JP4915716B2 - アルカリセルラーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、洗剤用酵素として有用なアルカリセルラーゼ、それらをコードする遺伝子に関する。
セルロースは植物細胞壁の主成分であり、衣料、紙、建築材料などに有効利用されるバイオマスの代表的存在である。またバイオマスの有効的な利用方法としてセルロースを分解する酵素を用い糖類や更にエネルギー物質に変換しようとする試みが以前から行われている。従ってセルラーゼに関する研究は世界中の研究機関において多岐にわたり行われている。これらの研究対象となるセルラーゼは、一般的に中酸性に最適反応pHを有し、結晶性セルロースを良好に分解できる真菌類や嫌気性細菌由来の酵素が中心となっている。
一方、掘越によって好アルカリ性バチルス属細菌由来のアルカリセルラーゼが見出されて以来(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)、困難とされていたセルラーゼの衣料用重質洗剤への応用が可能となり、好アルカリ性バチルス属細菌の生産するアルカリセルラーゼ(例えば、特許文献2〜4参照)が衣料用洗剤へ配合されるに至った。しかし、これらのアルカリセルラーゼは、結晶性セルロースを殆ど分解しない、所謂エンドグルカナーゼであることが判っている。洗剤用酵素の重要な要素として繊維を分解しない即ち繊維を傷めずに汚れを落とす、又は促進する働きが挙げられるが、これらの酵素はその意味で非常に有用なアルカリセルラーゼといえる。一方で衣類は何回も洗浄を繰返すことで毛羽立ちが生じたり、色褪せが起こる。このような現象を防止するには結晶性セルロース分解活性を有し、且つアルカリ性領域で作用するセルラーゼが望まれていることも事実である。
更に近年、遺伝子工学の発展に伴い洗剤用酵素の生産も遺伝子組換えにより大量生産されるようになってきている。アルカリセルラーゼについても例外ではなく既に数多くの遺伝子についてクローニング、塩基配列の決定がなされ、実生産に用いられている例もある。
本発明は、洗剤用酵素として有用なアルカリセルラーゼを見出し、それをコードする遺伝子の取得並びにその遺伝子を用いた大量かつ単一のアルカリセルラーゼを製造する方法を確立することを目的とする。
特公昭50−28515号公報 特公昭60−23158号公報 特公平6−030578号公報 米国特許第4945053号明細書 Horikoshi & Akiba, Alkalophilic Microorganisms, Springer, Berlin (1982)
本発明者は、自然界からアルカリセルラーゼ生産菌のスクリーニングを行ったところ、目的に適う酵素を生産する微生物を見出し、更に当該微生物からアルカリセルラーゼをコードする遺伝子をクローン化することにより本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の(a)又は(b)のタンパク質:
(a)配列番号1から4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)(a)のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つアルカリセルラーゼ活性を有するタンパク質、
当該タンパク質をコードする遺伝子、当該遺伝子を含有する組換えベクター、該組換えベクターを有する形質転換体を提供するものである。
本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子を用いれば、衣料用洗剤、繊維処理剤として有用なアルカリセルラーゼを単一且つ大量に生産することが可能である。
本発明のタンパク質(以下、「アルカリセルラーゼ」ともいう)は、(a)配列番号1から4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質、又は(b)(a)のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つアルカリセルラーゼ活性を有するタンパク質であり、本発明の遺伝子は、当該タンパク質をコードするDNAである。
ここで、配列番号1から4に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列とは、配列番号1のアミノ酸配列と等価のアミノ酸配列を意味し、1若しくは数個、好ましくは1〜10個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列であって、依然としてアルカリセルラーゼ活性を保持する配列をいい、付加には、両末端への1〜数個のアミノ酸の付加が含まれる。
なお、当該等価のアミノ酸配列をコードする塩基配列は、自然界から取得すること以外にも部位特異的突然変異誘発法等の公知の手法を利用して調製することができる。例えば、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット[Mutan-super Express Km キット(タカラバイオ)]等を用いて変異を導入し調製することができる。
本発明の配列番号1に示すアルカリセルラーゼ(以下、Egl−145と表記する)のアミノ酸配列と従来公知のセルラーゼのアミノ酸配列とその同一性を比較すると、Paenibacillus lautus NCIMB 40250株が生産するエンドセルラーゼ3a(WO91/10732)との同一性が最も高く、80.3%であり、次いでErwinia carotovora SCRI193株の生産するエンドグルカナ−ゼ(CelV:Cooper & Salmond, Mol. Gen. Genet., 241, 341-350, 1993)との同一性は、48.9%、Bacillus licheniformis GXN151株由来のセルラーゼ(CEL5A:EMBL登録番号、AY291583)との同一性は45.8%であった。
次に、配列番号2に示すアルカリセルラーゼ(以下、Egl−659と表記する)のアミノ酸配列と従来公知のセルラーゼのアミノ酸配列とその同一性を比較するとEgl−145の場合と同様に、Paenibacillus lautus NCIMB 40250株が生産するエンドセルラーゼ3aとの同一性が最も高く、74.4%であり、次いでErwinia carotovora SCRI193株の生産するCelVとの同一性は、48.7%、Bacillus licheniformis GXN151株由来のCEL5Aとの同一性は46.0%であった。
配列番号3に示すアルカリセルラーゼ(以下、Egl−115と表記する)並びに配列番号4に示すアルカリセルラーゼ(以下、Egl−440と表記する)のアミノ酸配列と公知のセルラーゼのアミノ酸配列との同一性を比較すると、上記と同様にいずれもエンドセルラーゼ3aとの同一性が最も高く、80%であり、次いでCelVとの同一性は、49%、CEL5Aとの同一性は46%であった。
また、Egl−145は、Egl−659、Egl−115及びEgl−440とそれぞれ99.7%、99.3%、92.0%の同一性を示し、お互いのセルラーゼは非常に高い同一性を示した。このようにEgl−145、Egl−659、Egl−115及びEgl−440は従来公知のセルラーゼの中においてPaenibacillus lautus NCIMB 40250株が生産するエンドセルラーゼ3aとの同一性は比較的高いものの、他のセルラーゼとは極めて低い同一性を示す新規なアルカリセルラーゼであることが示唆される。
従って、配列番号1〜4に示したアミノ酸配列と相当する配列を適切にアライメントした時、最大85%以上の同一性を有するセルラーゼは本発明に含まれる。本発明のアルカリセルラーゼは、配列番号1〜4に示すアミノ酸配列における同一性として、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上であることが望ましい。
尚、ここで述べるアミノ酸配列の同一性は、Lipman-Pearson法 (Science, 227, 1435, (1985))によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(Ver.5.1.1;ソフトウェア開発)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、Unit size to compare(ktup)を1として解析を行うことにより算出される。
本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子は、上記のとおり、配列番号1〜4に示すアミノ酸配列からなるタンパク質又は当該アミノ酸配列と等価のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものであればよいが、配列番号5〜8に示す塩基配列からなる遺伝子又は該塩基配列の1若しくは数個以上の塩基が欠失、置換若しくは付加された塩基配列を有し、当該遺伝子と同一の機能を有する遺伝子であることが好ましい。
本発明のアルカリセルラーゼは、例えばバチルス属に属する微生物、好ましくはバチルス エスピー KSM−N145株、バチルス エスピー KSM−N659株、バチルス エスピー KSM−N115株及びバチルス エスピー KSM−N440株等を公知の方法により培養することで生産、取得することができる。また、その遺伝子を上記微生物の染色体DNAからショットガン法、PCR法を用いクローニングし、適当なベクターと宿主菌を用いて大量に生産、取得することができる。
本発明遺伝子を用いてアルカリセルラーゼを生産するには、目的とする宿主内で遺伝子を発現するのに適した任意のベクターに、上記アルカリセルラーゼ遺伝子を組込み、該組換えベクターを用いて宿主を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、当該培養液からアルカリセルラーゼを採取すればよい。培養は微生物の資化可能な炭素源、窒素源その他の必須栄養素を含む培地に接種し、常法に従って行えばよい。かくして得られた培養物中からのアルカリセルラーゼの採取及び精製は、一般の方法に準じて行うことができる。即ち、培養物から遠心分離又は濾過することで菌体を除き、得られた培養上清液から常法手段により目的酵素を濃縮することができる。このようにして得られた酵素液又は乾燥粉末はそのまま用いることもできるが更に公知の方法により結晶化や造粒化することができる。
本発明のアルカリセルラーゼの特徴としては、次のような性質が好ましい。即ち、分子量約60,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法)、カルボキシメチルセルロース分解における最適反応pH、結晶性セルロース分解における最適反応pHを6〜8付近、最適温度を55℃付近に有することが望ましい。
本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子は、例えば下記の菌学的性質を有するバチルス エスピー KSM−N145、N−659、N−115、N−440株等からクローン化することができる。
(バチルス エスピー KSM−N145株の菌学的性質)
菌学的性質
(a)細胞の形及び大きさ:桿菌(1.0〜1.2×3.0〜5.0μm)
(b)多形性:無し
(c)運動性:有り
(d)胞子の形、大きさ、位置、膨潤の有無:楕円形、2.0〜2.5×3.5〜4.0μm、準端、膨潤有り
(e)グラム染色:陽性
(f)オキシダ−ゼ:陽性
(g)カタラーゼ:陽性
(h)嫌気的生育:陽性
(i)生育温度:20〜50℃
(j)グルコースからのガス産生:陰性
尚、生理学的な性質については、api50CH並びにapi20E(bioMerieux社)を用いて検討した。その結果と上記の菌学的性質から、本菌はバチルス サーキュランスに近縁であると判断された。
(バチルス エスピー KSM−N659株の菌学的性質)
菌学的性質
(a)細胞の形及び大きさ:桿菌(0.9〜1.0×2.0〜2.5μm)
(b)多形性:無し
(c)運動性:有り
(d)胞子の形、大きさ、位置、膨潤の有無:楕円形、0.9〜1.5×1.5〜2.0μm、中央準端、膨潤無し
(e)グラム染色:陽性
(f)オキシダ−ゼ:陽性
(g)カタラーゼ:陽性
(h)嫌気的生育:陽性
(i)生育温度:20〜45℃
(j)グルコースからのガス産生:陰性
尚、生理学的な性質については、api50CH並びにapi20Eを用いて検討した。その結果と上記の菌学的性質から、本菌はバチルス コアギュランスに近縁であると判断された。
(バチルス エスピー KSM−N115株の菌学的性質)
菌学的性質
(a)細胞の形及び大きさ:桿菌(0.8〜1.0×2.0〜5.0μm)
(b)多形性:無し
(c)運動性:有り
(d)胞子の形、大きさ、位置、膨潤の有無:楕円形、1.0〜1.2×1.8〜2.0μm、準端、膨潤有り
(e)グラム染色:陽性
(f)オキシダ−ゼ:陽性
(g)カタラーゼ:陽性
(h)嫌気的生育:陽性
(i)生育温度:20〜50℃
(j)グルコースからのガス産生:陰性
尚、生理学的な性質については、api50CH並びにapi20Eを用いて検討した。その結果と上記の菌学的性質から、本菌はバチルス サーキュランスに近縁であると判断された。
(バチルス エスピー KSM−N440株の菌学的性質)
菌学的性質
(a)細胞の形及び大きさ:桿菌(0.9〜1.1×3.0〜7.0μm)
(b)多形性:無し
(c)運動性:有り
(d)胞子の形、大きさ、位置、膨潤の有無:楕円形、1.0〜1.5×2.0〜2.5μm、準端、膨潤有り
(e)グラム染色:陽性
(f)オキシダ−ゼ:陽性
(g)カタラーゼ:陽性
(h)嫌気的生育:陽性
(i)生育温度:20〜50℃
(j)グルコースからのガス産生:陰性
尚、生理学的な性質については、api50CH並びにapi20Eを用いて検討した。その結果と上記の菌学的性質から、本菌はバチルス サーキュランスに近縁であると判断された。
以上、KSM−N145株、KSM−N659株、KSM−N115株、KSM−N440株は既知のバチルス属細菌と完全には一致しないため新規なバチルス属細菌として各菌株を独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターへバチルス エスピー KSM−N145株(FERM P−19727)、バチルス エスピーKSM−N659株(FERM P−19730)、バチルス エスピーKSM−N115株(FERM P−19726)及びバチルス エスピー KSM−N440株(FERM P−19728)として寄託した。
上記の各菌株からのアルカリセルラーゼ遺伝子のクローニング方法としては、既知の手段、例えばショットガン法、PCR法を用いて行うことができる。また、本発明のアルカリセルラーゼ遺伝子を含む組換えベクターを作製するには、宿主菌体内で複製維持が可能であり、該酵素を安定に発現させることができ、該遺伝子を安定に保持できるベクターにアルカリセルラーゼ遺伝子を組込めばよい。かかるベクターとしては大腸菌を宿主とする場合、pUC18、pBR322、pHY300PLK等が挙げられ、枯草菌を宿主にする場合、pUB110、pHSP64(Sumitomoら、Biosci. Biotechnol. Biocem., 59, 2172-2175, 1995)あるいはpHY300PLK(タカラ バイオ)等が挙げられる。
かくして得られた組換えベクターを用いて宿主菌を形質転換するにはプロトプラスト法、コンピテントセル法、エレクトロポレーション法等を用いて行うことができる。宿主菌としては特に制限されないがBacillus属(枯草菌)等のグラム陽性菌、Escherichia coli(大腸菌)等のグラム陰性菌、Streptomyces属(放線菌)、Saccharomyces属(酵母)、Aspergillus属(カビ)等の真菌が挙げられる。
得られた形質転換体は、資化しうる炭素源、窒素源、金属塩、ビタミン等を含む培地を用いて適当な条件下で培養すればよい。かくして得られた培養液から、一般的な方法によって酵素の採取、精製を行い、凍結乾燥、噴霧乾燥、結晶化により必要な酵素形態を得ることができる。
実施例1 アルカリセルラーゼ生産菌のスクリーニング
少量の日本各地の土壌サンプルを10mLの滅菌水に懸濁し、80℃、15分間熱処理した。室温で冷却した後、0.1mLの上清を以下の組成を有する寒天平板培地に塗布した[0.1%(w/v)トリプティケースソイブロス(BBL)、0.1%酵母エキス(ディフコ)、0.1%リン酸1カリウム、0.02%硫酸マグネシウム7水塩、0.5%カルボキシメチルセルロース(F10HS、日本製紙)、0.1%アルカリ膨潤セルロース(セルロースパウダーKCフロック W−400G、日本製紙)(別滅菌)、0.25%(別滅菌)]。30℃で7〜10日間培養し、コロニーの周辺にハローを形成したものをアルカリセルラーゼ生産菌株として選択した。
実施例2 バチルス エスピー KSM−N145株のゲノムDNAの調製
バチルス エスピー KSM−N145株の培養は、2.0%(w/v)ポリペプトンS(大日本製薬)、0.1%カルボキシセルロース(A10MC)、0.1%酵母エキス(ディフコ)、1.0%魚肉エキス(和光純薬)、0.15%リン酸1カリウム、0.035%(v/v)硫酸マグネシウム7水塩、0.3%炭酸ナトリウム(別滅菌)から成る培地を用い、30℃、40時間振盪(125rpm)して行った。得られた培養液約300mLから遠心分離(12000×g、15分、5℃)により菌体を回収した。この菌体からGenとるくん(タカラバイオ)によりゲノムDNAを調製した。また、KSM−N659株、KSM−N115並びにKSM−N440株からのゲノムDNAも同様に調製した。
実施例3 Egl−145、Egl−659、Egl−115及びEgl−440遺伝子のクローニング
実施例2で調製したバチルス エスピー KSM−N145株ゲノムDNA約2μgを制限酵素Sau3A(ベーリンガーマンハイム)にて、37℃、10分間部分消化した後、70℃、10分間恒温して反応を停止させた。このうち5μLを予め制限酵素BamHI(ベーリンガーマンハイム)にて消化後、脱リン酸化したpUC18(タカラバイオ)50ngと混合して8μLとし、Ligation キット Ver.2(タカラバイオ)のI液 8μLを加えて16℃、30分間恒温してDNA連結反応を行った。反応液で大腸菌HB101株を形質転換し、100μg/mLアンピシリン、1.0%(w/v)カルボキシルメチルセルロース(関東化学)、0.005%トリパンブルー(メルク)を含むLB寒天培地に塗沫した。セルラーゼ生産によりハローを形成した形質転換体よりHight Pure Plasmid Purification キット(ベーリンガーマンハイム)を用いてプラスミドDNAを抽出した。抽出されたプラスミドDNAを鋳型に、pUC18のマルチクローニングサイト近傍に相補的なM13 Primer M2及びRV(タカラバイオ)を用い挿入された遺伝子の塩基配列を377DNAシーケンサー(PE―アプライドバイオシステムズ)にて決定した。KSM−N659株、KSM−N115並びにKSM−N440株からのセルラーゼ遺伝子のクローニングも上記と同様に行った。
実施例4 形質転換枯草菌によるセルラーゼの生産
取得した4種類のセルラーゼを生産するにあたり、それぞれの酵素の成熟領域をコードする遺伝子をバチルス エスピー KSM−S237株由来アルカリセルラーゼ遺伝子(特願平11−013049)の上流発現領域と下流領域の間に導入した。即ち、予めSmaIで処理したpHY300PLK(タカラバイオ)にバチルス エスピー KSM−S237株アルカリセルラーゼ遺伝子の上流発現領域からターミネーターを含む領域を連結したプラスミドpHYS237から以下のようにS237セルラーゼの構造遺伝子を除き、そこへ各種セルラーゼの構造遺伝子を挿入することでプラスミドを作製した。
まず、pHYS237(約100ng)を鋳型とし上流プライマー(配列番号9)、下流プライマー(配列番号10)各20pmoL及びPyrobestポリメラーゼ(タカラバイオ)を用い、PCR(94℃20秒、55℃30秒、72℃3分を1サイクルとして30サイクル)を行った。得られたPCR産物をHight Pure PCR Purification キット(ベーリンガーマンハイム)にて精製し、TaKaRa BKL キット(タカラバイオ)を用いて末端の平滑化並びに5‘末端のリン酸化を行った。その後、制限酵素XbaIにて処理しHight Pure PCR Purification キットで精製を行った。
次にバチルス エスピー KSM−N145株のゲノムDNA(約100ng)を鋳型に上流プライマー(配列番号11)、下流プライマー(配列番号12)各20pmoL及びPyrobestポリメラーゼを用いてPCR(94℃20秒、60℃30秒、72℃2分を1サイクルとして30サイクル)を行った。得られたPCR産物を上記同様に精製し、末端の平滑化及び5‘末端のリン酸化を行った。その後、制限酵素XbaIにて処理し精製を行った。得られた増幅遺伝子断片と前述のpHYS237から得た増幅断片をTaKaRa BKL キットに付属のLigation Solutionを用いて連結した。ライゲーション溶液を精製し、乾燥後、3μLの滅菌脱イオン水に溶解し、プロトプラスト法により枯草菌ISW1214株の形質転換を行った。テトラサイクリン(7.5μg/mL、シグマ)を添加したDM3再生培地[0.8%(w/v)寒天(和光純薬)、0.3Mコハク酸二ナトリウム6水和物、0.5%カザミノ酸テクニカル(ディフコ)、0.5%酵母エキス、0.35%リン酸1カリウム、0.15%リン酸2カリウム、0.5%グルコース、0.4%塩化マグネシウム6水和物。0.01%牛血清アルブミン(シグマ)、0.5%CMC(関東化学)0.005%トリパンブルー(メルク)]上でハローを示すコロニーを目的のPCR産物を含む形質転換体として選択した。得られた形質転換体を、3.0%(w/v)ポリペプトンS、3.0%マルトース、0.5%魚肉エキス、0.1%リン酸1カリウム、0.02%硫酸マグネシウム7水塩及びテトラサイクリン(7.5μg/mL)からなる培地にて30℃、72時間振盪培養した。尚、Egl−659、Egl−115及びEgl−440も上記同様にプラスミドを構築後、形質転換、選抜並びに培養を行った。
遠心分離により得られた培養上清中のセルラーゼ活性は17U/mL(Egl−145)、16U/mL(Egl−659)、8U/mL(Egl−115)及び18U/mL(Egl−440)であり、それぞれSDS電気泳動を行って検出された主要なタンパク質バンドの分子量は、アミノ酸配列から推定される分子量(58.5kDa)とほぼ一致したが、Egl−115は34kDaに主要なタンパク質バンドが検出されたことから、培養中に分解された可能性が考えられた。
実施例5 Egl−145の調製
実施例4で得られた培養上清をペンシルモジュール(ACP−0013、分画分子量13,000;旭化成)を用い脱塩濃縮した後、予め、50mM トリス塩酸塩緩衝液(pH7.5)で平衡化しておいたQAEトヨパール550C(トーソー)に供し、非吸着画分を限外濾過(PM10膜、ミリポア)にて濃縮した。尚、Egl−115以外のセルラーゼも上記のように調製した。
実施例6 Egl−145の最適反応pH
(CMCを基質とした場合)
酢酸緩衝液(pH4.5〜5.5)、リン酸緩衝液(pH6〜7)、トリス塩酸塩緩衝液(pH7〜8)、グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.5〜10.5)の各緩衝液(100mM)を用いて最適反応pHを調べた結果、実施例5に従って調製した組換えEgl−145はpH6.5のリン酸緩衝液中で最も高い反応速度を示した。また、pH4.5〜9.5の間で最大活性の50%以上の活性を有していた。
(結晶性セルロースを基質とした場合)
上記に示した各緩衝液(100mM)を用いて最適反応pHを調べた結果、組換えEgl−145はトリス塩酸塩緩衝液中でpH7の付近において最も高い反応速度を示した。また、pH5〜9の間で最大活性の50%以上の活性を有していた。
実施例7 Egl−145の最適反応温度
結晶性セルロースを基質とし、100mM グリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.5)中、5〜70℃の範囲で最適反応温度を調べた結果、組換えEgl−145は30〜40℃の間で最も高い反応速度を示した。また、10〜55℃の間で最大活性の50%以上の活性を有していた。
実施例8 Egl−145の基質特異性
下記の標準活性測定条件下において、SIGMACELL Type101(シグマ)の分解活性を100%とした場合、フナセルSF(フナコシ工業化学)、Cellulose powder(20μm:シグマアルドリッチ)、SIGMACELL Type20(シグマ)、TLC−CELLULOSE(生化学工業)に対しては、それぞれ76%、73%、62%、33%の相対分解活性を示した。
実施例9 Egl−440及びEgl−659の最適反応pH
結晶性セルロースを基質とし、各緩衝液(100mM)を用いて最適反応pHを調べた結果、組換えEgl−440及びEgl−659はpH6−8において最も高い反応速度を示した。CMCを基質にした場合、Egl−659の最適反応pHは、pH6−8であった。
(酵素活性測定法)
1.カルボキシメチルセルロース(CMC)を基質とする場合
0.2mLの0.5Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.0)、0.4mLの2.5%(w/v)カルボキシメチルセルロース(A01MC;日本製紙)、0.3mLの脱イオン水から成る反応液に0.1mLの適当に希釈した酵素液を加え40℃、20分間反応させた後、1mLのジニトロサリチル酸試薬(0.5%ジニトロサリチル酸、30%ロッシェル塩、1.6%水酸化ナトリウム)を添加し、沸水中で5分間還元糖の発色を行った。氷水中で急冷し、4mLの脱イオン水を加え535nmにおける吸光度を測定し還元糖の生成量を求めた。尚、ブランクは酵素液を加えずに処理した反応液にジニトロサリチル酸試薬を加えた後、酵素液を添加し、同様に発色させたものを用意した。酵素1単位(1U)は、上記反応条件下において1分間に1μmolのグルコース相当の還元糖を生成する量とした。
2.結晶性セルロース(アビセル)を基質とする場合
0.5mLの0.2Mグリシン−水酸化ナトリウム緩衝液(pH8.5)、0.4mLの2.5%(w/v)結晶性セルロース(SIGMACELL Type101;シグマ)から成る反応液に0.1mLの適当に希釈した酵素液を加え40℃、3時間反応させた後、1mLのジニトロサリチル酸試薬(0.5%ジニトロサリチル酸、30%ロッシェル塩、1.6%水酸化ナトリウム水溶液)を添加、攪拌後、遠心分離(3,000rpm、5分間、室温)を行った。上清1mLを分取し、沸水中で5分間還元糖の発色を行った。氷水中で急冷し、2mLの脱イオン水を加え535nmにおける吸光度を測定し還元糖の生成量を求めた。尚、ブランクは酵素液を加えずに処理した反応液にジニトロサリチル酸試薬を加えた後、酵素液を添加し、同様に発色させたものを用意した。酵素1単位(1U)は、上記反応条件下において1分間に1μmolのグルコース相当の還元糖を生成する量とした。

Claims (6)

  1. 以下の(a)又は(b)のタンパク質:
    (a)配列番号2に示すアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)(a)のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく
    は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ結晶性セルロースを分解するアルカリセルラーゼ活性を有するタンパク質。
  2. 請求項1記載のタンパク質をコードする遺伝子。
  3. 配列番号6に示す塩基配列からなるアルカリセルラーゼ遺伝子。
  4. 請求項2又は3記載の遺伝子を含有する組換えベクター。
  5. 請求項4記載の組換えベクターを含む形質転換体。
  6. 宿主が微生物である請求項5記載の形質転換体。
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