JP4358984B2 - アルカリセルラーゼ遺伝子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄剤用、バイオマス用、繊維処理用の酵素として有用なアルカリセルラーゼをコードする遺伝子及びこれを用いた当該アルカリセルラーゼの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
セルラーゼは、セルロースのβ-1,4グルコシド結合を加水分解する酵素の総称であり、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼと共に加水分解酵素の代表的存在である。セルラーゼの基質となるセルロースは、植物細胞壁の主成分として年間1000億トン以上も生産されるバイオマスであり、衣料、紙、建築材料等に有効利用されると共に、分解によって燃料物質やより高付加価値の代謝物質へと変換が可能である。そのためセルロースを分解する酵素であるセルラーゼや、その反応産物の有効利用に関する研究が広く行われている。これらの研究の対象となるセルラーゼは、一般的に中酸性に最適反応pHを有し、結晶性セルロースを良好に分解できる真菌類や嫌気性細菌由来の酵素が中心となっている。
【0003】
一方、好アルカリ性バチルス属細菌由来のアルカリセルラーゼが見出され、その工業的利用が可能となったことにより、従来困難とされていたセルラーゼの衣料用重質洗剤への応用が可能となり、アルカリセルラーゼが衣料用洗剤へ配合されるに至った。これ以降、真菌類由来のセルラーゼ配合洗剤も上市されるようになり、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼと並び、洗剤用酵素としての地位が確立されている。
【0004】
しかし、従来の洗剤用セルラーゼは最適反応pHが8〜9付近のものが多く、衣料用重質洗剤のpHであるpH10以上では有効に作用しない場合が多く見受けられる。また、反応生成物の一つであるセロビオースによって酵素活性が阻害されるということもセルラーゼの一般的な特徴の一つであり〔例えば、Creuzetら, Biochimie, 65, 149-156(1983)〕、セロビオースが高濃度に蓄積した場合には、セルロースのバイオマス利用や繊維の精練の上での障害となり得る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、洗浄剤用、バイオマス用、繊維処理用の酵素として有用な、高アルカリ性領域に最適反応pHを有し、かつセロビオースによって酵素活性が阻害されることのないアルカリセルラーゼをコードする遺伝子を提供すること、及びその遺伝子を用いて大量かつ単一のアルカリセルラーゼを製造する方法を確立することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、自然界からセルラーゼ生産菌のスクリーニングを行い、上記性質を有するアルカリセルラーゼを生産する微生物を見出した。そして、当該微生物から当該酵素をコードする遺伝子をクローン化し、これを用いてアルカリセルラーゼを製造することに成功した。
【0007】
すなわち本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードするアルカリセルラーゼ遺伝子、並びに配列番号2に示す塩基配列又は該塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有するアルカリセルラーゼ遺伝子を提供するものである。
【0008】
さらに本発明は、上記のアルカリセルラーゼ遺伝子を含む組換えベクター、当該組換えベクターを含む形質転換体、並びに当該形質転換体を培養するアルカリセルラーゼの製造法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子は、配列番号1に示すアミノ酸配列又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードするものであればよいが、配列番号2で示される塩基配列又は該塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列を有するものが好ましい。
【0010】
本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子は、例えばBacillus sp. KSM-N252株等からクローン化することができる。Bacillus sp. KSM-N252株は、本発明者らが見出した菌株であり、最適反応pHをpH10付近に有し、その反応生成物であるセロビオースによって阻害されず、むしろセロビオースにより活性化されるという特徴を有する分子量約50kDa(SDS電気泳動法)のアルカリセルラーゼ(以下、N252セルラーゼと表記する)を生産する微生物である。この菌株は、下記の菌学的性質を有する。
【0011】
Bacillus sp. KSM-N252株の菌学的性質)
A.形態学的性質
(a)細胞の形及び大きさ:桿菌(0.4〜0.6×3.2〜9.6μm)
(b)多形性:無し
(c)運動性:有り
(d)胞子の形、大きさ、位置、膨潤の有無:楕円形、0.6〜1.0×0.8〜1.4μm、準端位、膨潤有り
(e)グラム染色:不定、但し炭酸ナトリウム0.1重量%を含むクリスタルバイオレット(CVT)寒天培地には生育しない。
(f)抗酸性:陰性
【0012】
B.培養学的性質
(a)一般細菌用液体培地(pH5.7):生育せず
(b)一般細菌用液体培地(pH6.8):生育せず
(c)一般細菌用寒天培地(pH6.5):生育せず
(d)一般細菌用寒天培地(pH8.5):生育する
【0013】
C.生理学的性質
(a)硝酸塩の還元:陽性
(b)脱窒反応:陰性
(c)VPテスト:陰性
(d)インドールの生成:陰性
(e)硫化水素の生成:陰性
(f)デンプンの加水分解:陽性
(g)カゼインの加水分解:陰性
(h)ゼラチンの液化:陽性
(i)クエン酸の利用:陽性
(j)カタラーゼ:陽性
(k)オキシダーゼ:陽性
(l)生育の温度範囲:11〜44℃
(m)生育のpH範囲:pH7.6〜10.5
(n)生育における酸素の影響:嫌気条件下で生育する。
(o)グルコースからのガス産生:陰性
(p)塩化ナトリウム耐性:7重量%塩化ナトリウム存在下で生育する。
(q)馬尿酸の加水分解:陰性
(r)4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルクロニド(MUG)の加水分解:陰性(s)糖の利用性:グルコース、アラビノース、キシロース、マンニトール、ガラクトース、シュークロース、マンノース、マルトース、ラクトース、トレハロース、フラクトース、メリビオース、リボース、サリシン等を炭素源として生育が認められる。グリセロール、ラムノース、イノシトール、ソルビトールを炭素源として利用できない。
【0014】
上記Bacillus sp. KSM-N252株は、新規なバチルス属細菌と判断され、工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM P-17474として寄託されている。当該微生物からアルカリセルラーゼ遺伝子のクローニングを行う方法としては、既知の手段、例えばショットガン法、PCR法を用いることができる。
【0015】
また、本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子を含む組換えベクターを作製するには、宿主菌体内で複製維持が可能であり、該酵素を安定に発現させることができ、該遺伝子を安定に保持できるベクターに、本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子を組込めばよい。かかるベクターとしては、大腸菌を宿主とする場合、pUC18、pBR322、pHY300PLK等が挙げられ、枯草菌を宿主にする場合、pUB110、pHSP64(Sumitomoら, Biosci. Biotechnol. Biocem., 59, 2172-2175, 1995)、pHY300PLK等が挙げられる。
【0016】
かくして得られた組換えベクターを用いて宿主菌を形質転換する方法としては、プロトプラスト法、コンピテントセル法、エレクトロポレーション法等を用いることができる。宿主菌としては、Bacillus属(枯草菌)等のグラム陽性菌、Escherichia coli(大腸菌)等のグラム陰性菌、Streptomyces属(放線菌)等の細菌、Saccharomyces属(酵母)、Aspergillus属(カビ)等の真菌が挙げられる。
【0017】
得られた形質転換体を、宿主菌又は形質転換体が資化しうる炭素源、窒素源、金属塩、ビタミン等を含む培地を用いて適当な条件下で培養すれば、培養液中に高アルカリ性領域に最適反応pHを有しセロビオースにより阻害されないアルカリセルラーゼが産生される。かくして得られた培養液から、一般的な方法によって酵素の採取、精製を行い、凍結乾燥、噴霧乾燥、結晶化等により必要な酵素形態とすることができる。
【0018】
【実施例】
酵素活性は以下のようにして測定した。
〈酵素活性測定法〉
試験管に、0.1mLの0.5Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10.0)、0.4mLの2.5重量%カルボキシメチルセルロース(A01MC;日本製紙社製)、0.4mLの脱イオン水、及び0.1mLの適当に希釈した酵素液(希釈は10mMトリス塩酸緩衝液、pH7.5で行った)を加え、20分間反応させた後、1mLのジニトロサリチル酸試薬(0.5重量%ジニトロサリチル酸、30重量%ロッシェル塩、1.6重量%水酸化ナトリウム水溶液)を添加し、沸水中で5分間還元糖の発色を行った。氷水中で急冷し、4mLの脱イオン水を加え535nmにおける吸光度を測定し還元糖の生成量を求めた。なお、ブランクは酵素液を加えずに処理した反応液にジニトロサリチル酸試薬を加えた後、酵素液を添加し、同様に発色させたものを用意した。酵素1単位(1U)は、上記反応条件下において1分間に1μmolのグルコース相当の還元糖を生成する量とした。
【0019】
実施例1 アルカリセルラーゼ生産菌のスクリーニング
日本各地の土壌を滅菌水に懸濁したものを80℃、30分間熱処理し、『2.0重量%カルボキシメチルセルロース(A10MC;日本製紙社製)、1.0重量%肉エキス(オキソイド社製)、1.0重量%バクトペプトン(ディフコ社製)、1.0重量%塩化ナトリウム、0.1重量%リン酸二水素カリウム、0.5重量%炭酸ナトリウム(別滅菌)、0.005重量%トリパンブルー(別滅菌)』の組成を有する寒天平板培地に塗布した。
【0020】
30℃の培養器で3日間静置培養し、生育した菌の周辺にカルボキシメチルセルロースの分解に伴う溶解斑が検出されたものについて選抜し、シングルコロニー化を繰り返した。これらの菌株を、2.0重量%ポリペプトンS(日本製薬社製)、1.0重量%魚肉エキス(和光純薬社製)、0.15重量%リン酸水素二カリウム、0.1重量%酵母エキス(ディフコ社製)、0.07重量%硫酸マグネシウム七水塩、0.1重量%カルボキシメチルセルロース及び0.5重量%炭酸ナトリウム(別滅菌)から成る液体培地を用いて30℃、3日間振盪培養を行った。アルカリセルラーゼを生産している菌株を選択し、とりわけ高アルカリ性域で強力な活性を示したセルラーゼ生産菌としてBacillus sp. KSM-N252株を取得した。
【0021】
実施例2 Bacillus sp. KSM-N252株ゲノムDNAの調製
Bacillus sp. KSM-N252株の培養は、2.0重量%ポリペプトンS、0.1重量%カルボキシメチルセルロ-ス(A10MC;日本製紙社製)、0.1重量%酵母エキス、1.0重量%魚肉エキス、0.15重量%リン酸水素二カリウム、0.07重量%硫酸マグネシウム七水塩、0.5重量%グルタミン酸ナトリウム(別滅菌)及び0.5重量%炭酸ナトリウム(別滅菌)から成る培地を用い、30℃、40時間振盪して行った。得られた培養液約40mLから遠心分離(12000×g、15分間、5℃)により菌体を回収し、この菌体から斉藤・三浦の方法によりゲノムDNAを調製した。
【0022】
実施例3 N252セルラーゼ遺伝子のクローニング
実施例2で調製したBacillus sp. KSM-N252株ゲノムDNA約2μgを、制限酵素Sau3A(ベーリンガーマンハイム社製)にて、37℃、10分間反応させ部分消化し、70℃、10分間恒温して反応を停止させた。このうち5μLを、制限酵素BamH I(ベーリンガーマンハイム社製)にて消化後、脱リン酸化したpUC18(宝酒造社製)50ngと混合して8μLとし、Ligation High(東洋紡社製)4μLを加えて16℃、30分間恒温してDNA連結反応を行った。反応液でE. coli HB101株を形質転換し、形質転換体を100μg/mLアンピシリンを含むLB寒天培地に塗沫した。加熱溶解し約50℃に冷却した0.5重量%カルボキシメチルセルロース(関東化学社製)、1.0重量%塩化ナトリウム、0.8重量%寒天及び0.2重量%リゾチーム(シグマ社製)から成る軟寒天を、生育したコロニーの上から重層し固化した。37℃で90分間恒温した後、0.4重量%コンゴーレッド溶液を寒天培地が完全に覆われるまで注ぎ、10分間静置した。コンゴーレッド溶液を除去し、1重量%塩化ナトリウム溶液にて洗浄してセルラーゼ生産に伴って形成されるハローを検出した。ハローを形成した形質転換体よりFlexiPrep kit(アマシャム・ファルマシア・バイオテク社製)を用いてプラスミドDNAを抽出し、pUC18のマルチクローニングサイト近傍に相補的なプライマー1(配列番号3;アンチセンスプライマー)及びプライマー2(配列番号4;センスプライマー)を合成し、塩基配列を377DNAシーケンサー(PE アプライド・バイオシステムズ社製)にて決定した。その結果、Bacillus sp. N252株の培養上清から精製したアルカリセルラーゼのアミノ末端をコードする塩基配列が見出され、目的とするN252セルラーゼ遺伝子を取得できたことが確認された。更にプライマー3〜11(配列番号5;N252セルラーゼ遺伝子の上流発現領域に基づくセンスプライマー,配列番号6;N252セルラーゼ遺伝子の塩基番号523〜547に基づくセンスプライマー,配列番号7;N252セルラーゼ遺伝子の塩基番号854〜877に基づくセンスプライマー,配列番号8;N252セルラーゼ遺伝子の塩基番号1141〜1164に基づくセンスプライマー,配列番号9;N252セルラーゼ遺伝子の塩基番号224〜247に基づくセンスプライマー,配列番号10;N252セルラーゼ遺伝子の塩基番号860〜883に基づくアンチセンスプライマー,配列番号11;N252セルラーゼ遺伝子の下流発現領域に基づくアンチセンスプライマー,配列番号12;N252セルラーゼ遺伝子の塩基番号1282〜1305に基づくアンチセンスプライマー,配列番号13;N252セルラーゼ遺伝子の塩基番号443〜473に基づくアンチセンスプライマー)を合成して全塩基配列を決定し(配列番号2)、アミノ酸配列を推定した(配列番号1)。
【0023】
配列番号1に示すN252セルラーゼのアミノ酸配列と従来公知のセルラーゼのアミノ酸配列との相同性を比較すると、最も高い相同性を示した酵素は、Bacillus sp. N-4株の生産するNK-1セルラーゼ(Fukumotoら, J. Bacteriol. 168, 479-485, 1986)であり、その相同性は、75.6%であった。次に高い相同性を示した酵素は、Bacillus sp.株由来のセルラーゼ(特表平11-503902号公報)であり、その相同性は72.0%であった。これらは、いずれもアルカリセルラーゼではあるが、本発明の遺伝子からコードされるN252セルラーゼと完全に一致するものではなかった。これ以外の酵素とN252セルラーゼとの相同性はすべて、上記の相同性よりも低く、N252セルラーゼが新規なアルカリセルラーゼであることを示唆している。なお、相同性の検索は、GENENTYX-CDバイオデータソフトウェア(ソフトウェア開発社製,ver.36)を用いたマキシマムマッチング法にて行った。
【0024】
実施例4 形質転換枯草菌によるN252セルラーゼの生産
N252セルラーゼの生産性を高める目的で、Bacillus sp. KSM-64株由来のアルカリセルラーゼ遺伝子(Sumitomoら, Biosci. Biotechnol. Biochem., 56, 827, 1992)の上流発現領域とN252セルラーゼ遺伝子をリコンビナントPCRにより連結した。即ち、Bacillus sp. KSM-64株由来のアルカリセルラーゼ遺伝子の上流発現領域〔プライマー12(配列番号14;センスプライマー)及びプライマー13(配列番号15;アンチセンスプライマー)を使用〕及びN252セルラーゼ遺伝子断片〔プライマー14(配列番号16;Bacillus sp. KSM-64株由来のアルカリセルラーゼ遺伝子の上流発現領域とN252セルラーゼ遺伝子の塩基番号88〜107に基づくセンスプライマー)及びプライマー15(配列番号17;N252セルラーゼ遺伝子の下流発現領域に基づくアンチセンスプライマー)を使用〕をそれぞれPCR(94℃30秒、55℃30秒、72℃2分を1サイクルとして30サイクル)にて増幅した。得られた遺伝子断片を精製し、プライマー12(配列番号14)及びプライマー15(配列番号17)を用いてリコンビナントPCR(94℃30秒、55℃1分、72℃1分を1サイクルとして30サイクル)によりキメラ遺伝子の増幅を行った。取得したキメラ遺伝子を精製し、制限酵素Bgl II及びHind IIIで処理後、予め同じ制限酵素で処理しておいたプラスミドpHY300PLK(ヤクルト本社製)に連結した。得られた組換えプラスミドをプロトプラスト法により枯草菌ISW1214株に導入し、形質転換株を3.0重量%ポリペプトンS、3.0重量%マルトース、0.5重量%魚肉エキス、0.1重量%リン酸二水素カリウム、0.02重量%硫酸マグネシウム七水塩及びテトラサイクリン(7.5μg/mL)から成る培地にて30℃、72時間振盪培養した。遠心分離により得られた培養上清中のセルラーゼ活性は約39000U/Lであり、SDS電気泳動を行って検出された主要なタンパク質バンドの分子量は、アミノ酸配列から推定される分子量(51.2kDa)とほぼ一致した。但し、一部分解によって生じたと考えられる約35kDaのセルラーゼ活性を示すタンパク質バンドも検出された。
【0025】
実施例5 組換えN252セルラーゼの精製
実施例4で得られた形質転換株の培養上清約200mLにPMSF、EDTAをそれぞれ1mM、5mMとなるよう添加し、氷水中で1時間静置した。さらに1mM PMSF、5mM EDTAを含む脱イオン水1000mLを加え、予め10mMリン酸緩衝液(pH6.0)にて平衡化しておいたDEAEトヨパール650Cカラム(3.0×18cm;東ソー社製)に添着した。約1.2Lの平衡化緩衝液を用いて非吸着タンパク質を洗浄溶出させた後、0から0.4M塩化ナトリウム濃度勾配法により吸着タンパク質を溶出させた。0.2Mの塩化ナトリウム濃度付近に溶出されたセルラーゼ活性を示す画分を集め(375mL)、限外濾過(PM10メンブレン;アミコン社製)により濃縮し、SDS電気泳動を行ったところ、分子量約50kDaの均一なタンパク質バンドが検出された。以上の精製操作により本酵素は約4倍に濃縮され、活性収率は3.5%であった。
【0026】
参考例 組換えN252セルラーゼの酵素学的性質
(1) 最適反応pH
クエン酸緩衝液(pH4〜6)、リン酸緩衝液(pH6〜8)、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8〜12)の各緩衝液(100mM)を用いて最適反応pHを調べた結果、組換えN252セルラーゼはpH10のグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液中で最も高い反応速度を示した。また、pH6〜11.5の間で最大活性の50%以上の活性を有していた(図1)。
【0027】
(2) セロビオースの影響
50mMグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH10)、1.0重量%カルボキシメチルセルロース(A10MC;日本製紙社製)及び50〜100mMセロビオースから成る反応液をオストワルド粘度計(No.3)に入れ、30℃で10分間恒温した後、組換えN252セルラーゼを添加し全量を10mLとした。5〜30分後に粘度を測定した結果、本酵素は高濃度のセロビオース存在下において全く阻害されることがなく、むしろ酵素活性が促進されていた。
【0028】
(3) 以上のように組換えN252セルラーゼは、分子量、N−末アミノ酸配列、最適反応pHが野生株からの酵素と一致し、さらに100mMセロビオース存在下においてその活性が阻害されず、むしろ活性化傾向を示すという特徴も確認されたことから、Bacillus sp. KSM-N252株由来のアルカリセルラーゼと同一の酵素であることが明らかとなった。
【0029】
【発明の効果】
本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子を用いることにより、衣料用等の洗浄剤用、バイオマス用、繊維処理用の酵素として有用な、高アルカリ性領域に最適反応pHを有し、かつセロビオースに阻害されないアルカリセルラーゼを大量に生産することができる。
【0030】
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】組換えN252セルラーゼの最適反応pHを示す図である。

Claims (6)

  1. 配列番号1に示すアミノ酸配列又は該アミノ酸配列の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列をコードするアルカリセルラーゼ遺伝子。
  2. 配列番号2に示す塩基配列又は該塩基配列の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有するアルカリセルラーゼ遺伝子。
  3. 請求項1又は2記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  4. 請求項3記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  5. 宿主が微生物である請求項4記載の形質転換体。
  6. 請求項4又は5記載の形質転換体を培養するアルカリセルラーゼの製造法。
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