃、30秒間、さらに72℃、5分間を30サイクルすることにより行った。得られたPCR産物は、QIAquick PXR purification kit(QIAGEN社製)を用いて精製した。
Aoabf2(GH51)をコードする塩基配列(cDNA、配列番号17)からなるDNA断片(人工合成品、株式会社タカラバイオ製)を鋳型とし、表1に記載の配列番号34で表される塩基配列からなるプライマー及び配列番号35で表される塩基配列からなるプライマーを用いた以外は同様にしてPCRを行い、Aoabf2をコードする配列を増幅して精製した。
BGL2をコードする配列に代えて、前記で精製したAkabf2をコードする配列又はAoabf2をコードする配列をそれぞれ用いた以外は、<BGLゲノムDNAのpBR−enoAP−agdAT−niaDへの組み込み>と同様にして、pBR−enoAP−Akabf2−agdAT−niaD、及びpBR−enoAP−Aoabf2−agdAT−niaDを大量調製した。
<Araf麹菌発現用ベクターを導入した麹菌の形質転換体の作製>
pBR−enoAP−Akabf2−agdAT−niaD、及びpBR−enoAP−Aoabf2−agdAT−niaDを用いた以外は、BGL麹菌発現用ベクターを導入した麹菌の形質転換体と同様にして、形質転換体(Akabf2麹菌形質転換株、及びAoabf2麹菌形質転換株)を得た。
<Araf麹菌形質転換株からのAraf調製>
BGL麹菌形質転換株と同様にして、作製したAkabf2麹菌形質転換株及びAoabf2麹菌形質転換株を胞子形成させ、回収した胞子を培養し、培養後の当該培養液を酵素サンプルとした。
当該酵素サンプル中の各Arafは、BGLの酵素サンプルと同様にSDS−PAGE解析し、タンパク質定量を行った。
(5)BGLの酵素活性の測定
酵素活性はUnit(U)にて示す。1Uは、1分間に基質から生成物を1μmol生産する酵素量であり、以下の式で定義される。
1U(μmol/min)=[生成糖(μmol/L)]×[反応液量(L)]/[反応時間(min)]
また、タンパク質1mg当たりの比活性は、下記式により算出される。
[比活性(U/mg)]=[Unit(U)]/[タンパク質量(mg)]
<CMC分解活性の測定>
標準基質として、CMC(Sigma−Aldrich社製)を使用した。また、検量線は、10mM(mmol/L)グルコース溶液を200mM酢酸バッファー(pH5.5)で適宜希釈して調製した5点の希釈系列(0.5〜7.5mM)の測定値から作成した。
具体的には、まず、1.5mL容プラスチックチューブを測定するサンプルの本数分準備し、各チューブに190μLの200mM酢酸バッファーと200μLの1%(質量/容量)CMC溶液(溶媒:200mM酢酸バッファー(pH5.5))を加えて充分に混合した液を30℃に調整した。次いで、各チューブに対して、10μLの酵素サンプルを添加して酵素反応を開始させ、反応開始から15分経過後に、400μLのDNSA(ジニトロサリチル酸)溶液を加えて混合して反応を停止させた後、100℃で5分間煮沸し、氷中で冷却させた。その後、各チューブから100μLの反応溶液を分取し、100μLの蒸留水で希釈した溶液の540nmの吸光度(A540)を測定した。吸光度測定のブランクとしては、酵素サンプルに代えて20mM酢酸バッファーを添加して同様に処理したサンプルを用いた。A540の測定値と検量線からグルコース濃度を算出し、下記式により、比活性を求めた。
[比活性(U/mg)]=([グルコース濃度(mmol/L)]×15×0.400/0.010)/(15×[タンパク質量(mg)])
<キシラン分解活性の測定>
標準基質として、可溶性キシランを使用した。1gのカバノキ由来のキシラン(SIGMA社製)を100mLの水に混合した混合液を100℃で2時間加熱した後、固形分を除去して液体分のみを回収し、これを乾固させたものを、可溶性キシランとして使用した。また、検量線は、10mMキシロース溶液を200mM酢酸バッファー(pH5.5)で適宜希釈して調製した5点の希釈系列(0.5〜3.0mM)の測定値から作成した。
具体的には、まず、1.5mL容プラスチックチューブを測定するサンプルの本数分準備し、各チューブに180μLの200mM酢酸バッファーと200μLの1%(質量/容量)可溶性キシラン溶液(溶媒:200mM酢酸バッファー(pH5.5))を加えて充分に混合した液を30℃に調整した。次いで、各チューブに対して、20μLの酵素サンプルを添加して酵素反応を開始させ、反応開始から15分経過後に、400μLのDNSA溶液を加えて混合して反応を停止させた後、100℃で5分間煮沸し、氷中で冷却させた。その後、各チューブから100μLの反応溶液を分取し、100μLの蒸留水で希釈した溶液の540nmの吸光度(A540)を測定した。吸光度測定のブランクとしては、酵素サンプルに代えて20mM酢酸バッファーを添加して同様に処理したサンプルを用いた。A540の測定値と検量線からキシロース濃度を算出し、下記式により、比活性を求めた。
[比活性(U/mg)]=([キシロース濃度(mmol/L)]×15×0.400/0.020)/(15×[タンパク質量(mg)])
<PNPG分解活性の測定>
標準基質として、PNPG(p−ニトロフェニルグルコシド)(Sigma−Aldrich社製)を使用した。PNPG分解活性は、主にβ−グルコシダーゼ活性の指標となる。また、検量線は、1000μmol/L PNP(p−ニトロフェノール)溶液を200mM酢酸バッファー(pH5.5)で適宜希釈して調製した5点の希釈系列(0〜200μM)の測定値から作成した。
具体的には、まず、1.5mL容プラスチックチューブを測定するサンプルの本数分準備し、各チューブに615μLの200mM酢酸バッファーと50μLのPNPG溶液(3.4mM、溶媒:超純水)を加えて充分に混合した液を30℃に調整した。次いで、各チューブに対して、10μLの酵素サンプルを添加して酵素反応を開始させ、反応開始から15分経過後に、625μLの0.2M炭酸ナトリウム水溶液を加えて混合して反応を停止させた。その後、各チューブから200μLの反応溶液を分取し、420nmの吸光度(A420)を測定した。吸光度測定のブランクとしては、酵素サンプルに代えて20mM酢酸バッファーを添加して同様に処理したサンプルを用いた。A420の測定値と検量線からPNP濃度を算出し、下記式により、比活性を求めた。
[比活性(U/mg)]=([PNP濃度(μmol/L)]×0.001×0.675/0.01)/(15×[タンパク質量(mg)])
<BGLの酵素活性測定結果>
BGL2麹菌形質転換株に産生させたBGL2について、CMC分解活性、キシラン分解活性及びPNPG分解活性を測定したところ、CMC分解活性は0.76U/mg、キシラン分解活性は0.76U/mg、PNPG分解活性は3.08U/mgであった。つまり、BGL2は、PNPG活性とキシラン分解活性とCMC分解活性を有しており、PNPG活性のほうが、キシラン分解活性とCMC分解活性よりも比活性で4倍以上高かった。これらの結果から、BGL2が、β−グルコシダーゼ活性を有していることが確認された。
BGL3麹菌形質転換株に産生させたBGL3について、PNPG分解活性(比活性)を測定した。この際、比較例として、市販のアクレモニウム属菌由来の糖化酵素混合物(商品名:アクレモニウムセルラーゼ、Meiji Seikaファルマ社製)から精製したBGL(以下、「市販BGL」ということがある。)を用いた。この結果、PNPG分解活性(比活性)は、比較例とした市販BGLは20.3U/mgであったのに対して、BGL3では32.1U/mgであった。すなわち、BGL3麹菌形質転換株に産生させたBGL3は、市販BGLよりもPNPG分解活性が1.5倍以上も高く、優れたβ−グルコシダーゼ活性を有していることが確認された。
BGL5麹菌形質転換株に産生させたBGL5、及びBGL6麹菌形質転換株に産生させたBGL6についても、それぞれPNPG分解活性(比活性)を測定した。この結果、BGL5麹菌形質転換株に産生させたBGL5のPNPG分解活性(比活性)は13.2U/mgであり、BGL6麹菌形質転換株に産生させたBGL6のPNPG分解活性(比活性)は15.9U/mgであった。すなわち、BGL5麹菌形質転換株に産生させたBGL5、及びBGL6麹菌形質転換株に産生させたBGL6は、いずれもPNPG分解活性を有していることが確認された。
(6) Akabf2及びAoabf2の糖化活性の測定
<PNP−α−L−Araf活性>
標準基質として、p−ニトロフェニルアラビノフラノシド(PNP−α−L−Arabinofranosidase)(PNP−α−Araf)(Sigma−Aldrich社製)を使用した。
具体的には、まず、1.5mL容プラスチックチューブを測定するサンプルの本数分準備し、各チューブに100μLのMacllvaineバッファー(pH4.0)と125μLのPNP−α−Araf溶液(2mM、溶媒:超純水)を加えて充分に混合した液を、45℃で5分間プレ加熱した。次いで、各チューブに対して、25μLの酵素サンプルを添加して酵素反応を開始させ、反応開始から15分経過後に、250μLの0.2M炭酸ナトリウム水溶液を加えて混合して反応を停止させた。その後、各チューブから200μLの反応溶液を分取し、405nmの吸光度(A405)を測定した。吸光度測定のブランクとしては、酵素サンプルに代えて20mM酢酸バッファーを添加して同様に処理したサンプルを用いた。A405の測定値と検量線(PNP標準液を用い、0〜200μMの5点で作成)からPNP濃度を算出し、下記式により、比活性を求めた。
[比活性(U/mg)]=([PNP濃度(mmol/L)]×0.001×0.250/0.025)/(15×[タンパク質量(mg)])
配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるエンドグルカナーゼと、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるセルビオハイドラーゼと、キシラナーゼ(Thermoascus aurantiacus由来endo−1,4−beta−xylanase A、GenBankのアクセッション番号:AAF24127)と、β−キシロシダーゼ(Thermotoga maritima由来β−xylosidase、耐熱性酵素研究所製)と、配列番号36で表されるアミノ酸配列からなるBGLとを、BGL、エンドグルカナーゼ、及びセロビオハイドラーゼの含有量比(質量比)が0.2〜0.5:0.3:1で混合した酵素調製物を比較酵素調製物1として調製した。また、この比較調製物1の0.16mgに、前記(4)で調製した酵素サンプル(Akabf2)又は酵素サンプル(Aoabf2)を酵素活性が0.35Uとなるように混合した酵素調製物を調製した。酵素サンプル(Akabf2)を混合した酵素調製物を酵素調製物(Akabf2)、酵素サンプル(Aoabf2)を混合した酵素調製物を酵素調製物(Aoabf2)とした。酵素調製物(Akabf2)又は酵素調製物(Aoabf2)と比較調製物1との活性の差が、酵素サンプル(Akabf2)又は酵素サンプル(Aoabf2)の活性である。
比較調製物1、酵素調製物(Akabf2)、及び酵素調製物(Aoabf2)をそれぞれ用いて、PNP−α−L−Araf活性を調べた。比較調製物1を用いた場合の活性と、酵素調製物(Akabf2)又は酵素調製物(Akabf2)を用いた場合の活性との差から、酵素サンプル(Akabf2)及び酵素サンプル(Aoabf2)のPNP−α−L−Araf活性を求めた。この結果、Akabf2のPNP−α−L−Araf活性は74.80U/mgであり、Aoabf2のPNP−α−L−Araf活性は16.52U/mgであった。
<へミセルロース分解物の単糖化率>
まず、基質としてリグノセルロース系バイオマスであるコーンストーバーを微粉砕したものに、25%(質量/質量)のアンモニア水を、質量比が1:2.5となるように混合して、コーンストーバー及びアンモニアを含む基質混合物を得た。次に、前記基質混合物を、80℃の温度で8時間保持して糖化前処理を行った後、アンモニアを分離し、pH4.5に調整した。次いで、コーンストーバーの含有量が20体積%となるように調整して、糖化前処理物を得た。この糖化前処理物に、前記で調製した各酵素調製物をそれぞれ、基質(コーンストーバー)当たりの酵素終濃度が2〜3mg/g(コーンストーバー)となるように添加し、50℃で3日間反応を行った。反応中は、160rpm浸透撹拌を加えた。
反応終了後に得られた糖化物をサンプリングチューブに分注し、15,760×g、4℃で10分間遠心分離処理を行った。得られた上清を新しい1.5mL容プラスチックチューブに移し、95℃で5分間熱処理した後、15,760×g、4℃で5分間遠心分離処理を行った。得られた上清は、新しい1.5mL容プラスチックチューブに移した後、0.2μm(13mmディスク)フィルターでろ過した。0.2mLのろ液をバイアルに移し、下記の条件でHPLC測定を行って糖を検出し、糖濃度を評価した。HPLCの糖標準としては、グルコース、キシロース、及びアラビノース(各和光純薬社製)を用いた。
糖濃度測定装置;
セパレーター:Waters 2695(Waters社製)、
RI検出器:Waters 2414(Waters社製)、
カラム:Bio−Rad Bio−rad HPX−87P(Bio−Rad社製)。
糖濃度測定条件;
溶離液:超純水、
流速:0.6mL/min、
カラム温度:85℃、
検出器温度:40℃。
また、0.2μm(13mmディスク)フィルターでろ過した後の糖化物を、前記と同じ条件でHPLCカラムに供し、溶離液を0.25分間隔で分取し、溶離時間0〜15分間の溶離液を取得した。各溶離液サンプルに、終濃度4%になるように硫酸を添加し、121℃で60分間オートクレーブ処理を行った。処理後の各サンプルは、炭酸ナトリウムで中和した後、同条件でHPLCカラムに供し、構成糖の分析を行った。
図5に、比較酵素調製物1により得られた糖化物の、HPLCにおいてRI検出器で検出されたクロマトグラムのうち二糖以上の糖類が溶離されていると思われる溶離時間7〜11分の画分を示す。また、図6に、同じく比較酵素調製物1により得られた糖化物の溶離時間7〜10.5分の画分のグルコース、キシロース、及びアラビノースの濃度(質量/容量%)の測定結果を示す。溶離時間7〜10.5分の画分を図5及び6に示すようにA〜Dの4つに分けたところ、キシロース−アラビノースで構成されたオリゴ糖が含まれており、Dの部分には、バイオマスの糖構成から、アラビノキシランが含まれていると考えられた。
図7に、比較酵素調製物1により得られた糖化物、酵素調製物(Akabf2)により得られた糖化物、及び酵素調製物(Aoabf2)により得られた糖化物における、HPLCの溶離時間7〜10.5分のクロマトグラムを示す。この結果、酵素調製物(Akabf2)により得られた糖化物及び酵素調製物(Aoabf2)により得られた糖化物では、比較酵素調製物1により得られた糖化物よりも、溶離時間7〜10.5分の各画分中のオリゴ糖量が低下していることがわかった。バイオマスとしてコーンストーバーに代えて稲わらを用いた場合にも、同様の結果が得られた。
表2に、ヘミセルロース分解物の単糖化率を示す。この結果、コーンストーバーと稲わらのどちらにおいても、ヘミセルロース分解物の単糖化を、Akabf2(GH54)に対してAoabf2(GH51)は20%も促進できた。4〜5糖程度のオリゴ糖の糖化には、Akabf2(GH54)よりもAoabf2(GH51)がより好ましいことがわかった。
また、コーンストーバーを基質とした場合における、Akabf2(GH54)とAoabf2(GH51)によって分解されたオリゴ糖量の割合(分解率)を、比較酵素調製物1による糖化物の糖量を100%として算出した。表3に、A部分とB部分における分解率と、C部分とD部分における分解率とを示す。
さらに、前記の比較調製物1の0.16mgに、前記(4)で調製した酵素サンプル(Aoabf2)を0.001、0.01、0.1、1、又は10Uとなるように混合した酵素調製物を用いて、前記と同様にコーンストーバーを基質として糖化処理をし、ヘミセルロース分解物の単糖化率(糖化効率、%)を調べ、比較した。酵素調製物中の酵素サンプル(Aoabf2)の酵素活性が1Uの場合の単糖化率を100%とした相対単糖化率(相対糖化効率)を図8に示す。
(7) BGL2等含有酵素調製物の糖化活性の測定
測定に使用する酵素調製物は、前記(3)で調製した酵素サンプル(BGL)と、配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるエンドグルカナーゼと、配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるセルビオハイドラーゼと、キシラナーゼ(Thermoascus aurantiacus由来endo−1,4−beta−xylanase A、GenBankのアクセッション番号:AAF24127)と、β−キシロシダーゼ(Thermotoga maritima由来β−xylosidase、耐熱性酵素研究所製)と、前記(4)で調製した酵素サンプル(Akabf2)又は酵素サンプル(Aoabf2)とを含有させて調製した。
前記(6)と同様にしてコーンストーバーから調製した糖化前処理物に、前記で調製した酵素調製物を、基質(コーンストーバー)当たりの酵素終濃度が2mg/g(コーンストーバー)となるように添加し、50℃で3日間反応を行った。反応中は、160rpm浸透撹拌を加えた。また、比較例として、前記(4)で調製した酵素サンプル(Akabf2)又は酵素サンプル(Aoabf2)のみを含有させなかった酵素調製物(比較酵素調製物2)を用いて同様に反応を行った。
反応終了後に得られた糖化物について、前記(6)と同様にしてHPLC測定を行った。図9〜12に、それぞれ、BGL2、3、5、又は6を含有させた酵素調製物による糖化物の溶離時間5〜19分のクロマトグラムを示した。図9〜12中、「Abfなし」は比較酵素調製物2を用いた場合の結果を、「Akabf2」は比較酵素調製物2に酵素サンプル(Akabf2)を添加した酵素調製物を用いた場合の結果を、「Aoabf2」は比較酵素調製物2に酵素サンプル(Aoabf2)を添加した酵素調製物を用いた場合の結果を、それぞれ示す。この結果、いずれのBGLを用いた場合でも、オリゴ糖のピーク(溶離時間7〜11分のピーク)は、「abfなし」よりも、「Akabf2」と「Aoabf2」は明らかに低くなっており、単糖のピーク(溶離時間11分以降のピーク)は、「abfなし」よりも、「Akabf2」と「Aoabf2」は明らかに高くなっていたことから、Akabf2又はAoabf2を含んだ酵素調製物を用いることにより、単糖化効率が向上したことが確認された。
本発明に係るβ−グルコシダーゼ、及びその生産に用いられるポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドが組み込まれた発現ベクター、当該発現ベクターが導入されている形質転換体は、例えば、セルロース系バイオマスからのエネルギー産生の分野において利用が可能である。
FERM BP−11508

Claims (10)

  1. リグノセルロース系バイオマスを基質とし、
    β−グルコシダーゼと、セルロース結合ドメインを含有するセロビオハイドラーゼと、キシナラーゼ又はキシロシダーゼと、アラビノフラノシダーゼとを含有し、
    前記β−グルコシダーゼが、
    (1A)配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (1B)配列番号1で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
    (1C)配列番号1で表されるアミノ酸配列と92%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
    (2A)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (2B)配列番号4で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
    (2C)配列番号4で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
    (3A)配列番号7で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (3B)配列番号7で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
    (3C)配列番号7で表されるアミノ酸配列と92%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
    (4A)配列番号10で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
    (4B)配列番号10で表されるアミノ酸配列のうちの1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、又は
    (4C)配列番号10で表されるアミノ酸配列と91%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、β−グルコシダーゼ活性を有するポリペプチド、
    からなるβ−グルコシダーゼ触媒ドメインを有することを特徴とする、糖化酵素組成物。
  2. 前記セロビオハイドラーゼが配列番号13で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであり、前記アラビノフラノシダーゼがGH51又はGH54である、請求項1に記載の糖化酵素組成物。
  3. 前記β−グルコシダーゼと前記セロビオハイドラーゼの含有量比(質量比)が、0.02〜2.5:1の範囲内である、請求項1又は2に記載の糖化酵素組成物。
  4. さらに、セルロース結合ドメインを非含有であるエンドグルカナーゼを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖化酵素組成物。
  5. 前記エンドグルカナーゼが配列番号12で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項4に記載の糖化酵素組成物。
  6. 組成物全体に対する、前記β−グルコシダーゼ、前記エンドグルカナーゼ、及び前記セロビオハイドラーゼの合計含有量が、30〜80質量%である、請求項4又は5に記載の糖化酵素組成物。
  7. 前記β−グルコシダーゼ、前記エンドグルカナーゼ、及び前記セロビオハイドラーゼの含有量比(質量比)が0.02〜2.5:0.02〜2.5:1の範囲内である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の糖化酵素組成物。
  8. 前記リグノセルロース系バイオマスが、稲わら、又はコーンストーバーである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の糖化酵素組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の糖化酵素組成物、及びリグノセルロース系バイオマスを含有することを特徴とする、基質・糖化酵素混合物。
  10. リグノセルロース系バイオマスを、請求項1〜8のいずれか一項に記載の糖化酵素組成物を用いて糖化処理することを特徴とする、リグノセルロース系バイオマスの糖化方法。
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